JP4261044B2 - トリコデルマリーセイスウォレニンタンパク質およびコード化dna配列 - Google Patents
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Description
発 明 の 背 景
水の浸透圧吸収は、植物細胞膨張の駆動力である。水がその細胞に浸入するときに、その原形質体は膨張するが、細胞壁により抑制される。さらに、タンパク質、ヘミセルロースおよびペクチンのにかわ様マトリクス中に埋め込まれたセルロースミクロフィブリル重合体の硬い複合体が、成熟細胞中のこの壁の一部を形成している。未熟細胞壁の機械的特性を変更し、伸張過程を経験させるいくつかの「壁弛緩」要因が存在するに違いないと長い間考えられてきた。McQueen等のPlant Cell, Vol.4, pp.1425-1433(1922)では、再構成手法を用いることにより植物細胞の拡大規則が研究されてた。著者等は、成長しているキュウリの苗の細胞壁からの粗タンパク質抽出物が、単離された細胞壁の延長を誘発する能力を有することを発見した。活性壁抽出物の逐次HPLC分画により、その活性に関連して29および30kDの分子量を有する二つのタンパク質が示された。各々のタンパク質はそれ自体、前記壁の検出可能な加水分解損傷なく壁の延長を誘発することができ、単離された壁の「酸性成長」反応を媒介するように思われ、新たな生化学機構により植物細胞壁延長を触発するかもしれない。
【0002】
Shcherban等のProc.Nat.Acad.Sci., USA, Vol.92, pp.9245-9249(1995)では、これら二つのキュウリタンパク質をコード化するcDNAを単離し、これらを様々な供給源からの無名の発現された配列タグと比較した。コメおよびアラビドプシス(Arabidopsis)エクスパンシン(expansin)cDNAが、これらの採集物から同定され、コメ中の少なくとも四つの異なるエクスパンシンcDNAおよびアラビドプシス中の六つの異なるエクスパンシンcDNAを示した。著者等は、エクスパンシンはサイズおよび配列において高度に保存され(どの対の比較においても、60-85%のアミノ酸同一性および75-95%の類似性)、単子葉植物と双子葉植物との間の進化開度の前に多重遺伝子族が形成されたことと結論づけた。Shcherban等は、この多重遺伝子族の高度の保存が、エクスパンシンが細胞壁延長を促進させる機構がタンパク質構造中の変異をほとんど許容しないことを示していると述べている。
【0003】
Wang等, Biotech.Lett., Vol.16, No.9, pp.955-958(1984)は、細胞壁延長特性を示すS1およびS2タンパク質と似ているように思われる、漢方薬キュウリ中の二つのタンパク質、Trichosanthes kirilowiiを発見した。同様のタンパク質が、成長しているトマトの葉(Keller等, The Plant Journal, Vol.8, No.6, pp.795-802(1995))および燕麦子葉しょう壁(Li等, Planta, Vol.191, pp.349-356(1993))中にも発見された。
【0004】
Cosgrove等, J.Exp.Botany, Vol.45, Special Issue, pp.1711-1719(1994)は、エクスパンシンタンパク質とペクチナーゼとセルラーゼとの間の共同相互作用が生じるかもしれず、ここでは、これらの酵素が、他の壁延長機構がより効果的であるようにマトリクスを改良することを示唆した。Fry, Current Biology, Vol.4, No.9(1994)は、ゆるんでいる細胞壁において、成長中にミクロフィブリルが無傷のままであるときに、エクスパンシンが、セルロース−セルロース結合を破壊しそうにないことを示唆している。このように、著者等は、濾紙中の水素結合の観察された破壊を派生的な問題として考慮せずにおき、ヘミセルロース鎖をセルロースミクロフィブリルから分離させて延長させることにより、エクスパンシンがミクロフィブリル間領域を長くするかもしれいと示唆している。
【0005】
細胞壁延長およびその原因の分野において以前に行われた先駆的な研究にもかかわらず、エクスパンシンの有用さおよび実行可能性に関する研究はまだ初期段階にある。さらに、現在までのエクスパンシンの供給源は、もっぱら植物起源からであり、その発現系は、大規模製造には最適ではないかもしれない。したがって、菌類、細菌または他のよく特徴付けられた微生物のような、生物学的材料の確立された高出力産生体である生物から多量に産生できるエクスパンシン様材料の入手できる供給源を有することが価値のあることである。
【0006】
発 明 の 概 要
本発明の目的は、微生物非植物源から由来のスウォレニンタンパク質を提供することにある。
【0007】
多量の産生を促進するように、よく特徴付けられた微生物、例えば、菌類または細菌中で発現可能なスウォレニンタンパク質を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、スウォレニンタンパク質の工業的産生において使用できる微生物スウォレニンに対応するDNA配列を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、パルプや紙、セルロースベースの紡績繊維、動物の飼料およびトウモロコシ湿式ミルまたは乾式ミル多糖類廃棄産物または他のセルロースバイオマスのようなセルロース基質を変性させる新たな有用な方法を提供することにある。
【0010】
本発明によれば、菌類または細菌由来の部分的または全体的に単離されたスウォレニンタンパク質が提供される。好ましくは、スウォレニンは、糸状菌類から、より好ましくは、トリコデルマspp.、フミコラ(Humicola)spp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.フザリウムspp.、ペニシリウムspp.、またはグリオクラジウム(Gliocladium)spp.から、そして最も好ましくは、トリコデルマspp.から由来する。本発明の特に好ましい実施の形態において、前記スウォレニンは、配列番号2番による配列を含むか、配列番号2番に提供された配列との少なくとも70%の配列同一性を有するか、または配列番号2番による配列の派生物を含み、ここで、該スウォレニンはさらに、濾紙をもろくするおよび/または綿繊維を膨潤させる能力を備えている。
【0011】
本発明の別の実施の形態において、菌類または細菌からの、スウォレニンタンパク質をコード化するDNAが提供される。好ましくは、このDNAは、トリコデルマspp.、フミコラspp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.フザリウムspp.、ペニシリウムspp.、またはグリオクラジウムspp.のような糸状菌類由来である。また好ましくは、該DNAは、配列番号1番による配列を含む。あるいは、該DNAは、配列番号1番に提供された配列との少なくとも70%の配列同一性を有する、または配列番号1番による配列の派生物を含み、ここで、該DNAは、濾紙をもろくするおよび/または綿繊維を膨潤させる能力を備えているスウォレニンタンパク質をコード化する。本発明の好ましい実施の形態において、該DNAは、配列番号1番に提供された配列の全てまたは一部を有するDNAとハイブリッド形成する。
【0012】
本発明の別の実施の形態において、微生物、例えば、細菌または菌類、スウォレニンをコード化するDNAが提供され、該DNAは、配列番号14番、配列番号15番、配列番号16番、配列番号17番または配列番号18番を含むアミノ酸配列を有するペプチドをコード化するDNAプローブとハイブリッド形成する。そのようなDNAを含むベクター、そのようなベクターにより形質転換されている宿主細胞およびそのような形質転換された宿主細胞により産生された発酵ブロスもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0013】
本発明のさらに別の実施の形態において、(a)菌類または細菌から単離された、スウォレニンタンパク質をコード化するDNAを含むベクターにより形質転換されている宿主細胞を得て、(b)前記スウォレニンタンパク質の発現および必要に応じて分泌に適した条件下で該宿主細胞を培養し、(c)前記スウォレニンタンパク質を含有する発酵ブロスを回収する各工程を含む、スウォレニンタンパク質を製造する方法が提供される。
【0014】
菌類および細菌は、一般的にはセルロース細胞を有さず、いずれにしても、より高度の植物と同様の機構によりサイズが増大することが知られていないので、これらの微生物がエクスパンシン様特性を有するタンパク質を産生するという本出願人の発見は、植物エクスパンシンに関連する以前の研究では示唆されていない。したがって、セルロース分解菌類のトリコデルマspp.がエクスパンシン様タンパク質を産生するという発見は予期せぬことである。しかしながら、タンパク質の微生物綱は、植物中にこれまでに発見されたものとは違うのは明らかである。例えば、菌類のセルロース分解酵素のセルロース結合ドメインに対応するここに記載された微生物スウォレニンタンパク質のドメインの存在は、このタンパク質が、環境中でセルロースバイオマスの加水分解を促進させるために、自然に分泌されるセルラーゼおよびヘミセルラーゼと協力して作用するように分泌されることを示唆している。この示唆と一致して、トリコデルマリーセイスウォレニン遺伝子が、成長のための炭素源がグルコースであるときではなく、その菌類が唯一の炭素源としてのセルロース上で成長するときに発現されることが分かった。遺伝子発現の規則のこのパターンは、多くのトリコデルマセルロースおよびヘミセルロース遺伝子に関して観察されたものと類似している。これらの予期せぬ発見により、細菌、酵母および菌類を含む、セルロースまたはヘミセルロース分解微生物も、そのようなスウォレニンタンパク質を産生するという結論に導かれた。
【0015】
したがって、ここに提供されるスウォレニンには、セルラーゼが現在用いられている多くの用途、例えば、布地の洗浄(洗濯洗浄剤および予洗組成物)、布地の改質(除毛、色の復元、灰色化防止)、デニムのストーンウォッシュ、バイオマスのグルコースへの転化、および動物の飼料の栄養価の改善に有用であろうということが本発明の利点である。同様に、本発明の利点は、スウォレニンが、他の酵素、特にエンドグルカナーゼのようなセルラーゼと組み合わせて、相乗効果または相加効果を有するであろうということであると考えられる。他の場合には、ある用途において、スウォレニンが有害な影響を有する可能性もある。例えば、スウォレニンにより、微生物の発酵により産生されたエンドグルカナーゼ中に副活性として存在し、布地の洗浄または改質のために用いられたときに、布地強度が過剰に損失してしまうかもしれない。そのような場合、セルラーゼ産生物からのスウォレニンの除去は、有益であり、得られたセルラーゼ混合物からその産生物を生化学的に除去することにより、その発現を妨げるまたはその遺伝子を不活化する遺伝子操作によって、またはスウォレニンを含む組成物に化学的阻害因子を加えることにより行われるであろう。
