JP4266841B2 - 模様付け用織物 - Google Patents
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「1.1種の経糸の完全組織と1種以上の緯糸の完全組織の繰り返しによって形成された織物において、緯糸の完全組織のうち少なくとも1種の完全組織が、1本の経糸の下側、次いで1本または2本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通るナックル部を上面側表面に形成し、且つ少なくとも緯糸の1種の完全組織が連続する経糸4本以上の上を通って緯糸のロングクリンプを上面側表面に形成することを特徴とする模様付け用織物。
2.1種の緯糸の完全組織からなる請求項1に記載された模様付け用織物において、緯糸の完全組織がナックル部、及びロングクリンプを上面側表面に形成する組織である模様付け用織物。
3.2種の緯糸の完全組織からなる1項に記載された模様付け用織物において、一方の緯糸の完全組織がナックル部、及びロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、他方の緯糸がナックル部、及び/又はロングクリンプを上面側表面に形成し、一方の緯糸とは異なる組織である模様付け用織物。
4.2種の緯糸の完全組織からなる1項に記載された模様付け用織物において、1つの緯糸の完全組織がナックル部を上面側表面に形成する組織であり、もう一方がロングクリンプを上面側表面に形成する組織である模様付け用織物。
5.1項ないし4項のいずれか1項に記載された模様付け用織物の完全組織を形成する経糸のうち、1本または2本の経糸を挟んでその両側に配置している経糸が、同じ緯糸と織り合わされた同組織である模様付け用織物。
6.1項ないし5項のいずれか1項に記載された緯糸組織によって形成される完全組織の隣りに、経糸組織の配置順序を変えた織組織を配置して形成した綾方向が交差する組織を混在させた模様付け用織物。
7.1項ないし6項のいずれか1項に記載された織物が単層構造である模様付け用織物。
8.1項ないし6項のいずれか1項に記載された織物が経糸1重緯糸2重、経糸1重緯糸3重構造の多層構造である模様付け用織物。」
に関する。
本明細書において、ナックル部とは緯糸が1本の経糸の下側、次いで1本または2本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通る部分をいい、ロングクリンプとは連続する経糸4本以上の上を通って上面側表面に形成される織り込まれない部分をいう。また織物の完全組織とは、織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物が形成される。経糸の完全組織とは織物の完全組織を形成する経糸組織の最小の繰り返し単位であって、これを適宜ずらして複数本配置することで織物の完全組織が形成される。緯糸の完全組織に関しても同様である。
本発明の織物は上面側表面に緯糸のロングクリンプを形成するため、原料の繊維の支持性がよく、同メッシュの織物に比べて通気度も向上させることができる。また平織や綾織組織等の単一な繰り返しによって形成された従来の織物と違って、上面側表面に突出するロングクリンプの他に凹部を形成するナックル部を有しているため、織物表面には織物組織によって凹凸が形成される。この織物の凹凸が不織布等に好適な風合いと模様を与えるのである。また、凹部と凸部の落差が大きいため嵩のある不織布等を製造することもできる。ナックル部で緯糸は強力に織り込まれているため剛性にも優れた織物となる。また、本発明の織物を使用する際には、単層織物では表裏の凹凸が逆になるため、目的に応じて表裏を変えて使用しても構わない。
緯糸の完全組織が2種であった場合には、少なくともどちらか一方の組織にナックル部、ロングクリンプを形成する組織であればよいが、もちろん2つの緯糸組織にナックル部、ロングクリンプを形成する組織であっても構わない。例えば、2本の緯糸の完全組織それぞれにナックル部とロングクリンプを形成する組織があり、他には1本の緯糸がナックル部を形成する組織で、もう一方がロングクリンプを形成する組織がある。他には1本がナックル部とロングクリンプを形成する組織で、もう一方がナックル部を形成する組織、他には1本がナックル部とロングクリンプを形成する組織で、もう一方がロングクリンプを形成する組織がある。他には1本がナックル部とロングクリンプを形成する組織で、もう一方がナックル部とロングクリンプを形成しない組織がある。緯糸の完全組織が3種以上になっても同様のことがいえる。
そして、ロングクリンプに対して、ナックル部では、緯糸が1本の経糸の下側、次いで1本または2本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通る組織を形成している。ナックル部では緯糸が両側の2本の経糸によって下側に向かって織り込まれるため、凹部を形成する。ロングクリンプでは上に突出する構造であるため、ナックル部とロングクリンプで高低差が生じることとなる。本発明において、ナックル部は1本または2本の経糸の上を通る組織であるが、これが3本以上の経糸の上を通る組織とすると、ロングクリンプの部分との高低差がなくなり表面に凹凸が形成されない。また、織物全体として単位面積当たりの経糸と緯糸の交絡点が減るため剛性の面でも好ましくない。
