JP2005007723A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法 Download PDF

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学 冨田
Atsushi Nakamura
厚志 中村
Shigeyuki Takakura
成行 高倉
Masato Nakamura
正人 中村
Takeo Eguchi
武夫 江口
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Abstract

【課題】液体の吐出方向を補正することで、基板と天板との貼り合わせのずれを許容し、生産効率の向上を図ることができる。
【解決手段】インクを収容するインク液室105と、インク液室105に被記録物の走行方向に並設され、電流が供給されることでインク液室105に収容されたインク内に圧力を発生させる少なくとも一対の発熱抵抗体102と、発熱抵抗体102が発生させた圧力によってインク液室105のインクを吐出させるノズル104aとを有するヘッドチップ41と、一対の発熱抵抗体102に異なる電流量の電流を供給しノズル104aより吐出されるインクの吐出方向を制御する吐出制御部112と、インクの吐出方向を補正する補正データを保存するROM115とを備え、吐出制御部112は、ROM115の補正データに基づいて発熱抵抗体102への電流量を制御しインクの吐出方向を制御する。
【選択図】 図16

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギ等によって液室内の液体を吐出孔より吐出させる液体吐出ヘッド及びこの液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置並びにこの液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体を吐出する装置として、対象物となる記録紙に対してヘッドチップよりインクを吐出させて、画像や文字を記録するインクジェット方式のプリンタ装置がある。このインクジェット方式を用いたプリンタ装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点がある。インクジェット方式を用いたプリンタ装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等のように複数の色のインクがそれぞれ充填されたインクカートリッジからヘッドチップのインク液室等に供給される。このプリンタ装置は、インク液室等に供給されたインクを、インク液室内に配置された発熱抵抗体等で加熱し、発熱抵抗体上のインクに気泡を発生させ、この気泡が割れて消えるときのエネルギによりインクをヘッドチップに設けられた微小なインク吐出孔から吐出させ、吐出させたインクを対象物となる記録紙等に着弾させ、記録紙等に画像や文字を印刷する。
【0003】
このプリンタ装置のヘッドチップが配設されるヘッド部は、例えば特許文献1のように構成されている。具体的に、特許文献1には、n個の吐出口が設けられた天板と、発熱抵抗体等が設けられた基板とを有し、基板にノズルシートとなる天板を貼り付けることによって構成されたヘッド部が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3176134号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示すように、ヘッド部は、発熱抵抗体等が設けられた基板に吐出口が設けられた天板を貼り付けてなるものであるが、精度良く基板に対して天板を貼り合わせることは困難である。特に、高画質の画像を記録紙に印刷するには、基板と天板の貼り合わせに当たって、略±1μm程度の誤差しか許容されない。基板と天板の貼り合わせを正確に行うと、歩留まりが悪く生産コストの向上を図ることができなくなってしまう。
【0006】
基板と天板の貼り合わせがずれているときには、基板に設けられた発熱抵抗体の位置と天板に設けられた吐出口との相対位置がずれることになり、発熱抵抗体と吐出口との相対位置がずれたときには、インクが所定位置に正確に着弾されず、記録紙に印刷された画像に白すじとして現れてしまう。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の吐出方向を補正することで、基板と天板との貼り合わせのずれを許容し、生産効率の向上を図ることができる液体吐出ヘッド、この液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置及びこの液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液体吐出装置は、上述した課題を解決すべく、液体を収容する液室と、液室に被記録物の走行方向に並設され、エネルギが供給されることで液室に収容された液体内に圧力を発生させる少なくとも一対の圧力発生素子と、圧力発生素子が発生させた圧力によって液室の液体を吐出させる吐出孔とを有する吐出手段と、一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する吐出方向制御手段と、液体の吐出方向を補正する補正データを保存する記憶手段とを備える。そして、吐出方向制御手段は、吐出手段の一対の圧力発生素子と吐出孔とのずれ量に基づいた補正データに基づいて一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給する。
【0009】
ここで、記憶手段は、更に、被記録物に液体を吐出するためのテストパターンデータを保存しており、液体吐出装置は、更に、記録紙に印刷されたテストパターンの画像データが入力される入力手段と、入力手段より入力された画像データに基づいて液体の着弾位置のずれ量を算出する算出手段とを備える。そして、吐出方向制御手段は、着弾位置のずれ量のデータに基づいた補正データに基づいて一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給する。具体的に、算出手段は、入力手段より入力されたテストパターンの画像データより理想直線を算出し、この算出した理想直線に対する印刷されたテストパターンのずれ量を算出する。
【0010】
また、本発明に係る液体吐出ヘッドは、上述した課題を解決すべく、液体を収容する液室と、液室に被記録物の走行方向に並設され、エネルギが供給されることで液室に収容された液体内に圧力を発生させる少なくとも一対の圧力発生素子と、圧力発生素子が発生させた圧力によって液室の液体を吐出させる吐出孔とを有する吐出手段と、一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する吐出方向制御手段と、液体の吐出方向を補正する補正データを保存する記憶手段とを備える。そして、吐出方向制御手段は、記憶手段の補正データに基づいて液体の吐出方向を制御する。
【0011】
更に本発明は、このような液体吐出装置又は液体吐出ヘッドの液体吐出方向を補正する補正方法であって、吐出手段の一対の圧力発生素子と吐出孔とのずれ量を検出するステップと、検出したずれ量に基づいた補正データに基づいて一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給するステップとを有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したインクジェットプリンタ装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明を適用したインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置という。)1は、対象物となる記録紙に対してインク等を吐出して画像や文字を印刷する。このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせてインク吐出孔を設けた、所謂ライン型のプリンタ装置である。このプリンタ装置1は、インク4を吐出するインクジェットプリントヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2を装着するプリンタ本体3とを備える。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2がプリンタ本体3に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ2に対してインク供給源となるインクカートリッジ11y,11m,11c,11kが着脱可能である。このプリンタ装置1では、イエローのインクカートリッジ11y、マゼンタのインクカートリッジ11m、シアンのインクカートリッジ11c、ブラックのインクカートリッジ11kが使用可能となっており、また、プリンタ本体3に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、ヘッドカートリッジに対して着脱可能なインクカートリッジ11y,11m,11c,11kとを消耗品として交換可能になっている。
【0014】
このようなプリンタ装置1は、記録紙Pを積層して収納するトレイ85aをプリンタ本体3の前面底面側に設けられたトレイ装着口に装着することにより、トレイ85aに収納されている記録紙Pをプリンタ本体3内に給紙することができる。トレイ85aは、プリンタ本体3の前面のトレイ装着口に装着されると、給排紙機構84により記録紙Pが給紙口85からプリンタ本体3の背面側に給紙される。プリンタ本体3の背面側に送られた記録紙Pは、反転ローラにより走行方向が反転され、往路の上側をプリンタ本体3の背面側から前面側に送られる。プリンタ本体3の背面側から前面側に送られる記録紙Pは、プリンタ本体3の前面に設けられた排紙口86より排紙されるまでに、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された文字データや画像データに応じた文字や画像が印刷される。
【0015】
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ2は、プリンタ本体3の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着され、給排紙機構84により走行する記録紙Pに対してインク4を吐出して印刷を行う。そこで、先ず、上述したプリンタ装置1を構成するプリンタ本体3に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、このヘッドカートリッジ2に着脱されるインクカートリッジ11y,11m,11c,11kについて図面を参照して説明する。
【0016】
このヘッドカートリッジ2は、導電性の液体であるインク4を、例えば電気熱変換式で微細に粒子化して吐出し、記録紙P等の被記録物上にインク4を液滴状態にして吹き付ける。具体的に、ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体31を有し、このカートリッジ本体31には、インク4が充填された容器であるインクカートリッジ11y,11m,11c,11kが装着される。なお、以下、インクカートリッジ11y,11m,11c,11kを単にインクカートリッジ11ともいう。
【0017】
ヘッドカートリッジ2に着脱可能なインクカートリッジ11は、図3に示すように、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるカートリッジ本体11aを有し、このカートリッジ本体11aは、長手方向を使用する記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法となす略矩形状に形成され、内部に貯留するインク容量を最大限に増やす構成となっている。
【0018】
