JP4259850B2 - 水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばビルの屋上などに設けた給水タンクや、あるいはプール、浴槽などの種々の水槽に貯留した水を滅菌処理するための水処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばオフィスビルやマンションなどのビルにおいて、各階に設けた複数の給水口(給水栓や給湯器への給水部など)に給水するための給水設備としては、水道管から取り込んだ水を、ビルの屋上などに設けた給水タンクに一旦、貯留したのち、この給水タンクから各給水口に給水する給水路を備えたものが一般的である。
【0003】
かかる給水設備においては従来、その水質を維持するために、浄水場で水道水に加えられた塩素の滅菌力に頼っていた。
しかし給水タンクの内部を定期的に清掃するなどのメンテナンスを怠って、菌類や藻類などの増殖による水質の悪化を引き起こす事例が多発したため、水質の保全が義務付けられることとなった。
【0004】
そこで給水タンク内に貯留した水に、その残留塩素濃度に応じて、塩素供給装置から、次亜塩素酸ソーダ水溶液などの塩素剤を供給して滅菌処理する方法と、それを実施するための装置が提案された(例えば特許文献1参照)。
しかし、上記公報に記載の方法および装置では、次亜塩素酸ソーダ水溶液などの刺激性のある塩素剤を、塩素供給装置に定期的に補充する必要があり、手間がかかる上、ランニングコストが高くつくという問題があった。
【0005】
そこで発明者は、例えば特許文献2などに開示された、水に通電して滅菌処理するための水処理装置を、これらの設備に組み込むことを検討した。
上記の水処理装置においては、水道水などの塩素を含む水、あるいは必要に応じて食塩等を加えた水に、電解処理手段において直流電流を通電すると、下記の電気化学反応を生じる。
【0006】
(アノード側)
4H2O−4e-→4H++O2↑+2H2O
2Cl-→Cl2+2e-
H2O+Cl2⇔HClO+H++Cl-
(カソード側)
4H2O+4e-→2H2↑+4OH-
(アノード側+カソード側)
H++OH-→H2O
そして、上記反応の過程で生成する次亜塩素酸またはそのイオン(HClO、ClO-)や塩素(Cl2)、あるいは反応中、ごく短時間のみ存在する活性酸素などの滅菌作用によって、水を滅菌処理することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−7897号公報(第0016欄〜第0020欄、図1)
【特許文献2】
特開2001−170638号公報(第0025欄、第0027欄〜第0028欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
給水タンク式の給水設備に水処理装置を組み込む場合は、給水タンクから水を取り込んで、処理後に給水タンクに還流するための処理水路を設けるとともに、この処理水路の途中に、水を、処理水路を通して水槽に連続的に循環させるための循環ポンプと、処理水路を流れる水に通電して連続的に電解処理するための電解処理手段とを設けた構成として、かかる水処理装置を用いて連続的に、あるいは断続的に、給水タンク内の水を滅菌処理するのが好ましい。
【0009】
この場合、前記の反応過程で発生する水素ガスや酸素ガスが給水タンク内に貯留されないように、給水タンクの一部を開放する必要がある。
しかし、通常は完全密閉型である給水タンクの一部を開放することは安全衛生上、好ましくないだけでなく、水道法の規制にも適合しない。
また開放部を保護したとしても、ある程度の異物や埃、ゴミ等の進入を防ぎ切れるものではない上、保護構造にすることによって排気性能が低下したり、コストがかかったりするという問題もある。
【0010】
また、給水タンク式の給水設備は多くの場合、前記のようにビルの屋上などの、人があまり出入りしない場所に設置されることから、同じ場所に設置される水処理装置の、例えば配管や、あるいは水ろ過のためのフィルタなどに目詰まりが発生するなどして装置内部に水が滞留した際にその発見が遅れると、水に混入した菌類などが装置内部で増殖し、それが給水タンクに流入して水質を悪化させる原因となるおそれがある。
【0011】
また同様に水処理装置の、配管の接続部などで水漏れが発生したり、あるいは電解処理手段に用いる電極が劣化したりした際にその発見が遅れると、ビル内への浸水や、処理効率の低下による水質の悪化などの問題を生じるおそれもある。
