JP4265703B2 - 試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライダックによって電圧調整された試験電圧を試験対象機器に供給して所定の試験を行う試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる耐圧試験装置が従来から知られており、この耐圧試験装置では、試験対象機器の筐体とその交流入力端子との間に高電圧(例えば5KV)の試験電圧を所定時間継続して供給すると共に、その直後の状態における漏洩電流を測定する。この耐圧試験装置を用いた耐圧試験では、以下に述べる手順で行われる。まず、図3に示すように、試験対象機器に試験用プローブを接続する(ステップ31)。次いで、試験用プローブに試験電圧を出力し、その状態で、試験電圧監視用電圧計を確認しつつスライダックを調整することにより、予め規定された規定電圧と等しい電圧となるように試験電圧を設定する(ステップ32)。次に、試験電圧の出力を一旦停止する(ステップ33)。続いて、試験開始スイッチを操作する(ステップ34)。これにより、耐圧試験が開始される。この後、予め規定された、または任意に設定された試験時間を経過したときに(ステップ35)、漏洩電流を測定して耐圧試験を終了する(ステップ36)。この際には、漏洩電流が規定値未満のときには、試験対象機器を良品機器と判定し、漏洩電流が規定値以上のときには、試験対象機器を不良機器と判定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の耐圧試験装置には、以下の問題点がある。すなわち、従来の耐圧試験装置では、耐圧試験を実際に開始した際(ステップ34)には、スライダックで予め電圧調整した試験電圧を試験対象機器に供給している。このため、スライダックのダイヤルに物が当たったり手が触れたりした場合、試験電圧が予め電圧調整した電圧からずれて所定電圧範囲(例えば、規定電圧に対して±3%の電圧範囲)から外れてしまうことがある。したがって、従来の耐圧試験装置には、正規な電圧ではない試験電圧で耐圧試験を行うことに起因して、試験対象機器の良否を誤判定する事態が生じるという問題点がある。また、試験電圧設定の際に、試験電圧監視用電圧計を確認しつつスライダックによって電圧調整しているため、試験電圧が誤って設定されることもあり、かかる場合には、試験電圧の誤設定に起因して、試験対象機器の良否を誤判定する事態が生じるという問題点もある。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、正確な試験を行うことが可能な試験装置を提供することを主目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の試験装置は、入力した交流電圧を電圧調整するためのスライダックを備え、スライダックによって電圧調整された試験電圧を試験対象機器に供給する試験装置において、試験電圧に対する規定電圧を設定する設定手段と、設定手段によって規定電圧が設定されたときにその規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定すると共に、試験電圧の電圧値が所定電圧範囲内か否かを監視して、試験電圧が所定電圧範囲を外れていると判別したときに報知手段に報知させる制御部とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の試験装置は、入力した交流電圧を電圧調整するためのスライダックを備え、スライダックによって電圧調整された試験電圧を試験対象機器に供給する試験装置において、試験電圧に対する規定電圧を設定する設定手段と、設定手段によって規定電圧が設定されたときにその規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定すると共に、試験電圧の電圧値が所定電圧範囲内か否かを監視して、試験電圧が所定電圧範囲を外れたと判別したときに試験対象機器への試験電圧の供給を停止させる制御部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の試験装置は、請求項2記載の試験装置において、制御部は、試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れたと判別したときに、試験電圧の試験対象機器への供給を停止させることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の試験装置は、請求項1から3のいずれかに記載の試験装置において、試験電圧の電圧値を測定する測定部と、測定部によって測定された測定電圧を表示する表示部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る試験装置を耐圧試験装置に適用した実施の形態について説明する。
