JP4268231B2 - プラズマ処理装置、表面処理方法および光学部品の製造法 - Google Patents

プラズマ処理装置、表面処理方法および光学部品の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凸レンズ、凹レンズ、凹面鏡等の非平面状の被処理面を有する光学部品の表面処理に適したプラズマ処理装置とそれを用いた光学部品の製造法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
非平面状の被処理面を有する被処理体に、クリーニングや被膜形成といった表面処理を行う技術が求められている。
【0003】
その代表例に凸レンズへの反射防止膜の形成が挙げられる。
【0004】
従来は、特開平2−232367号公報に開示されているようにスパッタリング等のPVD法を用いて成膜がなされていた。
【0005】
PVD法は凹凸を有する面への被覆性に劣るために、本発明者らはCVD法による被膜形成を試みた。
【0006】
熱CVDは、被処理体の熱変形の点で不向きであり、光CVDはスループットの点で充分なものではない。
【0007】
現在PVD法で得られている反射防止膜より高透過率(低吸収率)で耐光性,耐環境性に優れた膜を得るには、13.56MHzのRF電源を用いたプラズマ励起CVD(PE−CVD)でも不充分であり、より高密度のプラズマが得られるPE−CVDでなければならない。
【0008】
1010cm-3以上の高密度プラズマが得られるPE−CVDとしては、エレクトロン・サイクロトロン共鳴CVD(ECR−PECVD)等マイクロ波を用いた無電極PECVDがある。
【0009】
図16は特開平6−216047号公報に記載されているプラズマ処理装置である。
【0010】
この装置は、プラズマ生成室2と、処理室4を備え、プラズマ生成室2には、マイクロ波電力導入手段5,6,8および磁界印加手段10が設置してあると共に、プラズマ原料ガス導入系20が接続してあり、処理室4には、化学反応材料ガス導入系22が接続してあると共に、試料台14にRF電力導入手段18が接続してあり、マイクロ波電力の発生源8およびRF電力の発生源18に対して、それぞれの電力を変調するための制御装置27が設置してある。RF電力とマイクロ波電力を互いに同期して変調し、成膜が優先する条件とスパッタエッチングが優先する条件を交互に繰り返して、CVD膜を形成するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図16の装置で凸レンズへの反射防止膜の形成を行うと平均的に緻密な膜ができるものの面内均一性が劣る膜となってしまう。
【0012】
また、反応副生成物が被処理面近傍に滞留する確率が高く、膜にピンホールが生じたり、局所的に組成比の異なる膜になってしまう。
【0013】
本発明の目的は、面内均一性に優れ、ピンホールや局所的に欠陥の少ない被覆性に優れた被覆を形成し得るプラズマ処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプラズマ処理装置は、内部が減圧可能な容器と、該容器内でプラズマ化されるガスを供給するガス供給手段と、前記容器内に供給された原料ガスを排気すると共に前記容器内を減圧するための排気手段とを有し、前記容器を構成する壁部の一部はマイクロ波を透過できる材料からなる誘電板であり、該誘電板は曲率半径raの凸面または凹面形状の球面形状を有し、該誘電板を挟んで、前記容器の外側にはマイクロ波を放射するアンテナを、前記容器の内側には被処理体を保持する電極を設け、前記被処理体に対してプラズマによる表面処理を施し、前記アンテナに形成されたスロットの大きさ、形状および配列個数のうち少なくとも1つに分布をもたせ、プラズマ密度に分布を持たせることにより、前記誘電板の厚みの違いによるプラズマ密度の変化を打ち消すように補正することを特徴とする。
【0020】
ここで、誘電板は、ガスを前記被処理体の表面に均一に供給するための複数のガス供給穴が設けられたシャワーヘッド構造を有するとよい。
【0021】
前記誘電板の曲率半径raおよびその口径半径daを、前記被処理体の曲率半径rsおよびその口径半径dsに準じて変化させることができる。
【0022】
前記誘電板の内表面と前記被処理体の表面との間の距離を、10mmないし50mmに設定することができる。
