JP5806131B2 - NOx吸蔵脱硝触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、NOx吸蔵脱硝触媒に関し、ディーゼルエンジン搭載車両の車両寿命相当の耐久運転後でも、排気ガス中のNOxを捕集する役割を担うバリウムとマグネシウムが高分散状態を保つと共に、ロジウムがバリウムと独立に存在することによりNOxを十分に浄化し、かつ硫黄が被毒しても十分に脱硫できるNOx吸蔵脱硝触媒に関するものである。
従来のガソリンエンジンの場合、排出される排気ガス中の有害成分であり、大気汚染防止法で規制されている窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、及び炭化水素(HC)による汚染を減少させるため、化学量論の空燃比(空気/燃料の比率、A/F)条件又はその近傍でエンジンを運転すると共に、三元触媒(TWC)をエンジン出口の排気管中に装着することで、これら三種類の汚染物質の同時低減が行われている。
一方で、近来の二酸化炭素(CO2)による地球温暖化防止及び限りある資源の有効活用といった問題を解決する手段の一つとして、少ない燃料を効率的に活用する希薄燃焼(リーンバーン)型ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンが注目を集めている。
これらリーンバーン型ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の希薄燃焼機関は、エンジンに吸入される空気の量が化学量論的な空燃比に比べ多いため、従来のガソリンエンジンの排気ガスの浄化とは異なるメリット、デメリットが生じている。
メリットとしては、空気が化学量論量よりも多いため、還元性成分であるHCやCOが余剰の酸素で酸化除去されやすくなるということがあげられる。一方、デメリットとしては、空気が化学量論量よりも多いため、酸化性成分であるNOxがHCやCOなどの還元性成分の不足により、還元除去され難くなるということがあげられる。
このため、従来の三元触媒とは異なり、NOxを優先的に浄化するための触媒や浄化システムが必要になった。
また、ディーゼルエンジンの場合は、ガソリンエンジンと異なり、燃料として軽油を使用する関係から、排出される排気ガス中の有害成分には上記三種類の他、可溶性有機成分(Soluble Organic Fraction:SOFともいう)、煤など、大気汚染防止法で規制されている成分が含まれており、種々の研究の結果、SOFについては酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst:DOC)、煤については煤フィルター(ディーゼル微粒子捕集フィルター、Diesel Particulate Filter:DPF)や触媒化煤フィルター(Catalyzed Soot Filter:CSF)の排気管中への装着が、酸化除去に有効であることが知られている。
一般に、希薄燃焼が起こる燃焼機関では、空気の量が化学量論量よりも多いことが恒常的に続くため、NOx自体が生成し易い上、HC、CO等の還元剤の不足により、NOxの還元浄化は非常に困難である。その一方で、近年、環境問題に対する意識の向上に伴い、NOxの大気中への排出は大きな社会問題とされている。
排気ガス中のNOx成分の除去法の一つとして、一定時間(30〜60秒)、NOx成分を吸着する物質を含む触媒に吸着させ、その触媒に極短時間(1〜2秒)、未燃のHCや軽油などの燃料である還元成分を配管内に供給して(Richスパイクと呼ぶ。以下、同様)触媒上でNOxを還元浄化する方法が検討されており、この触媒は、NOx吸蔵脱硝触媒、またはリーンNOxトラップ(Lean NOx Trap:LNT)触媒と称されている(例えば、特許文献1参照)。
このLNT触媒では、空燃比をリッチ(空気が化学理論量より過少)にして燃焼させた排気ガスに含まれる未燃のHCや、排気管内に噴霧された燃料が還元剤として使用される。また、LNT触媒にはNOxを吸着する成分として、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属酸化物、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどのアルカリ金属酸化物、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジムなどの希土類酸化物成分が用いられている。
また、LNT触媒を使用する触媒系で煤とNOxを同時に浄化する方法も提案されている。その一つが、排気ガス流路中に、まず、酸化触媒(DOC)を配置し、その後段に煤フィルター(DPF)を配置し、その後段にLNT触媒を配置するものである(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、酸化触媒によってNOがNOに酸化されると共にHCやCOを酸化除去する際に発生する酸化熱により、煤フィルターに堆積した煤を効率的に酸化除去することが可能であり、酸化触媒により生じたNOはフィルター下流に配置されたLNT触媒により除去される。
LNT触媒には、上記のNOxを吸着する成分のほか、白金・パラジウム・ロジウムのような貴金属系の活性種や、セリア、セリア−ジルコニア系複合酸化物等の酸素の吸蔵放出材(以下、OSC:Oxgen Storage Componentということがある)、ジルコニア、シリカ、チタニア、アルミナ、ゼオライトなどの無機酸化物から選択された助触媒成分がよく使用される。このOSCは、排気ガス中の酸素濃度が高いときには酸素を吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低いときには酸素を放出する。酸素の吸蔵放出により排気ガス中の酸素濃度の変化が緩衝され、排気ガスの浄化に適した酸素濃度に調整することができる。
排気ガス中のHCやCOは、PtやPdによって酸化されるが、酸素濃度が低いときにはHC、COの酸化が起こり難い。このようなとき、排気ガス中の酸素の代わりにOSCから供給される酸素でHC、COが酸化除去され、排気ガスの浄化を促進する働きをする。このような作用は酸化還元反応であるともいえ、酸素の供給、吸蔵の速度が速いOSCを使うと、HC、COの酸化除去能力に優れた触媒が得られやすい。
酸素の吸蔵、放出の速度が大きい代表的なOSCとして、セリア−ジルコニア系複合酸化物がある。酸素の吸蔵、放出の速度が大きい理由は、セリア−ジルコニア系複合酸化物の結晶構造が熱的にも、酸化還元においても安定で、主要なOSC成分であるセリアの働きを阻害せず、粒子の内部までOSCとしての働きに利用できるためである。
一方、LNT触媒で、助触媒成分として用いられているBa成分は、排気ガス中のNOxを吸着する機能がある。すなわち、Ba成分がBaCOの場合、排気ガス中のNOx濃度が高くなると、BaCOがNOxと反応し、Ba(NOになる。このようなNOxとの反応はNOxの吸着、あるいはNOxの吸蔵といわれている。
一般にNOxは、エンジンに供給される燃料が、空気の量よりも相対的に少ないとき多量に発生する。Ba成分は、このようにして発生するNOxを一時的に吸収するものである。Ba成分に吸着されたNOxは、排気ガス中のNOxの濃度が低くなり、CO濃度が高くなるとBa成分から排出される。これは、前述したBa(NOがCOと反応し、BaCOになるものである。
Ba成分から放出されたNOxは、主としてRh成分表面で、HCや他の還元成分と反応して還元浄化される。このようなBa成分によるNOxの吸蔵放出は、Ba成分の化学平衡によるものともいえる。
ただし、触媒材料の組み合わせによっては浄化性能を低下してしまうことがあり、例えば、Rh成分とBa等のアルカリ土類金属成分が同一組成中に存在するとNOxの浄化性能が低下するとされている。そのため、Ba等のアルカリ土類金属成分とRh成分を別々の層に存在させることにより、Ba等のアルカリ土類金属成分のRh成分への悪影響を抑制・防止することが提案されている(特許文献3参照)。
また、NOxの吸蔵にBa成分を用いる触媒は、ディーゼルエンジン車で実際に使用されると、特に触媒が高温と希薄運転条件とに暴露されて時効した場合に、活性が低下し、特に低温(200〜350℃)運転および高温(450〜600℃)運転の条件下で触媒活性が大きく低下する。さらに、Ba成分を含むNOx吸着材は、COの存在下で450℃を超える温度に暴露されると、炭酸バリウムが生成し、これが硝酸バリウムより安定となるという欠点を持っている。また、Baは焼結しやすく、支持体材料と複合化合物を形成し、その結果としてNOx吸蔵容量が消失しやすい。
このためセリア粒子に固定されたバリウムを含むNOx吸蔵材料が開発されている。このNOx吸蔵材料により、従来の触媒材料よりも熱時効耐性が改善されるが、NOx吸蔵材料の性能を巾広い温度範囲で作動させ、高温に暴露後も効果的に作動させたいというニーズがある。また、NOx吸蔵前に必要なNOx酸化の速度とNOx放出後に必要なNOx還元速度を上げることも要求されている。
そのような要求に応えるため、支持体上に皮膜を有するNOx吸蔵脱硝触媒であって、前記皮膜が、粒子上にアルカリ土類金属酸化物を坦持するセリア粒子を含むNOx吸蔵材料を含み、前記セリア粒子のサイズが約5μm〜約50μmであり、前記アルカリ土類金属酸化物の微結晶サイズが約20〜40nmである触媒が提案されている(特許文献4参照)。
この特許文献では、アルカリ土類金属酸化物として、バリア(酸化バリウム)をあげているが、バリア(酸化バリウム)は融点が高い(1923℃)ものの、吸湿性を持ち、水と反応して毒性が強く腐食性のある水溶性の水酸化バリウムになるため、水蒸気に溶け込んで大気中に有害物質として飛散したり、排気管を腐食させて穴を開けたり排気管自体を脱落させる恐れがあるため、公道を走る車両に搭載する触媒に添加することは好ましくない。