【0010】
図1に示すように、耐圧試験装置1は、入力した交流電圧VACを所定電圧に電圧調整するためのスライダック11と、スライダック11によって電圧調整された交流電圧を昇圧する昇圧トランス12と、交流電圧VACの入力端子およびスライダック11の電圧入力端子11a間に接点13aが接続されたリレー13と、昇圧トランス12の二次巻線12bに直列接続されて漏洩電流IL を検出するためのシャント抵抗14と、先端部に接続用クリップ15aがそれぞれ取り付けられて試験対象機器2に接続される試験用プローブ15,15とを備えている。また、耐圧試験装置1は、測定部21、制御部22、表示部23、操作部24、タイマ25およびスピーカ26を備えている。
【0011】
測定部21は、試験電圧としての出力端子16a,16b間の電圧VD1、およびシャント抵抗14の両端電圧VD2に基づく漏洩電流IL を測定する。制御部22は、停止手段に相当し、本発明における監視手段に相当するコンパレータ回路22aを内蔵する。制御部22は、測定部21によって測定された試験電圧および漏洩電流IL の表示部23への表示制御、試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れた際のスピーカ26に対する放音制御、およびリレー13のオン/オフ制御などの各種の処理を実行する。表示部23は、LCDパネルで構成され、耐圧試験の際の規定電圧、実際に試験対象機器2に供給されている試験電圧、測定された漏洩電流IL の電流値などを制御部22の制御下で表示する。操作部24は、本発明における設定手段に相当し耐圧試験の際の規定電圧などを入力するためのテンキー、試験開始スイッチ、および試験終了スイッチなどの各種の操作スイッチを備えている。タイマ25は、耐圧試験の試験時間をカウントするためのものであって、制御部22の制御下で、操作部24における試験開始スイッチの操作時から例えば1分間を経過した時にタイマ信号ST を制御部22に出力する。スピーカ26は、本発明における報知手段に相当し、試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れた際の警報音や、試験開始音および試験終了音などを制御部22の制御下で放音する。
【0012】
次に、耐圧試験装置1の全体的な動作について説明する。
【0013】
まず、試験対象機器2に試験用プローブ15,15を接続する。次いで、操作部24のテンキーによって規定電圧VS (例えば5KV)を設定する。この際には、制御部22が、その電圧値(5KV)を表示部23の規定電圧表示部23aに表示させる。次いで、試験開始スイッチを操作することにより、制御部22が、リレー13を制御して接点13aをオン状態に制御する。これにより、交流電圧VACの入力端子と、スライダック11の電圧入力端子11aとが接続される。この際には、スライダック11を介して入力された交流電圧VACが昇圧トランス12によって昇圧されて試験対象機器2に供給される。この場合、測定部21が、出力端子16a,16b間の電圧VD1を測定して制御部22に出力する。次いで、制御部22が、その電圧VD1を試験電圧として、表示部23の試験電圧表示部23bに表示させる。
【0014】
一方、オペレータは、試験電圧表示部23bを監視しつつ、試験電圧が規定電圧と等しくなるようにスライダック11を調整する。この場合、制御部22内のコンパレータ回路22aは、測定部21によって測定された電圧VD1が規定電圧表示部23aに表示されている規定電圧VS を中心とする所定電圧範囲(例えば規定電圧VS に対して±3%の電圧範囲、具体的には、図2において、電圧V2 〜V1 の電圧範囲)を外れているときに検出信号を生成する。なお、コンパレータ回路22aの所定電圧範囲は、規定電圧VS が設定された際に、制御部22によって自動的に規定される。したがって、オペレータは、その所定電圧範囲の設定操作を行うことなく、規定電圧VS を設定するだけでよく、この後に行われる耐圧試験を迅速に開始することができる。一方、制御部22は、コンパレータ回路22aから検出信号が出力されているときには、表示部23の試験電圧状態表示部23e(本発明における報知手段に相当する)を点滅表示させ、検出信号が出力されていないときには、試験電圧状態表示部23eを点灯表示させる。したがって、オペレータは、試験電圧状態表示部23eの表示状態を確認することによって、試験電圧が所定電圧範囲内に正しく設定されたか否かを直ちに認識することができる。このため、試験電圧を確実かつ正確に所定電圧範囲内に設定することができる。
【0015】
