JP4272102B2 - 磁気ヘッドスライダ及び磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
スライダは空気流20によってディスク22上を浮上する際、空気流入端1側の浮上量が空気流出端2側の浮上量より高くなるような姿勢で浮上する。このため、磁気ヘッド8を備えた流出側レール面の終端の浮上量23が最も低くなる。
図5から、本実施例によるスライダは、高度3000mにおける浮上量の低下を、0mにおける浮上量の約6〜7%に低減できることがわかる。
一方、最小浮上量が10nm以下であるような場合は、高度3000mにおける浮上量の低下を少なくとも10%(1nm)以下とする必要があるため、第2の段差部の高さ17、18は少なくとも5nm以上とする必要がある。また、浮上量の測定精度は、±1nm程度であるため、浮上量の低下量をこれよりも小さくすることが必要である。
すなわち、高地における浮上低下量を低減するために、第2の段差部が必要であるが、段差部が高すぎると、そこが最小浮上量になってしまうため、第2の段差部高さの好適値は、本実施例の場合には5nmから50nmである。
実施例1のスライダはフェムトスライダであるが、全長が1.25mmのピコスライダの場合、第2の段差部の高さはもっと高くても良い。浮上時の姿勢が第1実施形態のフェムトスライダと同様であれば、第2の段差部の最大高さは、74nm以下にする必要がある。
とすることで、段差面の終端の浮上量24、25が最小浮上量となることを避けることができる。
図9は本実施例によるスライダの加工手順の一例を示す。
まず、スライダの母材であるアルミナ・チタン・カーバイトのバー35上に、第1のシリコン層36と第1のダイヤモンド。ライク。カーボン層37を形成する(1)。
シリコン層36とダイヤモンド・ライク・カーボン層37の厚さの総和は、最終的な第2段差の高さ17、18と同じ高さに形成する。このバー35上に従来のスライダを加工する方法と同一の方法、例えばイオン・ミリング加工法を利用して、流入側レール面5、6、流出側レール面7、ステップ軸受け面4、9、負圧溝面10等が形成される(2)。
この時点で、ダイヤモンド・ライク。カーボンで覆われているのは、流入側レール面5、6と流出側レール面7だけである。さらに、段差面11、12に相当する部分にマスクをし、他の部分のダイヤモンド・ライク・カーボン層37とシリコン層36を除去する(3)。
最後に、改めて浮上面全面を第2のシリコン層38と、第2のダイヤモンド・ライク・カーボン層39で被覆する(4)。
本実施例では、最初に形成したシリコン層36とダイヤモンド。ライク。カーボン層37の段差を利用して、段差面11、12を形成したが、浮上面3を形成した後に、シリコンとダイヤモンド・ライク・カーボンを堆積して段差面11、12を形成しても、もちろん構わない。
本実施例は、段差面11、12の終端が流入側レール面5、6の終端まで延びており、段差面の連続性が増加しているため、実施例1のスライダより大きな圧力を形成することができる。このような構成とすることで、実施例1のスライダより、さらに高地における浮上量の低下を防ぐことができ、高度3000mにおいて、浮上量の低下をほぼ完全に防ぐことができた。
本実施例は、段差面11、12を形成する時のマスク形状を流入側レール面5、6上だけに限らず、スライダ幅方向に横断するような形状にした。こうすることで、マスクの位置合わせ精度を気にすることがなく、スライダの加工が容易になる。もちろん、本発明の効果が損なわれることも無い。
本実施例は、流入側レール面5、6及び段差面11、12の長さが他の実施例よりさらに長いため、高度による浮上量の低下を低減できることに加え、ピッチング方向の空気膜の剛性が増加するため、サスペンションのピッチ姿勢角の誤差にともなう浮上量の変化を低減することができる。
本実施例は、流入ステップ軸受け面4上に、段差面11、12と同一高さの微小パッド11aと12aを形成した。これらの微小パッド11a、12aは、スライダがディスク面と何らかの要因で接触したときに、スライダの空気流入端1とディスクが直接接触することを防ぐ効果がある。スライダの空気流入端1とディスクが直接接触すると、大きな摩擦力が生じるため、磁気ディスク装置の信頼性上好ましくない。
図13において示した実施例の磁気ヘッドスライダにおいて、第2の段差部17、18の位置をスライダの長手方向に動かすことにより、段差面11、12の総面積と、流入側レール面5、6の総面積の比を変えながら、高度0mと3000mにおける浮上量の低下量を求めた結果を図14に示す。縦軸は、高度の上昇にともなう浮上低下量と、高度0mにおける浮上量の比である。高度の上昇にともなう浮上低下量を、高度0mにおける浮上量の10%以下にするためには、面積比を18%以上92%以下とする必要がある。なお、前述の面積比は、実施例5のみならず、前述のすべての実施例に適用できる。
