JP4262476B2 - 金型清掃用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品封止用射出成形用金型やトランスファー成形用金型表面を清掃する金型清掃用樹脂組成物に関し、多種多様の汚染物質に対して、良好な清掃性を示す金型清掃用樹脂組成物に関する。
従来、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂による集積回路等(以下IC・LSIと略記する)の封止成形物の成形を長時間続けると、金型内部表面が汚れ、そのまま連続して成形を続けると、成形品の表面が汚れたり、成形品が金型に付着して成形作業が続けられなくなる場合が多々あった。そのため、金型を定期的に清掃する必要があり、成形材料数百ショット成形する毎に数ショットの割合で金型清掃用樹脂を成形して金型清掃を行う方法が提案されている。
例えば、特公昭52−788号公報には、「硬化性樹脂成形材料(但しアミノ系樹脂成形材料を除く)の成形時における金型表面の汚れをアミノ系樹脂を主体とする材料で成形することによって、清掃する方法」が提案され、アミノ系樹脂、有機質基材及び/又は無機質基材、離型剤からなる金型清掃用樹脂組成物が開示されている。また、特公昭64−10162号公報には、アミノ系樹脂とフェノール樹脂との共縮合樹脂及び新モース硬度6〜15の鉱物性粉体を含有してなる金型清掃用樹脂組成物が開示されている。
近年、IC・LSI等を封止する熱硬化性樹脂成形材料は、その要求特性によって組成を変える必要があるため、多種類のものが用いられており、従って、成形の繰り返しにより発生する金型汚染の状態及び汚染物の成分も多種多様である。これらの中でも、従来から使用されているノボラック系のエポキシ樹脂に代わって、ビフェニル系エポキシ樹脂、多官能系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂を主成分として使用してなる成形材料を用いて成形を繰り返した際の金型汚染物は、金型表面に対する焼付けがひどく、特にビフェニル系エポキシ樹脂や多官能系エポキシ樹脂の汚れはひどく、従来提供されている上記の金型清掃用樹脂組成物では、金型の汚れを完全に除去するために必要な成形回数が著しく増大しており、IC・LSI等の生産性を大幅に低下させるという問題を生じている。
金型上の汚れが除去し難いという現象は、クリーニングの機構から考えると、金型清掃用樹脂組成物と汚れが結合する力よりも汚れと金型が結合する力の方が強いということを意味している。即ち、金型と汚れとの界面の結合力が高くなったか、あるいは金型清掃用樹脂成形物と汚れとの界面の結合力が弱くなったかの何れかの理由によりクリーニング性の低下を生じている。これらの要因の少なくとも一方、好ましくは両方を改善することによりクリーニング性能を向上させることが可能となる。
上記のクリーニング性能を低下させる要因を改善するための方法としては、金型清掃用樹脂成形物の強度を向上させる、金型清掃用樹脂成形物のモジュラスを向上させる、金型清掃用樹脂成形物と汚れとの接着力を向上させる等の方法が考えられる。
本発明の目的は、著しい金型汚れでも金型清掃の作業性を高めることができるとともに、多種多様の汚染成分をも清掃できる金型清掃用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、近年、エポキシ樹脂として多用されているビフェニル系エポキシ樹脂、多官能系エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂を主成分とする成形材料を用いた成形の繰り返しにより形成された金型表面の汚染物質を効果的に除去するために、種々検討した結果、特定の繊維状無機化合物を金型清掃用メラミン系樹脂組成物に配合することにより、汚染物への接着力が高まり、従来提供されている上記の金型清掃用樹脂組成物に比べて、必要な成形回数が増大することなく、汚染物質を除去できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、硬化性樹脂成形材料の成形時、金型表面の汚れを取り除く金型清掃用樹脂組成物において、金型清掃用樹脂としてメラミン樹脂を含有し、且つ、平均繊維長5〜30μm、平均繊維径0.1〜1.0μm及びアスペクト比10〜60の繊維状無機化合物を、該金型清掃用樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有することを特徴とする金型清掃用樹脂組成物を提供するものである。
以下本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明で用いられるメラミン樹脂は、公知の方法により製造することができる。例えば、ホルムアルデヒドとメラミンクリスタルとをモル比1:1〜3:1、有利には1.5:1〜2:1で水溶液中で反応させて初期縮合物水溶液を製造する。メラミンクリスタル濃度20〜60%、反応温度70〜100℃、弱アルカリ性で反応させることができ、10〜100分間で反応は完了する。
本発明で用いられるメラミン樹脂としては、上記のように公知の方法により製造したものでもよく、また市販のメラミン樹脂を用いることもできる。
なお、本発明で用いられるメラミン樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、メラミンの一部を、メラミン及びホルムアルデヒドと共縮合可能な他の化合物、例えば尿素、ベンゾグアナミン、フェノール等で置き換えることができる。このような化合物の使用量は、メラミン100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
