JP4262871B2 - 圧力容器の内部情報検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力容器内の温度や圧力等の情報を検出する内部情報検出装置に関し、さらに詳しくは、取付部分からの圧力の漏洩を防止し、更には圧力容器との干渉を回避することを可能にした圧力容器の内部情報検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ内部の温度や圧力等の情報を検出する装置として、リムを貫通する圧力注入バルブと、タイヤ内部に位置して各種情報を検出する情報検出ユニットとを一体に構成した装置が提案されている。上記情報検出ユニットは温度や圧力等を収集し、そのデータをタイヤ外部に送信するものである。このような内部情報検出装置は、圧力注入バルブを弾性体からなるグロメットを介してリムに取り付けることで、装置全体をリムに対して支持するようになっている。
【0003】
しかしながら、上述の内部情報検出装置をタイヤのように回転可能な圧力容器内に設置して高速回転させると、情報検出ユニットのアンバランスに起因してバルブ廻りに回転モーメントが作用し、その結果、主に取付部分から空気漏れを生じて圧力が減少するという問題があった。また、上記回転モーメントにより情報検出ユニットがバルブ廻りに回転すると、該情報検出ユニットと圧力容器との間に無用な干渉が生じ、装置に悪影響を与える恐れがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取付部分からの圧力の漏洩を防止し、更には圧力容器との干渉を回避することを可能にした圧力容器の内部情報検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の圧力容器の内部情報検出装置は、回転可能な圧力容器の隔壁を貫通する圧力注入バルブと、該圧力容器内に位置して容器内部の情報を検出する情報検出ユニットとを一体に構成し、かつ前記圧力注入バルブを前記圧力容器に対して固定するようにした内部情報検出装置において、前記情報検出ユニットに複数の電子部品を搭載し、これら電子部品の配置に基づいて、前記情報検出ユニットの重心を圧力注入バルブの中心軸及び圧力容器の中心軸を通る中心平面上に配置したことを特徴とするものである。
【0006】
このように電子部品の配置に基づいて情報検出ユニットの重心を圧力注入バルブの中心軸及び圧力容器の中心軸を通る中心平面上に配置し、該中心平面の両側でバランスの取れた装置を構成するので、圧力容器が回転する時の遠心力により発生する回転モーメントを打ち消すことができる。従って、内部情報検出装置の取付部分からの圧力の漏洩を防止し、更には情報検出ユニットが圧力容器に対して干渉することを回避できる。
【0007】
より具体的には、複数の電子部品が電池、センサ用基板及び送信機用基板を含むとき、前記中心平面の位置に最重量物である電池を配置すると共に、該中心平面で区分される片側の領域にセンサ用基板を配置し、該中心平面で区分される反対側の領域に送信機用基板を配置すると良い。或いは、前記中心平面で区分される片側の領域に最重量物である電池を配置すると共に、該中心平面で区分される反対側の領域にセンサ用基板及び送信機用基板を配置すると良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態からなる圧力容器の内部情報検出装置を示し、図2及び図3はその取付状態を示すものである。本実施形態は、回転可能な圧力容器がホイールのリムと空気入りタイヤとから構成される場合である。この場合、リムが内部情報検出装置を装着すべき圧力容器の隔壁に相当する。
【0010】
図1に示すように、内部情報検出装置1は、リムを貫通する筒状の圧力注入バルブ2と、タイヤ気室内に位置してタイヤ内部の情報を検出する情報検出ユニット3とを一体化した構成になっている。圧力注入バルブ2は筒内に逆止弁を備え、弁解除時以外はタイヤ外部から内部への圧力注入だけを許容するようになっている。一方、情報検出ユニット3には、電子部品として、電池4と、空気圧センサ及び温度センサを備えたセンサ用基板5と、送信機を備えた送信機用基板6とが搭載されている。この情報検出ユニット3は、空気圧センサでタイヤ空気圧を測定すると共に、温度センサでタイヤ内の温度を測定し、その測定結果をタイヤ外部へ自動的に送信するようになっている。
【0011】
図2及び図3に示すように、リム7のタイヤ径方向に延びる側壁部には不図示の貫通孔が形成されており、この貫通孔に圧力注入バルブ2を挿入するようになっている。圧力注入バルブ2の外周側には、リム7を挟んで、弾性体グロメット8と硬質グロメット9とが嵌め込まれ、圧力注入バルブ2に螺合するナット10を締め付けることにより、リム7に対して圧力注入バルブ2を固定するようになっている。空気入りタイヤTのビード部はリム7のフランジFに沿って装着され、該リム7の外周側にタイヤ気室11が形成されるようになっている。
【0012】
ここで、図1に示す圧力注入バルブ2の中心軸A1 及び図2に示すリム7の中心軸A2 を通る平面を情報検出ユニット3の中心平面Pとしたとき、情報検出ユニット3の重心Gは中心平面P上に配置されている。本実施形態では、中心平面Pの位置に最重量物である電池4を配置すると共に、中心平面Pで区分される片側の領域にセンサ用基板5を配置し、中心平面Pで区分される反対側の領域に送信機用基板6を配置することで、情報検出ユニット3の重心Gを中心平面P上に設定している。
【0013】
このように情報検出ユニット3の重心Gを中心平面P上に配置して装置全体のバランスを適正化することにより、タイヤが回転する時の遠心力により発生する回転モーメントを打ち消すことができる。従って、内部情報検出装置1の取付部分からの圧力の漏洩を防止することができる。また、情報検出ユニット3がバルブ廻りに変位し難いので、情報検出ユニット3とリム7との干渉を回避することができる。
