JP4264658B2 - 液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4264658B2
JP4264658B2 JP2005503712A JP2005503712A JP4264658B2 JP 4264658 B2 JP4264658 B2 JP 4264658B2 JP 2005503712 A JP2005503712 A JP 2005503712A JP 2005503712 A JP2005503712 A JP 2005503712A JP 4264658 B2 JP4264658 B2 JP 4264658B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
control unit
liquid
energy
operation control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005503712A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2004082943A1 (ja
Inventor
学 冨田
五輪男 牛ノ▲浜▼
伸一 堀井
武夫 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Publication of JPWO2004082943A1 publication Critical patent/JPWO2004082943A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4264658B2 publication Critical patent/JP4264658B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14056Plural heating elements per ink chamber
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14088Structure of heating means
    • B41J2/14112Resistive element
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17506Refilling of the cartridge
    • B41J2/17509Whilst mounted in the printer
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17513Inner structure
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17553Outer structure
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J29/00Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
    • B41J29/38Drives, motors, controls or automatic cut-off devices for the entire printing mechanism
    • B41J29/393Devices for controlling or analysing the entire machine ; Controlling or analysing mechanical parameters involving printing of test patterns

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は熱エネルギー等によって液室内の液体を吐出口より吐出させる液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
本出願は、日本国において2003年3月20日に出願された日本特許出願番号2003−079153を基礎として優先権を主張するものであり、この出願は参照することにより、本出願に援用される。
近年、ハードコピー及び印刷等の分野において、カラー出力に対する要求が高まってきている。この要求に応えるため、従来、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式及び熱現像銀塩方式等のカラー画像形成方式を用いた画像形成装置、液体吐出装置等が提案されている。
これらの方式のうち、インクジェット方式の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドであるプリンタヘッドに設けられたノズルから、記録液(インク)の液滴を飛翔させ、記録媒体に付着させてドットを形成するものであり、簡易な構成により高画質の画像を出力することができる。このインクジェット方式は、液室内のインクに対し、エネルギー発生素子によりエネルギーを付与することにより、ノズルからインク液滴を飛び出させるようになされている。このエネルギー発生素子の種類により静電引力方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)及びサーマル方式に分類されている。
これらの方式のうち、サーマル方式は、エネルギー発生素子として発熱素子が適用されている。この発熱素子による液室内のインクの局所的な加熱(エネルギーの付与)により、液室内のインク中に気泡を発生させる。そして、この気泡による圧力によって、インクをノズルから押し出して記録媒体に飛翔させる方式である。すなわち、サーマル方式は、簡易な構成によりカラー画像を印刷することができる。
このインクジェット方式の液体吐出装置は、発熱素子によりインクを熱し沸騰させて、その結果発生した気泡を膨張させて液体をインク吐出口より吐出させるものである。よって、発熱素子の発熱量、インクの組成、インクの温度等のばらつきによってインクの吐出方向等が不安定となる場合がある。そこで、このような問題点を解決するため、インクの吐出方向を制御するようにした技術が特開2000−185403号公報において提案される。
しかしながら、特開2000−185403号公報には、複数の発熱素子の駆動制御回路についての開示はない。この駆動制御回路の設計に当たっては、以下のようなことに留意する必要がある。
インクを吐出させるためには、液室内のインクを瞬間的に沸騰させ、発生した気泡を膨張させる必要がある。このため、発熱素子には、瞬間的ではあるが、0.5W〜1W程度の電力を供給する必要があり、電力供給用の配線は、低抵抗に設計する必要がある。具体的に、電力供給用の配線は、低抵抗化のため、幅広に設計する必要がある。また、液体吐出ヘッドには、通常、複数の液室が並んで配設されており、それぞれの液室には、インクを吐出できるように発熱素子が設けられている。液室や液室に設けられるインク吐出口は、印刷画像を高解像度で印刷することができるようにするため、極めて近接して設けられている。これに伴い、各液室に対応して設けられている発熱素子も近接して設けられている。したがって、発熱素子への電力供給用配線を、複数の発熱素子に電力を供給する共通配線とした場合には、更に多くの電流を流す必要がある。即ち、電力供給用配線を幅広に設計する必要がある。一方、発熱素子への電力供給用配線のために、配線層を更に1層設けることは、生産効率が下がってしまう。
本発明の目的は、上述したような従来の技術が有する問題点を解決することができる新規な液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置を提供することにあり、更に具体的には、発熱素子等のエネルギー発生素子への電力供給用配線を、新たな導電層を設けることなく幅広に形成することができる液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置を提供することにある。
上述のような目的を達成するために提案される本発明に係る液体吐出ヘッドは、液室に設けられ、該液室に保持した液体にエネルギーを付与し、該液体をノズルから吐出する複数のエネルギー発生素子と、複数のエネルギー発生素子にエネルギーを供給するエネルギー供給配線と、ノズルから液体を吐出するために、複数のエネルギー発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を有する主操作制御部と、各エネルギー発生素子に供給されるエネルギーを可変する、若しくはエネルギーの付与タイミングをずらす制御を行う第2のスイッチング素子と、ノズルより吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有する副操作制御部と、第1乃至3のスイッチング素子を制御配線を介して切換制御する制御部とを備え、エネルギー発生素子、主操作制御部、副操作制御部及び制御部は、同一の半導体基板に設けられ、半導体基板には、エネルギー供給配線と制御配線とが異なる導電層に設けられている。
また、本発明に係る液体吐出装置は、液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドを備え、液体吐出ヘッドは、液室に設けられ、該液室に保持した液体にエネルギーを付与し、該液体をノズルから吐出する複数のエネルギー発生素子と、複数のエネルギー発生素子にエネルギーを供給するエネルギー供給配線と、ノズルから液体を吐出するために、複数のエネルギー発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を有する主操作制御部と、各エネルギー発生素子に供給されるエネルギーを可変する、若しくはエネルギーの付与タイミングをずらす制御を行う第2のスイッチング素子と、ノズルより吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有する副操作制御部と、第1乃至3のスイッチング素子を制御配線を介して切換制御する制御部とを有し、エネルギー発生素子、主操作制御部、副操作制御部及び制御部は、同一の半導体基板に設けられ、半導体基板には、エネルギー供給配線と制御配線とが異なる導電層に設けられている。
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
以下、本発明をインクジェットプリンタ装置に適用した例を挙げて図面を参照しながら説明する。
本発明を適用したインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置という。)1は、図1に示すように、記録紙に対してインク等を吐出して画像や文字を印刷する。このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせてインク吐出孔を設けた、所謂ライン型のプリンタ装置である。このプリンタ装置1は、インク4を吐出するインクジェットプリントヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2を装着するプリンタ本体3とを備える。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2がプリンタ本体3に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ2に対してインク供給源となるインクカートリッジ11y、11m、11c、11kが着脱可能である。このプリンタ装置1では、イエロのインクカートリッジ11y、マゼンタのインクカートリッジ11m、シアンのインクカートリッジ11c、ブラックのインクカートリッジ11kが使用可能となっており、また、プリンタ本体3に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、ヘッドカートリッジに対して着脱可能なインクカートリッジ11y、11m、11c、11kとを消耗品として交換可能になっている。