ディーゼルエンジンからは燃料である軽油とオイル中に含まれる硫黄分が排気ガス中に混じって触媒に流れ、特にNOxを捕集する成分(アルカリ・アルカリ土類金属など)の母材であるアルミナと反応し易く、アルミナ上に堆積した硫黄分がアルカリ・アルカリ土類金属を被覆し、被毒する。被毒量が多くなるとNOxを捕集する能力の低下を引き起こす事から、硫黄を除去するために燃料噴霧による熱処理制御が必要となり、その処理が多数回(数百回)繰り返されると、高温下で還元雰囲気−酸化雰囲気が多数回繰り返されることになり、貴金属のみならずバリウムなどのNOxを捕集するアルカリ・アルカリ土類金属も凝集し、NOxの捕集能力が低下する。
その為にバリウムなどのNOx捕集材の適切な高分散化・耐熱性が必要となる。また、バリウムを含む材料は、アルミナ等の母材に担持させても触媒溶液(スラリー)化の際に溶出し易いため、同時に加えた別の母材やOSC材等に容易に再凝集してしまう。特に、NOxを浄化するためにRhを担持した母材をスラリー中に一緒に加えると、溶出したバリウムがRhを被覆することでRhのNOx浄化活性を低下させてしまう。そのため、スラリー化の際に溶出しないよう、難溶性のバリウム材料を粉砕して使用する方法もあるが、その場合、粒子サイズは小さくとも数百nmであり、分散度は低い。
このような状況下、優れたNOx吸蔵・排気ガス浄化性能を発揮し、繰り返し行われる硫黄を除去する熱処理制御に対しても性能低下が少ないNOx吸蔵(LNT)触媒が必要とされている。
特開平11−319564号公報(請求項1、0005) 特開平09−53442号公報 特開2007−275878号公報 特表2010−510884号公報
本発明の目的は、上記従来の課題に鑑み、ディーゼルエンジン搭載車両の車両寿命相当の耐久運転後でも、排気ガス中のNOxを捕集する役割を担うバリウムとマグネシウムが高分散状態を保つと共に、ロジウムがバリウムやマグネシウムと独立に存在することによりNOxを十分に浄化し、かつ硫黄が被毒しても十分に脱硫できるNOx吸蔵脱硝触媒を提供するものである。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ね、主に低温領域(350℃未満)でのNO捕集に優れたバリウムに、マグネシウムを付与することにより低温領域から高温領域(350〜500℃)までの幅広い温度域でNO捕集できるようになることを見出すと共に、水溶液(スラリー)中に溶け出し難い炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウムをCeO/Al粒子上に高分散させた材料を調製し、この材料を上層、下層に配置することで、バリウムおよびマグネシウムがスラリー中で母材から溶け出して共存している別の母材上のロジウムを被覆して脱硝性能を低下させたり、母材自体に再凝集してNOx捕集能力を悪化させたりすることなしに、熱耐久後でも実車耐久後でも高分散状態を保ち、劣化率が低いLNT触媒となり優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、一体構造型担体の上に少なくとも二層からなる貴金属元素を含む触媒層を有する排気ガス中のNOx吸蔵脱硝触媒(LNT)において、上層に、ロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)を含有し、下層に、パラジウムを担持したセリア(B)、パラジウムを担持したゼオライト(D)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C’)を含有することを特徴するNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上層のジルコニア系複合酸化物(A)が、酸化ランタンを2〜20重量%、及び酸化ネオジムを10〜30重量%含有することを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、ジルコニア系複合酸化物(A)の含有量が、30〜70g/Lであることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、上層のセリア−アルミナ(C)がセリア含有率5〜20重量%であり、かつ炭酸バリウムを10〜40g/L、及び炭酸マグネシウムを5〜20g/L含有することを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、セリア−アルミナ(C)の含有量が、130〜210g/Lであることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、下層のセリア−アルミナ(C’)が、セリア含有率5〜20重量%であり、かつ炭酸バリウムを2〜15g/L、及び炭酸マグネシウムを1〜10g/L含有することを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、セリア−アルミナ(C’)の含有量が、30〜90g/Lであることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、下層のセリア(B)の含有量が、5〜30g/Lであることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、下層のゼオライト(D)の担持量が20〜80g/Lであることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、前記パラジウム担持ゼオライト(D)が、前記下層から分離され、最下層として一体構造型担体の上に被覆され、その上に下層、上層が被覆された三層からなることを特徴とするNOx吸蔵脱硝触媒が提供される。
本発明のLNT触媒では、炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウムはセリアが担持された高BET比表面積でかつ高温耐熱性を有するアルミナ粒子上に高分散しており、スラリー化に際してバリウムおよびマグネシウムが溶出する事なくCeO/Al粒子上のみに固定化されているので、優れたNOx捕集能力を有するだけでなく、繰り返し行われる硫黄を除去する熱処理制御に対しても性能低下が少ない。
また、NOx還元浄化用の活性種として、ロジウム(Rh成分)を使用するが、RhのNOx浄化性能に悪影響を及ぼすアルカリ土類金属であるバリウムやマグネシウムは難溶性の炭酸化合物で存在するため、スラリー化の際に溶出・移動してRh成分を被毒する事がないことから互いの性能を阻害することがなく、長期間性能を維持することができる。
本発明のLNT触媒の模式図であり、(A)はコージェライト製ハニカム担体に各触媒層を上下2層に被覆したもの、(B)は上下最下3層に被覆したものを示す。 本発明のLNT触媒(実施例1、2)の脱硝性能を、従来の触媒(比較例1、2)と比較したグラフである。
以下、本発明のNOx吸蔵脱硝触媒について、図面を用いて詳細に説明する。主に自動車用ディーゼルエンジンを例にして説明するが、本発明はディーゼル自動車用途に限定されるものではなく、ガソリン自動車など他の用途であっても高い発熱性を発揮し、希薄燃焼により発生するNOxの浄化技術においても使用可能である。
1.LNT触媒の構成成分
本発明のLNT触媒は、貴金属活性種のロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)と、貴金属活性種のパラジウムを担持したセリア(B)と、貴金属活性種の白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)、(C’)と、貴金属活性種のパラジウムを担持したゼオライト(D)の成分を含んで構成される。
(1)貴金属活性種
本発明のLNT触媒は、一体構造型担体(ハニカム型構造体)上に被覆された2層以上の触媒組成物からなり、Rh成分、Pt成分、Pd成分がHCやCO等の還元成分によりNOxを還元浄化するための貴金属活性種として使用されるが、Pt成分やPd成分はOによるHCやCO等の酸化浄化の方が反応性に勝っているため、NOxの還元浄化は主にRh成分によって行なわれる。
Rh成分、Pt成分、Pd成分は、金属であっても良いが、後述する製造工程中の焼成や、排気ガスの浄化過程において酸化され、その一部が酸化物となったものでもよい。
Rh成分とPt及びPd成分の比率は、実際の脱硝性能から判断すると、金属換算の重量比で1:3〜1:30であることが好ましく、1:5〜1:20であることがより好ましい。本発明のLNT触媒は、Pt及びPd成分とRh成分の両方の働きでNOxを浄化するものであるが、このような組成範囲であれば、優れたNOxの浄化性能が発揮される。
なお、Pd成分は、価格面(Pdの方がPtより安価)や特定のHC種(高沸点HC)の酸化に有効なことを考慮してPt成分に対して補助的に用いるが、Pd成分はPt成分に比べ耐硫黄性に劣る点があるため、Pd成分の量は実際に使用される条件を配慮して決めることが望ましい。
貴金属成分の活性は、その表面積の大きさに依存するところが大きく、触媒組成物中では微粒子状に安定して分散していることが望ましく、高温時にも安定して高い分散状態を保つことができるように、母材自体が高表面積を有する耐熱性無機酸化物に担持される。
本発明において貴金属触媒成分として、ロジウム(Rh),白金(Pt)、パラジウム(Pd)を挙げたが、補助的に遷移金属、希土類金属や、他の貴金属などを併用してもよい。
補助的に使用される金属触媒成分としては、具体的には、鉄、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、銅などの遷移金属、セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジウムなどの希土類金属、金、銀、イリジウム等の貴金属から一種以上を適宜選択できる。
また、貴金属の粒子が高温時、母材の上を移動して凝集しあって粒子成長することで表面積が下がり、活性を悪化させることを防止するため、貴金属粒子の周囲を他の金属酸化物からなる粒子で囲って移動しないようにしてもよい。周囲を囲うために使用される金属酸化物成分としては、具体的に、アルミナ、ジルコニア、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、酸化タングステン、セリア、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジウム等から一種以上を適宜選択できる。なお、これらの金属酸化物はそれ自体が高温時に母材上を移動しないよう、耐熱性の高いものや予め焼結させたものの使用が好ましい。