また、前記ホルムアルデヒドは、その一部を、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド以外のアルデヒド成分、例えばアセトアルデヒド等の脂肪族アルデヒド類;ベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類;フルフラール;その他「メラミン、ホルムアルデヒド及び上記の共縮合可能な他の化合物と反応し得るアルデヒド化合物」によって置き換えることができる。このような化合物の使用量は、ホルムアルデヒド100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物には、メラミン樹脂の他に、該メラミン樹脂とブレンド可能な副次量の他の樹脂類を、本発明の効果に悪影響を与えない量で配合することができる。このような樹脂類としては、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ゴム類等を例示できる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、前記のメラミン樹脂及び繊維状無機化合物を含有することにより、汚れ成分等との接着力が向上し、優れたクリーニング効果を示す。
上記繊維状無機化合物の例としては、アルボレックスY、アルボレックスM20(以上、四国化成工業株式会社製)、ティスモ−D、ティスモ−L(以上、大塚化学株式会社製)、USB−SN−WA、モスハイジ(以上、宇部興産株式会社製)等が挙げられ、これらの中でもアルボレックスYが好適に用いられるが、平均繊維長5〜30μm、平均繊維径0.1〜1.0μm及び、アスペクト比が10〜60である繊維状無機化合物であれば使用可能である。
また、上記繊維状無機化合物にエポキシシラン系、アミノシラン系、メタクリロキシシラン系等や各種樹脂による表面処理を施すことにより、これらの効果をさらに高めることが可能となる。上記の表面処理を施した繊維状無機化合物の例としては、アルボレックスYS3A、アルボレックスYS2B、アルボレックスYS4(以上、四国化成工業株式会社製)、ティスモ−D101、ティスモ−D102(以上、大塚化学株式会社製)等が挙げられる。
上記繊維状無機化合物の含有量は、金型清掃用樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。上記繊維状無機化合物の含有量が1重量部未満では、清掃効果に乏しく、30重量部超では、金型清掃用樹脂組成物の流動性が悪くなる上、該繊維状無機化合物は高価であるので経済的にも得策ではない。
本発明の金型清掃用樹脂組成物には、パルプを含有させてもよい。該パルプとしては、藁パルプ、竹パルプ、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)等が使用され、また化学パルプ、機械パルプのいずれを使用してもよい。
また、上記パルプとして、メラミン系樹脂で含浸されたパルプ(メラミン系樹脂含浸パルプ)を用いてもよい。
上記メラミン系樹脂としては、メラミン樹脂、メラミン−フェノール共縮合物又はメラミン−ユリア共縮合物等が用いられる。該メラミン−フェノール共縮合物は、メラミン等のトリアジン類、フェノール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類等から共縮合されてなるものであり、該メラミン−ユリア共縮合樹脂は、メラミン等のトリアジン類、ユリア類、アルデヒド類から共縮合されてなるものである。
上記メラミン系樹脂は水溶液の状態で使用するのが好ましく、例えば、上記メラミン系樹脂含浸パルプは、メラミン系樹脂水溶液をパルプに含浸させた後に乾燥して調製される。
また、上記パルプの一部又は全部を粉末パルプに代えてもよく、そうすることにより流動性を向上させることができる。
上記パルプのサイズは、特に限定されないが、一般には5〜1000μm、好ましくは10〜200μm程度がよい。
また、上記パルプの含有量は、金型清掃用樹脂100重量部に対して、一般には5〜70重量部、好ましくは20〜60重量部である。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物には、鉱物質粉体を含有させてもよい。該鉱物質粉体としては、例えば、コランダム、エメリー、ざくろ石、ケイ石等の天然材及びケイ素、鉄、チタン、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、クロム、ホウ素等の酸化物もしくは炭化物が好ましく、これらの酸化物及び炭化物としては、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素等を挙げることができる。
上記鉱物質粉体は、硬度が新モース硬度6〜15であるものが好ましい。
上記鉱物質粉体の粒度は特に限定されるわけではないが、一般に#100〜#4000、好ましくは#100〜2000、さらに好ましくは#100〜#1000であるのがよい。#4000より粒度が小さくなると清掃効果が悪くなり、取扱い時粉塵が発生し作業環境が悪化する等の欠点が生じやすく、#100より粒度が大きくなると金型の損傷、清掃の不均一等の欠点が生じ易い。
