JP4269217B2 - ウェザーストリップとその取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウェザーストリップとその取付構造に関し、詳しくは、自動車のサンルーフに装着されるウェザーストリップとその取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に示す自動車MのサンルーフSの周縁Saに取り付けられるウェザーストリップの取付構造として、例えば図3に示すような構造のものが知られている。すなわち、自動車ボデー1のサンルーフ周縁Saに形成されているステー(支持部)2と、サンルーフを構成するガラスリッド3の周縁との間にウェザーストリップ4が配置されるようになっていて、ステー2はガラスリッド3の室内面にせん断変形可能な弾性接着剤5を介して接合・固着されている。
【0003】
ステー2は、ガラスリッド3に平行でガラスリッド3と弾性接着剤5を介して接合する接着部2aとウェザーストリップ4を嵌合装着するウェザーストリップ装着部2bとを備えており、ウェザーストリップ装着部2bは、ガラスリッド3の端部より外側に位置するように形成されている。ウェザーストリップ4は、ステー2のウェザーストリップ装着部2bに嵌着されると同時に一方側がガラスリッド3をカバー部41にてガラスリッド3の上面をカバーして挟持するように装着されている。
【0004】
ウェザーストリップ4には、ガラスリッドの外方に膨出するように中空シール部が設けられており、自動車ボデー1の開口端部に弾接してシール性を確保する構成になっている。ウェザーストリップは、ガラスリッドを挟持する部材が別部材となっていて、プラスチックフレームから構成されている場合もある(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようなウェザーストリップ4は、サンルーフの周囲に沿って隅部で折り曲げて装着されるため、直線状に形成された物について隅部に相当する箇所に曲げ加工が施されることになる。その際、図4に示すように、ガラスリッドを挟持する部材、特にカバー部41の内周側に波形のしわが生じる。そこで、サンルーフ全周にシール性と外観を維持するため、ウェザーストリップの各隅部では、圧縮力の作用する内周側に曲げ変形にしわが形成されることなく滑らかな円弧を形成するように、加熱しつつ形状保持加工、いわゆる「くせ付け成形」を施すようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−153328号公報(FIG.2〜5,FIG.8〜9)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、車両の軽量化に対する強い要請から、ガラスリッドに代えてより軽量な透明樹脂製のリッドの使用が検討されているが、透明樹脂製リッドはガラスリッドに比べて温度変化に対する寸法変化量が大きく、四季の温度変化による最大の寸法変化量は、ガラスリッドでは3mm程度であるのに対して透明樹脂製リッドでは6mm程度となる。そのため、図3に示す樹脂製リッドの挟持代(カバー部41の幅)bを6mm程度に長くする必要があり、ステー2への嵌め込み部からの距離cは9〜10mm程度を要することになる。このように挟持代bを長くすると、くせ付け成形を行っても隅部でのカバー部41に波形凹凸の発生は避けられず、外観を損なうと共にシール性が悪くなるという問題が生じ、改善が強く要請されていた。
【0007】
そこで、本発明はサンルーフに樹脂製リッドを使用する場合に、隅部でくせ付け成形をしなくても隅部での凹凸の生じ難いウェザーストリップとその取付構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。
すなわち、本発明に係るウェザーストリップは、サンルーフの樹脂製リッドの室内面側に接合されたステーに装着され、サンルーフの閉鎖時にボディーと弾接してシールするウェザーストリップにおいて、