【0016】
発明の詳細な説明
定 義
「スウォレニン」は、セルロース分解活性、すなわち、個々のセルロース鎖のより小さなモノマー(グルコース)またはオリゴマー(多糖類)への破壊を含む触媒活性を有さずに、濾紙の弱化および綿繊維の膨潤を促進させる能力を有する、微生物、すなわち、菌類または細菌発生源のタンパク質またはポリペプチドもししくはそのタンパク質またはポリペプチドのドメインを意味する。McQueen-Mason等, Plant Cell, Vol.4, pp.1425-1433 (1992)に記載されているエクスパンシンタンパク質によってスウォレニンを大ざっぱに定義することが有用であるけれども、微生物スウォレニンは明確な性質を有する、例えば、微生物スウォレニンは、植物エクスパンシンよりも大きいタンパク質であり、植物エクスパンシンとの低レベルの配列同一性を有することも明白である。さらに、ある微生物スウォレニンタンパク質は、セルロース結合ドメインと共に存在しており、さらに、触媒セルラーゼドメインと共に存在するかもしれない。例えば、ここに示したトリコデルマリーセイ由来のスウォレニンタンパク質は、セルロース結合ドメインを有している。
【0017】
スウォレニンは、微生物発生源、特に、菌類または細菌発生源由来であってもよいとここでは考えられる。特に、セルロース分解能力を有する微生物は、スウォレニンタンパク質の優れた供給源であると考えられる。本発明の特に好ましい実施の形態において、スウォレニンは、トリコデルマspp.、特にトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)由来である。しかしながら、本発明によるスウォレニンおよび/またはスウォレニンコード化DNAは、好ましくは、アブシディアspp.;アクレモニウム(Acremonium)spp.;ハラタケspp.;アナエロミセス(Anaeromyces)spp.;A.fumancus, A.fumigatus, A.nidulans, A.niger, A.oryzae, A.terreusおよびA.versicolorを含む、アスペルギルスspp.;アユーロバシジウム(Aeurobasidium)spp.;セファロスポラム(Cephalosporum)spp.;チャエトミウム(Chaetomium)spp.;コプリナス(Coprinus)spp.;ダクチラム(Dactyllum)spp.;F.conglomerans, F.decemcellulare, F.javanicum, F.lini, F.oxysporumおよびF.solaniを含む、フザリウムspp.;グリオクラジウムspp.;H.insolensおよびH.lanuginosaを含む、フミコラspp.;ケカビspp.;N.crassaおよびN.sitophilaを含む、アカパンカビspp.;ネオカリマスティクス(Neocallimastix)spp.;オルピノミセス(Orpinomyces)spp.;ペニシリウムspp.;ファネロカエテ(Phanerochaete)spp.;フレビア(phlebia)spp.;ピロミセス(Piromyces)spp.;シュードモナスspp.;クモノスカビspp.;シゾフィラム(Schizophyllum)spp.;トラメテス(Trametes)spp.;T.reesei(longibrachiatum)およびT.vindeを含む、トリコデルマspp.;並びにジコリンカス(Zygorhynchus)spp.のような菌類由来である。同様に、ここに記載したスウォレニンおよび/またはスウォレニンコード化DNAは、バチルスspp.;セルロモナス(Cellulomonas)spp.;クロストリジウムspp.;ミセリオフソラ(Myceliophthora)spp.;サーモモノスポラ(Thermomonospora)spp.;S.olivochromogenesを含む、ストレプトミセスspp.のようなセルロース分解性細菌;特に、フィブロバクタースクシノゲネス(Fibrobacter succinogenes)のような繊維分解性ルミナル(ruminal)細菌;およびカンジダトレシイtorresii;C.parapsllosis;C.sake;C.zeylanoides;ピキア(Pichia)minuta;ロドトルラ(Phodotorula)glutinis;R.mucilaginosa;およびスポロボロミセス(Sporobolomyces)holsaticusを含む酵母中に見つかると予想される。
【0018】
好ましくは、本発明によるスウォレニンタンパク質は、単離または精製される。精製または単離は、自然においてスウォレニンが結合する自然に生じる成分のいくつかまたは全てからスウォレニンを分離することにより、スウォレニンタンパク質がその自然の状態から変性されることを意味する。これは、全細胞、細胞デブリス、不純物、外来タンパク質、または最終組成物中で望ましくない酵素を除去するために、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性分離、透析、プロテアーゼ処理、硫酸アンモニウム沈殿または他のタンパク質塩沈殿、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、精密濾過、勾配上のゲル電気泳動または分離のような従来技術で認識された分離技術により、行ってもよい。次いで、スウォレニン含有組成物に、追加の利点、例えば、活性化剤、抗抑制剤、望ましいイオン、pHを制御する化合物またはセルラーゼのような他の酵素を提供する成分を加えることもできる。
【0019】
ハイブリッド形成は、ここでは、所定の断片または遺伝子が、ここに記載したスウォレニンに対応し、したがって、本発明の範囲内に包含されるか否かを分析するために用いられる。特定の目標源からのゲノムDNAは、製造業者の説明書にしたがって、制限酵素、例えば、EcoR I, Hind III, Bam HI, Cla I, Kpn I, Mlu I, Spe I, BgI II, Nco I, Xho IおよびXma I(マサチューセッツ州、ビバーリーのニューイングランドバイオラブス(New England Biolabs, Inc.)社およびベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)により供給される)による消化によって断片化される。次いで、試料は、DNA断片の分離がサイズにより視覚化できるように、アガロースゲル(例えば、0.7%のアガロースのような)により電気泳動される。このゲルは、蒸留H2O中で手短に濯ぎ、続いて、緩やかな振とうにより適切な溶液(例えば、0.25MのHClのような)中で脱プリンさせ、その後、30分間に亘り変性(例えば、0.4MのNaOH中で)させてもよい。ゲルが、30分間に亘る緩やか振とうを行いながら、1.5MのNaCl、1Mのトリス、pH7.0中に配置される、復元工程を含んでもよい。次いで、DNAは、運搬溶液(例えば、6×SSC(900mMのNaCl、90mMのクエン酸トリナトリウム)のような)を用いて、適切な正に荷電した膜、例えば、最高強度ナイトランプラス膜(Maximum Strength Nytran Plus membrane)(ニューハンプシャー州、キーンのSchleicher & Schuell)上に運搬すべきである。運搬が完了した後、一般的に約2時間以上してから、その膜を濯ぎ、濯ぎ溶液(例えば、2×SSC[2×SSC=300mMのNaCl、30mMのクエン酸ナトリウム]のような)を使用した後に室温で空気乾燥させる。次いで、DNAは、紫外線架橋、または膜の製造業者により推奨される温度を用いたオーブン内でのベーキングのいずれかにより、前記膜に架橋させるべきである。次いで、この膜は、適切なプリハイブリッド形成溶液(例えば、100ml当たり:30-50mlのホルムアミド、25mlの20×SSPE(1×SSPE=0.18MのNaCl、1mMのEDTA、10mMのNaH2PO4、pH7.7)、2.5mlの20%のSDS、1mlの10mg/mlの剪断されたへリング精子(sheared herring sperm)DNAを含有する水溶液のような)中で(約2時間以上に亘り)プリハイブリッド形成すべきである。
【0020】
図1および2の配列から採取されるDNAプローブは、アガロースゲル中の電気泳動により単離すべきである。その断片は、このゲルから切除し、切除されたアガロースから回収される。次いで、この精製されたDNAの断片を標識付ける(例えば、製造業者の説明書にしたがってメガプライム標識付けシステム(英国、バッキンガムシャー州のアメルシャムインターナショナル社(Amersham International plc.)を用いて、そのDNA中にP32を含むことにより)。この標識付けられたプローブは、5分間に亘り95℃まで加熱することにより変性され、直ちに、前記膜を含有するプリハイブリッド形成溶液に加えられる。このハイブリッド形成反応は、緩やかに振とうしながら、適切な時間に亘り適切な条件下、例えば、18時間に亘り37℃で行うべきである。この膜を濯ぎ(例えば、2×SSC/0.3%のSDS中で)、次いで、適切な洗浄溶液を用いて、緩やかに撹拌しながら洗浄する。所望のストリンジェンシーは、その膜(フィルタ)が洗浄される条件の影響である。
【0021】
特に、所望の反応のストリンジェンシー(すなわち、ハイブリッド形成が成功するために必要とされる相同性の程度)は、サザンブロットからのフィルタがハイブリッド形成後にさらされる洗浄条件に依存する。ここで定義される「低ストリンジェンシー」条件は、15分間に亘る20℃での0.2×SSC/0.1%のSDSの溶液によるサザンブロットからのフィルタの洗浄を含む。「標準的ストリンジェンシー」条件は、さらに、30分間に亘る37℃での0.2×SSC/0.1%のSDSの溶液によるサザンブロットからのフィルタの二回目の洗浄を含む。
【0022】
「セルラーゼ」は、従来技術において明確に分類された酵素のカテゴリーであり、セルロース高分子をより短いオリゴマーおよび/またはグルコースに加水分解できる酵素を含む。セルラーゼ酵素の一般的な例は、エキソセロビオヒドロラーゼおよびエンドグルカナーゼを含み、特に、菌類および細菌を含む、多くの種類のセルロース分解微生物から得られる。
【0023】
「ヘミセルラーゼ」もまた、従来技術において明確に分類された酵素のカテゴリーであり、ヘミセルロース高分子をより短いオリゴマーに加水分解できる酵素を含む。ヘミセルラーゼ酵素の一般的な例は、キシラナーゼおよびマンナナーゼを含む。
【0024】