このようなプリンタ装置1は、記録紙Pを積層して収納するトレイ85aをプリンタ本体3の前面底面側に設けられたトレイ装着口に装着することにより、トレイ85aに収納されている記録紙Pをプリンタ本体3内に給紙することができる。トレイ85aは、プリンタ本体3の前面のトレイ装着口に装着されると、給排紙機構84により記録紙Pが給紙口85からプリンタ本体3の背面側に給紙される。プリンタ本体3の背面側に送られた記録紙Pは、反転ローラにより走行方向が反転され、往路の上側をプリンタ本体3の背面側から前面側に送られる。プリンタ本体3の背面側から前面側に送られる記録紙Pは、プリンタ本体3の前面に設けられた排紙口86より排紙されるまでに、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された文字データや画像データに応じた文字や画像が印刷される。
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ2は、プリンタ本体3の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着され、給排紙機構84により走行する記録紙Pに対してインク4を吐出して印刷を行う。そこで、先ず、上述したプリンタ装置1を構成するプリンタ本体に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、このヘッドカートリッジ2に着脱されるインクカートリッジ11y、11m、11c、11kについて図面を参照して説明する。
このヘッドカートリッジ2は、インク4を、例えば電気熱変換式で微細に液滴化して吐出し、記録紙P等の被記録体上にインク4を吹き付ける。具体的に、ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、インクカートリッジ収納体31を有し、このインクカートリッジ収納体31には、インク4が充填された容器であるインクカートリッジ11y、11m、11c、11kが装着される。なお、以下、インクカートリッジ11y、11m、11c、11kを単にインクカートリッジ11ともいう。
ヘッドカートリッジ2に着脱可能なインクカートリッジ11を、図3に示す。インクカートリッジ11は、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるカートリッジ本体11aを有する。このカートリッジ本体11aは、記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法となす略矩形状に形成され、インク容量を最大限に増やす内部構成となっている。
インクカートリッジ11を構成するカートリッジ本体11aには、インク4を収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ2のインクカートリッジ収納体31にインク4を供給するインク供給部13と、外部よりインク収容部12内に空気を取り込む外部連通孔14と、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する空気導入路15と、外部連通孔14と空気導入路15との間でインク4を一時的に貯留する貯留部16と、外部連通孔14から外部へのインク漏れを防ぐシール17と、インクカートリッジ11をインクカートリッジ収納体31に係止するための係止突部18及び係合段部19と、インク収容部12内のインク4の残量を検出するための残量検出部20と、インクカートリッジ11を識別するための複数の突起部23を有する係合突部21とが設けられている。
インク収容部12は、インク4を収容するための空間を、気密性の高い材料により形成している。インク収容部12は、略矩形に形成され、長手方向の寸法が記録紙Pの幅方向、すなわち記録紙Pの走行方向に対して略直交する方向の寸法と略同じ寸法となるように形成されている。
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部37に嵌合されることにより、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体11aとヘッドカートリッジ2のインクカートリッジ収納体31を接続する。
インク供給部13は、図4及び図5に示すように、インクカートリッジ11の底面13aにインク4を供給する供給口13bが設けられ、この底面13aに、供給口13bを開閉する弁13cと、この弁13cを、供給口13bの閉塞する方向に付勢するコイルバネ13dと、この弁13cを開閉する開閉ピン13eとを備えている。ヘッドカートリッジ2の接続部37に接続されるインク4を供給する供給口13bは、図4に示すように、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2のインクカートリッジ収納体31に装着される前の段階において、付勢部材であるコイルバネ13dの付勢力により、弁13cが供給口13bを閉じる方向に付勢され閉塞されている。インクカートリッジ11がインクカートリッジ収納体31に装着されると、図5に示すように、開閉ピン13eがヘッドカートリッジ2を構成するインクカートリッジ収納体31の接続部37の上部により図5中矢印B方向に付勢するコイルバネ13dの付勢方向とは反対の方向に押し上げられる。これにより、押し上げられた開閉ピン13eは、コイルバネ13dの付勢力に抗して弁13cを押し上げて供給口13bを開放する。以上のようにして、インクカートリッジ11のインク供給部13は、ヘッドカートリッジ2の接続部37に接続され、インク収容部12とインク溜め部51とを連通し、インク溜め部51へのインク4の供給が可能な状態となる。
インクカートリッジ11をヘッドカートリッジ2側の接続部37から引き抜くとき、すなわちインクカートリッジ11をヘッドカートリッジ2の装着部32より取り外すとき、弁13cの開閉ピン13eによる押し上げ状態が解除され、弁13cは、コイルバネ13dの付勢方向に移動し、供給口13bを閉塞する。これにより、インクカートリッジ11をインクカートリッジ収納体31に装着する直前にインク供給部13の先端部が下方を向いている状態であってもインク収容部12内のインク4が漏れることを防止することができる。
外部連通孔14は、図3に示すように、インクカートリッジ11の外部からインク収容部12に空気を取り込む通気口であり、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2の装着部32に装着されたときも、外気を取り込むことができるように、装着部32への装着時に外部に臨む位置であるカートリッジ本体11aの上面、ここでは上面略中央に設けられている。外部連通孔14は、インクカートリッジ11がインクカートリッジ収納体31に装着されてインク収容部12からインクカートリッジ収納体31側にインク4が流下した際に、インク収容部12内のインク4が減少した分に相当する分の空気を外部よりインクカートリッジ11内に取り込む。
空気導入路15は、インク収容部12と外部連通孔14とを連通し、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する。これにより、このインクカートリッジ11がインクカートリッジ収納体31に装着された際に、ヘッドカートリッジ2のインクカートリッジ収納体31にインク4が供給されてインク収容部12内のインク4が減少し内部が減圧状態となっても、インク収容部12には、空気導入路15により空気が導入され、内部の圧力が平衡状態に保たれてインク4をインクカートリッジ収納体31に適切に供給することができる。
貯留部16は、外部連通孔14と空気導入路15との間に設けられ、インク収容部12に連通する空気導入路15よりインク4が漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないようにインク4を一時的に貯留する。
この貯留部16は、長い方の対角線をインク収容部12の長手方向とした略菱形に形成され、インク収容部12の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路15を設けるようにし、インク収容部12より進入したインク4を再度インク収容部12に戻すことができるようにしている。また、貯留部16は、短い方の対角線上の最も上側の頂部に外部連通孔14を設けるようにし、インク収容部12より進入したインク4が外部連通孔14より外部に漏れにくくする。
シール17は、外部連通孔14を閉塞する部材であり、外部連通孔14までインク4が逆流してしまったインク4がインクカートリッジ11の外部に漏れてしまうことを防止する。このため、シール17は、少なくともインク4を透過しないような撥水性を有する材料で形成されている。そして、このシール17は、使用時において、剥離され、インク使用量に応じて、外部連通孔14からは、インク収容部12内に外気を随時補充できるようにする。
係止突部18は、インクカートリッジ11の短辺の一方の側面に設けられた突部であり、ヘッドカートリッジ2のインクカートリッジ収納体31のラッチレバー34に形成された係合孔34aと係合する。この係止突部18は、上面がインク収容部12の側面に対して略直交するような平面で形成されると共に、下面は側面から上面に向かって傾斜するように形成されている。係合段部19は、インクカートリッジ11の係止突部18が設けられた側面の反対側の側面の上部に設けられている。係合段部19は、カートリッジ本体11aの上面と一端を接する傾斜面19aと、この傾斜面19aの他端と他方の側面と連続し、上面と略平行な平面19bとからなる。インクカートリッジ11は、係合段部19が設けられていることで、平面19bが設けられた側面の高さがカートリッジ本体11aの上面より1段低くなるように形成され、この段部でインクカートリッジ収納体31の係合片33と係合する。係合段部19は、ヘッドカートリッジ2の装着部32に挿入されるとき、挿入端側の側面に設けられ、ヘッドカートリッジ2の装着部32側の係合片33に係合することで、インクカートリッジ11を装着部32に装着する際の回動支点部となる。
残量検出部20は、図3に示すように、インクカートリッジ11の係合段部19が設けられた側面に設けられている。残量検出部20は、インク収容部12内に臨まされる一対の検出ピンと、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2の装着部32に装着されたとき、ヘッドカートリッジ2のインク残量検出部36と電気的に接続される接点とを備える接点部材を有し、この接点部材は、カートリッジ本体11aの側面の高さ方向に複数、ここでは3段並設されている。インク4は、一般的に導電性を有するものであるから、インク収容部12内に臨まされている一対の検出ピンがインク4に浸漬しているとき電気抵抗値が小さくなり、インク4に浸漬していないとき、電気抵抗が高くなる。すなわち、インク収容部12内にインク4が満杯のとき、全ての検出ピンは、インク4に浸漬されており、全て電気抵抗値が低い状態となる。そして、インク4が使用されるにしたがって、検出ピンが上の段から順に露出し検出ピンの電気抵抗値は上の段から順に高くなる。これによって、残量検出部20は、インク収容部12内のインク残量を検出することができる。なお、インク収容部12の高さ方向に設ける端子板の数は、3段に限定されるものではなく、2段でもよく、また、より正確な残量検出を行う場合には、この段数を更に増やすようにすればよい。
ところで、インクカートリッジ11を構成するカートリッジ本体11aは、インク供給部13が設けられた底面側がヘッドカートリッジ2に設けられた装着部32に係合する係合領域22となる。そして、係合領域22の一部、すなわちカートリッジ本体11aの係合領域22には、インクカートリッジ11の種類を識別するための複数の突起部を有する係合突部21が設けられている。この係合突部21は、複数の突起部の配置パターンによってインクカートリッジ11の種類を識別できるようになっており、インクカートリッジ11y、11m、11c、11kがヘッドカートリッジ2の正規の装着部32y、32m、32c、32kに装着されたときに限って、その装着部32y、32m、32c、32kに設けられた係合凹部24に係合するように設けられている。
次に、以上のように構成されたイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのインク4を収納したインクカートリッジ11y、11m、11c、11kが装着されるヘッドカートリッジ2について説明する。
ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、インクカートリッジ収納体31を有し、このインクカートリッジ収納体31には、インクカートリッジ11が装着される装着部32y、32m、32c、32k(以下、全体を示すときには単に装着部32ともいう。)と、インクカートリッジ11を固定する係合片33及びラッチレバー34と、インクカートリッジ11を取り出し方向に付勢する付勢部材35と、インクカートリッジ11内におけるインク残量を検出するインク残量検出部36と、インク供給部13と接続されてインク4が供給される接続部37と、接続部37内におけるインク4の有無を検出するインク検出部38、39と、インクカートリッジ収納体31をプリンタ本体3から取り外すための取手部40と、インク4を吐出する吐出ヘッド41と、吐出ヘッド41を保護するヘッドキャップ42とを有している。
インクカートリッジ11が装着される装着部32は、インクカートリッジ11が装着されるように上面をインクカートリッジ11の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクカートリッジ11が記録紙Pの走行方向に並んで収納される。装着部32は、インクカートリッジ11が収納されることから、インクカートリッジ11と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。そして、インクカートリッジ収納体31には、インクカートリッジ11が収納装着される。
装着部32は、図6に示すように、インクカートリッジ11が装着される部分であり、イエロ用のインクカートリッジ11yが装着される部分を装着部32yとし、マゼンタ用のインクカートリッジ11mが装着される部分を装着部32mとし、シアン用のインクカートリッジ11cが装着される部分を装着部32cとし、ブラック用のインクカートリッジ11kが装着される部分を装着部32kとし、各装着部32y、32m、32c、32kは、隔壁32aによりそれぞれ隣接するように区画されている。
なお、上述したようにブラックのインクカートリッジ11kは、インク4の内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクカートリッジ11y、11m、11cよりも広く設けられており、これに合わせて装着部32kの幅も他の装着部32y、32m、32cよりも広く設けられている。
以上のようにインクカートリッジ11が装着される装着部32の開口端には、図3に示すように、係合片33が設けられている。この係合片33は、装着部32の長手方向の一端縁に設けられており、インクカートリッジ11の係合段部19と係合する。インクカートリッジ11は、インクカートリッジ11の係合段部19側を挿入端として斜めに装着部32内に挿入し、係合段部19と係合片33との係合位置を回動支点として、インクカートリッジ11の係合段部19が設けられていない側を装着部32側に回動させるようにして装着部32に装着することができる。これによって、インクカートリッジ11は、装着部32に容易に装着することができ、また、挿入端となる側面に設けられている残量検出部20がインクカートリッジ収納体31の側面とこすれることをなくし、残量検出部20の保護を図っている。
ラッチレバー34は、図3に示すように、板バネを折曲して形成されるものであり、装着部32の係合片33に対して反対側の側面、すなわち長手方向の他端の側面に設けられている。ラッチレバー34は、基端部が装着部32を構成する長手方向の他端の側面の底面側に一体的に設けられ、先端側がこの側面に対して近接離間する方向に弾性変位するように形成され、先端側に係合孔34aが形成されている。ラッチレバー34は、インクカートリッジ11が装着部32に装着されると同時に、弾性変位し、係合孔34aがインクカートリッジ11の係止突部18と係合し、装着部32に装着されたインクカートリッジ11が装着部32より脱落しないようにする。
付勢部材35は、板バネを折り曲げて形成されたものであって、装着部32にインクカートリッジ11を取り外す方向に付勢するように配設されている。この付勢部材35は、折曲することにより形成された頂部を有し、底面に対して近接離間する方向に弾性変位し、頂部でインクカートリッジ11の底面を押圧し、装着部32に装着されているインクカートリッジ11を装着部32より取り外す方向に付勢するイジェクト部材である。付勢部材35は、ラッチレバー34の係合孔34aと係止突部18との係合状態が解除されたとき、装着部32よりインクカートリッジ11を排出する。
インク残量検出部36は、インクカートリッジ11内のインク4の残量を段階的に検出するものであり、図6に示すように、各色のインクカートリッジ11y、11m、11c、11kの装着部32y、32m、32c、32kに設けられている。インク残量検出部36は、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2に装着されたとき、図3に示すように、インクカートリッジ11内の側面の高さ方向に並列して設けられた残量検出部20に接触し電気的に接続される。インク残量検出部36は、インクカートリッジ11側へ付勢する図示しない付勢部材により押圧されており、インクカートリッジ11が装着されたとき、インクカートリッジ11の残量検出部20に密着され確実に残量検出部20と電気的に接続される。
各装着部32y、32m、32c、32kの長手方向略中央には、インクカートリッジ11y、11m、11c、11kが装着部32y、32m、32c、32kに装着されたとき、インクカートリッジ11y、11m、11c、11kのインク供給部13が接続される接続部37が設けられている。この接続部37は、インク供給部13から吐出ヘッド41にインク4を供給するインク供給路となる。
具体的に、接続部37は、図7に示すように、インクカートリッジ11から供給されるインク4を溜めるインク溜め部51と、接続部37に連結されるインク供給部13をシールするシール部材52と、インク4内の不純物を除去するフィルタ53と、ヘッドチップ41側への供給路を開閉する弁機構54とを有している。
インク溜め部51は、インク供給部13と接続されインクカートリッジ11から供給されるインク4を溜める空間部である。シール部材52は、インク溜め部51の上端に設けられた部材であり、インクカートリッジ11のインク供給部13が接続部37のインク溜め部51に接続されるとき、インク4が外部に漏れないようインク溜め部51とインク供給部13との間を密閉する。フィルタ53は、インクカートリッジ11の着脱時等にインク4に混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、インク検出部38、39よりも下部に設けられている。
弁機構54は、図8及び図9に示すように、インク溜め部51からインク4が供給されるインク流入路61と、インク流入路61からインク4が流入するインク室62と、インク室62からインク4を流出するインク流出路63と、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側との間に設けられた開口部64と、開口部64を開閉する弁65と、弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する付勢部材66と、付勢部材66の強さを調節する負圧調整ネジ67と、弁65と接続される弁シャフト68と、弁シャフト68と接続されるダイアフラム69とを有する。
インク流入路61は、インク溜め部51を介してインクカートリッジ11のインク収容部12内のインク4を吐出ヘッド41に供給可能にインク収容部12と連結する供給路である。インク流入路61は、インク溜め部51の底面側からインク室62まで設けられている。インク室62は、インク流入路61、インク流出路63及び開口部64と一体となって形成された略直方体をなす空間部であり、インク流入路61からインク4が流入し、開口部64を介してインク流出路63からインク4を流出する。インク流出路63は、インク室62から開口部64を介してインク4が供給されて、更に吐出ヘッド41と連結された供給路である。インク流出路63は、インク室62の底面側から吐出ヘッド41まで延在されている。
弁65は、開口部64を閉塞してインク流入路61側とインク流出路63側とを分割する弁であり、インク室62内に配設される。弁65は、付勢部材66の付勢力と、弁シャフト68を介して接続されたダイアフラム69の復元力と、インク流出路63側のインク4の負圧によって上下に移動する。弁65は、下端に位置するとき、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側とを分離するように開口部64を閉塞し、インク流出路63へのインク4の供給を遮断する。弁65は、付勢部材66の付勢力に抗して上端に位置するとき、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側とを遮断せずに、吐出ヘッド41へインク4の供給を可能とする。なお、弁65を構成する材質は、その種類を問わないが、高い閉塞性を確保するため例えばゴム弾性体、所謂エラストマにより形成される。
付勢部材66は、例えば圧縮コイルバネ等であり、弁65の上面とインク室62の上面との間で負圧調整ネジ67と弁65とを接続し、付勢力により弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する。負圧調整ネジ67は、付勢部材66の付勢力を調整するネジであり、負圧調整ネジ67を調整することで付勢部材66の付勢力を調整することができるようにしている。これにより、負圧調整ネジ67は、詳細は後述するが開口部64を開閉する弁65を動作させるインク4の負圧を調整することができる。
弁シャフト68は、一端に接続された弁65と、他端に接続されたダイアフラム69とを連結して運動するように設けられたシャフトである。ダイアフラム69は、弁シャフト68の他端に接続された薄い弾性板である。このダイアフラム69は、インク室62のインク流出路63側の一主面と、外気と接する他主面とからなり、大気圧とインク4の負圧により外気側とインク流出路63側に弾性変位する。
以上のような弁機構54では、図8に示すように、弁65が付勢部材66の付勢力とダイアフラム69の付勢力とによってインク室62の開口部64を閉塞するように押圧されている。そして、吐出ヘッド41からインク4が吐出された際に、開口部64分割されたインク流出路63側のインク室62のインク4の負圧が高まると、図9に示すように、インク4の負圧によりダイアフラム69が大気圧により押し上げられて、弁シャフト68と共に弁65を付勢部材66の付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室62のインク流入路61側とインク流出路63側と間の開口部64が開放され、インク4がインク流入路61側からインク流出路63側に供給される。そして、インク4の負圧が低下してダイアフラム69が復元力により元の形状に戻り、付勢部材66の付勢力により弁シャフト68と共に弁65をインク室62が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構54では、インク4を吐出する度にインク4の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
また、この接続部37では、インク収容部12内のインク4がインク室62に供給されると、インク収容部12内のインク4が減少するが、このとき、空気導入路15から外気がインクカートリッジ11内に入り込む。インクカートリッジ11内に入り込んだ空気は、インクカートリッジ11の上方に送られる。これにより、インク液滴iが後述するノズル104aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。このとき、空気導入路15内にインク4がほとんどない状態で平衡状態となる。
インク検出部38、39は、図7に示すように、それぞれインクカートリッジ11のインク供給部13に接続される接続部37内のインク4の有無を検出する一対の導電性を有する線状部材からなり、先端部が接続部37内に臨ませるように配設されている。インク検出部38、39は、接続部37のインク溜め部51の側面に接続部37の外部から内部に貫通するように設けられ、それぞれ吐出ヘッド41に接続されている。