具体的に、インクカートリッジ11を構成するカートリッジ本体11aには、インク4を収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体31にインク4を供給するインク供給部13と、外部よりインク収容部12内に空気を取り込む外部連通孔14と、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する空気導入路15と、外部連通孔14と空気導入路15との間でインク4を一時的に貯留するバッファ部16と、外部連通孔14から外部へのインク漏れを防ぐシール17と、インクカートリッジ11をカートリッジ本体31に係止するための係止突部18及び係合段部19と、インク収容部12内のインク4の残量を検出するための残量検出部20と、インクカートリッジ11を識別するための複数の突起部23を有する係合突部21とが設けられている。
【0019】
インク収容部12は、気密性の高いインク4を収容するための空間を形成している。インク収容部12は、略矩形に形成され、長手方向の寸法が使用する記録紙Pの幅方向、すなわち記録紙Pの走行方向に対して略直交する方向の寸法と略同じ寸法となるように形成されている。したがって、本プリンタ装置1では、従来のようにインクヘッドを記録紙Pの幅方向に移動させる必要がなく、このようなシリアル型のプリンタ装置より高速印刷を行うことができる。
【0020】
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部37に嵌合されることにより、インクカートリッジ2のカートリッジ本体11aとヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体31を接続する。
【0021】
インク供給部13は、図4及び図5に示すように、インクカートリッジ11の底面13aにインク4を供給する供給口13bが設けられ、この底面13aに、供給口13bを開閉する弁13cと、弁13cを供給口13bの閉塞する方向に付勢するコイルバネ13dと、弁13cを開閉する開閉ピン13eとを備えている。ヘッドカートリッジ2の接続部37に接続されるインク4を供給する供給口13dは、図4に示すように、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体31に装着される前の段階において、付勢部材であるコイルバネ13dの付勢力により弁13cが供給口13dを閉じる方向に付勢され閉塞されている。インクカートリッジ11がカートリッジ本体31に装着されると、図5に示すように、開閉ピン13eがヘッドカートリッジ2を構成するカートリッジ本体31の接続部37の上部により図5中矢印B方向に付勢するコイルバネ13dの付勢方向とは反対の方向に押し上げられる。押し上げられた開閉ピン13eは、コイルバネ13dの付勢力に抗して弁13cを押し上げて供給口13bを開放する。以上のようにして、インクカートリッジ11のインク供給部13は、ヘッドカートリッジ2の接続部37に接続され、インク収容部12とインク溜め部51とを連通し、インク溜め部51へのインク4の供給が可能な状態となる。
【0022】
インクカートリッジ11をヘッドカートリッジ2側の接続部37から引き抜くとき、すなわちインクカートリッジ11をヘッドカートリッジ2の装着部32より取り外すとき、弁13cの開閉ピン13eによる押し上げ状態が解除され、弁13cは、コイルバネ13dの付勢方向に移動し、供給口13bを閉塞する。これにより、インクカートリッジ11をカートリッジ本体31に装着する直前にインク供給部13の先端部が下方を向いている状態であってもインク収容部12内のインク4が漏れることを防止することができる。
【0023】
外部連通孔14は、図3に示すように、インクカートリッジ11外部からインク収容部12に空気を取り込む通気口であり、ヘッドカートリッジ2の装着部32に装着されたときも、外部に臨み外気を取り込むことができるように、装着部32への装着時に外部に臨む位置であるカートリッジ本体11aの上面、ここでは上面略中央に設けられている。外部連通孔14は、インクカートリッジ11がカートリッジ本体31に装着されてインク収容部12からカートリッジ本体31側にインク4が流下した際に、インク収容部12内のインク4が減少した分に相当する分の空気を外部よりインクカートリッジ11内に取り込む。
【0024】
空気導入路15は、インク収容部12と外部連通孔14とを連通し、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する。これにより、このインクカートリッジ11がカートリッジ本体31に装着された際に、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体31にインク4が供給されてインク収容部12内のインク4が減少し内部が減圧状態となっても、インク収容部12には、空気導入路15によりインク収容部12に空気が導入され、内部の圧力が平衡状態に保たれてインク4をカートリッジ本体31に適切に供給することができる。
【0025】
バッファ部16は、外部連通孔14と空気導入路15との間に設けられ、インク収容部12に連通する空気導入路15よりインク4が漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないようにインク4を一時的に貯留する。このバッファ部16は、長い方の対角線をインク収容部12の長手方向とした略菱形に形成され、インク収容部12の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路15を設けるようにし、インク収容部12より進入したインク4を再度インク収容部12に戻すことができるようにしている。また、バッファ部16は、短い方の対角線上の最も下側の頂部に外部連通孔14を設けるようにし、インク収容部12より進入したインク4が外部連通孔14より外部に漏れにくくする。
【0026】
シール17は、外部連通孔14を閉塞する部材であり、外部連通孔14までインク4が逆流してしまったインク4がインクカートリッジ11の外部に漏れてしまうことを防止する。このため、シール17は、少なくともインク4を透過しないような撥水性を有する材料で形成されている。そして、このシール17は、使用時において、剥離され、インク使用量に応じて、外気連通孔14からは、インク収容部12内に外気を随時補充できるようにする。
【0027】
係止突部18は、インクカートリッジ11の短辺の一方の側面に設けられた突部であり、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体31のラッチレバー34に形成された係合孔34aと係合する。この係止突部18は、上面がインク収容部12の側面に対して略直交するような平面で形成されると共に、下面は側面から上面に向かって傾斜するように形成されている。係合段部19は、インクカートリッジ11の係止突部18が設けられた側面の反対側の側面の上部に設けられている。係合段部19は、カートリッジ本体11aの上面と一端を接する傾斜面19aと、この傾斜面19aの他端と他方の側面と連続し、上面と略平行な平面19bとからなる。インクカートリッジ11は、係合段部19が設けられていることで、平面19bが設けられた側面の高さがカートリッジ本体11aの上面より1段低くなるように形成され、この段部でカートリッジ本体31の係合片33と係合する。係合段部19は、ヘッドカートリッジ2の装着部32に挿入されるとき、挿入端側の側面に設けられ、ヘッドカートリッジ2の装着部32側の係合片33に係合することで、インクカートリッジ11を装着部32に装着する際の回動支点部となる。
【0028】
残量検出部20は、インクカートリッジ11の係合段部19が設けられた側面に設けられている。残量検出部20は、インク収容部12内に臨まされる一対の検出ピンと、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2の装着部32に装着されたとき、ヘッドカートリッジ2のインク残量検出部36と電気的に接続される接点とを備える接点部材を有し、この接点部材は、カートリッジ本体11aの側面の高さ方向に複数、ここでは3段並設されている。インク4は、導電性を有するものであるから、インク収容部12内に臨まされている一対の検出ピンがインク4に浸漬しているとき電気抵抗値が小さくなり、インク4に浸漬していないとき、電気抵抗が高くなる。すなわち、インク収容部12内にインク4が満杯のとき、全ての検出ピンは、インク4に浸漬されており、全て電気抵抗値が低い状態となる。そして、インク4が使用されるに連れて、検出ピンが上の段から順に露出し検出ピンの電気抵抗値は上の段から順に高くなる。残量検出部20は、この電気抵抗値の変化を検出することによって、インク収容部12内のインク残量を検出することができる。なお、インク収容部20の高さ方向に設ける端子板の数は、3段に限定されるものではなく、2段でもよく、また、より正確な残量検出を行う場合には、この段数を更に増やすようにすればよい。
【0029】
ところで、インクカートリッジ11を構成するカートリッジ本体11aは、インク供給部13が設けられた底面側がヘッドカートリッジ2に設けられた装着部32に係合する係合領域22となる。そして、係合領域22の一部、すなわちカートリッジ本体11aの係合領域22には、インクカートリッジ11の種類を識別するための複数の突起部を有する係合突部21が設けられている。この係合突部21は、複数の突起部の配置パターンによってインクカートリッジ11の種類を識別できるようになっており、インクカートリッジ11y,11m,11cがヘッドカートリッジ2の正規の装着部32y,32m,32cに装着されたときに限って、その装着部32y,32m,32cに設けられた係合凹部24に係合するように設けられている。
【0030】
次に、以上のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク4を収納したインクカートリッジ11y,11m,11c,11kが装着されるヘッドカートリッジ2について説明する。
【0031】
ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体31を有し、このカートリッジ本体31には、インクカートリッジ11が装着される装着部32y,32m,32c,32k(以下、全体を示すときには単に装着部32ともいう。)と、インクカートリッジ11を固定する係合片33及びラッチレバー34と、インクカートリッジ11を取り出し方向に付勢する付勢部材35と、インクカートリッジ11内におけるインク残量を検出するインク残量検出部36と、インク供給部13と接続されてインク4が供給される接続部37と、接続部37内におけるインク4の有無を検出するインク検出部38,39と、カートリッジ本体31をプリンタ本体3から取り外すための取手部40と、インク4を吐出するヘッドチップ41と、ヘッドチップ41を保護するヘッドキャップ42とを有している。
【0032】
インクカートリッジ11が装着される装着部32は、インクカートリッジ11が装着されるように上面をインクカートリッジ11の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクカートリッジ11が記録紙Pの走行方向に並んで収納される。装着部32は、インクカートリッジ11が収納されることから、インクカートリッジ11と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。カートリッジ本体31には、インクカートリッジ11が収納装着される。
【0033】
装着部32は、図6に示すように、インクカートリッジ11が装着される部分であり、イエロー用のインクカートリッジ11yが装着される部分を装着部32yとし、マゼンタ用のインクカートリッジ11mが装着される部分を装着部32mとし、シアン用のインクカートリッジ11cが装着される部分を装着部32cとし、ブラック用のインクカートリッジ11kが装着される部分を装着部32kとし、各装着部32y,32m,32c,32kは、隔壁32aにより区画されている。なお、上述したようにブラックのインクカートリッジ11kは、インク4の内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクカートリッジ11y,11m,11cよりも広く設けられており、これに合わせて装着部32kの幅も他の装着部32y,32m,32cよりも広く設けられている。
