JP4261851B2 - 吸入装置および該吸入装置の制御方法 - Google Patents
吸入装置および該吸入装置の制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体を液滴として吐出し利用者に吸入させる装置に関するものである。さらに詳しくは利用者が携帯して所持するように構成され、薬剤を液滴として吐出し吸入させる装置に関し、健康管理のための吸入装置を好適に使用するための手法である。
【0002】
【背景技術】
近年、医学及び科学の進歩により、平均寿命が延びて高齢化社会となりつつある。その反面、食生活や生活環境の変化、環境汚染、ウイルスや菌などによる新たな病気や感染症が見つかり、人々の健康に対する不安は増えている。特に、先進国と呼ばれる国々においては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の患者の増加が問題となっている。
【0003】
一方、医療機関の数はこのような患者の増加に対応できるほど増えておらず、通院可能な医療機関がない地域もあるため、政策を含めた今後の対応が懸念されている。
【0004】
このため、高齢者あるいは生活習慣病や慢性疾患の患者に対して、通院せずに医師の診断を受けたり日常的な健康管理が行える、遠隔医療システムや在宅健康管理システムが提案されている。
【0005】
これらのシステムの代表的な構成は、対称となる個人が自宅などに端末を設置し、インターネットなどの通信回線を介して医療機関又はセンターにあるサーバに接続し、端末から問診に対する回答や血圧、体温等の測定値を入力・送信し、サーバに収集されたデータを看護婦や医師がチェックして、異常の有無やメッセージを返送するものである。
【0006】
このような医療システムを運用するためには、各利用者の診療記録(カルテ)を電子的に記録した電子カルテと、電子カルテのデータ及び各種測定値等を蓄積する医療データベースとが必要となるが、この電子カルテ及び医療データベースについては、様々な方面から提案がなされている。
【0007】
特に、電子カルテは、現在問題となっている医療ミスや投薬ミスを防止するのに有効であり、またその内容を患者や家族にも公開することで患者側の「知る権利」を満たすものとして大きな関心が寄せられている。
【0008】
また、現在増加傾向にある糖尿病の患者のうち、I型と呼ばれるインスリン依存型糖尿病の患者は、膵臓からインスリンが分泌されないため、定期的にインスリンを投与する必要がある。インスリンの投与は現在皮下注射によって行われているため、利用者の肉体的・精神的負担は大きい。
【0009】
このような利用者の負担を軽減するために、針が細くあまり痛みを感じないペン型の注射器も開発されているが、I型糖尿病の患者は、インスリンを定期的に投与する必要がある以外は健常者と同様に働いている場合が多いので、ペン型であっても人前で注射を打つことには精神的に抵抗があるため、適切な時間に投与を行うのが困難となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような、患者の痛みを伴わずに薬剤投与が可能であり、さらに医者から提供される処方箋等のデータを元に患者に適切な薬剤投与がなされる装置の開発が行われている。従来のように薬液投与の際、注射器等の医療器具を使う必要がないので、専門知識がなくとも容易に操作が可能となるばかりか、注射針による利用者への苦痛もなくすことができる。
【0011】
これは利用者が携帯して所持するように構成された、薬剤を微小液滴として吐出し吸入させる装置であり、上記データを活用する携帯端末としての役割も兼ねているものである。
【0012】
利用者が携帯可能である点を特徴とするこのような薬剤吐出装置は、利用環境を問わず常時安定した薬剤吐出が行われること、すなわち、薬液吐出部の異常動作に対する対策に、より一層の改善が望まれている。
【0013】
このような液体吐出部の異常動作は、吐出口付近の薬剤固着等、ノズルの目詰まりにより吐出できないことに起因する場合が多い。さらに、インスリンを注射により人体に投与するのと同等な効果を薬剤吐出装置からの薬剤吸引で得るためには、10ミクロン以下の液滴吐出が必要であり、必然的に吐出口も従来の吐出装置よりも小さくする必要がある。そのため、その薬剤処方、目詰まり防止のための技術的課題も多く、結果として薬剤吐出装置の信頼性を低くする要因となっていた。
【0014】
さらに、従来提案されている医療用システムで使用する端末として上記のような薬剤吐出装置を利用した場合において、上記吐出異常は薬剤吐出の履歴を誤って管理してしまうことになる。本来のデータベースを効果的に活用することの障害となるばかりか、利用者の症状が悪化したり、容体が急変した場合に対応できないという問題がある。
【0015】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、個々の利用者に対して、適切な液体吐出制御を行うことのできる信頼性の高い吸入装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明に係る吸入装置は、液体を液滴として吐出し利用者へ吸入させるための吸入装置であって、前記装置は、前記液体を吐出するための吐出部と、前記吐出部から前記液体を吐出させるための駆動手段と、前記液滴を検知するための検知手段と、を備え、前記駆動手段により、前記吐出部が大気に連通した状態で、前記利用者に吸入させるための吐出動作を行い、前記吐出部が大気に連通していない状態で、前記吐出動作の吐出よりも少ない量の吐出を行う少量吐出動作を行い、前記検知手段により、前記少量吐出動作によって吐出された前記液滴を検知することを特徴とする。
【0017】
前記装置は、前記駆動手段の前記吐出動作と前記少量吐出動作とを制御する制御手段をさらに有するとよい。
【0019】
少量吐出動作が、定期的に行われるとよい。
【0020】
少量吐出動作が、装置立ち上げ時、稼動時、終了時等の動作状態にあわせてシーケンス動作することが好ましい。
【0021】
少量吐出動作を検知手段で吐出されないと判断した場合、利用者に直接警告、あるいは前記吸入装置を端末とした所定の回線によって接続される情報管理機関等を通じて、利用者に対応処置を連絡する連絡手段を有すると好ましい。
【0022】
前記の検知手段は半導体センサであり、薬液の吐出を直接モニターすることが好ましい。
【0023】
または、検知手段は温度もしくは湿度センサーであり、薬液の吐出により前記吸入装置内の温度、湿度上昇をモニターしてもよい。
【0024】
上述の吐出動作、少量吐出動作、検知手段は、吸入装置の稼動シーケンス内において逐次メモリーに履歴保存され、吸入装置を端末とした所定の回線によって接続される情報管理機関等を通じて、利用者の電子カルテ情報等を更新することが好ましい。
【0025】
また、上述の吸入装置は、携帯して所持するように構成され、かつ携帯端末として、所定の回線によって接続される情報管理機関等を通じて、利用者の電子カルテ情報等を更新するものであるのが好ましい。
【0026】
また、上記制御手段により、利用者の吸入のプロファイルに応じて液体を吐出を行うことが好ましい。
【0027】
また、例えば、利用者が慢性疾患等を煩っており定期的に薬剤を投与する必要がある場合、その薬剤の投与及び管理は薬剤吐出装置の信頼性と利用者の適切な操作に委ねられており、薬液吐出ユニットを含む装置の異常動作、消耗品の物理的な装着ミスを何らかの形で利用者に認識させる機能を備えることが望ましい。