またとくに、ビルの屋上などの屋外に設置される水処理装置は、風雨や埃、ゴミ等にさらされて故障しやすいという問題もある。
【0012】
この発明の目的は、上記のような種々の問題を生じるおそれのない、新規な水処理装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、水槽に接続して使用する水処理装置であって、
水槽から水を取り込んで、処理後に水槽に還流するための処理水路を設け、この処理水路の途中に、
水を、処理水路を通して水槽に循環させるための循環ポンプと、
処理水路を流れる水に通電して電解処理するための電解処理手段と、
電解処理手段で電解処理した際に発生するガスの排出口を有し、ガスを、当該排出口を通して自動的に処理水路外へ排出するための自動ガス抜き弁と、
を配設するとともに、
上記各部を動作させて装置を運転し、かつ装置の運転中に、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを一時停止させることによって、ガスの、自動ガス抜き弁への流入を促進させるためのガス抜き促進制御部を含む制御手段を設けたことを特徴とする水処理装置である。
【0014】
請求項1の構成によれば、給水タンク内の水を、処理水路を通して給水タンクに循環させながら、処理水路の途中に設けた電解処理手段によって電解処理することで効率よく滅菌処理して、その水質を維持することができる。
また、制御手段のガス抜き促進制御部の機能によって水処理装置を一時停止させた際に、通常は、電解処理手段より下流側の処理水路の高所に配置される自動ガス抜き弁に、電解処理した際に発生するガスを自らの浮力によって自動的に、しかも効率よく集めることができる。そして集めたガスを、排出口を通して処理水路外に排出することができる。
【0015】
したがって請求項1の構成によれば、給水タンクの密閉性を維持しつつ、当該給水タンクにガスが貯留されるのを確実に防止することもできる。
請求項2記載の発明は、処理水路の、少なくとも自動ガス抜き弁より下流側の部分を、当該自動ガス抜き弁より鉛直方向下方に配設したことを特徴とする請求項1記載の水処理装置である。
【0016】
請求項2の構成では、処理水路の、自動ガス抜き弁より下流側に流れ込んだガスを、水処理装置を一時停止させた際に、自らの浮力によって自動的に、自動ガス抜き弁まで戻して、ガスの排出口を通して処理水路外へ排出させることができる。
したがって請求項2の構成によれば、給水タンクにガスが貯留されるのを、さらに確実に防止することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、処理水路の、自動ガス抜き弁より下流側の、鉛直方向下方に配設した部分の途中に、水は通すがガスの細かな気泡は通さないフィルタを設けたことを特徴とする請求項2記載の水処理装置である。
請求項3の構成によれば、フィルタの機能によって、ガスの細かな気泡がそれより下流側に通過するのを防止できるため、給水タンクにガスが貯留されるのをより一層、確実に防止することができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、処理水路の途中に、当該処理水路を流れる水の流量を検知するための流量センサと、処理水路を閉じるための開閉弁とを配設するとともに、
制御手段に、流量センサで検知した水の流量が所定値以下である時、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを停止するとともに、開閉弁を閉じて、処理水路内の水が水槽に流入するのを防止し、かつ異常報知を行うための水流異常制御部を設けたことを特徴とする請求項1記載の水処理装置である。
【0019】
請求項4の構成によれば、例えば配管や水ろ過のためのフィルタなどに目詰まりが発生するなどして、装置内部に水が滞留した際にこれを早期に発見して、装置の運転を停止するとともに開閉弁を閉じることによって、装置内部の水が給水タンクに流入するのを防止することができる。
また装置のオペレータなどに異常を報知して、水流異常の原因となった目詰まりなどの支障を早期に解消することもできる。
【0020】
したがって装置内で増殖した菌類などが給水タンクに流入して水質を悪化させるのを防止することができる。