(2)炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウム
本発明のLNT触媒は、アルカリ土類金属であるBa成分(炭酸バリウム)、Mg成分(炭酸マグネシウム)を含有する。これらの成分は、NOx吸蔵成分として知られている。
Ba成分の炭酸バリウムは、酸素が多い(Lean)状態では、NOxは硝酸バリウムになることでBa成分に吸蔵され、酸素が少ない(Rich)状態で、硝酸バリウムが炭酸バリウムに変わることにより吸蔵したNOxを放出する。このように放出されたNOxは、還元剤のHC、CO、またスチームリフォーミング反応によって発生した水素を利用し、Rh成分により浄化される。
また、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムはともに水に対して難溶性であるため、スラリー化の際にバリウムやマグネシウムが水溶液中に溶け出すことはない(硫酸バリウムは水に難溶性であるが、硫酸マグネシウムは水に可溶性であるため、スラリー化の際にマグネシウムが水に溶け出してしまう)。
本発明において、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムは、後述するセリア−アルミナ(C)、セリア−アルミナ(C’)に担持して使用される。炭酸バリウム、炭酸マグネシウムをセリア−アルミナ(C)、セリア−アルミナ(C’)に担持するのは、白金−セリアの相乗効果(白金のNO酸化活性をセリアが促進させる)により、NOから酸化されたNOを炭酸バリウム、炭酸マグネシウムに素早く吸着させるためである。
(3)ジルコニア系複合酸化物(A)
本発明において、ジルコニア系複合酸化物(A)は、ジルコニウムを主成分とする酸化物であるが、Rh成分の担体として機能する。本発明では、ジルコニアのみならず、ジルコニウム成分の量がセリウム成分に比べて多いセリア−ジルコニア系複合酸化物も使用できる。ジルコニア系複合酸化物は、酸化ランタンを2〜20重量%、及び酸化ネオジムを10〜30重量%含有することが好ましい。ジルコニアはRh成分と共に用いるとスチームリフォーミング反応やCO+NO反応を促進し(再公表特許2000/027508公報、14頁)、ジルコニアの耐熱性を向上させるために、通常は酸化カルシウム、セリア、酸化マグネシウム、酸化イットリウムなどの添加物が加えられ、最近では酸化ランタン、酸化ネオジムなどの添加物が加えられている。
ジルコニアの中でも耐熱性に優れ、長期間の使用において活性種を高分散に保つために高表面積のものが好ましい。そのため、BET比表面積(BET法にて測定。以下、同様)が20〜120m/gであることが好ましく、30〜90m/gであることがより好ましい。
(4)セリア(B)
本発明において、セリウム酸化物であるセリア(B)は、Pd成分の担体として機能する。本発明では、セリウム成分の量がジルコニウム成分よりも多いセリア−ジルコニア系複合酸化物を使用することもできる。セリアは、OSCとして機能し、酸素の吸蔵放出に伴いCeOからCeに変化する。
セリアの中でも耐熱性に優れ、長期間の使用において活性種を高分散に保つために高比表面積のものが好ましい。そのため、BET比表面積が50〜250m/gであることが好ましく、100〜200m/gであることがより好ましい。
(5)セリア−アルミナ(C)、セリア−アルミナ(C’)
本発明において、セリア−アルミナ(C)は、触媒層の上層に使用され、アルミナにセリアを含有した複合酸化物である。セリア含有アルミナのセリア含有率は、5〜20重量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。これにより、セリア−アルミナ(C)にOSC機能をもたせることができる。
セリア−アルミナを構成するセリアとしては特に制限はないが、OSC機能をより多く発揮させるためにセリアをアルミナ上に高分散することが好ましい。また、高温時に、セリアがアルミナ上を移動して粒子成長しまわないよう、少なくともセリアの一部がアルミナに固溶していることが好ましい。
セリア−アルミナを構成するアルミナとしては、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナなどがあげられるが、表面積の劣るα−アルミナを除くγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナの使用が好ましい。なかでも、γ−アルミナはその他のアルミナに比べ1000℃以上での耐久性は劣るものの、1000℃以下で使用されるLNT触媒としては十分な耐熱性を有する上に、表面積がこれらすべてのアルミナの中で最も高いため、母材として特に好ましい。
セリア−アルミナのBET比表面積は、50〜250m/gであることが好ましく、100〜200m/gであることがより好ましい。この様な表面積を有すれば、高温時でも高い表面積を維持できるだけでなく、貴金属成分であるPtやアルカリ土類金属成分である炭酸バリウムや炭酸マグネシウムを高分散状態で安定化することができる。
セリア−アルミナ(C’)は、触媒層の下層に使用され、上記セリア−アルミナ(C)と同じ、アルミナに特定量のセリアを含有した複合酸化物でもよいが、セリア含有率が異なるものでもよい。
また、本発明のセリア−アルミナは高温時での表面積を維持するため、酸化ランタン、シリカ、チタニア、酸化バリム、鉄などの添加物を加えてもよい。
(6)ゼオライト(D)
本発明において、ゼオライトは、触媒層が二層触媒の場合は下層、三層触媒の場合は最下層に使用される。ゼオライトとしては、例えば三次元の細孔構造を有するβ型、MFI型のゼオライトをはじめ、A、X、Y、MOR、CHA、SAPOなどのゼオライトが使用できるが、β型ゼオライト、又はMFI型のゼオライトがより好ましい。
ゼオライトとしては高表面積でかつ耐熱性のあるものが好ましい。より優れた耐熱性を得るには、ゼオライトのSiO/Alのモル比は大きいほどよく、100〜500が好ましく、150〜400がより好ましい。また、ゼオライトのBET比表面積は300〜900m/gが好ましく、400〜800m/gがより好ましい。
2.LNT触媒の層構成
本発明のLNT触媒は、図1(A)に示すように、一体構造型担体の上に少なくとも上層・下層の二層からなる貴金属元素を含む触媒層を有し、所望により、図1(B)のように、下層の下に最下層を設けることができる。
(1)上層
本発明のLNT触媒は、上層にロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)を含有する。
Rh成分は、ジルコニア系複合酸化物の担持状態によって特に制限されないが、表層部分に担持されることが好ましい。Rh成分は、金属Rhの形態で存在していても良いが、後述する製造工程中の焼成や、排気ガスの浄化過程において酸化され、一部が酸化ロジウムとして含まれていてもよい。
Rhは高活性の活性種であるため、粒子径が小さく分散状態が良ければ、少量でも活性を発揮することができる。しかし、Rhは資源量も少なく高価なため、高い分散状態を保ちうることが望まれる。このため本発明では、Rh成分はNOx及び反応性のHC成分に直接晒される上層に使用するのである。
Rh成分の量は、特に制限されないが、金属Rh換算で、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.01〜5g/Lとすることができ、0.1〜1g/Lが好ましい。Rh成分が多すぎると調製時に母材上のRh粒子が巨大化することや、母材上のRh粒子間の距離が短くなることで高温時にRh粒子同士が移動して粒子成長が起こり易くなることで単位重量当りの表面積が小さくなり、そのため、NOxの浄化作用が十分に発揮されない場合がある。逆に、少なすぎるとRhの表面積の絶対値が小さくなり、NOxの浄化作用が充分に発揮されない場合がある。
また、本発明では、Rhの母材としてZrO系材料を用いているので、richスパイク時の脱NOxを促進することができる。
ジルコニア系複合酸化物(A)の含有量は、ハニカム型構造体の単位体積あたり、30〜70g/Lとし、40〜60g/Lがより好ましい。ジルコニア系複合酸化物の量が少なすぎると、担持するRh粒子間の距離が近くなり、分散状態が悪くなるか、Rh粒子同士が焼結して粒子径が大きくなり、Rhの表面積が小さくなって活性が低下してしまうことがある。そして、多すぎるとハニカム型構造体における触媒層が厚くなり、ハニカムの通孔断面を狭くしてしまい、背圧の上昇を招き、内燃機関に使用すると内燃機関の出力低下を招くことがある。
また、上層には、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)を含有する。
Pt成分は、金属Ptの形態で存在していても良いが、後述する製造工程中の焼成や、排気ガスの浄化過程において酸化され、一部が酸化物として含まれていてもよい。
Pt成分の量は、特に制限されないが、金属Pt換算で、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1〜6g/Lとすることができ、0.5〜3g/Lが好ましい。Pt成分が多すぎると還元剤であるHCやCOのOによる酸化浄化反応の起こり過ぎによるNOxの還元浄化するためのHC、COの欠乏を招き、少なすぎると有害成分であるHCやCOのOによる酸化浄化作用が充分に発揮されない場合がある。
セリア−アルミナ(C)が、炭酸バリウムを10〜40g/L、及び炭酸マグネシウムを5g/L〜20g/L含有することが好ましい。この範囲より少ないとNOxを十分に捕集できなくなる場合がある。一方、この範囲より多いと炭酸バリウムや炭酸マグネシウムが凝集し易くなり、NOxと接触する表面積の低下に伴うNOx吸蔵性能の低下が懸念される。
