JP4267269B2 - プレス成形金型及びダブルヘリカルギヤの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形金型及びダブルヘリカルギヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリカルギヤを製造する手段の一として、プレス成形によるものがある。上型と下型とに分割して構成されたプレス成形金型でプレス成形して素材をヘリカルギヤに形成する場合、下型に対して上型がヘリカルギヤの軸線の回りに固定されていると、プレス成形時に金型内部で素材がダイスに付設されたヘリカル歯形のリードに沿って軸線回りに捩れるように回動して、歯形精度の悪化や型の破損の虞がある。そこで従来から、成形時に下型に対して上型をヘリカルギヤの軸線の回りに回動させることで素材に生じる捩れモーメントを吸収することが行われている。例えば、特公平6−85971号公報には、内周面にヘリカル歯形形成用内歯を有する貫通孔が設けられた回動自在なダイスと、上記貫通孔の軸心上に軸方向へ進退可能に配置されたエジェクタピンとを備え、まず、略円筒状の素材をパンチによってダイスの貫通孔内へ押し込んで素材を回動させることなく一方向へ通過させ、次に、エジェクタピンによりダイスの貫通孔内に押し込まれた素材を回動させることなく逆方向へ通過させることにより、素材の外周面にヘリカル歯形を形成するヘリカルギヤの製造方法が開示されている。
【0003】
上記先行技術文献では、素材がダイスの貫通孔を通過する際のパンチの押し込み作用により、素材の外周面にダイスのヘリカル歯形形成用内歯との圧接面側が高精度となるヘリカル歯形が成形される。また、素材がエジェクタピンにより押し出される際にヘリカル歯形の不完全な面、即ち上記圧接面と反対側の面が高精度に成形されることとなる。そして、押し込み、押し出しのいずれの場合も、素材を回動させずにダイス(可動ダイス)を回動させている。ところで、ヘリカルギヤには同一の軸に二つのヘリカル歯形が形成されるダブルヘリカルギヤがある。該ダブルヘリカルギヤをプレス成形により形成する場合、二つのヘリカル歯形の相互の軸線回りの位相角度は、上型と下型とに分割された各型の単体精度とこれらの型の組付け精度とで保証される。
【0004】
しかしながら、上述した理由から、高精度のヘリカル歯形を得るためには、成形時に下型(上型)に対して上型(下型)をヘリカルギヤの軸線の回りに回動(以下、単に回動と称す)させる必要がある。そして、成形時に下型に対して上型を回動させた場合、下型に対する上型のヘリカルギヤの軸線の回りの角度位相(以下、単に角度位相と称す)を成形前の角度位相(以下、初期位相と称す)に復帰させる必要がある。ところが、素材の機械的な特性や潤滑条件等により型の転写性や下型に対する上型の回動量に差が生じるので、下型に対する上型の初期位相は、同一形状のダブルヘリカルギヤを成形する場合であっても一様ではない。従って、下型に対する上型の初期位相を諸条件に応じて補正する必要があるが、下型に対する上型の初期位相を補正可能な技術は従来皆無であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、素材の機械的な特性や潤滑条件等の成形条件に応じて上型と下型との軸線の回りの初期の角度位相を補正することで高い精度のダブルヘリカルギヤを得ることができるプレス成形金型を提供することにある。
また、第2の目的は、素材の機械的な特性や潤滑条件等の成形条件に応じて上型と下型との軸線の回りの初期の角度位相を補正して高い精度のダブルヘリカルギヤを得ることができるダブルヘリカルギヤの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、捩れが同一方向の二つのヘリカル歯形が形成されるダブルヘリカルギヤの一方のヘリカル歯形の像を有する上型とダブルヘリカルギヤの他方のヘリカル歯形の像を有する下型とを備え、成形時に素材に生じる捩れモーメントを利用して上型と下型とを相対回動動作させるプレス成形金型であって、相対回動動作された上型と下型との角度位相を初期の角度位相に復帰させる初期位相復帰手段と、上型と下型との初期の角度位相を補正する初期位相補正手段と、を備え、初期位