図1は、この発明の一実施形態にかかる水処理装置1を、ビルやマンションの屋上などに設置した飲料水用の給水タンク2に接続して、水の滅菌、および給水タンク2内の浄化に使用するための構造を簡略化して示す図である。また図2は、上記水処理装置1の実体配管を示す正面図である。
これらの図を参照して、この例の水処理装置1は、給水タンク2から水w1を取り込んで、電解処理手段11によって電解処理したのち、再び給水タンク2に還流させるための処理水路100を有する。
図1において符号21は、水道管等の給水源から給水タンク2に水を供給するための配管、22は、給水タンク2からビルやマンションの各室へ水を供給するための配管である。また配管21の、給水タンク2への接続部には、当該給水タンク2の水位の上下に応じたフロート24の上下動に伴って開閉され、それによって給水タンク2の水位を一定範囲に保つための、図示しないフロート弁を設けてある。
また符合23は、上記フロート弁が故障するなどして、給水タンク2の水位が、あらかじめ設定した上限値を上回った際に、余剰の水をドレン口D1に流すためのオーバーフロー配管である。
電解処理手段11は、図2に示すように、処理水路100を形成する配管100aの途中に挿入した、当該配管100aより径の大きい筒状の筐体11aと、この筐体11a内に、互いに電気的に絶縁した状態で配置した、図では手前の1枚しか示していないが実際には複数枚の電極11bとを備える。
図において符号11cは、各電極11bからそれぞれ筐体11aの外まで延設した端子部であって、電極11bに配線を接続するための端子としての機能と、筐体11aに、図示していないが絶縁体などを介して固定することで、電極11bを、筐体11a内の所定の位置に位置決めするための固定部としての機能とを兼ね備えている。それゆえ位置決めと固定とをより確実にすべく、図の例では端子部11cを、各電極11bにそれぞれ2本ずつ設けてある。
電極11bのうちアノード側の電極としては、前述した電気化学反応によって次亜塩素酸などを生成させる機能を有する電極(DSA電極)を用いる。
かかるDSA電極としては、例えば金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、白金−パラジウム(Pt−Pd)、白金−イリジウム(Pt−Ir)などの、電気化学反応時に触媒として機能する貴金属の薄膜を、チタニウム(Ti)などからなる基板の表面全面に、めっきや焼成処理などによってコーティングしたものを挙げることができる。
またカソード側の電極としては、上記チタニウム製の基板などをそのまま用いることができる。
また、とくにアノード側の電極の急速な劣化や、カソード側の電極へのスケールの付着などを抑制して両電極を長寿命化するため、両電極の極性を定期的に逆転させて電解処理することも考えられる。その場合は、両方の電極をDSA電極とすればよい。
またこの例では、図2に実線の矢印で示すように処理水路100を形成する配管100aを、電解処理手段11に対して、水が鉛直方向下方から流入して鉛直方向上方に流出するように配設してある。
これにより、前述した電気化学反応によって発生する水素や酸素などのガスを、電解処理手段11の筐体11a内に滞留させることなく、水流によって円滑に、下流側に流出させることができる。
図1、2を参照して、処理水路100の、電解処理手段11より上流側には、水処理装置1や給水タンク2のメンテナンス時などに閉じられて、両者間を遮断するための弁V1と、図示していない制御手段からの制御信号によって開閉される電磁弁(開閉弁)V2と、水w1を、処理水路100内で循環させるための循環ポンプP1とをこの順に配設してある。
また処理水路100の、電解処理手段11より下流側には、電解処理した水にミネラル分を補給するためのミネラル補給部M1と、水ろ過のためのろ過器12と、処理水路100内を流れる水の流量を検知するための流量センサS1としてのフロースイッチと、とくに配管100aの接続部などで水漏れが発生して水処理装置1の運転を停止するとともに電磁弁V2を閉じた際に、給水タンク2から下流側の配管100a内に水が流入し続けて水漏れ部から流出するのを防止するための逆止弁V3と、水処理装置1や給水タンク2のメンテナンス時などに閉じられて、両者間を遮断するための弁V4とをこの順に配設してある。