【0023】
前記被処理面内のプラズマ密度の相対密度差を略々20%以内に抑制できることができる。
【0025】
前記被処理体の支持体に回転機構を設けてもよい。
【0026】
前記誘電板は同心円状に段差を形成することによって得られた階段状であってもよい。
【0027】
前記ガス供給手段は階段状シャワーベッド構造を有してもよい。
【0028】
前記誘電板マイクロ波放射面が球面または階段状に成形されてもよい。
【0029】
前記球面または階段状の誘電板が前記容器内に配置されてもよい。
【0031】
本発明による表面処理方法は、前述した装置を用いて被処理体に表面処理を施すことを特徴とする。
【0032】
ここで、前記表面処理は薄膜の形成であってもよい。
【0033】
本発明による光学部品の作製法は、前記被処理体として石英または蛍石を用い、上記表面処理方法を利用して前記表面処理は該被処理体上に反射防止または増反射のための薄膜を形成するコーティングを行う。
【0034】
本発明によれば、マイクロ波励起された高密度プラズマを狭い放電空間内に閉じ込めることができるので、緻密な膜が得られる。
【0035】
さらに、プラズマ密度の均一な領域に被処理面が位置するので、大面積の被処理面に均一なプラズマ処理を施すことができる。
【0036】
放電空間の容積が小さくなるので、排気容量が大きくない真空ポンプであっても放電室内の排気が容易になり、反応副生成物が生じても速やかに放電室間から除去されるため、ピンホール等の発生の原因が生じ難い。透電体にガス供給孔を多数形成すれば、狭い空間でも均一なガス供給が可能となり、化合物の組成比が面内で一定になっている膜を形成できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のプラズマ処理装置の一実施形態を示す模式的断面図である。
【0038】
101は減圧可能な真空容器であり、排気口102に接続される不図示の排気手段により1.33×10-6Pa〜133Pa程度に減圧できるように構成されている。
【0039】
容器101にはガス供給口103が多数設けられていて、マイクロ波等のUHF,SHF,EHF帯の高周波エネルギーによってプラズマとなるガスがここから導入される。
【0040】
また、容器101内には、被処理体Wを載置し、保持するためのホルダー104が設けられており、その上下位置を適宜選択できるように上下動可能になっており、また自転可能になっている。ホルダー104にはバイアス電位が印加できるようになっている。そしてホルダーの駆動機構105がホルダー104を上下動および自転させる。
【0041】
106はガス供給口108が多数設けられた誘電体からなる非平面の誘電板であり、ガス供給用のシャワーヘッドの機能をもつ。
【0042】
この誘電板は、マイクロ波透過性の誘電体であり、アルミナ,石英,アルミニウムナイトライド(AlN),フッ化カルシウム,フッ化マグネシウム等が用いられる。
【0043】
不図示のガス供給系に選択されたガス導入口103から導入されたガスは、誘電板106のガス供給通路108を経てプラズマプロセス空間A内に供給される。
【0044】
本例では被処理体として凸の球面を有するレンズ表面の処理を想定しているので、誘電板106は凹の球面を有している。
【0045】
115は真空シールのためのOリングである。
【0046】
図2は非平面の誘電板106の斜視図であり、被処理体に対向する下面を図の上に向けて描いている。誘電板106のガス供給通路108と被処理体Wとの間隔Tgは、全てある許容範囲内でほぼ一定になるように構成されている。
【0047】
マイクロ波の導入は以下のようになる。
【0048】
マイクロ波供給手段は、同軸管110と多数のスロットを有する導体平板アンテナ111とマイクロ波供給窓である誘電体薄膜112,113とを有する。導体平板アンテナ111の中心には同軸管110の内導体110aが接続されている。114はアンテナアダプタである。
【0049】
不図示のマイクロ波発振器にて発生したマイクロ波は同軸管110を伝わって導体平板アンテナ111に伝搬する。アンテナ111に設けられた多数のスロットより伝搬してきたマイクロ波が放射される。
【0050】
図3に導体平板アンテナ111の平面図を示す。
【0051】