セリア−アルミナ(C)の含有量は、130〜210g/Lであることが好ましく、150〜200g/Lであることがより好ましい。この範囲より少ないとPt、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムの凝集が生じて分散状態が悪くなり、NOxと接触する表面積の低下に伴うPtの酸化活性の低下や炭酸バリウム、炭酸マグネシウムのNOx捕集性能の低下が懸念される。逆に、この範囲より多いと材料自体の熱容量が多くなり過ぎて、触媒床の昇温の遅れが懸念される。また、それによりハニカム型構造体における触媒層が厚くなり、ハニカムの通孔断面を狭くしてしまい、背圧の上昇を招き、内燃機関に使用すると内燃機関の出力低下を招くことも懸念される。
(2)下層
本発明のLNT触媒は、下層にパラジウムを担持したセリア(B)と、パラジウムを担持したゼオライト(D)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア含有アルミナ(C’)を含有する。
Pd成分は、金属であっても良いが、後述する製造工程中の焼成や、排気ガスの浄化過程において酸化され、その一部が酸化パラジウムとなったものでもよい。セリア(B)に担持されるPd成分の量は、特に制限されるわけではないが、金属Pd換算でハニカム型構造体の単位体積あたり、0.01〜1g/Lとすることができ、0.05〜0.5g/Lが好ましい。また、ゼオライト(D)に担持されるPd成分の量も特に制限されるわけではないが、金属Pd換算でハニカム構造体の単位体積あたり、0.01〜1g/Lとすることができ、0.05〜0.5g/Lが好ましい。
Pd成分が多すぎると還元剤であるHCやCOのOによる酸化浄化反応の起こり過ぎによるNOxの還元浄化するためのHC、COの欠乏を招き、少なすぎると有害成分であるHCやCOのOによる酸化浄化作用が充分に発揮されない場合がある。
本発明においては、Rh成分、Pt成分、Pd成分が、2層以上の多層化した触媒で使用される。多層化触媒では、上層は下層よりも排気ガス中のHC、CO、NOxなどの有害ガスとの接触機会が多い。そのため、上層では下層より高い浄化活性が得られる傾向がある。また、上層は高温の排気ガスに直接晒されたり、酸化・還元反応時に発生する熱により局所的に高温に晒されたりすることがある。そのため、上層の母材、貴金属成分、助触媒成分等は焼結や粒子成長が下層に比べ起こり易い場合がある。さらに、上層では硫黄分に代表される被毒物質が排気ガス中に混じって触媒に流れ、上層に真っ先に付着するため、それら被毒物質の影響を受けやすい。一方、下層は上層で被毒物質が付着してしまうために下層まで被毒物質が拡散して到達する恐れが比較的低いため、硫黄分に弱い貴金属を配置することができる。そのため、下層にPtに比べ安価であるが、耐硫黄性に問題のあるPdを配置することにより触媒自体の単価を下げるとともにPtでは対処しにくい特定のHC種(高沸点HC)を酸化浄化することができる。
なお、すべての触媒層に共通することではあるが、本発明では、Pt成分、Pd成分、Rh成分がハニカム型構造体に対して、それぞれ別の母材上に存在するようにしなければならない。異なる貴金属成分が同一母材上に存在すると合金化し、合金化された両金属は互いの活性を打ち消しあって活性が低下することが懸念されるからである。Pt成分、Pd成分、Rh成分をそれぞれ異なる母材上に配置することで、それぞれの貴金属がそれぞれの特性に合った活性を発揮することができる。
下層のセリア(B)の含有量は、5〜30g/Lであることが好ましく、5〜20g/Lがより好ましい。Pdの母材としてのセリアはセリア単独で使用することができるが、ジルコニアやアルミナに担持したり、それらと固溶したりして使用することもできる。セリアはその酸素の吸蔵・放出能力により、PdによるHC、COの酸化性能を支援する。セリア分が多すぎると還元剤であるHCやCOのOによる酸化浄化反応の起こり過ぎによるNOxの還元浄化するためのHC、COの欠乏を招いたり、熱でセリアが凝集し易くなることにより表面積の低下が懸念され、少なすぎるとPdの粒子径を巨大化させてPdの表面積が小さくなりすぎてHCやCOのOによる酸化浄化作用が充分に発揮されない場合がある。
また、下層のゼオライト(D)の含有量は、20〜80g/Lであることが好ましく、30〜70g/Lがより好ましい。ゼオライトは貴金属ではHCの酸化浄化が発現しないような低温においてHCを吸着・吸蔵する能力を有し、高温で吸着・吸蔵していたHCを出する機能を有する。そのため、エンジンの始動時、排気ガスが十分温まっていない状態で排気ガス中に含まれるHCを系外にそのまま放出することなく、触媒内に取り込む方法として非常に有効である。ゼオライト分が多すぎるとハニカム型構造体における触媒層が厚くなり、ハニカムの通孔断面を狭くしてしまい、背圧の上昇を招き、内燃機関に使用すると内燃機関の出力低下を招くことがあり、少なすぎると低温時でのHCの吸着・吸蔵が十分でなく、系外にHCが排出されてしまうことがある。
また、下層には、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C’)を含有する。
Pt成分は、金属Ptの形態で存在していても良いが、後述する製造工程中の焼成や、排気ガスの浄化過程において酸化され、一部が酸化物として含まれていてもよい。
Pt成分の量は、特に制限されないが、金属Pt換算で、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.01〜5g/Lとすることができ、0.1〜1g/Lが好ましい。Pt成分が多すぎると還元剤であるHCやCOのOによる酸化浄化反応の起こり過ぎによるNOxの還元浄化するためのHC、COの欠乏を招き、少なすぎると有害成分であるHCやCOのOによる酸化浄化作用が充分に発揮されない場合がある。
Ba成分、Mg成分は、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムとして、セリア−アルミナ(C’)に担持される。炭酸バリウムの場合、酸素が多い(Lean)状態では、NOxは硝酸バリウムになることでBa成分に吸蔵され、酸素が少ない(Rich)状態で、硝酸バリウムが炭酸バリウムに変わることにより吸蔵したNOxを放出する。このようにNOxが放出される雰囲気では、排気ガス中には還元成分であるHC、COが豊富に含まれる。放出されたNOxは、HC、CO、またスチームリフォーミング反応によって発生した水素を利用し、Rh成分により浄化される。
セリア−アルミナ(C’)は、セリア含有率によって制限されないが、5〜20重量%であり、かつ炭酸バリウムを2〜15g/L、及び炭酸マグネシウムを1〜10g/L含有することが好ましい。
セリア−アルミナ(C’)の含有量は、30〜90g/Lであることが好ましく、40〜80g/Lであることがより好ましい。個々の添加理由については、上層の項で記述したように、下層は上層に比べ反応に関与することが少ないこと、全体の量が多すぎると背圧の上昇を招くことを勘案し、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、セリア−アルミナ(C’)の量はいずれも上層より少なめにすることが好ましい。
また、すべての触媒層に共通することであるが、貴金属を含有する母材に、さらに、アルミナ、ジルコニア、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、酸化タングステン、セリア、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジウム等から一種以上を適宜選択して添加してもよい。これは、貴金属の粒子が高温時、母材の上を移動して凝集しあって粒子成長することで表面積が下がり、活性を悪化させることを防止するために貴金属粒子の周囲を他の金属酸化物からなる粒子で囲って移動しないようにするものである。そのため、これらの金属酸化物はそれ自体が高温時に母材上を移動しないよう、耐熱性の高いものや予め焼結させたものの使用が好ましい。
これら、貴金属を囲うアルミナなどの酸化物の量は、貴金属の量に応じて決まり、貴金属の量の20〜300重量%が好ましく、20〜150重量%がより好ましい。囲う量が多すぎると貴金属を覆ってしまう場合があり、少なすぎると囲う機能が十分に発揮できない場合がある。
本発明の使用条件下では各触媒層はいずれも十分な密着強度が得られているため、特にバインダーを必要としないが、場合に応じ、すべての触媒層に更にバインダー成分を添加してもよい。これは上記のような成分のみであると、使用条件によっては後述するハニカム型構造体と触媒層との結合、または触媒層間の結合が弱くなってしまうためである。
バインダー成分としては、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル等の種々のゾルを使用できる。また、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等の可溶性の塩も使用できる。
(3)最下層
本発明におけるLNT触媒は、下層を二層に分けることで、さらに最下層を設けることができる。そして、最下層にはPdを含有するゼオライト(D)を配することができる。この場合、下層にはPdを含有するゼオライト(D)を配する必要はない。
(4)一体構造型担体
本発明における一体構造型担体(以下、ハニカム型構造体ともいう)は、上記触媒成分を担持する材料であって、一方の端面から他方の端面へ向かって伸びる多数の通孔を有しており、これらが集まってハニカム形状を形成している。
また、ハニカム型構造体には、その構造の特徴から、フロースルー型とウォールフロー型が知られている。ウォールフロー型は、排気ガス中の煤やSOF等、固形成分を濾し取るために用いられ、Diesel Particulate Filter(DPF)に用いられている。ウォールフロー型は、多孔質の壁からなる通孔の一端が互い違いに封止されているもので、煤等の粒子状成分を濾し取るフィルターとしての働きを有する。
これに対し、フロースルー型は、一方の開放端面から他方の開口端面に向けて開口する多数の通孔を有する構造を有しており、酸化触媒、還元触媒、三元触媒(TWC)に広く用いられている。本発明では、フロースルー型のハニカム型構造体を使用することが望ましい。