【0028】
また、吸入用の液体を液滴として吐出部から吐出させるための吐出装置の制御方法であって、前記吐出部が大気と連通した状態で、前記液体の吐出を行う吐出ステップと、前記吐出部が大気と連通していない状態で、前記吐出ステップよりも少ない量の吐出を行う少量吐出ステップと、前記少量吐出ステップにより吐出された液滴の検知を行う検知ステップと、を有することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る装置および方法によれば、異常吐出動作に対する対処がなされた信頼性の高い吸入装置を提供することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0031】
本発明に係る吸入装置は、少なくとも前記利用者に吸入させるための吐出動作、および前記吸入させるための吐出よりも少ない量の少量吐出動作が行われることを特徴とする。
【0032】
吸入させるための動作は、利用者の吸入動作に応じて行われる吐出動作であったり、利用者の吸入要求動作に応じて行われる吐出動作であったりする。
【0033】
該動作を制御する制御手段を有することが好ましい。
【0034】
本発明における少量吐出動作は、利用者が吸入装置によって吸入を行っている状態とは別の状態において、吐出口の状態を良好に改善、または保持するための少量の予備的な吐出動作に用いられる。
【0035】
このような少量吐出動作には、例えば(1)利用者の使用不使用にかかわらず、定期的に行われる動作(2)装置の立ち上げ時、稼動時、終了時等の動作に応じて行われる動作、など、利用者に吸入させる目的以外の吐出動作が挙げられる。
【0036】
以下に、本発明に係る吸入装置の実施形態として、薬剤を含む液体(薬液)を吐出する薬剤吐出装置の構成、およびその吐出制御方法について詳細に説明する。
【0037】
なお、ここでは本発明の薬剤吐出装置の実施形態として、サーマルインクジェットヘッドユニットを薬剤吐出部として用いた例に挙げて説明するが、ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドユニットでも適用可能である。
【0038】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態の医療用薬剤吐出装置の全体構成を示す概念図である。
【0039】
図示されたように、本実施形態は、1のサーマルインクジェットヘッドユニットとその保持部材である2のホルダーを、3のカートリッジケースで覆うように構成される。
【0040】
4は薬剤を吸引導入しやすくするためのマウスピースである。
【0041】
該マウスピースは、利用者が吸引しやすいような形状をしていると好ましい。また、マウスピースの開口部が開閉することによって、装置内が密閉されるようにしてもよい。
【0042】
5はインクジェットヘッドユニットの制御部であり、動作電源ユニット6から供給される電源で駆動される。この制御部により、前述の実使用動作および少量吐出動作を制御する。
【0043】
動作電源ユニットは着脱可能な充電可能なバッテリーであり、5の制御部は6の電源電圧監視もあわせて行う。7は薬剤吐出ボタンであり、利用者情報、5の制御部に記憶された電子カルテ情報等が一致した時、規定量の薬剤吐出がなされるものである。8は本薬剤吐出装置の利用者に、逐次使用に関する情報を表示するディスプレイである。
【0044】
図2は本実施形態の医療用薬剤吐出装置の断面構成図である。11は図1に示したサーマルインクジェットヘッドと電気的接続を達成するフレキシブル基板である。ヘッドの形態にあわせフレキシブルでないプリント基板であっても、TAB形態の基板であってもよい。この基板は3のカートリッジケースに配置された接続基板13と電気的接続を達成し、14の制御回路部に配線される。
制御回路部は、サーマルインクジェットヘッドユニットを動作制御する機能の他に、装置の動作履歴を記憶するメモリ回路、端末装置としての機能を達成する回路を含む。12は薬剤を充填したカートリッジである。12と2のホルダーは着脱可能であってもよい。または薬剤とヘッドユニットが分離できないよう一体型に構成することも可能である。また、1、2および12で構成されるサーマルインクジェットヘッド部は薬剤とともに消耗部品としてもよい。この場合、このユニットに関しての使用状況をモニターすることで適切な交換が利用者によってなされる構成となる。3のカートリッジケースには、ヘッド部が確実に装着できるよう、導入するガイド(図示せず)があり、装着後は5の制御部にて装着されたことを検知し、使用可能な状態であることを利用者に知らせる機能を有する。
【0045】
本薬剤吐出装置は少量吐出するための薬剤を装置内に保持するために、前記のキャップ4がこの機能を兼ねる。前述のようにキャップ4が利用者の吸入導入部を兼ねてもよいし、取り外し可能な構成でもよい。サーマルインクジェットヘッドユニットの吐出口が、大気に直接さらされないことで薬剤の凝集を防ぐ構成が望ましい。利用者の薬剤吐出要求があった場合のみ、キャップ4のシャッター15が開放されている状態となる。この状態は図1、2に示すような、大気とサーマルインクジェットヘッド部を仕切るシャッター15のような構成や、図示しないが、キャップ4をさらに覆うキャップを設けてもよい。シャッター15の開放はシャッター開放スイッチ16の状態をモニターしたり、キャップ4を覆う部材を検知するスイッチ等を設けてもよい。上記シャッター開放スイッチ16は電気的に14の制御回路部にモニターされており、シャッター開放スイッチ16が開放状態でない限り、薬剤吐出ボタン7を押しても薬剤吐出されない構成になっている。
【0046】
[第2の実施形態]
上記説明に関連して、図2に記載の薬剤吐出検知部を設けることにより、更に信頼性の高い薬剤吐出装置を提供できる。第1の実施例は、定期的に少量吐出を行うことで異常吐出をなくすよう制御されていたが、第2の実施例では更に吐出の検知を行うことで利用者にいち早く状況を知らせることが可能である。
【0047】
利用者はこの情報を得て、通常利用が可能な手段を講じることができる。もしくは薬剤吐出装置を端末とした通信回線により、適切な対処方法を得ることも可能である。図示しないが、1のサーマルインクジェットヘッド部の回復を行う別機構により、通常利用が可能な状態に復帰させることも可能である。この際の確認においても、上記薬剤吐出検知部を利用できるものである。図2の9は、半導体投光素子を用いた投光部である。LEDやLD(レーザーダイオード)の使用が望ましい。10は同じく半導体受光素子を用いた受光部である。フォトトランジスタ等を用いた構成が望ましい。この検出手法は薬剤吐出により投受光素子間を通過した時の検知レベルを増幅して検知精度をあげるものである。
【0048】
他に薬剤吐出の際の温度変化を赤外線センサーで検知したり、薬剤雰囲気中のインピーダンス、容量変化を湿度センサーで検知する手法も適用できる。何れにしても、吐出状態を検知することによって薬剤吐出装置の信頼性を高めることができる。
【0049】
また、薬剤をミストとして装置内に吐出する装置構成であるために、キャップのシャッター15でホルダー内を密閉した状態で吐出を行い、該ミストが存在している環境下の湿度を検出することによって吐出の異常の有無を確認することができる。
【0050】
[第3の実施形態]
図3は第1および第2の実施例形態の薬剤吐出装置をさらに携帯性に優れる形状にした例である。
【0051】