上記鉱物質粉体の含有量は、特に限定されるわけではないが、金型清掃用樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは10〜30重量部である。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物には、滑剤を含有させることができる。該滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛等の金属石鹸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ブチルステアレート、ドデシルステアレート等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、ヒドロキシステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアレート、ソルビタントリオレート等の脂肪酸部分エステル類、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド類等が挙げられる。金型清掃性を良好に保つため、上記滑剤の含有量は、金型清掃用樹脂組成物100重量部に対して、1.5重量部以下、好ましくは1重量部以下にするのがよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物には、上記鉱物質粉体以外の無機もしくは有機充填剤、着色剤、硬化触媒、上記滑剤以外の滑剤、抗酸化剤等の他の添加剤を含有させてもよい。そのような添加剤の具体例としては、例えば、木粉、ビニロン繊維、ガラス粉、ガラス繊維、無処理炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛の如き無機もしくは有機充填剤;例えば、酸化チタン、カーボンブラック、亜鉛華、カドミウムイエロー、ベンガラ等の無機顔料、フタロシアニン系、アゾ系、ジアゾ系等の有機顔料、ベンゾオキサゾール系、ナフトトリアゾール系、コーマリン系等の蛍光顔料、アンスラキノン系、インジコ系、アゾ系等の染料の如き着色剤;例えば、無水フタル酸、蓚酸、スルファミン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、塩酸、硫酸等の無機酸、これら酸類とトリエチルアミン、トリエタノールアミン、β−ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等との塩類の如き硬化触媒;例えばステアリン酸亜鉛、ステアロアミド、メチロールステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、パラトルエンスルホン酸アミド、セチルアルコール、パラフィン、シリコンオイルの如き滑剤;例えばナフチルアミン系抗酸化剤、p−フェニレンジアミン系抗酸化剤、チオビスフェノール系抗酸化剤の如き抗酸化剤等を挙げることができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、メラミン系樹脂含浸パルプ、粒度#100〜#4000の鉱物質粉体、硬化触媒及び滑剤から選択される1種以上を含有することが好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物の好ましい配合例の一例を下記に示す。
(A)メラミン樹脂100重量部
(B)パルプ5〜70重量部
(C)粒度#100〜#4000の鉱物質粉体10〜90重量部
(D)平均繊維長5〜30μm、平均繊維径0.1〜1.0μm及びアスペクト比10〜60の繊維状無機化合物1〜30重量部
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製に際しては、メラミン樹脂、繊維状無機化合物、所望により他の副次量の樹脂、パルプ、鉱物質粉体、その他の添加剤類を均一に混合し得る任意の手段が採用できる。例えばニーダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ロール練り、らいかい機、タンブラー等を例示できる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物を用いて金型を清掃できる硬化性樹脂成形材料としては、例えば、エポキシ樹脂成形材料、フェノール樹脂成形材料等が挙げられ、好ましくはエポキシ樹脂成形材料であり、特に半導体封止用エポキシ樹脂成形材料である。また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、該硬化性樹脂成形材料を自動成形する際に使用する金型ならいかなる金型にも使用できるが、一般には鉄、クロム等よりなる金型に好適に適用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1
メラミン346重量部とホルマリン(37%水溶液)522重量部及びフェノール131重量部とを加熱反応し、公知の方法でメラミンフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を作り、得られた樹脂液にパルプ248重量部を加えて混練した後、減圧乾燥させてパルプ含量27%のパルプ混入メラミンフェノール−ホルムアルデヒド樹脂粉末(メラミン系樹脂含浸パルプ)とした。
参考例2
メラミン480重量部とホルマリン(37%水溶液)522重量部とを加熱反応し、公知の方法でメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を作り、得られた樹脂液にパルプ248重量部を加えて混練した後、減圧乾燥させてパルプ含量27%のパルプ混入メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粉末(メラミン系樹脂含浸パルプ)とした。
実施例1
参考例1で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ30重量部、市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレジンS−176)50重量部、粒度#200の硅石粉20重量部、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)5重量部、安息香酸0.2重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量部をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Aとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−1に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Aは良好な清掃効果を示した。
