JP4259841B2 - 超音波振動子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削又はプレス一体成型によって作製された有底筒状金属ケースを有するガスメータ用の超音波振動子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有底筒状金属ケースは電池、電解アルミニウムコンデンサ、超音波振動子などの電子部品に用いられ、切削又はプレス一体成型を用いて一般的に作製される。最近、電池、超音波振動子などに用いられる電子部品、特に電池用ケースおよび超音波振動子用ケースはより小さく精密化の要望が高く、切削又はプレス一体成型などの加工面において加工応力を以下に緩和させ、設計寸法通り作製できるかが大きな課題である。
【0003】
その中でも特に超音波振動子用のケースは、圧電振動子などを収容するケースで、通常、真空または不活性ガスで置換され封止される。超音波振動子用のケース材料は、超音波振動子が主に気体や液体等の流体の速度を計測するために用いられるため、ケース表面は測定対象の気体および液体にさらされる。例えば都市ガス等のガスメータに使用される場合は、ガス漏れなどの事故に対する安全性や10年以上連続使用されることから現状の電子部品以上の長期信頼性が要求される。特に、最近では連続使用期間が10年から20年に移行する動きが業界であり、更なる長期信頼性が要望されている。また、「特定計量器検定検査規則」の第10章「ガスメータ」の第四百五十九条(漏えい試験)ではガスに関して漏洩と水の浸入についての検査および規定は厳しく記されている。
【0004】
また、ガスメーカーの仕様書においても圧力スイッチなどについては、ガスに接する部分の主要材料は、資源エネルギー庁ガス事業課およびガス技術安全課が定めたガス事業法令「ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示第84条の規格に適合する耐ガス性、耐食性を有する金属材料であること」と規定されている。
【0005】
そのため、ガスに接するケース部材は同様に加工や衝撃等による機械的破損や気温、酸性雨などの環境的要因による腐食が許されない。従って、強度、加工性、耐ガス性、耐食性、耐応力腐食割れ性、溶接性に優れていることが要求される。従来のセンサーに関しては、樹脂で一体整形されたケース、焼結ケース、繋ぎ目を溶接で加工したケース等が一般に用いられていて、上記安全面や長期信頼性について考慮された材料や構造ではなかった(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、安全面や長期信頼性を考慮して用いられる金属製の切削加工されたケースやプレス一体成型された金属ケースにおいては、圧電体や音響整合層を接合するケース天面を接合精度と振動板に兼用して用いられることから音響的性能面から平坦に加工することが要求されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−118550号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
成型のし易さから樹脂ケースが用いられることがあるが、樹脂ケースは耐湿性が低く耐久性に欠け、焼結ケースは衝撃に弱く加工精度が悪い。また樹脂ケース、焼結ケースに関しては機密性が低く安全面や長期信頼性について保証が難しいという欠点がある。切削ケースについては、精密加工を伴うことから加工性に優れた材料の真鍮などが用いられる。しかし、真鍮のような加工性に優れた材料は耐食性に劣る材料が多く、耐食性を高めるために加工後、メッキ処理などを表面に施す必要がある。そのため工程数が多くなり加工賃が非常に高くなるという欠点があった。さらに切削ケースにおいては、音響面から振動板として用いられるケース天面はケース側面に比べて、できるだけ厚みを薄くするほうが感度的によくなることから薄く加工されるが、薄く加工することによって、加工応力や歪から天面が撓んだり反る問いう欠点があった。また、流路を流れる流体に対して繋ぎ目があるケースにおいては、その溶接部の強度について長期信頼性において疑わしい。一方、プレス一体加工されたケースに関しては、ケース天面を平坦にする必要性から、加工時にかなり部分的に力を加えるような加工を施すことから、非常に均一なケースを加工することが難しく、プレス用金型の寿命も短くなるという欠点があった。また、加工時に加わる力を内部応力として蓄えることから、JIS G 0576に記載のステンレス鋼の42%塩化マグネシウム腐食試験で応力腐食割れが生じることが多く、使用することが不可能であった。