フロースルー型担体のようなハニカム形状の担体では、その構造的特徴がセル密度であらわされる。本発明では、ハニカム構造体(D)が、セル密度100〜1500cell/inch(155k〜2325k/m)であり、特に200〜900cell/inch(310k〜1400k/m)でフロースルー型担体である事が好ましい。セル密度が10cell/inch(155k/m)以上であれば、浄化に必要な排気ガスと触媒の接触面積を確保する事ができ、構造上の強度にも優れた排気ガスの浄化性能が得られ、セル密度が1500cell/inch(2325k/m)以下であれば内燃機関の排気ガスの圧力を大きく損失することなく、内燃機関の性能を損なう事がなく、排気ガスと触媒の接触面積も充分に確保する事ができる。特に、本発明のLNT触媒では、300〜900cell/inch(465k〜1400k/m)のフロースルー型担体が、圧力損失の抑制の点から好ましい。
また、前記必須構成成分は、一体構造型担体の単位体積あたり、以下の重量で使用されることが好ましい。触媒組成物の総被覆量が206〜565g/L、好ましくは226〜535g/Lである。一体構造型担体の単位体積あたり、触媒組成物の被覆量が565g/Lを超えると、通常使用されるハニカム構造体では触媒成分を被覆する際に目詰まりを起こし、充分な機能が得られない場合があり、206g/Lを下回ると耐熱性無機酸化物の量が少なくなりすぎて活性が得られるだけの量の触媒活性種を安定に分散させることができず、必要な耐久性が得られない恐れがある。
本発明のLNT触媒は、上層下層を最小の触媒組成物構成単位とするもので、このような層構成とすることが、作業効率上だけでなくコスト上も望ましい。しかし、前記した本発明の趣旨の範囲内で、上下2層、上下最下3層の他、ハニカム型構造体と下層の間、また下層と上層の間、また上層の更に上側に、別途バインダー層、触媒成分の移行を抑制するための抑制層、被覆層、また、異なる触媒組成層などを適宜設けても良い。
本発明の上層、下層、また必要に応じて設けられる他の層には、前記必須成分の他、プラチナ、銀、銅、ニッケル、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、珪素、チタニウム、タングステン等の遷移金属、セリウム、ランタン、ネオジウム等の希土類金属、アルカリ金属、バリウム、カルシウムなどアルカリ土類金属等の酸化物が単体で、また複合酸化物として使用されていてもよい。
本発明のハニカム構造型触媒(排気ガス浄化触媒)は、自動車排気ガス流れの中に配置して使用される。排気ガス流れの中に配置するには、本発明の触媒を単独で配置しても良いが、複数個使用してもよく、異なる作用の触媒と併用してもよい。また複数個の触媒を使用する場合、それらの触媒は隣接して配置してもよく、エンジン直下とシャーシの床下に配置してもよい。本発明の触媒は、エンジン直下とシャーシの床下、そのどちらかに使用しても良い。
3.LNT触媒の調製
本発明のLNT触媒は、調製方法によって制限されず、各構成成分であるロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)と、パラジウムを担持したセリア(B)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C’)と、パラジウムを担持したゼオライト(D)は公知の方法によって製造できる。
ロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)、パラジウムを担持したセリア(B)、パラジウムを担持したゼオライト(D)を製造するには、含浸法、イオン交換法、混練法など公知の方法により行うことができるが、その一例を示すと以下のとおりである。
まず、貴金属成分原料として、パラジウム又はロジウムの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩等の化合物を用意する。具体的には、テトラアンミンパラジウム(II)酢酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)炭酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩、ジニトロジアンミンパラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸ロジウム、酢酸ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ロジウムなどである。このほか、銀、銀塩を用いても良い。これらは水、有機溶媒に溶解して貴金属成分原料の溶液とする。なお、水または水に水溶性有機溶媒を加えた溶媒については以下「水系媒体」という。
次に、この貴金属成分原料の溶液を、水系媒体と共にジルコニア系複合酸化物(A)、セリア(B)、またはゼオライト(D)(以下、耐熱性無機酸化物と総称する)と混合する。この際、必要に応じてpH調整のための酸、アルカリを、粘性の調整やスラリー分散性を向上するための界面活性剤、分散用樹脂等を配合する事ができる。その後、貴金属成分を含む耐熱性無機酸化物を50〜200℃で乾燥して溶媒を除去する。
ここで、貴金属成分と耐熱性無機酸化物を含む触媒母材の混合方法としては、ボールミルなどによる粉砕混合が適用可能であるが、他の粉砕、もしくは混合方法を適用しても良い。粉砕の条件は、触媒母材の粒径が0.1〜50μmとなるようにすることが好ましい。最後に、触媒母材の混合物を必要により成形してから200〜650℃で焼成して触媒組成物にする。焼成温度は、200〜650℃が好ましく、250〜600℃がより好ましい。加熱手段については、電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行う事ができる。
なお、本触媒には本触媒の必須成分以外、酸素吸蔵放出材料、母材、バインダー等として公知の触媒材料を配合してもよい。このような公知の触媒材料としては、セリウム−ジルコニウム系複合酸化物や、酸化セリウム、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アルカリ金属材料、アルカリ土類金属材料、遷移金属材料、希土類金属材料等が挙げられ、この場合も必要に応じて分散剤、pH調整剤を合わせて使用することができる。
一方、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナを調製するには、予め、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナを調整した後、上記の要領で白金を担持する。
Ba成分は、ハニカム構造型触媒中では炭酸バリウムとして存在するが、触媒組成物スラリーを製造するにあたっては、炭酸バリウムを微粉砕した後、母材であるセリア−アルミナに担持することができるが、バリウムを高分散させるためには可溶性の塩の形で添加することが好ましく、塩化バリウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム等が挙げられる。
Mg成分も炭酸マグネシウムとして存在するが、触媒組成物スラリーを製造するにあたっては、炭酸マグネシウムに限らず、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の可溶性の塩が使用できる。
Ba成分及びMg成分は、上記の可溶性の塩の中から各々1種類以上を選択できる。その際、Ba成分とMg成分の各々の出発塩の水溶液の性質(酸性、アルカリ性)を合わせた方が、セリア−アルミナ上でより微細な粒子が得られるので好ましい。
セリア−アルミナ粉末に上記Ba成分とMg成分を含む均一溶液を含浸法等で担持させた後、電気炉等で焼成することによりセリア−アルミナ上に固定する。酢酸塩の場合は酢酸が分解して炭酸塩を形成するが、その他の塩では炭酸塩は形成しない。そのため、Ba成分、Mg成分が炭酸塩となるための炭酸源が必要となる。
本発明では炭酸源として可溶性の可燃性物質を使用している。具体的には、Ba成分およびMg成分を含む均一水溶液にさらに水溶性の可燃性物質を添加し、均一水溶液とする。このBa成分、Mg成分、および可燃性物質を含む均一水溶液をセリア−アルミナに含浸させた後、電気炉等で焼成することにより可燃性物質が空気中の酸素と反応して燃焼し、二酸化炭素となってBa成分、Mg成分を炭酸バリウム、炭酸マグネシウムに変える。
但し、可燃性物質は燃焼の際、発熱する。このため、電気炉の温度を上げ過ぎるとBa成分、Mg成分が炭酸バリウム、炭酸マグネシウムに止まらず、酸化バリウム、酸化マグネシウムにまで酸化されてしまう。そのため、Ba成分、Mg成分を炭酸バリウム、炭酸マグネシウムに止まらせるために電気炉の温度をある程度抑える必要がある。本発明においては、200℃〜450℃が好ましく、250℃〜400℃がより好ましい。
なお、Ba成分、Mg成分を炭酸バリウム、炭酸マグネシウムで存在させる理由はスラリー中での母材からのBa成分、Mg成分の溶出を抑制させるためであり、最終スラリーのコーティングが終了した後は、焼成温度を上記の上限値より上げても構わない。
可燃性物質としては、安価で炭素を含む材料が好ましく、例えば、精製糖のほか、果糖、ブドウ糖、脳糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖などの二糖類が挙げられる。
これらは、材料として安全である上、可溶性にも優れ、発火温度も350℃と比較的低い温度で十分燃焼するだけでなく、分子を形成する炭素数も6〜12と小さいため、燃焼しても完全燃焼し易く、煤等の残渣が残り難いという特色があり、可燃性物質として適している。
