しかしながら、これらの運動支援装置は、いずれも人またはペットの一方のみの脚部運動の支援に供するものであり、これらを個別に準備して使用すれば、経済的かつ設置スぺースなどにおいて、きわめて無駄が多く、汎用性に欠けるといった課題がある。
また、前述のような犬用運動器具において、籠内に収納された犬が安心して走行運動をすることができるか否かといった課題もある。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、脚部強化、運動不足解消、健康維持等のための走行運動をペットと人が兼用して使用することができ、かつ人に好適な走行運動環境を提供する運動支援装置を提供することを目的とする。
また、この発明の他の目的は、犬などのペットに好適な走行運動環境を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、使用者の走行運動を支援するための擬似的な走行路を有する走行駆動部を備えた運動支援装置において、前記走行駆動部の前端側に立設され、運動中の使用者が把持可能な把持部を有する支持体と、前記支持体の前記把持部より下部に設けられ、ペットを繋ぎ止める繋ぎ止め機構部とを備え、前記繋ぎ止め機構部は、ペットを繋ぎ止める際の使用位置と使用者の走行運動を支援する際の退避位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、把持部を掴みながら走行運動をすることによって運動中の人体の姿勢が安定に保持され、一方、ペットに走行運動をさせる場合には、使用位置にある繋ぎ止め機構部によってペットが走行路上に維持されるので、走行運動を行わせることが可能となる。繋ぎ止め機構部は、ペットを繋ぎ止めるために把持部より下方に設けられているため、人が走行運動を行う際には、退避位置に移動されるので、人の走行時に繋ぎ止め機構部に脚に当たるなどの支障にならず、好適な運動環境が提供される。なお、本発明にいう走行には走行路の速度との関係で歩行に近い速度及び歩行の態様も含まれる。不使用時に取り外し可能な構造のものでは、その都度の取り外しや取り付け作業が煩わしく、却って取り付けたまま人が運動して、窮屈な走行運動を強いられたり、逆に膝が当たって繋ぎ止め機構部を破損させる可能性もあり、また、繋ぎ止め機構部の収納スペース、収納箱などが必要となるという問題があるが、上記構成では、このような問題がない。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の運動支援装置において、前記走行駆動部を支持する基台を有し、前記走行駆動部は、前記基台の前後端部に略水平面上で平行配置された1対のロ−ラと、両ロ−ラ間に張設された無端ベルトと、この無端ベルトを周回動作させる駆動源とを備えてなることを特徴とする。この構成によれば、走行路が周回動作する無端ベルトで構成されるので、無端ベルト上でありながら実際に近い走行運動が実現される。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の運動支援装置において、前記支持体は、前記基台の前端部の幅方向両側に立設され、高さ方向適所で後方に向けて前記把持部が形成された1対の支柱を備え、前記繋ぎ止め機構部は、前記把持部の下部で前記1対の支柱間に設けられると共に、左右方向の略中央でペットの拘束紐を繋ぐ繋ぎ部材を備えていることを特徴とする。この構成によれば、比較的低い位置でペットの拘束紐が繋ぎ部材に繋がれるので、飼い主がペットを拘束紐(リード)で実際に散歩する状態と似た環境とすることが可能となり、ペットの走行運動の支援が好適に行われる。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の運動支援装置において、前記繋ぎ止め機構部は、前記支柱への取り付け位置が高さ方向に調整可能であることを特徴とする。この構成によれば、繋ぎ止め機構部がペットの種類、背丈に合わせるなどして高さ調整可能となるので、ペットに無理な引っ張り力を与えることなく、軽快なペットの運動支援が可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項3記載の運動支援装置において、前記繋ぎ止め機構部は、前記両支柱に水平軸周りに回動可能に支持された1対の回動アームと、両回動アームの先端同士を連結する連結部材と、前記連結部材を上方へ付勢する付勢部材とを備え、前記繋ぎ部材は、前記連結部材の左右方向の略中央に設けられていることを特徴とする。