【0034】
以上のようにインクカートリッジ11が装着される装着部32の開口端には、図3に示すように、係合片33が設けられている。この係合片33は、装着部32の長手方向の一端縁に設けられており、インクカートリッジ11の係合段部19と係合する。インクカートリッジ11は、インクカートリッジ11の係合段部19側を挿入端として斜めに装着部32内に挿入し、係合段部19と係合片33との係合位置を回動支点として、インクカートリッジ11の係合段部19が設けられていない側を装着部32側に回動させるようにして装着部32に装着することができる。これによって、インクカートリッジ11は、装着部32に容易に装着することができ、また、挿入端となる側面に設けられている残量検出部20がカートリッジ本体31の側面とこすれることを無くし、残量検出部20の保護を図っている。
【0035】
ラッチレバー34は、図3に示すように、板バネを折曲して形成されるものであり、装着部32の係合片33に対して反対側の側面、すなわち長手方向の他端の側面に設けられている。ラッチレバー34は、基端部が装着部32を構成する長手方向の他端の側面の底面側に一体的に設けられ、先端側がこの側面に対して近接離間する方向に弾性変位するように形成され、先端側に係合孔34aが形成されている。ラッチレバー34は、インクカートリッジ11が装着部32に装着されると同時に、弾性変位し、係合孔34aがインクカートリッジ11の係止突部18と係合し、装着部32に装着されたインクカートリッジ11が装着部32より脱落しないようにする。
【0036】
付勢部材35は、インクカートリッジ11の係合段部19に対応する側面側の底面上にインクカートリッジ11を取り外す方向に付勢する板バネを折曲して設けられる。付勢部材35は、折曲することにより形成された頂部を有し、底面に対して近接離間する方向に弾性変位し、頂部でインクカートリッジ11の底面を押圧し、装着部32に装着されているインクカートリッジ11を装着部32より取り外す方向に付勢するイジェクト部材である。付勢部材35は、ラッチレバー34の係合孔34aと係止突部18との係合状態が解除されたとき、装着部23よりインクカートリッジ11を排出する。
【0037】
インク残量検出部36は、図6に示すように、インクカートリッジ11内のインク4の残量を段階的に検出するものであり、各色のインクカートリッジ11y,11m,11c,11kの装着部32y,32m,32c,32kに設けられている。インク残量検出部36は、インクカートリッジ11がヘッドカートリッジ2に装着されたとき、インクカートリッジ11内の側面の高さ方向に並設された残量検出部20に接触し電気的に接続される。インク残量検出部36は、インクカートリッジ11側へ付勢する図示しない付勢部材により押圧されており、インクカートリッジ11が装着されたとき、インクカートリッジ11の残量検出部20に密着され確実に残量検出部20と電気的に接続される。
【0038】
各装着部32y,32m,32c,32kの長手方向略中央には、インクカートリッジ11y,11m,11c,11kが装着部32y,32m,32c,32kに装着されたとき、インクカートリッジ11y,11m,11c,11kのインク供給部13が接続される接続部37が設けられている。この接続部37は、装着部32に装着されたインクカートリッジ11のインク供給部13からカートリッジ本体31のフィルタ底面に設けられたインク4を吐出するヘッドチップ41にインク4を供給するインク供給路となる。
【0039】
具体的に、接続部37は、図7に示すように、インクカートリッジ11から供給されるインク4を溜めるインク溜め部51と、接続部37に連結されるインク供給部13をシールするシール部材52と、インク4内の不純物を除去するフィルタ53と、ヘッドチップ41側への供給路を開閉する弁機構54とを有している。
【0040】
インク溜め部51は、インク供給部13と接続されインクカートリッジ11から供給されるインク4を溜める空間部である。シール部材52は、インク溜め部51の上端に設けられた部材であり、インクカートリッジ11のインク供給部13が接続部37のインク溜め部51に接続されるとき、インク4が外部に漏れないようインク溜め部51とインク供給部13との間を密閉する。フィルタ53は、インクカートリッジ11の着脱時等にインク4に混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、インク検出部38,39よりも下部に設けられている。
【0041】
弁機構54は、図8及び図9に示すように、インク溜め部51からインク4が供給されるインク流入路61と、インク流入路61からインク4が流入するインク室62と、インク室62からインク4を流出するインク流出路63と、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側との間に設けられた開口部64と、開口部64を開閉する弁65と、弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する付勢部材66と、付勢部材66の強さを調節する負圧調整ネジ67と、弁65と接続される弁シャフト68と、弁シャフト68と接続されるダイアフラム69とを有する。
【0042】
インク流入路61は、インク溜め部51を介してインクカートリッジ11のインク収容部12内のインク4をヘッドチップ41に供給可能にインク収容部12と連結する供給路である。インク流入路61は、インク溜め部51の底面側からインク室62まで設けられている。インク室62は、インク流入路61、インク流出路63及び開口部64と一体となって形成された略直方体をなす空間部であり、インク流入路61からインク4が流入し、開口部64を介してインク流出路63からインク4を流出する。インク流出路63は、インク室62から開口部64を介してインク4が供給されて、更にヘッドチップ41と連結された供給路である。インク流出路63は、インク室62の底面側からヘッドチップ41まで延在されている。
【0043】
弁65は、開口部64を閉塞してインク流入路61側とインク流出路63側とを分割する弁であり、インク室62内に配設される。弁65は、付勢部材66の付勢力と、弁シャフト68を介して接続されたダイアフラム69の復元力と、インク流出路63側のインク4の負圧によって上下に移動する。弁65は、下端に位置するとき、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側とを分離するように開口部64を閉塞し、インク流出路63へのインク4の供給を遮断する。弁65は、付勢部材66の付勢力に抗して上端に位置するとき、インク室62をインク流入路61側とインク流出路63側とを遮断せずに、ヘッドチップ41へインク4の供給を可能とする。なお、弁65を構成する材質は、その種類を問わないが、高い閉塞性を確保するため例えばゴム弾性体、所謂エラストマーにより形成される。
【0044】
付勢部材66は、例えば圧縮コイルバネ等であり、弁65の上面とインク室62の上面との間で負圧調整ネジ67と弁65とを接続し、付勢力により弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する。負圧調整ネジ67は、付勢部材66の付勢力を調整するネジであり、負圧調整ネジ67を調整することで付勢部材66の付勢力を調整することができるようにしている。これにより、負圧調整ネジ67は、詳細は後述するが開口部64を開閉する弁65を動作させるインク4の負圧を調整することができる。
【0045】
弁シャフト68は、一端に接続された弁65と、他端に接続されたダイアフラム69とを連結して運動するように設けられたシャフトである。ダイアフラム69は、弁シャフト68の他端に接続された薄い弾性板である。このダイアフラム69は、インク室62のインク流出路63側の一主面と、外気と接する他主面とからなり、大気圧とインク4の負圧により外気側とインク流出路63側に弾性変位する。
【0046】
以上のような弁機構54では、図8に示すように、弁65が付勢部材66の付勢力とダイアフラム69の付勢力とによってインク室62の開口部64を閉塞するように押圧されている。そして、ヘッドチップ41からインク4が吐出された際に、開口部64分割されたインク流出路63側のインク室62のインク4の負圧が高まると、図9に示すように、インク4の負圧によりダイアフラム69が大気圧により押し上げられて、弁シャフト68と共に弁65を付勢部材66の付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室62のインク流入路61側とインク流出路63側と間の開口部64が開放され、インク4がインク流入路61側からインク流出路63側に供給される。そして、インク4の負圧が低下してダイアフラム69が復元力により元の形状に戻り、付勢部材66の付勢力により弁シャフト68と共に弁65をインク室62が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構54では、インク4を吐出する度にインク4の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
【0047】
また、この接続部37では、インク収容部12内のインク4がインク室62に供給されると、インク収容部12内のインク4が減少するが、このとき、空気導入路15から外気がインクカートリッジ11内に入り込む。インクカートリッジ11内に入り込んだ空気は、インクカートリッジ11の上方に送られる。これにより、インク液滴iが後述するノズル104aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。このとき、空気導入路15内にインク4がほとんどない状態で平衡状態となる。
【0048】
インク検出部38,39は、図7に示すように、それぞれインクカートリッジ11のインク供給部13に接続される接続部37内のインク4の有無を検出する一対の導電性を有する線状部材であり、先端部が接続部37内に臨ませるように配設されている。インク検出部38,39は、接続部37のインク溜め部51の側面に接続部37の内部から外部に貫通するように設けられ、それぞれヘッドチップ41に接続されている。
【0049】
インク検出部38,39の先端部は、接続部37内におけるフィルタ53よりも上部に設けられている。これは、インク4がフィルタ53以下となるときに、ヘッドチップ41側におけるインク4の負圧が高まり、装置の故障の原因となることを防止するためである。インク検出部38,39は、インク4をフィルタ53よりもインクカートリッジ11側で検出することで、インク4がフィルタ53からヘッドチップ41側において無くなることを防止することができる。
【0050】
取手部40は、カートリッジ本体31が消耗する等して交換の必要がある場合や、インクジェットプリンタ装置1を修理する際等に、カートリッジ本体31の取り外しを容易にする。
【0051】
ヘッドチップ41は、カートリッジ本体31の底面に沿って配設されており、接続部37から供給されるインク液滴iを吐出するインク吐出孔である後述するノズル104aが各色毎に略ライン状をなすように設けられている。
【0052】
ヘッドキャップ42は、図2に示すように、ヘッドチップ41を保護するためのカバーであり、プリンタ本体3の後述するカバー開閉機構により開閉される。ヘッドキャップ42は、吐出面41aの開閉方向に設けられた溝部71と、長手方向に設けられヘッドチップ41の吐出面41aに付着した余分なインク4を吸い取る清掃ローラ72とを有している。ヘッドキャップ42は、開閉動作時にこの溝部71に沿ってインクカートリッジ11の短手方向である図2中矢印C方向に開閉するようにされており、このとき清掃ローラ72がヘッドチップ41の吐出面41aに当接しながら回転することで、余分なインク4を吸い取り、ヘッドチップ41の吐出面41aを清掃する。この清掃ローラ72は、例えば吸水性の高い部材が用いられる。また、ヘッドキャップ42は、ヘッドチップ41内のインク4が乾燥しないようにする。
【0053】