また処理水路100には、ミネラル補給部M1とろ過器12との間の分岐点J1から分岐させて、図2に示すように鉛直方向上方に向けて分岐水路101を延設してあり、その上端に、自動ガス抜き弁13を接続してある。
そしてこれにより、処理水路100の、自動ガス抜き弁13の前後の部分、具体的にはミネラル補給部M1からろ過器12までの部分を、当該自動ガス抜き弁13より鉛直方向下方に配設して、処理水路100内を流れるガスを、自身の浮力によって、自動ガス抜き弁13に自動的に集めることができる。
上記各部のうちミネラル補給部M1は、図2に示すタンクM1a内に、例えば粒状の麦飯石、サンゴ砂などの天然物や、あるいはセラミックスなどの人工物等の、ミネラル分の供給源となる物質を、水と接触可能なカラム状などにして収容したものである。そして処理水路100を通してタンクM1a内に水を供給してこれらの物質と接触させると、水中にミネラル分が溶出して補給されたのち、処理水路100の下流側へ送出される。
ろ過器12は、図3に示すように上下を閉じた筒状の筐体12aと、この筐体12a内に配置した筒状のフィルタ12bとを有する。
また筐体12aには、その上部に、処理水路100を形成する配管100aを接続してある。
またフィルタ12bの筒の下端は、蓋体12cによって閉じてあるとともに、上端は、筐体12aの天面に形成した仕切り12e、12fと接続してあり、これによって筐体12a内を、処理水路100の上流側(図において左側、およびフィルタ12bの筒の外側)と、下流側(図において右側、およびフィルタ12bの筒の内側)とに仕切ってある。
フィルタ12bは、天然あるいは化学繊維製の不織布などの多孔質体、とくに電解水に対して耐性を有するポリ塩化ビニルやポリオレフィン(ポリエチレン)製の多孔質体にて形成してあるとともに、その開口径を、循環ポンプP1を作動させることで処理水路100に発生する、あらかじめ設定された水圧が筒の外側に加わった際に、水は筒の内側に通すが、水中に混入したガスの細かな気泡や、ミネラル補給部M1から離脱した麦飯石、サンゴ砂などの破片、あるいは給水タンク2から取り込んだ水w1に混入していた細かな固形物などは通さない大きさに設定してある。
上記ろ過器12においては、図中に実線の矢印で示すように、処理水路100の上流側から電解処理した水が供給されると、当該水が、まず筐体12a内の、フィルタ12bによって仕切られた筒の外側の領域に流入したのち、フィルタ12bを通して筒の内側に流入する。
ところが、水に混入したガスの細かな気泡や固形物は、上述したフィルタ12bの機能によって筒の外側に留め置かれる。
このため処理水路100の、ろ過器12より下流側には、ガスの細かな気泡や固形物が除去された、白濁などのないきれいな水が送り出される。
自動ガス抜き弁13は、図4(a)(b)に示すように、分岐水路101の頂部を閉じる天板101aに設けた開口101bを介して分岐水路101内と繋がれた、上を閉じた筒状の筐体13aと、この筐体13a内に上下動自在に配置したフロート13bと、筐体13aの頂部に形成したガスの排出口13cと、フロート13bの上下動に応じて排出口13cを閉じる〔図(b)〕、または開く〔図(c)〕ための、リンク機構13dつきの蓋体13eとを備える。
電解処理手段11による電解反応を行った際に発生したガスの細かな気泡の一部は、分岐点J1で主流から外れ、分岐水路101を上昇して直接に、開口101bに到達する。そしてこの開口101bの付近や、あるいは開口101bを通過した自動ガス抜き弁13の筐体13a内などで多数が一つになることで水から分離して、ガスの大きな塊となる。
また気泡の残部は、前記のように処理水路100の、分岐点J1より下流側に流れ込んでフィルタ12bで通過を阻まれることで、フィルタ12bの筒の外側に留め置かれる。そして留め置かれた気泡は多数が一つになることで水から分離して、より大きなガスの塊として、筐体12aの天面付近や、それに繋がる上流側の配管100a内に滞留するが、とくにガス抜き促進のための一時停止時に、滞留しきれなかった余剰のガスが処理水路100を逆戻りし、自身の浮力によって分岐水路101を上昇して開口101bに到達し、当該開口101dを通して自動ガス抜き弁13内に流入する。