本磁気ディスク装置は、ロード・アンロード機構を備え、装置停止中は磁気ヘッドスライダがランプ41上に待機している。装置稼働中のみ、磁気ヘッドスライダは磁気ディスク22上にロードされ、記録・再生を行う。
前述の実施例に開示した磁気ヘッドスライダを搭載することによって、高地における浮上低下量を低減できるので、磁気ディスク装置の信頼性を向上することができる。特に、2.5型(2.5インチ)以下の磁気ディスク装置に有効である。
2 空気流出端
3 浮上面
4 流入ステップ軸受け面
5、6 流入側レール面
7 流出側レール面
8 磁気ヘッド
9 流出ステップ軸受け
10 負圧溝
11、12 段差面
13、14、15 第1の段差部
17、18 第2の段差部
20 空気流入方向
21 押し付け荷重
22 磁気ディスク
23 流出側レール面終端における浮上量
24、25 流入側レール面終端における浮上量
30、31 流入側レール面で発生する圧力
32、33 段差面で発生する圧力
34 流出側レール面で発生する圧力
35 スライダ母材
36 第1のシリコン層
37 第1のカーボン層
38 第2のシリコン層
39 第2のカーボン層
40 本実施形態の磁気ヘッドスライダを搭載した磁気ディスク装置
41 ランプ。
Claims (9)
- 空気流入端と、空気流出端と、浮上面から構成される磁気ヘッドスライダにおいて、前記浮上面は複数の流入側レール面と、前記流入側レール面と同一面内にあり、かつ磁気ヘッドが設置された流出側レール面と、前記レール面から所定の深さδ1を有するステップ軸受け面と、前記ステップ軸受け面よりさらに深い深さδ2を有する負圧溝面と、前記流入側レール面上にあり、かつ所定の高さhと、スライダ長さ方向の連続性を有する段差面とから構成され、前記空気流入端と、前記段差面の間に、前記ステップ軸受け面と、前記流入側レール面を有することを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 空気流入端と、空気流出端と、浮上面から構成される磁気ヘッドスライダにおいて、前記浮上面は複数の流入側レール面と、前記流入側レール面と同一面内にあり、かつ磁気ヘッドが設置された流出側レール面と、前記レール面から所定の深さδ1を有するステップ軸受け面と、前記ステップ軸受け面よりさらに深い深さδ2を有する負圧溝面と、前記流入側レール面上にあり、かつ所定の高さhと、スライダ長さ方向の連続性を有する段差面とから構成され、前記空気流入端と、前記段差面の間に、前記ステップ軸受け面と、前記流入側レール面を有し、前記流入側レール面の総面積に対する前記段差面の総面積の比が、18%以上92%以下であることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 前記請求項1乃至2記載の磁気ヘッドスライダにおいて、段差面の高さhが、ステップ軸受け面の深さδ1より小さいことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 請求項1乃至2記載の磁気ヘッドスライダにおいて、前記浮上面が前記段差面を構成する材料と同一の材料で、全面が覆われていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 請求項1乃至2記載の磁気ヘッドスライダにおいて、前記段差面の高さhが50nm以下であることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 請求項1乃至2記載の磁気ヘッドスライダにおいて、前記磁気ヘッドスライダの全長Lと、前記段差面の高さhの比h/Lが、5.9×10−5以下であることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 請求項1乃至2記載の磁気ヘッドスライダにおいて、前記段差面が前記流入側レール面の両サイドにまで到達していることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 空気流入端と、空気流出端と、浮上面とから構成される磁気ヘッドスライダにおいて、前記浮上面は複数の流入側レール面と、前記流入側レール面と同一面内にあり、かつ磁気ヘッドが設置された流出側レール面と、前記レール面から所定の深さδ1を有するステップ軸受け面と、前記ステップ軸受け面よりさらに深い深さδ2を有する負圧溝面と、前記流入側レール面上にあり、かつ所定の高さhと、スライダ長さ方向の連続性を有する段差面とから構成され、前記空気流入端と、前記段差面の間に、前記ステップ軸受け面と、前記流入側レール面を有し、前記負圧スライダに荷重を付与する荷重点が、スライダ中心より前記空気流入端側に設置されていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
- 請求項1乃至請求項8記載の磁気ヘッドスライダを備えた磁気ディスク装置。
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