なお、Ba成分、Mg成分をより完全に炭酸バリウム、炭酸マグネシウムに変えるため、本発明の可燃性物質は、さらに白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を含有する母材を組み合わせて調製した触媒スラリーに加えてもよい。この場合、可燃性物質は上記炭酸バリウム、炭酸マグネシウムへの完全移行を促進する他、触媒表面近傍で可燃性物質が燃焼(酸化)すれば、空気中の酸素を消費するため、触媒表面が還元状態になる可能性があるので、可燃性物質を用いると、白金等の貴金属が高温下で還元雰囲気となり、白金等の貴金属がメタルの状態を保つことが期待できる。
Pt成分原料としては、白金の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩等の化合物を用意する。具体的には、水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液、テトラアンミン白金(II)酢酸塩、テトラアンミン白金(II)炭酸塩、テトラアンミン白金(II)硝酸塩、水酸化白金(IV)酸の硝酸溶液、硝酸白金、ジニトロジアミン白金硝酸、塩化白金(IV)酸などである。これら白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持する母材として、セリア−アルミナ(C)が使用される。CeO/Alを使用することで、NO生成(ひいてはNOx吸着)を促進することができる。
セリア−アルミナは、特に限定されるものではなく、市場から調達可能なセリア−アルミナを広く使用することができる。また、セリア−アルミナは、その製法も特に限定されないが、一般的にはセリアとアルミナ原料を混合し焼成することによって得られる。セリアの原料は、特に限定されないが、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物等の各種セリウム塩、また酸化セリウムを用いることができる。
本発明のハニカム構造型触媒は、上記触媒成分を含む触媒組成物スラリーとハニカム型構造体からなる担体を用意して、担体に所定の触媒成分を層状に塗り分けて製造される。すなわち本発明では、前記触媒組成物スラリーを、公知のウォッシュコート法によって、ハニカム型構造体に被覆し、ハニカム構造型触媒とする。
先ず、下層の材料スラリーを被覆し、その上に上層の材料スラリーを被覆する。ウォッシュコート法は、ハニカム型構造体に触媒組成物を塗工した後、乾燥、焼成を行う事により触媒組成物が被覆されたハニカム構造型触媒を得るものである。触媒組成物スラリーは、塗工に適した粘度として使用する。粘度は、B型粘度計での測定値が5〜2000mPa・sであり、10〜1000mPa・sであることが好ましい。2000mPa・sを超える触媒組成物スラリーでは、ウォッシュコート法によってハニカム型構造体に被覆しようとしても、高粘度のためハニカム構造体内部全体にコーティングできないことがある。このような高粘度のスラリーの粘度を下げるには水分量を増やす必要があるが、水分量を増やしたスラリーでは、一度のウォッシュコートで被覆できる触媒の量が少なくなり、一種類の触媒組成物層の形成に必要な触媒量を被覆するために複数回のウォッシュコートが必要になる。複数回のウォッシュコートを行うことは、生産効率上好ましいものではない。
乾燥温度は、50〜200℃が好ましく、70〜150℃がより望ましい。焼成温度は、200〜450℃が好ましく、特に250〜400℃が望ましい。加熱手段については、電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行う事ができる。
触媒を多層に被覆する場合、このウォッシュコート法を2回以上繰り返すことができる。乾燥工程前の塗工を2回以上繰り返しても良く、乾燥工程までを2回以上繰り返しても良い。
本発明のLNT触媒は、ディーゼルエンジンの希薄燃焼により排出されたリーン(希薄雰囲気:噴霧燃料に対する理論酸素量と比べ過剰に酸素がある状態。)雰囲気において、NOxを本触媒成分であるBaやMgに吸蔵させ、燃料過剰噴霧でリッチ(燃料過剰雰囲気)なパルスをうつ事で、一時的に酸素の低い雰囲気を実現させ、吸蔵したNOxを燃料で還元する。ここで、BaなどのNOx吸蔵材は、脱硝における重要な活性種である。
ところが、ディーゼル燃料・オイル中の硫黄分が本触媒成分であるBaなどのNOx吸蔵材に被毒吸着すると、十分なNOx吸蔵を得る事が出来ないので、脱硫する処理が必要となる。この脱硫処理では、燃料噴霧によりLNT触媒床温度が600〜700℃まで上昇する。そのため、連続して燃料を噴くと温度が上がり過ぎるか失火する為に、燃料をパルスで噴く必要がある。
以下、本発明の実施例、比較例を示すが、本発明は、これら実施例に限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
<Pt−炭酸Ba−炭酸Mg担持CeO−Al(1)>
酢酸バリウムを124.3g、酢酸マグネシウムを78.5g、精製糖を60g、各々量り取り、純水で希釈して、完全に溶解させた後、BET比表面積130m/g、平均細孔径10nmの10.0重量%セリア−90.0重量%アルミナ粉末850gに含浸担持した。
この含水物を300℃、5時間空気中で焼成することで、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナを調製した。水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で3.3g量り取り、純水に希釈し、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ997gに含浸担持した。この含水物を300℃、1時間空気中で焼成することで、0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(1)を調製した。
また、原料の量を変えた以外は上記と同様にして、0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナも調製した。
<Pd担持CeO
硝酸パラジム溶液をPd重量で1g量り取り、純水で希釈して、BET比表面積150m/g、平均細孔径15nmの酸化セリウム粉末99gに含浸担持した。この含水物を300℃、1時間空気中で焼成することで、1.0重量%Pd担持セリアを調製した。
<Pd担持ゼオライト>
硝酸パラジム溶液をPd重量で1g量り取り、純水で希釈して、BET比表面積600m/g、Si/Al比300のβ型ゼオライト499gに含浸担持した。
この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.2重量%Pd担持ゼオライトを調製した。
<Pt−炭酸Ba−炭酸Mg担持CeO−Al(2)>
酢酸バリウムを124.3g、酢酸マグネシウムを78.5g、精製糖60gを各々量り取り、純水で希釈して、完全に溶解させた後、BET比表面積130m/g、平均細孔径10nmの10.0重量%セリア−90.0重量%アルミナ粉末850gに含浸担持した。この含水物を300℃、5時間空気中で焼成することで、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナを調製した。水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で9g量り取り、純水に希釈し、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ991gに含浸担持した。この含水物を300℃、1時間空気中で焼成することで、0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(2)を調製した。
<Rh担持ZrO系複合酸化物>
硝酸ロジウム溶液をRh重量で2g量り取り、純水で希釈して、BET比表面積60m/g、平均細孔径10nmの10重量%酸化ランタン−20重量%酸化ネオジウム−70重量%ジルコニア粉末498gに含浸担持した。この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.4重量%Rh担持ジルコニア系複合酸化物を調製した。
[第一触媒層(下層)の調製]
次に、上記方法で調製した各触媒成分を用いて、下記のようにして、第一触媒層(下層)の調製を行った。
上記0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(1)600g、上記1.0重量%Pd担持セリア100g、上記0.2重量%Pd担持ゼオライト500gと精製糖200g、純水1.2Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。容積1.0L、400cell/inch(620k/m)のコージェライト製ハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、300℃、1時間の焼成を行い、実施例1におけるPt−Pd含有第一触媒層(下層)(触媒重量:120.4g/L、Pt:0.2g/L、Pd:0.2g/L、炭酸バリウム:6g/L、炭酸マグネシウム:3g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、セリア−アルミナ:51g/L)を得た。
[第二触媒層(上層)の調製]
次に、上記方法で調製した各触媒成分を用いて、下記のようにして、第二触媒層(上層)の調製を行った。
上記0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ800g、上記0.4重量%Rh担持ジルコニア系複合酸化物200gと精製糖200g、純水1.3Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。上記Pt−Pd第一触媒層(下層)をコート済みのハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、500℃、1時間の焼成を行い、実施例1におけるPt−Rh含有第二触媒層(上層)(触媒重量:252g/L、Pt:1.8g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:20g/L、炭酸マグネシウム:10g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:170g/L)を得た。
