JP4265776B2 - 被削性に優れた硫黄および硫黄複合快削鋼 - Google Patents

被削性に優れた硫黄および硫黄複合快削鋼 Download PDF

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Description

この発明は、被削性向上元素である硫黄およびその他の被削性向上元素を含有した低炭素の硫黄および硫黄複合快削鋼に関するものであり、さらには、切屑処理性、面粗さを含めた被削性に優れた快削鋼に関するものである。
従来、低炭素快削鋼としては、快削元素として、硫黄(S)および鉛(Pb)を添加することにより快削性を付与する硫黄および硫黄複合快削鋼が知られている。また、被削性については、硫化物が大きいほど、または、紡錘状に近いほど被削性が向上すると言われている。これまで、被削性に有効な紡錘状の形態に制御するために一般的には多量の酸素を添加し紡錘状としている。
しかしながら、全ての酸素が硫化物に固溶しないため、同時に巨大酸化物の生成が回避できず、地疵の原因となって、加工製品に対する重大な欠陥の発生原因となっている。また、硬質のアルミナクラスタが生成し、機械的性質が劣化する。
これに対して、特開平1−309946号公報(以下、特許文献1という)には、巨大酸化物の生成を回避するために、酸素量を0.008mass%以下に限定した快削鋼が開示されている。以下、従来技術1という。
特公平1−32302号公報(以下、特許文献2という)には、アルミナクラスタの生成を回避するために、酸素量を0.0030mass%以下に限定した快削鋼が開示されている。以下、従来技術2という。
特開2000−87179号公報(以下、特許文献3という)には、硫化物を被削性に有効な紡錘状の形態に制御するために酸素ではなく、Ca、あるいは、Mgを添加した快削鋼が開示されている。以下、従来技術3という。
特開2003−268488号公報(以下、特許文献4という)には、硫化物系介在物の大型化とは正反対に主たる硫化物系介在物の平均サイズを50μm以下とし、かつ、硫化物系介在物の個数を1mm2当たり500〜1000個存在した高硫黄快削鋼が開示されている。以下、従来技術4という。
特開平1−309946号公報 特公平1−32302号公報 特開2000−87179号公報 特開2003−268488号公報
しかしながら、上記先行技術は、以下のような問題を有していた。
先行技術1は、酸素量を0.008mass%以下に限定しているが、この場合、単に酸素量を低減しているのみなので、硫化物の紡錘状への形態制御が十分でない。このため、伸長した硫化物が存在するようになるので、被削性の観点からみて不安である。
先行技術2は、酸素量を0.0030mass%以下に限定しているが、この場合も単に酸素量を低減しているのみなので、硫化物の紡錘状への形態制御が十分でない。このため、伸長した硫化物が存在するようになるので、被削性の観点から見て不安である。
先行技術3は、Ca、あるいは、Mgの添加により硫化物を紡錘状にしているが、Ca、あるいは、Mgは蒸気圧が高いため、製造時添加することが難しく、硫化物の紡錘状への形態制御が十分でない。このため、伸長した硫化物が存在するようになるので、被削性の観点から見て不安である。
先行技術4は、殆ど小さな硫化物であるため、被削性の観点から、特に工具寿命、切屑処理性の観点から見て不安である。
従って、この発明の目的は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、硫化物を紡錘状化することにより被削性を向上させるのではなく、硫化物を大型化することにより、同時に、微細な硫化物を混在させることにより、被削性に優れた硫黄および硫黄複合快削鋼を提供することにある。
硫化物の大型化ならびに微細化は、上記した酸素量、Ca量、および、Mg量に影響されないため、それらの添加物の有無、ならびに、添加量によらず被削性の向上が図られるが、硫化物の大型化・微細化と同時に、並行して、酸素、Ca、Mg添加による硫化物を紡錘状に形態制御することによる被削性の向上は可能であるので、さらに被削性を向上する目的でそれらを添加することに何ら問題は生じない。
本願発明者等は、上述した目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