本実施例は、前記実施例と同様携帯端末としての機能も有し、電子カルテの情報をデータベースとし、利用者の携帯する薬剤吐出装置へ通信することで適切なタイミングで薬剤吐出を促すことが可能である。これらの通信による薬剤吐出情報は履歴として登録され、電子カルテの更新を行う。
【0052】
薬剤吐出の管理も遠隔地から指示できるので、利用者に対し最適な処置ができるものである。
【0053】
図3(a)は本発明を適用可能な薬剤吐出装置の外観を示す模式図である。前述の実施例と同様の番号で各部品の説明をしている。16は1のサーマルインクジェットヘッド部の大気連通を防ぐシャッター15を開閉するスイッチレバーで、この制御は後に説明する13,14で示す接続基板兼制御回路部に電気的モニターされており、後述のフローチャートに従い吐出制御する。
【0054】
8のディスプレイは利用者に薬剤吐出装置の制御状況を知らせるために、いくつかの情報を表示提供する。例えば6の動作電源ユニットのバッテリー残量表示や、薬剤残量、警告、タイマーカウント等様々な表示が可能である。表示モードは吐出ボタン7の両側に配置された2つのボタンで選択ができる。合計3つのボタンを用いて、表示情報に対し双方向通信も可能である。ボタンの上の情報エリアにファンクションが表示され、それに対応したボタンを押すことで回答することができ、インターフェイスに優れた構成となっている。利用者の状態に合わせて音声ガイド等にも対応できる。また携帯端末としての通信電波強度状態もモニターできる構成となっている。
【0055】
図3(b)はキャップユニットの構成とサーマルインクジェットユニット部の勘合を示す構造模式図である。15のシャッターは16のスイッチレバーの上下移動に連動してクローズオープン動作となる。キャップユニット4にサーマルインクジェットユニットが挿入されると、シャッター15がオープン状態にならない限り大気とヘッド吐出部が連通しない状態ができるため、ヘッド吐出部の乾燥を極力抑えることが可能である。構造的にシャッターが閉じた状態でないとサーマルインクジェットヘッドユニットが挿入できない構造にしてもよい。
【0056】
図3(c)は、図3(b)のキャップユニットとヘッドユニットが勘合した状態から5の制御部(グリップ部)に接続される状態を、6の動作電源ユニットとの接続もあわせて説明した構造模式図である。13,14で示す制御回路基板は、同一平面基板上でヘッドユニット部の端子、キャップスイッチ端子、動作電源ユニット部の端子に電気的接続を可能にする構成である。コネクタ部の構成は、板バネ式の接点であっても通常のコネクタ接続でもよい。また6の動作電源ユニットは、充電式のバッテリーであることが望ましい。充電方法は、専用のバッテリーチャージャーや本体に直接AC充電できる形態であってもよい。
【0057】
また、カーバッテリーアダプタ等を用いる方法もある。後述のフローチャートで、電池切れが元で不慮の事故等を起さないよう電源電圧の低下に関しては十分な余裕を持って検知し、利用者にその情報を伝えるシーケンスが組まれている。利用者は薬剤吐出装置携帯時には予備の動作電源ユニットも携帯するのが望ましい。本発明の薬剤吐出装置は、利用者の使用における自由度を広げるため、操作性だけでなく不慮の事故等にも十分配慮した構成を提供するものである。第2の実施例に述べたような、薬剤吐出を検知する機構を本装置に追加し、信頼性を高めることもできる。本発明が少量吐出や吐出検知する構成を伴っている以上、利用者にとって信頼性の高い、好適な薬剤吐出装置を提供できることはいうまでもない。
【0058】
[第1、第2、および第3の実施形態のメインブロック図およびフローチャート]
図4は、第1、第3の実施例を適用した薬剤吐出装置のメインシーケンスを示すフローチャートである。第1の実施例の場合、通常吐出量以下の少量吐出を定期的に繰り返すシーケンスを特徴とする。フローチャートの定義済み処理は、初期チェック(S102)と通常待機状態の処理(S107)に大きく2つに分かれ、通常待機状態の処理結果を判別し(S108)、ループさせるか終了するかを決定する。また、薬液残量または規定量のチェックを行い(S103)、薬液残量が規定量以下になった場合等に、薬剤の交換を促す警告を行う(S105)。
【0059】
電子カルテ等の情報に従い設定する薬剤の交換のタイミングの警告を通常待機状態の前に実行することで、利用者に合わせた最適な薬剤吐出と交換指示ができるよう工夫されている。各処理の機能については図5と図7に示す。
【0060】
図5は図4のサブルーチンである初期チェック処理を示すフローチャートである。本構成の薬剤吐出装置電源(S101)を投入すると、ディスプレイ8には初期チェック中を示す表示がされる(S201)。薬剤吐出装置の構成上、電源再投入は前回電池切れの可能性を示唆するものである。よって、装置情報として前記14の駆動制御回路内のメモリに履歴を記録(更新)する(S202)。その後長時間吐出させなかった薬剤を正常吐出させるために、立ち上げ時少量吐出を実行する(S203)。この少量吐出駆動は、サーマルインクジェットヘッドユニットの回復に必要な時間、吐出駆動条件が選択され、後に説明する待機状態時の少量吐出よりも長時間行われることが多い。同様に吐出駆動条件も、待機状態時の少量吐出エネルギと比較して大きい場合がある。サーマルインクジェットヘッドユニットの吐出口は非常に小さいため、長時間放置されると薬剤が凝集し吐出口をふさぐ可能性がある。そのために通常の吐出条件よりも大きな吐出エネルギを作用させ、固着した薬剤を除去するためである。
【0061】
図6は図4のサブルーチンである通常待機状態処理(S106)を示すフローチャートである。この処理の中で、最初少量吐出等に必要な吐出エネルギを十分得られるか電源電圧レベルのチェックを行う(S301)。この時の電圧が規定レベル以下の場合、ディスプレイ8に警告表示をし(S302)、バッテリ−交換を利用者に促す。その後ビープ音等で警告し(S303)、履歴をメモリに保存(S304)、電源をオフする(S305)。
【0062】
電源電圧が正常の場合、次にシャッター開放スイッチをモニターする(S306)。この時、シャッターが開放している場合、ディスプレイ8に警告表示をする(S307)。
【0063】
このスイッチが開放を指示している場合、利用者が薬剤吐出の要求をしているか、もしくはシャッター開放のまま放置されたかどちらかである。しかしながら、シャッター開放のままだと薬剤が固着する恐れがあるため、N秒のタイマーを設定(308)し利用者の要求を待つ(S309)。ここでN秒経過しても薬剤吐出ボタン7が押されないことを確認する(S310)と、再びシャッター開放の警告をディスプレイ8に表示し(S311)、警告ビープ音を鳴らす(S312)。利用者がシャッターを閉めれば(S313)シャッター開放スイッチの状態が閉められたと判断され(S314)、警告ビープ音を解除する(S315)。もし、利用者がシャッターを閉めなければ、放置状態と判別され、異常終了となり電源をオフする(S316)。この状態移行は薬剤の固着が予測されるので、前述の初期チェック処理(S102)に移行する。
【0064】
上記シャッター開放状態で薬剤吐出ボタン7が押されると、電子カルテ情報等に従い、利用者の吸引とともに薬剤吐出が行われる(S318)。薬剤吐出後、その履歴が前記14の駆動制御回路内メモリに記録(更新)され(S319)、正常終了として本サブルーチンを終了する。薬剤吐出中は、ディスプレイ8に吐出中の表示がなされる(S315)。シャッターが開放でない場合、本発明の最も特徴的な動作である少量吐出を行うシーケンスに移行する。シャッターが閉じている時は基本的に待機状態であるため、薬剤吐出装置は薬剤の固着が生じない時間範囲内で少量吐出を行う(S322)。この時の薬剤固着が生じない時間をT秒とし、タイマー駆動により時間管理する(S320)。T秒カウントタイマーは薬剤の処方により時間があらかじめ決められており、14の駆動制御回路内メモリーデータとして管理されている。薬剤少量吐出後、その履歴が前記14の駆動制御回路内メモリに記録(更新)され(S323)、正常終了として本サブルーチンを終了する。薬剤少量吐出中は、ディスプレイ8に少量吐出中の表示がなされる(S321)。