請求項5記載の発明は、電解処理手段に、水への通電の電流値を測定するための電流センサを設け、かつ処理水路の途中に、当該処理水路を閉じるための開閉弁を設けるとともに、制御手段に、電流センサによって測定した電流値が一定値以下である時、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを停止するとともに、開閉弁を閉じて、水槽の水が処理水路内に流入するのを防止し、かつ異常報知を行うための電流異常制御部を含むことを特徴とする請求項1記載の水処理装置である。
【0021】
請求項5の構成によれば、例えば配管の接続部などで水漏れが発生したり、あるいは電解処理手段に用いる電極が劣化したりした際にこれを早期に発見して、装置の運転を停止するとともに開閉弁を閉じることによって、給水タンクの水が装置内部に流入するのを防止することができる。
また装置の運転を停止するとともに装置のオペレータなどに異常を報知して、電流異常の原因となった故障を早期に解消することもできる。
【0022】
したがって、装置を停止しても配管の水漏れ部などから給水タンク内の水が流出し続けて、ビル内に浸水するのを防止することができる。また、電極の劣化に伴う処理効率の低下による水質の悪化を防ぐこともできる。さらに、後述するDSA電極では劣化が極端に進んでチタニウム製の基材が露出すると、チタニウムイオンが水中に溶出するおそれがあるが、請求項5の構成ではかかる問題の発生を防止することもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態にかかる水処理装置1を、ビルやマンションの屋上などに設置した飲料水用の給水タンク2に接続して、水の滅菌、および給水タンク2内の浄化に使用するための構造を簡略化して示す図である。また図2は、上記水処理装置1の実体配管を示す正面図である。
【0024】
これらの図を参照して、この例の水処理装置1は、給水タンク2から水w1を取り込んで、電解処理手段11によって電解処理したのち、再び給水タンク2に還流させるための処理水路100を有する。
図1において符号21は、水道管等の給水源から給水タンク2に水を供給するための配管、22は、給水タンク2からビルやマンションの各室へ水を供給するための配管である。また配管21の、給水タンク2への接続部には、当該給水タンク2の水位の上下に応じたフロート24の上下動に伴って開閉され、それによって給水タンク2の水位を一定範囲に保つための、図示しないフロート弁を設けてある。
【0025】
また符合23は、上記フロート弁が故障するなどして、給水タンク2の水位が、あらかじめ設定した上限値を上回った際に、余剰の水をドレン口D1に流すためのオーバーフロー配管である。
電解処理手段11は、図2に示すように、処理水路100を形成する配管100aの途中に挿入した、当該配管100aより径の大きい筒状の筐体11aと、この筐体11a内に、互いに電気的に絶縁した状態で配置した、図では手前の1枚しか示していないが実際には複数枚の電極11bとを備える。
【0026】
図において符号11cは、各電極11bからそれぞれ筐体11aの外まで延設した端子部であって、電極11bに配線を接続するための端子としての機能と、筐体11aに、図示していないが絶縁体などを介して固定することで、電極11bを、筐体11a内の所定の位置に位置決めするための固定部としての機能とを兼ね備えている。それゆえ位置決めと固定とをより確実にすべく、図の例では端子部11cを、各電極11bにそれぞれ2本ずつ設けてある。
【0027】
電極11bのうちアノード側の電極としては、前述した電気化学反応によって次亜塩素酸などを生成させる機能を有する電極(DSA電極)を用いる。
かかるDSA電極としては、例えば金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、白金−パラジウム(Pt−Pd)、白金−イリジウム(Pt−Ir)などの、電気化学反応時に触媒として機能する貴金属の薄膜を、チタニウム(Ti)などからなる基板の表面全面に、めっきや焼成処理などによってコーティングしたものを挙げることができる。
【0028】
またカソード側の電極としては、上記チタニウム製の基板などをそのまま用いることができる。
また、とくにアノード側の電極の急速な劣化や、カソード側の電極へのスケールの付着などを抑制して両電極を長寿命化するため、両電極の極性を定期的に逆転させて電解処理することも考えられる。その場合は、両方の電極をDSA電極とすればよい。
【0029】
またこの例では、図2に実線の矢印で示すように処理水路100を形成する配管100aを、電解処理手段11に対して、水が鉛直方向下方から流入して鉛直方向上方に流出するように配設してある。