(1)大型硫化物と微細硫化物とを混在させると、大型硫化物の切欠き効果により発生した切屑中の亀裂を微細硫化物が伝播・成長することが助長されるので、被削性が飛躍的に向上する。また、被削性のうち、大型硫化物は、工具摩耗、切屑処理性を主に向上させ、微細硫化物は、面粗さを主に向上させる。
(2)硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域を30℃以上とすることにより、被削性のうち、特に工具寿命、切屑処理性を向上させるのに十分な大きさの硫化物の確保が可能となる。
(3)Cr、MnおよびSの適量添加ならびにMn/Cr比の適正化を図ることにより、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域を30℃以上とすることが可能となり、その結果、硫化物の大型化が図られ、被削性のうち、特に工具寿命、切屑処理性の向上が可能となる。
(4)固相中の飽和S溶解度を150 massppm以上とすることにより、被削性を向上、特に面粗さを向上させるのに十分な量の微細硫化物を析出させることが可能となる。また、同時に、この微細析出物は圧延再加熱時のオーステナイト粒成長の抑制、あるいは、フェライト変態の核として機能し、圧延材のミクロ組織を細粒化させる。ミクロ組織の微細化も被削性を向上、特に面粗さを向上させる。
(5)Cr、MnおよびSの適量添加ならびにMn/Cr比の適正化を図ることにより、固相中の飽和S溶解度を150 massppm以上とすることが可能となり、被削性を向上、特に面粗さを向上させるのに十分な量の微細硫化物を析出させることが可能となる。また、同時に、この微細析出物は圧延再加熱時のオーステナイト粒成長の抑制、あるいは、フェライト変態の核として機能し、圧延材のミクロ組織を細粒化させる。ミクロ組織の微細化も被削性を向上、特に面粗さを向上させる。
(6)上述の(2)および(3)のように、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域を30℃以上とすることにより、被削性を向上させるのに十分な大きさの硫化物の確保が可能となるが、その反面、固相線温度が低下した場合、熱間加工性が低下し、圧延表面疵が生じやすくなることから、固相線温度を1300℃以上とすることにより、圧延時の表面疵の回避が可能となる。
この発明は、上述した知見に基づきなされたものであって、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、C:0.02〜0.15%、Si:0.1%以下、Mn:0.05〜1.8%、P:0.04〜0.12%、S:0.16〜0.49%、Cr:0.3〜2.3%、Al:0.01%以下、O:0.003〜0.035%、N:0.005〜0.015%(以上、mass%)、残部:不可避的に混入する元素およびFeからなり、かつ、下記条件
Mn/Cr比:2.53〜5
を満足し、鋼中の硫化物について、円相当径で20μm以上の大型硫化物が1mm当り100個以上存在し、同じ領域に円相当径で1μm以下の微細硫化物が1mm当り1000個以上存在し、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼が共存する固液共存温度域が30℃以上であり、固相中の飽和S溶解度が150massppm以上であり、固相線温度が1300℃以上であることに特徴を有するものである。
この発明によれば、切屑処理性、表面粗さを含めた被削性に優れた硫黄および硫黄複合快削鋼を得ることができる。
この発明の限定理由について説明する。なお、%は、何れもmass%である。
C:0.02〜0.15%
Cは、鋼の強度および被削性に大きな影響を及ぼすので重要な元素である。しかしながら、その含有量が0.02%未満では十分な強度が得られない。また、含有量が0.15%を超えると強度が高くなりすぎて、被削性が劣化する。好ましくは0.10%以下である。従って、C含有量は、0.02〜0.15%の範囲内とする。
Si:0.1%以下
Siは、脱酸元素であり、この酸化物は硫化物の生成核として作用し、硫化物の生成を促進し硫化物を微細化することから、工具寿命をさらに延ばしたい場合は、0.1%以下に低減した方が良い。好ましくは0.03%以下に低減した方が良い。
Mn:0.05〜1.8%