相復帰手段は、上型又は下型と一体でダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能な回動部材と、上型又は下型をダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能に支持するホルダに固定され、回動部材を当接させて回動部材の回動動作を規制して上型と下型との角度位相を初期の角度位相に復帰させる規制部材と、を備え、回動部材は、規制部材の基準面に当接可能な当接面が形成された当接部と、該当接部を着脱可能に支持する支持部と、を備え、規制部材は、基準面が形成された基準ブロックと、該基準ブロックを回動可能に支持する支持ブロックと、を備え、初期位相補正手段は、当接部と支持部との間にシムを介在させて上型と下型との初期の角度位相を補正することを特徴とする。
【0007】
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、捩れが同一方向の二つのヘリカル歯形が形成されるダブルヘリカルギヤの一方のヘリカル歯形の像を有する上型とダブルヘリカルギヤの他方のヘリカル歯形の像を有する下型とを備えるプレス成形金型を用いて素材をプレス成形してダブルヘリカルギヤを形成するダブルヘリカルギヤの製造方法であって、成形時に素材に生じる捩れモーメントを利用して上型と下型とをダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させてダブルヘリカルギヤを形成する工程と、成形終了後、該ダブルヘリカルギヤをプレス成形金型から取り出し、次に上型と下型とをダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させて、上型又は下型と一体でダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動する回動部材の当接面を、上型又は下型をダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能に支持するホルダに固定された規制部材の基準面に面接触で当接させて、上型と下型とのダブルヘリカルギヤの軸線の回りの角度位相を成形前の初期の角度位相に復帰させる工程と、を含み、成形前の初期の角度位相に復帰させる工程は、当接面が形成された回動部材の当接部と該当接部を着脱可能に支持する支持部との間に、シムを介在させて上型と下型との初期の角度位相を補正する工程を含むことを特徴とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明では、成形時にダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作された上型と下型との角度位相を初期位相復帰手段により初期の角度位相に復帰させることができる。また、上型と下型との初期の角度位相を必要に応じて初期位相補正手段により補正することができる。さらに、初期位相復帰手段は、回動部材を規制部材に当接させて回動部材の回動動作を規制することで、上型と下型との角度位相を初期の位相角度に復帰させることができる。そして、初期位相補正手段は、当接部と支持部との間に介在させるシムの厚みを調節することで上型と下型との初期の角度位相を補正することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、プレス成形時に、上型と下型とをダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させ、成形終了後、該ダブルヘリカルギヤをプレス成形金型から取り出し、次に上型と下型とをダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させて上型と下型とのダブルヘリカルギヤの軸線の回りの角度位相を成形前の初期の角度位相に復帰させるので、高い精度のダブルヘリカルギヤをプレス成形により形成することが可能となる。また、回動部材を規制部材に当接させることにより、上型と下型とのダブルヘリカルギヤの軸線の回りの角度位相を成形前の初期の角度位相に復帰させることができる。