上述したヘッドチップ41は、各色のインク4に対応して、図10及び図11に示すように、回路基板101と、インク4を加熱する一対の発熱抵抗体102a,102bと、インク4の漏れを防ぐフィルム103と、インク4が液滴の状態で吐出されるノズル104aが多数設けられたノズルシート104と、これらに囲まれてインク4が供給されるインク液室105と、インク液室105にインク4を供給するインク流路106とを有する。
【0054】
回路基板101は、シリコン等の半導体基板であり、その一主面101aに、発熱抵抗体102a,102bが形成されていると共に、発熱抵抗体102a,102bを制御する主操作制御回路、副操作制御回路等の制御回路が形成されている。この制御回路は、ロジックIC(Integrated Circuit)やトランジスタ等で構成されている。一対の発熱抵抗体102a,102bは、電源から供給される電流により発熱し、インク液室105内のインク4を加熱してインクに気泡を発生させ、内圧を高める。これにより、加熱されたインク4は、ノズルシート104に設けられたノズル104aから液滴の状態で吐出する。一の回路基板101には、通常一対の発熱抵抗体102a,102bが100個程度並設されている。一対の発熱抵抗体102a,102bは、インク液室105毎に設けられる。
【0055】
フィルム103は、回路基板101の一主面101aに積層されている。フィルム103は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなるものであり、回路基板101の一主面101aの略全体に積層された後、フォトリソグラフプロセスによって不要部分が除去され、一対の発熱抵抗体102a,102bを一括して略凹状に囲むように形成されている。フィルム103により一対の発熱抵抗体102a,102bを囲む部分がインク液室105の一部を形成する。
【0056】
ノズルシート104は、インク液滴iを吐出させるためのノズル104aが記録紙Pの略幅分形成されたシート状部材であり、フィルム103の回路基板101と反対側に積層されている。ノズル104aは、ノズルシート104に円形状に開口された微小孔であり、一対の発熱抵抗体102a,102bと対向するように設けられる。なお、ノズルシート104はインク液室105の一部を構成する。
【0057】
インク液室105は、回路基板101、一対の発熱抵抗体102a,102b、フィルム103及びノズルシート104に囲まれた空間部であり、インク流路106からのインク4が供給される。インク液室105のインク4は、発熱抵抗体102a,102bにより加熱され、インク液室105内は、気泡が発生することによって内圧が上昇する。インク流路106は、接続部37のインク流出路63と接続されており、接続部37に接続されたインクカートリッジ11からインク4が供給され、このインク流路106に連通する各インク液室105にインク4を送り込む流路を形成する。すなわち、インク流路106と接続部34とが連通されている。これにより、インクカートリッジ11から供給されるインク4がインク流路106に流れ込み、インク液室105内に充填される。
【0058】
以上のようなヘッドチップ41は、発熱抵抗体102a,102bが設けられた複数の回路基板101は、図12(B)に示すようなノズル104aが設けられたノズルシート104に、ノズル104aが一対の発熱抵抗体102a,102b上に位置するように並んで貼り付けられる。具体的に、図12(A)に示すように、回路基板101は、記録紙Pの走行方向と直交する方向の中心線Pを境に、中心線Pの両側に発熱抵抗体102a,102bが位置するように、ノズルシート104に貼り付けられる。これは、一の回路基板101に、記録紙Pの幅方向分のインク液室105を設けることは製造技術上困難なためであり、ここでは、複数の回路基板101をノズルシート104に並べることで、記録紙Pの幅方向分のインク液室105を設けるようにしている。
【0059】
インク液室105には、ヘッドチップ41と結合されたインク流路106からのインク4が供給され満たされる。そして、一対の発熱抵抗体102a,102bに短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、一対の発熱抵抗体102a,102bがそれぞれ急速に発熱し、その結果、一対の発熱抵抗体102a,102bと接する部分に気相のインク気泡が発生する。そして、膨張したインク気泡の体積分のインク4が押圧される(インク4が沸騰する)。これによって、ノズル104aに接する部分でインク気泡に押圧されたインク4と同等の体積のインク4がインク液滴iとしてノズル104aから吐出され、記録紙P上に着弾される。
【0060】
ここで、各インク液室105に設けられる一対の発熱抵抗体102a,102bについて説明すると、図13に示すように、一対の発熱抵抗体102a,102bは、1つのインク液室105内に図13中矢印Dで示す記録紙Pの走行方向に並設されている。なお、図13では、ノズル104aの位置を1点鎖線で示している。
【0061】
一対の発熱抵抗体102a,102bは、1つの発熱抵抗体を2つに分割したような形状で長さが同じで幅が半分に形成されることから、抵抗値をほぼ倍の値にすることができる。更に、この一対の発熱抵抗体102a,102bを直列に接続することで、抵抗値を分割する前の4倍程度にすることができ、発熱量を大きくすることができる。
【0062】
インク液室105内のインク4を沸騰させるためには、一対の発熱抵抗体102a,102bに一定の電流を流して一対の発熱抵抗体102a,102bを発熱する必要がある。インク液滴iは、この沸騰時のエネルギにより、ノズル104aより吐出される。発熱抵抗体102a,102bは、所定の発熱量を得るに当たって、抵抗値が小さいと、流す電流を大きくする必要があるが、ここでは幅を狭くし、更に2つの抵抗を直列に接続することで抵抗値を高くし、少ない電流でインク液室105内のインクを沸騰させることができるようにしている。これにより、ヘッドチップ41は、電流を流すためのトランジスタ等を小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0063】
なお、一対の発熱抵抗体102a,102bの厚みを薄く形成すれば抵抗値を高くすることができるが、一対の発熱抵抗体102a,102bとして選定される材料や強度(耐久性)等の観点から、一対の発熱抵抗体102a,102bの厚みを薄くするには一定の限界がある。このため、厚みを薄くすることなく、分割することで、一対の発熱抵抗体102a,102bの抵抗値を高くしている。
【0064】
ところで、インク液室105内のインクをノズル104aより吐出させるとき、一対の発熱抵抗体102a,102bによってインク液室105内のインクが沸騰するまでの時間、すなわち気泡発生時間が同じになるように発熱抵抗体102a,102bを駆動制御すると、インク液滴iは、ノズル104aより真下に滴下される。また、一対の発熱抵抗体102a,102bの気泡発生時間に時間差を発生させた場合には、一対の発熱抵抗体102a,102b上で略同時にインク4が沸騰し気泡が発生しなくなり、発熱抵抗体102a,102bの並設方向の何れか一方にずれてインク液滴iが滴下される。具体的に、図13に示すように、記録紙Pの走行方向に一対の発熱抵抗体102a,102bを並設したとき、インク液滴iは、記録紙Pの走行方向にずれて滴下される。
【0065】
これを図14を用いて説明する。図14は、一対の発熱抵抗体102a,102bにおけるインク気泡発生時間の差と、インク液滴iの吐出角度との関係を示している。なお、図14は、記録紙Pの走行方向(一対の発熱抵抗体102a,102bが並設されている方向)の吐出角度θxを示している。図14は、横軸に気泡発生時間の差をとっており、一対の発熱抵抗体102a,102bにおける抵抗差は、時間差0.04μsecで3%、時間差0.08μsecで6%程度のばらつきが生じる。なお、図14はコンピュータによるシミュレーション結果である。
【0066】
図14に示すように、気泡発生時間に差が生じると、インク液滴iの吐出角度が略垂直でなくなり、時間差が大きいほど傾きも大きくなる。そこで、チップヘッド41は、この特性を利用し、一対の発熱抵抗体102a,102bの気泡発生時間をそれぞれ制御し、インク液滴iのノズル104aからの吐出角度、すなわち吐出方向を制御することができる。
【0067】
以上のようなヘッドチップ41は、各インク液室105内の一対の発熱抵抗体102a,102bのそれぞれに電流を供給することで、ノズル104aからインク液滴iを吐出させる。このヘッドチップ41では、一対の発熱抵抗体102a,102bに対し、略同時に同一量の電流を供給することで、一対の発熱抵抗体102a,102bの気泡発生時間を理論上、同じにすることができる。したがって、一対の発熱抵抗体102a,102bは、インク4を同時に沸騰させることができ、インク液滴iの吐出角度がインク液滴iの着弾面に対して略垂直になるようにノズル104aからインク液滴iを吐出させることができる。
【0068】
また、ヘッドチップ41は、各インク液室105内の一対の発熱抵抗体102a,102bを気泡発生時間を異ならせるように発熱抵抗体102a,102bを制御する。この場合、ヘッドチップ41は、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給する電流に差異を与え又は同じ電流量を供給するが時間差を与えることで、一対の発熱抵抗対102a,102bそれぞれの気泡発生時間に差を生じさせることができ、ノズル104aから吐出されるインク液滴iを、着弾面に対し定略垂直にインク液滴iが吐出されたときのインク液滴iの着弾位置と異なる位置に着弾させることができる。すなわち、ヘッドチップ41は、インク液滴iの吐出角度がインク4の着弾面に対して斜めになるようにノズル104aからインク液滴iを吐出させることができる。
【0069】
ノズル104aが形成されたノズルシート104がフィルム103が設けられた回路基板101に貼り合わされるとき、回路基板101に対してノズルシート104の貼り合わせ位置がずれると、発熱抵抗体102a,102bとノズル104aとの相対位置がずれ、ノズル104aに対して気泡による圧力が均等に加わらなくなり、インク液滴iの吐出方向がずれることになる。ノズルヘッド41では、一対の発熱抵抗体102a,102bの気泡発生時間をそれぞれ制御し、インク液滴iのノズル104aからの吐出角度を制御し、発熱抵抗体102a,102bとノズル104aとの相対位置のずれに伴う吐出方向のずれを補正するようにしている。
【0070】
次に、以上のように構成されたヘッドカートリッジ2が装着されるプリンタ装置1を構成するプリンタ本体3について図面を参照して説明する。
【0071】
プリンタ本体3は、上記図1及び図15に示すように、ヘッドカートリッジ2が装着されるヘッドカートリッジ装着部81と、ヘッドカートリッジ2をヘッドカートリッジ装着部81に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構82と、ヘッドキャップ42を開閉するヘッドキャップ開閉機構83と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構84と、給排紙機構84に記録紙Pを供給する給紙口85と、給排紙機構84から記録紙Pが出力される排紙口86とを有する。
【0072】
ヘッドカートリッジ装着部81は、ヘッドカートリッジ2が装着される凹部であり、走行する記録紙にデータ通り印刷を行うため、ヘッドチップ41の吐出面41aと走行する記録紙Pの紙面とが略平行となるようにヘッドカートリッジ2が装着される。ヘッドカートリッジ2は、ヘッドチップ41内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクカートリッジ11程の頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部81に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構82によって保持される。ヘッドカートリッジ保持機構82は、ヘッドカートリッジ装着部81にヘッドカートリッジ2を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ2に設けられた摘み82aをプリンタ本体3の係止孔82b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによってプリンタ本体3に設けられた基準面3aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ2を位置決めして保持、固定できるようにしている。