【0014】
図4は本発明の他の実施形態からなる圧力容器の内部情報検出装置を示すものである。本実施形態は上記実施形態と比べて情報検出ユニットにおける電子部品の配置だけが異なるものであるので、同一部分には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0015】
図4において、情報検出ユニット3には、電子部品として、電池4と、空気圧センサ、温度センサ及び送信機を備えたセンサ・送信機用基板15とが搭載されている。本実施形態では、中心平面Pで区分される片側の領域に最重量物である電池4を配置すると共に、中心平面Pで区分される反対側の領域にセンサ・送信機用基板15を配置することで、情報検出ユニット3の重心Gを中心平面P上に設定している。勿論、前述の実施形態と同様に、センサ用基板5及び送信機用基板6を個別に設け、これらを電池4とは反対側の領域に配置しても良い。
【0016】
上述した実施形態では回転可能な圧力容器がホイールのリムと空気入りタイヤとから構成される場合について説明したが、本発明は温度や圧力等の管理を必要とする回転可能な各種の圧力容器に適用することができる。また、検出すべき内部情報は特に限定されるものではなく、温度や圧力のほか、湿度等を挙げることができる。
【0017】
【実施例】
リムを貫通する圧力注入バルブと、タイヤ気室内に位置してタイヤ内部の情報を検出する情報検出ユニットとを一体に構成したタイヤ内部情報検出装置において、その情報検出ユニットにおける電子部品の配置だけを種々異ならせた本発明の実施例1〜2と従来例をそれぞれホイールのリムに設置した。
【0018】
実施例1:
図1に示すように、中心平面Pの位置に電池を配置すると共に、該中心平面Pで区分される片側の領域にセンサ用基板を配置し、該中心平面Pで区分される反対側の領域に送信機用基板を配置することにより、情報検出ユニットの重心Gを中心平面P上に配置した。
【0019】
実施例2:
図4に示すように、中心平面Pで区分される片側の領域に電池を配置すると共に、該中心平面Pで区分される反対側の領域にセンサ・送信機用基板を配置することにより、情報検出ユニットの重心Gを中心平面P上に配置した。
【0020】
従来例:
電池、センサ用基板及び送信機用基板を無作為に配置し、情報検出ユニットの重心Gを中心平面Pから15mmずれた位置に配置した。
【0021】
これら実施例1〜2及び従来例の内部情報検出装置を備えたホイールに空気入りタイヤを装着し、その初期内圧を220kPaに設定し、120km/hの速度で80時間走行し、約9600km走行した後、再び内圧を測定し、その結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
この表1から明らかなように、実施例1〜2では走行後において圧力低下を生じていなかった。一方、従来例では走行後において内圧が205kPaまで減少していた。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、回転可能な圧力容器の隔壁を貫通する圧力注入バルブと、該圧力容器内に位置して容器内部の情報を検出する情報検出ユニットとを一体に構成し、かつ圧力注入バルブを圧力容器に対して固定するようにした内部情報検出装置において、情報検出ユニットに複数の電子部品を搭載し、これら電子部品の配置に基づいて、情報検出ユニットの重心を圧力注入バルブの中心軸及び圧力容器の中心軸を通る中心平面上に配置したから、内部情報検出装置の取付部分からの圧力の漏洩を防止し、更には情報検出ユニットと圧力容器との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる圧力容器の内部情報検出装置を示す平面図である。
【図2】本発明の内部情報検出装置の取付状態を示す一部切り欠き正面図である。
【図3】本発明の内部情報検出装置の取付状態を示す一部切り欠き側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態からなる圧力容器の内部情報検出装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 内部情報検出装置
2 圧力注入バルブ
3 情報検出ユニット
4 電池
5 センサ用基板
6 送信機用基板
7 リム
8 弾性体グロメット
9 硬質グロメット
10 ナット
11 タイヤ気室
15 センサ・送信機用基板
A1 圧力注入バルブの中心軸
A2 リムの中心軸
P 中心平面
G 重心
Claims (3)
- 回転可能な圧力容器の隔壁を貫通する圧力注入バルブと、該圧力容器内に位置して容器内部の情報を検出する情報検出ユニットとを一体に構成し、かつ前記圧力注入バルブを前記圧力容器に対して固定するようにした内部情報検出装置において、前記情報検出ユニットに複数の電子部品を搭載し、これら電子部品の配置に基づいて、前記情報検出ユニットの重心を圧力注入バルブの中心軸及び圧力容器の中心軸を通る中心平面上に配置した圧力容器の内部情報検出装置。
- 前記複数の電子部品が電池、センサ用基板及び送信機用基板を含み、前記中心平面の位置に電池を配置すると共に、該中心平面で区分される片側の領域にセンサ用基板を配置し、該中心平面で区分される反対側の領域に送信機用基板を配置した請求項1に記載の圧力容器の内部情報検出装置。
- 前記複数の電子部品が電池、センサ用基板及び送信機用基板を含み、前記中心平面で区分される片側の領域に電池を配置すると共に、該中心平面で区分される反対側の領域にセンサ用基板及び送信機用基板を配置した請求項1に記載の圧力容器の内部情報検出装置。
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