実施例2
参考例1で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ1重量部、参考例2で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ29重量部、市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレジンS−176)50重量部、粒度#200の硅石粉20重量部、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)5重量部、安息香酸0.2重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量部をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Bとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−1に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Bは良好な清掃効果を示した。
実施例3
参考例2で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ30重量部、市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレンS−176)50重量部、粒度#200の硅石粉20重量部、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)5重量部、安息香酸0.2重量部、ステアリン酸亜鉛0.5重量部及びエチレンビスステアリン酸アミド0.3重量部をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Cとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−1に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Cは良好な清掃効果を示した。
実施例4
実施例1においてホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)の量を20重量部としたものを金型清掃用樹脂組成物Dとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−1に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Dは良好な清掃効果を示した。
比較例1
実施例1においてホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)の量を0重量部としたものを金型清掃用樹脂組成物Eとした。
比較例2
実施例1においてホウ酸アルミニウムの種類をアルボレックスYS4(四国化成工業株式会社製)から中心粒径8μmの粒子状ホウ酸アルミニウムであるアルボライトPC08(四国化成工業株式会社製)に変更したものを金型清掃用樹脂組成物Fとした。
比較例3
実施例3においてホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)の量を0重量部としたものを金型清掃用樹脂組成物Gとした。
比較例4
実施例1においてホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)の量を40重量部としたものを金型清掃用樹脂組成物Hとした。
A〜Hの金型清掃用樹脂組成物を用いて下記の試験方法により金型清掃試験を実施した結果を表−1に記す。
試験方法
市販のビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(日立化成株式会社製 CEL−9200XU)を用い、TQFPの金型で500ショットの成形により金型の汚れを実現した。この汚れた金型を用いて、金型表面がきれいに清掃されるまで金型清掃用樹脂組成物を繰り返し成形することにより評価を行った。
Figure 0004262476
参考例3
メラミン346重量部とホルマリン(37%水溶液)522重量部とを加熱反応し、公知の方法でメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を作り、得られた樹脂液にパルプ95重量部を加えて混練した後、減圧乾燥させてパルプ含量15%のパルプ混入メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粉末(メラミン系樹脂含浸パルプ)を得た。
参考例4
メラミン346重量部とホルマリン(37%水溶液)522重量部及びフェノール131重量部とを加熱反応し、公知の方法でメラミンホルムアルデヒド−フェノール樹脂を作り、得られた樹脂液にパルプ120重量部を加えて混練した後、減圧乾燥させてパルプ含量15%のパルプ混入メラミンホルムアルデヒド−フェノール樹脂粉末(メラミン系樹脂含浸パルプ)を得た。
実施例5