この構成によれば、連結部材は回動アームを介して旋回可能にされており、付勢部材で上方に付勢されることで、退避位置に自動的に位置決めされる。また、連結部材は、繋ぎ部材を介してペットが繋がれ、無端ベルト上で走行運動している場合であって、ペットが無端ベルトの前側乃至は中央から急に走行が遅れあるいは走りを止めたときに、連結部材が付勢部材の上方への付勢力に抗して後方に弾性的に旋回移動するので、ペットの拘束紐に急激な引っ張り力が作用せず、緩衝機能が果たされ、ペットに対する好適な走行運動環境が提供される。また、人が走行運動を行う場兄は、繋ぎ止め機構部は付勢部材によって自動的に退避位置に移動するので、付勢部材は、ペットを緩衝的に繋ぐ機能と兼用して働くことになる。なお、前方側への退避位置とは、使用位置に対して相対的に前方側に位置する態様も含み、例えば使用位置は略後方を向いている場合、退避位置は略上方〜略前方の間が含まれる。
請求項6に記載の発明は、請求項3記載の運動支援装置において、前記繋ぎ止め機構部は、前記両支柱に水平軸周りに回動可能に支持された1対の回動アームと、両回動アームの先端同士を連結する連結棒部材と、前記両回動アームの回動を少なくとも前記退避位置にロックするロック部材と、前記連結棒部材に伸縮可能に遊嵌されたコイル状バネ部材とを備え、前記繋ぎ部材は、前記コイル状バネ部材の略両端部に対して両端がそれぞれ結ばれた変形容易な紐材からなることを特徴とする。この構成によれば、コイル状バネが開放状態で伸張しているときには、紐材である繋ぎ部材の中央部位の、連結棒部材からの後方への長さ成分は小さい。しかし、ペットによって連結棒部材が後方に引かれるようになると、紐材である繋ぎ部材がコイル状バネの伸張力に抗して、コイル状バネを圧縮させるので、紐材の両端は近づくことになり、その結果、紐材の中央部の、連結棒部材からの後方への長さ成分は大きくなる。このように、ペットの拘束紐に急激な引っ張り力が作用せず、緩衝機能が果たされるので、ペットは弾性的に拘束され、好適な走行運動環境が提供される。また、人の走行運動中は、ロック部材によって連結棒部材、繋ぎ部材が上方位置に位置決めされるので、使用者の走行運動に支障となることがなく、人に対し好適な走行運動環境が提供される。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の運動支援装置において、前記走行駆動部の駆動を制御する制御部を備えたことを特徴とする。この構成によれば、制御部によって走行駆動部の駆動動作が制御されるので、無端ベルトの走行状態を、人、ペットそれぞれに好適なものとすることが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項7記載の運動支援装置において、前記制御部は、前記無端ベルトの周回速度が表示可能な表示部と、前記表示部に隣接して設けられ、少なくとも周回速度の設定入力が可能な操作部とを備え、前記操作部で入力された操作内容に従って前記走行駆動部の駆動を制御することを特徴とする。この構成によれば、使用者は表示部の周回速度(走行速度)を参照しながら、操作部を介して所望する走行運動状態を指示することが可能となる。また、ペットの走行運動に対しても、ペットの走行状況を見ながら無端ベルトの走行状態が調整可能となる。
請求項9に記載の発明は、請求項8記載の運動支援装置において、前記制御部は、正面に前記表示部及び操作部が露呈された筐体と、前記筐体を、前記正面が後方を向く位置と、180度回転して前方を向く位置との間で姿勢変更可能に前記支柱に装着する装着部とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、人が使用する場合、筐体を後方に向け、無端ベルト上から前方に顔を向けたまま表示部の内容を確認しながら操作部に対して操作入力が容易となり、一方、ペットが使用する場合、筐体をその正面が前方を向くように180度旋回させ、かつ上下に向きを変えると、飼い主は基台の前側から後方を向いて無端ベルト上のペットを観察しながら、ペットの走行状態に合わせて、表示部の表示内容の確認と操作入力が容易可能となる。