【0065】
上記通常待機処理のサブルーチンが終了すると、その返り値をもとにメインシーケンスにて通常待機処理のループ実行するか、異常終了するかを判断する。終了する場合は既に電源がオフされている。本薬剤吐出装置は通常待機状態処理を常にループ実行し、利用者の薬剤吐出要求にいつでも応えられるよう待機している。この処理を実行することで信頼性の高い薬剤吐出装置を提供できるものである。
【0066】
図7は、第2の実施例を適用した薬剤吐出装置のメインシーケンスを示すフローチャートである。第2の実施例の場合、少量吐出を定期的に繰り返す第1の実施例を踏襲し、更に少量吐出および吐出検知を行うシーケンスを特徴とする。吐出検知で異常を来した場合、利用者に警告、サーマルインクジェットヘッドユニット交換、もしくは回復駆動を促すことになる。フローチャートの定義済み処理は、第1の実施例同様初期チェック(S402)と通常待機状態の処理(S408)に大きく2つに分かれ、通常待機状態の処理結果を判別し、ループさせるか終了するかを決定する。この場合も、薬剤の交換のタイミングを電子カルテ等の情報に従い設定する処理を通常待機状態の前に実行することで、利用者に合わせた最適な薬剤吐出と交換指示ができるよう工夫されている。各処理の機能については図8と図9に示す。
【0067】
図8は図7のサブルーチンである初期チェック処理(402)を示すフローチャートである。本構成の薬剤吐出装置電源を投入すると、前記図4のフローチャートと同様、立ち上げ時少量吐出を実行する(S503)。この少量吐出の状態を吐出検知し(S504)、薬剤吐出が正常に行われるかチェックするものである。正常に吐出検知ができれば、本シーケンスは次のサブルーチンに正常終了したことを伝えて移行する(S505)。もし吐出異常が検知されると、その履歴をメモリーに保存し(S506)、吐出異常終了駆動に移行する(S507)。メインシーケンスでは一旦電源オフ作業に移行し、ヘッドユニットの交換、もしくは回復駆動を促すことになる。
【0068】
図9は図7のサブルーチンである通常待機状態処理を示すフローチャートである。この処理の中で全ての吐出駆動まで(S601〜S618、およびS621〜623)は図6のフローチャートと共通である。上記シャッター開放状態で薬剤吐出ボタン7が押されると、電子カルテ情報等に従い、利用者の吸引とともに薬剤吐出が行われる(S618)。この吐出状態を吐出検知し、薬剤吐出が正常に行われるかチェックする(S619)ものである。正常に吐出検知ができれば、本シーケンスは次のサブルーチンに正常終了したことを伝えて移行する。この状態は待機状態として上記駆動を繰り返し行うシーケンスとなる。もし吐出異常が検知されると、その履歴をメモリーに保存(S620)し、吐出異常終了駆動に移行する。メインシーケンスでは一旦電源オフ作業に移行し、ヘッドユニットの交換、もしくは回復駆動を促すことになる。この駆動フローは、シャッター開放スイッチが開放でない場合で説明した少量吐出駆動の場合も同様である。
【0069】
上記通常待機処理のサブルーチンが終了すると、その返り値をもとにメインシーケンスにて通常待機処理のループ実行するか、異常終了するか、吐出検知異常終了するかを判断する。終了する場合は既に電源がオフされている。本薬剤吐出装置は通常待機状態処理を常にループ実行し、利用者の薬剤吐出要求にいつでも応えられるよう待機している。この処理を実行することで信頼性の高い薬剤吐出装置を提供できるものである。
【0070】
[本発明の適用されるデータベースに関する環境の説明]
本薬剤吐出装置の実施形態では、登録される個人に関するデータとして、住所、氏名、生年月日、連絡先、職業、勤務先、等を含む基本データと、ID(国民全てに番号が割り当てられている場合にはその番号、そのようなものがない場合には保険証に記載されている番号等)、暗証番号、パスワードなどの英数字及び、指紋、声紋、掌紋、顔、虹彩、網膜血管パターンなどの生体認証データを含む識別データと、番号、種別、使用記録等を含む健康保険のデータと、診察記録、処方箋、投薬データ、入院記録、病歴や家族の病歴等を含む各個人毎に電子化された診療や処方箋のデータ(電子カルテ)と、健康診断等で得られた測定値のデータとを扱う。また、緊急連絡先として指定医療機関のデータ、後述する吸入器の設定データも個人に関するデータとして扱う。
【0071】
また、医療データとして、登録番号、所在地、連絡先、登録医師、設備等を含む医療機関のデータと、登録番号、所在地、連絡先、取り扱い薬品、規模等を含む製薬会社のデータと、登録番号、所在地、連絡先、取り扱い薬品、及び薬剤師名等を含む薬品販売店のデータと、薬品名、効能、注意事項等を含む薬剤データとを扱う。
【0072】
これらのデータ全ては特定機関のデータベースに格納されるが、個人に関するデータは利用者の薬剤吐出装置のメモリーにも格納される。取り外し可能なメモリーカードの形態で格納してもよい。
【0073】
前記データベースは、例えば、行政区域等のある一定の範囲毎に設けられ、その地域内に住む住民個人に関するデータと医療データとを格納する医療用データベースサーバである。このデータベースの設置場所としては、その行政区域の専用の施設であっても指定された特定の病院であってもよい。また、各データベースは互いに接続されており、住民が居住地以外の区域で治療を受ける場合や移動した場合などに必要なデータにアクセスできるように構成されている。
【0074】
医療機関端末は各医療機関に設置され、データベースと接続されており、利用者端末を兼ねる薬剤吐出装置のメモリーにアクセス可能である。診察の際に、医療機関に勤務する医師や看護婦は、利用者の持参した薬剤吐出装置を医療機関端末に挿入し、診察の参考とするべく診療に訪れた患者個人に関するデータを読み出す。前述のシーケンスフローの中で記載した薬剤吐出装置の使用履歴もまた、この時利用者の情報として読み出される。診察結果に基づいてデータベースのデータ及び利用者の薬剤吐出装置メモリー内電子カルテデータの更新を行うことが可能である。
【0075】
このとき記録される処方箋のデータには有効期限も含まれており、その期限内に利用者が再度診察を受けることにより、必要に応じて有効期限の再設定が行われる。この情報に基づき、先に説明した薬剤吐出装置のシーケンスフローにある利用者に応じた適切な薬剤使用量が設定される。薬剤吐出装置が格納できるインクジェットヘッドユニットの形式にあわせて設定され、一回で使い切るのか、最大何回使用できるのか等の規定がなされるものである。
【0076】
また、診察の際に医師は、患者個人に関するデータに加え、薬剤データを参照して、患者が複合疾患(内蔵疾患と循環器系疾患を併発した場合など)であるときに、処方内容が競合したときの判断の参考とする。このような場合には、患者に情報を伝え(インフォームド・コンセント)患者が希望する処方を優先するようにしてもよい。
【0077】
更に、患者のDNAの解析結果を患者のメモリー、薬剤吐出装置のメモリー、あるいはデータベースに記録しておけば、従来の平均的・統計的手法にかわり、遺伝子診断、遺伝子治療と呼ばれる手法を取り入れて処方箋を決定することもできる。