そして、規制部材の当接部と支持部との間に介在させるシムの厚みを調節して上型と下型との初期の角度位相を補正することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。本プレス成形金型1は、略円柱状の素材2を成形して、図6に示すように、同一軸に二つのヘリカル歯形3,4が形成されたダブルヘリカルギヤ5を形成するもので、成形時に、パンチ6(上型)をダイス7(下型)に対して、パンチ6とダイス7とが素材2の軸線(以下、単に軸線と称す)の回りの角度位相が図1及び図4に示す初期位相の状態から軸線の回りに図1における紙面視で時計回り方向へ回動させる。そして、パンチ6とダイス7とを脱離させた後、初期位相復帰手段によりダイス7に対してパンチ6を軸線の回りに成形時と反対回りに回動させて、図1に示すように、パンチ6とダイス7との軸線の回りの角度位相を成形前の初期位相に復帰させるように構成されている。また、本プレス成形金型1は、初期位相補正手段によりパンチ6とダイス7との初期位相を補正して、ダブルヘリカルギヤ5の二つのヘリカル歯形3,4の軸線の回りの角度位相を適正に調節させる構造になっている。
【0011】
本プレス成形金型1は、図3に示すように、プレス成形機のラムに取付けられた型上部9と、プレス成形機のテーブルに設置された型下部10と、に分割して構成されている。上記型下部10は、ダブルヘリカルギヤ5のヘリカル歯形4の像が付設されたダイス7を備え、該ダイス7をダイスホルダ34で保持している。また、型下部10には、素材2と同軸上に配置されたノックアウトピン11が上下にスライド移動可能に設けられており、成形が完了して型上部9を上昇させた後、ノックアウトピン11を上方へ駆動して、当該ノックアウトピン11でダイス7に嵌合された素材2(ダブルヘリカルギヤ5)を押し出すことで、素材2(ダブルヘリカルギヤ5)がダイス7から抜き取られる構造になっている。
【0012】
また、上記型上部9は、プレス成形機のラムに固定されるベースプレート8に取付けられたパンチホルダ12と、略円柱状に形成されてスラストベアリング13を介することで上記パンチホルダ12により軸線の回りに回動可能に支持された回動ブロック14と、を具備し、該回動ブロック14にダブルヘリカルギヤ5のヘリカル歯形3の像が付設されたパンチ6が装着されている。そして、上記回動ブロック14には、素材2と同軸上に配置されたパンチピン15が設けられ、成形完了後、パンチ6の上昇に同期させてパンチピン15を駆動してパンチピン15でパンチ6に嵌合された素材2(ダブルヘリカルギヤ5)を押し出すことで、素材2(ダブルヘリカルギヤ5)がパンチ6から抜き取られる構造になっている。また、上記回動ブロック14には、図1〜図3に示すように、当該回動ブロック14の直径上に配置されて両端部を回動ブロック14から半径方向へ突出させた回動アーム16が設けられている。また、該回動アーム16の両端面には、図3に示すように、対向する側壁24,25の一対が上下方向に配置される溝26が形成されている。
【0013】
さらに、回動アーム16の各溝26には、各流体圧シリンダ27のロッド28の先端部に取付けられたジョイントブロック29を貫通して当該回動アーム16と各ジョイントブロック29とを連結させるジョイントピン30が設けられている。また、図1及び図2に示すように、各流体圧シリンダ27の基部には取付ブラケット31が設けられており、各取付ブラケット31はベースプレート8の所定位置に立設された軸32により回動可能に支持されている。そして、本プレス成形金型1は、各流体圧シリンダ27を駆動して各ロッド28を突出側へ動作させることにより、回動ブロック14を図1及び図2における紙面視で軸線の回りに反時計回り方向へ回動させる構造になっている。
【0014】
また、上記回動ブロック14には、当該回動ブロック14の略半径方向に向けて突出して、図1及び図2における紙面視で上記回動アーム16に対して所定の角度位相をなして配置された回動部材17が設けられている。また、上記回動部材17は、図1及び図2に示すように、後述する規制部材18の基準面21aに当接可能な当接面19aが形成されたプレート19(当接部)と、該プレート19を着脱可能に保持して基部が回動ブロック14に固定された支持部20と、で構成されている。そして、上記パンチホルダ12の所定位置には、上記回動部材17のプレート19が当接して当該回動部材17の軸線の回りの回動動作を規制する規制部材18が設けられている。該規制部材18は、図1及び図2に示すように、略円筒状の部材の一側を軸線と平行な面で切欠いて形成された基準面21aを有する基準ブロック21と、パンチホルダ12に固定され上記基準ブロック21を軸22の回りに回動可能に支持する支持ブロック23と、で構成されている。