【0073】
ヘッドキャップ開閉機構83は、ヘッドカートリッジ2のヘッドキャップ42を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ42を移動してチップヘッド41が記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ42を閉塞してチップヘッド41を保護する。給排紙機構84は、記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、供給口85から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ2のチップヘッド41まで搬送し、インク4が吐出された記録紙Pを排紙口86に搬送して装置外部へ出力する。給紙口85は、給排紙機構84に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ85a等に複数枚の記録紙Pを積層してストックすることができる。排紙口86は、インク液滴iが吐出された記録紙Pが給排紙機構84により搬送されて排出される。
【0074】
ここで、以上のように構成されたプリンタ装置1による印刷を制御する制御回路について図面を参照して説明する。
【0075】
図16に示すように、制御回路110は、プリンタ本体3の各駆動部を駆動するプリンタ駆動部111と、各色のインク4に対応するヘッドチップ41の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流等を制御する吐出制御部112と、各色のインク4の残量を警告する警告部113と、外部装置と信号の入出力を行う入出力端子114と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)115と、読み出された制御プログラム等が読み出されるRAM(Random Access Memory)116と、各部の制御を行う制御部117とを有している。更に、このプリンタ装置1には、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置118が接続され、更に、この情報処理装置118には、画像を画像データに変換し情報処理装置118に入力するスキャナ119が接続されている。
【0076】
プリンタ駆動部111は、制御部117からの制御信号に基づき、ヘッドキャップ開閉機構83を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ42を開閉する。また、プリンタ駆動部111は、制御部117からの制御信号に基づき、給排紙機構84を構成する駆動モータを駆動させてプリンタ本体3の給紙口85から記録紙Pを給紙し、記録後に排紙口86から排紙する。
【0077】
吐出制御部112は、図17に示すように、ヘッドチップ41を構成する回路基板101に設けられている。この吐出制御部112は、各インク液室105に設けられる一対の発熱抵抗体102a,102bに電流を流すための電源120a,120bと、一対の発熱抵抗体102a,102bと電源120a,120bとの電気的な接続をオンオフするスイッチング素子121a,121b,121cと、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流を制御するための抵抗器122a,122b,122c及び可変抵抗器123とを備える。
【0078】
電源120aは、発熱抵抗体102bに接続され、電源120bは、スイッチング素子122c、可変抵抗器122を介して抵抗器122a,122b,122cに選択的に接続されている。これら電源120a,120bは、インクヘッドカートリッジ2の外部から供給される。
【0079】
スイッチング素子121aは、トランジスタ等で構成され、発熱抵抗体102aとグランドとの間に配置され、発熱抵抗体102a,102bのオンオフを制御する主操作制御部として機能する。スイッチング素子121bも、トランジスタ等で構成され、可変抵抗器123と抵抗器122a,122b,122cとの間に接続され、発熱抵抗体102aに供給する電流量を制御する。スイッチング素子121cは、可変抵抗器123と電源120bとの間に接続され、インク液滴iの吐出方向を制御する。抵抗器122a,122b,122c、可変抵抗器123、スイッチング素子121b、スイッチング素子121cは、インク液滴iの吐出方向を制御する副操作制御部として機能する。
【0080】
抵抗器122a,122b,122cは、それぞれ異なる抵抗値を有し、スイッチング素子121bが切り換えられることにより発熱抵抗体102aに供給される電流量を制御する。具体的に、抵抗器122aが、最も抵抗値が大きく、次いで、抵抗器122bが大きく、抵抗器122cの抵抗値が最も小さくなっており、発熱抵抗体102aに供給される電流量は、抵抗器122a〜122cの何れに接続されるかによって定まる。
【0081】
可変抵抗器123は、抵抗器122a,122b,122cの何れかと組み合わされることで一対の発熱抵抗体102aに供給される電流量を更に調節する。
【0082】
次に、この吐出制御部112の動作について説明すると、スイッチング素子121bをオフにして抵抗器122a,122b,122cと一対の発熱抵抗体102a,102bとが接続されていないとき、スイッチング素子121aをオンにすると、電源120aから電流が直列接続された一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される(抵抗器122a,122b,122cには電流が流れない)。このとき、一対の発熱抵抗体102a,102bの抵抗値は、同一であるから、一対の発熱抵抗体102a,102bが発生する熱量は、略同一になる。したがって、気泡発生時間が略同一となり、図18に示すように、インク液滴iが、インク4の吐出角度がインク4の着弾面に対して略垂直になるようにをノズル104aから吐出される。したがって、吐出されたインク液滴iは、図18中130で示す着弾点に着弾する。
【0083】
また、スイッチング素子121bと抵抗器122a,122b,122cの内の何れかとの接続をオンにし、スイッチング素子121aをオンにし、スイッチング素子121cをグランドと接続したとき、インク液滴iの吐出方向が記録紙の走行方向の下流側となり、記録紙Pの走行方向の下流側に向かって、インク液滴iの吐出方向を可変することができる。すなわち、スイッチング素子121bが抵抗器122a,122b,122cの何れかに接続されることで、電流が発熱抵抗体102a,102bの中点から抵抗器122a,122b,122cの方向である図17中矢印a1方向に流れ、発熱抵抗体102aへ供給される電流量が少なくなり、一対の発熱抵抗体102a,102bは、供給される電流に差異が生じ、両者に発生する熱量にも差異が生じる。この場合、抵抗器122a,122b,122cは、それぞれ異なる抵抗値を有することから、スイッチング素子121bの切り換えで一対の発熱抵抗体102aに供給される電流量を3段階に異ならせることができる。これにより、ヘッドチップ41は、一対の発熱抵抗体102a,102bで発生する熱量に差異が生じさせ、スイッチング素子121bの切り換えで一対の発熱抵抗体102a,102bそれぞれの気泡発生時間に三段階の時間差を持たせることができ、インク液滴iの吐出角度を記録紙Pの走行方向の下流側において、三段階に変化させることができる。
【0084】
具体的に、吐出制御部112は、図18に示すように、ノズル104aから略垂直にインク液滴iが吐出されて着弾した着弾点130から、記録紙Pの走行方向に三段階に分かれた着弾点131,132,133の何れかにインク液滴iを着弾させる。更に詳しくは、スイッチング素子121bが抵抗値の最も小さい抵抗器122cと接続されると発熱抵抗体102aへの電流供給量が最も少なくなり、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流差が最も大きくなり、インク液滴iは、着弾点130から最も遠い位置の着弾点133に着弾される。また、抵抗値が最も高い抵抗器122aと接続されると、発熱抵抗体102bに供給される電流供給量は、最も大きくなり、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流差が最も小さくなり、インク液滴iは、着弾点130から最も近い位置の着弾点131に着弾される。
【0085】
更に、可変抵抗器123で、抵抗値を可変することで、発熱抵抗体102aに供給される電流を微調節することができ、これに伴って、着弾点130,131,132,133それぞれの間に着弾するようにインク液滴iの吐出角度を調節することができる。
【0086】
スイッチング素子121cを切り換えて電源120bと接続すると、インク液滴iの吐出方向を記録紙Pの走行方向の上流側にすることができる。この場合、発熱抵抗体102aには、電源120aからの電流が図17中矢印a2方向に流れ、電流が発熱抵抗体102a,102bの中点から電源120aからの電流に電源120bからの電流が加算される。すなわち、スイッチング素子121cをグランドに接続したときとは逆となる。これにより、インク液滴iは、ノズル104aからインク液滴iが略垂直に吐出されて着弾した着弾点130を境に、スイッチング素子121cをグランドに接続したときとは反対側の着弾位置に吐出される。
【0087】
具体的に、スイッチング素子121bが抵抗値が最も小さい抵抗器122cと接続されると、発熱抵抗体102aに供給される電流量が電源121aからの電流と電源120bからの電流が加算され、最も多くなり、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流差が最も大きくなる。したがって、インク液滴iは、着弾点130から最も遠い位置の着弾点136に着弾される。スイッチング素子121bが抵抗値の最も大きい抵抗器122aと接続されると、発熱抵抗体102aに供給される電流が最も少なくなり、一対の発熱抵抗体102a,102bに供給される電流差が最も小さくなる。したがって、インク液滴iは、着弾点130から最も近い位置の着弾点134にインク液滴iを着弾される。
【0088】
このように、吐出制御部112では、副操作制御部を構成するスイッチング素子121b,121cを切り換えることでインク液滴iのノズル104aからの吐出方向を記録紙Pの走行方向に7段階に変化させることができ、更に抵抗器122a,122b,122cと可変抵抗器123とを組み合わせることでインク液滴iの吐出方向を7段階以上に変化させることができる。具体的には、ノズル104aから略垂直に吐出されて着弾した着弾点130を中心に、記録紙Pの走行方向に50μm程度迄ずらしてインク液滴iを着弾することができる。
【0089】
警告部113は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段であり、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を表示する。また、警告部113は、例えばスピーカ等の音声出力手段であってもよく、この場合は、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を音声で出力する。なお、警告部113は、表示手段及び音声出力手段をともに有するように構成してもよい。また、この警告は、情報処理装置118のモニタやスピーカ等で行うようにしてもよい。
【0090】
入出力端子114は、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報をインタフェースを介して外部の情報処理装置118等に送信する。また、入出力端子114は、外部の情報処理装置118から、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を出力する制御信号、印刷データ等が入力される。ここで、上述した情報処理装置118は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