前記ウェザーストリップ(14)はステー(2)の前記樹脂製リッド(13)に対して略直角に立設されたウェザーストリップ装着部(2b)に嵌合固定される断面が略コ字状のソリッドゴム基部(14b)、前記ソリッドゴム基部の頂部(14b1)の先端側位置において前記樹脂製リッドの中央部側に位置するように立設され、前記樹脂製リッドの室内側表面に少なくとも先端部が前記樹脂製リッドの端部方向に向かって傾斜して弾接するリップシール部(14a)、及び前記ソリッドゴム基部の前記樹脂製リッドの端部側に位置するように形成され、サンルーフの閉鎖時にボディー(1)の開口端部とに弾接する中空シール部(14c)とを有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、リップシール部がサンルーフに嵌め込まれる樹脂製リッドの下面から弾接してシールするようにしているため、樹脂製リッドの温度変化による寸法変化にも弾接位置にて摺動するだけで、その間のシール性は確実に維持されるのでウェザーストリップの幅を広くする必要がなく、したがって、サンルーフの隅部に沿って曲げる場合に発生する凹凸が小さくなり、くせ付け成形をする必要がない。しかも、リップシール部が樹脂製リッドの室内側表面に少なくとも先端部が前記樹脂製リッドの端部方向に向かって傾斜して弾接しているので、洗車など、洗浄する場合に用いられる高圧水の噴射に対して、侵入しようとする水の圧力がリップシールをリッドに押し付ける力を発生してサンルーフ内部に高圧水が浸入することを確実に防止できて都合がよい。
【0010】
上述のウェザーストリップにおいては、前記リップシール部が断面略くの字状に形成されていると共に、その先端断面が円弧状に形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、リップシール部と樹脂製リッドの下面との間が線接触となりシール性に優れる。また、リップシール部と樹脂製リッドの下面との間の弾接のばね弾性が、リップシール部の厚みの変更等により容易に設定可能である。
【0012】
リップシール部の先端断面における円弧状部分のRは、0.3〜1.0mmであることが好ましい。先端断面における円弧状部分のRが0.3mm未満であると押出成形する際に亀裂(いわゆるダイカット)が入り易くなって製造歩留りが低くなる場合があるが、上記範囲であると製造歩留りを高く維持できる。先端断面における円弧状部分のRが1.0mmを越えると樹脂製リッドと弾接した際のシール性が低くなり易い。Rは、0.5〜0.7mmとすることが一層好ましい。もっとも、リップシール部の形状は、その先端部が樹脂製リッドの端部側に向かって傾斜しておれば足り、必ずしも「くの字」形である必要はない。
【0013】
本発明に係るウェザーストリップの取付構造は、請求項1〜3のいずれかに記載のウェザーストリップをサンルーフのリッドに取り付けるウェザーストリップの取付構造であって、
前記リッドは透明樹脂製であり、
前記樹脂製リッドの周縁室内側に樹脂製リッドとの接着部とウェザーストリップ装着部とを備えたステーが該接着部にて弾性接着剤により接合・固定されており、
前記ウェザーストリップ(14)は前記ステー(2)のウェザーストリップ装着部(2b)にソリッドゴム基部(14b)を嵌合することにより装着されており、
前記ステーのウェザーストリップ装着部は前記樹脂製リッドの端部より中央部側に前記樹脂製リッド(13)に対して略直角に立設形成されており、
前記ウェザーストリップのリップシール部(14a)は、少なくとも先端部が前記樹脂製リッドの室内側表面に樹脂製リッドの端部方向に向かって傾斜して弾接しており、中空シール部(14c)は前記樹脂製リッドの端部より外方に膨出しており、サンルーフ閉鎖時に前記中空シール部がボディー(1)の開口端部に弾接可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るウェザーストリップが取り付けられたサンルーフSを有する自動車Mを示し、図2(イ)は本実施形態に係るゴム製のウェザーストリップ14の断面構造を示し、同図(ロ)は(イ)のウェザーストリップ14と樹脂製リッドの取付構造の断面構成を示す。
【0015】
樹脂製リッドは透明であればよく、着色された樹脂にて形成されていてもよい。
【0016】