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の運動支援装置において、前記基台の後端部に設けられ、無端ベルト上のペットが前記無端ベルトの後端位置にいることを検知するセンサを有し、前記制御部は、前記センサがペットの存在を検知すると前記制御部に前記走行駆動部を減速及び停止の一方の指令信号を出力することを特徴とする。この構成によれば、センサによってペットが無端ベルトの後端位置にいることが検知されると、無端ベルトの周回速度に対して遅れ気味と判断して、走行駆動部が減速または停止の状態に調整される。これにより、ペットの疲労度などに応じて自動的に無端ベルトが低速走行あるいは走行停止されて、ペットの疲労度等に合わせての運動支援が継続される。人に対しても、同様に速度制御が行われ得る。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の運動支援装置において、前記基台は、前記無端ベルトの後端部分を覆う後部カバーを備えたことを特徴としたので、無端ベルトの後端から誤って落下する可能性が低減する。また、走行中のペットが無端ベルトの下方に巻き込まれたり、あるいは第三者のペットが不用意に装置に近づいて無端ベルトに巻き込まれることが防がれる。
請求項12に記載の発明は、請求項11記載の運動支援装置において、前記後部カバーは、前記無端ベルトと対面する面にペットの抜け毛を収集する掃除具を備えたことを特徴としたので、掃除具によってペットの抜け毛がカバーの部分で、例えば掻き集める等されるので、無端ベルト上にペットの抜け毛などが散在することがなくなり、清潔な環境でペットの走行運動が支援可能となる。また、抜け毛が装置内部のモータ部等に侵入することが防がれる。
請求項13に記載の発明は、請求項10ないし12のいずれかに記載の運動支援装置において、前記基台は、前記無端ベルトの前端部分を覆う前部カバーを備え、この前部カバーの上面に餌置き用の凹部が形成されていることを特徴としたので、この凹部に餌を直接あるいは餌が入れられた皿を置いておけば、餌につられてペットの走行が効果的に誘導される。なお、凹部には餌の他、ペットが関心を持つような玩具等を置くようにしてもよい。
請求項1記載の発明によれば、人が本装置で走行運動を行う際には、繋ぎ止め機構部を退避位置に移動するようにしたので、脚部運動をペットと人が兼用して使用することができ、かつ人の走行時に繋ぎ止め機構部に脚に当たるなどの支障にならず、好適な走行運動環境が提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、走行路が周回動作する無端ベルトで構成されるので、無端ベルト上でありながら実際に近い走行運動が実現できる。
請求項3に記載の発明によれば、比較的低い位置でペットの拘束紐が繋ぎ部材に繋がれるので、飼い主がペットを拘束紐(リード)で実際に散歩する状態と似た環境とすることが可能となり、ペットに好適な走行運動環境を提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、繋ぎ止め機構部をペットの種類、背丈に合わせるなどして高さ調整可能となるので、ペットに無理な張力を付勢することなく、軽快なペットの運動支援が可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、連結部材を退避位置に自動的に位置決めできる。また、連結部材によって、ペットの拘束紐に急激な引っ張り力を作用させず、緩衝機能を果たし、ペットに対する好適な走行運動環境が提供できる。
請求項6に記載の発明によれば、コイル状バネによって、ペットの拘束紐に急激な引っ張り力を作用させず、緩衝機能を果たしてペットを弾性的に拘束するので、好適な走行運動環境を提供できる。される。また、人の走行運動中は、ロック部材によって連結棒部材、繋ぎ部材を上方位置に位置決めするので、使用者の走行運動に支障となることがなく、人に対し好適な走行運動環境を提供できる。
請求項7に記載の発明によれば、制御部によって走行駆動部の駆動動作が制御されるので、無端ベルトの走行状態を、人、ペットそれぞれに好適なものとすることができる。
請求項8に記載の発明によれば、使用者は表示部の周回速度(走行速度)を参照しながら、操作部を介して所望する走行運動状態を指示することが可能となる。また、ペットの走行運動に対しても、ペットの走行状況を見ながら無端ベルトの走行状態が調整可能となる。
請求項9に記載の発明によれば、人が使用する場合、筐体を後方に向け、無端ベルト上から前方に顔を向けたまま表示部の内容を確認しながら操作部に対して操作入力を容易とし、一方、ペットが使用する場合、筐体を180度旋回させると、飼い主に対して基台の前側から後方を向いて無端ベルト上のペットを観察しながら、ペットの走行状態に合わせて、表示部の表示内容の確認と操作入力を容易可能とすることができる。