これにより、前述した電気化学反応によって発生する水素や酸素などのガスを、電解処理手段11の筐体11a内に滞留させることなく、水流によって円滑に、下流側に流出させることができる。
【0030】
図1、2を参照して、処理水路100の、電解処理手段11より上流側には、水処理装置1や給水タンク2のメンテナンス時などに閉じられて、両者間を遮断するための弁V1と、図示していない制御手段からの制御信号によって開閉される電磁弁(開閉弁)V2と、水w1を、処理水路100内で循環させるための循環ポンプP1とをこの順に配設してある。
【0031】
また処理水路100の、電解処理手段11より下流側には、電解処理した水にミネラル分を補給するためのミネラル補給部M1と、水ろ過のためのろ過器12と、処理水路100内を流れる水の流量を検知するための流量センサS1としてのフロースイッチと、とくに配管100aの接続部などで水漏れが発生して水処理装置1の運転を停止するとともに電磁弁V2を閉じた際に、給水タンク2から下流側の配管100a内に水が流入し続けて水漏れ部から流出するのを防止するための逆止弁V3と、水処理装置1や給水タンク2のメンテナンス時などに閉じられて、両者間を遮断するための弁V4とをこの順に配設してある。
【0032】
また処理水路100には、ミネラル補給部M1とろ過器12との間の分岐点J1から分岐させて、図2に示すように鉛直方向上方に向けて分岐水路101を延設してあり、その上端に、自動ガス抜き弁13を接続してある。
そしてこれにより、処理水路100の、自動ガス抜き弁13の前後の部分、具体的にはミネラル補給部M1からろ過器12までの部分を、当該自動ガス抜き弁13より鉛直方向下方に配設して、処理水路100内を流れるガスを、自身の浮力によって、自動ガス抜き弁13に自動的に集めることができる。
【0033】
上記各部のうちミネラル補給部M1は、図2に示すタンクM1a内に、例えば粒状の麦飯石、サンゴ砂などの天然物や、あるいはセラミックスなどの人工物等の、ミネラル分の供給源となる物質を、水と接触可能なカラム状などにして収容したものである。そして処理水路100を通してタンクM1a内に水を供給してこれらの物質と接触させると、水中にミネラル分が溶出して補給されたのち、処理水路100の下流側へ送出される。
【0034】
ろ過器12は、図3に示すように上下を閉じた筒状の筐体12aと、この筐体12a内に配置した筒状のフィルタ12bとを有する。
また筐体12aには、その上部に、処理水路100を形成する配管100aを接続してある。
またフィルタ12bの筒の下端は、蓋体12cによって閉じてあるとともに、上端は、筐体12aの天面に形成した仕切り12e、12fと接続してあり、これによって筐体12a内を、処理水路100の上流側(図において左側、およびフィルタ12bの筒の外側)と、下流側(図において右側、およびフィルタ12bの筒の内側)とに仕切ってある。
【0035】
フィルタ12bは、天然あるいは化学繊維製の不織布などの多孔質体、とくに電解水に対して耐性を有するポリ塩化ビニルやポリオレフィン(ポリエチレン)製の多孔質体にて形成してあるとともに、その開口径を、循環ポンプP1を作動させることで処理水路100に発生する、あらかじめ設定された水圧が筒の外側に加わった際に、水は筒の内側に通すが、水中に混入したガスの細かな気泡や、ミネラル補給部M1から離脱した麦飯石、サンゴ砂などの破片、あるいは給水タンク2から取り込んだ水w1に混入していた細かな固形物などは通さない大きさに設定してある。
【0036】
上記ろ過器12においては、図中に実線の矢印で示すように、処理水路100の上流側から電解処理した水が供給されると、当該水が、まず筐体12a内の、フィルタ12bによって仕切られた筒の外側の領域に流入したのち、フィルタ12bを通して筒の内側に流入する。
ところが、水に混入したガスの細かな気泡や固形物は、上述したフィルタ12bの機能によって筒の外側に留め置かれる。
【0037】
このため処理水路100の、ろ過器12より下流側には、ガスの細かな気泡や固形物が除去された、白濁などのないきれいな水が送り出される。
自動ガス抜き弁13は、図4(a)(b)に示すように、分岐水路101の頂部を閉じる天板101aに設けた開口101bを介して分岐水路101内と繋がれた、上を閉じた筒状の筐体13aと、この筐体13a内に上下動自在に配置したフロート13bと、筐体13aの頂部に形成したガスの排出口13cと、フロート13bの上下動に応じて排出口13cを閉じる〔図4(b)〕、または開く〔図4(c)〕ための、リンク機構13dつきの蓋体13eとを備える。