そしてこれらのガスgの塊や、あるいはまだこの時点でガスgの塊と接触せずに残っている細かな気泡は、筐体13aとフロート13bとの隙間を通して、当該筐体13a内の、フロート13bより上の領域に移動する。
図(b)に示すようにフロート13bが上昇位置にあり、蓋体13eが排出口13cを閉じた閉状態においてガスgの流入、移動が続くと、当該筐体13a内の、フロート13bより上の領域にガスgが徐々に蓄積されてその内圧が徐々に上昇し、それに伴ってフロート13bが徐々に下降を開始する。この下降は、とくに水処理装置1の一時停止によって水圧が低下した状態で急速に進行する。
そしてフロート13bが図(c)に示す位置まで下降すると、リンク機構13dによって蓋体13eが回動し、排出口13cが開かれて開状態となる。
この状態で水処理装置1の一時停止を解除し、運転を再開すると、今度は水w1の水圧によってフロート13bが徐々に上昇を開始し、それに伴って筐体13a内の、フロート13bより上の領域に蓄積されたガスgが、排出口13cを通して系外に排出される。
そしてガスgの排出が進んで、フロート13bが図(b)に示す位置まで上昇すると、リンク機構13dによって蓋体13eが回動して排出口13cを閉じるため、再び閉状態となってガスgの蓄積が開始される。
自動ガス抜き弁13は、以上の動作を繰り返すことによって、ガスgを自動的に系外に排出する働きをする。
再び図1、2を参照して、処理水路100には、循環ポンプP1と電解処理手段11との間の分岐点J2で分岐して、弁V5を経てドレン口D1に至る排水路102と、分岐点J1とろ過器12との間の分岐点J3で分岐して、弁V6を経て、上記排水路102と、弁V6より下流側の合流点J4で合流する排水路103とを接続してある。弁V5、V6は、水処理装置1の運転時には閉じておき、メンテナンス時などに開いて、水処理装置1内の水を抜くためのものである。
なお図2では、処理水路100のうち弁V1より下流側で、かつ弁V4より上流側の部分のみ記載しており、弁V1、V4は記載していない。また排水路102もドレン口D1に至る途中の部分までしか記載していない。これは、図示した部分を、後述する外装カバー中に収容してユニット化してあるためである。
弁V1、V4は、このユニットとは別に、あらかじめ給水タンク2に取り付けておく。そしてユニットの設置時に、図のユニットの、処理水路100の起端100bを弁V1に続く配管と接続するとともに、末端100cを弁V4に続く配管と接続し、さらに排水路102の末端102aにドレン口D1に達する配管を接続して水処理装置1を構成する。
そうすると水処理装置1の運転時には、給水タンク2から、水が、図中に白抜きの矢印で示すように起端100bを通って処理水路100に流入して、前記の各部を通過して処理された後、同様に白抜きの矢印で示すように末端100cを通って、給水タンク2に還流される。またメンテナンス時などに、弁V1、V4を閉じて弁V5、V6を開くと、水処理装置1内の水が、排水路102、103を経由して、図中に黒塗りの矢印で示すように末端102aを通してドレン口D1に排水される。
図5は、図1の水処理装置1の、電気的な構成を示すブロック図である。
図に見るように水処理装置1は、電解処理手段11の電極11bに通電制御しつつ、前記各部を作動させる制御手段30を備えている。
流量センサS1と、前記各図では図示していなかった、電解処理手段11による水への通電の電流値を測定するための電流センサS2の出力は、制御手段30へ与えられる。制御手段30内には、各種動作のタイミングを規定するためのタイマ31と、各種動作の基準となる初期値などを登録したメモリ32とを設けてある。
制御手段30は、両センサS1、S2の出力、タイマ31によって規定したタイミング、並びにメモリ32に記録した初期値などに基づいて種々の演算を行い、それに基づいて制御信号をドライバ33へ与える。そしてドライバ33は、与えられる信号に基づいて電極11bへの通電制御を行い、かつ循環ポンプP1の駆動制御を行うとともに、電磁弁V2の開閉制御を行う。
制御手段30による、水処理装置1の運転時の、制御の一例を図6に示す。
まずステップSP1において、オペレータなどが水処理装置1の運転開始を指示すると、制御手段30は、ステップSP2において、あらかじめメモリ32に記録した動作の基準となる初期値を読み込む。
かかる初期値としては、例えば