インク検出部38、39の先端部は、接続部37内におけるフィルタ53よりも上部に設けられている。これは、インク4がフィルタ53以下となる場合に、吐出ヘッド41側におけるインク4の負圧が高まり、装置の故障の原因となることを防止するためである。インク検出部38、39は、インク4をフィルタ53よりもインクカートリッジ11側で検出することで、インク4がフィルタ53から吐出ヘッド41側において無くなることを防止することができる。
取手部40は、インクカートリッジ収納体31が消耗する等して交換の必要がある場合や、インクジェットプリンタ装置1を修理する際等に、インクカートリッジ収納体31の取り外しを容易にする。
吐出ヘッド41は、インクカートリッジ収納体31の底面に沿って配設されており、接続部37から供給されるインク液滴iを吐出するインク吐出孔である後述するノズル104aが各色毎に略ライン状をなすように設けられている。
ヘッドキャップ42は、図2に示すように、吐出ヘッド41を保護するために設けられたカバーであり、インク4を吐出する際には、プリンタ本体3の後述するカバー開閉機構により開閉される。ヘッドキャップ42は、開閉方向に亘って設けられた溝部71と、長手方向に亘って設けられ、吐出ヘッド41の吐出面41aに付着した余分なインク4を吸い取る清掃ローラ72とを有している。ヘッドキャップ42は、開閉動作時にこの溝部71に沿ってインクカートリッジ11の短手方向である図2中矢印C方向に移動するように取り付けられ、開閉操作時に清掃ローラ72が吐出ヘッド41の吐出面41aに当接しながら回転することで、余分なインク4を吸い取り、吐出ヘッド41の吐出面41aを清掃する。この清掃ローラ72は、例えば吸水性の高い部材が用いられる。また、ヘッドキャップ42は、吐出ヘッド41内のインク4が乾燥しないようにする。
上述した吐出ヘッド41は、各色のインク4に対応して、図10及び図11に示すように、ベースとなる回路基板を構成する半導体基板101と、インク4を加熱する一対の発熱抵抗体102a、102bと、インク4の漏れを防ぐバリア層103と、インク4が液滴の状態で吐出されるノズル104aが多数設けられたノズルシート104と、これらに囲まれてインク4が供給されるインク液室105と、インク液室105にインク4を供給するインク流路106とを有する。
半導体基板101は、シリコン等により形成された半導体基板であり、その一主面101aに、発熱抵抗体102a、102bが形成されていると共に、発熱抵抗体102a、102bを制御する主操作制御回路、副操作制御回路等の制御回路が形成されている。この制御回路は、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等で構成されている。
一対の発熱抵抗体102a、102bは、制御回路から供給される電力により発熱し、インク液室105内のインク4を加熱して内圧を高める。これにより加熱されたインク4は、後述するノズルシート104に設けられたノズル104aから液滴の状態で吐出する。
バリア層103は、半導体基板101の一主面101aに積層されている。バリア層103は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなるものであり、半導体基板101の一主面101aの略全体に積層された後、フォトリソグラフプロセスによって不要部分が除去され、一対の発熱抵抗体102a、102bを一括して略凹状に囲むように形成されている。バリア層103により一対の発熱抵抗体102a、102bを囲む部分がインク液室105の一部を形成する。
ノズルシート104は、インク液滴iを吐出させるためのノズル104aが形成されたシート状部材であり、バリア層103の半導体基板101と反対側に積層されている。ノズル104aは、ノズルシート104に円形状に開口された微小孔であり、一対の発熱抵抗体102a、102bと対向するように配置されている。なお、ノズルシート104はインク液室105の一部を構成する。
インク液室105は、半導体基板101、一対の発熱抵抗体102a、102b、バリア層103及びノズルシート104に囲まれた空間部であり、インク流路106からのインク4が供給される。インク液室105のインク4は、発熱抵抗体102a、102bにより加熱され、インク液室105の内圧が上昇する。インク流路106は、接続部37のインク流出路63と接続されており、接続部37に接続されたインクカートリッジ11からインク4が供給され、このインク流路106に連通する各インク液室105にインク4を送り込む流路を形成する。すなわち、インク流路106と接続部37とが連通されている。これにより、インクカートリッジ11から供給されるインク4がインク流路106に流れ込み、インク液室105内に充填される。
上述した吐出ヘッド41には、各インク液室105に一対の発熱抵抗体102a、102bが設けられており、一対の発熱抵抗体102a、102bを備えたインク液室105が通常100個程度ライン状に並設されている。この吐出ヘッド41は、プリンタ装置1の制御部からの指令によってこれら一対の発熱抵抗体102a、102bのそれぞれを適宜選択して一対の発熱抵抗体102a、102bを駆動し、インク液室105内のインク4を、インク液室105に対応するノズル104aから液滴の状態で吐出させることができる。
すなわち、吐出ヘッド41において、吐出ヘッド41と結合されたインク流路106から、インク液室105にインク4が満たされる。そして、一対の発熱抵抗体102a、102bに短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、一対の発熱抵抗体102a、102bがそれぞれ急速に発熱し、その結果、一対の発熱抵抗体102a、102bと接する部分に気相のインク気泡が発生する。そして、膨張したインク気泡の体積分のインク4が押圧され、さらに、インク4が沸騰する。これによって、ノズル104aに接する部分でインク気泡に押圧されたインク4と同等の体積のインク4がインク液滴iとしてノズル104aから吐出され、記録紙P上に着弾される。
吐出ヘッド41では、図12に示すように、1つのインク液室105内に、一対の発熱抵抗体102a、102bが並設されている。すなわち、1つのインク液室105内に、一対の発熱抵抗体102a、102bを備えるものである。具体的に、一対の発熱抵抗体102a、102bは、図12中矢印Dで示す記録紙Pの走行方向と略垂直方向に並設されている。なお、図12では、ノズル104aの位置を1点鎖線で示している。
このように、1つの発熱抵抗体102を縦割りにした2分割型のものでは、長さが同じで幅が半分になるので、発熱抵抗体102の抵抗値は、2倍の値になる。この2つに分割された発熱抵抗体102を直列に接続すれば、2倍の抵抗値を有する発熱抵抗体102が直列に接続されることとなり、抵抗値は4倍となる。
ここで、インク液室105内のインクを沸騰させるためには、発熱抵抗体102に一定の電力を加えて発熱抵抗体102を加熱する必要がある。この沸騰時のエネルギーにより、インクを吐出させるためである。そして、抵抗値が小さいと、流す電流を大きくする必要があるが、発熱抵抗体102の抵抗値を高くすることにより、少ない電流で沸騰させることができるようになる。
これにより、電流を流すためのトランジスタ等の大きさも小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。なお、発熱抵抗体102の厚みを薄く形成すれば抵抗値を高くすることができるが、発熱抵抗体102として選定される材料や強度、さらには耐久性の観点から、発熱抵抗体102の厚みを薄くするには一定の限界がある。このため、厚みを薄くすることなく、分割することで、発熱抵抗体102の抵抗値を高くしている。
また、1つのインク液室105内に2つに分割された発熱抵抗体102を備えた場合には、各々の発熱抵抗体102がインクを沸騰させる温度に到達するまでの時間(気泡発生時間)を同時にしたときには、2つの発熱抵抗体102上で同時にインクが沸騰し、インク液滴は、ノズル104aの中心軸方向に吐出される。
これに対し、2つの分割した発熱抵抗体102の気泡発生時間に時間差を与えれば、2つの発熱抵抗体102上で同時にインクが沸騰しない。これにより、インク液滴の吐出方向は、ノズル104aの中心軸方向からずれ、偏向して吐出される。これにより、偏向なくインク液滴が吐出されたときの着弾位置からずれた位置にインク液滴を着弾させることができる。
図13は、インク液滴の吐出方向の偏向を説明する図である。図13において、インク液滴iの吐出面に対して垂直にインク液滴iが吐出されると、図13中、点線で示す矢印のように偏向なくインク液滴iが吐出される。これに対し、インク液滴iの吐出方向が偏向して、吐出角度が垂直位置からθだけずれると(図13中、Z1又はZ2方向)、吐出面と記録媒体である印画紙P面(インク液滴iの着弾面)までの間の距離をH(Hは、ほぼ一定)としたとき、インク液滴iの着弾位置は、
ΔL=H×tanθ
だけずれることとなる。
このように、インク液滴iの吐出方向が垂直方向からθだけずれたときには、インク液滴の着弾位置がΔLだけずれることとなる。
ここで、ノズル104aの先端と印画紙Pとの間の距離Hは、通常のインクジェットプリンタの場合、1〜2mm程度である。したがって、距離Hを、H=略2mmに、一定に保持すると仮定する。
なお、距離Hを略一定に保持する必要があるのは、距離Hが変動してしまうと、インク液滴iの着弾位置が変動してしまうからである。すなわち、ノズル104aから、印画紙Pの面に垂直にインク液滴iが吐出されたときは、距離Hが多少変動しても、インク液滴iの着弾位置は変化しない。これに対し、上述のようにインク液滴iを偏向吐出させた場合には、インク液滴iの着弾位置は、距離Hの変動に伴い異なった位置となってしまうからである。
また、吐出ヘッド41の解像度を600DPIとしたときに、隣接するノズル104aの間隔は、
25.40×1000/600≒42.3(μm)
となる。
図14A、図14Bは、2分割した発熱抵抗体102a、102bのインクの気泡発生時間差と、インクの吐出角度との関係を示すグラフであり、コンピュータによるシミュレーション結果を示すものである。このグラフにおいて、X方向(グラフ縦軸θxで示すX方向。注意;グラフの横軸の意味ではない。)は、ノズル104aの並び方向(発熱抵抗体13の並設方向)であり、Y方向(グラフ縦軸θyで示すY方向。注意;グラフの縦軸の意味ではない。)は、X方向に垂直な方向(印画紙の搬送方向)である。また、図14Cは、2分割した発熱抵抗体102a、102bのインクの気泡発生時間差として、2分割した発熱抵抗体102a、102b間の電流量の差の2分の1を偏向電流として横軸に、インクの吐出角度(X方向)として、インクの着弾位置での偏向量(上記Hを約2mmとして実測)を縦軸にした場合の実測値データである。図14Cでは、発熱抵抗体102a、102bの主電流を80mAとして、片方の発熱抵抗体に前記偏向電流を重畳し、インクの偏向吐出を行った。
ノズル104aの並び方向に2分割した発熱抵抗体102の気泡発生に時間差を有する場合には、図14Aに示すように、インクの吐出角度が垂直でなくなり、ノズル104aの並び方向におけるインクの吐出角度θx(垂直からのずれ量であって、図13のθに相当するもの)は、気泡発生時間差とともに大きくなる。
このように、2分割した発熱抵抗体102を設け、各発熱抵抗体102に流す電流量を変えれば、2つの発熱抵抗体102上の気泡発生時間に時間差が生じるように制御することができる。そして、この時間差に応じて、インクの吐出方向を偏向させることができる。
以上のように、吐出ヘッド41は、インクの吐出方向を偏向させることができる。これにより、例えば発熱抵抗体102a、102bの製造誤差に伴い抵抗値がばらつき、その結果、インク液滴iの吐出方向がばらついて、インクの着弾位置が不正確となっても、これを補正することができる。
ところで、吐出ヘッド41を構成する半導体基板101には、インク液室105内のインクの吐出を制御する吐出制御回路が設けられている。この吐出制御回路は、図15に示すように、それぞれが抵抗体である一対の発熱抵抗体102a、102bに電流を流すための電源120a、120bと、一対の発熱抵抗体102a、102bと電源120a、120bとの電気的な接続をオンオフするスイッチング素子121a、121b、121cと、一対の発熱抵抗体102a、102bに供給される電流を制御するための抵抗器122a、122b、122c及び可変抵抗器123とを備える。
電源120aは、発熱抵抗体102bに接続され、電源120bは、スイッチング素子121c、可変抵抗器123を介して抵抗器122a、122b、122cに選択的に接続される。