請求項10に記載の発明によれば、ペット、人の疲労度などに応じて自動的に無端ベルトを低速走行あるいは走行停止させて、ペット等の疲労度等に合わせての運動支援を継続させることができる。
請求項11に記載の発明によえば、無端ベルトの後端から誤って落下する可能性を低減できる。
請求項12に記載の発明によれば、清潔な環境でペットの走行運動を支援できる。また、抜け毛の装置内部のモータ部等への侵入が防止できる。
請求項13に記載の発明によれば、凹部に餌を直接あるいは餌が入れられた皿を置いておくことで、餌につられてペットの走行を効果的に誘導できる。
図1は、本発明に係る運動支援装置の一実施形態を示す全体斜視図である。 同図において、運動支援装置1は、装置1を床面に安定姿勢で置くための基部となる基台11と、基台11に取り付けられ、擬似的な走行路上での走行運動による脚部強化等を支援する走行駆動部12と、運動者の姿勢の安定を図る支持体13とを備えると共に、上記の擬似的な走行路上でペットを走行させるべく、犬などのペットを走行路上に繋ぎ止める繋ぎ止め機構部14とを備えて構成されている。さらに、運動支援装置1は走行駆動部12に対する動作指示及び駆動の制御を行う制御部20を備えている。
基台11は、装置1を床面に安定姿勢で設置するためのもので、人が走行運動動作を行い得るに必要な所要の幅に対応する所定間隔を左右方向に置いて平行配置された左右フレーム部111と、左右フレーム部111を前後で固定する前後フレーム部112等を備えている。
走行駆動部12は、左右フレーム部111の前後部でそれぞれ両端が支持された互いに平行な前ローラ121と後ローラ122(図7参照)、前後ローラ121,122に掛け渡されて周回動作をすることで擬似的な走行路として機能する、所定幅を有する無端状の走行用ベルト123、及び図1では見えていないが、一方のローラ、ここでは前ローラ121に回転力を与えて走行用ベルト123に周回動作を行わせる駆動源としてのモータ124(図7参照)を備えている。なお、モータ124の回転軸と前ローラ121との駆動力伝達構造としては、それぞれの一部に固設されたギア同士の噛合やタイミングベルト掛け等の公知の技術が採用されている。
基台11において、走行用ベルト123の前後部(すなわち前後ローラ121,122の配置位置)には、その部分を幅方向全体に亘って覆う前後カバー113,114が取り付けられている。前カバー113は、モータ124を覆う役目も果たすものであり、さらに図2に示すように、前カバー113の上面適所、好ましくは略中央には、ペットの餌用の凹部115が形成されている。この凹部115には餌を直接入れてもよく、あるいは図2のように餌用皿Sを収納するものとしてもよい。後カバー114は、図3に示すように、基部114aと、基部114aから屈曲されて後ローラ122の後ろ半部を覆う覆面部114bとで構成されている。覆面部114bの内面側であって、走行用ベルト123と対向する、例えば内面上端部には左右方向に亘って、例えばブラシ状の掃除具114cが設けられ、ペットの抜け毛Haなどを掻き集めるなどして収拾するようにして、走行用ベルト123上面への散在や前後カバー113,114内への侵入と堆積とを効果的に阻止するようにしている。なお、収拾ゴミの回収は、電気掃除機等で掃除具114cの部分を直接吸引してもよく、あるいは、後カバー114を基部114aで左右フレーム部111に回動可能に取り付けておいて、使用時には閉塞させ(図3の状態)、掃除時には開成するようにしてもよい。フェンス116は左右フレーム部111に左右対称に立設され、走行用ベルト123上を走行するペットの左右への落下等を防止するものである。
支持体13は、基台11に、ここでは前フレーム部112から立設され、頂部で連接された略逆U字状の支柱131と、支柱131の高さ方向の途中適所から後方に向けて所要寸法だけ延設された棒状の把持部132とを備えている。把持部132は運動中の使用者が手で掴むことで運動時の姿勢の安定を図るものである。支柱131の適所、ここでは頂部の連接部位の左右略中央位置に、所定形状、例えば略平板状の機器ケース(筐体)200を有する制御部20が装着具201によって装着されている。装着具201は機器ケース200の後面との間で、球体と、球体の少なくとも半分以上を囲繞する凹部とからなる公知の連結構造、例えばユニバーサルジョイント構造で連結されており、装着状態で、所要の摩擦負荷を有して、機器ケース200が360度、少なくとも180度回転可能(図4(b)の矢印参照)、かつ所要角度だけ傾倒(図4(a)の矢印参照)可能にされると共に、各位置で姿勢が維持されるようにしている。あるいは、所要の位置で節度感を付与する構造を採用しても良い。操作摘み201aは回動することで、支柱131に対して締め付けと弛緩を行う公知のものである。図4は、機器ケース200の移動を示すもので、図4(a)は傾倒状態を、図4(b)は回転状態を示している。