参考例3で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ100重量部(パルプ含量15重量部)、市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレジンS−176)100重量部、粉末パルプ8重量部(メラミン樹脂100重量部に対するパルプ量:12.4重量部)、粒度#200の珪石粉51重量部(メラミン樹脂100重量部に対する珪石粉量:27.6重量部)、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)10重量部(メラミン樹脂100重量部に対するホウ酸アルミニウム量:5.4重量部)、安息香酸0.2重量部(メラミン樹脂100重量部に対する安息香酸量:0.1重量部)、ステアリン酸亜鉛1.5重量部(メラミン樹脂100重量部に対するステアリン酸亜鉛量:0.8重量部)及びエチレンビスステアリン酸アミド0.8重量部(メラミン樹脂100重量部に対するエチレンビスステアリン酸量:0.4重量部)をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Iとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−2に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Iは良好な清掃効果を示した。
実施例6
参考例3で得られたメラミン系樹脂含浸パルプ40重量部(パルプ含量6重量部)、市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレジンS−176)110重量部、粉末パルプ12重量部(メラミン樹脂100重量部に対するパルプ量:12.5重量部)、粒度#200の珪石粉40重量部(メラミン樹脂100重量部に対する珪石粉量:27.8重量部)、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)15重量部(メラミン樹脂100重量部に対するホウ酸アルミニウム量:10.4重量部)、安息香酸0.2重量部、ステアリン酸亜鉛1.2重量部及びエチレンビスステアリン酸アミド0.6重量部をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Jとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−2に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Jは良好な清掃効果を示した。
実施例7
市販のメラミン樹脂(日本カーバイド工業株式会社製 ニカレジンS−176)100重量部、粉末パルプ30重量部、粒度#200の珪石粉28重量部、ホウ酸アルミニウム(四国化成工業株式会社製 アルボレックスYS4)5重量部、安息香酸0.1重量部、ステアリン酸亜鉛0.8重量部及びエチレンビスステアリン酸アミド0.4重量部をボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Kとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−2に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Kは良好な清掃効果を示した。
実施例8
実施例5における参考例3で得られたメラミン系樹脂含浸パルプに代えて、参考例4で得られたパルプ含浸樹脂粉末を用いる以外は実施例5と同様にして、ボールミルにて混合粉砕したものを金型清掃用樹脂組成物Lとした。
得られた金型清掃用樹脂組成物の特性値及び清掃効果の試験結果を表−2に記す。試験結果から判るように、金型清掃用樹脂組成物Lは良好な清掃効果を示した。
I〜Lの金型清掃用樹脂組成物を用いて、前記のA〜Hの金型清掃用樹脂組成物の場合と同様の試験方法により金型清掃試験を実施した結果を表−2に記す。
Figure 0004262476
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、著しい金型汚れでも金型清掃の作業性を高めることができるとともに、多種多様の汚染成分をも清掃できる。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂成形材料の成形時、金型表面の汚れを取り除く金型清掃用樹脂組成物において、金型清掃用樹脂としてメラミン樹脂を含有し、且つ、平均繊維長5〜30μm、平均繊維径0.1〜1.0μm及びアスペクト比10〜60の繊維状無機化合物を、該金型清掃用樹脂100重量部に対して1〜30重量部含有することを特徴とする金型清掃用樹脂組成物。
  2. 該繊維状無機化合物が、表面処理されたものである請求項1記載の金型清掃用樹脂組成物。
  3. さらに、メラミン系樹脂含浸パルプ、粒度#100〜#4000の鉱物質粉体、硬化触媒及び滑剤から選択される1種以上を含有する請求項1記載の金型清掃用樹脂組成物。
  4. 硬化性樹脂成形材料の成形時、金型表面の汚れを取り除く金型清掃用樹脂組成物において、下記(A)〜(D)を含有することを特徴とする金型清掃用樹脂組成物。
    (A)メラミン樹脂100重量部
    (B)パルプ5〜70重量部
    (C)粒度#100〜#4000の鉱物質粉体10〜90重量部
    (D)平均繊維長5〜30μm、平均繊維径0.1〜1.0μm及びアスペクト比10〜60の繊維状無機化合物1〜30重量部
  5. 該パルプの一部又は全部が、粉末パルプである請求項記載の金型清掃用樹脂組成物。
  6. 該パルプが、メラミン系樹脂含浸パルプを含むものである請求項記載の金型清掃用樹脂組成物。
  7. 該繊維状無機化合物が、表面処理されたものである請求項記載の金型清掃用樹脂組成物。
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