これはガスメーカーの圧力スイッチにおける仕様書に記されているもので、ガスに接する部分の主要材料は、資源エネルギー庁ガス事業課およびガス技術安全課が定めたガス事業法令「ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示第84条の規格に適合する耐ガス性、耐食性を有する金属材料であること」と規定されていることから、超音波ガスセンサにおいても塩化マグネシウム試験を用いて加速試験が行われる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、切削加工又はプレス加工などの一体成型加工を施した有底筒状金属ケースにおいて、ケース天面が平坦で応力腐食割れのない有底筒状金属ケースを有するガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、超音波を送受信するときに前記超音波により振動するケース天面を有する有底筒状金属ケースと、
前記有底筒状金属ケースの前記ケース天面の内面に、接着剤によって接合される圧電体と、を備える、前記超音波を送受信する、ガスメータ用の超音波振動子の製造方法であって、
切削又はプレスにより底面を形成する一体成型加工によって、前記有底筒状金属ケースを作製する工程と、
前記有底筒状金属ケースの内面に、粘性状態の前記接着剤によって前記圧電体を仮接合する工程と、
前記接着剤によって前記圧電体を仮接合した有底筒状金属ケースに、150℃以上300℃以下の一定温度まで、0℃/minよりも大きく5℃/min以下で温度を上げて、0分より大きく60分以内の間、上記前記一定温度で保持し、前記上記一定温度から常温まで、0℃/minよりも大きく1℃/min以下で温度を下げる熱処理を行い、かつ、前記熱処理を、前記圧電体と前記有底筒状金属ケースとの間の前記接着剤の仮接合を本接合とする接着剤硬化用の加熱処理として利用する工程と、
を含む、ガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記接着剤としては、ウレタン系、シアノ系、シリコーン系の樹脂接着剤である、第1の態様に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第3態様によれば、前記加工成型された有底筒状金属ケースを構成する材料は、主にステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、又は、チタンである第1又は2の態様に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記有底筒状金属ケースの前記圧電体が設けられた面の反対側の面に、音響整合層が設けられた第1又は2の態様に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記有底筒状金属ケースにおいて前記圧電体および前記音響整合層が配置される天面の平坦度は5μm以内である第4の態様に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
本発明の一実施形態にかかる、有底筒状金属ケースの製造方法により製造される有底筒状金属ケースは、筒体の一端に筒体開口を閉塞する底面が一体的に形成されたものであって、切削加工又はプレス加工により底面を形成する一体成型加工によって作製したのち、加工後に加工油を完全に除去し、その後、応力腐食割れを防ぐために低温熱処理を施すことにより製造されている。ケース形状はたとえば図6(a)、(b)に示すような円筒形、矩形が一般的で、円筒形の場合には直径φ12mm、高さh=6mm、厚みt=0.2mm、矩形の場合には横8mm×幅8mm×高さ6mm、厚みt=0.2mmの大きさのものを例示することができる。ただし、ケースの形状や大きさは上記に限定されるものではない。
【0029】
本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースの製造方法の低温熱処理を行う温度プロファイルは、図1に示すように、上記有底筒状金属ケースの温度をある一定温度まで上げる工程1と、上記有底筒状金属ケースをある一定温度で保持する工程2と、上記有底筒状金属ケースの温度を下げる工程3とを備えている。
【0030】
本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースの製造方法の上記低温熱処理において、図1の温度プロファイルで示す上記温度を上げる温度工程1での上記温度を上げる速度は、0℃/minよりも大きく、5℃/min以下が望ましい。温度を上げる速度が5℃/minよりも速い場合には、ケース全体の温度が一定に上がらないため、部分的に熱分布が生じ、歪みや反りが発生し、形状が原型と異なってしまうことがある。また、ひどい場合には、割れが生じることがある。
【0031】