繋ぎ止め機構部14は、支柱131の高さ方向適所、例えば略中央部であって、把持部132の下方位置に装備されている。繋ぎ止め機構部14は、図5に詳細に示すように、左右の支柱131に対して水平軸周りに回動可能に取り付けられた所定長を有する回動アーム141と、両方の回動アーム141の先端同士を連結する連結部材142と、支柱131と回動アーム141の長さ方向適所、例えば略中間位置との間に係止されたバネ143(付勢部材に相当)と、連結部材142の中央位置に取り付けられた、ペットを繋ぎ止めるための繋ぎ部材144とを備える。繋ぎ部材144は、本実施形態では、所要長を有する棒状の保持ロッド144aと、その先端に取り付けられ、ペットの拘束紐(リード)30を連結するホルダー144bとからなる。回動アーム141は、支柱131に摺動可能に嵌合されたボス部材140aに水平軸周りに回動可能に設けられ、ボス部材140aは回動による支柱131との間の締め付けと弛緩とによって上下方向への摺動による高さ調整と所要高さ位置での固定とを行う摘み140b(ロック部材に相当)とを有する。
なお、ボス部材140aを長尺にして、バネ143の一端をボス部材140aで係止する構造としてもよい。摘み140bによって、繋ぎ止め機構部14の高さ位置が調整されるので、ペットの種類とか背丈に合わせた高さ調整が可能となる。また、ペットを繋ぎ部材144に繋いだ状態で、走行用ベルト123の周回速度が相対的にペットの走行速度より速いときには、バネ143の弾性力によって回動アーム141が後方に回動するので引っ張り力が緩衝され、ペットの体、特に首部近傍に対する負担を軽減できる。さらに、繋ぎ止め機構部14の特に連結部材142は、ペットが繋がれて、運動中(使用中)にはほぼ後方に位置しているが、ペットが繋がれていないバネ開放状態ではバネ143の圧縮力によって上方に回動した退避位置に位置決めされる。このように、バネ143は、緩衝機能と使用位置と退避位置との間での自動的な位置移動機能とを果たしている。
制御部20は、図4に示すように機器ケース200の上面に液晶パネル等が露呈した表示部21及び操作部材が露呈状態で配置された操作部22を備えると共に、内部に制御用の回路部(図7参照)が装填されている。
図6は、制御部20の表示部21、操作部22の詳細を示すものである。表示部21は機器ケース200の正面部の略中央に配置され、その画面に、時間表示域P1、距離表示域P2および速度表示域P3が(図6の)上側からこの順に形成され、その他の余白域に、必要に応じてペットを模擬した画像G0が表示される基本画面を形成するものである。なお、モードの選択結果は、表示部21の「時間」、「距離」のうち、選択された表示域の表示形態が他方と区別される態様で、例えば枠画像が表示されたり、該当文字が色違いにされたり、点滅したりするなどするようにしている。図6では、「時間」の表示文字の周りに枠画像が表示されて、「時間モード」が選択中であることが判るようにしている。さらに、「速度」設定中は対応する文字「速度」の表示領域に対して設定中を示すための表示形態(図6では白黒反転表示)が採用され、これにより操作者に対して操作状況を効果的にガイド及び確認容易としている。
表示部21の周りには、操作部22やスピーカ23が設けられている。操作部22は、電源入/切・スイッチとしてのボタン221、運動モードの選択や、設定内容のキャンセルを行う選択/キャンセルボタン222、決定/スタートボタン223、速度/設定アップボタン224、速度/設定ダウンボタン225、ストップボタン226からなる。操作ボタン221〜226は、例えば、固定端子と可動の操作端子とを備え、操作端子を押下することで操作端子が固定端子に接触して、押下操作を検知する公知の機械式スイッチで構成されている。各ボタンの構造は特に押しボタン構造に限定されず、接触式の静電スイッチや非接触式の近接スイッチ等でもよい。
センサ40は、左右フレーム部111の一方であって、走行用ベルト123の後方側に配置されている。センサ40は好ましくは近接スイッチで構成され、例えば赤外線を媒体とした発光部と受光部とを備え、走行用ベルト123上の物体(主にはペット)の有無を検知するものである。センサ40は左右フレーム部111の前後方向に対して配置位置が変更可能にされており、ペットの体長等に合わせて位置調節が可能にされている。