【0078】
製薬会社端末は各製薬会社に設置され、データベースと接続されている。製薬会社に勤務する者は、この端末よりデータベースにアクセスして、医療機関や薬品販売店にある薬品の在庫データを調べると共に納入した薬品の出庫のデータを更新し、並びにこれらのデータに基づいて生産管理のデータを処理する。
【0079】
販売店端末は各薬品販売店に設置され、データベースと接続されており、利用者端末である薬剤吐出装置のメモリーを更新可能な装置、もしくはカードを挿入するスロットを備えている。これらの処理は通信回線を用いて行ってもよい。販売店に勤務する者は、利用者が来店したときに持参した薬剤吐出装置のメモリーに通信して客の処方箋データを読み取る。また、この薬剤吐出装置よりデータベースにアクセスして、訪れた客の処方箋データを読み出して照合し、両者のデータが一致したことを確認して薬品を販売する。そして、販売した薬品に関して、データベース及び利用者の薬剤吐出装置メモリー内にある投薬データの更新を行う。
【0080】
この場合、事前に代理人となる人間のIDや生体認証情報をデータベースに登録しておけば、患者本人以外に家族や介護者などが代理人として薬品を受け取ることもできる。
【0081】
更に、利用者が口座を持っている金融機関あるいはクレジットカードの会社などと電子商取引(EC)に関する契約を取り決めておけば、実際にその場で代金を支払わずに、利用者の薬剤吐出装置を介して薬品を購入する際の決済が行われるようにすることもできる。これは医療機関に支払う診察代や薬品代についても同様である。
【0082】
薬剤吐出装置は、利用者が常に携帯して持ち運べるように、小型、軽量であり、それぞれ特定の個人に対応付けられており、上述のように利用者個人に関するデータを格納するメモリーを内部に具備する。取り外し可能なメモリーカードを用いてもよい。また無線通信機能と利用者の健康管理をサポートする入出力デバイスとを有して、無線通信によってデータベースと必要に応じて適宜接続される構成も有効である。
【0083】
[本発明のデータベースとの通信機能を活用した実施例]
本実施形態の薬剤吐出装置は、全体を制御するCPUを含むコントローラ、利用者の健康管理をサポートする入出力デバイスとしての薬剤吐出部、無線通信をサポートする通信部、制御プログラムや各種データを格納する内部メモリー、分離型メモリーとして個人に関するデータを格納するメモリーカード、I/Oインタフェース、薬剤吐出装置の機能制御を利用者が指示したり緊急通報(エマージェンシー)スイッチ等の各種スイッチを含むキースイッチ、液晶ディスプレイやマイク、スピーカなどの表示・音声入出力部、生体認証用のセンサー、及び電源として2次電池などの充電可能なバッテリーとを備えている。
【0084】
薬剤吐出部はサーマルインクジェットヘッドユニット等で構成され、所定量の液状の薬剤が収容されたタンク、及びタンクから供給された薬剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッドを有するカートリッジと、カートリッジを駆動制御する制御部と、カートリッジあるいはタンクに付与されたコードを読み取ったり、利用者の吸入状態(負圧)を検出するためのセンサーとを含んでおり、ミストあるいはエアロゾルを吐出形成して吸気の際に肺から薬剤を体内に投与する。
【0085】
通信部は、キースイッチ及び表示・音声出力部によって適切な通信方式に従った通話、及びデータベースとのデータ通信が無線を介して行えるように構成されている。
【0086】
無線通信の方式については特に記載しないが、現在実用化されている移動体通信(携帯電話、PHS、自動車電話等)で採用されている方式や、衛星を経由した方式、あるいはブルートゥースを用いた方式であってもよい。
【0087】
内部メモリーは、ROMなどの読み取り専用の媒体であってもよいが、通信部を介してプログラムの更新や変更が可能なように、書き換え可能な記憶媒体であってもよい。
【0088】
分離型メモリーカードは、半導体記憶媒体や小型のハードディスクカードのような構成、もしくは小型の磁気ディスク等の少なくとも追記が可能で取り外しのできる記憶媒体である。
【0089】
また、I/Oインタフェースは、利用者が必要に応じて血圧、脈拍、血糖値、体温、尿蛋白などを測定するとき、あるいは自身の測定データを印刷するために、各種測定センサーやプリンタなどの外部入出力機器を選択的に接続できるように構成されている。
【0090】
本実施形態の薬剤吐出装置は携帯性を考慮した構成であるが、他の薬剤投与器具や上記の測定センサーと同様に外部入出力機器の1つとして別体として取り外し可能に構成されていてもよい。
【0091】
認証センサーは、薬剤吐出装置を登録された人間だけが利用できるように、指紋、声紋、掌紋、顔、虹彩、網膜血管パターンなどのいずれかによって使用者の生体認証を行うセンサーである。
【0092】
更に、図示しないが、GPSあるいは無線電話網の基地局から受信する電波の強度を利用して現在位置を検出すると共に、地図情報を利用して最寄りの医療機関や薬品販売店への経路を示すナビゲーション機能を備えている。
【0093】
[セキュリティ対策]
本実施形態の薬剤吐出装置は、取り扱うデータがプライバシー及び重要な医療データに関するのでデータを十分に保護すると共に、医療ミスや操作ミスを防止するために、駆動の際にフェイルセーフとなるように構成する必要がある。
【0094】
例えば、データベースに格納されるデータは、追加書き込み(追記)のみ可能とするのがよいが、ある程度古くなったデータは特定の管理者によって別の記憶媒体にバックアップした後に上書きするようにしてもよい。また、薬剤吐出装置のメモリーカードは必要な容量を過剰に大きくしないように、所定年数経過したデータには上書きするようにしてもよい。
【0095】
データベースは、接続される医療機関端末、製薬会社端末、販売店端末、薬剤吐出装置の各端末に対してデータ項目毎にアクセス権を設定する。
【0096】
具体的には、医療機関端末からは、データベースの全てのデータにアクセス可能であるが、書き込みが可能なのは、その医療機関に関する一部のデータと、訪れた患者の健康保険使用記録のデータと、電子カルテのデータと、健康診断等で得られた測定値のデータだけである。販売店端末は、客の薬剤吐出装置のメモリー、もしくはメモリーカードを挿入してIDが照合した際には個人の処方箋データ及び投薬データにアクセスできるが、通常は薬剤に関するデータと製薬会社のデータに対してのみアクセス可能とする。製薬会社端末は、薬剤に関するデータと医療機関及び薬品販売店の在庫状況のデータとに対してのみアクセス可能とする。
【0097】
また、これら各端末を操作する際にはID、暗証番号、パスワードなどの入力が必要なようにする。更に、利用者端末と同様なセンサーによる生体認証を併用してもよい。
【0098】
データベースと薬剤吐出装置との接続は無線を介して行われるので、特に厳密なセキュリティ対策を講じる必要がある。薬剤吐出装置からアクセスできるデータは、利用する個人に関するデータだけであり、利用者端末から書き込み可能なデータは、薬剤の使用記録や利用者個人が測定したデータだけである。薬剤吐出装置からデータベースにアクセスする際にはID、暗証番号、パスワードなどの英数字に加え認証センサーによる生体認証を行う。また、データを通信する際には暗号化技術を用いて漏洩や傍受(盗聴)を防止するのがよい。
【0099】