【0015】
また、本プレス成形金型1では、成形時に、各流体圧シリンダ27に所要の流体圧の流体が供給されており、これにより回動ブロック14は図1及び図2における紙面視で軸線の回りに反時計回り方向へ回動するように付勢されている。そして、成形時に素材2に生じる捩れモーメントが各流体圧シリンダ27が回動ブロック14を回動させる力に打ち勝って、図2に示すように、回動ブロック14が軸線の回りに時計回り方向へ回動される構造になっている。そして、成形完了後、型上部9が上昇して回動ブロック14が軸線の回りに回動可能となることで、当該回動ブロック14は各流体圧シリンダ27の駆動により反時計回り方向へ回動する。そして、回動部材17と一体で軸線の回りに回動するプレート19が規制部材18の基準面21aに当接することで、回動ブロック14の軸線の回りの回動動作が規制され、これにより本プレス成形金型1は、パンチ6(上型)とダイス7(下型)との軸線の回りの角度位相を初期位相に復帰させることができる構造になっている。
【0016】
そして、上記初期位相復帰手段は、上記回動アーム16、回動部材17、規制部材18、及び流体圧シリンダ27により主要な構成がなされている。また、本プレス成形金型1では、上記回動部材17のプレート19と支持部20との間にシム33を介挿させており、該シム33(初期位相補正手段)の厚みT(図1参照)を調節することでパンチ6(上型)とダイス7(下型)との初期位相を補正して、ダブルヘリカルギヤ5の各ヘリカル歯形3,4の軸線の回りの角度位相を適正に保持する構造になっている。
【0017】
次に、本プレス成形金型1(以下、単に金型1と称す)を用いて、図6に示すダブルヘリカルギヤ5を形成する際の作用を説明する。まず、図4に示すように、金型1に略円柱状の素材2をセットする。この状態での金型1は、図1に示すように、回動部材17のプレート19(当接部)の当接面19aが規制部材18の基準ブロック21の基準面21aに当接されており、パンチ6とダイス7との素材2の軸線の回りの角度位相が初期位相となるようにパンチ6がダイス7に対して素材2の軸線の回りに位置決めされている。次に、金型1で素材2を加圧して、図5に示すように、素材2にパンチ6とダイス7とに付設されたヘリカル歯形3,4の像を転造させることによりダブルヘリカルギヤ5を形成する。この時、素材2にヘリカル歯形3,4が成形(転造)されるのに伴い、当該素材2には軸線の回りの捩れモーメントが生じて、該捩れモーメントは、回動ブロック14を図1及び図2における紙面視で軸線の回りに反時計回り方向へ付勢させる各流体圧シリンダ27の力に打ち勝ち、回動ブロック14を、図1に示す状態から図2に示す状態へ時計回り方向へ回動させることとなる。
【0018】
次に、型上部9を上昇させてパンチ6を上昇させると共にパンチ6の上昇に同期させてパンチピン15を駆動して当該パンチピン15で素材2の上端面を押圧し、素材2(ヘリカル歯形3)をパンチ6から脱離させる。この時、パンチ6とヘリカル歯形3とが軸線方向へ相対移動するに伴い、回動ブロック14は成形時と反対方向(軸線の回りに反時計回り方向)へ回動する。そして、素材2(ヘリカル歯形3)とパンチ6とが脱離すると、各流体圧シリンダ27のロッド28が突出して回動ブロック14が軸線の回りに反時計回り方向へ回動し、回動ブロック14と一体で回動する規制部材18のプレート19の当接面19aが型上部9のベースプレート8に設けられた基準ブロック21の基準面21aに当接する。これにより、回動ブロック14の回動動作が制止され、図1に示すように、パンチ6(上型)とダイス7(下型)との軸線の回りの角度位相が初期位相に復帰する。
【0019】