図7は制御部の一例を示すブロック構成図である。同図において、演算処理部24はマイクロコンピュータ等で構成され、操作部22の各ボタン221〜226や、処理プログラムや処理に必要な固定データ、また必要な画像データ類(文字フォント含む)を格納するROMや処理途中のデータを一時的に記憶するRAMなどからなるメモリ部240が接続されている。画像処理部211はビデオRAMや表示走査部を有し、演算処理部24で得られた情報をビデオRAMに画像として展開し、表示走査部によって表示部21に周期的に導くものである。音声処理部231は同様に所要の操作ガイドのための音声や、効果音とかペットへの号令乃至は指令音等を運動開始や終了時、またセンサ40の検知に応じて発するための音声合成処理等を行ってスピーカ23に出力するものである。
駆動部25は、演算処理部24からの駆動指示信号(速度指示含む)に従ってモータ124に駆動信号を出力するものである。速度調整は、モータの種類によって異なり、公知の方法、例えば電力レベル調整、デューティー比率調整、あるいは駆動パルスの周波数調整等の公知の方法が採用可能である。なお、走行用ベルト123の周回速度は、予め駆動指示信号と実際の周回速度との関係から設定することができる。または、モータ124の駆動信号、あるいはモータ出力軸に一体化されたエンコーダから回転パルスを取り出し、これを、演算処理部24で、時間軸方向に計測することで得られるモータ回転速度、すなわち走行用ベルトの周回速度をフィードバックして調整設定する態様のいずれでもよい。
演算処理部24は、運動モード設定部241、運動内容設定部242及び運動監視部243を備えると共に、計時のためのタイマ244を内蔵する。運動モード設定部241は、操作部22からの操作入力に応じて運動量を運動時間「時間モード」で設定するか、走行距離「距離モード」で設定するかの指示を判断し、指示されたモードに応じた処理を行うものである。運動内容設定部242は、操作部22からの操作入力に応じて各モードでの運動内容を判断し、設定内容に従って走行駆動部12のモータ124に駆動信号、停止のための信号を出力するものである。運動監視部243は、走行距離、時間が設定モードにおける設定値に達したか否かの判定、モータ124の駆動中に操作部22のストップボタン226からの操作入力や、センサ40の検出状態の監視を行うものである。
図8は、演算処理部24による動作を説明するフローチャートである。先ず、電源入/切ボタン221が押下されて電源が投入されると、図6に示す基本画面の表示が行われ(ステップST1)、次いで選択/キャンセルボタン222へのモード選択のための操作状況の監視状態に移行する(ステップST3)。
ここで、選択/キャンセルボタン222の押下が検知されると(ステップST3でYES)、「時間モード」と「距離モード」の選択状態が変更され(ステップST5)、現在表示中の枠画像が消去され、他方の(変更された側の)モードを示す文字側に枠画像が表示される。なお、当初の基本画面としては一方がデフォルトとして初期設定されていてもよいし、直前の使用モードを記憶しておいてこれを最初に表示部21に表示するようにしてもよい。
モード選択のための操作は、選択/キャンセルボタン222の押下の毎に「時間モード」と「距離モード」とが交互に選択される。ステップST3で選択/キャンセルボタン222が押下されなければ、現在選択しているモードのままで、ステップST5に移行する。今、表示部21に「距離モード」を表す画面になっていて、この状態で決定/スタートボタン223の押下が検出されると(ステップST3)、「時間モード」の選択に切り替わる(ステップST5)。
次いで、決定/スタートボタン223が押下されたか否かの判断が行われ(ステップST7)、押下されていなければ、ステップST3に戻り、押下されたのであれば、モードの確定処理が行われる(ステップST9)。
選択モードが確定すると、速度/設定アップボタン224、または速度/設定ダウンボタン225のいずれかが押下されたか否かの判断が行われ(ステップST11)、押下の毎に数値が所定単位ずつ、例えば「時間モード」が選択されている場合には、1秒単位でのアップ、ダウンで変更設定され、「距離モード」が選択されている場合には、0.1km単位でのアップ、ダウンで変更設定される(ステップST13)。なお、ボタンの押下が継続していることを検知し、その間、所定の速度で数値がアップ(又はダウン)していく態様として、設定操作を容易化するようにしてもよい。