本実施形態では利用者が処方する薬剤に対してもセキュリティ対策を講じて、誤使用や投薬ミス、誤操作を防止するように構成されている。
【0100】
薬剤吐出装置は、1回もしくは複数回の吐出投与毎にカートリッジあるいはタンクのいずれかを交換する。従って、カートリッジあるいはタンクは個別包装されて開封/未開封が容易に解るようになっている。使用する薬剤や吐出方法に応じてどちらを1回の使用毎に交換するようにしてもよいが、以下では説明を簡略化するためにタンクを交換するものとする。図の12に相当する部分である。
【0101】
タンクのみを1回毎に交換する際には、吐出ヘッドは複数回使用することとなるが、吐出性能を保証するために、カートリッジが装着されてから使用された回数が所定回数となったらあるいは所定の期間が経過したら、新たなカートリッジとの交換を促すように表示や音で警告を与えると共に、例えば、熱エネルギーを発生するヒータが断線するように構成して、実際の吸入駆動が行えないようにするのが好ましい。そして、新たなカートリッジが装着された際には、IDやパスワードを入力させて利用者を再確認する。
【0102】
薬剤の誤った投与を防止するためには、タンクに光学的あるいは電気的に読み取り可能なコードを付与し、薬剤吐出装置に装着されたときにメモリー内に格納された電子カルテに記載された薬剤データとコードの情報とを照合するようにして、電子カルテのデータと異なる薬剤が納められたタンクが装着された場合、及び患者が指示された投与量を越えて投与を行おうとしたり適切なインターバルを守らない場合には、表示や音で警告を与えると共に、実際の吸入駆動が行えないようにするのがよい。
【0103】
カートリッジに同様のコードを付与することも、誤ったカートリッジの装着を防止するのに有効である。また、カートリッジには制御部との接続のための電気的端子が設けられているので、この端子を利用して種別を識別するようにしてもよい。
【0104】
また、1度使用したタンク内に再度薬剤を注入(リフィル)して再使用すると薬液の純度低下や細菌による汚染の可能性がある。このため、タンクの外壁を金属などの材料として注入が不可能な構成としたり、薬剤を使用した後には上記コードを読み取れなくするように、上書きあるいは書き換えるのも有効である。タンクや薬剤自体に処方毎に異なる色をつけて、利用者が容易に識別できるようにしたり、異なる薬剤を使用する場合には、キャップ部分全体を交換するようにして薬剤の混入を防止することも考えられる。
【0105】
更に、処方箋に基づいた適切なインターバルで薬剤の投与が行われるように、表示や音、振動などで利用者に薬剤投与のタイミングを通知するようにするのが好ましい。
【0106】
吸入器を実際に駆動させる際にもIDやパスワードを入力させて利用者を再確認すると共に、駆動中に誤った操作が行われることによる機器の故障が検出された際には、表示や音で警告を与えて、直ちに駆動を停止させて安全側に作用するようにするのが望ましい。
【0107】
本実施形態の薬剤吐出装置においてバッテリー駆動の場合は、吸入駆動中にバッテリーが切れるのを予防するために、バッテリーの残りの電力をチェックして1回の吸入駆動が行えない残量であったら吸入駆動を行えないようにしたり、あと数回でバッテリーが切れることを事前に通知する必要がある。また、バッテリー残量が少なくなった時などに、例えば、吐出時間を長くするなど、通常の吐出よりも電力消費の少ない省電力モードに切り換えたりできるようにするのもよい。
【0108】
更に、衛生上の観点から吐出ヘッドの吐出面(ノズル)を保護すると共に吐出性能を維持するために、ノズル面と大気を開放しないようにして表面に残った薬剤の乾燥、固着、並びに不要な薬剤が漏れるのを防止する。
【0109】
[緊急通報]
本実施形態の薬剤吐出装置は、患者の状態が急変したり異常事態が生じたときに、薬剤吐出装置のキースイッチとして設けられたや緊急通報(エマージェンシー)スイッチを所定時間以上連続して押し続けると緊急通報モードに入る。
【0110】
薬剤吐出装置は、緊急通報モードに入るとメニュー画面が表示される。メニュー画面が表示されてから所定時間以上利用者が何も操作しないと、事態が深刻であると判断して、非常通報を行う。この非常通報では、自動的に救急車に直ちに出動を要請すると共に予め設定された家族などの連絡先にも自動的に通知するように設定されている。
【0111】
緊急通知のメニュー画面の項目としては、指定医師への連絡、追加の医療内容の通知、応急処置内容の指示、ナビゲーション、及び緊急通話などが用意されている。
【0112】
緊急通話とは利用者本人が通話可能な状態であるときに、救急施設に連絡して症状を伝えたり、医師や家族に連絡するためのものである。
【0113】
また、ナビゲーションとは、データベースに格納された医療データに基づいて上述のように最寄りの、あるいは患者の使用している薬剤の供給できる医療機関や薬品販売店への経路を示す機能である。
【0114】
[カートリッジ及びタンク]
本実施形態の吐出ヘッド部は、熱を利用したインクジェット方式に基づいて液状の薬剤を微小液滴として吐出する。これはプリンタなどの記録装置で実用化されている、いわゆるバブルジェット(R)方式と呼ばれる方式と基本的に同じであるが、医療用として使用するために、吐出ヘッドやタンクについても記録装置とは異なる特徴をいくつか有している。
【0115】
例えば、吐出ヘッドの構成材料としては、金メッキされたもの、セラミック、ガラスなどを用いる。また、吐出する薬剤の種類や投与の方法(肺まで到達させる必要があるか否か等)に応じて、吐出口(ノズル)の配列や形状を異なったものとする。
【0116】
タンクに収納される薬剤についても、目視により残量が確認できるように着色したり、加熱により薬剤の性質が変化しないように予め焦げやすい糖類や多糖類を混入しておいたりすることが考えられる。更に、収容される薬剤の容量についても、1回の投与に必要な量に、吐出が途中で失敗した場合や吸入後の回復処理に必要な量を加えて、吐出が正しく行われた際にはある程度の量が残るようにするのが好ましい。
【0117】
なお、本実施形態のタンクは二重構造となっており、金属などからなる外壁と収納された薬剤の容量に応じて形状が変化する柔軟な部材からなる内壁とからなり一体成形されている。通常のインクジェット方式で用いられるインクタンクとは異なり、内部に多孔質の吸収体はなく、大気連通口も設けられていない。
【0118】
また、タンクは例えば所定の本数単位で包装されて供給されるが、このとき、スポイトや滅菌ガーゼなどの吐出ヘッドやキャップのメンテナンスを行うための器具や治具を同梱しておくのがよい。
【0119】
交換されたカートリッジやタンクは、以下のようにして有効にリサイクルされる。
【0120】
カートリッジ及びタンクは、製薬会社で製造され、医師の記載した電子カルテの処方箋に従って、医療機関の薬局又は市井の薬品販売店で患者に供給される。上記のように患者がカートリッジ又はタンクを入手する際には、医療機関端末又は販売店端末に薬剤吐出装置のメモリ−情報もしくはメモリーカードを挿入し、メモリーに格納された処方箋データとデータベース内の処方箋データとが照合される。また、投薬データには過去に使用した薬剤のデータも記録されているので、患者が同じカートリッジ又はタンクを既に使用しているかどうかが容易に解る。
【0121】
従って、既に同じカートリッジ又はタンクを使用している場合には、使用済みのカートリッジ又はタンクを持参して、新しいものと交換するようにする。この場合、カートリッジやタンクを回収したか否かも薬剤使用記録として投薬データに記録するようにすれば、回収をより確実にすることができる。
