JP4266255B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池を走行動力源とした自動車のための空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関を走行動力源とした自動車の空気調和装置は、通常、冷凍サイクルを用いている。その冷凍サイクルは内燃機関で駆動されるのが一般的である。
【0003】
近年、自動車の増加に伴い排気ガスによる大気汚染や騒音の発生が問題となっている。電気自動車はこれらの問題が少ないため、実用が促進されている。
【0004】
電気自動車の電源として、水素と酸素とを用いる燃料電池が注目されている。この種の燃料電池は、電解質層を挟んでその両側にアノード及びカソードを配設し、アノードに水素を接触させるためのアノード室と、カソードに酸素を接触させるためのカソード室とを備えている(例えば特開昭63−135755号公報や特開平3−7613号公報参照)。なお、カソードに対する酸素の接触は、カソード室に空気を流通させることで行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような燃料電池を走行動力源とした自動車にあっては、冷凍サイクルを用いた空気調和装置はそれを駆動するために電動機を必要とするから適当でない。
【0006】
それ故に本発明の課題は、燃料電池を走行動力源とした自動車に適した空気調和装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水素と空気とを用いる燃料電池を走行動力源とした自動車のための空気調和装置において、前記燃料電池の空気流通路の出口に接続され該空気流通路から出るガスと前記自動車の車室内空気とを熱交換する熱交換装置を備え、前記熱交換装置は、第1及び第2の流路と、熱交換器と、前記第1及び第2の流路を択一的に前記熱交換器と前記燃料電池の空気流通路の出口との間に接続させる流路切替手段とを含み、前記第1の流路は、前記燃料電池から排出されるガスを排気側放熱器及び膨張機を介して前記熱交換器に導入して前記熱交換器に吸熱を起こさせるものであり、前記第2の流路は、前記燃料電池から排出されるガスを直接に前記熱交換器に導入して前記熱交換器に放熱を起こさせるものであり、前記熱交換器の吸熱又は放熱により車室内の空気調和を行うことを特徴とする空気調和装置が得られる。
【0008】
前記燃料電池の空気流通路の入口に接続され大気から空気を前記燃料電池に供給する圧縮機を含んでもよい。
【0009】
前記圧縮機と前記燃料電池の空気流通路の入口との間に接続され、前記燃料電池に供給される空気の放熱を行う給気側放熱器を含んでもよい。
【0010】
前記燃料電池をバイパスするバイパス手段を設け、前記燃料電池で発電を行わない場合には前記バイパス手段を通った空気を用いて車室内の空気調和を行うようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る空気調和装置について説明する。
【0014】
この空気調和装置は、水素と酸素とを用いる燃料電池1を走行動力源とした自動車に搭載されるものである。ここで使用する燃料電池1は、上述した特開昭63−135755号公報や特開平3−7613号公報に記載されたものと同様なものであり、水素を供給されるアノード室2と酸素の供給のために空気を通されカソード室として働く空気流通路3とを有する。水素と空気の供給に応じ、燃料電池1は発電し電力出力装置4より電力を出力する。この電力により、自動車が駆動される。なお、燃料電池1を冷却するために冷却手段5を備えている。
【0015】
燃料電池1の空気流通路3の入口には、給気側放熱器6を介して圧縮機7が接続されている。圧縮機7は駆動モータ8にて駆動され、大気から例えば20℃で1気圧の空気を取り込み、給気側放熱器6を通して空気流通路3に給気する。給気側放熱器6ではファンモータ9にて放熱を促進される。こうして、例えば70℃で3気圧の空気が空気流通路3に送り込まれる。なお、駆動モータ8及びファンモータ9は、自動車に搭載されているバッテリー11にて駆動される。
【0016】
燃料電池1で発電した結果、それの空気流通路3の出口からは例えば80℃で3気圧のガスが排気される。このガスの温度を利用するため、空気流通路3の出口に排気側放熱器12が接続されている。この排気側放熱器12は車室内に連通し得る部屋に配される。したがって、排気側放熱器12からの放熱により車室内の暖房を行うことができる。ここで、排気側放熱器12を熱交換装置と呼ぶ。
【0017】
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る空気調和装置について説明する。図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0018】