スイッチング素子121aは、トランジスタ等で構成され、発熱抵抗体102aとグランドとの間に配置され、発熱抵抗体102a、102bのオンオフを制御する主操作制御部120として機能する。スイッチング素子121bも、トランジスタ等で構成され、可変抵抗器123と抵抗器122a、122b、122cとの間に接続され、発熱抵抗体102aに供給する電流量を制御する。スイッチング素子121cは、可変抵抗器123と電源120bとの間に接続され、インク液滴iの吐出方向を制御する。抵抗器122a、122b、122c、可変抵抗器123、スイッチング素子121b、スイッチング素子121cは、インク液滴iの吐出方向を制御する副操作制御部121として機能する。
抵抗器122a、122b、122cは、それぞれ異なる抵抗値を有し、スイッチング素子121bが切り換えられることにより発熱抵抗体102aに供給される電流量を制御する。具体的に、抵抗器122aが、最も抵抗値が大きく、次いで、抵抗器122bが大きく、抵抗器122cの抵抗値が最も小さくなっており、発熱抵抗体102aに供給される電流量は、抵抗器122a〜122cの何れに接続されるかによって定まる。
可変抵抗器123は、抵抗器122a、122b、122cの何れかと組み合わされることで一対の発熱抵抗体102aに供給される電流量を更に調節することができる。
スイッチング素子121bをオフにして抵抗器122a、122b、122cと一対の発熱抵抗体102a、102bとが接続されていないとき、スイッチング素子121aをオンにすると、電源120aから電流が直列接続された一対の発熱抵抗体102a、102bに供給される。このとき、抵抗器122a、122b、122cには電流が流れない。また、一対の発熱抵抗体102a、102bの抵抗値は、同一であるから、一対の発熱抵抗体102a、102bが発生する熱量は、略同一になる。したがって、気泡発生時間が略同一となり、図13中の点線矢印に示すように、インク4の吐出角度が記録紙Pに対して略垂直になるようにインク液滴iをノズル104aから吐出する。
また、スイッチング素子121bと抵抗器122a、122b、122cのうちの何れかとの接続をオンにし、スイッチング素子121aをオンにし、スイッチング素子121cをグランドと接続したとき、インク液滴iの吐出方向を、たとえば、図13中矢印Z1若しくはZ2方向に可変することができる。すなわち、抵抗器122a、122b、122cの何れかに接続されることで、発熱抵抗体102aへ供給される電流量が少なくなり、一対の発熱抵抗体102a、102bは、供給される電流に差異が生じ、両者に発生する熱量にも差異が生じる。この場合、抵抗器122a、122b、122cは、それぞれ異なる抵抗値を有することから、スイッチング素子121bの切り換えで一対の発熱抵抗体102aに供給される電流量を3段階に異ならせることができる。これにより、吐出ヘッド41は、一対の発熱抵抗体102a、102bで発生する熱量に差異が生じさせ、スイッチング素子121bの切り換えで一対の発熱抵抗体102a、102bそれぞれの気泡発生時間に三段階の時間差を持たせることができ、インク液滴iの吐出角度を一対の発熱抵抗体102a、102bが並設された方向に三段階に変化させることができる。
更に、可変抵抗器123で、抵抗値を可変することで、発熱抵抗体102aに供給される電流を微調節することができ、これに伴って、更に細かく着弾点を制御できるように、インク液滴iの吐出角度を調節することができる。
スイッチング素子121cを切り換えて電源120bと接続すると、インク液滴iの吐出方向を逆転することができる。この場合、発熱抵抗体102aには、電源120aからの電流と電源120bからの電流が加算されることになる。すなわち、スイッチング素子121cをグランドに接続したときとは逆となる。これにより、インク液滴iは、ノズル104aからインク液滴iが略垂直に吐出されて着弾した着弾点を境に、スイッチング素子121cをグランドに接続したときとは反対側の着弾位置に吐出方向を三段階に変化させて吐出されることになる。
このように、吐出制御回路では、副操作制御部121を構成するスイッチング素子121b、121cを切り換えることでインク液滴iのノズル104aからの吐出方向を記録紙Pの走行方向と略垂直な方向へ7段階に変化させることができ、更に抵抗器122a、122b、122cと可変抵抗器123とを組み合わせることでインク液滴iの吐出方向を7段階以上に変化させることができる。
次に、半導体基板101に形成される以上のような吐出制御回路の回路配置について説明する。図16に示すように、例えば、半導体基板101には、一端に、一対の発熱抵抗体102a、102bが配置され、一対の発熱抵抗体102a、102bに隣接して、インク液滴iの吐出方向を制御する抵抗器122a、122b、122c、可変抵抗器123、スイッチング素子121b、スイッチング素子121cからなる副操作制御部が設けられる副操作制御素子形成領域201が配置され、副操作制御素子形成領域201に隣接して、発熱抵抗体102a、102bのオンオフを制御する主操作制御部が設けられる主操作制御素子形成領域202が配置され、主操作制御素子形成領域202に隣接して、副操作制御部を構成するスイッチング素子121b、スイッチング素子121cを制御する制御回路等が設けられる制御回路素子形成領域203が配置される。
図16に示す回路配置の場合、半導体基板101を構成するシリコン基板上に、主操作制御素子形成領域202のトランジスタでなるスイッチング素子121a、副操作制御素子形成領域201のトランジスタでなるスイッチング素子121b、121c、抵抗器122a、122b、122c、制御回路素子形成領域203を構成するトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の回路素子が形成され、図示しない絶縁膜を介して発熱抵抗体102a、102b等に電流を供給するための電力供給配線パターン204が形成されている。
電力供給配線パターン204は、最上層の導電層であり、この最上層の導電層には、電力供給配線パターン204の他に、一対の発熱抵抗体102a、102bの中点と副操作制御素子形成領域201に設けられた抵抗器122a、122b、122cとを接続する接続パターン205と、制御回路等が設けられる制御回路素子形成領域203と副操作制御素子形成領域201とを接続し、副操作制御素子形成領域201に形成されたスイッチング素子121bを制御する例えば3本の制御配線パターン206、206、206と、各素子121a、121b、121c、122a、122b、122cを駆動するためのプラス電力配線パターン207及びマイナス電力配線パターン208と、電力供給配線パターン204と発熱抵抗体102aとを接続する第1の配線パターン209と、発熱抵抗体102bと主操作制御素子形成領域202のスイッチング素子121aとを接続する第2の配線パターン210とが設けられている。なお、図16では、最上層の配線パターンを点模様で示している。
電力供給配線パターン204と第1の配線パターン209とは、連続して形成され、第1の配線パターン209は、電極211を介して発熱抵抗体102aに接続されている。また、第2の配線パターン210は、一端が発熱抵抗体102bと電極212を介して接続され、他端がコンタクトホール213を介して下層の主操作制御素子形成領域202のスイッチング素子121aと接続された導電層と接続されている。発熱抵抗体102aと発熱抵抗体102bとは、電極214を介して直列に接続され、この電極214には、接続パターン205の一端が接続されている。接続パターン205の他端は、コンタクトホール215を介して下層の副操作制御素子形成領域201に設けられた抵抗器122a、122b、122cと接続された導電層と接続されている。更に、制御配線パターン206、206、206、プラス電力配線パターン207及びマイナス電力配線パターン208は、一端がコンタクトホールを介して下層の副操作制御素子形成領域201に接続され、他端がコンタクトホールを介して下層の制御回路素子形成領域203に接続されている。
図16に示す回路配置では、発熱抵抗体102a、102bと副操作制御素子形成領域201とを近接した位置に設けることができる。その一方で、図16に示す回路配置は、副操作制御素子形成領域201と制御回路素子形成領域203との間に主操作制御素子形成領域202を設けることから、制御配線パターン206、206、206を主操作制御素子形成領域202を跨ぐように形成する必要があり、制御配線パターン206、206、206と同層に形成される電力供給配線パターン204を幅広に形成することができない。すなわち、電流を供給する電力供給配線パターン204は、発熱抵抗体102a、102bに0.5W〜1W程度の電力を供給する必要があり、幅狭であると、発熱し周辺領域に悪影響を与えてしまう。
そこで、図17Aに示すように、半導体基板101に、吐出方向制御回路を形成すると、このような問題点を解決することができる。すなわち、図17に示す回路配置では、一端に、一対の発熱抵抗体102a、102bが配置され、一対の発熱抵抗体102a、102bに隣接して、発熱抵抗体102a、102bのオンオフを制御する主操作制御部が設けられる主操作制御素子形成領域221が配置され、主操作制御素子形成領域221に隣接して、インク液滴iの吐出方向を制御する抵抗器122a、122b、122c、可変抵抗器123、スイッチング素子121b、スイッチング素子121cからなる副操作制御部が設けられる副操作制御素子形成領域222が配置され、副操作制御素子形成領域222に隣接して、副操作制御部を構成するスイッチング素子121b、スイッチング素子121cを制御する制御回路等が設けられる制御回路素子形成領域223が配置される。
すなわち、半導体基板101を構成するシリコン基板上の主操作制御素子形成領域221には、トランジスタでなるスイッチング素子121aが形成され、副操作制御素子形成領域222には、トランジスタでなるスイッチング素子121b、121c、抵抗器122a、122b、122cが形成され、制御回路素子形成領域223には、制御回路を構成するトランジスタ、キャパシタ、抵抗等の回路素子が形成されている。そして、このような回路素子が設けられた半導体基板101上には、絶縁層を介して最上層の導電層と接続するための下層導電層が形成され、更に、下層導電層上に絶縁層を介して上層導電層が形成される。2層目の絶縁層上に形成される上層導電層としては、ほぼ全面に亘って電力供給配線パターン224が形成されている。また、上層導電層には、一対の発熱抵抗体102a、102bの中点と副操作制御素子形成領域222に設けられた抵抗器122a、122b、122cとを接続する接続パターン225と、電力供給配線パターン224と発熱抵抗体102aとを接続する第1の配線パターン226と、発熱抵抗体102bと主操作制御素子形成領域221のスイッチング素子121aとを接続する第2の配線パターン227とが設けられている。
電力供給配線パターン224と発熱抵抗体102aに電流を供給する第1の配線パターン226とは、下層導電層である接続パターン228を介して接続されている。すなわち、上層導電層の電力供給配線パターン224は、下層導電層の接続パターン228とこれらの層の間の絶縁層に形成されたコンタクトホール229を介して接続され、また、上層導電層の第1の配線パターン226は、下層導電層の接続パターン228とこれらの層の間の絶縁層に形成されたコンタクトホール229を介して接続されている。第1の配線パターン226は、電極231を介して発熱抵抗体102aに接続されている。また、第2の配線パターン227は、一端が発熱抵抗体102bと電極232を介して接続され、他端がコンタクトホール233を介して主操作制御素子形成領域221のスイッチング素子121aと接続された下層導電層と接続されている。発熱抵抗体102aと発熱抵抗体102bとは、電極234を介して直列に接続され、この電極234には、上層導電層の接続パターン225の一端が接続されている。上層導電層である接続パターン225は、他端が、コンタクトホール235を介して副操作制御素子形成領域222に設けられた抵抗器122a、122b、122cと接続された下層導電層と接続されている。電力供給配線パターン224は、幅広に形成するために、図17Bに示すように、接続パターン225を設ける領域に切り欠き部239が設けられている。