そして、本発明の模様付け用織物の完全組織を形成する経糸のうち、1本または2本の経糸を挟んだその両側にある2本の経糸が、同じ緯糸と織り合わされる組織とすると、さらに製織性、組織の面で大きなメリットがある。製織時において、2つの同じ組織の経糸であれば綜絖は1枚で済む。これは織物業界においては周知のことであるが、これを利用することで少ない枚数で多シャフトの織物を製織することができる。つまり、本発明においては少ない枚数の綜絖であっても、比較的長いロングクリンプの組織も製織できるのである。
ロングクリンプの長さは特に限定はしないが、長すぎると剛性の低下をもたらすため、用途や目的のデザインに合わせて適宜選択すればよい。
本発明の織物は1種の経糸の完全組織からなり、緯糸の完全組織がナックル部とロングクリンプを上面側表面に形成する構造の織物であればどのようなものであってもよく、多層織物でも単層織物でもよい。例えば1本の経糸、緯糸によって構成された単層織物の他、緯糸が上下2層に配置されている経糸1重緯糸2重織物、また経糸1重緯糸3重織物等がある。
不織布等の製造に利用する工業用織物としては、一般的に剛性、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましく、織物の性質や製織性等から随時選択できる。また、場合によってはポリエステルモノフィラメントとナイロンモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できるため好ましい。それぞれの線径についても用途や適性に合わせて選択すればよい。
図1、3、4、5、6、7、8、10は本発明の実施例の完全組織を示す意匠図である。図1、3、4、5、6、8、10は経糸1重、緯糸1重の単層織物であり、図7は経糸1重緯糸2重の多層織物である。また、図1、3、4、5、6、7は、1本の経糸の下側、次いで1本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通るナックル部を上面側表面に形成する緯糸組織を有するものであり、図8、10は、1本の経糸の下側、次いで2本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通るナックル部を上面側表面に形成する緯糸組織を有するものである。
図2は図1の完全組織の緯糸1´の断面図であり、図9は図8、10の完全組織の緯糸1´の断面図である。図11は図8の完全組織を縦、横に複数個連続配置して形成した織物表面のイメージ図である。図12は図10の完全組織を縦、横に複数個連続配置して形成した織物表面のイメージ図である。
意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3で示した。緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´で示した。単層織物においては、×印は経糸が緯糸の上を通り上面側表面に経糸が現れていることを示す。そして、多層織物である図7においては、×印は経糸が上面側緯糸の上側を通り上面側表面に経糸が現れていることを示し、○印は経糸が下面側緯糸の下を通り下面側表面に経糸が現れていることを示す。本発明の図7では意匠図上において便宜上緯糸が上下に重なって配置されているが、実際の織物ではずれて配置されることもある。
次に発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1の意匠図に示す実施例1の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている。経糸の完全組織は1種類であり、1本の緯糸の上側を通り、次いで3本の緯糸の下側を通る、経糸1/3組織である。緯糸は1種の緯糸の完全組織から構成され、1本の経糸の下、1本の経糸の上、1本の経糸の下を通るナックル部と、経糸5本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織である。具体的には緯糸は図2に示したような組織となる。緯糸1´は経糸1の下側、経糸2の上側、経糸3の下側を通るナックル部を形成し、次いで連続する5本の経糸4、5、6、7、8の上を通るロングクリンプを上面側表面に形成する。
図2に示すように、緯糸はナックル部で両端の経糸1、3により強力に織り込まれて織物表面に凹部が形成される。そして、その隣に連続する5本の経糸4、5、6、7、8の上を通るロングクリンプが形成される。5本の経糸により緯糸1´は下側から持ち上げられるため上に突出した形状となる。緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面が形成されることとなり、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。また、ナックル部では1本の経糸の上、1本の経糸の下、1本の経糸の上と、経糸、緯糸が互いに交絡し合っているため剛性に優れた織物となる。織物全体としても経糸と緯糸の交点が多いため優れた剛性を有する織物である。
また、本実施例は1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が、同じ緯糸と織り合わされている同組織である。これは製織性と組織の面で大きなメリットがある。製織時において、2つの同じ組織の経糸であれば綜絖は1枚で済む。これは織物業界においては周知のことであるが、これを利用することで少ない枚数で多シャフトの織物を製織することができる。つまり、本発明においては少ない枚数の綜絖であっても、比較的長いロングクリンプの組織も製織できるのである。具体的には、本実施例の織物は経糸8本、緯糸4本から構成された織物であり、通常は8枚の綜絖が必要となる。しかし、経糸1と経糸3、経糸2と経糸4、経糸5と経糸7、経糸6と経糸8が同じ組織であるため、半分の4枚の綜絖で製織することができる。通常4枚の綜絖だと緯糸はせいぜい経糸3本分のクリンプしか形成することができないが、本発明のような1本または2本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が、同じ緯糸と織り合わされた同組織の織物とすることで経糸4本以上のロングクリンプを形成する織物とすることができる。