・ 水処理装置1の運転開始後、流量センサS1による流量検知と、電流センサS2による電流値測定とを開始するまでの待ち時間T1、
・ 水処理装置1を、その運転中にガス抜き促進のために一時停止させる間隔を規定するための時間T2、
・ 上記一時停止の長さを規定するための時間T3、
・ 電流センサS2によって測定した電流値Cから、配管の水漏れや電極11bの劣化の有無を判断する基準とするしきい値C1などを挙げることができる。
このうち待ち時間T1を規定しているのは、循環ポンプP1を動作させてから処理水路100内の水流が安定するまでに、また電極11bに通電してから前述した電気化学反応が安定するまでに、多少の時間がかかるためである。
次に制御手段30は、ステップSP3において、電磁弁V2が閉じられている場合はこれを開き、かつ循環ポンプP1を駆動して処理水路100内に水を循環させるとともに、電極11bに通電して電気化学反応を開始させることで水処理装置1の運転を開始する。また、それとともにタイマ31をリセット(T=0)して計時を開始する。
そしてステップSP4において、タイマ31による計時時間Tが前述した待ち時間T1に達する(T=T1)まで待機した後、ステップSP5に進んで、流量センサS1による、処理水路100を流れる水の流量の検知を開始する。
なおこの例では、流量センサS1として、前述したように流量があらかじめ設定した所定値以上(スイッチON)であるか、所定値未満(スイッチOFF)であるかを検知するフロースイッチを用いているため、流量の検知は、かかるフロースイッチがONかOFFかの検知である。
処理水路100の配管100aやフィルタ12bなどに目詰まりが発生していない正常状態ではフロースイッチはONになる。このため制御手段30は、次にステップSP6に進んで、電流センサS2を用いた、電解処理手段11による水への通電の電流値Cの測定を開始する。
配管100aの水漏れや電極11bの劣化が発生していない正常状態では、電流値Cは、前述したしきい値C1以上(C≧C1)の値を示す。このため制御手段30は、次にステップSP7に進んで、タイマ31による計時時間Tが、前述した、水処理装置1を一時停止させる間隔を規定するための時間T2に達したか否かを判定し、達していない場合(T<T2)にはステップSP8に進んで、オペレータなどによって水処理装置1の運転終了が選択されたか否かを判定する。
そして運転終了が選択されていない場合はステップSP4に戻って、ステップSP4〜SP8を繰り返しながら、水処理装置1の運転を続ける。
一方、配管100aやフィルタ12bなどに目詰まりが発生して処理水路100を流れる水の流量が低下し、流量センサS1としてのフロースイッチがOFFになると、制御手段30は、ステップSP5においてこれを検知して図7(a)のサブルーチンのステップSP10に進む。
そしてステップSP10において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を停止し、次いでステップSP11において電磁弁V2を閉じて、水処理装置1と給水タンク2との間の自由な水の流通を防止する。つまり循環ポンプP1を停止しているにもかかわらず、給水タンク2内の水の増減などに応じて処理水路100内に水流が発生するのを防止する。
このため、オペレータなどが水処理装置1の設置場所に来て弁V1、V4を閉じるまでの間に、たとえ水処理装置1内で菌類などが増殖しても、それが上記の水流に乗って給水タンク2に流入して水質を悪化させるのを防止することができる。
次にステップSP12で、制御手段30は、制御盤等に設けた異常報知手段(警報ランプ、警報ブザー等)を作動させて、オペレータなどへの異常報知を開始し、それに気づいたオペレータなどが運転停止を指示するまで、ステップSP13においてこの状態を維持しながら待機を続ける。
そしてステップSP13で、メンテナンスを行うために運転停止が指示されると、制御手段30は、ステップSP14に進んで水処理装置1の全ての運転を停止する。
また図6のメインルーチンにおいて、配管100aの水漏れや電極11bの劣化が発生して、電流センサS2によって測定した電流値Cがしきい値C1未満(C<C1)になると、制御手段30は、ステップSP6においてこれを検知して図7(b)のサブルーチンのステップSP15に進む。