Mnは、被削性に重要な硫化物形成元素である。しかし、一方で、飽和S溶解度を減少させる元素である。その含有量が0.05%未満では、硫化物量が少ないため、十分な被削性が得られない。同時に、固相線温度が1300℃未満となるため、熱間加工性が低下し、圧延表面疵が生じやすくなる。好ましくは、0.22%以上とする。また、含有量が1.8%を超えると、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域が30℃未満となり、その結果、晶出する硫化物の大部分が円相当径で3〜10μmと小さく晶出することから、被削性、とりわけ、工具寿命、切屑処理性が低下してしまう。また、飽和S溶解度が小さいことから、被削性に対して十分な量の微細硫化物を析出できないため、被削性、とりわけ、面粗さが低下してしまう。好ましくは、0.90%未満とする。従って、Mn含有量は、0.05〜1.8%の範囲内とする。
P:0.04〜0.12%
Pは、切削加工時に構成刃先の生成を抑制することにより、面粗さを低減させるのに有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.04%未満では、十分な効果が得られず、一方、0.12%を超えるとその効果が飽和するとともに熱間加工性および延性の低下が著しい。従って、P含有量は、0.04〜0.12%の範囲内とする。
S:0.16〜0.49%
Sは、被削性に有効な大型硫化物ならびに微細硫化物形成元素である。しかしながら、その含有量が0.16%未満では、硫化物量が少ないため、被削性に対する効果が小さい。同時に、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼が共存する固液共存温度域が30℃未満となり、その結果、晶出する硫化物の大部分が円相当径で3〜10μmと小さく晶出することから、被削性、とりわけ、工具寿命、切屑処理性が低下してしまう。一方、0.49%を超えると固相線温度が1300℃未満となるため、熱間加工性が低下し、圧延表面疵が生じやすくなる。従って、S含有量は、0.16〜0.49%の範囲内とする。
Cr:0.3〜2.3%
Crは、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域、飽和S溶解度、ならびに、固相線温度に大きく影響を及ぼす、この発明の根幹に関わる重要な元素である。しかしながら、その含有量が0.3%未満では固相線温度がかなり低温となり、熱間加工性が低下して、圧延時に表面疵が発生する。また、Crは、飽和S溶解度を増加させる元素であることから、被削性に対して十分な量の微細硫化物を析出できないため、被削性、とりわけ、面粗さが低下してしまう。一方、含有量が2.3%を超えると硫化物晶出時の硫化物と溶鋼とが共存する固液共存温度域が30℃未満となり、その結果、晶出する析出物の大部分が円相当径で3〜10μmと小さく晶出することから、被削性、とりわけ、工具寿命、切屑処理性が低下してしまう。好ましくは、1.5%以下である。従って、Cr含有量は、0.3〜2.3%の範囲内とする。
Al:0.01%以下
Alは、Siと同様に脱酸元素であり、この酸化物は、硫化物の生成核として作用し、硫化物の生成を促進し硫化物を微細化することから、工具寿命をさらに延ばしたい場合は、0.01%以下に低減した方が良い。好ましくは、0.003%以下である。
O:0.003〜0.035%、N:0.005〜0.015%
O、Nは、被削性を重視するために添加するが、その添加量がO:0.003%未満、N:0.005%未満では十分な効果が得られない。一方、O:0.035%、N:0.015%を超えて添加してもこの効果が飽和してしまい、また、経済的にも不利である。従って、O:0.003〜0.035%、N:0.005〜0.015%の範囲内とする。
Mn/Cr比:2.53〜5
Mn/Cr比は、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域、飽和S溶解度、ならびに、固相線温度を左右する重要なインデックスで、この比を限定することにより、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域を30℃以上、飽和S溶解度を150massppm以上、ならびに、固相線温度を1300℃以上とすることのできる、本発明の根幹に関わる重要なインデックスである。その比が2.53未満であると固相線温度がかなり低温となり、熱間加工性が低下し、圧延時に表面疵が発生する。一方、その比が5を超えると、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が30℃未満となり、硫化物が大型化しないために、被削性、とりわけ、工具寿命、切屑処理性が向上しない。同時に、飽和S溶解度が小さくなり、被削性に対して十分な量の微細硫化物を析出できないため、被削性、とりわけ、面粗さが低下してしまう。好ましくは、3.5以下である。従って、Mn/Cr比は、2.53〜5の範囲内とする。
固液共存温度域
硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域を30℃以上とすることにより、硫化物は大型化し、被削性、とりわけ、工具寿命、切屑処理性向上に寄与するため、この発明の根幹をなす因子である。
固相線温度
固相線温度を1300℃以上とすることにより、熱間加工性の低下を抑制し、圧延時の表面疵を防止するため、この発明の根幹をなす因子である。
固相中の飽和S溶解度
固相中の飽和S溶解度を150 massppm以上とすることにより、被削性を向上、特に面粗さを向上させるのに十分な量の微細硫化物を析出させることが可能となる。また、同時に、この微細析出物は、圧延再加熱時のオーステナイト粒成長の抑制、あるいは、フェライト変態の核として機能し、圧延材のミクロ組織を細粒化させる。ミクロ組織の微細化も被削性を向上、特に面粗さを向上させるため、この発明の根幹をなす因子である。
円相当径で20μm以上の大型の硫化物系介在物が1mm2当たり100個以上存在し、かつ、同じ領域に円相当径で1μm以下の微細な硫化物系介在物が1mm2当たり1000個以上存在
被削性に関しては、大型硫化物と微細硫化物が混在していた方が有利である。大型硫化物と微細硫化物とを混在させることにより、大型硫化物の切欠き効果より発生した切屑中の亀裂を微細硫化物が伝播・成長することが助長されるので、被削性が飛躍的に向上する。また、被削性のうち、大型硫化物は、工具摩耗、切屑処理性を主に向上させ、微細硫化物は、面粗さを主に向上させる。そのためには、円相当径で20μm以上の大型硫化物が1mm2当たり100個以上存在し、かつ、同じ領域内に円相当径で1μm以下の微細な硫化物系介在物が、1mm2当たり1000個以上存在することが必要である。
以下に、この発明を実施例に従ってさらに詳細に説明する。
表1に示す、この発明の範囲内の化学成分組成を有する本発明鋼(No.1)、および、この発明の範囲外の化学成分を有する比較鋼(No.7〜11)、ならびにSUM23Lからなる参考鋼(No.12)を溶製し、鋳造断面400×310mmの鋼塊に鋳造後、それぞれ熱間圧延して直径80mmの棒鋼を調製した。表1に、各鋼の固液共存領域、固相線温度および固相中のS溶解度を合わせて示す。
Figure 0004265776
上記のようにして調製した本発明鋼からなる棒鋼(本発明例No.1)および比較鋼からなる棒鋼(比較例No.7〜11)ならびに参考鋼からなる棒鋼(参考例No.12)を用いて、以下のような試験を実施した。
硫化物の大きさ測定は、棒鋼の中間部の縦1mm×横1mmの領域に存在する硫化物全てについて、画像解析装置により面積を測定し、円相当径を求めた。同時に、円相当径別に個数も測定した。
なお、画像解析装置へ入力する像としては、倍率400倍の光学顕微鏡による観察像とした。被削性試験は、表2に示す条件で実施し、評価した。
表面疵試験は、300mm長さに棒鋼を切断し、酸洗後、表面疵の総面積を求めた。
表面疵は、面状に発生しているため、占有する面積の形で求めた。
また、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域、固相中の飽和S溶解度、ならびに、固相線温度は、熱力学データに基づいて平衡状態図を計算により作成可能なサーモカルクを用いて、計算により求めた。
表3に試験結果を示す。
Figure 0004265776
Figure 0004265776
表1から本発明鋼No.1は、参考鋼No.12と比較して、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が30℃以上と大きく、その結果、表3に示すように、硫化物の円相当最大径が大きいことから分かるように、硫化物が大型化しており、同時に固相中の飽和S溶解度が大きいことから、微細な硫化物も多数混在しており、また、フェライト粒径も細かくなっていることから、結果として、切屑処理性、面粗さを含めた被削性が良好であった。
以下に、比較例のNo.7〜11について記述する。