下層導電層としては、上述した電力供給配線パターン224と第1の配線パターン226とを接続する接続パターン228の他、制御回路等が設けられる制御回路素子形成領域223と副操作制御素子形成領域222とを接続し、副操作制御素子形成領域222に形成されたスイッチング素子121bを制御する例えば3本の制御配線パターン236、236、236、各素子121a、121b、121c、122a、122b、122cを駆動するためのプラス電力配線パターン237及びマイナス電力配線パターン238が設けられている。制御配線パターン236、236、236、プラス電力配線パターン237及びマイナス電力配線パターン238は、一端が副操作制御素子形成領域222に接続され、他端が制御回路素子形成領域223に接続されている。
図17Aに示す回路配置では、図16では上層導電層に設けられていた制御配線パターン236、236、236、プラス電力配線パターン237及びマイナス電力配線パターン238を下層導電層に設けたので、上層導電層に幅広な電力供給配線パターン224を設けることができる。幅広に形成された電力供給配線パターン224は、低抵抗であるから、発熱を少なくすることができ、他の素子等が設けられた周辺領域への悪影響を最小限に留めることができる。特に、図17Aに示す回路配置では、発熱抵抗体102a、102bの側から主操作制御素子形成領域221、副操作制御素子形成領域222、制御回路素子形成領域223が配置されることから、発熱抵抗体102a、102bの中点と副操作制御素子形成領域222とを接続する接続パターン225を、図16に示す発熱抵抗体102a、102bに隣接して副操作制御素子形成領域222を設けたときの接続パターン205より長くすることができる。すなわち、図16の回路配置では、発熱抵抗体102a、102bの熱が接続パターン205、コンタクトホール215を介して副操作制御素子形成領域201に伝わり、副操作制御素子形成領域201に設けられた素子が熱で損傷することがあったが、図17Aに示す回路配置では、上層の接続パターン225が長く形成されることから、発熱抵抗体102a、102bからの熱を十分放熱することができ、副操作制御素子形成領域222を熱から保護することができる。
なお、図17Aに示す回路配置は、一対の発熱抵抗体102a、102bに対応して設けられるものであるが、図17Aに示す回路配置は電力供給配線パターン224を幅広に形成することができることから、図18に示すように、一の半導体基板101に、一対の発熱抵抗体102a、102bを複数並設するようにしてもよい。この場合には、更に、それぞれの一対の発熱抵抗体102a、102bに電流を供給する電力供給配線パターン224を共通配線パターンとしてもよい。すなわち、一の電力供給配線パターン224から複数の吐出方向制御回路に電力を供給する構成とすることで、パターンの簡素化を図ることができる。
次に、以上のように構成されたヘッドカートリッジ2が装着されるプリンタ装置1を構成するプリンタ本体3について図面を参照して説明する。
プリンタ本体3は、前述した図1及び図19に示すように、ヘッドカートリッジ2が装着されるヘッドカートリッジ装着部81と、ヘッドカートリッジ2をヘッドカートリッシ装着部81に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構82と、ヘッドキャップ42を開閉するヘッドキャップ開閉機構83と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構84と、給排紙機構84に記録紙Pを供給する給紙口85と、給排紙機構84から記録紙Pが出力される排紙口86とを有する。
ヘッドカートリッジ装着部81は、ヘッドカートリッジ2が装着される凹部であり、走行する記録紙にデータ通り印刷を行うため、吐出ヘッド41の吐出面41aと走行する記録紙Pの紙面とが略平行となるようにヘッドカートリッジ2が装着される。ヘッドカートリッジ2は、吐出ヘッド41内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクカートリッジ11程の頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部81に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構82によって保持される。ヘッドカートリッジ保持機構82は、ヘッドカートリッジ装着部81にヘッドカートリッジ2を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ2に設けられた摘み82aをプリンタ本体3の係止孔82b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによってプリンタ本体3に設けられた基準面3aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ2を位置決めして保持、固定できるようにしている。
ヘッドキャップ開閉機構83は、ヘッドカートリッジ2のヘッドキャップ42を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ42を移動して吐出ヘッド41が記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ42を閉塞して吐出ヘッド41を保護する。給排紙機構84は、記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、給紙口85から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ2の吐出ヘッド41まで搬送し、インク4が吐出された記録紙Pを排紙口86に搬送して装置外部へ出力する。給紙口85は、給排紙機構84に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ85a等に複数枚の記録紙Pを積層してストックすることができる。排紙口86は、インク液滴iが吐出された記録紙Pが給排紙機構84により搬送されて排出される。
ここで、以上のように構成されたプリンタ装置1による印刷を制御する制御回路について図面を参照して説明する。
図20に示すように、制御回路110は、プリンタ本体3の各駆動部を駆動するプリンタ駆動部111と、各色のインク4に対応する吐出ヘッド41に供給される電流等を制御する吐出制御部112と、各色のインク4の残量を警告する警告部113と、外部装置と信号の入出力を行う入出力端子114と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)116と、読み出された制御プログラム等が読みこまれるRAM(Random Access Memory)115と、各部の制御を行う制御部117とを有している。
プリンタ駆動部111は、制御部117からの制御信号に基づき、ヘッドキャップ開閉機構83を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ42を開閉する。また、プリンタ駆動部111は、制御部117からの制御信号に基づき、給排紙機構84を構成する駆動モータを駆動させてプリンタ本体3の給紙口85から記録紙Pを給紙し、記録後に排紙口86から排紙する。
吐出制御部112は、前述した図15を用いて説明した吐出方向制御回路で構成されている。警告部113は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段であり、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を表示する。また、警告部113は、例えばスピーカ等の音声出力手段であってもよく、この場合は、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を音声で出力する。なお、警告部113は、表示手段及び音声出力手段をともに有するように構成してもよい。また、この警告は、情報処理装置118のモニタやスピーカ等で行うようにしてもよい。
入出力端子114は、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報をインタフェースを介して外部の情報処理装置118等に送信する。また、入出力端子114は、外部の情報処理装置118等から、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を出力する制御信号や、印刷データ等が入力される。ここで、上述した情報処理装置118は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
情報処理装置118等と接続される入出力端子114は、インタフェースとして、例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース等を用いることができ、具体的にUSB(Universal Serial Bus)、RS(Recommended Standard)232C、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等の規格に準拠したものである。また、入出力端子114は、情報処理装置118との間で有線通信又は無線通信の何れ形式でデータ通信を行うようにしてもよい。なお、この無線通信規格としては、IEEE802.11a,802.11b,802.11g等がある。
ROM116は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)等のメモリであり、制御部117が行う各処理のプログラムが格納されている。この格納されているプログラムは、制御部117によりRAM116にロードされる。RAM115は、制御部117によりROM116から読み出されたプログラムや、プリンタ装置1の各種状態を記憶する。
入出力端子114と情報処理装置118との間には、例えばインターネット等のネットワークが介在していてもよく、この場合、入出力端子114は、例えばLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、xDSL(Digital Subscriber Line)、FTHP(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、BS(Broadcasting Satellite)等のネットワーク網に接続され、データ通信は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の各種プロトコルにより行われる。
制御部117は、入出力端子114から入力された印刷データ及び制御信号や、インク検出部38、39による電気抵抗値の変化や、インク残量検出36による電気抵抗値の変化等に基づき、各部を制御する。制御部117、このような処理プログラムとしてROM116から読み出してRAM115に記憶し、このプログラムに基づき各処理を行う。
この制御部117は、吐出制御を行う処理プログラムをROM116から読み出してRAM115に記憶し、このプログラムに基づき、吐出制御部112のスイッチング素子121a、121b、121cのオン/オフを切り換えてインク液滴iの吐出方向を周期的に又はランダムに変化するように制御する。制御部117は、例えば停止している記録紙Pに対してインク液滴iを着弾させたときに、図21に示すように、標準偏差の分布に近似した濃度分布を以てインク液滴iが記録紙Pに着弾されるように、インク液滴iの吐出方向を周期的又はランダムに変化させる制御を吐出制御部112対して行う。具体的に、制御部117は、記録紙Pにおけるヘッドチップ41のノズル104aから略垂直方向の位置Eの色の濃度が一番高く、すなわち色が一番濃く、記録紙Pのノズル104aから略垂直方向の位置Eを中心に図21中矢印F方向である記録紙Pの走行方向と略垂直な方向に、前後10μm程度の範囲で色が濃くなるように、吐出制御部112のスイッチング素子121b、121cを制御してインク液滴iの吐出方向を周期的に又はランダムに変化させる。具体的に、制御部117は、副操作制御素子形成領域222に形成されたスイッチング素子121bを制御し、図17に示す制御配線パターン236、236、236を介して発熱抵抗体102aの熱量を制御する。