そしてステップSP15において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を停止し、次いでステップSP16において電磁弁V2を閉じる。
そうすると、とくに水漏れが発生している場合には、当該電磁弁V2と逆止弁V3とが、オペレータなどが水処理装置1の設置場所に来て弁V1、V4を閉じるまでの間、前述したように給水タンク2から配管100a内に水が流入して水漏れ部から流出し続けるのを防止することができる。
また前記の場合と同様に、たとえ水処理装置1内で菌類などが増殖しても、それが前述した水流に乗って給水タンク2に流入して水質を悪化させるのを防止することもできる。
次にステップSP17で、制御手段30は異常報知手段を作動させて、オペレータなどへの異常報知を開始し、それに気づいたオペレータなどが運転停止を指示するまで、ステップSP18においてこの状態を維持しながら待機を続ける。
そしてステップSP18で、メンテナンスを行うために運転停止が指示されると、制御手段30は、ステップSP19に進んで水処理装置1の全ての運転を停止する。
また図6のメインルーチンのうち、ステップSP5およびSP6において上記のような異常が検知されず、正常な運転を続けて行くと、やがてタイマ31による計時時間Tが前述した時間T2に達する(T=T2)。
そうすると制御手段30は、ステップSP7においてこれを検知して図7(c)のサブルーチンのステップSP20に進む。
そしてステップSP20において循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を一時的に停止し、なおかつタイマ31をリセットして一時停止の時間の計時を開始する。
次にステップSP21において、タイマ31による計時時間Tが、前述した一時停止の長さを規定する時間T3に達するまで一時停止状態を続けた後、ステップSP22に進んで循環ポンプP1を駆動して処理水路100内に水を循環させるとともに、電極11bに通電して電気化学反応を開始させることで水処理装置1の運転を再開する。また、それとともにタイマ31をリセット(T=0)し、計時を開始して図6のメインルーチンのステップSP4に戻り、処理水路100内の水流が安定し、かつ電極11bに通電してから電気化学反応が安定するまでステップSP4で待機した後、ステップSP4〜SP8を繰り返して通常運転を続ける。
そしてステップSP8において、オペレータなどによって水処理装置1の運転停止が指示されると、制御手段30はステップSP9に進み、循環ポンプP1を停止するとともに電極11bへの通電を停止して水処理装置1の運転を終了する。
以上の制御を行うことにより、処理水路100の目詰まりや水漏れ、電極11bの劣化などの発生を監視しながら、給水タンク2内の水を滅菌処理することができる。
図8は、上記例の水処理装置1のうち図2に示したユニットを収容するための、外装カバー4の外観を示す斜視図である。
図の外装カバー4は直方体状をなし、そのうち底板40上に図2のユニットが設置される。符号41は、上記底板40と一体に形成した背板である。また符号42は、上記底板40および背板41の2面を除く直方体の4面を構成し、かつ底板40に対して図中に黒矢印および白矢印で示すように前後にスライドして開閉されるカバー本体である。
カバー本体42は、図の半開状態から黒矢印で示すように奥にスライドさせて完全に閉じた状態で、ネジNによって底板40および背板41と固定される。またこの固定状態において互いに重ね合わされる、背板41の孔41aとカバー本体42の孔42aとに錠前を挿し通してロックすることもできる。そしてこれにより、オペレータ以外の鍵を持たない第三者が、水処理装置1に触れるのを防止して、安全性を向上することもできる。
図9(a)は、この発明の他の実施形態にかかる水処理装置1を、プールや浴槽等の水槽に、滅菌作用を有する水を滅菌処理剤として供給する供給源として使用するための構成を示す正面図、図9(b)は、上記水処理装置1の左側面図である。
これらの図に見るようにこの例の水処理装置1は、水に通電して電解処理するための電解槽14と、電解槽14で電解処理した水を、図示しない水槽に供給するためのポンプP2と、電解槽14からポンプP2への給水配管104とを、枠体15内に収容してユニット化したものである。