上記低温熱処理において、図1の温度プロファイルで示す上記一定温度で保持する工程2での熱処理温度は150〜300℃である。150℃未満ではケース天面の反り量を平坦にする効果が少なく、また300℃を越えるとケース天面の反り量を平坦化する効果も低下し、応力腐食割れ試験においても割れが生じる。また、300℃以下ならば、加圧治具に関しても特殊鋼などを使用する必要がなく、通常のステンレス(SUS304など)で対応可能である。また、生産性に関しても、できるだけ低い温度である300℃以下であれば、タクトタイムも短縮され熱処理するための恒温槽も通常品で可能なため有利である。以上から熱処理温度は150〜300℃の範囲が望ましい。なお、上記熱処理温度は、150〜300℃内のある温度例えば170℃で一定であってもよいし、150〜300℃内で変動してもよい。
【0032】
上記一定温度で保持する工程2において、上記150〜300℃の範囲で熱処理温度を保持する温度保持時間は、0分より大きく、60分以内でなければならない、その理由としては、熱処理を60分を越えても応力腐食割れを防ぐ効果は、熱処理時間60分以内と殆ど変わらないためであるとともに、場合によっては、熱処理時間が60分を越えると、応力腐食割れが生じ始めることもあるからである(後述する実施例3参照)。
【0033】
上記図1の温度プロファイルで示す上記温度を下げる工程3では、その温度を下げる冷却速度を、0℃/minより大きく、必ず1.0℃/min以下で徐冷する必要がある。これは、急冷もしくは1.0℃/minを超える速度で冷却すると、ケースに応力が蓄えられ、反り、変形が生じたり、内部応力が蓄えられることで、応力腐食割れ試験で割れが生じる。従って、冷却速度は、0℃/minより大きく、必ず1.0℃/min以下で徐冷する必要がある。
【0034】
本発明の上記実施形態にかかる熱処理工程において、熱処理雰囲気は不活性ガス中で行う。ケース材料として、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなどは不動態膜が表面に形成されているため、不活性ガス雰囲気中で熱処理しなくても問題ないが、銅や真鍮のように酸化しやすい金属の場合には不活性ガス中で熱処理を行うことが望ましい。
【0035】
本発明の上記実施形態にかかるケース天面を平坦化可能な有底筒状金属ケースの材質としては、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、銅、真鍮、又は、チタンが望ましい。特にこれらの材料を切削加工、もしくはプレス一体成型加工(例えば精密プレスによる深絞り法を用いて一体成型加工)を施した後に、加工油を完全に除去し、低温熱処理すれば、応力腐食割れを防ぐことが可能である。
【0036】
本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースのケース天面の厚みは、0mmより大きく、1mm以下が望ましい。ケース天面の厚みが1mmを超えると、低温熱処理では応力腐食割れを防止する効果が低下するとともに、超音波振動子の超音波の感度が低下してしまう。従って、ケース天面の厚みは1mm以下が望ましい。
【0037】
本発明の上記実施形態にかかる超音波振動子は、図2に示されるように、少なくとも有底筒状金属ケース33と、ケース33の1つの面(例えば天面)に圧電体6が接着剤31で接着されて設けられ、圧電体6を封じ込めるように端子板7がケース33と抵抗溶接されている。端子板7には圧電体6に電圧を加える端子8a、8bが組み込まれ、端子8aは導電ゴム10を介して圧電体6に接続されている。また端子8aと端子板7はガラス9で固定され密閉されている。その有底筒状金属ケース33は応力腐食割れを防止するために低温熱処理を施されている。
【0038】
図2に示される構成の超音波振動子は、液中などの音速の速い媒体中で用いられる。特に超音波振動子に用いられる有天筒状金属ケース33は、天面が振動板を兼ねるため音響的な観点と圧電体6を天面に接着剤31で接着するという工法面の両面から平坦性と均一性が求められる。有天筒状ケース天面の平坦性、均一性を実現するために、切削又はプレス一体成型加工時に非常に応力を加えてしまうため、切削又はプレス一体成型後、何も処理をしなければ応力腐食割れを生じる。そこで、低温熱処理として、適切な温度と時間および温度を上げる時間、温度を下げる時間を制御して低温加熱することで加工時に加わった内部応力を緩和することが可能である。
【0039】
尚、接着層31の接着剤としてはウレタン系、シアノ系、シリコーン系の樹脂接着剤がある。この接着剤は、圧電体6とケース33とを粘性状態で仮接合したのち、150〜300℃の範囲に加熱されると、化学反応が起きて硬化して本接合される。従って、上記低温熱処理は、上記ケース33に被接着物(例えば圧電体6)を加熱状態下で接着剤(例えば接着剤31)で接着するときの接着剤硬化用の加熱処理であるようにすることもできる。このようにすれば、特別に低温熱処理工程を設定することなく、上記ケース33に被接着物(例えば圧電体6)を接着剤(例えば接着剤31)で接着するときの加熱処理工程を上記低温熱処理工程と兼用することができ、より生産性を高めることができる。
