JP4265445B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、内燃機関から排出される排ガスを浄化するための触媒に関し、詳細には、NOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒に関する。
従来より、自動車の排ガス浄化用触媒として、排ガス中のCO及びHCの酸化とNOxの還元を同時に行って浄化する三元触媒が用いられている。このような三元触媒としては、例えばコージェライト等の担体基材にγ−アルミナからなる触媒担持層を形成し、この触媒担持層に白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属触媒を担持させたものが広く知られている。
一方、近年、地球環境保護の観点から、自動車等の内燃機関から排出される排ガス中の二酸化炭素(CO2)が問題とされ、その解決策として酸素過剰雰囲気において燃料を燃焼させる、いわゆるリーンバーンが提案されている。このリーンバーンにおいては、燃費が向上するために燃料の使用量が低減され、その結果、燃焼排ガスであるCO2の発生を抑制することができる。
ところが従来の三元触媒は、空燃比(A/F)が理論空燃比(ストイキ)において排ガス中のCO、HC、NOxを同時に酸化・還元し、浄化するものであって、リーンバーン時の排ガスの酸素過剰雰囲気においてはCO及びHCを浄化する酸化反応が活発である反面、NOxを浄化する還元反応は不活発となり、NOxを浄化することができない。
そこでリーンバーンにおいて、常時は酸素過剰のリーン条件で燃焼させ、一時的にストイキ〜リッチ条件とすることにより排ガスを還元雰囲気としてNOx浄化するシステムが開発された。このシステムにおいて、リーン雰囲気においてNOxを吸蔵し、ストイキ〜リッチ雰囲気において吸蔵されたNOxを放出するNOx吸蔵材を用いたNOx吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような触媒を用いれば、空燃比をリーン側からパルス状にストイキ〜リッチ側となるように制御することにより、リーン側ではNOxがNOx吸蔵材に吸蔵され、それがストイキ〜リッチ側において放出されてHCやCO等の還元性成分と反応して浄化されるため、リーンバーンエンジンからの排ガスであってもNOxを効率よく浄化することができる。
特開平6−142458号公報
ところが、上記の従来の方法に用いる排ガス浄化用触媒では、600℃以上の高温排ガス中で使用するに伴い、NOx吸蔵活性が低下するという問題がある。これはNOx吸蔵材として用いられているアルカリ金属、アルカリ土類金属等が、600℃以上の温度において、触媒担体であるアルミナやチタニア、又は基材であるコージェライトと反応または固溶し、主にBaTiO3、K2Ti49、BaAlOx等を形成するためであると考えられる。
本発明は、耐久後も実用上許容できる高い浄化率を維持することのできる排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために本発明によれば、下式
xyz
(上式中、Aはアルカリ金属及びアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種であり、Bは遷移金属及び希土類元素より選ばれる少なくとも1種であり、0<x<8であり、0<y<22であり、そして0<z<59である)
で表され、かつ粒径が50nm以下である複合酸化物の製造方法であって、細孔径10nm以下の多孔質酸化物の細孔内に上記B成分を担持させ、次いでA成分を担持させ、熱処理することにより細孔内において上記式で表される複合酸化物を形成することを含む方法が提供される。
本発明の排ガス浄化用触媒によれば、NOx吸蔵材、特にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の分散度が高く、高温での使用時にこれらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属が触媒担持層や基材と反応もしくは固溶することが抑制され、NOx吸蔵性能の低下を抑制することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、触媒担持層と、この触媒担持層に担持された貴金属触媒及びNOx吸蔵材から構成される。触媒担持層は、従来の触媒において担体(あるいはウォッシュコート)として一般に用いられている酸化物多孔体より構成され、このような酸化物多孔体としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、シリカ−アルミナ、ゼオライト等が用いられる。
貴金属触媒としては、従来三元触媒として用いられている白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、あるいはルテニウム(Ru)等が例示され、これらのうち1種もしくは複数種を用いることができる。この貴金属触媒の担持量は、通常の担持量、例えば触媒担体に対して0.1〜10g/Lとすることが好ましい。0.1g/L未満では十分な触媒活性が得られず、10g/Lを越えても活性向上はわずかであり、高価となるのみであるからである。この貴金属触媒は常法により、例えば析出法、吸着法、イオン交換法、還元析出法、蒸発乾固法等により、触媒担持層に担持させることができる。
本発明は、NOx吸蔵材として下式
xyz
(上式中、Aはアルカリ金属及びアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種であり、Bは遷移金属及び希土類元素より選ばれる少なくとも1種であり、0<x<8であり、0<y<22であり、そして0<z<59である)