「セルロース含有材料」は、その成分の一つとしてセルロース高分子を含む材料を意味する。したがって、セルロースは、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン6およびナイロン66)、アクリル繊維(例えば、ポリアクリロニトリル)、およびポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール繊維(例えば、ビニロン)、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリウレア繊維およびアラミド繊維のような合成繊維を含む一つ以上の非綿繊維を含む、綿織物布地、綿ニット、綿デニム、綿紡ぎ糸やそれらのブレンドを含む、純粋な綿または綿ブレンドから作られた縫われたまたは縫われていない布地または他の製品を含む。「セルロース」はさらに、セルロース繊維を含む綿または非綿もしくは天然のセルロース誘導体および人工のセルロース誘導体(ジュート、アマ、ラミー、レーヨン、テンセル(登録商標)のような)を含むセルロースブレンドを含有する綿または非綿を意味する。人工セルロース誘導体の項目に含まれるものは、レーヨンのような従来技術でよく知られた再生織物である。他の人工セルロース誘導体としては、化学変性されたセルロース繊維(例えば、アセテートにより誘導されたセルロース)および溶剤スパンセルロース繊維が挙げられる。もちろん、そのような材料から作られた衣服または紡ぎ糸も、セルロース含有布地の定義に含まれる。同様に、「セルロース含有布地」は、そのような材料から作られた布地繊維を含む。さらに、セルロースを含む材料は、木材、木材パルプおよび他の植物ベースの繊維(すなわち、芝生、かいば、種子、樹木、トウモロコシの包皮)、紙、ボール紙、パーティクルボード、食物繊維および非食物繊維を含む。
【0025】
「誘導体」は、C末端およびN末端のいずれかまたは両方に一つ以上のアミノ酸を加えることにより、アミノ酸配列における一つの部位または多数の異なる部位で一つ以上のアミノ酸を置換することにより、前駆体タンパク質(例えば、天然タンパク質)のいずれかまたは両方の端部でもしくはアミノ酸配列における一つ以上の部位で一つ以上のアミノ酸を欠失することにより、またはアミノ酸配列における一つ以上の部位で一つ以上のアミノ酸の挿入により、前記前駆体タンパク質から誘導されたタンパク質を意味する。スウォレニン誘導体の調製は、好ましくは、前記天然タンパク質をコード化するDNA配列を修飾し、このDNA配列を適切な宿主中に形質転換し、修飾されたDNA配列を発現させて、該スウォレニン誘導体を形成することにより行われる。本発明の誘導体としては、前駆体アミノ酸配列(例えば、野生型または天然状態のスウォレニン)と比較して変更されているアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられ、このペプチドは、前駆体スウォレニンの特徴的なスウォレニンの性質を維持しているが、ある特定の態様においては修飾された特性を有している。例えば、あるスウォレニン誘導体は、増大したpH最適条件もしくは増大した温度または酸化安定性を有しているが、特徴的なセルロース修飾活性は維持する。同様に、本発明による誘導体は、そのセルロース結合能力を著しく損なうまたは向上させるような様式で加えられた、除去されたまたは修飾されたかのいずれかのセルロース結合ドメインを含んでいる。同様に、触媒セルロース分解ドメインが、前記スウォレニンと共に作用するように、加えられ、除去されまたは修飾されたかのいずれであってもよい。本発明による誘導体は、スウォレニン誘導体をコード化するDNA断片から誘導されてもよく、ここで、発現されたスウォレニン誘導体の機能的活性が維持されていると考えられる。誘導体はさらに、スウォレニンの特性を変更する化学修飾を含む。
【0026】
「発現ベクター」は、適切な宿主中のDNAの発現を行うことのできる適切な調節配列に操作可能に結合したDNA配列を含むDNA構成物を意味する。そのような制御配列は、転写を行うプロモータ、転写を制御する必要に応じてのオペレータ配列、mRNA上の適切なリボソーム結合部位をコード化する配列、および転写と翻訳の終結を制御する配列を含んでいてもよい。好ましくは、異なる発現ベクターに関しては、異なる細胞種類が用いられる。枯草菌中で用いられるベクターの好ましいプロモータはAprEプロモータであり、大腸菌中で用いられる好ましいプロモータはLacプロモータであり、パン酵母中で用いられる好ましいプロモータはPGK1であり、黒色アスペルギルス中で用いられる好ましいプロモータはglaAであり、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)の好ましいプロモータはcbhlである。前記ベクターは、プラミスド、ファージ粒子、または単に潜在的ゲノム挿入物であってもよい。一旦適切な宿主中に形質転換されたら、前記ベクターは、その宿主ゲノムとは独立して複製し、機能しても、あるいは、適切な条件下で、そのゲノム自体の中に組み込まれてもよい。本明細書においては、プラスミドおよびベクターがときどき交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たし、従来技術において知られている、または知られるようになった発現ベクターの他の形態を含むことを意図したものである。したがって、様々な宿主/発現ベクターの組合せを、本発明のDNA配列を発現するのに用いてもよい。有用な発現ベクターは、例えば、様々な既知のSV40の誘導体並びに既知の細菌プラスミド、例えば、col E1, pCR1, pBR322, pMb9, pUC 19およびそれらの誘導体を含む大腸菌からのプラスミド、より広い宿主範囲のプラスミド、例えば、RP4, ファージDNA、例えば、ファージλの多くの誘導体、例えば、NM989、および他のDNAファージ、例えば、M13および糸状一本鎖DNAファージ、2μプラスミドまたはそれらの誘導体のような酵母プラスミド、動物細胞中で有用なベクターおよびプラスミドとファージDNAとの組合せ由来のベクターのような、真核細胞中で有用なベクター、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するように修飾されたプラスミドのような、染色体、非染色体および合成DNA配列の断片からなっていてもよい。本発明の発現ベクターを用いた発現技術は、従来技術において知られており、例えば、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Press (1989)に一般的に記載されている。しばしば、本発明のDNA配列を含むそのような発現ベクターが、組込み動作により特定の種のゲノム中への直接の挿入により単一細胞宿主中に形質転換される(例えば、Bennett & Lasure, More Gene Manipularion in Fungi, Academic Press, San Diego, pp.70-76 (1991)および菌類宿主中の標的ゲノム挿入を説明する、ここに引用された文献を参照のこと。これらをここに引用する)。
【0027】
「宿主株」または「宿主細胞」は、本発明によるDNAを含む発現ベクターにとって適切な宿主を意味する。本発明に有用な宿主細胞は、一般的に、発現を行うことのできるいかなる形質転換可能な微生物をも含む、原核または真核宿主である。特に、宿主株は、枯草菌、大腸菌、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)、パン酵母または黒色アスペルギルスであってもよい。宿主細胞は、組換えDNA技術を用いて構成されたベクターにより形質転換または形質移入される。そのような形質転換された宿主細胞は、スウォレニンおよびその変異株(変異体)をコード化するベクターを複製したり、所望のペプチド産生物を発現することができる。本発明の好ましい実施の形態において、「宿主細胞」は、細胞およびトリコデルマspの細胞から形成された原形質体の両方を意味する。
【0028】
「信号配列」は、細胞の外側のタンパク質の成熟形態の分泌を促進させるタンパク質のN末端部分に結合したアミノ酸の配列を意味する。信号配列のこの定義は機能的なものである。細胞外タンパク質の成熟形態には、分泌プロセス中に分解される前記信号配列がない。
【0029】
「DNA構成物またはベクター」(ここでは交換可能に用いられている)は、上述したどのような新たなスウォレニンまたはその誘導体をもコード化する一つ以上のDNA断片またはDNA変異株断片を含むヌクレオチド配列を意味する。
【0030】
「機能的に結合」とは、プロモータ、ターミネータ、分泌信号またはエンハンサ領域のような調節領域が、構造遺伝子に結合し、その遺伝子の発現を調節することを意味する。
【0031】
スウォレニンの調製
本発明は、スウォレニンおよびスウォレニンの誘導体の発現、精製および/または単離および使用に関するものである。これらのスウォレニンは、好ましくは、組換え方法により調製される。しかしながら、本発明に使用するスウォレニンタンパク質は、天然単離体からの精製のような他の従来技術で認知されている手段により得てもよい。
【0032】
本発明によるスウォレニンを調製する好ましい態様は、プロモータに機能的に結合したスウォレニンの一部または全てをコード化するDNAの少なくとも一つの断片を含むDNA構成物でトリコデルマsp.宿主細胞を形質転換することを含む。次いで、形質転換された宿主細胞は、所望のタンパク質を発現するような条件下で成長させられる。その後、所望のタンパク質産生物は、実質的な均一性まで精製される。
【0033】
好ましくは、形質転換すべき微生物は、トリコデルマspp.またはアスペルギルスspp.由来の株を含む。より好ましくは、その株は、過剰に発現されたタンパク質を得るのに有用なトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)または黒色アスペルギルスvar.awamoriを含む。例えば、Appl.Microbiol.Biotechnology, 20 (1984) pp.46-53においてSheir-Neiss等により記載されたRL-P37が、多量のセルラーゼ酵素を分泌することが知られている。RL-P37の機能的同等物としては、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)株RUT-C30(ATCC 56765)および株QM9414(ATCC 26921)が挙げられる。別の例としては、Appl.Microbiol.Biotechnology, 39:738-743 (1993)においてWard等により記載された過剰産生変異体を含む。これらの株もまた、トリコデルマspp.スウォレニンを過剰発現するのに有用であると考えられる。
【0034】