【0091】
情報処理装置118等と接続される入出力端子114は、インタフェースとして、シリアルインタフェースやパラレルインタフェース等を用いることができ、具体的にUSB(Universal Serial Bus)、RS(Recommended Standard)232C、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等の規格に準拠したものである。また、入出力端子114は、情報処理装置118との間で有線通信又は無線通信の何れ形式でデータ通信を行うようにしてもよい。なお、この無線通信規格としては、IEEE802.11a,802.11b,802.11g等がある。
【0092】
なお、入出力端子114と情報処理装置118との間には、例えばインターネット等のネットワークが介在していてもよい。この場合、入出力端子114は、例えばLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、xDSL(Digital Subscriber Line)、FTHP(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、BS(Broadcasting Satellite)等のネットワーク網に接続され、データ通信は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の各種プロトコルにより行われる。
【0093】
ROM115は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)等のメモリであり、制御部117が行う各処理のプログラムが格納されている。この格納されているプログラムは、制御部117によりRAM116にロードされる。RAM116は、制御部117によりROM115から読み出されたプログラムや、プリンタ装置1の各種状態がロードされる。
【0094】
ところで、図10及び図11に示すように、回路基板101に対してノズルシート104の貼り合わせ位置がずれると、発熱抵抗体102a,102bとノズル104aとの相対位置とがずれ、ノズル104aに対して気泡による圧力が均等に加わらなくなり、インク液滴iの吐出方向がずれることになる。そこで、ROM115には、吐出制御部112によってインク液滴iの吐出方向を補正する補正データが格納されている。具体的に、図19に示すように、ROM115には、インク液滴iの着弾位置のずれ量とそのずれ量に対する制御電流値が格納されている。
【0095】
すなわち、図20に示すように、インク液室105毎に一対の発熱抵抗体102a,102bが設けられた回路基板101に対するノズルシート104の貼り合わせに当たって、貼り合わせ誤差eを無くすことは困難である。特に熱可塑性の接着材を用いて回路基板101に対してノズルシート104を貼り付けるときには、貼付け時に加熱する必要があり、加熱時には、ノズル104aと一対の発熱抵抗体102a,102bとの相対位置が正確でも、常温に戻ると線膨張係数の違いからずれてしまう場合がある。また、回路基板101とノズルシート104の位置合わせに用いている顕微鏡のレンズがずれてしまった場合にも、ノズルシート104を回路基板101に対して正確に貼り合わせることはできない。図21に示すように、記録紙Pの走行方向であるX方向と記録紙Pの走行方向に対して直行するY方向の両方がズレ、更に角度も付いてずれた場合は、1つの回路基板101の内で場所によって吐出曲がり量が異なるという問題もある。インク液滴iの吐出方向が変わってしまうのは、ノズル104aに対して気泡による圧力が均等に加わらなくなるためである。
【0096】
そして、回路基板101に対するノズルシート104のずれ、すなわち回路基板101に設けられた一対の発熱抵抗体102a,102bとノズルシート104に設けられたノズル104aの相対位置の位置ずれ量が多い場合には、図22に示すように、インク液滴iの吐出方向が曲がってしまう。X方向又はY方向の一方方向にずれた場合は、全体の吐出方向がずれるだけなので、回路基板101を1つだけ用いる場合には、これらの貼付け誤差の影響は無視できる。しかしながら、複数の回路基板101を一のノズルシート104に貼り付けた場合は、個々の位置ずれ量が全く同じでない限り、回路基板101同士でずれ量が異なり、回路基板101の境界部の継ぎ目がわかってしまう。
【0097】
ROM115に記録されたインク液滴iの吐出方向を補正する図19に示す補正データは、回路基板101に対してノズルシート104がずれ、インク液滴iの吐出方向は変わってしまったときに、図17に示す吐出制御部112の制御によってインク液滴iの吐出方向を補正するためのものであり、図19の横軸に示す制御電流は、図17に示すインク液滴iの吐出方向を制御する副操作制御部、すなわち抵抗器122a,122b,122c、可変抵抗器123、スイッチング素子121b、スイッチング素子121cによって制御される発熱抵抗体102aに供給される電流値を示している。したがって、吐出制御部112は、着弾位置のずれ量に基づいて発熱抵抗体102aへ供給する制御電流を決定し、決定した制御電流値に基づいてインク液滴iの吐出方向を補正する。具体的に、吐出制御部112は、図17に示すスイッチング素子121b、スイッチング素子121cを切換制御し、更に可変抵抗器123を調整することによって、発熱抵抗体102aへ供給される電流量を制御し、発熱抵抗体102a,102bに供給されるエネルギが同じときにインク液滴iの吐出方向がずれる方向とは逆方向にインク液滴iを吐出するようにして、インク液滴iの吐出方向を補正する。
【0098】
また、ROM115には、図23に示すように、インク液滴iの着弾位置のずれ量を測定するためのテストパターンデータ200が格納されている。このテストパターンデータ200は、記録紙Pに印刷されたとき、図23に示すような画像を形成するものである。
【0099】
このテストパターンデータ200は、第1の評価パターンデータ201と、第2の評価パターンデータ202とからなる。第1の評価パターンデータ201は、インク液滴iの吐出方向のずれを検出するための理想直線204を算出するためのパターンデータであり、ノズル104aの一ライン分の直線データである。また、第2の評価パターンデータ202は、並設された回路基板101毎のインク液滴iの吐出方向のずれを検出するためのパターンデータである。テストパターンデータ200には、基準線を構成する絶対座標データが含まれている。テストパターンデータ200は、この基準線データ203からの距離ΔY1によって第1の評価パターンデータ201の位置を特定し、また、この基準線データ203からの距離ΔY2によって第2の評価パターンデータ202の位置を特定するようにしている。インク液滴iの吐出方向のずれを補正するときには、先ず、このテストパターンデータ200が記録紙Pに印刷されることになる。
【0100】
制御部117は、入出力端子114から入力された印刷データ及び制御信号や、インク検出部38,39による電気抵抗値の変化や、インク残量検出部36による電気抵抗値の変化等に基づき、各部を制御する。制御部117、このような処理プログラムとしてROM115から読み出してRAM116に記憶し、このプログラムに基づき各処理を行う。
【0101】
この制御部117は、吐出方向の制御を行う処理プログラムをROM115から読み出してRAM116にロードし、このプログラムに基づき、吐出制御部112のスイッチング素子121a,121b,121cのオン/オフを切り換えてインク液滴iの吐出方向を制御する。
【0102】
以上のようなプリンタ装置1の印刷動作について説明すると、制御部117は、図24に示すように、ヘッドキャップ開閉機構83を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ42をヘッドカートリッジ2に対してトレイ85a側に移動させ、ヘッドチップ41のノズル104aを露出させる。そして、制御部117は、給排紙機構84を構成する駆動モータを駆動させて記録紙Pを連続して又は間欠して走行させる。具体的に、制御部117は、トレイ85aから給紙ローラ150によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ151a,151bによって引き出された記録紙Pの一枚を反転ローラ152に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト153に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト153に搬送された記録紙Pを押さえ手段154が所定の位置に停止させることでインク4が着弾される位置が位置決めされるように給排紙機構84を制御する。
【0103】
これと共に、制御部117は、吐出制御部112がヘッドチップ41よりインク液滴iを記録紙Pに吐出する制御を行うようにする。具体的には、図25に示すように、インク流路106内の一対の発熱抵抗体102a,102bに接する部分には、インク気泡H,Iが発生し、図26に示すように、そのインク気泡H,Iの膨張によってインク気泡H,Iの膨張分の体積と等しい体積のインク4が押しのけられる。これによって、ノズル104aに接する部分の押しのけられたインク4と同等の体積のインク液滴iがノズル104aから吐出され、記録紙P等の被記録物に着弾し、記録紙Pには、印刷データに応じた文字、画像等が印刷される。
【0104】
そして、インク液滴iが吐出されると、インク液滴iを吐出したインク液室105内に吐出された量と同量のインク4がインク流路106から直ちに補充され、図10に示すように、元の状態に戻る。ヘッドチップ41からインク液滴iが吐出されると、付勢部材66の付勢力とダイアフラム69の付勢力とによってインク室62の開口部64を閉塞している弁65は、図9に示すように、ヘッドチップ41からインク液滴iが吐出された際に、開口部64分割されたインク流出路63側のインク室62のインク4の負圧が高まると、インク4の負圧によりダイアフラム69が大気圧により押し上げられて、弁シャフト68と共に弁65を付勢部材66の付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室62のインク流入路61側とインク流出路63側と間の開口部64が開放され、インク4がインク流入路61側からインク流出路63側に供給され、インク流路106にインクが補充される。そして、インク4の負圧が低下してダイアフラム69が復元力により元の形状に戻り、付勢部材66の付勢力により弁シャフト68と共に弁65をインク室62が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構54では、インク液滴iを吐出する度にインク4の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。このようにして、給排紙機構84によって走行している記録紙Pには、順に印刷データに応じた文字や画像が印刷されることになる。そして、印刷が終了して記録紙Pは、排紙口86より排出される。
【0105】
次に、以上のようなプリンタ装置1において、インク液滴iの吐出方向を補正する手順を図27を参照して説明する。先ず、ステップS1において、ユーザがインク液滴iの吐出方向を補正する操作を情報処理装置118の操作部又はプリンタ装置1の操作部で行うと、プリンタ装置1の制御部112は、ROM115よりインク液滴iの吐出方向を補正するためのプログラムをROM115より読み出してRAM116にロードすると共に、ROM115よりテストパターンデータ200を読み出して第1の評価パターンデータ201及び第2の評価パターンデータ202を記録紙Pに印刷する。
【0106】