で表され、かつ粒径が50nm以下である複合酸化物を用いることを特徴とする。好ましくは、アルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Csであり、アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Baであり、遷移金属は、Ti、Mu、Fe、Co、Cu、Zr、Mo、Al、Siであり、希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Gdである。このような複合酸化物としては、BaTiO3、K2Ti49、NaMuO2、Rb6Mo1643、CsNdO2、SrTiO3、KAIO2、Rb3Ti49、Rb2TiO3等が例示される。
この複合酸化物は、一般的な複合酸化物の製造方法、例えば各金属酸化物又は炭酸塩、水酸化物等のその前駆体の粉末を混合して焼成する粉末同時焼成法、複数の金属無機塩の水溶液にアルカリを添加して中和し、酸化物又は水酸化物のコロイド分散液を生成する共沈法、有機溶媒に溶解した複数の金属アルコキシドに水を添加して加水分解するアルコキシド法、等により製造することができる。このNOx吸蔵材としての複合酸化物の担持量は、触媒担体に対して100〜5004g/Lとすることが好ましい。
このNOx吸蔵材は触媒担持層上に担持されるが、この担持とは、触媒担持層上に配置されることのみならず、触媒担持層と混合されていることも意味する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、貴金属触媒を担持させておいた多孔質金属酸化物と、上記式で表される複合酸化物を混合することにより、又は貴金属触媒を担持させておいた多孔質金属酸化物上において上記式で表される複合酸化物を析出させることにより製造することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、いわゆるペレット型触媒であってもよいが、一般には担体基材上に触媒担持層をウォッシュコートしたモノリス型触媒として用いられる。担体基材としては、排ガス浄化用触媒に用いられている公知の基材を用いることができ、例えば、コージェライト、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素等の、耐熱性を有するセラミックス材料や、ステンレス鋼等の金属からなるハニカム基材を用いることが好ましく、優れた耐熱性と低い熱膨張率を有するコージェライト製ハニカムを用いることが特に好ましい。このハニカム基材は、両端が開口した多数のセルを有するものが好ましい。この場合、ハニカム基材のセル密度は、特に制限されないが、200セル/平方インチ程度のいわゆる中密度のハニカム、又は1000セル/平方インチ以上のいわゆる高密度のハニカム基材を用いることが好ましく、セルの断面形状は、特に制限されず、円形、四角形、六角形、円形等であってよい。
従来のNOx吸蔵還元型排ガス浄化用触媒においては、NOx吸蔵材としてのアルカリもしくはアルカリ土類金属が炭酸塩もしくは酢酸塩として担持されていた。このアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属は、600℃以上の高温においては触媒担持層のアルミナ等と又は担体基材としてのコージェライト等と反応または固溶してしまい、その結果、このような炭酸塩や酢酸塩の形態で担持されたアルカリ金属やアルカリ土類金属では、高温におけるNOx吸蔵性能が低下するものと考えられる。
これに対して、本発明では、NOx吸蔵材として上記式で表される複合酸化物を用いており、この複合酸化物は高温においても安定であるため、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、600℃以上の温度においても触媒担持層との反応もしくは固溶が抑制され、高温におけるNOx吸蔵性能の低下を抑制することができる。さらにこの複合酸化物は粒径が50nm以下と小さいため、排ガス浄化用触媒中に高分散度で分布しており、NOx吸蔵性能の低下がさらに抑制される。
この複合酸化物の粒径を50nm以下にするには、複合酸化物の製造において、製造条件を調整することにより、又は原料となるA成分及びB成分を含む材料の粒径をあらかじめ小さくしておくことにより達成することができる。好ましくは、この複合酸化物の粒径を50nm以下にし、分散度を高くするためには、細孔径の小さな多孔質酸化物の細孔内において複合酸化物を製造する。なお、ここで細孔径とは中心細孔径をいう。この多孔質酸化物としては、上記の触媒担持層の形成に用いる金属酸化物を用いることができる。
具体的には、細孔径10nm以下の多孔質酸化物の細孔内に、遷移金属及び希土類元素より選ばれる少なくとも1種であるB成分を常法、例えば含浸法により担持させ、次いでアルカリ金属及びアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種であるA成分を同様に常法により担持させ、熱処理することにより細孔内において上記式で表される複合酸化物を形成する。この熱処理の条件は、A成分とB成分が反応して複合酸化物を形成する条件であり、具体的には750℃×4時間大気中で焼成する。
このように細孔径が10nm以下という小さな細孔内において複合酸化物を形成することにより、得られる複合酸化物も小さなものとなり、同時に多気孔質酸化物中に高分散度で担持されることになる。