一連の触媒調製法により、実施例1の2層LNT触媒(触媒総重量:372.4g/L、Pt:2g/L、Pd:0.2g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:26g/L、炭酸マグネシウム:13g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:221g/L)を得た。
その後、下記の要領でBa、Mg溶出試験、及びモデルガスによる模擬脱S処理とモデルガス評価を行ってLNT触媒の性能を評価した。第二触媒層を形成するスラリー中のBaおよびMgの溶出率を表3にまとめた。また、模擬脱S処理後のモデルガスによる脱硝性能を図2に示した。
<Ba、Mg溶出試験>
上記第二触媒層形成用スラリーに1.0N硝酸水溶液を3.0g添加し、pHを4.0程度に調整した。その酸性スラリー50gを半透膜フィルムに入れ口を閉じ、pH4.0に調整した硝酸水溶液200gの中にフィルムごと入れて、一晩静置させた。その後、フィルム外の溶液をサンプリングして、ICP分析により溶液中のBa濃度、Mg濃度を求めて、Ba溶出率、Mg溶出率を算出した。
<モデルガスによる模擬脱S処理>
製造した触媒付ハニカム担体から直径1inch(25.4mm)、長さ3inch(76.2mm)の触媒コアを抜き出し、700℃、100時間電気炉による熱処理を実施した。その後、電気炉から取り出した触媒コアをモデルガス反応装置にセットし、窒素ガス気流(空間速度:22,000hr−1)中で触媒コアの触媒中心の温度を650℃まで昇温させた後、空間速度を維持したまま表1のRich−Lean雰囲気ガスを10秒−10秒間隔で交互に流した(還元時の劣化を加速させるため、Rich処理時間を長めの10秒とした)。Rich−Leanのサイクルを40時間繰り返した後、窒素ガス気流に戻して室温まで降温させ、脱硝性能モデルガス評価を実施した。その後、40時間の模擬脱S処理と脱硝性能モデルガス評価を交互に行い、総計で160時間になるまで模擬脱S処理を実施した。
Figure 0005806131
<モデルガス評価>
700℃、100時間電気炉耐久および模擬脱S処理を終えた触媒コアを以下の仕様でモデルガス評価を行った。なお、LNT触媒としての優劣を判断するため、NOx吸蔵能力と脱硝能力の両方を見ることができるよう、両方の仕様を組み合わせたモデルガス評価を行った。
まず、触媒コアを320℃まで窒素ガス気流(空間速度:16,000hr−1)中で昇温させた後、表2のガス組成でNOx吸蔵処理を60秒間実施した。その後、空間速度を上げ(16,000hr−1から50,000hr−1)、表2のガス組成のRich/Lean雰囲気ガスを各々2秒/23秒のサイクルで5回繰り返すことにより脱硝処理を実施した。その後、空間速度を下げ(50,000hr−1から16,000hr−1)、窒素ガス気流中で室温に戻した。
脱硝率は以下の式で算出した。
脱硝率(%)={1−(NOx吸蔵処理及び脱硝処理時に触媒コアから排出された総NOx量)/(NOx吸蔵処理及び脱硝処理時に触媒コアに加えた総NO量)}×100
Figure 0005806131
(実施例2)
[第一触媒層(最下層)の調製]
まず、上記実施例1に示した0.2重量%Pd担持ゼオライト500gと純水1Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。容積1.0L、400cell/inch(620k/m)のコージェライト製ハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、500℃、1時間の焼成を行い、実施例2におけるPd含有第一触媒層(最下層)(触媒重量:50.1g/L、Pd:0.1g/L、ゼオライト:50g/L)を得た。
[第二触媒層(下層)の調製]
次に、実施例1の0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(1)600g、同じく実施例1の1.0重量%Pd担持セリア100gと上記市販の精製糖200g、純水0.7Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。上記Pd含有第一触媒層(最下層)をコート済みのハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、300℃、1時間の焼成を行い、実施例2におけるPt−Pd含有第二触媒層(下層)(触媒重量:70.3g/L、Pt:0.2g/L、Pd:0.1g/L、炭酸バリウム:6g/L、炭酸マグネシウム:3g/L、セリア:10g/L、セリア−アルミナ:51g/L)を得た。
[第三触媒層(上層)の調製]
その後、実施例1に示した第二触媒層(上層)用のスラリーを用い、上記Pd含有第一触媒層(最下層)およびPt−Pd含有第二触媒層(下層)をコート済みのハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、500℃、1時間の焼成を行い、実施例2におけるPt−Rh含有第三触媒層(上層)(触媒重量:252g/L、Pt:1.8g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:20g/L、炭酸マグネシウム:10g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:170g/L)を得た。
これら一連の触媒調製法により、実施例2の3層LNT触媒(触媒総重量:372.4g/L、Pt:2g/L、Pd:0.2g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:26g/L、炭酸マグネシウム:13g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:221g/L)を得た。 その後、前記実施例1に記載の要領で、Ba、Mg溶出試験、及びモデルガスによる模擬脱S処理とモデルガス評価を行ってLNT触媒の性能を評価した。第二触媒層を形成するスラリー中のBaおよびMgの溶出率を表3にまとめた。また、模擬脱S処理後のモデルガスによる脱硝性能を図2に示した。
(比較例1)
<Pt担持CeO−Al(1)>
水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で4g量り取り、純水に希釈し、BET比表面積130m/g、平均細孔径10nmの10.0重量%セリア−90.0重量%アルミナ粉末996gに含浸担持した。この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.4重量%Pt担持セリア−アルミナを調製した。
<Pt担持CeO−Al(2)>
水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で4g量り取り、純水に希釈し、BET比表面積130m/g、平均細孔径10nmの10.0重量%セリア−90.0重量%アルミナ粉末996gに含浸担持した。この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.4重量%Pt担持セリア−アルミナを調製した。
[第一触媒層(下層)の調製]
0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(1)の代わりに、上記0.4重量%Pt担持セリア−アルミナ(1)510gを用いた以外は、実施例1と同様にして、第一触媒層(下層)の調製を行った。すなわち実施例1記載の1.0重量%Pd担持セリア100g、同じく実施例1記載の0.2重量%Pd/ゼオライト500gと酢酸バリウム74.6g、酢酸マグネシウム47g、精製糖236g、純水1.2Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。容積1.0L、400cell/inch(620k/m)のコージェライト製ハニカム担体にこのスラリーをコーティングし、80℃、20分乾燥後、500℃、1時間の焼成を行い、比較例1におけるPt−Pd含有第一触媒層(下層)(触媒重量:120.4g/L、Pt:0.2g/L、Pd:0.2g/L、炭酸バリウム:6g/L、炭酸マグネシウム:3g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、セリア−アルミナ:51g/L)を得た。
[第二触媒層(上層)の調製]
上記実施例1に示した0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナを含むスラリーの代わりに、1.05重量%Pt担持セリア−アルミナ(2)680g、実施例1の0.4重量%Rh担持ジルコニア系複合酸化物200gと酢酸バリウム99.4g、酢酸マグネシウム62.8g、精製糖248g、純水1Lをポットミルで混合粉砕してスラリーを調製した。
上記Pt−Pd第一触媒層(下層)をコート済みのハニカム担体に、このスラリーを実施例1と同様にしてコーティングし、80℃、20分乾燥後、500℃、1時間の焼成を行い、比較例1におけるPt−Rh含有第二触媒層(上層)(触媒重量:252g/L、Pt:1.8g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:20g/L、炭酸マグネシウム:10g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:170g/L)を得た。
これら一連の触媒調製法により、比較例1の2層触媒(触媒総重量:372.4g/L、Pt:2g/L、Pd:0.2g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:26g/L、炭酸マグネシウム:13g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:221g/L)を得た。