【0038】
電解処理手段11による電解反応を行った際に発生したガスの細かな気泡の一部は、分岐点J1で主流から外れ、分岐水路101を上昇して直接に、開口101bに到達する。そしてこの開口101bの付近や、あるいは開口101bを通過した自動ガス抜き弁13の筐体13a内などで多数が一つになることで水から分離して、ガスの大きな塊となる。
【0039】
また気泡の残部は、前記のように処理水路100の、分岐点J1より下流側に流れ込んでフィルタ12bで通過を阻まれることで、フィルタ12bの筒の外側に留め置かれる。そして留め置かれた気泡は多数が一つになることで水から分離して、より大きなガスの塊として、筐体12aの天面付近や、それに繋がる上流側の配管100a内に滞留するが、とくにガス抜き促進のための一時停止時に、滞留しきれなかった余剰のガスが処理水路100を逆戻りし、自身の浮力によって分岐水路101を上昇して開口101bに到達し、当該開口101dを通して自動ガス抜き弁13内に流入する。
【0040】
そしてこれらのガスgの塊や、あるいはまだこの時点でガスgの塊と接触せずに残っている細かな気泡は、筐体13aとフロート13bとの隙間を通して、当該筐体13a内の、フロート13bより上の領域に移動する。
図4(b)に示すようにフロート13bが上昇位置にあり、蓋体13eが排出口13cを閉じた閉状態においてガスgの流入、移動が続くと、当該筐体13a内の、フロート13bより上の領域にガスgが徐々に蓄積されてその内圧が徐々に上昇し、それに伴ってフロート13bが徐々に下降を開始する。この下降は、とくに水処理装置1の一時停止によって水圧が低下した状態で急速に進行する。
【0041】
そしてフロート13bが図4(c)に示す位置まで下降すると、リンク機構13d
によって蓋体13eが回動し、排出口13cが開かれて開状態となる。
この状態で水処理装置1の一時停止を解除し、運転を再開すると、今度は水w1の水圧によってフロート13bが徐々に上昇を開始し、それに伴って筐体13a内の、フロート13bより上の領域に蓄積されたガスgが、排出口13cを通して系外に排出される。
【0042】
そしてガスgの排出が進んで、フロート13bが図4(b)に示す位置まで上昇すると、リンク機構13dによって蓋体13eが回動して排出口13cを閉じるため、再び閉状態となってガスgの蓄積が開始される。
自動ガス抜き弁13は、以上の動作を繰り返すことによって、ガスgを自動的に系外に排出する働きをする。
【0043】
再び図1、2を参照して、処理水路100には、循環ポンプP1と電解処理手段11との間の分岐点J2で分岐して、弁V5を経てドレン口D1に至る排水路102と、分岐点J1とろ過器12との間の分岐点J3で分岐して、弁V6を経て、上記排水路102と、弁V6より下流側の合流点J4で合流する排水路103とを接続してある。弁V5、V6は、水処理装置1の運転時には閉じておき、メンテナンス時などに開いて、水処理装置1内の水を抜くためのものである。
【0044】
なお図2では、処理水路100のうち弁V1より下流側で、かつ弁V4より上流側の部分のみ記載しており、弁V1、V4は記載していない。また排水路102もドレン口D1に至る途中の部分までしか記載していない。これは、図示した部分を、後述する外装カバー中に収容してユニット化してあるためである。
弁V1、V4は、このユニットとは別に、あらかじめ給水タンク2に取り付けておく。そしてユニットの設置時に、図2のユニットの、処理水路100の起端100bを弁V1に続く配管と接続するとともに、末端100cを弁V4に続く配管と接続し、さらに排水路102の末端102aにドレン口D1に達する配管を接続して水処理装置1を構成する。
【0045】
そうすると水処理装置1の運転時には、給水タンク2から、水が、図中に白抜きの矢印で示すように起端100bを通って処理水路100に流入して、前記の各部を通過して処理された後、同様に白抜きの矢印で示すように末端100cを通って、給水タンク2に還流される。またメンテナンス時などに、弁V1、V4を閉じて弁V5、V6を開くと、水処理装置1内の水が、排水路102、103を経由して、図中に黒塗りの矢印で示すように末端102aを通してドレン口D1に排水される。
【0046】
図5は、図1の水処理装置1の、電気的な構成を示すブロック図である。
図に見るように水処理装置1は、電解処理手段11の電極11bに通電制御しつつ、前記各部を作動させる制御手段30を備えている。