ウェザーストリップ14は、図2(イ)に示すように、ステー2のウェザーストリップ装着部2bに嵌着可能な溝を有し、凸部を有して頂部を広くした断面形状が略コ字状をするソリッドゴム基部14bと、ソリッドゴム基部14bの頂部14b1にステー2に装着後に樹脂製リッドの中央部側に位置するようにリップシール部14aとソリッドゴム基部14bの側面部上端近傍に端を発してループ状をなし、ステー2に装着後に樹脂製リッドの端部より外方に膨出する中空シール部14cを有する。
【0017】
リップシール部14aは、断面略くの字状になっており、ウェザーストリップ14をステー2に装着して樹脂製リッド13にアセンブリーすることにより、図2(ロ)に示すように、樹脂製リッド13の下面(室内側表面)との間で弾接してシール性を発揮するようになる。したがって、リップシール部14aの先端はアセンブリー後の樹脂製リッド13の下面位置より上方に突出した高さとなるように形成されていることが必要であり、その突出高さは樹脂製リッド13の厚さバラツキを考慮して、樹脂製リッド13の下面位置から0.5mm以上、上方に突出する高さとなるように形成されていることが好ましい。
【0018】
ウェザーストリップ14は、ウェザーストリップに一般的に使用されるポリクロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴム材料にて、押出成形法によって連続的に製造される。リップシール部14a,中空シール部14cは、発泡ゴムにて形成されていることが好ましい。
【0019】
ステー2は、その形状は特に限定されるものではないが、図2(ロ)に示した例では、樹脂製リッドと平行な接着部2aとウェザーストリップ装着部2bとを有し、ウェザーストリップ装着部2bは、樹脂製リッド方向に略直角に立設され、アセンブリー後は樹脂製リッドの端部より室内側面中央部側に位置するように形成されている。
【0020】
図2(ロ)にはリップシール部14aは、断面形状が「く」字状である例を示したが、少なくとも先端部が樹脂製リッド13に対して端部方向に向かって傾斜し、先端部ほど樹脂製リッドの端部側となるように弾接可能であれば、その形状は限定されるものではない。
【0021】
本実施形態では、ウェザーストリップ14と樹脂製リッド13とのシールは、リップシール部14aのリップ部先端が樹脂製リッド13の下面に弾接することによってなされるため、温度変化によって樹脂製リッド13が寸法変化をしたとしても、リップシール部14aのリップ部先端が樹脂製リッド13の下面と弾接した状態で摺動することによりシール性が確実に保持される。しかも、ステー2のウェザーストリップ装着部2bが樹脂製リッド13の下方に位置するように構成され、ソリッドゴム基部14bを嵌合してウェザーストリップ14を装着し、樹脂製リッドにアセンブリーされるので、ウェザーストリップ14の幅を、ガラス製リッドを用いていた従来技術以上に広くする必要がない。一例として、図2(イ)に示す構造の場合、ソリッドゴム基部14bにステー2が嵌め込まれる後端側位置からリップシール部14aの先端側位置までの距離aが6mm程度で済むため、図2(イ)に示すウェザーストリップ14をサンルーフの隅部に沿って曲げる場合でも、波形凹凸は発生せず、特にくせ付け成形をする必要はなかった。このように、本実施形態のウェザーストリップ14の幅は狭くて済むので、ウェザーストリップ14の重量、コストを低減できるだけでなく、ウェザーストリップ14の全体が目立ち難く、サンルーフ周縁Saに装着した場合に見栄えが良くなる。
【0022】
リップシール部14aの自由端14a1のR(曲率半径)は、約0.3mm程度とされている。リップシール部14aのリップ部先端である自由端14a1の先端形状におけるRは、小さい程シール性に優れて好ましいが、あまりRが小さいと押出成形する際に亀裂(いわゆるダイカット)が入るおそれがあるため、通常は0.2〜1.0mm程度とすることが好ましく、0.5〜0.7mm程度とすることが一層好ましい。
【0023】
中空シール部14cは内部に空洞を有するループ状に形成されて、中空シール部14cと弾接することになる自動車ボデー1との間にシール性を保持できる空間が広くなっている。つまり、図2(ロ)に示すような、撓ませた状態で自動車ボデー1と弾接させておくと、閉鎖時に樹脂製リッド13に収縮作用が生じたとしても、その収縮作用に応じて中空シール部14cが追随しシール性が維持されるようになる。中空シール部の大きさは、樹脂製リッドの寸法変化が起こっても十分にシール可能な大きさに設定される。
【0024】
また、樹脂製リッド13は、接着剤5によりステー2と固着される。樹脂製リッド13とステー2とが所定の強度で接着されるものであれば、接着剤としては特に限定されるものではなく、加硫ゴムの両端面に粘着剤層を設けたものであってもよく、シーラントのように全体が反応硬化する弾性接着剤でもよい。市販されている弾性接着剤を用いると一層好ましい。図番15は、樹脂製リッド13を開口した際に、溜まった水が直接車内に落下するのを防止可能にする水受けである。
【0025】
〔別実施の形態〕
本発明においては、樹脂製リッドの開閉に関わらず中空シール部が樹脂製リッドの下面位置に弾接していてもよいし、樹脂製リッドが閉鎖されることによって、中空シール部が樹脂製リッドの下面位置あるいは下面位置近傍に弾接してシール性を発揮するような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウェザーストリップの取付構造が取り付けられる自動車の斜視図
【図2】(イ)本発明に係るウェザーストリップの断面図、(ロ)図1のA−A部分断面図
【図3】従来技術のウェザーストリップの取付構造の部分断面図
【図4】従来技術のウェザーストリップの隅部におれる曲げ加工状態を説明する斜視図
【符号の説明】
2 ステー
13 樹脂製リッド
14a リップシール部
14a1 リップシール部の自由端
14b ソリッドゴム基部
14b1 ソリッドゴムの頂部
14c 中空シール部
a 支持部の後端側位置からリップシール部の先端側位置までの距離
b リッドの挟持代
c ステー(支持部)への嵌め込み部からの距離
M 自動車
S サンルーフ
Sa サンルーフ周縁
Claims (4)
- サンルーフの樹脂製リッドの室内面側に接合されたステーに装着され、サンルーフの閉鎖時にボディーと弾接してシールするウェザーストリップにおいて、
前記ウェザーストリップ(14)はステー(2)の前記樹脂製リッド(13)に対して略直角に立設されたウェザーストリップ装着部(2b)に嵌合固定される断面が略コ字状のソリッドゴム基部(14b)、前記ソリッドゴム基部の頂部(14b1)の先端側位置において前記樹脂製リッドの中央部側に位置するように立設され、前記樹脂製リッドの室内側表面に少なくとも先端部が前記樹脂製リッドの端部方向に向かって傾斜して弾接するリップシール部(14a)、及び前記ソリッドゴム基部の前記樹脂製リッドの端部側に位置するように形成され、サンルーフの閉鎖時にボディー(1)の開口端部に弾接する中空シール部(14c)とを有するウェザーストリップ。 - 前記リップシール部が断面略くの字状に形成されていると共に、その先端断面が円弧状に形成されている請求項1記載のウェザーストリップ。
- 前記中空シール部が発泡ゴムにて形成されている請求項1又は2に記載のウェザーストリップ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のウェザーストリップをサンルーフのリッドに取り付けるウェザーストリップの取付構造であって、
前記リッドは透明樹脂製であり、
前記樹脂製リッドの周縁室内側に樹脂製リッドとの接着部とウェザーストリップ装着部とを備えたステーが該接着部にて弾性接着剤により接合・固定されており、
前記ウェザーストリップ(14)は前記ステー(2)のウェザーストリップ装着部(2b)にソリッドゴム基部(14b)を嵌合することにより装着されており、
前記ステーのウェザーストリップ装着部は前記樹脂製リッドの端部より中央部側に前記樹脂製リッド(13)に対して略直角に立設形成されており、
前記ウェザーストリップのリップシール部(14a)は、少なくとも先端部が前記樹脂製リッドの室内側表面に樹脂製リッドの端部方向に向かって傾斜して弾接しており、中空シール部(14c)は前記樹脂製リッドの端部より外方に膨出しており、サンルーフ閉鎖時に前記中空シール部がボディー(1)の開口端部に弾接可能に構成されていることを特徴とするウェザーストリップの取付構造。
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