このとき、吐出制御部112は、図17に示すように、スイッチング素子121bをオフにして抵抗器122a,122b,122cには電流が流れないようにし、スイッチング素子121aをオンにする。すなわち、発熱抵抗体102a,102に同じ電流が供給されるようにし、回路基板101の発熱抵抗体102a,102bとノズルシート104のノズル104aとにずれがないとき、インク液滴iがインク4の吐出角度がインク4の着弾面に対して略垂直になるようにを吐出される状態にする。これにより、回路基板101の発熱抵抗体102a,102bとノズルシート104のノズル104aの相対位置がずれているときには、インク液滴iの着弾位置がずれ、第1の評価パターン201aが直線に印刷されないことになる。
【0107】
ここで、図28を用いてテストパターンデータ200aが印刷された記録紙Pを説明すると、第1の評価パターンデータ201に相当する第1の評価パターン201aは、インク液滴iの吐出方向がずれているとき、直線に印刷されない。ノズルシート104に貼り付けられている各回路基板101がノズルシート104に対して回転しているときには、図28に示すように、回路基板101毎に様々な傾きを有して第1の評価パターン201aが印刷されることになる。また、第2の評価パターンデータ202に相当する第2の評価パターン202aは、上記図23を用いて説明したように回路基板101毎に記録紙Pの走行方向となるY方向に所定間隔(ΔY1−ΔY2)ずつずらして印刷したものであるから、回路基板101毎の直線が第1の評価パターン201aと同様な傾きを有して印刷されることになる。
【0108】
ステップS2において、情報処理装置118には、スキャナ119から記録紙Pに印刷された画像、すなわちテストパターンを含む画像が取り込まれ、情報処理装置118は、入出力端子部114を介してスキャナ119で読み込んだ画像データをプリンタ装置1に入力する。プリンタ装置1の制御部117は、ステップS3において、図29に示すように、基準線203からの第1の評価パターン201aまでの距離を算出し、平均値を算出することによって理想直線204を算出する。ここで、基準線203は、スキャナ119から入力された画像に関係なく定められた記録紙Pの走行方向と直交するX方向が可変し記録紙Pの走行方向であるY方向の値が一定の座標値を有する絶対座標データである。制御部117は、記録紙Pに印刷された第1の評価パターン201aを構成するドットを検出し、各ドットと基準線203との距離を算出し、算出した距離を合計し、合計値をドット数で除することによって、理想直線204を算出する。
【0109】
ここで、理想直線204を算出するに当たって基準となる基準線203は、絶対座標データであって、記録紙Pにテストパターン200aと共に印刷されるものではない。したがって、記録紙Pが傾いた状態でテストパターンデータ200が印刷された場合にも、第1の評価パターン201aに基づいて理想直線204を正確に算出することができる。すなわち、制御部117は、記録紙Pにテストパターンデータ200と共に印刷された基準線203を用いないことで、記録紙Pの印刷時の姿勢、すなわち傾きに関係なく理想直線204を算出することができる。
【0110】
ステップS4において、プリンタ装置1の制御部117は、回路基板101毎のインク液滴iの吐出方向のずれ量を検出する。具体的に、図30に示すように、制御部117は、上述したステップS3で算出した理想直線204を第2の評価パターン202に当てはめる。具体的には、理想直線204を(ΔY1−ΔY2)分だけずらして、第2の評価パターン202aに当てはめる。そして、制御部117は、理想直線204と第2の評価パターン202aとのずれ量g、具体的には記録紙Pの走行方向であるY方向のずれ量gを算出する。なお、ずれ量gは、ドット単位で行ってもよい。
【0111】
ステップS5において、制御部117は、ROM115に保存されている図19に示す補正データを参照し、すれ量gに対応した制御電流値を算出する。そして、ステップS6において、制御部117は、すれ量gに対応した制御電流値のデータを吐出制御部112に出力する。吐出制御部112は、図17に示すように、入力されたすれ量gに対応した制御電流値のデータに応じて、スイッチング素子121b,121cや可変抵抗器123を、インク液滴iの吐出方向が着弾面に対して略垂直になるように制御する。
【0112】
ステップS7において、制御部117は、補正データに基づいて算出した制御電流値のデータをROM115に保存し、次回印刷を行うときから、このROM115に保存された制御電流値のデータに基づいてインク液滴iの吐出方向を補正した状態で印刷を行うようにする。
【0113】
すなわち、制御部117は、吐出制御部112でインク液滴iの吐出方向を補正する。具体的には、図24及び図25に示すように、インク流路106内の一対の発熱抵抗体102a,102bに接する部分には、発熱抵抗体102aへの電流制御により、時間差でインク気泡F,Gが発生する。インク気泡F,Gは、より多くの電力が供給される等して一対の発熱抵抗体102a,102bの内加熱される速度が早い方に接している方の膨張が早くなる。そして、インク気泡F,Gの内の膨張する速度が早い方がインク4をより押圧し、インク液滴iを、ノズル104aを中心に気泡の膨張が遅い側に押し出す。これによって、一対の発熱抵抗体102a,102bに対するノズル104aのずれに伴うインク液滴iの吐出方向のずれを矯正することができ、この結果、インク液滴iを記録紙Pに対して略垂直に滴下することができる。
【0114】
以上のように、本発明を適用したプリンタ装置1では、上述したようにノズルシート104に並んで設けられる一対の発熱抵抗体102a,102bとの相対位置がずれ、インク液滴iの吐出方向がずれたときであっても、吐出制御部112によってインク液滴iの吐出方向を補正することができ、その結果、印刷した画像に、インク液滴iの着弾位置のずれに伴う白すじ等が現れることを防止することができる。また、このプリンタ装置1では、インク液滴iの吐出方向を補正できるようにすることで、ノズルシート104へ回路基板101を取り付ける際の誤差の許容範囲を大きくすることができ、ヘッドチップ41の生産効率の向上を図ることができる。
【0115】
ところで、以上のようなプリンタ装置1にあっても、記録紙Pの走行速度にばらつきがあると、印刷される画像や文字等の精度が左右されてしまう。例えば記録紙の走行速度が速いときは、記録された画像や文字等が記録紙の走行方向に伸びて印刷されてしまったり、色の濃度が薄くなってしまう。また、記録紙の走行速度が遅いときは、記録された画像や文字等が記録紙の走行方向に縮んで印刷されたり、色の濃度が濃くなってしまう。そこで、このプリンタ装置1では、インク液滴iの吐出方向の補正を上述した方法で行った上で、上記図18で示したように、吐出制御部112を構成するスイッチング素子121a,121b,121c、可変抵抗器123を調整してインク液滴iの吐出方向を、周期的に又はランダムに可変するようにしてもよい。
【0116】
以上の例では、インク液滴iの吐出方向を補正するに当たって、ユーザの手元でプリンタ本体3に内蔵されたROM115に保存されたテストパターンデータ200を用いてテストパターン200aをテスト印刷し、テストパターン200aが印刷された記録紙Pをスキャナ119で読み込んで、ドット毎のインク液滴iの着弾位置のずれを検出し、検出結果に基づいて制御電流値のデータを算出し、発熱抵抗体102aの電流量を制御する場合を説明したが、本発明は、工場における出荷判定時に行うようにし、補正データをインクヘッドカートリッジ2に設けたメモリに保存しておくようにしてもよい。
【0117】
例えば、ROM115は、プリンタ本体3に設けるのではなく、インクヘッドカートリッジ2に設けるようにしてもよい。インクヘッドカートリッジ2にROM115を設ける場合、例えば、ヘッドカートリッジ2の工場からの出荷判定時に、上記図27のステップS1〜ステップS7までの処理を行い、検出結果に基づいて制御電流値のデータをインクヘッドカートリッジ2のROM115に保存する。このプリンタ装置1は、インクヘッドカートリッジ2も消耗品であり、プリンタ本体3に対して着脱可能であるから、ユーザの元でインクヘッドカートリッジ2が交換されたとき、制御部117は、交換されたインクヘッドカートリッジ2のROM115から制御電流値のデータを取得し、発熱抵抗体102aの電流量を制御する。したがって、ユーザがインクヘッドカートリッジ2を交換する度に上記図27に示したインク液滴iの吐出方向の補正を行う必要が無くなり、プリンタ装置1の利便性の向上を図ることができる。
【0118】
また、他の例として、プリンタ本体3にROM115を設け、更にインクヘッドカートリッジ2にもメモリを設けるようにしてもよい。この場合、インクヘッドカートリッジ2のメモリには、工場からの出荷判定時に測定したインク液滴iの吐出方向を補正するための補正データが格納される。ここでの補正データは、例えば〔000〕、〔001〕、〔010〕等の数ビット(ここでは3ビット)のディジタルの補正データである。一方、プリンタ本体3のROM115には、図31に示すように、インクヘッドカートリッジ2のROMに格納されている数ビットの補正データと発熱抵抗体102aの制御電流値のデータとを変換する変換テーブルが格納されている。制御部117は、インクヘッドカートリッジ2が装着されると、インクヘッドカートリッジ2のROMより数ビットの補正データを読み出し、ROM115に格納されている変換テーブルを参照して制御電流値のデータを特定し、特定した制御電流値のデータに基づいて吐出制御部112で発熱抵抗体102aへ供給する電流を制御し、インク液滴iの吐出方向を補正することができる。
【0119】
更に、図23及び図28に示したテストパターンデータ200は、第1の評価パターンデータ201aと第2の評価パターンデータ202aを設けたが、第2の評価パターンデータ202aだけとしてもよい。この場合、回路基板101に応じた第2の評価パターン202毎に、基準線203からの距離を測定して理想直線204を算出し、理想直線204からの第2の評価パターン202のずれ量を算出するようにすればよい。
【0120】
また、以上の例では、インク液滴iの吐出方向を補正するに当たって、ユーザの手元でプリンタ本体3に内蔵されたROM115に保存されたテストパターンデータ200を用いてテストパターン200aをテスト印刷し、テストパターン200aが印刷された記録紙Pをスキャナ119で読み込んで、ドット毎のインク液滴iの着弾位置のずれを検出し、検出結果に基づいて制御電流値のデータを算出し、発熱抵抗体102aの電流量を制御する場合を説明したが、本発明は、工場における出荷判定時において、顕微鏡等を用いて直接、ノズル104aと発熱抵抗体102a,102bのずれ量を測定し、そのずれ量をインクヘッドカートリッジ2に設けたメモリに保存するようにしてもよい。この場合、プリンタ本体3のROM115には、図32に示すように、ノズル104aに対するインク液滴iの吐出方向を補正するための制御電流の値を特定するテーブルを保存しておき、制御部117がインクヘッドカートリッジ2のメモリから読み出したノズル104aと発熱抵抗体102a,102bのずれ量に関するデータに基づいて制御電流のデータを特定し、吐出制御部112によって発熱抵抗体102aへ供給する電流量を制御してインク液滴iの吐出方向を制御するようにすればよい。
【0121】
更に、以上の例では、図13に示すように、発熱抵抗体102a,102bを記録紙Pの走行方向に並べて設け、記録紙Pの走行方向に、インク液滴iの吐出方向を可変させてインク液滴iの吐出方向を制御する場合を説明したが、発熱抵抗体102a,102bは、記録紙Pの走行方向に対して直交する方向に配列するようにしてもよい。この場合には、インク液滴iの吐出方向を記録紙Pの走行方向に対して直交する方向にすることができ、発熱抵抗体102a,102aの位置がノズル104aに対して記録紙Pの走行方向に対して直交する方向にずれているときに、インク液滴iの着弾位置を補正することができる。更に、一のインク液室105に設ける発熱抵抗体の数は、2つに限定されるものではない。例えば、インク液室105毎に、発熱抵抗体を、記録紙Pの走行方向に一対設け、更に、記録紙Pの走行方向に対して直交する方向に一対設け、合計で4つ設けるようにしてもい。この場合には、インク液滴iの吐出方向を記録紙Pの走行方向と記録紙Pの走行方向に対して直交する方向の2方向にすることができ、発熱抵抗体の位置がノズル104aに対して何れの方向にずれていても、インク液滴iの着弾位置を補正することができる。更に、発熱抵抗体の数は、これらの数に限定されるものではない。