導体平板アンテナ111には多数のスロット111Sが同心円状またはうず巻き状に配されている。スロット111Sは互いに交差する向きをもつ一対の切り欠きで構成され、切り欠きの長さや配置間隔はマイクロ波の波長や必要とするプラズマ強度に応じて適宜定められる。
【0052】
このようなアンテナをラジアルラインスロットアンテナといい、特開平1−184923号公報や米国特許第5,034,086号、あるいは特開平8−111297号公報、特開平4−48805号公報等に詳しく記されている。
【0053】
次に本発明の装置を用いた球面レンズへの薄膜の形成動作について述べる。
【0054】
装置内のホルダー104上に、凸レンズを被処理面が上を向くように配置し固定する。
【0055】
駆動機構105によりホルダー104を上昇させ、マイクロ波供給手段の被処理体対向面106aと被処理体の被処理面Waとの間隔Tgが10mmないし50mmになる位置で上昇を停止させる。
【0056】
排気口102に接続された排気ポンプにより容器101内を1.3×10-5Pa程度まで減圧した後、処理ガスをガス導入口103に接続されたガス供給系より、ガス供給通路108を介してプラズマプロセス空間A内に導入する。容器内の圧力を、ガス供給量、排気量を制御して、13.3Paないし1.33×103 Paから選択される適当な圧力に維持する。同軸管110に接続されたマイクロ波発振器から同軸管110を通してマイクロ波を導体平板アンテナ111に供給する。
【0057】
こうして、プラズマプロセス空間でグロー放電が生起され、ガスのプラズマが生成される。この時のプラズマ密度は1011ないし1013cm-3の高密度であり、緻密な良質の膜が形成できる。
【0058】
また、本例によればマイクロ波を用いてもプロセス空間の間隔Tgを10cm以下(本例では10cmより充分小さい50mm未満)と狭くできるので、空間A内で生じた反応副生成物を高速で排気除去できる。よって、ピンホールの少ない良質の膜が形成できる。また、間隔が50mm未満であるために、排気容量の比較的小さい真空ポンプであっても、反応副生成物を充分速く排気できる。
【0059】
図4は、誘電板と被処理体の間隔Tgとプラズマ密度の関係を示すグラフである。Tgが10mm以下であると間隔が少し異なるだけでプラズマ密度が大きく変化してしまい、Tgが50mmを越えると急激にプラズマ密度の低下が生じる。変曲点が存在する10mm<Tg≦50mmの範囲であればプラズマの相対密度差が20%以内に収まり、その結果均一な膜ができる。
【0060】
図5は被処理体Wとして最大厚さTsが40mm以下である凸レンズの表面処理を行う場合の誘電板106の非平面形状を示している。図において、Tsは凸レンズ部の最大厚さ、rsは凸レンズ部の曲率半径、dsは凸レンズ部の半径を示す。
【0061】
一方、raは誘電板106の球面状マイクロ波放射面106aの曲率半径、Taは凸レンズ部の中心から球面状マイクロ波放射面106aまでの最短距離、daは凸レンズ部の中心から球面状マイクロ波放射面までの最長距離を示す。
【0062】
この場合、凸レンズの表面Waとマイクロ波放射面106aとの間の距離が10mm〜50mmであればよいので、マイクロ波放射は球面状でなく平面状であってもよいが、このギャップ内のガスをより一層効率良く排気し、さらにより表面処理の均一性を向上させるために、凸レンズ表面にならった形状にしている。
【0063】
図6は凸レンズ部の最大厚さが40mmを越える場合の例を示している。
【0064】
誘電板106のマイクロ波放射面106aは、その曲率半径raが、凸レンズ部の曲率半径rsより大きい球面状に加工されている。
【0065】
凸レンズWの表面Waの頂部とマイクロ波放射面106aとの最短距離Tgが10mm〜50mmの範囲になるようにホルダー104を上昇させる。この時凸レンズの端部における間隔Tg′も10mm〜50mmの範囲内になるようにする。
【0066】
球面誘電板のより具体的設計は以下の通りである。
【0067】
球面誘電板106の曲率半径raおよびその口径半径daを球面基材Wの曲率半径rsおよびその口径半径dsに準じて変化させ、球面誘電板表面と球面被処理体表面間の距離Tgを略々40mm以内に制御するための球面誘電板106と球面被処理体Wとの関係は、例えば、球面被処理体の厚みをTsとすると、
1)Tsが40mm以下の場合、すなわち、0<Ts≦40mmのとき(図5参照)、球面被処理体の厚みTs、曲率半径rs、および口径半径dsに対して、球面誘電板の厚みTa、曲率半径raおよび口径半径daとすると、