【0122】
カートリッジやタンクは医療機関又は販売店を経由して製薬会社に回収され、外観や機能を検査し、まだ使用できるものは洗浄の後、殺菌消毒され、再度薬剤が充填され、コードの情報が書き換えられて再使用される。
【0123】
[薬剤吸入駆動]
次に、本実施形態の薬剤吐出装置を用いて実際の吸入駆動を決定する処置を簡単に説明する。これは通常医師の診察と同時に行われる。
【0124】
最初に、使用する薬剤投与に関する調整を行う。調整駆動は、薬剤の1回の投与量、投与インターバルなどのデータを登録する初期設定、利用者個々の空気吸入の量やプロファイルを測定し吐出条件を決定するテスト吸入、及びテスト吸入の結果、正しく調整が終了したかどうかの判断からなる。
【0125】
測定された空気吸入の量やプロファイル、決定された吐出条件は、薬剤吐出装置設定データとしてデータベース及び薬剤吐出装置の両方に記憶される。
【0126】
次に実際の吸入駆動を行うべく、カートリッジ及び/又はタンクを薬剤吐出装置に装着する。そして駆動が行えるようにID番号、暗証番号あるいはパスワードのいずれかと指紋などの生体認証手段との組み合わせから、利用者の認証を行う。
【0127】
実際の吸引駆動を行う前に、吸引治具などの器材を用いて吸引・回復処理を行う。薬剤の種類等にもよるが、開封後そのまま使用できるものもある。その後、利用者は吸入駆動を実行する。薬剤の吐出は利用者の吸入を負圧センサーなどで検出することによって開始され、吐出が行われている間には薬剤吐出装置が信号音等を発生するように構成することも可能である。吸入を数回繰り返して所定量の薬剤が吐出されたら吸入が終了する方法でもよい。このときも吸入が終了したことを信号音や表示などで通知するのがよい。
【0128】
[吐出の駆動制御]
本実施形態は、熱を利用したインクジェット方式に基づいて液状の薬剤を微小液滴として吐出する。この方式は駆動波形をパルス状とすることにより、吐出される液滴の数をパルスの数によって制御することが可能であるため、吐出量を正確に管理する用途に適している。本実施例では確実な吐出のため少量吐出を実行しているので、この液滴数も履歴として管理することになる。
【0129】
しかしながら本実施形態では、医療用として使用するために記録装置とは異なる吐出制御を行っている。すなわち、記録装置は紙などの記録媒体に上方からインクを吐出して記録を行うが、本実施形態の吸入器ではミストあるいはエアロゾル状となるように薬剤を吐出して利用者の吸入空気と共に薬剤を肺まで到達させる必要がある。
【0130】
このため、通常の記録装置よりも液滴のサイズをはるかに小さくし、かつこのような小さなサイズの液滴を適量だけ確実に吐出させるように制御する必要がある。その反面、液滴のサイズが小さくなると、吐出された液滴の運動エネルギーが小さいため、吐出方向については記録装置のようにほぼ1方向とする必要はなく、様々な方向に吐出した液滴が飛翔したり液滴同士が衝突したりしてもよい。本実施形態の吸入装置は、0.1μm〜10μmの大きさの液滴径を吐出する構成が好ましい。
【0131】
従って、本実施形態では、空気吸入のプロファイル(パターン)に応じて駆動パラメータを変化させる。例えば、空気吸入の際、単位時間当たりの吸入量は開始時点が多く、終了直前には少なくなる。従って、吸入時間(1秒から2秒)内に複数回の吐出を行う場合、最初の吐出と最後の吐出とでは吐出速度や駆動周波数などを変化させる。また、吐出方式を変えたり主滴/副滴の割合を変えることも考えられる。
【0132】
更に、空気吸入のプロファイルは、年齢や性別、体格などにより個人差があるため、処方が同じであっても利用者個人に合わせて微調整(チューニング)する必要がある。これは上記医師との診察に関して説明した部分で行われる。
【0133】
[薬剤の流れ]
ここで本実施形態における薬剤(カートリッジ及びタンク)の流れについて説明する。
【0134】
製薬会社で製造された薬剤は、医療機関及び販売店にそれぞれ納入される。そして、利用者(患者)が医師の診察結果により薬剤を投与する必要が生じたら、例えば初診の際には、診察を受けた医療機関の薬局で所定日数分の薬剤を受け取る。
【0135】
また、2回目以降で診察が伴う場合には上記と同様に医療機関の薬局で薬剤を受け取る。このとき、前回受け取って使用済みの薬剤と交換すると共に、電子カルテの投薬データに新たに渡した薬剤のデータを書き込む。
【0136】
診察が必要ない場合には、薬品販売店に出向いて薬剤を受け取ることもできる。この場合にも前回受け取って使用済みの薬剤と交換すると共に、販売店端末で電子カルテの投薬データに新たに渡した薬剤のデータを書き込む。
【0137】
患者から受け取った使用済みの薬剤は、医療機関及び薬品販売店から製薬会社に回収され、上述のようにリサイクルされる。
【0138】
[データの流れ]
本実施形態におけるデータの流れの概容を以下に示す。
【0139】
データを集中的に管理するデータベースを中心として構成されているが、各端末でも必要な情報を分散的に管理する。
【0140】
医療機関端末は、薬剤データをデータベースから読み取る。また、診察の際には患者の薬剤吐出装置のメモリーから患者の個人データを読み取ってデータベースから読み取ったデータと照合し、健康保険のデータや電子カルテのデータをデータベース及び患者の薬剤吐出装置メモリーに書き込む。
【0141】
製薬会社端末は、データベースから医療機関や販売店の薬剤の在庫データを読み取り、納入した薬剤のデータを出庫データとしてデータベースに書き込む。また、新たな薬剤が開発されたときや新たな効能が発見されたときなどに、薬剤データをデータベースに書き込む。
【0142】
販売店端末は、患者が訪れたときに患者の薬剤吐出装置のメモリーから処方箋データ及び投薬データを読み取り、データベースから読み取った処方箋データと照合する。そして、患者が購入した薬剤に関する投薬データをメモリー及びデータベースに書き込む。
【0143】
薬剤吐出装置のメモリーには、患者自身あるいは医療機関以外で検査器を用いて測定された測定データが書き込まれる。この測定データは、無線通信又は医療機関端末を介して適宜データベースに書き込まれる。また、患者からの要請により、自身の電子カルテのデータや最寄りの医療機関や薬品販売店に関するナビゲーションデータをデータベースから読み取る。
【0144】
[他の実施形態]
以上の実施形態においては、医療用の薬剤吐出装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれ以外の様々なアプリケーションに適用できる。
【0145】
例えば、上記と同様な薬剤吐出装置とスポーツクラブ等に設置した端末とを用いて、美容や健康のために、予め設定したプログラムに従って利用者がダイエットや運動を規則正しく行うように指示を与えるシステムや、薬剤以外の体に必要なビタミンやミネラル等を過不足なく摂取するために、上記の薬剤吐出装置を使用することも考えられる。
【0146】
このような医療以外のアプリケーションに適用する際には、必要に応じてデータベースや各端末に格納するデータや薬剤吐出装置の機能が変更される。
【0147】
更に、医療用の健康管理システムとしても、ぜんそく患者の吸入治療に上記の薬剤吐出装置を使用したり、現在注射あるいは飲み薬によって体内に投与されている薬剤を上記の薬剤吐出装置を使用して体内に投与することが考えられる。
【0148】
また、健康管理システムの構成も上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、データベースが医療機関端末に含まれるような形態でもよい。