セルロース分解活性の不在下でスウォレニンタンパク質を得るのが望ましい場合には、例えば、該スウォレニンをコード化するDNA断片を含有するDNA構成物またはプラスミドの導入前に、一つ以上のセルラーゼ遺伝子が欠失されたトリコデルマ宿主細胞株を得ることが有用である。そのような株は、ここに引用する、米国特許第5,246,853号および国際特許出願公開第WO92/06209号に記載されている方法により調製されてもよい。一つ以上のセルラーゼ遺伝子が欠如している宿主微生物中でスウォレニンを発現することにより、同定およびその後の精製方法が単純になる。クローニングされたトリコデルマsp.からのどの遺伝子も、例えば、cbh1, cbh2, およびeg/3遺伝子並びにEGIIIおよび/またはEGVタンパク質をコード化する遺伝子(例えば、それぞれ、米国特許第5,475,101号および国際特許出願公開第WO94/28117号を参照のこと)も欠失することができる。
【0035】
遺伝子欠失は、従来技術において知られている方法により、欠失または分断すべき所望の遺伝子のある形態をプラスミド中に挿入することにより行ってもよい。次いで、欠失プラスミドは、所望の遺伝子暗号領域の内側にある適切な制限酵素部位で切断され、その遺伝子暗号配列またはその一部が選択可能なマーカーにより置き換えられる。好ましくは約0.5から0.2kbの間の、欠失または分断すべき遺伝子座からの隣接するDNA配列は、前記選択可能なマーカー遺伝子のいずれかの側に残っている。適切な欠失プラスミドは、一般的に、隣接するDNA配列を含む欠失された遺伝子および選択可能なマーカー遺伝子を含有する断片を一つの線状片として除去できる、その中に存在する特異的な制限酵素部位を有する。
【0036】
選択可能なマーカーは、形質転換された菌類を欠失できるように選択しなければならない。選択された微生物中で発現されるどのような選択可能なマーカー遺伝子も適している。例えば、トリコデルマsp.に関して、選択可能なマーカーは、形質転換体中に選択可能なマーカーが存在することにより、その特性に著しい影響が与えられないように選択される。そのような選択可能なマーカーは、検定可能な生成物をコード化する遺伝子であってもよい。例えば、宿主株が欠如しているときに、栄養要求性株表現型を示す宿主株が得られるトリコデルマsp.遺伝子の機能的コピーを用いてもよい。
【0037】
好ましい実施の形態において、トリコデルマsp.のpyr4−誘導体株は、機能的pyr4株により形質転換され、これにより、形質転換のための選択可能なマーカーが提供される。pyr4−誘導体株は、フルオロオロチン酸(FOA)に耐性のあるトリコデルマsp.株の選択により得てもよい。このpyr4遺伝子は、ウリジンの生合成に必要とされる酵素である、オロチジン−5’−モノホスフェートデカルボキシラーゼをコード化する。無傷のpyr4遺伝子を有する株は、ウリジンを欠如した培地中でも成長したが、フルオロオロチン酸に対して敏感である。FOA耐性に関して選択することにより、オロチジンモノホスフェートデカルボキシラーゼ酵素が欠如し、成長にウリジンを必要とするpyr4−誘導体株を選択することができる。このFOA選択技術を用いることにより、機能的オロテートポリホスホリボシルトランスフェラーゼが欠如したウリジン要求株を得ることもできる。これらの細胞をこの酵素をコード化する遺伝子の機能的コピーで形質転換することができる(BergesおよびBarreau, 1991, Curr.Genet. 19 pp.359-365)。誘導体株の選択は、上述したFOA耐性技術を用いることにより容易に行われ、したがって、前記pyr4遺伝子は、好ましくは、選択可能なマーカーとして用いられる。
【0038】
一つ以上のセルラーゼ遺伝子を発現する能力を欠如させるようにpyr4−トリコデルマsp.を形質転換するために、分断または欠失されたセルラーゼ遺伝子を含む一つのDNA断片を、欠失プラスミドから単離し、適切なpyr−トリコデルマ宿主を形質転換するために使用する。次いで、形質転換体を同定し、pyr4遺伝子産生物を発現する、したがって、その宿主株のウリジン栄養要求性を補足する能力に基づいて選択する。次いで、得られた形質転換体にサザンブロット分析を行って、欠失すべき遺伝子のゲノムコピーの暗号領域の一部または全てをpyr4選択可能マーカーで置き換える二重乗換え組込み操作を同定し、確認する。
【0039】
上述した特定のプラスミドベクターはpyr−形質転換体の調製に関するものであるが、本発明は、これらのベクターに限られるものではない。上述した技術を用いて、トリコデルマsp.株において様々な遺伝子を欠失し、置き換えることができる。さらに、どのような利用できる選択可能なマーカーを上述したように用いても差し支えない。実際に、クローニングされ、したがって、同定されたどのようなトリコデルマsp.遺伝子を、上述した実験計画を用いてゲノムから欠失しても差し支えない。
【0040】
上述したように、使用した宿主株は、選択された選択可能なマーカーに対応する非機能的遺伝子が欠如したまたはその遺伝子を有するトリコデルマsp.誘導体である。例えば、pyr4の選択可能なマーカーが選ばれた場合、特定のpyr4−誘導体株が形質転換工程における受容体として用いられる。同様に、アスペルギルスニジュランス(nidulans)遺伝子amdS, argB, trpC, niaDと同等なトリコデルマsp.遺伝子を用いてもよい。したがって、その対応する受容株は、それぞれ、argB−, trpC−, niaD−のような誘導体株でなければならない。
【0041】
次いで、適切な微生物中に挿入するために、スウォレニンタンパク質をコード化するDNAを調製する。本発明によれば、スウォレニン酵素をコード化するDNAは、機能的スウォレニン活性を有するタンパク質をコード化するのに必要なDNAの全てを含む。したがって、ここに記載した方法に従って遺伝子を同定し、単離してもよいとすると、DNAは、スウォレニンを産生するどのような微生物源から由来してもよい。好ましい実施の形態において、このDNAは、トリコデルマsp.、そしてより好ましくは、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)由来のスウォレニンタンパク質をコード化する。
【0042】
このスウォレニンまたは誘導体をコード化するDNA断片またはDNA変異体断片は、菌類プロモータ配列、例えば、cbh1またはeg/1遺伝子のプロモータに機能的に結合していてもよい。
【0043】
スウォレニンをコード化するDNAの複数のコピーを前記株中に組み込んで、過剰発現を促進させてもよいことが考えられる。
【0044】
前記スウォレニンをコード化するDNAは、切断されたセルラーゼをコード化するDNAを運搬する発現ベクターの構成により調製してもよい。スウォレニンをコード化する挿入されたDNA断片を運搬する発現ベクターは、所定の宿主微生物中で自律的に複製できる、または宿主のDNA中に組み込むことのできるどのようなベクター、典型的にはプラスミドであってもよい。好ましい実施の形態において、遺伝子の発現を得るには、二種類の発現ベクターが考えられる。第一の発現ベクターは、プロモータ、遺伝子暗号領域、およびターミネータ配列の全てが発現すべき遺伝子から生じるDNA配列を含む。遺伝子切断物は、望ましくないDNA配列(例えば、望ましくないドメインの暗号)を欠失して、発現すべきドメインをそれ自体の転写および翻訳調節配列の制御下に残しておくことにより得てもよい。前記ベクター上には選択可能なマーカーも含まれており、新たな遺伝子配列の多数のコピーの宿主中への組込みのために選択することができる。
【0045】
第二の種類の発現ベクターは、予め構成されており、高レベルの転写に必要とされる配列および選択可能なマーカーを含んでいる。遺伝子またはその一部の暗号領域を、発現カセットプロモータおよびターミネータ配列の転写制御下にあるようにこの汎用目的発現ベクター中に挿入できると考えられる。例えば、pTEXは、そのような汎用目的発現ベクターである。遺伝子またはその一部を強力なcbh1プロモータの下流に挿入しても差し支えない。
【0046】
ベクターにおいて、本発明のスウォレニンをコード化するDNA配列は、転写および翻訳配列、すなわち、構造遺伝子に対する読み取り枠内の適切なプロモータ配列および信号配列に操作可能に結合しているべきである。そのプロモータは、宿主細胞中において転写活性を示すどのようなDNA配列であってもよく、該宿主細胞に対して相同または非相同いずれかのタンパク質をコード化する遺伝子由来であってもよい。この信号ペプチドは、スウォレニンまたはその誘導体の細胞外産生を提供する。この信号配列をコード化するDNAは、好ましくは、発現すべき遺伝子に自然に関連したものであるが、本発明においては、どのような適切な供給源、例えば、トリコデルマからのエキソセロビオヒドロラーゼまたはエンドグルカナーゼからの信号配列も考えられる。
【0047】
本発明のスウォレニンをコード化するDNA配列をプロモータにライゲーションするのに用いられる方法、および適切なベクター中に挿入する方法は、従来技術においてよく知られている。
【0048】
上述したDNAベクターまたは構成物は、形質転換、形質移入、微量注射法、マイクロポレーション、生物衝撃等のような既知の技術に従って宿主細胞中に導入してもよい。
【0049】
好ましい形質転換技術において、トリコデルマsp.においてDNAに対する細胞壁の透過性は非常に低いことを考慮しなければならない。したがって、所望のDNA配列、遺伝子または遺伝子断片の取込みは、せいぜい最小である。形質転換プロセスの前に誘導体株におけるトリコデルマsp.細胞壁の透過性を増大させる方法が数多くある(すなわち、使用した選択可能なマーカーに対応する機能遺伝子を欠如させる)。
【0050】
形質転換ためにトリコデルマsp.を調製する本発明の好ましい方法は、菌類菌糸体からの原形質体の調製を含む。この菌糸体は、発芽した栄養胞子から得ることができる。菌糸体は、細胞壁を消化する酵素により処理されて、原形質体となる。次いで、原形質体は、浮遊培地中に存在する浸透安定化剤により保護される。これらの安定化剤としては、ソルビトール、マンニトール、塩化カリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。通常は、これらの安定化剤の濃度は、0.8Mから1.2Mまでの間にある。浮遊培地中で約1.2Mのソルビトール溶液を使用することが好ましい。
【0051】
前記DNAの宿主トリコデルマsp.株中の取込みは、カルシウムイオン濃度に依存する。一般的に、取込溶液中において、約10mMのCaCl2から約50mMのCaCl2までが用いられる。取込溶液中のカルシウムイオンの必要性以外に、一般的に含まれる他の項目としては、TE緩衝液(10mMのトリス、pH7.4;1mMのEDTA)または10mMのMOPS、pH6.0緩衝液(モルホリンプロパンスルホン酸)およびポリエチレングリコール(PEG)がある。ポリエチレングリコールは、細胞膜を溶解するように機能し、したがって、培地の含有物をトリコデルマsp.株の細胞質中に供給することができ、プラスミドDNAがその核に運搬されると考えられている。この溶解によりしばしば、宿主の染色体中に縦列に組み込まれるプラスミドDNAの多数のコピーが残る。