【0068】
【数1】
Figure 0004268231
【0069】
の関係を満たすTaおよびraまたはdaを有する球面誘電板を用いれば良い。
【0070】
2)Tsが40mmを越える場合、すなわち、Ts>40のとき(図6参照)、Ta=ra=da(球面誘電板は半球面)であれば、被処理体ホルダーの高さhs>0とすると、球面被処理体の厚みTs、曲率半径rs、および口径半径dsに対して、
【0071】
【数2】
10≦Ta−(Ta+hs)≦50
かつ、被処理体と誘電板の径方向の関係をWa−sとすると、
【0072】
【数3】
Figure 0004268231
【0073】
の関係を満たすようにhsを定め、かつTa=ra=daを有する半球面誘電板を用いれば良い。
【0074】
3)その他、特殊な形状を有する球面被処理体に関しては、この条件の限りではなく、球面誘電板と球面被処理体間の距離はTgが球面被処理体面内において、10≦Tg≦50の条件を満たすような、Taおよびraまたはdaを有する球面誘電板を用いれば良い。
【0075】
上記に挙げた球面被処理体に準じた、球面誘電板の設計方法は一例であり、この限りでないことは云うまでもない。
【0076】
図7および図8は図1に示した装置の変形例であり、誘電板106のマイクロ波放射面を階段状にしたものである。この階段状放射面は上述の球面誘電板の球面を近似した形状とする。図7は装置の断面図、図8は誘電板を示し、図8(a)は断面図、図8(b)は平面図である。
【0077】
図9は、図1に示した装置の他の変形例であり、被処理体Wが凹レンズである場合の表面処理に好適な装置である。すなわち、誘電板106は凹レンズの形状にならって、下に凸の形状である。放射面が凸面の誘電板の設計は上述した凸レンズに対する凹面放射面の設計と同様である。
【0078】
図10は、円形の導体平板111の径方向(アンテナ径方向)にほぼ均一に、そして、同心円状にスロットを配置したラジアルラインスロットアンテナを用い、凸面状、凹面状、平面状の誘電体106を介してマイクロ波を放射する場合に好適なスロット分布をもつマイクロ波アンテナのアンテナ径方向の中心からの距離に対するプラズマ密度の変化の様子を示している。
【0079】
縦軸の絶対値は、測定プローブの位置に依存するので、図10からは相対的な値を参考にすべきである。
【0080】
スロット付導体平板アンテナから平面状の誘電体を介して、例えば誘電体薄板113のみを介して、マイクロ波を放射する時、マイクロ波プラズマ密度は径方向にほぼ一定となるので、図中白四角のような分布をもつスロット付アンテナを用いるべきである。
【0081】
しかしながら、被処理体面が凸状で、従って誘電板106が凹面の場合は図中黒四角のように中心でのマイクロ波放射量が少なく、外側程放射量が多くなるように、スロットの配置密度に分布をもたせるとよい。この場合、中心側でスロット配置密度を粗に、径方向外側になるにつれて密にするよい。逆に誘電板106が凸面の場合、図中黒丸のように中心でマイクロ波の放射量が多く、外側程少なくなるようにスロット配置密度に分布をもたせるとよい。この場合、スロット配置密度を中心で密に、径方向外側になるにつれて粗になるようにするよい。
【0082】
図11は非平面の誘電板106のマイクロ波放射面が凸面になっている階段状放射面をもつマイクロ波プラズマ処理装置を示している。
【0083】
図12は図11の装置に用いられる誘電板106を示し、図12(a)は断面図、図12(b)は平面図である。
【0084】
図13は図1の装置の改良で上下に対称なマイクロ波放射面をもつ両凸レンズ用のプラズマ処理装置である。
【0085】
上下対称に設けられた部品に対して、例えば非平面の誘電体に106A,106B、そのガス供給通路に108A,108B、同軸管に110A,110B、導体平板アンテナに111A,111Bなど、図1において使用した符号にA,Bを付けて示してあり、説明を省略する。
【0086】
ホルダー104は装置の中央、すなわち上下の対称の中心に固定され、被処理体Wの周囲を支持している。ホルダー104にバイアス電位を印加することができる。この装置を用いることによって、被処理体の両面に面内均一性に優れ、欠陥の少ない、緻密な膜を同時に形成できる。設計指針は先に説明した凸レンズに対する場合と同様である。
【0087】