枠体15は、電解槽14を収容した第1のスペース15aと、その直下の、ポンプP2と給水配管104とを収容した第2のスペース15bとに分割して階層化してある。このため枠体15の設置面積をこれまでよりも小さくして、設置場所の状態に柔軟に対応することができる。
電解槽14は、この例の場合、図10に示すように、上部に開口を有する筐体14aと、上記開口をふさぐ蓋体14bとを有するとともに、筐体14a内を仕切り板14cで2つに仕切って、そのうち一方を、図では手前側の1枚しか示していないが複数枚の電極16を収容した電解槽領域14dとし、かつ他方を、電解槽領域14dで電界処理した水w3を貯留するための貯水槽領域14eとしてある。
図において符号16aは、各電極16からそれぞれ蓋体14bの上まで延設した端子部であって、図示しない電源からの配線を接続する。また符合105は、電解槽領域14dに、希釈水と食塩水とを所定の濃度で混合した水w2を供給するための配管である。
配管105から連続的にまたは断続的に、電解槽領域14dに、水w2を供給しながら電極16に通電すると、水w2は、当該電解槽領域14d内で電解処理されて、滅菌作用を有する水w3となった後、仕切り板14cの部分から溢れ出して、隣接する貯水槽領域14eに供給され、貯留される。
貯水槽領域14eの底部には、給水配管104の水の入口104aを、当該貯水槽領域14eの底面から鉛直方向上方に寸法h1だけ突出させた状態で接続してある。このため、電極16からスケールが脱落しても貯水槽領域14eの底に溜まらせることができ、その上の、スケールを含まない水w3を、給水配管104の水の入口104aから取り込んで、ポンプP2に送ることができる。したがってスケールがポンプP2を詰まらせたり、水槽内に流れ込んで水を濁らせたりするのを防止できる。
符号S3は、貯水槽領域14e内に貯留した水w3の水位を検知するための水位センサである。
水位センサS3は、蓋体14bの下面から、貯水槽領域14eの底面ヘ向けて延設した3つの電極S3a〜S3cを有する。
このうち共通電極S3aは、その先端を、貯水槽領域14eの底面近傍の、給水配管104の水の入口104aより下、すなわち常に水w3が存在する高さまで延設してある。また渇水位電極S3bは、その先端を、あらかじめ設定した貯水槽領域14eの渇水位の高さまで延設してあり、満水位電極S3cは、その先端を、あらかじめ設定した貯水槽領域14eの満水位の高さまで延設してある。
水位センサS3は、貯水槽領域14eの水位が下降し、渇水位電極S3bの先端が水から離れて、当該渇水位電極S3bと共通電極S3aとの導通が遮断されることで渇水位を検知し、逆に水位が上昇し、満水位電極S3cの先端が水と接触して、当該満水位電極S3cと共通電極S3aとが導通することで満水位を検知する。
そしてこの検知結果に基づいて、ポンプP2や、後述する希釈水槽のポンプ、食塩水槽のポンプなどを駆動制御して、貯水槽領域14eの水位を、上記渇水位と満水位の間で調整するために機能する。
具体的には、例えばポンプP2は、基本的にプール等の水槽の、残留塩素濃度の測定結果などに基づいて駆動制御されるが、水位センサS3で渇水位を検知した際には上記の駆動制御にかかわらず強制的に停止される。また希釈水槽のポンプや食塩水槽のポンプは、水位センサS3で渇水位を検知した際に駆動され、満水位を検知した際に停止される。
このため貯水槽領域14eの水位は、通常状態では、渇水位と満水位との間で調整され、それ以上にも以下にもなることがない。しかも、渇水位電極S3bの先端の高さによって規定される渇水位は、給水配管104の水の入口104aから寸法h2だけ鉛直方向上方に設定されている。
したがって水の入口104aが水面の上に出て、給水配管104内に空気が浸入することがないため、エア噛みが発生してポンプP2が故障したり水槽に供給する水が白濁したりするのを防止ができる。
符合106は、給水配管104が詰まったりポンプP2が故障したりして、貯水槽領域14eの水位が満水位を超えた際に、余剰の水w3を槽外に排出するためのドレン配管である。
図9および図11(a)を参照して、給水配管104は、電解槽14の底部から鉛直方向下方に伸びて、枠体15のうち、第2のスペース15bを構成する底板15cの近傍まで到達する縦管104bと、2つのエルボ管104c、104dと、矩形状である上記底板15cの、一方の長辺の近傍に配設した横管104eとを、この順に接続して構成してある。このうち縦管104bの上端が、前述した水の入り口104aである。