【0052】
通常、108から109/ml、好ましくは、2×108/mlの密度で透過処理が施されたトリコデルマsp.原形質体または細胞を含有する懸濁液が形質転換に用いられる。適切な溶液(例えば、1.2Mのソルビトール;50mMのCaCl2)中の100ミリリットルのこれらの原形質体または細胞を、所望のDNAと混合する。一般的に、高濃度のPEGが取込溶液中に加えられる。この原形質体懸濁液には、0.1から1容積の25%のPEG4000を加えることができる。しかしながら、約0.25容積をこの原形質体懸濁液に加えることが好ましい。ジメチルスルホキシド、ヘパリン、スペルミジン、塩化カリウム等のような添加剤を取込溶液に加え、形質転換に役立ててもよい。
【0053】
次いで、一般的に、この混合物を10分から30分の期間に亘り約0℃でインキュベーションする。次いで、追加のPEGをこの混合物に加えて、所望の遺伝子またはDNA配列の取込みを向上させる。前記25%のPEG4000を、形質転換混合物の容積の5から15倍の容積で加えるが、それより多いまたは少ない容積が適していてもよい。好ましくは、この25%のPEG4000は、形質転換混合物の容積の約10倍である。このPEGを加えた後、形質転換混合物を、ソルビトールおよびCaCl2溶液を加える前に、室温でインキュベーションする。次いで、前記原形質体懸濁液をさらに加えて、成長培地のアリコートを溶融させる。この成長培地により形質転換体のみが成長することができる。本発明には、所望の形質転換体を成長させるのに適したどのような成長培地を用いても差し支えない。しかしながら、Pyr+形質転換体を選択する場合には、ウリジンを含有しない成長培地を使用することが好ましい。次のコロニーを、ウリジンのない成長培地に移し、精製する。
【0054】
この段階で、より速い成長速度およびウリジンのない固形培地上のぎざぎさというよりはむしろ滑らかな輪郭を有する円形コロニーの形成により、安定な形質転換体は、不安定な形質転換体から区別されるであろう。さらに、ある場合には、固形非選択培地(すなわち、ウリジンを含有する)上で形質転換体を成長させ、この培地から胞子を収穫し、続いて発芽し、ウリジンのない選択培地上で成長するこれら胞子の割合を決定することにより、安定性のさらなる試験を行ってもよい。
【0055】
上述した方法の特別な実施の形態において、スウォレニンまたはその誘導体は、新たなスウォレニンまたはその誘導体の適切な後翻訳処理のいずれかの結果として、液体培地中で成長した後に宿主細胞から活性形態で回収される。
【0056】
発現されたスウォレニンは、遠心分離、濾過、および塩、例えば、硫酸アンモニウムによる上澄みまたは濾液中のタンパク質の沈殿による培地からの細胞の分離を含む従来の技術によって、培地から回収される。さらに、イオン交換クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー方法を用いてもよい。抗体(多クローン性または単クローン性)を自然の精製したスウォレニンに対して形成しても、または合成ペプチドをスウォレニン分子の一部から調製し、多クローン性抗体を形成するのに用いてもよい。
【0057】
実施例1
新たなスウォレニンをコード化する
トリコデルマリーセイ (longibrachiatum) cDNAクローン
図1および2は、Saloheimo等, 1994, Molec.Microbiol. 13:219-228に記載されたような混合炭素源上での成長後にトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)から調製したcDNAのライブラリから得たcDNAクローンのヌクレオチド配列(配列番号1番)および予測される対応するアミノ酸配列(配列番号2番)を示している。このcDNAは、遺伝子を説明するのに役立つ以下の特性を示した:
1482ntの読み取り枠を同定し、コード化されたタンパク質を推定した。
【0058】
予測したタンパク質の最初の18のアミノ酸は、分泌信号配列および信号分割部位に予測される以下の特性を有する。アミノ酸lle 18の後の見かけ信号ペプチダーゼ分割部位および疎水性アミノ酸の配列が続く、アミノ末端メチオニンの近くには、正に荷電したアミノ酸(リシン)がある。したがって、成熟スウォレニンの予測したN末端はGln-Glnである。同様に、トリコデルマにより産生された成熟セルラーゼの多くは、N末端(例えば、CBHI, CBHII, EGI, EGIIおよびEGIII)でグルタミンを有しており、EGIおよびEGIIの両方が、一対のグルタミン残基で始まり、これがN末端であるということを強力に結論付けている。したがって、成熟タンパク質は、長さが475のアミノ酸であり、可能性のあるグリコシル化または他の修飾、およびアミノ酸組成に基づく約4.6の計算されたplを含まずに、約49.5kDaの分子量を有すると予測される。アスパラギン160、336および406には、三つの可能性のあるN結合グリコシル化部位(N-X-S/Tのコンセンサスアミノ酸配列を有する)がある。
【0059】
予測した成熟タンパク質配列の残基4から39は、トリコデルマにより産生されたセルラーゼおよび他の菌類セルラーゼのセルロース結合ドメイン(CBD)と密接な類似性を有している(トリコデルマのCBHIIのCBDと58%の同一性)。CBDは、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)からのマンナーゼおよびアセチルキシランエステラーゼのようないくつかの非セルロース分解性細胞外菌類酵素とも関連しており、スウォレニンCBDとこれらのCBDとの間で同様の同一性が示されている。
【0060】
この予測したトリコデルマタンパク質のCBDの後には、Ser, Thr, GlyおよびPro残基が豊富であり、トリコデルマおよび他の菌類セルラーゼ中に存在するリンカーまたはヒンジ領域に対して同様の機能性を共有すべきであり、前記CBDを触媒ドメインに接続する領域(残基41からほぼ残基86まで)が続いている。
【0061】
図1および2のトリコデルマスウォレニンの予測されたアミノ酸配列(配列番号2番)とより高度な植物エクスパンシンの既知の配列との間には、類似性のある領域が観察される。図3は、予測されたトリコデルマタンパク質の一部と、前出のShcherban等による九つの植物エクスパンシン由来のコンセンサス配列(配列番号3番)との間の配列を示している。これらの配列は、レーザジーンソフトウェアパッケージ(DNASTAR Inc.)に含まれるJotun Heinアルゴリズムを用いて配列され、二つのアミノ酸配列の間で36%の類似性が計算された。この配列に用いたトリコデルマスウォレニン配列の322のアミノ酸の内、70または21.7%が、より高度の植物コンセンサス配列と同一であった。
【0062】
類似性のある領域は、トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)スウォレニンと、フィブロネクチン型反復の豊富なヒトチチンタンパク質との間でも観察することができる。プログラムBLAST(Altschul等, 1990, J.Mol.Biol. 215:403-410)により行われたタンパク質配列データバンクに対する同様な研究においても相同性が検出され、実例として示された配列がそのプログラムにより形成された。トリコデルマリーセイスウォレニンに対して相同性のチチンの領域は、フィブロネクチン型反復の一部である。フィブロネクチン反復は、いくつかの細菌炭水化物修飾酵素(Little等, 1994, J.Mol.Evol. 39:631-643)中には見つかったが、いずれの菌類タンパク質からは見つからなかった。BLAST研究は、植物エクスパンシンとフィブロネクチン反復含有タンパク質との間の類似性を示さなかった。
【0063】
トリコデルマリーセイスウォレニン
283 GGPYYFALTAVNTNGPGSVTKI (配列番号21番)
ヒトチチン
12268 GNEYYFRVTAVNEYGPGVPTDV (配列番号22番)
トリコデルマリーセイスウォレニン
100 TKGSVTASWTDPMETLGA (配列番号23番)
ヒトチチン
9114 TKGSMLVSWTPPLDNGGS (配列番号24番)
トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)スウォレニン遺伝子は、菌類が唯一の炭素源としてのセルロース上で成長したときに発現されたが、唯一の炭素源としてのグルコース上で成長したときには発現されなかった。
【0064】
トリコデルマ中のスウォレニン遺伝子発現の規則を調査するために、以下の実験を行った。トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)株を、5%のグルコースまたは2%のセルロースを含有する最小培地(Penttila等, 1987, Gene 61:155-164)中で3日間に亘り振とうフラスコ中(28℃、200RPM)で成長させた。ソホロースの導入について試験するために、この株を、2%のソルビトールを有する最小培地中で3日間に亘り成長させ、1mMの最終濃度となるまでソホロースを加えた。この培養をさらに10時間に亘り続け、同量のソホロースを加えた。この培養は、二回目の添加後から5時間後に終了した。対照として、ソホロースを添加せずに、2%のソルビトール中での87時間に亘る培養を行った。培養後、前記菌糸体を、ガラス繊維フィルタを用いた濾過により収穫し、0.9%のNaClで洗浄し、凍結させた。Chirgwin等の方法(1979, Biochem.J. 18:5294-5299)に従って、全RNAを菌糸体試料から単離した。5μgのRNA試料を、グリオキサールで処理し、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7中の1%アガロースゲル中で泳動させた。ハイボンドNナイロン(Hybond-N nylon)膜(アメルシャムAmersham)上へのキャピラリーブロッティングを製造業者の説明書に従って行った。ハイブリッド形成プローブを、スウォレニンcDNAを運搬するcDNAライブラリープラスミドをEcoRIおよびXhoIで消化し、消化したプラスミドを0.8%アガロースゲル中で泳動させ、このゲルからcDNA断片をキアクイック(Qiaguick)ゲル抽出キット(キアゲンQiagen)により単離することにより調製した。このプローブに、ランダムプライムド(Random Primed)DNA標識付けキット(ベーリンガーマンハイム)で標識付けた。ハイブリッド形成は、50%のホルムアミド、10%のデストラン硫酸、1%のSDS、1MのNaCl、125μg/mlのヘリング精子DNA中において42℃で24時間に亘るものであった。前記フィルタは、42℃で、5×SSPE中において15分間に亘り、1×SSPE、0.1%のSDS中において15分間に亘り2回、そして、室温で0.1×SSPE、0.1%のSDS中において15分間に亘り2回洗浄した(1×SSPEは、0.18MのNaCl、1mMのEDTA、10mMのNaH2PO4、pH7.7)。この実験の結果が図4に示されている。グルコース上で成長した後には、スウォレニンmRNAは全く観察されず、ソルビトール上での成長後には、非常にわずかなmRNAが観察された。これとは対照的に、セルロース上での成長後、またはソルビトール成長培地にソホロースを添加した後には、高レベルのスウォレニンmRNAが観察された。