次に、ノックアウトピン11を上昇させて当該ノックアウトピン11で素材2の下端面を押圧し、ダイス7から素材2(ヘリカル歯形4)を脱離させて金型1からダブルヘリカルギヤ5を取り出す。これにより、ヘリカル歯形3とヘリカル歯形4との軸線の回りの角度移動が高い精度で形成されたダブルヘリカルギヤ5を得ることができる。なお、上記パンチ6とダイス7との初期位相は、同一形状(角度位相)の製品(ダブルヘリカルギヤ5)を成形する場合であっても、素材2の機械的な特性や潤滑状態等の諸条件の差異により型転写性、回動ブロック14の回動量が異り、これら諸条件により生じる誤差は、テストピース成形後、製品の精度チェックを行い、正規値との誤差に応じて回動部材17のプレート19と支持部20との間にシム33を介挿させることで容易に補正することが可能である。
【0020】
この実施の形態では以下の効果を奏する。
パンチホルダ12で回動ブロック14を回動可能に支持して該回動ブロック14にパンチ6を装着し、成形時にパンチ6を素材2の軸線2の回りに回動させて素材2に作用する捩れモーメントを解放させた。従って、成形時に各ヘリカル歯形3,4に無理な力が作用することがなく、高い精度のダブルヘリカルギヤ5を得ることができる。
回動ブロック14に当該回動ブロック14と一体で回動する回動部材17を設け、またベースプレート8に上記規制部材18を設けておいて、回動部材17のプレート19を規制部材18の基準ブロック21に当接させてパンチ6とダイス7との軸線の回りの角度位相を初期位相に復帰させた。従って、パンチ6とダイス7とを確実に、且つ高い精度で初期位相に復帰させて、各ヘリカル歯形3,4間の軸線の回りの角度位相が高い精度で形成されたダブルヘリカルギヤ5を得ることができる。
回動ブロック17に半径方向へ延びる回動アーム16を設け、該回動アーム16を流体圧シリンダ27で押圧して回動ブロック14を回動させたので、構造が簡易で、機構としての信頼性が高く、また金型製作費を低く抑えて製造コストの増大を抑制することができる。
回動ブロック14を回動駆動させる流体圧シリンダ27の駆動力を、成形時に素材2に生じる軸線の回りの捩れモーメントが当該流体圧シリンダ27の駆動力に打ち勝って、該捩れモーメントにより回動ブロック14が回動されるように設定したので、成形時にパンチ6を素材2の軸線の回りに回動させることが可能となり、ヘリカル歯形3,4が高い精度で成形されたダブルヘリカルギヤ5を形成することができる。
回転部材17のプレート19と支持部20との間に介挿されるシム33の厚みを調節してパンチ6とダイス7との初期位相が補正されるので、素材2の機械的な特性、潤滑状態等の諸条件の差異により生じる各ヘリカル歯形3,4間の軸線の回りの角度位相の誤差を補正して、高い精度のダブルヘリカルギヤ5を形成することができる。
【0021】
なお、実施の形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施の形態では、回動ブロック14を2つの流体圧シリンダ27で駆動して素材2の軸線の回りに回動させたが、1つの流体圧シリンダ27で回動ブロック14を回動させてもよい。
回動アーム16に流体圧シリンダ27のロッド28を連結して回動ブロック14を回動させる機構を構成したが、回動ブロック14と一体で素材2の軸線の回りに回動可能なピニオンギヤを設け、また該ピニオンギヤにラックギヤを噛合させて、当該ラックギヤを流体圧シリンダでスライド移動させて回動ブロック14を回動させてもよい。
回動ブロック14をサーボモータで素材2の軸線の回りに回動及び位置決めさせてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、素材の機械的な特性や潤滑条件等の成形条件に応じて上型と下型との軸線の回りの初期の角度位相を補正することで高い精度のダブルヘリカルギヤを得ることができるプレス成形金型を提供することができる。また、本発明によれば、素材の機械的な特性や潤滑条件等の成形条件に応じて上型と下型との軸線の回りの初期の角度位相を補正して高い精度のダブルヘリカルギヤを得ることができるダブルヘリカルギヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の説明図で、特に、パンチとダイスとの素材の軸線の回りの角度位相が初期位相に復帰した状態を示す金型の一部の平面図である。