【0122】
更に、以上の例では、プリンタ本体3に対してヘッドカートリッジ2が着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ2に対してインクカートリッジ11が着脱可能なプリンタ装置1を例に取り説明したが、ヘッドチップ41については、プリンタ本体3とヘッドカートリッジ2とが一体のプリンタ装置に適用することもできる。
【0123】
また、以上の例では、記録紙に文字や画像を印刷するプリンタ装置を例に取り説明したが、本発明は、微少量の液体を吐出する他の装置に広く適用することができる。例えば、本発明は、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)やプリント配線基板の微細な配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置に適用することもできる。
【0124】
更に、インク液室105に気泡を発生させる圧力発生手段は、発熱抵抗体102a,102bの気泡発生手段の他、ピエゾ素子等の圧電素子であってもよい。また、本発明は、以上のような記録紙の用紙幅とほぼ同じ範囲をインクの吐出範囲とした、すなわちライン状にインクを吐出するインク吐出孔が設けられたライン型の液体吐出装置の他、インクカートリッジがインクヘッド部に装着され、インクカートリッジが装着されたインクヘッド部が記録紙の幅方向、すなわち記録紙の走行方向と略直交する方向に移動することによって所定の色のインクを記録紙に着弾させるシリアル型の液体吐出装置に適用することもできる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し若しくはタイミングをずらして上記エネルギを供給し上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を記憶手段の補正データに基づいて制御することで、吐出孔と圧力発生素子との相対位置のずれに伴う液体の吐出方向のずれを補正することができ、従って、生産効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタ装置を示す斜視図である。
【図2】同インクジェットプリンタ装置に備わるインクジェットプリントヘッドカートリッジを示す斜視図である。
【図3】同インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された状態を示す断面図である。
【図4】同インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された際にインク供給部の供給口が弁により閉塞された状態を示す模式図である。
【図5】同インクジェットプリントヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着された際にインク供給部の供給口が開放された状態を示す模式図である。
【図6】同インクジェットプリントヘッドカートリッジの装着部を示す平面図である。
【図7】同インクジェットプリントヘッドカートリッジとヘッドチップの関係を示す断面図である。
【図8】同インクジェットプリントヘッドカートリッジの接続部における弁機構の弁が閉じた状態を示す断面図である。
【図9】同インクジェットプリントヘッドカートリッジの接続部における弁機構の弁が開いた状態を示す断面図である。
【図10】同インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す断面図である。
【図11】同インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す分解斜視図である。
【図12】回路基板をノズルシートに貼り付ける状態を説明する図であり、(A)は、回路基板の配列状態を示し、(B)は、ノズルが設けられたノズルシートを示す。
【図13】同インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップを示す平面図である。
【図14】気泡発生時間の差と吐出角度との関係を示す特性図である。
【図15】インクジェットプリンタ装置において、ヘッドキャップ開閉機構が閉じている状態を一部透視して示す側面図である。
【図16】同インクジェットプリンタ装置の制御回路を説明するブロック図である。
【図17】インクの吐出方向を制御する吐出制御部を説明する回路図である。
【図18】同ヘッドチップより吐出したインク液滴の着弾点を模式的に示す平面図である。
【図19】インク液滴の着弾位置のずれ量とそのずれ量に対する制御電流値との関係を示す特性図である。
【図20】回路基板に対するノズルシートのずれを説明する平面図である。
【図21】回路基板に対してノズルシートが回転した状態で貼り付けられた状態を示す図である。
【図22】回路基板に対してノズルシートが回転して貼り付けられ、インク液滴が曲がって吐出される状態を示す断面図である。
【図23】インク液滴の吐出方向を補正するためのテストパターンデータを説明する図である。
【図24】同インクジェットプリンタ装置において、ヘッドキャップ開閉機構が開いている状態を一部透視して示す側面図である。
【図25】同インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップにおいて、インク気泡が発生した状態を示す断面図である。
【図26】同インクジェットプリントヘッドカートリッジのヘッドチップにおいて、発生したインク気泡によりインク液滴がノズルより吐出される状態を示す断面図である。
【図27】インク液滴の吐出方向を補正する手順を説明するフローチャートである。
【図28】テストパターンデータが印刷された記録紙に印刷された状態を説明する図である。
【図29】第1の評価パターンと理想直線との関係を説明する図である。
【図30】第2の評価パターンと理想直線との関係を説明する図である。
【図31】補正データと制御電流の変換テーブルを説明する図である。
【図32】ノズルのずれ量と制御電流との関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ装置、2 インクジェットプリントヘッドカートリッジ、3 プリンタ本体、4 インク、11 インクカートリッジ、12 インク収容部、13 インク供給部、31 カートリッジ本体、32 装着部、41 ヘッドチップ、42 ヘッドキャップ、81 ヘッドカートリッジ装着部、82 ヘッドカートリッジ保持機構、83 ヘッドキャップ開閉機構、84 給排紙機構、85 給紙口、86 排紙口、101 回路基板、102a,102b 発熱抵抗体、103 フィルム、104 ノズルシート、104a ノズル、105 インク液室、106 インク供給路、112 吐出制御部、115 ROM、117 制御部、120a,120b 電源、121a,121b,121c スイッチング素子、122a,122b,122c 抵抗、123 可変抵抗、

Claims (11)

  1. 液体を収容する液室と、上記液室に被記録物の走行方向に並設され、エネルギが供給されることで上記液室に収容された上記液体内に圧力を発生させる少なくとも一対の圧力発生素子と、上記圧力発生素子が発生させた圧力によって上記液室の液体を吐出させる吐出孔とを有する吐出手段と、
    上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を制御する吐出方向制御手段と、
    上記液体の吐出方向を補正する補正データを保存する記憶手段とを備え、
    上記吐出方向制御手段は、上記吐出手段の一対の圧力発生素子と上記吐出孔とのずれ量に基づいた上記補正データに基づいて上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給する液体吐出装置。
  2. 上記補正データは、上記液体の吐出角度に対応付けられた電流値データである請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 上記記憶手段は、更に、被記録物に液体を吐出するためのテストパターンデータを保存しており、
    該装置は、更に、上記記録紙に印刷されたテストパターンの画像データが入力される入力手段と、
    上記入力手段より入力された画像データに基づいて上記液体の着弾位置のずれ量を算出する算出手段とを備え、
    上記吐出方向制御手段は、上記着弾位置のずれ量のデータに基づいた上記補正データに基づいて上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給する請求項1記載の液体吐出装置。
  4. 上記算出手段は、上記入力手段より入力されたテストパターンの画像データより理想直線を算出し、この算出した理想直線に対する印刷されたテストパターンのずれ量を算出する請求項3記載の液体吐出装置。
  5. 液体を収容する液室と、上記液室に被記録物の走行方向に並設され、エネルギが供給されることで上記液室に収容された上記液体内に圧力を発生させる少なくとも一対の圧力発生素子と、上記圧力発生素子が発生させた圧力によって上記液室の液体を吐出させる吐出孔とを有する吐出手段と、
    上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を制御する吐出方向制御手段と、
    上記液体の吐出方向を補正する補正データを保存する記憶手段とを備え、
    上記吐出方向制御手段は、上記記憶手段の補正データに基づいて上記液体の吐出方向を制御する液体吐出ヘッド。
  6. 上記補正データは、上記液体の吐出角度に対応付けられた電流値データである請求項5記載の液体吐出ヘッド。
  7. 上記記憶手段は、更に、被記録物に液体を吐出するためのテストパターンデータを保存している請求項5記載の液体吐出ヘッド。
  8. 液体を収容する液室と、上記液室に被記録物の走行方向に並設され、エネルギが供給されることで上記液室に収容された上記液体内に圧力を発生させる少なくとも一対の圧力発生素子と、上記圧力発生素子が発生させた圧力によって上記液室の液体を吐出させる吐出孔とを有する吐出手段と、上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給し上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を制御する吐出方向制御手段と、上記液体の吐出方向を補正する補正データを保存する記憶手段とを備える液体吐出装置の液体吐出方向を補正する補正方法であって、
    上記吐出手段の一対の圧力発生素子と上記吐出孔とのずれ量を検出するステップと、
    上記検出したずれ量に基づいた上記補正データに基づいて上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給するステップとを有する補正方法。
  9. 上記補正データは、上記液体の吐出角度に対応付けられた電流値データである請求項8記載の補正方法。
  10. 上記記憶手段は、更に、被記録物に液体を吐出するためのテストパターンデータを保存しており、
    上記記憶手段に保存されているテストパターンを上記記録紙に印刷するステップと、
    上記記録紙に印刷されたテストパターンの画像データが入力されるステップと、
    上記入力手段より入力された画像データに基づいて上記液体の着弾位置のずれを算出するステップと、
    上記着弾位置のずれ量のデータに基づいた上記補正データに基づいて上記一対の圧力発生素子に異なるエネルギ量のエネルギを供給するステップとを有する請求項8記載の補正方法。
  11. 上記入力手段より入力された画像データに基づいて上記液体の着弾位置のずれを算出するステップは、
    上記入力手段より入力されたテストパターンの画像データより理想直線を算出するステップと、
    上記算出した理想直線に対する印刷されたテストパターンのずれ量を算出するステップとを有する請求項10記載の補正方法。
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