【0040】
本発明の上記実施形態の変形例にかかる超音波振動子は、図3に示されるように、少なくとも有底筒状金属ケース33と、ケース33の1つの面に圧電体6が設けられ、圧電体6が設けられた面の反対側の面に接着剤30で音響整合層4が設けられる。圧電体6を封じ込めるように端子板7がケース33と抵抗溶接されている。端子板7には圧電体6に電圧を加える端子8a、8bが組み込まれ、端子8aは導電ゴム10を介して圧電体6に接続されている。また端子8aと端子板7はガラス板9で固定され密閉されている。その有底筒状金属ケース33は応力腐食割れを防止するために低温熱処理を施されている。図3に示される構成の超音波振動子は、気体中、たとえば図4、図5に示されるような構成で都市ガスやLPガス、水素などの流量計測などに用いられる。
【0041】
図4及び図5に超音波振動子1を備えた超音波流量計100の断面図を示す。
【0042】
超音波流量計100の概略構成を示すと、ガスなどの被測定流体が供給される供給管と連結した入口路100aから流入された被測定流体の流量を測定する流量測定部11と、流量測定部11と連通し、被測定流体を外部へ導く出口路100bと、この流量測定部11に設けられて超音波を送受信する一対の超音波振動子17、18(それぞれは超音波振動子1に対応する。)と、超音波振動子17、18間の伝搬時間を計測する計測回路101と、計測回路101からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段102とを備えている。よって、一方の超音波振動子17から他方の超音波振動子18に向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記他方の超音波振動子18で受信されることにより、計測回路101で超音波振動子17、18間の伝搬時間を計測する。次いで、逆に、上記他方の超音波振動子17から上記一方の超音波振動子18に向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記一方の超音波振動子18で受信されることにより、計測回路101で超音波振動子17、18間の伝搬時間を計測する。このように所定回数だけ、上記一対の超音波振動子17、18間で超音波の伝搬時間を計測し、流量演算手段102でその平均値を基に、ガスなどの被測定流体の流量を算出するようにしている。よって、各超音波振動子17,18は送受信を行えるようにしている。ここで、上記計測回路101と流量演算手段102とより流量算出システムを構成している。
【0043】
実例として、流量測定部11を構成する材料はLPガスや天然ガスの流量計測する家庭用ガスメータを想定しアルミニウム合金ダイカストとする。図5に示すように、側壁部12、13の端面に例えばコルク材からなるシール材14を介して上板部15をネジ止めして、流路断面16が矩形の流量測定部11を構成する。また、図4に示すように、超音波振動子17、18は、超音波を発信・受信する送受波面が相対するよう側壁部12、13に斜めに設けられている。具体的には、側壁部12、13に設けられた超音波振動子17、18の振動子取り付け穴19、20に例えばOリングからなるシール材21、22を介して固定する。これは1つの実例であり、本発明はこれに限られるものではない。
【0044】
計測精度を向上させるためには、対向する超音波振動子の個体ばらつきをできるだけ小さくする必要がある。個体ばらつきを発生させる大きな要因として、有天筒状ケース天面の平坦性と均一性が振動板を兼ねている音響的な観点と圧電体および整合層を天面に接着するという工法面の両面から要求される。そのため、切削又はプレス一体成型加工時に非常に大きな応力をかけ、加工時の内部応力を含んだままの状態で加工され、応力腐食割れが生じる。特に都市ガスやLPガス、水素など活性ガス中で用いられる超音波振動子は漏れなど安全面から応力腐食割れは絶対許されない。そこで、低温熱処理を適切な温度と時間および温度を上げる時間、温度を下げる時間を制御することで加工時に加わった内部応力を緩和することが可能である。
【0045】
なお、熱処理に用いる熱処理炉は温風循環式、高周波式、直接加熱式など上記温度プロファイルを実現可能であればどのようなものを用いても問題ない。
【0046】
【実施例】
以下具体的な実施例により、本発明の上記実施形態の効果の説明を行う。
【0047】
(実施例1)