【図2】 本実施の形態の説明図で、特に、図1の状態から回動ブロックが素材の軸線の回りに回動した成形完了時の状態を示す一部の平面図である。
【図3】 本プレス成形金型の主要部を断面で示した図である。
【図4】 本プレス成形金型の一部を断面で示した図で、特に、素材が金型にセットされた状態を示す図である。
【図5】 本プレス成形金型の一部を断面で示した図で、特に、成形完了時の状態(パンチが下降端位置に位置する状態)を示す図である。
【図6】 ダブルヘリカルギヤの説明図である。
【符号の説明】
1 プレス成形金型、2 素材、3,4 ヘリカル歯形、5 ダブルヘリカルギヤ、6 パンチ(上型)、7 ダイス(下型)、16 回動アーム(初期位相復帰手段)、17 回動部材(初期位相復帰手段)、18 規制部材(初期位相復帰手段)、27 流体圧シリンダ(初期位相復帰手段)、33 シム(初期位相補正手段)
Claims (2)
- 捩れが同一方向の二つのヘリカル歯形が形成されるダブルヘリカルギヤの一方のヘリカル歯形の像を有する上型と前記ダブルヘリカルギヤの他方のヘリカル歯形の像を有する下型とを備え、成形時に素材に生じる捩れモーメントを利用して前記上型と前記下型とを相対回動動作させるプレス成形金型であって、
相対回動動作された前記上型と前記下型との角度位相を初期の角度位相に復帰させる初期位相復帰手段と、前記上型と前記下型との初期の角度位相を補正する初期位相補正手段と、を備え、
前記初期位相復帰手段は、前記上型又は前記下型と一体で前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能な回動部材と、前記上型又は前記下型を前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能に支持するホルダに固定され、前記回動部材を当接させて前記回動部材の回動動作を規制して前記上型と前記下型との角度位相を初期の角度位相に復帰させる規制部材と、を備え、
前記回動部材は、前記規制部材の基準面に当接可能な当接面が形成された当接部と、該当接部を着脱可能に支持する支持部と、を備え、
前記規制部材は、前記基準面が形成された基準ブロックと、該基準ブロックを回動可能に支持する支持ブロックと、を備え、
前記初期位相補正手段は、前記当接部と前記支持部との間にシムを介在させて前記上型と前記下型との初期の角度位相を補正することを特徴とするプレス成形金型。 - 捩れが同一方向の二つのヘリカル歯形が形成されるダブルヘリカルギヤの一方のヘリカル歯形の像を有する上型と前記ダブルヘリカルギヤの他方のヘリカル歯形の像を有する下型とを備えるプレス成形金型を用いて素材をプレス成形してダブルヘリカルギヤを形成するダブルヘリカルギヤの製造方法であって、
成形時に素材に生じる捩れモーメントを利用して前記上型と前記下型とを前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させてダブルヘリカルギヤを形成する工程と、成形終了後、該ダブルヘリカルギヤを前記プレス成形金型から取り出し、次に前記上型と前記下型とを前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに相対回動動作させて、前記上型又は前記下型と一体で前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動する回動部材の当接面を、前記上型又は前記下型を前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りに回動可能に支持するホルダに固定された規制部材の基準面に面接触で当接させて、前記上型と前記下型との前記ダブルヘリカルギヤの軸線の回りの角度位相を成形前の初期の角度位相に復帰させる工程と、を含み、
前記成形前の初期の角度位相に復帰させる工程は、前記当接面が形成された前記回動部材の前記当接部と該当接部を着脱可能に支持する支持部との間に、シムを介在させて前記上型と前記下型との初期の角度位相を補正する工程を含むことを特徴とするダブルヘリカルギヤの製造方法。
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