続いて、決定/スタートボタン223の押下が検出されると(ステップST15)、駆動部25に対して駆動指示信号が出力され、モータ124によって所定の設定速度(初期速度)で走行用ベルト123(図7)の周回動作が開始される(ステップST17)、表示部21の速度表示域P3に初期速度が表示される。走行用ベルト123の始動時には、運動内容設定部242によって、速度が徐々に上昇して初期速度に達するスローアップスタート処理を行わせるのが好ましい。
走行用ベルト123が始動されると、運動監視部243によって、周回速度(速度表示域P3に表示されている速度)とタイマ244とから所定時間毎の走行距離が算出され、直前までの算出値に加算されて総走行距離が求められ(ステップST19)、メモリ部240に逐次更新的に書き込まれる。
続いて、速度/設定アップボタン224、または速度/設定ダウンボタン225のいずれかが押下されたか否かの判断が行われ(ステップST21)、押下の毎に速度が所定単位ずつ、例えば時速0.1km単位でアップ、ダウン方向に変更設定され(ステップST13)、この設定内容に従って、運動内容設定部242は、駆動指示信号を駆動部25に出力する(ステップST23)。
次いで、運動監視部243によって、設定モードにおける設定値に達したか否かの判定が行われる(ステップST25)。すなわち、設定モードが「時間モード」の場合に、タイマ244によって計時された時間が予め設定した時間に達したか否か、また設定モードが「距離モード」の場合に、速度とタイマ244による単位時間毎の走行距離の総和が予め設定した距離に達したか否が判断される。設定値に達していれば、運動内容設定部242によって速度が徐々にダウンするスローダウンのための駆動指示信号が駆動部25に出力される(ステップST27)、最終的に走行用ベルト123の停止が行われる。(ステップST29)。
一方、ステップST25で、設定値に達していなければ、運動監視部243によって、ストップボタン226が押下されたか否か、あるいはセンサ40が障害物有りの検出信号を出力したか(運動者又はペットが走行用ベルト123の後方側へ押し流された場合など)の判断が行われ(ステップST31)、いずれの判断も否定されれば、ステップST21に戻り、いずれか一方でも、その判断が肯定されると、運動内容設定部242によって速度が徐々にダウンするスローダウンのための駆動指令信号が駆動部25に出力される(ステップST33)、最終的に走行用ベルト123の一旦停止が行われて(ステップST29)、ステップST15に戻る。そして、ステップST15で、決定/スタートボタン223の押下が検出されると、駆動部25に対して、再び駆動指示信号が出力され、モータ124によって所定の初期速度、あるいは直前の走行運動時の設定速度で走行用ベルト123の周回動作が再開される(ステップST17)。これにより、一時的な停止の後、当初の運動に復帰することが可能となる。なお、一時停止の期間は、タイマ244を利用することで所定の時間に予め設定するようにすることもでき、これにより自動再開が可能となる。
図9は、本発明に係る運動支援装置の他の実施形態を示す斜視図である。同図において、繋ぎ止め機構部14′は、図1と同様、支柱131の高さ方向適所、例えば略中央部であって、把持部132の下方位置に装備されている。その他の構成は図1と同様である。
繋ぎ止め機構部14′は、左右の支柱131に対して水平軸周りに回動可能に取り付けられた所定長を有する回動アーム141′と、両方の回動アーム141′の先端同士を連結する棒状、好ましくは円柱状の連結棒部材142′と、所定長を有し、開放状態乃至は開放状態に近い状態で連結棒部材142′に遊嵌されたコイル状バネ143′と、コイル状バネ143′の両端に結ばれたペットを繋ぎ止めるための繋ぎ部材144′とを備える。繋ぎ部材144′は、その両端がそれぞれコイル状バネ143′の両端に結ばれた所要長を有する変形自在な紐材144a′と、その長さ方向中央に取り付けられ、ペットの拘束紐(リード)30を連結するホルダー144b′とからなる。