【0065】
実施例2
トリコデルマスウォレニンをコード化する
クローニングされたDNA分子の調製
以下は、実施例2に記載した全スウォレニン遺伝子を含むクローンを調製する方法として提供するものである。この実施例において、ゲノムDNAまたはcDNAクローンをトリコデルマから誘導し、以下の方法を用いて調製する。
【0066】
以下に示すオリゴヌクレオチドを合成する:
EXP-A 5'-GGCGAGATCTTGCTGCCCATCATATTGTGC-3' (配列番号19番)
EXP-B 5'-GGCGTCTAGACTGCACACCAATGTCAATGT-3' (配列番号20番)
オリゴヌクレオチドEXP-Aは、配列番号1番のnt425からnt445までのDNA配列後の5’末端の近くにBglII制限酵素認識部位を含んでいる。オリゴヌクレオチドEXP-Bは、配列番号1番のnt1471からnt1490までのDNA配列の逆補体後の5’末端近くにXbaI認識部位を含んでいる。
【0067】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、オリゴヌクレオチドEXP-AおよびEXP-Bをプライマーとして、トリコデルマリーセイ株QM6a(ATCC 13631)から単離した全ゲノムDNAをテンプレートとして用いることにより行った。DNAポリメラーゼ酵素(Pwoポリメラーゼ)、緩衝液および使用したデオキシヌクレオチド混合物は、ベーリンガーマンハイムにより供給されたものであった。PCRには、以下の条件を用いた;工程1、94℃で1分間;工程2、92℃で40秒間;工程3、50℃で1分間;工程4、72℃で2分間;工程2、3および4を29回繰り返した;工程5、72℃で5分間。
【0068】
PCRの主要DNA産生物は、アガロースゲル電気泳動により推測した約1.3kbの断片であった。このPCR産生物をBglIIおよびXbaIで消化し、前記1.3kbのDNA断片をアガロース電気泳動ゲルから精製した。このDNA断片を、BglIIおよびXbaIで消化してあるpSL1180(ファーマシアPharmacia)とライゲーションした。得られたプラスミドは、pSLexpPCRと名付けた。DNA配列分析により、pSLexpPCR中の1.3kb挿入物は、トリコデルマスウォレニン遺伝子の予測した断片に対応することを確認した。このDNA配列により、この1.3kbの断片内に、配列番号1番のnt575とnt576との間、nt791とnt792との間、そして、nt969とnt970との間に対応する位置で、三つのイントロンが存在することが示された。
【0069】
このプラスミド、またはそれが含む前記1.3kbの挿入物は、ここではハイブリッド形成プローブとして用いて、前記スウォレニン遺伝子を関心のあるどのようなゲノムDNAまたはcDNAライブラリーからもクローニングできるようにしても差し支えない。pSLexpPCR内のスウォレニンコード化DNAは、前記CBDに対応する領域またはリンカー(ヒンジ)領域を含まない。したがって、設計により、他の非スウォレニン遺伝子の一部であるかもしれないCBDコード化配列ではなく、他のスウォレニンDNA配列とハイブリッド形成することが予測される。
【0070】
トリコデルマリーセイ(longibrachiatum)株QM6aからの全ゲノムDNAを、様々な異なる制限エンドヌクレアーゼで別々に消化し、アガロースゲルの電気泳動に施した。続いて、このDNAをニトラン(S&S)膜フィルタにプロットし、pSLexpPCRから単離した1.3kbのBalII-XbaIDNA断片でプローブし、アメルシャムにより供給されるメガプライムランダム標識付けシステムにより32Pで標識付けた。このプローブとのハイブリッド形成は、30%のホルムアミド、5×SSPE、0.5%のSDSを含有する緩衝液中において、38℃で穏やかな条件で行った。前記膜フィルタを、Xフイルムに露出する前に、55℃で、2×SSC、0.1%のSDS中において穏やかな条件で洗浄した。この結果は、トリコデルマリーセイスウォレニン遺伝子のゲノムコピーが、約4.5kbのBglII断片上、または約5.5kbのXbaI断片上にあることを示した。
【0071】
例示したスウォレニン遺伝子を上述したように提供したとすると、pSLexpPCR中に挿入されたPCR断片をプローブとして用いたコロニーハイブリッド形成により、ゲノムDNAまたはcDNAライブラリーからトリコデルマリーセイスウォレニンをクローンすることは当業者にとって日常的なことである。
【0072】
実施例3
トリコデルマリーセイスウォレニンのゲノムコピーのクローニング
およびその黒色アスペルギルス VAR.AWAMORI 中での発現
トリコデルマリーセイスウォレニンのゲノムコピーをPCRによりクローニングした。テンプレートDNAはトリコデルマリーセイRutC-30(ATCC 56765)からのものであり、スウォレニン暗号領域の5’および3’末端に対応するプライマーを、CGI-PVS-055(gcg cag atc tca gca atg gct ggt aag ctt atc ctc g)およびGCI-PVS-056(gcg ctc tag atc aat tct ggc taa act gca cac c)と称した。
【0073】
PCR増幅断片を、BglIIおよびXbaIで消化し、BglII-XbaIで開いたpGAPT-PT中にクローニングして、pGAPT-expCを得た。この挿入物の塩基配列決定により、スウォレニン遺伝子の染色体コピーが五つのイントロンを有することが示された。
【0074】
このスウォレニン遺伝子の染色体コピー(すなわち、pGAPT-expC)をアスペルギルス中に形質転換し、形質転換体をcDNAに関して上述したようにスクリーニングした。
【0075】
実施例4
微生物中のスウォレニンコード化DNA配列
を単離する方法
実施例2および3の汎用技術を既知の技術と共に適応して、他の菌類および細菌からスウォレニンまたはスウォレニン型遺伝子を含むクローンを得てもよい。プラスミドpSLexpPCRまたは前記スウォレニン遺伝子の一部をコード化する単離された1.3kbのDNA挿入物(実施例2)を、スウォレニンのコア領域のように標識付けてもよい(実施例3)。次いで、このDNAプローブを用いて、他の菌類または細菌からのゲノムDNAまたはcDNAとハイブリッド形成することができる。より高度な植物エクスパンシンに関して発表されている配列は、非常に高レベルのアミノ酸同一性を示している(例えば、図5および6を参照のこと、ここでは、下線の断片が高相同性の領域を示している)。トリコデルマスウォレニンの推定したアミノ酸配列と、より高度の植物エクスパンシンの既知のアミノ酸配列との比較により、スウォレニンと植物エクスパンシンとの間のアミノ酸のある保存された領域が同定される。これらの保存された領域により、他の微生物からのスウォレニンコード化DNAのPCR増幅に使用するための変性プライマーを設計する基本原理が得られる。そのような方法は、従来技術において知られており、決まりきったことであると考えられている(例えば、McPherson等, PCR A Practical Approach, pp. 171-186 (1991)を参照のこと)。配列番号2番のアミノ酸192-200および366-371に対応する保存された領域が、他の保存された領域を使用しても差し仕えないが、この目的にとって特に有用であると指摘されている(また、図3の強調した断片も参照のこと)。
【0076】
配列番号2番のアミノ酸残基192-200の配列、TSGGACGFG(配列番号14番)が、コンセンサス植物エクスパンシン配列、TMGGACGYG(配列番号15番)(図5における位置19-27)における配列と高度に相同である。この相同性の領域に基づいて、アミノ酸配列T(M/S)GGACG(Y/F)Gの一部または全てをコード化する可能性のあるDNA配列全てを含む変性オリゴヌクレオチドを合成することができる(例えば、McPherson等,前出 , p174を参照のこと)。
【0077】
配列番号2番のアミノ酸残基の配列366-371、YRRVQC(配列番号16番)が、コンセンサス植物エクスパンシン配列、YRRVPC(配列番号17番)およびFRRVPC(配列番号18番)(図5における位置127-132)における配列と高度に相同である。この相同性の領域に基づいて、アミノ酸配列(F/Y)RRV(P/Q)Cの一部または全てをコード化する可能性のあるDNA配列全てを含むように変性オリゴヌクレオチドを合成することもできる。このアミノ酸配列由来のオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNAを用いた決まりきったPCR実験のためのプライマーとして、前述したアミノ酸配列由来のものとともに使用される。次いで、ゲノムDNAまたはcDNAは、どのような微生物からも容易に得ることができ、そのようなPCR実験におけるテンプレートとして使用することができる。このようにして、様々な微生物からスウォレニンをコード化する遺伝子をクローニングすることができる。
【0078】
実施例5
他の微生物から
スウォレニンコード化配列を単離するための
異種ハイブリッド形成方法
異なる微生物からのゲノムDNAをHind3で消化し、1.0%のアガロースゲル上で泳動させた。ゲルを脱プリンし、変性し、ブロッティングを行い、前記膜を前述したように紫外線架橋させた。ベーリンガーマンハイムからのDIG/Genius(商標)システムを用いて、プリハイブリッド形成、ハイブリッド形成、プローブの標識付けおよび検出を行った。
【0079】
このプローブは、トリコデルマリーセイスウォレニンのコア領域をコード化する配列に対応した。元のcDNAサブクローン(実施例1)をEco1およびEcoR1で消化して、製造業者(ベーリンガーマンハイム)の説明書に従ってランダムプライムド標識付けによりDIG-dUTP(ジオキシゲニン-dUTP)で標識付けた。
【0080】
前記膜を、45℃で、5×SSC−0.1%のN−ラウロイルサルコシン−0.02%のSDS−1%のGenius遮断試薬中でプレハイブリッド形成し、ハイブリッド形成した。ハイブリッド形成(一晩に亘る)の後に、室温で2回、10分間に亘り6×SSC中で洗浄し、次いで、45℃で2回、5分間に亘り6×SSCで洗浄した。抗DIGアルカリ性ホスファターゼ接合体による検出および化学発光基質CSPD(登録商標)による視覚化を製造業者の説明書に従って行った。