流量センサS1と、前記各図では図示していなかった、電解処理手段11による水への通電の電流値を測定するための電流センサS2の出力は、制御手段30へ与えられる。制御手段30内には、各種動作のタイミングを規定するためのタイマ31と、各種動作の基準となる初期値などを登録したメモリ32とを設けてある。
【0047】
制御手段30は、両センサS1、S2の出力、タイマ31によって規定したタイミング、並びにメモリ32に記録した初期値などに基づいて種々の演算を行い、それに基づいて制御信号をドライバ33へ与える。そしてドライバ33は、与えられる信号に基づいて電極11bへの通電制御を行い、かつ循環ポンプP1の駆動制御を行うとともに、電磁弁V2の開閉制御を行う。
【0048】
制御手段30による、水処理装置1の運転時の、制御の一例を図6に示す。
まずステップSP1において、オペレータなどが水処理装置1の運転開始を指示すると、制御手段30は、ステップSP2において、あらかじめメモリ32に記録した動作の基準となる初期値を読み込む。
かかる初期値としては、例えば
・ 水処理装置1の運転開始後、流量センサS1による流量検知と、電流センサS2による電流値測定とを開始するまでの待ち時間T1、
・ 水処理装置1を、その運転中にガス抜き促進のために一時停止させる間隔を規定するための時間T2、
・ 上記一時停止の長さを規定するための時間T3、
・ 電流センサS2によって測定した電流値Cから、配管の水漏れや電極11bの劣化の有無を判断する基準とするしきい値C1
などを挙げることができる。
【0049】
このうち待ち時間T1を規定しているのは、循環ポンプP1を動作させてから処理水路100内の水流が安定するまでに、また電極11bに通電してから前述した電気化学反応が安定するまでに、多少の時間がかかるためである。
次に制御手段30は、ステップSP3において、電磁弁V2が閉じられている場合はこれを開き、かつ循環ポンプP1を駆動して処理水路100内に水を循環させるとともに、電極11bに通電して電気化学反応を開始させることで水処理装置1の運転を開始する。また、それとともにタイマ31をリセット(T=0)して計時を開始する。
【0050】
そしてステップSP4において、タイマ31による計時時間Tが前述した待ち時間T1に達する(T=T1)まで待機した後、ステップSP5に進んで、流量センサS1による、処理水路100を流れる水の流量の検知を開始する。
なおこの例では、流量センサS1として、前述したように流量があらかじめ設定した所定値以上(スイッチON)であるか、所定値未満(スイッチOFF)であるかを検知するフロースイッチを用いているため、流量の検知は、かかるフロースイッチがONかOFFかの検知である。
【0051】
処理水路100の配管100aやフィルタ12bなどに目詰まりが発生していない正常状態ではフロースイッチはONになる。このため制御手段30は、次にステップSP6に進んで、電流センサS2を用いた、電解処理手段11による水への通電の電流値Cの測定を開始する。
配管100aの水漏れや電極11bの劣化が発生していない正常状態では、電流値Cは、前述したしきい値C1以上(C≧C1)の値を示す。このため制御手段30は、次にステップSP7に進んで、タイマ31による計時時間Tが、前述した、水処理装置1を一時停止させる間隔を規定するための時間T2に達したか否かを判定し、達していない場合(T<T2)にはステップSP8に進んで、オペレータなどによって水処理装置1の運転終了が選択されたか否かを判定する。
【0052】
そして運転終了が選択されていない場合はステップSP4に戻って、ステップSP4〜SP8を繰り返しながら、水処理装置1の運転を続ける。
一方、配管100aやフィルタ12bなどに目詰まりが発生して処理水路100を流れる水の流量が低下し、流量センサS1としてのフロースイッチがOFFになると、制御手段30は、ステップSP5においてこれを検知して図7(a)のサブルーチンのステップSP10に進む。
【0053】
そしてステップSP10において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を停止し、次いでステップSP11において電磁弁V2を閉じて、水処理装置1と給水タンク2との間の自由な水の流通を防止する。つまり循環ポンプP1を停止しているにもかかわらず、給水タンク2内の水の増減などに応じて処理水路100内に水流が発生するのを防止する。
【0054】