こうして複合酸化物を細孔内に担持させた多孔質酸化物を、あらかじめ貴金属触媒を担持させておいた触媒担持層上に配置することにより、又は触媒担持層上に配置した後に貴金属触媒を担持させることにより、本発明の排ガス浄化用触媒が得られる。
実施例1
酢酸バリウム(7.66g)、酢酸カリウム(2.21g)及び酢酸リチウム(0.99g)をイオン交換水に溶解させ、この溶液に微細なTiO2粉末(粒径7nm)を15g添加し、室温で1時間攪拌した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成して複合酸化物(BaTiO3の前駆体とK2Ti49の前駆体とLi2Ti49の前駆体の混合物)の粉末(1)を得た。これとは別に、アルミナ粉末(15g)を分散させたイオン交換水中に、ジニトロジアミン白金薬液(6.82g)を添加して、室温で1時間混合した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成して白金が担持されたアルミナ粉末(2)を得た。この粉末(1)と(2)を乳鉢で混合後、加圧により固めてふるいの上で粉砕し、直径0.5mm〜1mmの大きさのペレット粒子を得た。
実施例2
アルミナ粉末(15g)を分散させたイオン交換水中に、ジニトロジアミン白金薬液(6.82g)を添加して、室温で1時間混合した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成して白金が担持されたアルミナ粉末を得た。この粉末をイオン交換水中に添加して攪拌している間に、酢酸バリウム(7.66g)、酢酸カリウム(2.21g)、酢酸リチウム(0.99g)及び微細なTiO2粉末(粒径7nm、15g)を添加し、室温で1時間攪拌した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成した。この粉末を加圧により固めてふるいの上で粉砕し、直径0.5mm〜1mmの大きさのペレット粒子を得た。
比較例1
実施例1において、粒子径7nmのTiO2粉末に代えて粒子径18nmのTiO2粉末を用いることを除き、同様にしてペレット粒子を得た。
比較例2
実施例1において、粒子径7nmのTiO2粉末に代えて粒子径18nmのTiO2粉末を用いることを除き、同様にしてペレット粒子を得た。
実施例3
中心細孔径が9nmであるアルミナ粉末(15g)を分散させたイオン交換水中に、ジニトリジアミン白金薬液(6.82g)を添加し、室温において1時間混合した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成して白金が担持されたアルミナ粉末を得た。この粉末をイオン交換水中に添加して攪拌している間に、(NH4)2TiO(C24)2(51.81g)を添加し、室温において1時間混合した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成した。得られた粉末をイオン交換水中で攪拌している間に、酢酸バリウム(7.66g)、酢酸カリウム(2.21g)及び酢酸リチウム(0.99g)を添加し、室温で1時間攪拌した。その後、この混合物を120℃において2時間乾燥させ、乳鉢において粉砕し、500℃において2時間焼成した。この粉末を加圧により固めてふるいの上で粉砕し、直径0.5mm〜1mmの大きさのペレット粒子を得た。
比較例3
実施例3において、中心細孔径が9nmのアルミナ粉末の代わりに、中心細孔径が15nmのアルミナ粉末を用いることを除き、同様にしてペレット粒子を得た。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜3のペレット粒子を、空気中において750℃において5時間放置し、耐久試験を行った。こうして行った耐久後の各ペレット粒子について、以下のようにしてNOx浄化性能を測定した。
NOx浄化性能の評価
各ペレット粒子1.5gを固定床流通式反応器(ガス流量6.6(L/mim))に充填し、500℃でリッチ処理10分後、400℃でリーン/リッチ=60/6secを10回ずつ繰り返した。出NO濃度(ppm)の波形が安定したところでNO浄化率を評価した。なお、このNOx浄化率は下式で算出した。
NO浄化率=(入りNO濃度(400ppm)−出NO濃度(ppm))×100/(入りNO濃度(500ppm))
また、ガス組成は以下のとおりである。
Figure 0004265445
以上の結果を図1に示す。なお、各例において得られた複合酸化物の粒径をXRDで測定した値も図1に示す。図1に示す結果から明らかなように、本発明の排ガス浄化用触媒は比較例に比べ、熱耐久後も高いNOx吸蔵活性を示している。
本発明の排ガス浄化用触媒は、内燃機関の排気浄化装置において、機関排気通路内に設置することにより、熱耐久後も排ガス中のNOxを効果的に除去することができる。
NOx浄化率を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 下式
    xyz
    (上式中、Aはアルカリ金属及びアルカリ土類金属より選ばれる少なくとも1種であり、Bは遷移金属及び希土類元素より選ばれる少なくとも1種であり、0<x<8であり、0<y<22であり、そして0<z<59である)
    で表され、かつ粒径が50nm以下である複合酸化物の製造方法であって、細孔径10nm以下の多孔質酸化物の細孔内に上記B成分を担持させ、次いでA成分を担持させ、熱処理することにより細孔内において上記式で表される複合酸化物を形成することを含む方法。
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