【0081】
この実験からの結果により、トリコデルマリーセイに加えて、少なくとも以下の種がプローブにハイブリッド形成することが示された:トリコデルマkoningii、ハイポクレアlentaおよびハイポクレアschweinitzii。このHind3の消化において、トリコデルマリーセイおよびトリコデルマkoningiiは、トリコデルマリーセイスウォレニン遺伝子とハイブリッド形成した5kbを越えるバンドを有した。ハイポクレアschweinitziiに関して、ハイブリッド形成したバンドは3.7kbであり、ハイポクレアlentaに関しては、約3.3kbのサイズであった。この方法とその変更方法(異なるハイブリッド形成および洗浄条件)を用いて、どのような微生物からのスウォレニンコード化遺伝子を検出することができる。
【0082】
実施例6
トリコデルマリーセイスウォレニンの発現のための
パン酵母クローンの調製
実施例1に述べたトリコデルマリーセイcDNAを得る過程において、配列番号1番のcDNA配列が、Margolles-Clark等(Appl.Environ.Microbiol., 62:3840-3846, 1996)により記載された方法に従ってプラスミドpAJ401(Saloheimo等, 1994, Molec.Microbiol., Vol.13, pp.219-228 (1994))中のパン酵母PGK1プロモータとターミネータ領域との間に挿入されている発現プラスミドを含んだパン酵母クローンを得た。手短に言うと、トリコデルマリーセイcDNAを、EcoRI-XhoIで切断したプラスミドpAJ401にライゲーションした。プラスミドpAJ401は、酵母PGKプロモータとターミネータとの間の二つのクローニング部位EcoRIおよびXhoIを、特定のリンカーを用いて逆方向に変更することにより、プラスミドpFL60(MinetおよびLacroute, Curr.Genet., Vol.18, pp.287-291 (1990))から誘導した。製造業者の説明書に従ったエレクトロポレーション(バイオラドBio-Rad)による大腸菌株JS4の形質転換により、1.3×106の独立したクローンのライブラリーが得られる。これらのクローンの内の一つは、前記EcoRIおよびXhoI部位の間に挿入された配列番号1番のcDNAを有するpAJ401を含んでおり、続いて、パン酵母株DBY746中に形質転換した。実施例5および6における対照として使用するための、配列番号1番のcDNAを有さないpAJ401を含む第二の酵母クローンを得た。
【0083】
一つが対照クローンであり、もう一つがトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)スウォレニンcDNA配列を含有するクローンである二つの酵母クローンを発酵器中で2−3日に亘り培養した。ケマップ(Chemap)CMF小型1リットルまたはバイオラフィット(Biolafitte)14L発酵器いずれかを用いた。培地は、ウラシルを含まない合成完全培地であった(Sherman, 1991, Methods Enzymol. 194, 3-21)。pHは5.0に維持し、通気は、小型の発酵器では1L/分であり、大型の発酵器では8L/分であり、撹拌速度は300-600rpmであった。発酵後、細胞を遠心分離により除去し、上澄みを50-100倍に濃縮した。
【0084】
実施例7
黒色アスペルギルス var.awamori 中における
トリコデルマリーセイスウォレニンcDNAの発現
アスペルギルス発現ベクターの構成
トリコデルマリーセイスウォレニンcDNAを発現するためのアスペルギルス発現ベクターの構成は三工程からなる:(1)スウォレニンcDNAのPCR増幅およびそのpSP73-hind3中へのサブクローニング(すなわち、HindIII部位が壊された)、(2)PCR増幅由来の間違いを除去するために、PCR由来スウォレニン遺伝子の中間部分をcDNAサブクローンからの元のスウォレニン遺伝子に対して交換する、および(3)スウォレニン挿入物を、黒色アスペルギルスva.awamori glaAプロモータ(グルコアミラーゼ)の元で発見のためにアスペルギルス発現ベクターのpGAPT-PT中にサブクローニングする。
【0085】
1.スウォレニンcDNAのPCR増幅:
トリコデルマリーセイスウォレニンcDNAの暗号領域のPCR増幅のために、プライマーExAspBgl2(CATTAGATCTCAGCAATGGCTGGTAAGCTTATCCTC)およびExAspXba1(CGACTCTAGAAGGATTAGTTCTGGCTAAACTGCACACC)を用いた。
【0086】
ExAspBl2は、翻訳開始部位(ATG)に先行するglaA(グルコアミラーゼ)プロモータ配列の最後の五つのヌクレオチドが続くBglIIクローニング部位を有している。ExAspBgl2中のATGの後には、スウォレニン信号配列に対応する19-merがある。ExAspXba1は、XbaIクローニング部位、停止コドンおよび前記スウォレニン遺伝子の最後の7つのコドンをコード化する暗号を有している。
【0087】
PCR増幅された1.5kbのスウォレニン断片を、BglIIおよびXbaIで消化し、BglII-XbaIで開いたpSP73-Hind3ベクター中にライゲーションした。このクローニング工程の前に、pSP73(プロメガPromega)を、そのHindIII部位に関して最初に欠失させた。これは、前記ベクター(pSP73)をHindIIIで開く前に行われ、突出した末端を、互いにベクター中にライゲーションして戻す前に、T4ポリメラーゼにより(dNTPにより)満たした。このベクターは、pSP73-Hind3と称した。
【0088】
1.5kbのスウォレニン挿入物を含有するpSP73-Hind3をpPCRAexpと称した。
【0089】
2.PCR増幅配列の元の配列による置換:
pPCRAexpをHindIIIおよびBstEIIで消化した。HindIIIは前記信号配列内のスウォレニン暗号配列を切断し、BstEIIはそのスウォレニン暗号配列の端部に近い。pPCRAexpからの1.4kbのHindIII-BstEIIスウォレニン断片を捨て、元のスウォレニンcDNAサブクローンからの1.4kbのHindiii-BstEIIスウォレニン断片(実施例1)と置換した。得られたベクターをpWTAexpと称した。
【0090】
3.発現ベクター中へのクローニング:
pWTAexpをBglIIおよびXbaIで消化して、glaAプロモータ配列の5つのヌクレオチドが先行し、アスペルギルス発現ベクターpGAPT-PG(以下に記載する)中のglaAプロモータおよびターミネータ配列の間のライゲーションを可能にするクローニング部位が隣接した完全暗号領域を有する1.5kbのスウォレニン挿入物を得た。この挿入物およびベクター配列をライゲーションし、得られたベクターをpGAPT-exp(6.5kb)と称した。これは、黒色アスペルギルス中でトリコデルマリーセイスウォレニンcDNAを発現するためのベクターである。
【0091】
pGAPT-expの構成に使用した発現ベクターpGAPT-PG(5.1kb)は、黒色アスペルギルスvar.awamori glaAプロモータ配列の1.1kbのSpel-BglII断片、黒色アスペルギルスglaAターミネータ配列の0.2kb断片およびpUC18バックボーン中の1.6kbのアスペルギルスnidulans pyrGマーカー遺伝子からなる。このglaAターミネータ断片は、glaAプロモータ配列に続き、発現すべき配列を挿入するのに使用できる多重クローニング部位によりその配列から隔てられている。
【0092】
このglaAプロモータ配列の3’末端、すなわち、pGAPT-exp中のスウォレニン遺伝子の翻訳開始部位に先行する配列は、操作されており(多重クローニング部位)、glaAプロモータ中のXmnI部位から始まる以下の配列を有している:
GAAGTGCTTCCTCCCTTTTAGACGCAACTGAGAGCCTGAGCTTCATCCCCAGCATCATTAGATCTCAGCAATG
ここで、末端のATGは、スウォレニンcDNAの開始コドンである。
【0093】
停止コドンの周囲配列は以下のとおりである(スウォレニン中の元の「TAG」停止コドンから操作された、「TAA」停止コドンから始まる):
TAATCCTTCTAGAGTCGACCGCGACGGTGACC
前記glaAターミネータ配列中のBstEII部位(GGTGACC)まで明らかにされている。
【0094】
pGAPT-expのアスペルギルスへの形質転換
pGAPT-expを、Ward等, Appl.Microbiol.Biotechnol. 39:738-743 (1993)に記載された株黒色アスペルギルスvar.awamori dgr246 p2に移した。アスペルギルスの形質転換は、トリコデルマに関して説明したものと同様な基本方法に従うものである。この黒色アスペルギルスvar.awamori dgr246 p2の形質転換方法は、Ward等, Appl.Microbiol.Biotechnol. 39:738-743 (1993)にも記載されている。
【0095】
形質転換体は、ウリジンを含まない最小栄養源上で成長能力に基づいて選択された。形質転換されていない細胞には、成長のためにウリジンが必要である。
【0096】
形質転換体のスクリーニング
アスペルギルス形質転換体を、Ward等, Bio/Technology 8:435-440 (1990)に記載されたように5-11日間に亘り250mlの振とうフラスコ中の50mlの液体培地中で培養した。この複合培地は、15%のマルトースを含有し、glaAプロモータを誘発し、したがって、スウォレニン遺伝子の発現を駆動した。培地の上澄みをSDS−PAGEゲル上で泳動させた。トリコデルマリーセイスウォレニンを産生していたアスペルギルス形質転換体は、66kDのマーカーバンドよりも上に泳動しているバンドを有しており、このバンドは、負の対照のレーンから外れた(形質転換前のアスペルギルス株)(図8)。
【0097】
実施例8
セルロース構造体上のトリコデルマリーセイ
スウォレニンによる処理の効果
ワットマン3番の濾紙を2×7cmの大きさの小片に切断した。使用した緩衝液は、50mMの酢酸ナトリウム、pH5であった。濾紙の小片を、水、緩衝液、緩衝液中の8Mの尿素、もしくはトリコデルマリーセイスウォレニン遺伝子を含有する酵母錐体または緩衝液中ではトリコデルマリーセイスウォレニンを産生しない対照酵母錐体より作成されたブロス(7mlの緩衝液中の1mlのブロスから、4mlの緩衝液中の4mlのブロスの範囲に亘る希釈物)からなる溶液中において、室温で少なくとも30分間に亘り浸漬した。
【0098】