このため、オペレータなどが水処理装置1の設置場所に来て弁V1、V4を閉じるまでの間に、たとえ水処理装置1内で菌類などが増殖しても、それが上記の水流に乗って給水タンク2に流入して水質を悪化させるのを防止することができる。
次にステップSP12で、制御手段30は、制御盤等に設けた異常報知手段(警報ランプ、警報ブザー等)を作動させて、オペレータなどへの異常報知を開始し、それに気づいたオペレータなどが運転停止を指示するまで、ステップSP13においてこの状態を維持しながら待機を続ける。
【0055】
そしてステップSP13で、メンテナンスを行うために運転停止が指示されると、制御手段30は、ステップSP14に進んで水処理装置1の全ての運転を停止する。
また図6のメインルーチンにおいて、配管100aの水漏れや電極11bの劣化が発生して、電流センサS2によって測定した電流値Cがしきい値C1未満(C<C1)になると、制御手段30は、ステップSP6においてこれを検知して図7(b)のサブルーチンのステップSP15に進む。
【0056】
そしてステップSP15において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を停止し、次いでステップSP16において電磁弁V2を閉じる。
そうすると、とくに水漏れが発生している場合には、当該電磁弁V2と逆止弁V3とが、オペレータなどが水処理装置1の設置場所に来て弁V1、V4を閉じるまでの間、前述したように給水タンク2から配管100a内に水が流入して水漏れ部から流出し続けるのを防止することができる。
【0057】
また前記の場合と同様に、たとえ水処理装置1内で菌類などが増殖しても、それが前述した水流に乗って給水タンク2に流入して水質を悪化させるのを防止することもできる。
次にステップSP17で、制御手段30は異常報知手段を作動させて、オペレータなどへの異常報知を開始し、それに気づいたオペレータなどが運転停止を指示するまで、ステップSP18においてこの状態を維持しながら待機を続ける。
【0058】
そしてステップSP18で、メンテナンスを行うために運転停止が指示されると、制御手段30は、ステップSP19に進んで水処理装置1の全ての運転を停止する。
また図6のメインルーチンのうち、ステップSP5およびSP6において上記のような異常が検知されず、正常な運転を続けて行くと、やがてタイマ31による計時時間Tが前述した時間T2に達する(T=T2)。
【0059】
そうすると制御手段30は、ステップSP7においてこれを検知して図7(c)のサブルーチンのステップSP20に進む。
そしてステップSP20において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を一時的に停止し、なおかつタイマ31をリセットして一時停止の時間の計時を開始する。
【0060】
次にステップSP21において、タイマ31による計時時間Tが、前述した一時停止の長さを規定する時間T3に達するまで一時停止状態を続けた後、ステップSP22に進んで循環ポンプP1を駆動して処理水路100内に水を循環させるとともに、電極11bに通電して電気化学反応を開始させることで水処理装置1の運転を再開する。また、それとともにタイマ31をリセット(T=0)し、計時を開始して図6のメインルーチンのステップSP4に戻り、処理水路100内の水流が安定し、かつ電極11bに通電してから電気化学反応が安定するまでステップSP4で待機した後、ステップSP4〜SP8を繰り返して通常運転を続ける。
【0061】
そしてステップSP8において、オペレータなどによって水処理装置1の運転停止が指示されると、制御手段30はステップSP9に進み、循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を終了する。
以上の制御を行うことにより、処理水路100の目詰まりや水漏れ、電極11bの劣化などの発生を監視しながら、給水タンク2内の水を滅菌処理することができる。
【0062】
図8は、上記例の水処理装置1のうち図2に示したユニットを収容するための、外装カバー4の外観を示す斜視図である。
図の外装カバー4は直方体状をなし、そのうち底板40上に図2のユニットが設置される。符号41は、上記底板40と一体に形成した背板である。また符号42は、上記底板40および背板41の2面を除く直方体の4面を構成し、かつ底板40に対して図中に黒矢印および白矢印で示すように前後にスライドして開閉されるカバー本体である。
【0063】