【0149】
以上説明したように上記の実施形態においては、以下のような効果がある。
【0150】
(1)薬剤吐出装置の薬剤吐出が確実に行われるように少量吐出を行うシーケンスを追加したことにより、薬剤吐出装置の待機時間の利用者個人差に関わらず、薬液凝集等の要因による吐出異常をなくすことができる。
(2)薬剤吐出装置の吐出をセンサーで検知することで、さらに信頼性の高い薬剤吐出装置を提供できる。
(3)様々な個人データ及び医療データを電子化してデータベースに格納することにより、情報の共有化による効率的な医療行為と薬剤吐出が期待できる。
(4)薬剤吐出装置にアクセス権を設定すると共に個人識別を行うことにより、プライバシーに係わる個人のデータを保護することができる。
(5)薬剤吐出装置に警告、緊急通報モードが設けられているので、緊急時に適切かつ迅速な対応が可能となる。
(6)従来注射により投与していた薬剤を利用者端末の吸入器を用いて投与することにより、患者自身での薬剤の投与が容易となり、患者の精神的、肉体的負担が軽減される。
(7)薬剤吐出装置での薬剤投与の際に、個々の患者の吸気量やプロファイルに従った適切な吐出制御を行い効率良く投与することができる。
(8)患者自身で薬剤投与を行う際に、誤った薬剤を装着を防止することができる。
(9)薬剤吐出装置のコントローラにより、薬剤の投与量や投与インターバルをカルテに従って正確に管理することができる。
(10)薬剤の支給及び投与が記録されるので、各患者が使用した薬剤や在庫の管理が正確に行える。更に、使用済みのカートリッジやタンクの回収も正確に行える。
(11)薬剤吐出装置のメモリーにも処方箋データが記憶されているので、このデータを読み取ることにより、地域を問わず処方箋に従った薬剤の受け取りが可能となる。
(12)薬剤吐出装置のナビゲーション機能により、最寄りのあるいは適切な医療機関や薬品販売店へのアクセスが容易となる。
(13)医療用薬剤以外にも本薬剤吐出装置を適用可能である。
【0151】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、個々の利用者に対して、常に適切な液体吐出制御を行うことのできる信頼性の高い吸入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な薬剤吐出装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明を適用可能な薬剤吐出装置の断面構成図である。
【図3】本発明を適用可能な携帯用薬剤吐出装置を示す模式図であり、(a)外観図(b)キャップユニットの構成とサーマルインクジェットユニット部の勘合を示す図(c)キャップユニットとヘッドユニットが勘合した状態から制御部(グリップ部)に接続される状態を、駆動電源ユニットとの接続もあわせて説明した構造模式図である。
【図4】第1、第3の実施例を適用した薬剤吐出装置のメインシーケンスを示すフローチャートである。
【図5】図4のサブルーチンである初期チェック処理を示すフローチャートである。
【図6】図4のサブルーチンである通常待機状態処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施例を適用した薬剤吐出装置のメインシーケンスを示すフローチャートである。
【図8】図7のサブルーチンである初期チェック処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のサブルーチンである通常待機状態処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 サーマルインクジェットヘッドユニット
2 ホルダー
3 カートリッジケース
4 キャップ
5 ヘッドユニット制御部ケース
6 駆動電源ユニット
7 吐出ボタン
8 ディスプレイ
9 投光部
10 受光部
11 プリント基板
12 薬剤カートリッジ
13 接続基板
14 制御回路部
15 シャッター
16 シャッター開放スイッチ
Claims (12)
- 液体を液滴として吐出し利用者へ吸入させるための吸入装置であって、
前記装置は、前記液体を吐出するための吐出部と、前記吐出部から前記液体を吐出させるための駆動手段と、前記液滴を検知するための検知手段と、を備え、
前記駆動手段により、前記吐出部が大気に連通した状態で、前記利用者に吸入させるための吐出動作を行い、前記吐出部が大気に連通していない状態で、前記吐出動作の吐出よりも少ない量の吐出を行う少量吐出動作を行い、
前記検知手段により、前記少量吐出動作によって吐出された前記液滴を検知することを特徴とする吸入装置。 - 前記駆動手段の前記吐出動作と前記少量吐出動作とを制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の吸入装置。
- 前記液体は薬剤を有する請求項1または2に記載の吸入装置。
- 前記駆動手段による前記少量吐出動作が、定期的に行われることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記少量吐出動作が、装置立ち上げ時、可動時、終了時の動作状況に応じてシーケンス動作をすることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記検知手段によって、前記少量吐出動作における前記液体の吐出が、正常に行われていないと判断した場合、利用者に直接警告、あるいは前記吸入装置を端末とした所定の回線によって接続される情報管理機関を通じて、利用者に対応処置を連絡することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記検知手段は半導体センサであり、吐出された前記液滴を直接モニターすることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記検知手段は温度もしくは湿度センサであり、吐出された前記液滴による前記吸入装置内の温度、湿度変化をモニターすることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記吐出動作、前記少量吐出動作、前記検知手段により得られる情報を記録するメモリを有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記吸入装置は、携帯して所持するように構成され、かつ携帯端末として、所定の回線によって接続される情報管理機関を通じて、利用者の電子カルテ情報を更新することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の吸入装置。
- 前記吐出動作は、利用者の吸入のプロファイルに応じて前記液体を吐出させる動作であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の吸入装置。
- 吸入用の液体を液滴として吐出部から吐出させるための吐出装置の制御方法であって、
前記吐出部が大気と連通した状態で、前記液体の吐出を行う吐出ステップと、
前記吐出部が大気と連通していない状態で、前記吐出ステップよりも少ない量の吐出を行う少量吐出ステップと、前記少量吐出ステップにより吐出された液滴の検知を行う検知ステップと、を有することを特徴とする吐出装置の制御方法。
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