ガスの排気が上下対称となるように装置の上下方向中心で左右対称な位置に排気口102を設けている。その他の構成は図1と同じである。
【0088】
図14は図9の装置の改良で両凹レンズ用である。
【0089】
図15は図1の装置と図9の装置の改良で凹凸レンズ用である。図14および図15において、図13の装置と同一部位には同一の符号を付してある。その効果は図13の装置と同じであり、設計指針も先に述べたとおりである。
【0090】
以上説明したように、本発明の装置は、凸面を有する球面レンズの表面処理だけではなく、凹面を有する球面レンズの表面処理にも用いることができる。その場合は、凹凸の形状を逆にしたアンテナをもつマイクロ波供給手段を用いれば良い。
【0091】
本発明において処理し得る被処理体Wとしては、石英、蛍石等からなる絶縁性の透光性部材、アルミニウム等の導電性の非透光性部材が挙げられ、前者は凸レンズ、凹レンズ、反射ミラー、窓部材として用いられ、後者は反射ミラーとして用いられる。
【0092】
本発明の装置により施せる表面処理としては、薄膜の形成、プラズマクリーニング、プラズマエッチング等である。特に本発明の装置は薄膜の形成に有利であり、具体的には酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム膜の形成である。
【0093】
薄膜の形成はプラズマCVDであるので、用いる原料ガスとしてはトリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAH)等の有機アルミニウム化合物、または、SiH4 、Si26 、SiF4 、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)等のシリコン化合物、あるいはタンタルやビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム等のマグネシウムの有機化合物である。さらにはこれら原料ガスに加えて、酸素、酸化窒素、フッ素、NF3 等の酸化性ガスを用いることが望ましく、必要に応じて、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等のガスを添加してもよい。
【0094】
マイクロ波発振器としては、2.45GHz、5.0GHz、8.3GHz等の通常のマイクロ波発振器が用いられる。
【0095】
【実施例】
表面を球面状に研磨した石英からなる凸レンズを図1の装置のホルダー104上に配置固定した。
【0096】
駆動機構105を動作させてホルダー104を上昇させ、Tgが20〜30mmとなる位置にホルダー104を固定した。アルミニウム製の容器1内を1.3×104 Paまで一旦排気し減圧した後、ホルダー104を自転させた。処理ガスとして気化させたTMAとO2 とを導入し、圧力を13.3Paとしてマイクロ波を供給して、ガスプラズマを生成した。こうして石英の球面状の凸面には、酸化アルミニウムの膜が形成できた。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、凹面または凸面の被処理面をもつ光学部品にも高密度マイクロ波プラズマを用いて均一な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ処理装置の第1の実施形態の断面図である。
【図2】非平面の誘電板の斜視図である。
【図3】導体平板アンテナの平面図である。
【図4】誘電板と被処理体の間隔とプラズマ密度の関係を示す線図である。
【図5】最大厚さが40mm以下である凸レンズの表面処理を行う場合の誘電板の非平面形状を示す図である。
【図6】最大厚さが40mmを越える凸レンズの表面処理を行う場合の誘電板の非平面形状を示す図である。
【図7】マイクロ波放射面が階段状の誘電板を用いたプラズマ処理装置の断面図である。
【図8】図7に示した装置の誘電板を示す図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示し、凹レンズの表面処理に好適なプラズマ処理装置の断面図である。
【図10】導体平板アンテナの径方向距離とプラズマ密度の関係を示す線図である。
【図11】階段状凸面のマイクロ波放射面を有する誘電板を用いたプラズマ処理装置の断面図である。