カバー本体42は、図の半開状態から黒矢印で示すように奥にスライドさせて完全に閉じた状態で、ネジNによって底板40および背板41と固定される。またこの固定状態において互いに重ね合わされる、背板41の孔41aとカバー本体42の孔42aとに錠前を挿し通してロックすることもできる。そしてこれにより、オペレータ以外の鍵を持たない第三者が、水処理装置1に触れるのを防止して、安全性を向上することもできる。
【0064】
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものでなく、各請求項記載の範囲内において、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態にかかる水処理装置を、ビルやマンションの屋上などに設置した飲料水用の給水タンクに接続して、水の滅菌、および給水タンク内の浄化に使用するための構造を簡略化して示す図である。
【図2】 図1の水処理装置1の、実体配管を示す正面図である。
【図3】 上記例の水処理装置のうち、ろ過器の内部構造の一例を示す断面図である。
【図4】 同図(b)(c)は、上記例の水処理装置のうち、ガス抜き弁の内部構造の一例を示す断面図である。
【図5】 上記例の水処理装置の、電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】 上記例の水処理装置の、通常運転時の流れを示すフローチャートである。
【図7】 同図(a)〜(c)は、図6のフローチャートの、サブルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図8】 上記例の水処理装置を収容するための、外装カバーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 水処理装置
11 電解処理手段
12 ろ過器
13 自動ガス抜き弁
30 制御手段
100 処理水路
P1 循環ポンプ
2 給水タンク
w1 水
Claims (5)
- 水槽に接続して使用する水処理装置であって、
水槽から水を取り込んで、処理後に水槽に還流するための処理水路を設け、この処理水路の途中に、
水を、処理水路を通して水槽に循環させるための循環ポンプと、
処理水路を流れる水に通電して電解処理するための電解処理手段と、
電解処理手段で電解処理した際に発生するガスの排出口を有し、ガスを、当該排出口を通して自動的に処理水路外へ排出するための自動ガス抜き弁と、
を配設するとともに、
上記各部を動作させて装置を運転し、かつ装置の運転中に、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを一時停止させることによって、ガスの、自動ガス抜き弁への流入を促進させるためのガス抜き促進制御部を含む制御手段を設けたことを特徴とする水処理装置。 - 処理水路の、少なくとも自動ガス抜き弁より下流側の部分を、当該自動ガス抜き弁より鉛直方向下方に配設したことを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
- 処理水路の、自動ガス抜き弁より下流側の、鉛直方向下方に配設した部分の途中に、水は通すがガスの細かな気泡は通さないフィルタを設けたことを特徴とする請求項2記載の水処理装置。
- 処理水路の途中に、当該処理水路を流れる水の流量を検知するための流量センサと、処理水路を閉じるための開閉弁とを配設するとともに、
制御手段に、流量センサで検知した水の流量が所定値以下である時、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを停止するとともに、開閉弁を閉じて、処理水路内の水が水槽に流入するのを防止し、かつ異常報知を行うための水流異常制御部を設けたことを特徴とする請求項1記載の水処理装置。 - 電解処理手段に、水への通電の電流値を測定するための電流センサを設け、かつ処理水路の途中に、当該処理水路を閉じるための開閉弁を設けるとともに、制御手段に、電流センサによって測定した電流値が一定値以下である時、電解処理手段による電解処理と、循環ポンプによる水の循環とを停止するとともに、開閉弁を閉じて、水槽の水が処理水路内に流入するのを防止し、かつ異常報知を行うための電流異常制御部を含むことを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
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