この空気調和装置においては、排気側放熱器12の出口に膨張機14を介して熱交換器15が接続されている。熱交換器15は車室内に連通し得る部屋に配される。燃料電池1の空気流通路3の出口からは例えば80℃で3気圧のガスが排気される。このガスは排気側放熱器12に導入されて放熱し、例えば30℃で3気圧のガスになる。このガスは膨張機14を経て例えば−10℃で1気圧のガスになる。このガスは、熱交換器15が吸熱器として働くことで吸熱し、例えば20℃で1気圧のガスとして排気される。この時、熱交換器15での吸熱により車室内の冷房を行うことができる。この場合、排気側放熱器12、膨張機14、及び熱交換器15を合わせて熱交換装置と呼ぶ。
【0019】
図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る空気調和装置について説明する。図2と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0020】
この空気調和装置は、さらに、排気側放熱器12及び膨張機14を含む第1の流路16に対し並列な第2の流路17と、第1及び第2の流路16,17を択一的に熱交換器15と燃料電池1の空気流通路3の出口との間に接続させる流路切替手段18とを含んでいる。第1の流路16は、上述したように、燃料電池1から排出されるガスを排気側放熱器12及び膨張機14を介して熱交換器15に導入してその熱交換器15に吸熱を起こさせるものである。第2の流路17は、燃料電池1から排出されるガスを直接に熱交換器15に導入してその熱交換器15に放熱を起こさせるものである。なお熱交換器15は車室内に連通し得る部屋に配されている。
【0021】
この空気調和装置においては、流路切替手段18が燃料電池1の空気流通路3を第1の流路16に接続させているときには、熱交換器15が吸熱器として働き車室内を冷房することができる。この場合、熱交換器15からは例えば20℃で1気圧のガスが排出される。また、流路切替手段18が燃料電池1の空気流通路3を第2の流路17に接続させているときには、熱交換器15が放熱器として働き車室内を暖房することができる。この場合、熱交換器15からは例えば20℃で3気圧のガスが排出される。ここでは、排気側放熱器12、膨張機14、熱交換器15、第2の流路17、及び流路切替手段18を合わせて熱交換装置と呼ぶ。
【0022】
なお膨張機14で仕事を外部に取り出すように構成することもできる。
【0023】
その他、燃料電池1で発電しない場合、つまり、燃料電池1を使わないで、搭載しているバッテリーのみで自動車が走行するような場合には、給気側放熱器6から70℃で3気圧の空気を燃料電池1の空気流通路3を通さず流路切替手段18に直に接続するようにバイパス通路手段を設けておけば、上記本発明の第3の実施の形態と同様に流路切替手段18を第1の流路16に接続させているときには熱交換器15が吸熱器として働き、車室内を冷房することができる。同様に、流路切替手段18が第2の流路17に接続されているときには、車室内を暖房することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃料電池を走行動力源とした自動車に適した空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る空気調和装置の概略説明図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る空気調和装置の概略説明図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る空気調和装置の概略説明図。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 アノード室
3 空気流通路
6 給気側放熱器
7 圧縮機
12 排気側放熱器
14 膨張機
15 熱交換器
16 第1の流路
17 第2の流路
18 流路切替手段
Claims (4)
- 水素と空気とを用いる燃料電池を走行動力源とした自動車のための空気調和装置において、前記燃料電池の空気流通路の出口に接続され該空気流通路から出るガスと前記自動車の車室内空気とを熱交換する熱交換装置を備え、前記熱交換装置は、第1及び第2の流路と、熱交換器と、前記第1及び第2の流路を択一的に前記熱交換器と前記燃料電池の空気流通路の出口との間に接続させる流路切替手段とを含み、前記第1の流路は、前記燃料電池から排出されるガスを排気側放熱器及び膨張機を介して前記熱交換器に導入して前記熱交換器に吸熱を起こさせるものであり、前記第2の流路は、前記燃料電池から排出されるガスを直接に前記熱交換器に導入して前記熱交換器に放熱を起こさせるものであり、前記熱交換器の吸熱又は放熱により車室内の空気調和を行うことを特徴とする空気調和装置。
- 前記燃料電池の空気流通路の入口に接続され大気から空気を前記燃料電池に供給する圧縮機を含む請求項1記載の空気調和装置。
- 前記圧縮機と前記燃料電池の空気流通路の入口との間に接続され、前記燃料電池に供給される空気の放熱を行う給気側放熱器を含む請求項2記載の空気調和装置。
- 前記燃料電池をバイパスするバイパス手段を設け、前記燃料電池で発電を行わない場合には前記バイパス手段を通った空気を用いて車室内の空気調和を行う請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和装置。
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