【図12】図11に示した装置の誘電板を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図13】両面凸レンズの被処理体の表面処理に好適なプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。
【図14】両面凹レンズの被処理体の表面処理に好適なプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。
【図15】一面が凹、一面が凸の凹凸レンズの被処理体の表面処理に好適なプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。
【図16】従来のプラズマ処理装置の断面図である。
【符号の説明】
101 真空容器
102 排気口
103 ガス導入口
104 ホルダー
105 駆動機構
106 誘電板
108 ガス供給通路
110 同軸管
111 導体平板アンテナ
111S スロット
112,113 誘電体薄膜
115 Oリング
A プラズマプロセス空間
W 被処理体

Claims (13)

  1. 内部が減圧可能な容器と、
    該容器内でプラズマ化されるガスを供給するガス供給手段と、
    前記容器内に供給された原料ガスを排気すると共に前記容器内を減圧するための排気手段とを有し、
    前記容器を構成する壁部の一部はマイクロ波を透過できる材料からなる誘電板であり、
    該誘電板は曲率半径raの凸面または凹面形状の球面形状を有し、
    該誘電板を挟んで、前記容器の外側にはマイクロ波を放射するアンテナを、前記容器の内側には被処理体を保持する電極を設け、
    前記被処理体に対してプラズマによる表面処理を施し、前記アンテナに形成されたスロットの大きさ、形状および配列個数のうち少なくとも1つに分布をもたせ、プラズマ密度に分布を持たせることにより、前記誘電板の厚みの違いによるプラズマ密度の変化を打ち消すように補正することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記誘電板は、ガスを前記被処理体の表面に均一に供給するための複数のガス供給穴が設けられたシャワーヘッド構造を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記誘電板の曲率半径raおよびその口径半径daを、前記被処理体の曲率半径rsおよびその口径半径dsに準じて変化させることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記誘電板の内表面と前記被処理体の表面との間の距離を、10mmないし50mmに設定することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記被処理面内のプラズマ密度の相対密度差を略々20%以内に抑制できることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記被処理体の支持体に回転機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記誘電板は同心円状に段差を形成することによって得られた階段状であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記ガス供給手段は階段状シャワーヘッド構造を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記誘電板のマイクロ波放射面が球面または階段状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記球面または階段状の誘電板が前記容器内に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のプラズマ処理装置。
  11. 請求項1に記載の装置を用いて被処理体に表面処理を施すことを特徴とする表面処理方法。
  12. 前記表面処理は薄膜の形成であることを特徴とする請求項11に記載の表面処理方法。
  13. 前記被処理体は石英または蛍石であり、前記表面処理は該被処理体上に反射防止または増反射のための薄膜を形成するコーティングであることを特徴とする請求項12に記載の表面処理方法を利用した光学部品の作製法。
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