切削加工とプレス一体成型されたケースを北沢薬品性の洗浄剤FNS−70で洗浄、乾燥後、ケース天面を3次元表面粗さ計で測定を行った。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ6mm、厚さ0.2mmである。このときの切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304を用いた。切削ケースおよびプレス一体成型ケースを温度を上げる速度ごとにそれぞれ3個ずつ用意し、図1の温度プロファイルで昇温速度を変化させて200℃まで加熱し、温度200℃で1時間保持した後、炉冷した。このときの冷却速度は0.5℃/minであった。その後、常温まで温度が下がったのを確認後、恒温槽からケースを取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討前に予備検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表1及び表2にその結果を示す。表2は表1の続きである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
以上の結果より、5℃/min以下で温度を上げることで、ケース天面の平坦度を変化させることなく、応力腐食割れを防ぐことが可能である。さらに、好ましくは、上記温度を上げる速度は、1.0℃/minよりも大きく、5.0℃/min以下が望ましい。
【0051】
(実施例2)
次に、熱処理温度の検討を行った。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ5.6mm、厚さ0.2mmである。このときの切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304を用いた。切削ケースおよびプレス一体成型ケースを熱処理温度ごとにそれぞれ3個ずつ用意した。熱処理の温度プロファイルは図1の温度プロファイルで昇温速度は3℃/minで、保持温度を120〜220℃まで10℃ずつ変化させ、それぞれの温度で1時間保持した後、炉冷した。このときの冷却速度は0.5℃/minであった。その後常温まで温度が下がったのを確認後、ケースを取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討前に呼び検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表3〜表6にその結果を示す。表4は表3の続きであり、表5は表4の続きであり、表6は表5の続きである。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
以上の結果より、熱処理温度は150〜300℃の範囲でケース平坦度が5μm以下のままで、さらに応力腐食割れを防止することが可能と判明した。
【0057】
(実施例3)
次に、熱処理温度での保持時間の検討を行った。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ5.6mm、厚さ0.2mmである。このときの切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304を用いた。切削ケースおよびプレス一体成型ケースを保持時間ごとにそれぞれ3個ずつ用意した。熱処理の温度プロファイルは図1の温度プロファイルで昇温速度は3℃/minで、保持温度を200℃とし、保持時間を10分ごとに増やして最大80分まで変化させた後、炉冷した。このときの冷却速度は0.5℃/minであった。その後常温まで温度が下がったのを確認後、ケースを取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討前に呼び検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表7〜表8にその結果を示す。なお、表8は表7の続きである。
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
以上の結果から、熱処理温度での保持時間は60分を越えると、応力腐食割れが生じ始めることが判明した。従って、熱処理において保持時間は、0分よりも大きく、60分以下で良好な特性が得られる。
【0061】
(実施例4)
次に、熱処理工程での冷却速度について検討を行った。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ5.6mm、厚さ0.2mmである。このときの切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304を用いた。切削ケースおよびプレス一体成型ケースを冷却する冷却速度ごとにそれぞれ3個ずつ用意した。熱処理の温度プロファイルは図1の温度プロファイルで昇温速度は3℃/minで、保持温度を200℃とし、保持時間60分後、冷却する。このときの冷却速度を何種類か変化させ冷却速度がケース天面の平坦化と応力緩和にどの程度寄与するかを調べた。冷却速度としては、▲1▼炉冷・徐冷(平均0.5℃/min以下)▲2▼空冷(平均1.0℃/min程度)▲3▼強制冷却(平均5.0℃/min程度)▲4▼急冷(平均10℃/min以上)の4種類を検討した。その後常温まで温度が下がったのを確認後、ケースを取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討前に呼び検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表9にその結果を示す。