その後、前記実施例1に記載の要領で、Ba、Mg溶出試験、及びモデルガスによる模擬脱S処理とモデルガス評価を行ってLNT触媒の性能を評価した。第二触媒層を形成するスラリー中のBaおよびMgの溶出率を表3にまとめた。また、模擬脱S処理後のモデルガスによる脱硝性能を図2に示した。
(比較例2)
<Pt−炭酸Ba−炭酸Mg−CeO担持Al(1)>
実施例1に示したセリア−アルミナ粉末の代わりに、硝酸セリウムを用いて、下記のようにして、Pt−炭酸Ba−炭酸Mg−CeO担持Al(1)を調製した。
すなわち、酢酸バリウムを124.3g、酢酸マグネシウムを78.5g、硝酸セリウムを271.1g、精製糖を60g、各々量り取り、純水で希釈して、完全に溶解させた後、BET比表面積150m/g、平均細孔径15nmのγ−アルミナ粉末750gに含浸担持した。この含水物を500℃、5時間空気中で焼成することで、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナを調製した。水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で3.3g量り取り、純水に希釈し、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ997gに含浸担持した。この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ(1)を調製した。なお、表3では、このアルミナ(1)を(C”)と記述した。
<Pt−炭酸Ba−炭酸Mg−CeO担持Al(2)>
酢酸バリウムを124.3g、酢酸マグネシウムを78.5g、硝酸セリウムを271.1g、精製糖60gを各々量り取り、純水で希釈して、完全に溶解させた後、BET比表面積150m/g、平均細孔径15nmのγ−アルミナ粉末750gに含浸担持した。この含水物を500℃、5時間空気中で焼成することで、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナを調製した。水酸化白金(IV)酸のエタノールアミン溶液をPt重量で9g量り取り、純水に希釈し、10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ991gに含浸担持した。この含水物を500℃、1時間空気中で焼成することで、0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ(2)を調製した。なお、表3では、このアルミナ(2)を(C”)と記述した。
[第一触媒層(下層)の調製]
まず、0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(1)の代わりに、0.33重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ(1)を用い、焼成温度を500℃にした他は実施例1と同様な方法で、比較例2におけるPt−Pd含有第一触媒層(下層)(触媒重量:120.4g/L、Pt:0.2g/L、Pd:0.2g/L、炭酸バリウム:6g/L、炭酸マグネシウム:3g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、セリア−アルミナ:51g/L)を得た。
[第二触媒層(上層)の調製]
次に、0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム担持セリア−アルミナ(2)の代わりに、0.9重量%Pt−10重量%炭酸バリウム−5重量%炭酸マグネシウム−10重量%セリア担持アルミナ(2)を用いた他は実施例1と同様な方法で、比較例2におけるPt−Rh含有第二触媒層(上層)(触媒重量:252g/L、Pt:1.8g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:20g/L、炭酸マグネシウム:10g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:170g/L)を得た。
これら一連の触媒調製法により、比較例2の2層触媒(触媒総重量:372.4g/L、Pt:2g/L、Pd:0.2g/L、Rh:0.2g/L、炭酸バリウム:26g/L、炭酸マグネシウム:13g/L、セリア:10g/L、ゼオライト:50g/L、ジルコニア系複合酸化物:50g/L、セリア−アルミナ:221g/L)を得た。
その後、前記実施例1に記載の要領で、Ba、Mg溶出試験、及びモデルガスによる模擬脱S処理とモデルガス評価を行ってLNT触媒の性能を評価した。第二触媒層を形成するスラリー中のBaおよびMgの溶出率を表3にまとめた。また、模擬脱S処理後のモデルガスによる脱硝性能を図2に示した。
Figure 0005806131
「評価」
以上の結果、Ba、Mgの溶出を示す表3から明らかなように、本発明の実施例1および実施例2のスラリーでは、Baが60ppm溶出した程度でこれを溶出率に換算しても2%程度であった。また、Mgはまったく溶出しておらず、炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウムの形で母材であるセリア−アルミナに固定化されたBaおよびMgはほとんど溶出していないといえる。
一方、比較例1で、酢酸バリウムおよび酢酸マグネシウムとして加えられたスラリー中のBaおよびMgはいずれも100%スラリー中に溶け出しており、母材には固定されていなかった。また、比較例2でも、スラリー中のBaおよびMgは30〜40%もスラリー中に溶け出していた。その原因は明確ではないが、酢酸バリウム、酢酸マグネシウムを母材に固定させるための焼成温度が高すぎたことか、Ceを硝酸セリウムで入れたことによりBaおよびMgの炭酸化が抑制されたと考えられる。
また、モデルガス評価を示す図2から明らかなように、750℃、100時間電気炉耐久直後では、実施例、比較例の触媒はいずれもほぼ同じ脱硝性能であった。従って、単純な熱劣化には何れの触媒も耐熱性を有していることを示唆している。
しかし、本発明の実施例1のLNT触媒は、模擬脱S処理を160時間実施しても750℃、100時間電気炉耐久後からの脱硝率の低下は10%程度に止まった。また、Pd/ゼオライトを上下二層の下層から上下三層の最下層に設置した実施例2のLNT触媒では、さらに脱硝率の低下が実施例1のLNT触媒より2%ほど好転した。
一方、BaやMgがスラリー中に100%溶出した比較例1のLNT触媒は、模擬脱S処理前は実施例1および2と同レベルの脱硝率を発揮したにも関わらず、40時間経過後で25%も悪化した。また、BaやMgの溶出が30〜40%程度の比較例2のLNT触媒も模擬脱S処理前の脱硝率は問題ないものの、模擬脱S処理を繰り返すことにより脱硝率は低下し、40時間経過後で15%以上も悪化した。
以上の結果から、本発明の触媒はRichスパイクを含む脱S処理を多数回繰り返しても劣化し難いことがわかる。
本発明のLNT触媒は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、またガスタービンなど、化石燃料を使用した燃焼機関から排出されるNOxを含む排気ガスの浄化に使用することができる。

Claims (10)

  1. 一体構造型担体の上に少なくとも二層からなる貴金属元素を含む触媒層を有する排気ガス中のNOx吸蔵脱硝触媒(LNT)において、
    上層に、ロジウムを担持したジルコニア系複合酸化物(A)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C)を含有し、下層に、パラジウムを担持したセリア(B)、パラジウムを担持したゼオライト(D)と、白金、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムを担持したセリア−アルミナ(C’)を含有することを特徴するNOx吸蔵脱硝触媒。
  2. 上層のジルコニア系複合酸化物(A)が、酸化ランタンを2〜20重量%、及び酸化ネオジムを10〜30重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  3. ジルコニア系複合酸化物(A)の含有量が、30〜70g/Lであることを特徴とする請求項1または2に記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  4. 上層のセリア−アルミナ(C)がセリア含有率5〜20重量%であり、かつ炭酸バリウムを10〜40g/L、及び炭酸マグネシウムを5〜20g/L含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  5. セリア−アルミナ(C)の含有量が、130〜210g/Lであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  6. 下層のセリア−アルミナ(C’)が、セリア含有率5〜20重量%であり、かつ炭酸バリウムを2〜15g/L、及び炭酸マグネシウムを1〜10g/L含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  7. セリア−アルミナ(C’)の含有量が、30〜90g/Lであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  8. 下層のセリア(B)の含有量が、5〜30g/Lであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  9. 下層のゼオライト(D)の担持量が20〜80g/Lであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
  10. 前記パラジウム担持ゼオライト(D)が、前記下層から分離され、最下層として一体構造型担体の上に被覆され、その上に下層、上層が被覆された三層からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のNOx吸蔵脱硝触媒。
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