ホルダー144b′にペットが繋がれていない、又は繋がれていても、走行用ベルト123の前後方向の中央乃至は前側にいる時は、図9に示すように、コイル状バネ143′が開放状態にあって、コイル状バネ143′は連結棒部材142′の長さ方向に開放されている。一方、ペットが走行用ベルト123の走行速度より遅れ又は走行を止めることで後方側に押し流された状態では、図10に示すように、紐材144a′は後方への引っ張り力Fを受けるが、この力Fによってコイル状バネ143′の両端に連結棒部材142′の長尺方向への成分力(図10中、矢印Faで示す)が生じて、コイル状バネ143′が弾性圧縮される。このコイル状バネ143′の弾性圧縮によって、紐材144a′の中心のホルダー144b′が弾性力を介して後方に移動することになるので、ペットには拘束紐30を介して急激な力が作用しないことになる。
また、回動アーム141′は、支柱131に摺動可能に嵌合されたボス部材140a′に設けられ、ボス部材140a′は、回動による支柱131との間の締め付けと弛緩とによって上下方向への摺動による高さ調整と所要高さ位置での固定(ロック)とを可能にする摘み140b′(ロック部材に相当)を有する。摘み140b′によって、繋ぎ止め機構部14′の高さ位置が調整されるので、ペットの種類や背丈に合わせた高さ調整が可能となる。
また、回動アーム141′は基端の回動軸141a′でボス部材140a′に回動可能に取り付けられており、かつボス部材140a′が対向する面側の適所に凸状のストッパ等を設けることで、回動アーム141′が旋回時に、ストッパに当接して、回動範囲が規制されるようにしている。回動範囲としては、使用位置では、後方(例えば水平)、すなわち走行側に向けることができ、退避位置では上方やや前方(すなわち重力的に姿勢安定可能な角度位置)に、あるいは前方側(例えば水平)まで旋回しうるようにすればよい。あるいは、ボス部材140a′が対向する面側に回動アーム141′がボス部材140a′に対して弛緩状態を与える摘み(締め付け部材)を設け、これによって、使用位置と退避位置とに位置変更し、かつ変更位置でロックしうる構成としてもよい。締め付け方法としては公知の種々の方法が採用可能である。また、退避位置側のみが重力的に、又はロックされて当該位置で姿勢安定されればよく、使用位置はフリーとする態様でもよい。
図11は、本発明に係る運動支援装置の更に他の実施形態を示す斜視図である。図11の運動支援装置は、図9に示すものに比して、支持体13の形状が僅かに異なると共に、フェンス116に透明板116aが付加されたものである。
図12、図13は、図11に示す運動支援装置の使用態様を示す斜視図で、図12はペットに走行運動を行わせる使用態様であり、図13は人が走行運動する使用態様である。図12に示すように、ペットに走行運動を行わせる使用態様では、ペットを走行用ベルト123に乗せたのち、ペット拘束紐30の先端部をホルダー144b′に連結する。制御部20は、表示部21が前方を向くように姿勢変更されており、この状態で、ペットの状態を観察しながら、ペットの走行状態に合わせたモード設定や速度設定等の操作が容易に行えるようにしている。
図13に示すように、人が走行運動を行う場合には、繋ぎ止め機構部14′は不使用、すなわち退避位置に位置されており、これにより、運動者の膝などが不用意に繋ぎ止め機構部14′に当たることがなくなり、通常の走行動作と同様な動きで好適に脚強化の運動支援が図れると共に、ペットと人がこの運動支援装置1を兼用して使用することができ、経済的でかつ設置スぺースに無駄がなく、実用的で汎用性がある。
なお、上記各実施例において、走行用ベルトの走行速度の最高速度を、ペット、特に犬の走行時の安全を考慮し、例えば8km/hと設定するようにしてもよい。この最高速度を人間用にも適用する場合には、例えばリハビリ用の歩行装置として供することができる。
本発明は、以下の態様を採用することが可能である。
(1)繋ぎ止め機構部14′の使用位置と退避位置との位置変更は回転(旋回)によるもので説明したが、これに限定されず、ボス部材140a(140a′)を把持部132の直下までスライド可能とし、この位置を退避位置とすることも可能である。この場合、回動アーム141(141′)は回動させなくでもよい。
(2)運動監視部243は、センサ40がペットを検知した場合に、一時的に速度を低下させ、その状態でセンサ40の出力状態を監視し、ペットが検知されなければ、元の設定速度に(スローアップ処理などを介して)戻すようにしてもよい。この場合、疲労回復なども考慮して所定の時間を置いて、戻すようにしてもよい。また、所定時間内にセンサ40が再びペットを検知したときには、疲れあるいは飽き等を考慮して停止処理させるようにしてもよい。
(3)上記各実施例において、各メニューや走行機能については人間、ペット兼用としているが、制御部20に犬/人間モード切替ボタンを設け、犬用/人用のメニューやテーブルを切り換えるようにしてもよい。