この後、オペレータによって試験終了スイッチが操作されると、制御部22は、リレー13をオフ状態に制御することにより、試験電圧の試験対象機器2への供給を停止する。続いて、試験開始スイッチが操作されると、制御部22は、タイマ25を作動させると共に、リレー13をオン状態に制御する。これにより、耐圧試験が開始される。この後、制御部22は、タイマ25からタイマ信号ST が出力されるまでの間、測定部21によって測定された電圧VD1を監視する。
【0016】
この際に、制御部22は、コンパレータ回路22aから検出信号が所定時間連続して出力されているときには、リレー13をオフ状態に制御することにより、試験電圧の試験対象機器2への供給を停止させる。具体的には、制御部22は、図2に示すように、試験開始の時間t0 から試験電圧が規定電圧VS に立ち上がるまでに必要とされる時間t1 までの短時間の間、コンパレータ回路22aから検出信号が出力されたときには、予め規定された所定時間よりも短い時間のため、リレー13をオン状態に維持制御する。一方、時間t2 の時点でスライダック11に物が当たった際には、試験電圧が変動する。この際に、例えば、試験電圧が、時間t3 の時点で所定電圧範囲(電圧V2 〜V1 の電圧範囲)を外れて低下したとすれば、その時点で、コンパレータ回路22aが検出信号を出力する。次いで、制御部22は、予め規定された所定時間を経過した時間t4 の時点でリレー13をオフ状態に制御すると共に、表示部23の試験状態表示部23cに試験停止状態を表示させて報知する。また、制御部22は、これと並行して、スピーカ26から警報音を放音させる。これにより、オペレータは、試験電圧に異常が生じたことを直ちに認識することができると共に、誤った試験を回避することができる。
【0017】
一方、試験開始後、コンパレータ回路22aから所定時間連続して検出信号が出力されずに、タイマ25からタイマ信号ST が出力されたときには、制御部22は、漏洩電流IL の測定を開始する。この際には、測定部21が、シャント抵抗14の両端電圧VD2を測定することにより、シャント抵抗14を導通する漏洩電流IL の電流値を測定する。次いで、制御部22が、測定された漏洩電流IL の電流値を表示部23の電流表示部23dに表示させた後、リレー13をオフ状態に制御する。これにより、耐圧試験が終了する。
【0018】
このように、この耐圧試験装置1では、コンパレータ回路22aの所定電圧範囲は、規定電圧V S が設定された際に、制御部22によって自動的に規定される。したがって、この耐圧試験装置1によれば、オペレータは、その所定電圧範囲の設定操作を行うことなく、規定電圧V S を設定するだけでよく、この後に行われる耐圧試験を迅速に開始することができる。また、この耐圧試験装置1では、試験電圧が所定電圧範囲内を連続して所定時間外れたときには、制御部22が耐圧試験を停止すると共に、その旨を表示部23の試験状態表示部23cに表示させる。したがって、誤った耐圧試験を回避することができるため、耐圧試験の信頼性を向上させることができる。また、試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れたときにのみ耐圧試験を停止することにより、試験開始直後における試験電圧の立ち上がり時や、試験電圧が変動する試験電圧の設定時などにおいて、試験電圧の不要な供給停止を防止することができる。なお、耐圧試験開始後、所定時間を経過した後に試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れたときに耐圧試験を停止するように構成することもできる。また、監視手段として、コンパレータ回路22aを用いることにより、簡易かつ安価な構成でありながら、試験電圧が所定電圧範囲を外れたか否かを確実に検出することができる。
【0019】
なお、本発明は、上記した発明の実施の形態に限定されず、その構成を適宜変更することができる。例えば、監視手段は、コンパレータ回路22aに限らず、測定された両端電圧VD2をアナログ−ディジタル変換するA/D変換器と、A/D変換器の出力データに基づいて試験電圧が所定電圧範囲内か否かを判別するCPUとで構成することもできる。また、本発明の実施の形態では、コンパレータ回路22aの具体的な構成を省略したが、本発明におけるコンパレータ回路は、任意の公知回路を採用することができる。
【0020】