スウィング−アルバート(Thwing-Albert)張力試験機を0.10cm/分の試験速度に設定し、張力エネルギーを0から50ポンド(約22.7kg)の範囲に亘り測定した。濾紙の各々の小片をクランプの間に配置し、ピーク負荷を測定した。この実験結果は、濾紙が破れる前に保持できる負荷の程度を定量化している。各々の試料の種類について、二、三枚の小片を測定した。いくつかの異なる実験からの結果が表1および2に示されている。
【0099】
【表1】
【表2】
予測したように、水素結合相互作用を破壊することが知られている、8Mの尿素で処理した小片は、緩衝液のみで処理した小片ほど高い負荷は、破れずには保持できない。両方の実験において、スウォレニンブロスで処理した小片は、対照ブロスで処理した小片よりも著しく低い最大負荷(約15%)を有した。これら二つのブロスの間の唯一の差は、一つがトリコデルマリーセイスウォレニン遺伝子を含有する酵母株の発酵からのものであり、一方で、対照株はこの遺伝子を含有しないということである。これらの結果は、スウォレンブロス中には濾紙を弱めている成分があることを示している。
【0100】
実施例9
綿繊維のスウォレニンによる処理
実施例4に記載した酵母クローンを、特定の条件下で成長させ、発酵ブロスを外来細胞物質およびデブリから分離した。発現プラスミドは含有するが、スウォレニンコード化cDNA配列は挿入されていない、酵母の対照クローンも、同一条件下で成長させ、その発酵ブロスを、外来細胞物質およびデブリを除去することにより単離した。一方がスウォレニン遺伝子を有する形質転換された酵母を含有し、もう一方が対照としてスウォレニン遺伝子を有さない形質転換された酵母を含有するものである、二つの発酵体からの培養上澄みを、約50倍に濃縮し、これを用いて、トリコデルマリーセイスウォレニンを綿繊維とともにインキュベーションする効果を決定した。この二つの上澄みの効果を、さらに、トリコデルマリーセイに関するセロビオヒドロラーゼ(CBHI)と比較した。
【0101】
マーセル化した綿繊維を、酵母発酵体からの上澄み(希釈1:4)およびCBHI(供与量5μg/g)を含有する緩衝液(50mMの酢酸ナトリウム、pH5.0)中に吊り下げた。25℃で240分間に亘りインキュベーションした後、吊り下げた繊維を濾過して洗い流し、濾液中に放出された還元糖の量をサムナーおよびソマーズ(Sumner and Somers)の方法により測定した。繊維を、緩衝液で一度濯ぎ、次いで、プローブチップ超音波処理機(バイブラセルソニックスアンドマテリアルズ社:Vibra Cell Sonics and Materials Inc.)を用いた1分間の超音波処理の前に、ガラスビーズを有する蒸留水中に吊り下げた。次いで、この繊維を染色し、光学顕微鏡により視覚化して、繊維構造への全体の影響を決定した。対照処理からの濾濾液およびスウォレニン遺伝子を含有する酵母株から生じた濾液は、加水分解活性を示さなかった。すなわち、還元糖が綿繊維から全く遊離しなかった。これとは対照的に、CBHIのみが、還元糖を0.08%(元の乾燥重量の)遊離させた。超音波処理前には、対照酵母からの上澄みにより処理した繊維と、スウォレニン遺伝子を含有する酵母株からの上澄みで処理した繊維との間の差は、識別できなかった。しかしながら、超音波処理後には、対照酵母株から得た上澄みで処理した繊維中には存在しなかったスウォレニン遺伝子を含有する酵母からの上澄みで処理した繊維においては、スウォレンおよび組織の乱れた領域が明らかであった(図7)。CBHIのみが繊維上に軽いフィブリル化を生じたが、スウォレニン遺伝子を含有する酵母からの上澄みに関する典型的な効果であった、開いた領域およびスウォレン領域は検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、混合炭素源上での成長後のトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)RNAから得たcDNAクローンのヌクレオチド配列(配列番号1番)および予測される対応するアミノ酸配列(配列番号2番)を示している
【図2】 図2は、図1の続きである
【図3】 図3は、アミノ酸相同性を示す、植物エクスパンシンタンパク質のコンセンサスアミノ酸配列(配列番号3番)およびここに記載したスウォレニンの配列(配列番号4番)の比較を示している
【図4】 図4は、異なる炭素源上で成長し、スウォレニンcDNAでプローブされたトリコデルマリーセイ(longibrachiatum)菌糸体から調製されたRNA試料のノーザンブロッティングの結果を示している。レーン1:セルロース;レーン2:グルコース;レーン3:ソルビトール;レーン4:ソホロースにより誘発されたソルビトール培養物
【図5】 図5は、植物エクスパンシン中に存在する広域にわたる相同性を示す、九つの既知の植物エクスパンシンアミノ酸配列(配列番号5−13番)の比較を示している
【図6】 図6は、図5の続きである
【図7】 図7は、pGAPT−expのプラスミドマップを示している
【図8】 図8は、培養上澄み液および対照に関するSDS−PAGEゲル泳動の結果を示している。トリコデルマリーセイスウォレニンを産生していたアスペルギルス形質転換体66kDのマーカーバンドの上で泳動したバンドを有しており、このバンドは、負の対照(形質転換前のアスペルギルス株)のレーンから外れている
Claims (28)
- 微生物源由来の単離されたスウォレニンタンパク質であって、配列番号2のアミノ酸配列または該アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列から成り、かつ濾紙を弱めるおよび/または綿繊維を膨潤させる能力を有することを特徴とするスウォレニンタンパク質。
- 前記スウォレニンタンパク質が菌類または細菌由来のものであることを特徴とする請求項1記載のスウォレニンタンパク質。
- 前記菌類が糸状菌類であることを特徴とする請求項2記載のスウォレニンタンパク質。
- 前記糸状菌類が、トリコデルマspp.、フミコラspp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.、フザリウムspp.、ペニシリウムspp.、またはグリオクラジウムspp.であることを特徴とする請求項3記載のスウォレニンタンパク質。
- 配列番号2のアミノ酸配列を有する微生物源由来の単離されたスウォレニンタンパク質。
- 請求項1から5いずれか1項記載のスウォレニンタンパク質をコードするDNA。
- 前記DNAが菌類または細菌由来のものであることを特徴とする請求項6記載のDNA。
- 前記菌類が糸状菌類であることを特徴とする請求項7記載のDNA。
- 前記糸状菌類が、トリコデルマspp.、フミコラspp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.、フザリウムspp.、ペニシリウムspp.、またはグリオクラジウムspp.であることを特徴とする請求項8記載のDNA。
- 配列番号1の配列を含むDNA。
- 請求項6記載のDNAを含むベクター。
- 請求項11記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
- 前記宿主細胞が、一つ以上のセルラーゼ遺伝子を欠失するように遺伝子的に変更されていることを特徴とする請求項12記載の宿主細胞。
- 前記宿主細胞が糸状菌類であることを特徴とする請求項12記載の宿主細胞。
- 前記糸状菌類が、トリコデルマspp.、フミコラspp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.、またはフザリウムspp.であることを特徴とする請求項14記載の宿主細胞。
- 請求項1から5いずれか1項記載のスウォレニンタンパク質を産生する方法であって、
(a) 前記スウォレニンタンパク質をコードする、菌類または細菌から単離されたDNAを含むベクターにより形質転換されている宿主細胞を得て、
(b) 該宿主細胞を、前記スウォレニンの発現および必要に応じて分泌に適した条件下で培養し、
(c) 該スウォレニンタンパク質を含有する発酵ブロスを回収する
各工程を含むことを特徴とする方法。 - 前記DNAが糸状菌類由来のものであることを特徴とする請求項16記載の方法。
- 前記糸状菌類が、トリコデルマspp.、フミコラspp.、アカパンカビspp.、アスペルギルスspp.、フザリウムspp.、またはグリオクラジウムspp.であることを特徴とする請求項17記載の方法。
- 前記DNAが配列番号1の配列を含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
- セルロース基質の特性を変更する方法であって、該セルロース基質を、請求項16記載の方法により産生されたスウォレニンタンパク質を含む組成物と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
- 動物用飼料の栄養特性を変更することを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
- セルロース繊維を含む布地または紡ぎ糸の特性を変更することを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
- 紙の製造中に木材パルプまたはその誘導体の特性を変更することを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
- セルロースバイオマスの特性を、グルコースへの還元中に変更することを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
- セルロースでできたトウモロコシの包皮の特性を、グルコースへの還元中に変更することを含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
- 請求項1から5いずれか1項記載のスウォレニンタンパク質を含まないセルラーゼ組成物を調製する方法であって、
(a) セルラーゼおよびスウォレニンタンパク質を産生する微生物を得て、
(b) 前記スウォレニンタンパク質をコードするDNAを分断および/または欠失させおよび/または該スウォレニンタンパク質の発現を干渉するような様式で前記微生物を処理し、
(c) 該微生物を、セルラーゼを発現させるのに適した条件下で培養し、
(d) スウォレニンタンパク質を欠如している該発現されたセルラーゼを採集する
各工程を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1から5いずれか1項記載のスウォレニンタンパク質を含む動物用飼料。
- 請求項1から5いずれか1項記載のスウォレニンタンパク質を含む、洗濯洗浄剤または織物処理組成物。
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