このように本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプを形成することができ、織物は均一な中にも不均一さを有する模様を形成する、剛性にも優れた織物であり、同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができ、特に不織布等の模様付与織物として好適に使用することができる。
図3の意匠図に示す実施例2の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの単層織物であり、16本の経糸と8本の緯糸によって構成されている。経糸は1種の経糸の完全組織からなり、1本の緯糸の上側、次いで7本の緯糸の下側を通る、経糸1/7組織である。緯糸は1種の緯糸の完全組織から構成され、1本の経糸の下、1本の経糸の上、1本の経糸の下を通るナックル部と、経糸13本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織である。
図3の実施例2の織物は、緯糸はナックル部で両端の経糸1、3により強力に織り込まれているため織物表面に凹部が形成される。そして、その隣に連続する13本の経糸4〜16の上を通るクリンプが形成される。13本の経糸により緯糸1´は下側から持ち上げられるため上に突出した形状となる。緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面の織物が形成されることとなり、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。
また、ナックル部では1本の経糸の上、1本の経糸の下、1本の経糸の上と、経糸、緯糸が互いに交絡し合っているため剛性に優れた織物となる。織物全体としても経糸と緯糸の交点が多いため優れた剛性を有する織物である。
また、実施例1と同様に、1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプを形成できる。
図4の意匠図に示す実施例3の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの単層織物であり、16本の経糸と8本の緯糸によって構成されている。経糸は1種の経糸の完全組織から構成され、2本の緯糸の上側を通り、次いで6本の緯糸の下側を通る、経糸2/6組織である。緯糸は2種の緯糸の完全組織から構成され、1つはナックル部、次いで経糸6本分のロングクリンプ、次いでナックル部、次いで経糸4本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、緯糸1´、3´、5´、7´がこの組織である。そしてもう一方は、ナックル部を形成した後、2本の経糸の上側を通り、次いでナックル部、次いで経糸8本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、緯糸2´、4´、6´、8´がこの組織である。このように、緯糸の完全組織はナックル部、ロングクリンプ部を有していればよく、その他の組織を含んだものであっても構わない。
図4の実施例3の織物は、緯糸は2つのナックル部で両端の経糸により強力に織り込まれているためナックル部は凹状となる。そして、ロングクリンプの部分では経糸4本以上のロングクリンプの部分が突出した構造となる。本実施例は組織の異なる2つの緯糸の完全組織から構成されているため、形成されるロングクリンプの長さも異なり、前実施例に比べさらに不均一さが発現されるのである。
緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面の織物が形成されることとなり、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。
また、ナックル部では1本の経糸の上、1本の経糸の下、1本の経糸の上と、経糸、緯糸が互いに交絡し合っているため剛性に優れた織物となる。織物全体としても経糸と緯糸の交点が多いため優れた剛性を有する織物である。
また、前実施例と同様に、1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプの織物を形成できる。
図5の意匠図に示す実施例4の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている。経糸は1種の経糸の完全組織からなり、2本の緯糸の上側を通り、次いで2本の緯糸の下側を通る、経糸2/2組織である。緯糸は2種の緯糸の完全組織から構成され、1つは1本の経糸の下、1本の経糸の上を交互に通る平織組織であり、緯糸1´、3´がこの組織である。そしてもう一方は、4本の経糸の下を通り、次いで4本の経糸の上を通るロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、緯糸2´、4´がこの組織である。平織組織はナックル部を2つ組み合わせた組織であり、剛性向上のためには好ましい。
このように、2種の緯糸の完全組織を有するものでは少なくともどちらか一方の緯糸の完全組織にナックル部とロングクリンプを有していればよく、本実施例のように一方がナックル部、もう一方がロングクリンプを形成する組織であっても構わない。