なお、以上のように構成された制御回路110においてROM116にプログラムを格納するようにしたが、プログラムを格納する媒体としては、ROMに限定されるものでなく、例えばプログラムが記録された光ディスクや、磁気ディスク、光磁気ディスク、ICカード等の各種記録媒体を用いることができる。この場合に制御回路110は、各種記録媒体を駆動するドライブと直接又は情報処理装置118を介して接続されてこれら記録媒体からプログラムを読み出すように構成する。
次に、以上のように構成されるプリンタ装置1の全体の動作について図22に示すフローチャートを参照にして説明する。なお、本動作はROM116等の記憶手段に格納された処理プログラムに基づいて制御部117内の図示しないCPU(Central Processing Unit)の処理に基づいて実行される。
先ず、ユーザが情報処理装置118で印刷する文字データ、印刷データ等を選択し、印刷実行操作をすると、情報処理装置118は、選択されたデータより印刷データを生成し、プリンタ装置1の入出力端子114に生成した印刷データを出力する。
次に、制御部117は、ステップS1において、各装着部32y、32m、32c、32kに所定のインクカートリッジ11y、11m、11c、11kが装着されているかどうかを、係合突部21の突起部23と係合凹部24との係合状態を判断する。そして、制御部117は、全ての装着部32にインクカートリッジ11が適切に装着されているときはステップS2に進み、少なくとも1の装着部32においてインクカートリッジ11が適切に装着されていないときはステップS3に進む。ステップS3において、制御部117は、装着されていない色のインクカートリッジ11をユーザに知らせる警告表示を警告部113で行う。
制御部117は、ステップS2において、インク残量検出部36の電気抵抗値の変化を検出し、電気抵抗値が変化したことが検出された場合、この電気抵抗値が変化に応じてインク残量の表示変更を行う。すなわち、ここでは、インク残量検出部36がインクカートリッジ11の高さ方向に3段設けられていことから、警告部113に3段階で残量表示を行うことができる。
制御部117は、ステップS4において、接続部37内のインク4が所定量以下、すなわちインク無し状態であるか否かを判断し、インク無し状態であると判断されたときはステップS5において、警告部113にその旨を表示、すなわち警告表示を行い、ステップS6において、印刷動作を禁止する。
また、制御部117は、接続部37内のインク4が所定量以下でないとき、すなわちインク4が満たされているとき、ステップS7において、印刷動作を許可する。
具体的に、制御部117は、図23に示すように、ヘッドキャップ開閉機構83を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ42をヘッドカートリッジ2に対してトレイ85a側に移動させ、吐出ヘッド41のノズル104aを露出させる。そして、制御部117は、給排紙機構84を構成する駆動モータを駆動させて記録紙Pを連続して又は間欠して走行させる。具体的に、制御部117は、トレイ85aから給紙ローラ150によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ151a、151bによって引き出された記録紙Pの一枚を反転ローラ152に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト153に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト153に搬送された記録紙Pを押さえ手段154が所定の位置に停止させることでインク4が着弾される位置が位置決めされるように給排紙機構84を制御する。
これと共に、制御部117は、吐出制御部112が吐出ヘッド41よりインク液滴iを記録紙Pに吐出する制御を行うようにする。具体的には、図24に示すように、インク液室105内の一対の発熱抵抗体102a、102bに接する部分には、インク気泡F、Gが発生し、図25に示すように、そのインク気泡F、Gの膨張によってインク気泡F、Gの膨張分の体積と等しい体積のインク4が押しのけられる。これによって、ノズル104aに接する部分の押しのけられたインク4と同等の体積のインク液滴iがノズル104aから吐出され、記録紙P等の被記録体に着弾し、記録紙Pには、印刷データに応じた文字、画像等が印刷される。
このとき、吐出ヘッド41は、インク気泡F、Gそれぞれの膨張の具合によりインク液滴iのノズル104aから吐出方向を決定する。すなわち、吐出ヘッド41では、インク気泡F、Gのうちの膨張する速度が早い方がインク4をより押圧することからノズル104aを中心に気泡の膨張が遅い側に押し出すようにインク液滴iを吐出させる。なお、インク気泡F、Gは、一対の発熱抵抗体102a、102bのうち加熱される速度が早い方に接している方の膨張が早くなる。そして、吐出ヘッド41は、制御部117が副操作制御部を構成するスイッチング素子121b、121cのオン/オフを制御することでインク4のノズル104aからの吐出方向を記録紙Pの走行方向と略垂直な方向に、周期的又はランダムに変化させながらインク液滴iを吐出する。このようにすることで、吐出ヘッド41の各ノズル104aからのインク液滴iの吐出方向のばらつきに起因する白スジ、画質ムラ等の発生を防止することができる。その結果、高品位な画像を得ることができる。
以上ように、インク液滴iが吐出されると、インク液滴iを吐出したインク液室105内に吐出された量と同量のインク4がインク流路106から直ちに補充され、前述した図10に示すように、元の状態に戻る。吐出ヘッド41からインク液滴iが吐出されると、付勢部材66の付勢力とダイアフラム69の付勢力とによってインク室62の開口部64を閉塞している弁65は、前述した図9に示すように、インク4の負圧によりダイアフラム69が大気圧により押し上げられて、弁シャフト68と共に弁65を付勢部材66の付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室62のインク流入路61側とインク流出路63側と間の開口部64が開放され、インク4がインク流入路61側からインク流出路63側に供給され、インク流路106にインクが補充される。そして、インク4の負圧が低下してダイアフラム69が復元力により元の形状に戻り、付勢部材66の付勢力により弁シャフト68と共に弁65をインク室62が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構54では、インク液滴iを吐出する度にインク4の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
このようにして、給排紙機構84によって走行している記録紙Pには、順に印刷データに応じた文字や画像が印刷されることになる。そして、印刷が終了して記録紙Pは、排紙口86より排出される。
以上、説明したように、ノズル104aからインク液滴iの吐出方向を偏向する一連の過程においては、発熱抵抗体102a、102bを駆動するには、電力供給配線パターン224を介して0.5W〜1W程度の電力が供給されることになる。本発明においては、図17に示すように、電力供給配線パターン224は、幅広に形成され、低抵抗であることから発熱を押さえることができ、半導体基板101に形成された素子等に悪影響を与えることを防止することができる。また、一対の発熱抵抗体102a、102bの中点に接続された接続パターン225は、発熱抵抗体102a、102bと離間した、すなわち主操作制御素子形成領域221を跨ぐように副操作制御素子形成領域222に接続され、図16の場合より長く形成されることから、発熱抵抗体102a、102bからの熱を十分放熱することができ、副操作制御素子形成領域222を熱から保護することができる。
なお、以上の例では、プリンタ本体3に対してヘッドカートリッジ2が着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ2に対してインクカートリッジ11が着脱可能なプリンタ装置1を例に取り説明したが、吐出ヘッド41については、プリンタ本体3とヘッドカートリッジ2とが一体のプリンタ装置に適用することもできる。
また、以上の例では、記録紙に文字や画像を印刷するプリンタ装置を例に取り説明したが、本発明は、微少量の液体を吐出する他の装置に広く適用することができる。例えば、本発明は、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)やプリント配線基板の微細な配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置に適用することもできる。
上述したように、本発明によれば、気泡発生手段に電力を供給する電力供給配線と上記主操作制御手段及び上記副操作制御手段とを制御する制御配線とが異なる導電層に設けられていることから、電力供給配線を幅広に形成することができ、電力供給配線の低抵抗化を図り、発熱を抑えることができる。
本発明に係るインクジェットプリンタ装置を示す斜視図である。 インクジェットプリンタ装置に設けられるインクジェットプリントヘッドカートリッジを示す斜視図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された状態を示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された際にインク供給部の供給口が弁により閉塞された状態を示す模式図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された際にインク供給部の供給口が開放された状態を示す模式図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジの装着部を示す平面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジとヘッドチップの関係を示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジの接続部における弁機構の弁が閉じた状態を示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジの接続部における弁機構の弁が開いた状態を示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す分解斜視図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す平面図である。 ヘッドチップより吐出したインク液滴の着弾点を模式的に示す平面図である。 (A)は、気泡発生時間の差と吐出角度との関係を示す特性図であって、記録紙の走行方向におけるインク液滴の吐出角度を示し、(B)は、ノズルの並んでいる方向におけるインク液滴の吐出角度を示し、(C)は、発熱抵抗体の主電流を80mAとして、片方の発熱抵抗体に偏向電流を重畳し、インクの偏向吐出を行ったときの気泡発生時間の差と吐出角度との関係を示す特性図である。 インクの吐出方向を制御する吐出方向制御回路を説明する回路図である。 本発明の前提となるインクの吐出方向制御回路の回路配置を説明する平面図である。 (A)及び(B)は、本発明を適用したインクの吐出方向制御回路の回路配置を示す平面図であり、(A)は、電力供給配線パターンを除いた状態の平面図であり、(B)は、電力供給配線パターンの平面図である。 半導体基板にインクの吐出方向制御回路を並設した例を示す平面図である。 インクジェットプリンタ装置において、ヘッドキャップ開閉機構が閉じている状態を一部を透視して示す側面図である。 インクジェットプリンタ装置の制御回路を示すブロック図である。 ヘッドチップより吐出したインク液滴による濃度分布を示す特性図である。 インクジェットプリンタ装置の制御方法を説明するフローチャートである。 インクジェットプリンタ装置において、ヘッドキャップ開閉機構が開いている状態を一部透視して示す側面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップにおいて、インク気泡が発生した状態を示す断面図である。 インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップにおいて、発生したインク気泡によりインク液滴がノズルより吐出される状態を示す断面図である。

Claims (8)