また、耐圧試験装置1では、試験電圧異常の際に、スピーカ26による警報音の放音、および表示部23の試験状態表示部23cへの表示が行われているが、これに限定されず、いずれか一方または他の任意の報知に代えることができる。さらに、本発明の実施の形態では、試験電圧として交流電圧を試験対象機器2に供給する例について説明したが、直流電圧を供給する場合にも適用することができる。また、本発明の実施の形態では、耐圧試験装置1に適用した例について説明したが、これに限らず、電圧や電流をスライダックで設定する各種の試験装置(測定装置を含む)に適用が可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の試験装置によれば、規定電圧が設定された際に、制御部がこの規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定するため、オペレータは、その所定電圧範囲の設定操作を行うことなく、規定電圧を設定するだけでよく、この後に行われる耐圧試験を迅速に開始することができる。また、試験電圧が所定電圧範囲を外れているときに制御部によって制御させられた報知手段によってその旨が報知されることにより、誤った試験を回避することができる結果、その試験の信頼性を向上させることができる。また、スライダックによる試験電圧の設定時において、試験電圧が正しく設定されたか否かを報知手段による報知に基づいて判断することができる結果、試験電圧の誤設定に起因しての誤った試験を回避することができ、これにより、その試験の信頼性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2記載の試験装置によれば、規定電圧が設定された際に、制御部がこの規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定するため、オペレータは、その所定電圧範囲の設定操作を行うことなく、規定電圧を設定するだけでよく、この後に行われる耐圧試験を迅速に開始することができる。また、試験電圧が所定電圧範囲を外れたときに制御部によって試験対象機器への試験電圧の供給が停止されることにより、誤った試験を回避することができる結果、その試験の信頼性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項3記載の試験装置によれば、試験電圧が所定電圧範囲を所定時間連続して外れたときに制御部によって試験電圧の供給が停止されることにより、試験電圧の不要な供給停止を防止することができる。
【0024】
また、請求項4記載の試験装置によれば、試験電圧の電圧値を表示する表示部を備えたことにより、オペレータは、報知手段による報知や制御部による試験停止の有無を表示部の表示内容で確実かつ容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る耐圧試験装置1および試験対象機器2のブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る耐圧試験装置1における動作を説明するための耐圧試験開始後の経過時間に対する試験電圧の変動を示す図である。
【図3】 従来の耐圧試験の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 耐圧試験装置
2 試験対象機器
11 スライダック
13 リレー
22 制御部
22a コンパレータ回路
23 表示部
23c 試験状態表示部
23e 試験電圧状態表示部
24 操作部
26 スピーカ
Claims (4)
- 入力した交流電圧を電圧調整するためのスライダックを備え、当該スライダックによって電圧調整された試験電圧を試験対象機器に供給する試験装置において、
前記試験電圧に対する規定電圧を設定する設定手段と、
前記設定手段によって前記規定電圧が設定されたときに当該規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定すると共に、前記試験電圧の電圧値が当該所定電圧範囲内か否かを監視して、前記試験電圧が当該所定電圧範囲を外れていると判別したときに報知手段に報知させる制御部とを備えていることを特徴とする試験装置。 - 入力した交流電圧を電圧調整するためのスライダックを備え、当該スライダックによって電圧調整された試験電圧を試験対象機器に供給する試験装置において、
前記試験電圧に対する規定電圧を設定する設定手段と、
前記設定手段によって前記規定電圧が設定されたときに当該規定電圧に対する所定比率の電圧範囲を所定電圧範囲として自動的に設定すると共に、前記試験電圧の電圧値が当該所定電圧範囲内か否かを監視して、前記試験電圧が当該所定電圧範囲を外れたと判別したときに前記試験対象機器への前記試験電圧の供給を停止させる制御部とを備えていることを特徴とする試験装置。 - 前記制御部は、前記試験電圧が前記所定電圧範囲を所定時間連続して外れたと判別したときに、前記試験電圧の前記試験対象機器への供給を停止させることを特徴とする請求項2記載の試験装置。
- 前記試験電圧の電圧値を測定する測定部と、当該測定部によって測定された測定電圧を表示する表示部とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の試験装置。
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