本実施例4の織物は、緯糸平織組織と、緯糸4/4組織の緯糸の完全組織を組み合わせたものであり、緯糸4/4組織は、比較的拘束力が乏しいため平織組織と組み合わせることで織物全体の剛性を向上させる効果がある。平織組織の緯糸はもう一方の緯糸と比べて表面の高低差が小さく、またもう一方の緯糸はロングクリンプを形成して凸部を形成する部分と逆の凹部を形成する組織であるため織物表面に高低差が生じ、均一な中にも不均一さを有する模様を与えることのできる織物となる。また、前実施例1と同様に、1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプを形成できる。
図6の意匠図に示す実施例5の織物は、16本の経糸と8本の緯糸によって構成された実施例2の織物の完全組織の隣に、これを構成する経糸を配置順序を変えて配置させた組織のものである。経糸の完全組織は1種の経糸の完全組織からなり、1本の緯糸の上側を通り、次いで7本の緯糸の下側を通る、実施例2と同じ経糸1/7組織である。緯糸は2種の緯糸の完全組織から構成され、一方はナックル部、次いで経糸18本分のロングクリンプ、次いでナックル部、次いで経糸8本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、緯糸1´、2´5´、6´がこの組織である。もう一方は、ナックル部、次いで経糸16本分のロングクリンプ、次いでナックル部、次いで経糸10本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、緯糸3´、4´7´、8´がこの組織である。このように緯糸の完全組織を2本ずつ交互に配置しても構わない。
図6の実施例5の織物は、ナックル部で経糸により強力に織り込まれているため織物表面に凹部が形成される。そして、その隣に形成されるロングクリンプでは、経糸により緯糸は下側から持ち上げられて上に突出した形状となる。緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面が形成され、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。また、ナックル部では1本の経糸の上、1本の経糸の下、1本の経糸の上と、経糸、緯糸が互いに交絡し合っているため、経糸18本分の長いロングクリンプを形成している部分があるが剛性に優れた織物となる。
また、前実施例と同様に、1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプを形成できる。
図7の意匠図に示す実施例6の織物は経糸、緯糸からなる8シャフトの二層織物であり、16本の経糸と8本の上緯糸、8本の下緯糸によって構成されている。経糸は1種の完全組織からなり、2本の上緯糸の上側を通り、次いで3本の上緯糸と下緯糸の間を通り、次いで1本の下緯糸の下側を通り、次いで2本の上緯糸と下緯糸の間を通る組織である。上緯糸は2種の緯糸の完全組織から構成され、1つはナックル部、次いで経糸6本分のロングクリンプ、次いでナックル部、次いで経糸4本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、上緯糸1´、3´、5´、7´がこの組織である。そしてもう一方は、ナックル部を形成した後、2本の経糸の上を通り、次いでナックル部、次いで経糸8本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、上緯糸2´、4´、6´、8´がこの組織である。そして、下緯糸は1本の経糸の上、次いで1本の経糸の下、1本の緯糸の上を通り、次いで連続する13本の経糸の下を通る組織である。このように、緯糸の完全組織は上面側にナックル部、ロングクリンプを有する組織であればよく、その他の組織を含んだものであっても構わない。構成としても本実施例のように緯糸を二層に配置した織物であっても構わない。
図7の実施例6の織物は、ナックル部で両端の経糸により強力に織り込まれているため織物表面に凹部が形成される。そして、その隣に形成されるロングクリンプでは、複数の経糸により緯糸は下側から持ち上げられて上に突出した形状となる。上緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面が形成され、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。また、ナックル部では1本の経糸の上、1本の経糸の下、1本の経糸の上と、経糸、緯糸が互いに交絡し合っているため、経糸8本分の長いロングクリンプを形成している部分があるが剛性に優れた織物となる。
また、前実施例と同様に、1本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面に比較的長いロングクリンプを形成できる。
図8の意匠図に示す実施例7の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている。経糸は1種の完全組織からなり、1本の緯糸の上側を通り、次いで3本の緯糸の下側を通る、経糸1/3組織である。緯糸は1種の緯糸の完全組織から構成され、1本の経糸の下、2本の経糸の上、1本の経糸の下側を通るナックル部と、経糸4本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織である。図8の実施例7の織物は製織され図9に示すような緯糸組織となる。図9は図8の緯糸1´に沿った断面図である。緯糸1´は経糸1の下側、経糸2、3の上側、経糸4の下側を通るナックル部を形成し、次いで連続する4本の経糸5、6、7、8の上を通るロングクリンプを上面側表面に形成する。このように緯糸組織はナックル部とロングクリンプを形成する組織であるため、均一な中にも不均一さを有する織物組織となる。