【0062】
【表9】
【0063】
以上の結果から、冷却速度は、0℃/minより大きく、1.0℃/min以下であればケースの天面の平坦度を維持したまま、内部応力も緩和され応力腐食割れも防止可能である。
【0064】
(実施例5)
次に、ケース材料について検討を行った。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ5.6mm、厚さ0.2mmである。このときの切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、チタンを検討した。切削ケースおよびプレス一体成型ケースを材料ごとにそれぞれ3個ずつ用意した。熱処理の温度プロファイルは図1の温度プロファイルで昇温速度は3℃/minで、保持温度を200℃とし、保持時間60分後、0.5℃/min以下の速度で冷却した。銅と真鍮に関しては不活性ガス雰囲気中(Ar雰囲気中)で熱処理した。その後常温まで温度が下がったのを確認後、取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討の予備検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表10〜表11にその結果を示す。表11は表10の続きである。
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】
以上の結果から、上記金属材料においても熱処理を施すことでケース天面の平坦度を維持したまま、応力腐食割れを防止可能であることがわかった。
【0068】
(実施例6)
次に、ケース天面の厚みについて検討した。ケース形状は図6(a)に示すφ12mm、高さ5.6mmである。このときケース天面の厚さを0.1〜1.5mmまで変化させて検討を行った。切削ケースのケース天面の平均平坦度は3μm、プレス一体成型ケースのケース天面は4μmであった。ケース材料としてはSUS304を用いた。切削ケースおよびプレス一体成型ケースをケース天面の厚みごとにそれぞれ3個ずつ用意した。熱処理の温度プロファイルは図1の温度プロファイルで昇温速度は3℃/minで、保持温度を200℃とし、保持時間60分後、0.5℃/min以下の速度で冷却した。その後常温まで温度が下がったのを確認後、治具からケースを取り出してケース天面の平坦度測定を3次元表面粗さ計で測定し、その後、腐食割れ試験を48時間行った。腐食割れの判断については、顕微鏡を用いて目視検査を行った。ただし、今回の検討の予備検討として、切削又はプレスで作製したケースを10個ずつ用いて応力腐食試験を行ったが、それぞれ10個ずつすべて割れてしまった。ケース天面の平坦度については3次元表面粗さ計を用いて測定をし、最大値と最小値の差を平坦度として、その差が5μm以下を合格とした。また、応力腐食割れ試験を行って、顕微鏡で目視して割れがないものを合格とした。総合評価はケース天面の平坦度が5μm以下、応力腐食割れなしの場合○とし、どちらか一方が不合格の場合△、両方不合格の場合×とした。表12〜表13にその結果を示す。表13は表12の続きである。
【0069】
【表12】
【0070】
【表13】
【0071】
以上の結果、ケース天面の厚みが、0mmより大きく、1.0mm以下であるならば、熱処理施すことでケース天面の平坦度5μm以下を維持したまま、応力腐食割れを防ぐことが可能であることがわかった。
【0072】
上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースによれば、切削又はプレスにより底面を形成する一体成型によって作製された有底筒状金属ケース33において、上記切削又はプレス一体成型後に、応力腐食割れが抑えられるように低温熱処理が施されるため、ケース天面が平坦で応力腐食割れがなく、長期信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、切削又はプレスにより底面を形成する一体成型によって作製された有底筒状金属ケース33の製造方法において、上記切削又はプレス一体成型後、低温熱処理を施すことで上記ケース33の応力腐食割れを抑えるようにしている。このようにすれば、ケース天面が平坦で応力腐食割れのないケース33を実現することができ、長期信頼性の向上を図ることができる。