  1. 液室に設けられ、該液室に保持した液体にエネルギーを付与し、該液体をノズルから吐出する複数エネルギー発生素子と、
    複数の前記エネルギー発生素子にエネルギーを供給するエネルギー供給配線と、
    前記ノズルから前記液体を吐出するために、複数の前記エネルギー発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を有する主操作制御と、
    前記各エネルギー発生素子に供給されるエネルギーを可変する、若しくはエネルギーの付与タイミングをずらす制御を行う第2のスイッチング素子と、前記ノズルより吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有する副操作制御と、
    前記第1乃至3のスイッチング素子を制御配線を介して切換制御する制御とを備え
    前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御及び前記制御は、同一の半導体基板に設けられ、
    前記半導体基板には、前記エネルギー供給配線と前記制御配線とが異なる導電層に設けられている液体吐出ヘッド。
  2. 前記半導体基板には、前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御、前記制御部の順に、前記液体が吐出される記録紙の走行方向に並設される請求項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 少なくとも前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御及び前記制御で一の組をなし、この組が前記半導体基板上に、前記液体が吐出される記録紙の走行方向に対して略直交する方向に、互いに隣接して並設されている請求項1又は請求項2記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記エネルギー供給配線は、複数のエネルギー発生素子にエネルギーを供給する共通配線である請求項1乃至請求項3のうち何れか1記載の液体吐出ヘッド。
  5. 液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドを備え、
    前記液体吐出ヘッドは、
    液室に設けられ、該液室に保持した液体にエネルギーを付与し、該液体をノズルから吐出する複数エネルギー発生素子と、
    複数の前記エネルギー発生素子にエネルギーを供給するエネルギー供給配線と、
    前記ノズルから前記液体を吐出するために、複数の前記エネルギー発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を有する主操作制御と、
    前記各エネルギー発生素子に供給されるエネルギーを可変する、若しくはエネルギーの付与タイミングをずらす制御を行う第2のスイッチング素子と、前記ノズルより吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有する副操作制御と、
    前記第1乃至3のスイッチング素子を制御配線を介して切換制御する制御とを有し、
    前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御及び前記制御は、同一の半導体基板に設けられ、
    前記半導体基板には、前記エネルギー供給配線と前記制御配線とが異なる導電層に設けられている液体吐出装置。
  6. 前記半導体基板には、前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御、前記制御部の順に、前記液体が吐出される記録紙の走行方向に並設される請求項5記載の液体吐出装置。
  7. 少なくとも前記エネルギー発生素子、前記主操作制御、前記副操作制御及び前記制御で一の組をなし、この組が前記半導体基板上に、前記液体が吐出される記録紙の走行方向に対して略直交する方向に、互いに隣接して並設されている請求項5又は請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 前記エネルギー供給配線は、複数のエネルギー発生素子にエネルギーを供給する共通配線である請求項5乃至請求項7のうち何れか1記載の液体吐出装置。
JP2005503712A 2003-03-20 2004-03-17 液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置 Expired - Fee Related JP4264658B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003079153 2003-03-20
JP2003079153 2003-03-20
PCT/JP2004/003551 WO2004082943A1 (ja) 2003-03-20 2004-03-17 液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2004082943A1 JPWO2004082943A1 (ja) 2006-06-22
JP4264658B2 true JP4264658B2 (ja) 2009-05-20

Family

ID=33028065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005503712A Expired - Fee Related JP4264658B2 (ja) 2003-03-20 2004-03-17 液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20070145161A1 (ja)
EP (1) EP1604824A4 (ja)
JP (1) JP4264658B2 (ja)
KR (1) KR20050113644A (ja)
CN (1) CN1774341A (ja)
WO (1) WO2004082943A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4632648B2 (ja) 2003-10-02 2011-02-16 ソニー株式会社 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP5471461B2 (ja) 2010-01-08 2014-04-16 セイコーエプソン株式会社 液体容器および液体噴射装置
US10292424B2 (en) 2013-10-31 2019-05-21 Rai Strategic Holdings, Inc. Aerosol delivery device including a pressure-based aerosol delivery mechanism

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4965594A (en) * 1986-02-28 1990-10-23 Canon Kabushiki Kaisha Liquid jet recording head with laminated heat resistive layers on a support member
CA2075097C (en) * 1991-08-02 2000-03-28 Hiroyuki Ishinaga Recording apparatus, recording head and substrate therefor
JP3559647B2 (ja) * 1996-04-22 2004-09-02 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド、インクジェットヘッドカートリッジ及びインクジェット記録装置
JP3697089B2 (ja) * 1998-11-04 2005-09-21 キヤノン株式会社 インクジェットヘッド用基体、インクジェットヘッド、インクジェットカートリッジおよびインクジェット記録装置
JP3787448B2 (ja) * 1998-12-21 2006-06-21 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP2000198200A (ja) * 1999-01-07 2000-07-18 Fuji Xerox Co Ltd 液体噴射記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2004082943A1 (ja) 2006-06-22
US20070145161A1 (en) 2007-06-28
EP1604824A4 (en) 2010-03-03
CN1774341A (zh) 2006-05-17
EP1604824A1 (en) 2005-12-14
KR20050113644A (ko) 2005-12-02
WO2004082943A1 (ja) 2004-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4632648B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP4099584B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出調整方法
JP4016935B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
KR101137143B1 (ko) 액체 토출 장치 및 액체 토출 방법
JP2004358701A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP4264658B2 (ja) 液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いた液体吐出装置
JP4470379B2 (ja) 液体吐出装置及び液体の吐出方法
JP2005007723A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法
JP4432347B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP4432904B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP4461719B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出装置の液体吐出方法
JP4501360B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2004268308A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2005007815A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2005022156A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP4016936B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2004216599A (ja) 固定機構、液体吐出ヘッドカートリッジ及び液体吐出装置
JP4479261B2 (ja) 液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置
JP2005219314A (ja) 液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置
JP2005219316A (ja) 液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081021

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090120

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090202

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees