JP4268521B2 - 容器用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この課題を解決するため、焼鈍時は板厚を最終製品より厚くして通板し、焼鈍後に再冷延で目標とする板厚を得る、いわゆるDR法(ダブルレデュース法)によるDR材が特許文献1、特許文献2などに開示されている。しかし、再冷延により硬化した鋼板は溶接部において溶接時の発熱のため材料の回復、再結晶による材料の軟化が起き、溶接部近傍への応力集中を大きくし、成形性、疲労特性が劣化する。
また、特許文献4には、固溶C,Nの低減やランクフォード値の向上によるフランジ成形性の向上策が開示されている。また、特許文献5においては、Nb,B添加により粒径を微細化してフランジ成形性を向上させる技術が開示されている。さらに、特許文献6には、セメンタイトを微細化してフランジ成形性を向上させる技術が、また、特許文献7には、過時効熱処理条件を特定してフランジ加工性を向上させる技術が開示されている。
上記のように、フランジ成形性の向上については特性の向上メカニズムが明確でなく様々な対策がとられているが、これらの方法では極薄材料の焼鈍通板性については考慮されておらず、Ti,Nb,Bを単に添加しただけでは鋼板の再結晶温度が上昇し焼鈍温度を高くする必要が出てくるため、焼鈍通板性は顕著に劣化してしまう。
C :0.0050%以下、
Si:0.015〜2.00%、
Mn:0.05〜2.00%、
P:0.005〜0.080%
Al:0.040%以下、
N :0.0060%以下、
O:0.0010〜0.0070%、
BをB/N:0.40〜2.00となるように含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
かつ鋼中のAlNおよびBNが
(AlNとして存在するN)/(BNとして存在するN)≦0.40
であり、
かつAl/B:6以下、
鋼中の硫化物について、
(Cu硫化物として存在するS)/(Mn硫化物として存在するS)≦0.10
であることを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
(2)質量%で、さらに、Ti:0.010%以下、Nb:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
C :0.0005〜0.040%、
Si:0.002〜0.50%、
Mn:0.03〜2.00%、
P :0.002〜0.080%、
S :0.0100〜0.0600%、
Al:0.0010〜0.0410%、
N :0.0020〜0.0300%
を含み、
Nb:0.0005〜0.0050%、Ti:0.0005〜0.0050%、B:0.0010%以下の1種以上、
Cu:0.0005〜0.050%、Ni:0.0005〜0.100%、Cr:0.0005〜0.100%の1種以上
を含有し、かつ鋼板中に固溶するNが20〜300ppm、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
(5)更に、質量%で、O:0.0015〜0.0090%を含有することを特徴とする請求項4記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
(Cu硫化物として存在するS)/(Mn硫化物として存在するS)<0.30
であることを特徴とする請求項4または5に記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
(7)(4)〜(6)のいずれか1項に記載の鋼板を製造する方法であって、溶鋼を連続鋳造ののち熱間圧延に際し、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200,000、熱間仕上圧延開始から仕上圧延完了後の巻取りまでの平均冷却速度を30℃/秒以下とした熱延を行い、熱間圧延における巻取り温度を730℃以下、冷間圧延後の焼鈍温度を700℃以下、圧下率20%以下で二次冷間圧延を行うことを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板の製造方法。
以下、本発明の請求項1〜9に関わる発明について詳細に説明する。
まず、成分について説明する。成分は全て質量%である。
Cは、一般に加工性などの点から低い方が好ましく、上限を0.0050%とする。特に、時効性が小さく良好な延性が必要な場合は、0.0015%以下まで低減すれば、特性を大幅に向上させることが可能である。しかし、過剰な低減はコストの上昇を招くばかりでなく、鋼板を軟質にし缶強度不足を招くので、下限を0.0003%とするのが望ましい。
Nは、本発明における重要な要件である窒化物の形成を制御する上で、重要な元素である。多量に含有すると窒化物が多量に生成し、本発明の目的を達成できないため、上限を0.0060%とする。後述のBの添加が比較的少ない場合には固溶Nの残存による時効性が問題となることがあるため、時効性を小さくするには0.0030%以下とすることが好ましい。さらに真空脱ガス処理を十分に行うことにより0.0020%以下にすれば、窒化物の形成が少なくなり、特に成形性が向上する。
本発明での重要な条件が窒化物の種類と量の制御であり、B添加極低炭素鋼中で、AlNとして存在するNとBNとして存在するNの比が、0.40以下、好ましくは0.20以下であることが必要である。
ここでAlNとして存在するNとは、鋼板をヨウ素アルコール溶液中で溶解した時の残滓中のAl量を分析し、これを全量AlNとしてN量に換算した値である。またBNとして存在するNとは、鋼板をヨウ素アルコール溶液中で溶解した時の残滓中のB量を分析し、これを全量BNとしてN量に換算した値である。
この様に窒化物を制御するには、Al,B添加量およびその比、窒化物の析出核となる酸化物すなわち鋼中Oの含有量、製造工程全般にわたる熱履歴が重要となる。Al/B:30以下、好ましくは20以下、かつAl:0.040%以下、好ましくは0.020%以下とすることで、鋼中に過剰に存在する固溶Nが窒化物を析出する際に、AlよりBと優先的に結合することで、窒化物の種類と量の好ましい制御が可能となる。
上記のように酸化物形態を好ましく制御するため、または鋼板の母材強度を調整することで、溶接部近傍での応力集中を緩和し加工性、疲労強度を向上させるため、Si,Mn,Pなどを添加することができる。この時の添加量はSi:0.015〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%、P:0.005〜0.080%とする。この範囲を外れると酸化物形態の変化、または溶接部が異常に軟化または硬化し、目的とする特性が得られなくなる。
本発明では(Cu硫化物として存在するS)に対する(Mn硫化物として存在するS)の比を0.10以下とする。これは、Cu硫化物が微細に析出し鋼板の再結晶温度を上昇させるのみならず、BおよびAl窒化物との複合析出物を形成し、窒化物形態が好ましからざるものとなるためである。
ここで(Cu硫化物として存在するS)とは、鋼板を電解抽出して得た残渣中のCu量を定量し、Cu/S=2/1としてS量に換算したもの、(Mn硫化物として存在するS)とは、鋼板を電解抽出して得た残渣中のMn量を定量し、Mn/S=1/1としてS量に換算したものである。
製造工程での熱履歴としては、熱延時のスラブ加熱温度、巻取り温度および冷間圧延後の焼鈍温度の影響が大きく、熱延時のスラブ加熱温度を1100℃以上、熱延時の巻取り温度を730℃以下、冷間圧延後の焼鈍温度を700℃以下と制限することで、さらに溶接部の加工性および疲労強度を向上させることができる。この原因は明らかではないが、窒化物の形態の影響または窒化物以外の析出物形態の影響と考えられる。
冷間圧延後の焼鈍温度については700℃以下と制限することで、ヒートバックルの発生を抑制し焼鈍工程の通板性を向上させるための工業的意味も大きい。
薄手容器用鋼板の製造においては、容器の強度をもたせるため焼鈍の後に2CR圧延し、加工硬化により硬質化させた鋼板を用いる場合もあるが、この様な鋼板においても、本発明によれば溶接部の加工性、疲労強度の向上効果が得られる。また耐食性など各種特性向上のための元素添加をした場合にも、本発明の効果が失われるものではない。
以下、請求項10〜16に関わる発明を詳細に説明する。
まず、成分について説明する。成分はすべて質量%である。
Cは、0.040%超になると炭化物が粗大化し、溶接部近傍の応力集中部での破壊基点となる。一方、過剰な低減はコストの上昇を招くので、下限を0.0005%とする。
Siは、一般に耐食性の観点からは低いほうが好ましい。しかし近年使用量が増大している鋼板表面に樹脂フィルムを貼付する、いわゆるラミネート鋼板に適用する場合は、耐食性の劣化が抑制されることや、溶接部での応力集中を抑制する観点からは多いほうが好ましい。一方、過度に低減すると後述の酸化物形態を好ましく制御することが困難になるため、0.002〜0.5%とする。
Mnも、Siと同様の効果を有し、最適な範囲を0.03〜2.00%とする。好ましくは0.05〜1.00%である。
Pは、耐食性や溶接部での応力集中の観点からは低いほうが好ましい。しかし、低コストで鋼板の強度を調整するためには有用な元素である。制限範囲を0.002〜0.080%、好ましくは0.002〜0.030%とする。
Alは、後述の酸素量との関連で低すぎると製鋼工程での脱酸が不十分となる。一方、多すぎると固溶Nの確保ができなくなるばかりでなく、微細なAlNを多量に形成し鋼板の再結晶温度を上昇させるため、焼鈍工程の通板性を顕著に劣化させる。このため0.0010〜0.0700%とする。
Nは、本発明における重要な用件である固溶N量を制御する上で重要な元素である。少ないと本発明の効果が不十分となるため、0.0020%以上添加する。一方多量に含有すると、Alが少ない場合でもFeの窒化物を多量に生成し、溶接部での破壊の起点となるため、上限を0.0300%とする。なおNを含有させる方法は、通常の鋼板の様に溶鋼段階で添加するのはもちろん、鋼板をアンモニアを含有する雰囲気中で熱処理することにより添加する、いわゆる窒化により含有させることもできる。
固溶N量は、鋼中の全N量から析出N(臭素エステルによる溶解法で測定できる)を差し引いて求める。固溶N量が少ないと溶接部近傍の軟化を抑制することができず、多すぎると時効性が大きくなり延性が劣化するため、20〜300ppmに制限する。
Oは、本発明で重要な要因である酸化物形態を適当に制御するために重要な元素である。少なすぎると溶接時の発熱による材質軟化を抑制するための酸化物量が不足し、十分な効果が得られにくい。また多すぎると成形時の破壊の起点となるため、添加する場合は0.0015〜0.0090%とする。好ましくは0.0030〜0.0090%である。
Cu,Ni,Crは、鋼板の耐食性を向上させると共に溶接時の材質軟化を抑制する働きがあるため、必要に応じて含有させる。多すぎると材料の延性劣化の原因ともなるため、添加する場合はCu:0.0005〜0.050%、Ni:0.0005〜0.100%、Cr:0.0005〜0.100%とするのが望ましい。
Snは、一般に鋼板の粒界に偏析する元素である。溶接時の発熱による異常粒成長を抑制し材質軟化を抑える効果があることから、鋼中に含有させることができる。過剰な添加は延性を劣化させることから、添加する場合は0.0002〜0.0050%とするのが望ましい。
ここで(Cu硫化物として存在するS)とは、鋼板を電解抽出して得た残渣中のCu量を定量し、原子比でCu/S=2/1としてS量に換算したものであり、(Mn硫化物として存在するS)とは、鋼板を電解抽出して得た残渣中のMn量を定量し、原子比でMn/S=1/1としてS量に換算したものである。
(Cu硫化物として存在するS)/(Mn硫化物として存在するS)<0.30とするための方法は特に限定されるものではないが、例えば、成分特にMn、Cuの比を特定することで可能である。あるいは熱延条件、特に熱延入口〜巻取り開始までの冷却平均冷却速度の制御等(例えば冷却速度を10℃/秒〜50℃/秒とすること等)、あるいはこれらの組み合わせによっても可能である。
また、鋼板の絞り性、二次加工などの加工性、耐食性、各種工程での通板性など本明細書で述べていない特性を向上させるために、W,Mo,Ca,V,Sbなどを含有させた場合にも、本発明の効果は何ら失われるものではない。
通常、本発明鋼板は表面処理鋼板用の原板として使用されるが、表面処理により本発明の効果はなんら損なわれるものではない。缶用表面処理としては通常、錫クロム(ティンフリー)、ニッケル、亜鉛、アルミなどが施される。また、近年使用されるようになっている有機皮膜を貼ったラミネート鋼板用の原板としても、本発明の効果を損なうことなく使用できる。
本発明鋼では酸化物、窒化物、硫化物などの第二相を主としてFeからなる母相中に分散させることが特徴であるが、発明の効果を有効に得るにはその形態を適度に制御する必要がある。このためには特に熱延工程以前の熱履歴を制御することが有効である。一例としては溶鋼を連続鋳造で鋼片とした後、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200,000として熱間圧延を開始し、熱間仕上圧延開始から仕上圧延完了後の巻取りまでの平均冷却速度を30℃/秒以下とした熱延を行うことが好ましい。この理由は明確ではないが、高温で長時間保持を行なうと硫化物や窒化物が粗大化、特に酸化物を析出核として非常に大きな第二相として分散することになるため溶接時の熱影響に起因した鋼板の軟化抑制効果が小さくなるためと考えられる。また熱間仕上圧延以降、一般的には1000℃程度以下の温度域での冷却速度が過度に速くなることは好ましくない。これはこの温度域での冷却速度が速いとこれ以前に溶解していたNやSが窒化物または硫化物として析出する際のサイズが非常に細かくなり、製品板の溶接時の熱によっても溶解してしまい材料の軟化を抑制する効果が消失しやすくなるためと考えられる。特にこの工程での冷却速度が速いとSはCu硫化物を形成し易くなるため、溶接時の熱的な安定性がさらに低下することとなる。これらを考慮し硫化物、窒化物を適度な形態に制御するための条件として、溶鋼を連続鋳造で鋼片とした後、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200000 として熱間圧延を開始し、熱間仕上圧延開始から仕上圧延完了後の巻取りまでの平均冷却速度を30℃/秒以下とする方法が推薦される。このうち溶鋼を連続鋳造で鋼片とした後、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200,000とする方法としては鋳造後、加熱炉等に保持することなく熱間圧延を開始するいわゆる直送圧延(CC−DR)や、鋳造スラブ厚さを薄くし熱間圧延を簡省略するいわゆる薄肉CCなども含むものとする。
{(割れ発生時の径)−(初期径)}/(初期径)………1式
溶接部の強度は図2に示すように、二枚の四角形の鋼板をちり発生直前の溶接電流にてスポット溶接し、引張試験を行った際の最大荷重から評価した。
溶接部の疲労強度は、図1と同様に成形した円筒状の溶接缶胴から溶接部を中央に有する幅20mmの短冊を図3のように切り出し、片ぶりの引張疲労試験を行い、1000万回の繰り返しに耐える最大荷重から評価した。
ヒートバックルについては同一板厚、同一幅の冷延コイルを再結晶温度+40℃で同一の連続焼鈍ラインを通板した際の、ヒートバックル発生の有無で判定し、○:発生せず、△:わずかに発生、×:顕著に発生、とした。
発明の効果は、上の4点について総合的に判定し、◎:非常に良好(発明鋼)、○:良好(発明鋼)、△:一部の特性が良好(発明鋼)、×:従来並み(比較鋼)とした。
表1に示す各成分の鋼を250mm厚のスラブに鋳造の後、スラブ加熱温度1150℃、巻取り温度650℃で2.0mm厚の熱延板を製造し、酸洗、92%の冷間圧延、680℃1分の焼鈍後、3%のスキンパス圧延を行い、0.16mm厚の鋼板を製造して評価を行った。
表2から明らかなように、本発明の範囲内で製造されたものは溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性の全てに良好な特性が得られている。
(実施例1の2)
表3に示すTi,Nb量が異なる鋼について評価を行った。製造条件は実施例1と同様である。
表4から明らかなように、好ましい範囲内で製造されたものは溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性の全てに特に良好な特性が得られている。
(実施例1の3)
表5に示すCuSとMnSの比が異なる鋼について評価を行った。製造条件は実施例1と同様である。
表6から明らかなように、好ましい範囲内で製造されたものは溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性の全てに特に良好な特性が得られている。
熱延以降の製造条件が異なる鋼板について評価を行った。熱延時のスラブ加熱温度、巻取り温度、および冷延後の焼鈍温度以外の条件は実施例1と同様である。その結果を図4及び図5に示す。
図4は(AlNとして存在するN)/(BNとして存在するN)と加工性との関係を、図5は(AlNとして存在するN)/(BNとして存在するN)と疲労強度との関係をそれぞれ示す。
これらの図において、製造条件は次の通りである。
製造条件1:スラブ加熱温度>1100℃、
または巻取り温度<730℃、
または焼鈍温度<700℃。
製造条件2:スラブ加熱温度<1100℃、
かつ巻取り温度>730℃、
かつ焼鈍温度>700℃。
以上述べたごとく本発明によれば、溶接部を有する容器の溶接に起因する成形不良および使用中の破壊を低減することができる。さらに、本発明鋼は従来材より低い焼鈍温度でも良好な特性を示すことから、ヒートバックルの発生を回避でき、極薄容器材料の高効率な製造が可能となる。
{(割れ発生時の径)ー(初期径)}/(初期径)………(1)
溶接部の強度は、図7に示すように、二枚の四角形の鋼板をちり発生直前の溶接電流にてスポット溶接し、引張試験を行った際の最大荷重から評価した。
溶接部の疲労強度は、図6と同様に成形した円筒状の溶接缶胴から溶接部を中央に有する幅20mmの短冊を図8のように切り出し、片ぶりの引張疲労試験を行い、1000万回の繰り返しに耐える最大荷重から評価した。
ヒートバックルについては、同一板厚、同一幅の冷延コイルを再結晶温度+40℃で同一の連続焼鈍ラインを通板した際の、ヒートバックル発生の有無で判定し、○:発生せず、△:わずかに発生、×:顕著に発生、で示した。
発明の効果は、上の4点について総合的に判定し、◎:非常に良好(発明鋼)、○:良好(発明鋼)、△:一部の特性が良好(発明鋼)、×:従来並み(比較鋼)とした。
表7に示す各成分の鋼を250mm厚のスラブに鋳造の後、スラブ加熱温度1150℃、巻取り温度520〜730℃で2.2mm厚の熱延板を製造し、酸洗、92%の冷間圧延、660〜720℃で1分の焼鈍後に10%の圧延を行い、0.16mm厚の鋼板を製造し評価を行った。結果を表8に示す。
表8から明らかなように、本発明の範囲内で製造されたものは、溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性のすべてに良好な特性が得られている。
表9に示すO量が異なる鋼について評価を行った。製造条件は実施例1と同様である。結果を表10に示す。
表10から明らかなように、好ましい範囲内で製造されたものは溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性のすべてに特に良好な特性が得られている。
表11に示すCu量が異なる鋼について評価を行った。製造条件は実施例1と同様である。結果を表12に示す。
表12から明らかなように、好ましい範囲内で製造されたものは溶接部の加工性、強度および疲労強度、さらに耐ヒートバックル性のすべてに特に良好な特性が得られている。
Claims (7)
- 質量%で、
C :0.0050%以下、
Si:0.015〜2.00%、
Mn:0.05〜2.00%、
P:0.005〜0.080%
Al:0.040%以下、
N :0.0060%以下、
O:0.0010〜0.0070%、
BをB/N:0.40〜2.00となるように含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
かつ鋼中のAlNおよびBNが
(AlNとして存在するN)/(BNとして存在するN)≦0.40
であり、
かつAl/B:6以下、
鋼中の硫化物について、
(Cu硫化物として存在するS)/(Mn硫化物として存在するS)≦0.10
であることを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。 - 質量%で、さらに、Ti:0.010%以下、Nb:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
- 請求項1または2に記載の成分からなる鋼を用いて、通常の製造工程により容器用鋼板を製造するに際し、熱間圧延におけるスラブ加熱温度を1100℃以上、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200,000、熱間仕上圧延開始から仕上圧延完了後の巻取りまでの平均冷却速度を30℃/秒以下とした熱延を行い、熱間圧延における巻取り温度を730℃以下、冷間圧延後の焼鈍温度を700℃以下とすることを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板の製造方法。
- 質量%で、
C :0.0005〜0.040%、
Si:0.002〜0.50%、
Mn:0.03〜2.00%、
P :0.002〜0.080%、
S :0.0100〜0.0600%、
Al:0.0010〜0.0410%、
N :0.0020〜0.0300%
を含み、
Nb:0.0005〜0.0050%、Ti:0.0005〜0.0050%、B:0.0010%以下の1種以上、
Cu:0.0005〜0.050%、Ni:0.0005〜0.100%、Cr:0.0005〜0.100%の1種以上
を含有し、かつ鋼板中に固溶するNが20〜300ppm、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。 - 更に、質量%で、O:0.0015〜0.0090%を含有することを特徴とする請求項4記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。
- 鋼中の硫化物について、
(Cu硫化物として存在するS)/(Mn硫化物として存在するS)<0.30
であることを特徴とする請求項4または5に記載の溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載の鋼板を製造する方法であって、溶鋼を連続鋳造ののち熱間圧延に際し、熱間圧延を開始するまでの1000〜1300℃温度域の熱履歴を、温度(℃)×時間(分)≦200,000、熱間仕上圧延開始から仕上圧延完了後の巻取りまでの平均冷却速度を30℃/秒以下とした熱延を行い、熱間圧延における巻取り温度を730℃以下、冷間圧延後の焼鈍温度を700℃以下、圧下率20%以下で二次冷間圧延を行うことを特徴とする溶接部の成形性および疲労特性に優れた容器用鋼板の製造方法。
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