No.7は、Mn量が本発明範囲の上限値以上のため、固相中の飽和S溶解度が少なく、その結果、微細硫化物が少なく、同時に、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が30℃未満となって、硫化物の円相当最大径が小さいことから分かるように、晶出する硫化物の大部分が円相当最大径5μmと小さく晶出する。従って、被削性が何れの本発明例よりも劣っている。
No.8は、S量が本発明範囲の下限値以下のため、固相中の飽和S溶解度が少なく、その結果、微細硫化物が少なく、同時に、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が30℃未満となって、硫化物の円相当最大径が小さいことから分かるように、硫化物が小さく晶出している。この結果、被削性が何れの本発明例よりも劣っている。
No.9は、Cr量が本発明の請求範囲を外れており、Cr量が上限値以上のため、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が30℃未満となり、その結果、硫化物の円相当最大径が小さいことから分かるように、晶出する硫化物の大部分が円相当最大径で5μmと小さく晶出する。この結果、工具寿命、切屑処理性が何れの本発明例よりも劣っている。
No.10は、Mn/Cr比が本発明範囲の上限値以上のため、固相中の飽和S溶解度が少なく、その結果、微細硫化物が少なく、同時に、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼が共存する固液共存温度域が30℃未満となり、結果として、硫化物の円相当最大径が小さいことから分かるように、硫化物が小さく晶出している。この結果、被削性が何れの本発明例よりも劣っている。
No.11は、Mn/Cr比が本発明の請求範囲を外れており、Mn/Cr比が下限値以下のため、固相線温度が1300℃未満となり、その結果、熱間加工性が劣り、圧延時に広範囲にわたり表面疵が生じている。被削性については、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域がかなり大きいため、硫化物の円相当最大径が大きいことから分かるように、硫化物は大型化しているが、被削性に対する表面疵の悪影響が大きく、被削性は劣っており、特に外削の工具寿命、ならびに、面粗さが劣っている。
次に、図1にサーモカルクにより作成した状態図の一例として、ベース成分系を0.05%C−0.4%S−0.5%Mnとして、Cr%を0〜5%まで変化させた場合を示す。
図1から明らかなように、Cr%が上昇するにつれて、固相線温度が上昇し、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼との固液共存温度域が次第に狭くなっている。上述の本発明鋼No.1、比較鋼No.9がおおよそ図1に類似した成分系となるが、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼の固液共存温度域の幅により、硫化物が大型化、ないしは、小さく晶出するようになり、その大きさにより被削性、特に、切屑処理性、工具寿命が左右される。
ベース成分系を0.05%C−0.4%S−0.5%Mnとして、Cr%を0〜5%まで変化させた場合のサーモカルクにより作成した状態図である。

Claims (1)

  1. C :0.02〜0.15%、
    Si:0.1%以下、
    Mn:0.05〜1.8%、
    P :0.04〜0.12%、
    S :0.16〜0.49%、
    Cr:0.3〜2.3%、
    Al:0.01%以下、
    O :0.003〜0.035%、
    N :0.005〜0.015%(以上、mass%)、
    残部:不可避的に混入する元素およびFe
    からなり、かつ、下記条件
    Mn/Cr比:2.53〜5
    を満足し、鋼中の硫化物について、円相当径で20μm以上の大型硫化物が1mm当り100個以上存在し、同じ領域に円相当径で1μm以下の微細硫化物が1mm当り1000個以上存在し、硫化物晶出時の硫化物と溶鋼が共存する固液共存温度域が30℃以上であり、固相中の飽和S溶解度が150massppm以上であり、固相線温度が1300℃以上であることを特徴とする、被削性に優れた硫黄および硫黄複合快削鋼。
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