図8の実施例7の織物は、緯糸1´においてナックル部で両端の経糸1、4により強力に織り込まれるため織物表面に凹部が形成される。そして、その隣に形成されるロングクリンプでは、4本の経糸5、6、7、8により緯糸1´は下側から持ち上げられて上に突出した形状となる。緯糸はナックル部とロングクリンプが交互に存在するため織物全体として高低差の大きい凹凸表面が形成され、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。
本実施例は2本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が、同じ緯糸と織り合わされている同組織であるため、少ない枚数で多シャフトの織物を製織することができる。本発明のような1本または2本の経糸を挟んでその両側に配置している2本の経糸が、同じ緯糸と織り合わされている同組織の織物とすることで経糸4本以上のロングクリンプを形成する織物とすることができる。
このように本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面にロングクリンプを形成することができ、織物は均一な中にも不均一性を有する模様し、剛性にも優れた織物であり、また緯糸ロングクリンプ組織であるため、同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができ、特に不織布等の模様付与織物として好適に使用することができる。
図10の意匠図に示す実施例8の織物は経糸、緯糸からなる4シャフトの単層織物であり、8本の経糸と4本の緯糸によって構成されている。経糸は1種の完全組織からなり、前実施例7と同じ経糸1/3組織である。緯糸も前実施例7と同じで1種の緯糸の完全組織から構成され、1本の経糸の下、2本の経糸の上、1本の経糸の下側を通るナックル部と、経糸4本分のロングクリンプを上面側表面に形成する組織である。本実施例8は前実施例7と経糸の完全組織、緯糸の完全組織は同じであるが、それぞれの配置の仕方が異なるため織物全体の完全組織は異なるものとなる。
前実施例同様、ナックル部で織物表面に凹部が形成され、ロングクリンプでは上に突出した形状となる。そのため織物全体として高低差の大きい凹凸表面が形成され、均一な中にも不均一さを有するマーク付与性に優れた織物となる。
本発明の織物は少ない枚数の綜絖枠であっても上面側表面にロングクリンプを形成することができ、織物は均一な中にも不均一性を有する模様し、剛性にも優れた織物であり、また緯糸ロングクリンプ組織であるため、同じ線径、配置本数の織物と比較しても十分な通気を得ることができ、特に不織布等の模様付与織物として好適に使用することができる。
図11は図8の完全組織を縦、横に複数個連続配置した織物表面のイメージ図である。そして、図12は図10の完全組織を縦、横に複数個連続配置した織物表面のイメージ図である。図8の経糸の完全組織、緯糸の完全組織と、図10の経糸の完全組織、緯糸の完全組織は同じであるが、織物としての完全組織は異なる。それを複数個合わせて形成した織物は図11、図12にあるように異なる模様の織物となることが見てとれる。
1´〜8´ 緯糸
Claims (7)
- 1種の経糸の完全組織と1種以上の緯糸の完全組織の繰り返しによって形成された織物において、緯糸の完全組織のうち少なくとも1種の完全組織が、1本の経糸の下側、次いで1本または2本の経糸の上側、次いで1本の経糸の下側を通るナックル部を上面側表面に形成し、少なくとも緯糸の1種の完全組織が連続する経糸4本以上の上を通って緯糸のロングクリンプを上面側表面に形成し、且つ完全組織を形成する経糸のうち、1本または2本の経糸を挟んでその両側に配置している経糸が、同じ緯糸と織り合わされた同組織を有することを特徴とする模様付け用織物。
- 1種の緯糸の完全組織からなる請求項1に記載された模様付け用織物において、緯糸の完全組織がナックル部、及びロングクリンプを上面側表面に形成する組織である模様付け用織物。
- 2種の緯糸の完全組織からなる請求項1に記載された模様付け用織物において、一方の緯糸の完全組織がナックル部、及びロングクリンプを上面側表面に形成する組織であり、他方の緯糸がナックル部、及び/又はロングクリンプを上面側表面に形成し、一方の緯糸とは異なる組織である模様付け用織物。
- 2種の緯糸の完全組織からなる請求項1に記載された模様付け用織物において、1つの緯糸の完全組織がナックル部を上面側表面に形成する組織であり、もう一方がロングクリンプを上面側表面に形成する組織である模様付け用織物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載された緯糸組織によって形成される完全組織の隣りに、経糸組織の配置順序を変えた織組織を配置して形成した綾方向が交差する組織を混在させた模様付け用織物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載された織物が単層構造である模様付け用織物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載された織物が経糸1重緯糸2重、経糸1重緯糸3重構造の多層構造である模様付け用織物。
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