また横管104eの側面には、図9(a)中に二点鎖線で示すようにポンプP2への配管を接続するための、複数(図では4つ)の配管接続部104fを設けてあり、配管を接続しない分の配管接続部104fは、図示していないが、取り外し可能の止水栓によって閉じてある。
また横管104eの末端には、エルボ管104gを介して、鉛直方向上方に伸びる縦管104hを接続してあり、かかる縦管104hの上端は、前記ドレン配管106に接続してある。
縦管104hは、給水配管104内に混入した空気や、あるいは前記ガスなどの細かな気泡をドレン配管106に送って、給水配管104aから除去するために設けてある。
なお符号V7、V8は、水処理装置1のメンテナンス時などに縦管104b、104hを閉じて、電解槽14と給水配管104とを遮断するための弁である。
かかる給水配管104は、エルボ管104c、104d、104gおよび横管104eの向きを変えることで、図11(b)に示すように、横管104eを、図11(a)とは反対側の、底板15cの長辺の近傍に配設しなおすことができる。
また底板15cには、横管104eを図11(a)の位置に配設した際にポンプP2を設置することができる設置位置A1を、配管接続部104fと同数の4箇所、設けてあるとともに、横管104eを図11(b)の位置に配設した際にポンプP2を設置することができる設置位置A2を、やはり配管接続部104fと同数の4箇所、設けてある。
これにより、1台のポンプP2を、8ヶ所の設置位置A1、A2のいずれかに設置して水槽への配管を行うことができるため、ユニットとしての枠体の向きや設置位置を変更することなしに、ポンプから水槽への配管の向きや位置を任意に変更できる、設置場所の状態にさらに柔軟に対応することができる。
また、2台以上の複数台のポンプP2を複数の設置位置A1、A2に設置して、複数の水槽に水w3を供給することもできるため、例えば複数のプールを備えた遊戯施設や、複数の浴槽を備えた浴場施設などにおいて水処理装置の制御を簡略化できる上、イニシャルコストやランニングコストを低減することもできる。
符号107は、水処理装置1のメンテナンス時などに、電解槽14のうち前記電解槽領域14dの水を抜くための排水管であって、通常は、途中に設けた弁V9を閉じて閉鎖してある。また符合108は、同様に貯水槽領域14eの水を抜くための排水管であって、通常は、途中に設けた弁V10を閉じて閉鎖してある。
これらの排水管107、108は、図示していないがドレン管106と接続されている。そしてドレン管106、排水管107、108の排水は、これも図示していないが、上記ドレン間106の末端106aに接続したドレン口に達する配管を通して排水される。
図12は、上記各部からなる水処理装置1のユニットのうち、第1のスペース15aの直上に、電解槽14に供給する希釈水を貯留するための希釈水槽17を配設した変形例を示す概略図である。
符号109は、水道管等の給水源から希釈水槽17に希釈水w4を供給するための配管、105aは、希釈水槽17から、ポンプP3によって希釈水w4を電解槽14に供給するための配管、105bは、図示しない食塩水槽から、飽和濃度かもしくはそれに近い高濃度の食塩水を電解槽14に供給するための配管である。先の図10の例ではこの2つの配管105a、105bを一つにまとめて電解槽14に接続していたが、この例のように別々に接続してもよい。
また配管109の、希釈水槽17への接続部には、当該希釈水槽17の水位の上下に応じたフロート17aの上下動に伴って開閉され、それによって希釈水槽17の水位を一定範囲に保つための、図示しないフロート弁を設けてある。
上記のように電解槽14の上に希釈水槽17を設置し、希釈水w4を、当該希釈水槽17に一旦、貯留した後、ポンプP3によって電解槽14に供給した場合には、ユニットと給水源との位置関係や給水源の水圧などに関係なく、希釈水w4の水量を常に安定させることができる。
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものでなく、各請求項記載の範囲内において、種々の変更が可能である。