【0074】
また、本発明の上記実施形態にかかる超音波振動子によれば、上記様々な有底筒状金属ケース33と、上記ケース33の1つの面に配置された圧電体6とを備えるようにしているので、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケース33において、超音波振動子組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波振動子を実現することが可能となる。
【0075】
さらに、本発明の上記実施形態にかかる超音波流量計によれば、被測定流体が流れる流量測定部11と、上記流量測定部11に設けられて超音波を送受信する一対の上記超音波振動子17,18と、上記超音波振動子17,18間の伝搬時間を計測する計測回路101と、上記計測回路101からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段102とを備えるようにしているので、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケースにおいて、超音波流量計組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波流量計を実現することが可能となる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0077】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、切削又はプレスにより一体成型された有底筒状金属ケースにおいて、ケース天面が平坦で応力腐食割れのないケースを実現することで、長期信頼性の向上を図ることができる。そして、そのような有底筒状金属ケースを利用することにより、高精度で信頼性の高い超音波振動子および超音波流量計を実現することが可能となる。
【0079】
具体的には、本発明の第1態様にかかる有底筒状金属ケースによれば、切削又はプレスにより底面を形成する一体成型によって作製された有底筒状金属ケースにおいて、上記切削又はプレス一体成型後に、応力腐食割れが抑えられるように低温熱処理が施されたものであるため、ケース天面が平坦で応力腐食割れがなく、長期信頼性の向上を図ることができる。
【0080】
本発明の第2態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、切削又はプレスにより底面を形成する一体成型によって作製された有底筒状金属ケースの製造方法において、上記切削又はプレス一体成型後、低温熱処理を施すことで上記ケースの応力腐食割れを抑えるようにしている。このようにすれば、ケース天面が平坦で応力腐食割れのないケースを実現することができ、長期信頼性の向上を図ることができる。
【0081】
本発明の第3態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記切削又はプレス一体成型後に施される上記低温熱処理は、上記有底筒状金属ケースの温度を上げる工程と、上記有底筒状金属ケースを一定温度で保持する工程と、上記有底筒状金属ケースの温度を下げる工程とを備えるようにしている。このようにすれば、上記第2態様の作用効果をより確実に達成することができる。
【0082】
本発明の第4態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理の上記温度を上げる工程において、上記温度を上げる速度は、0℃/minよりも大きく5℃/min以下であるようにしている。このように構成すれば、温度を上げる速度は0℃/minより大きく5℃/min以下であるため、ケース全体の温度が一定に上がり、部分的に熱分布が生じることがなく、歪みや反りや割れも発生せず、形状が原型と異なってしまうこともない。
【0083】
本発明の第5態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理の上記一定温度で保持する熱処理温度は、150〜300℃であるようにしている。このように構成すれば、保持温度が150℃以上であるためケース天面の反り量を平坦にする効果が期待でき、また、保持温度が300℃以下であるためケース天面の反り量を平坦化する効果も期待でき、応力腐食割れ試験においても割れが生じることがない。また、保持温度が300℃以下であるため、加圧治具に関しても特殊鋼などを使用する必要がなく、通常のステンレス(SUS304など)で対応可能であるとともに、生産性に関しても、タクトタイムも短縮され、熱処理するための恒温槽も通常品で可能なため有利である。
【0084】
本発明の第6態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理の上記一定温度で保持する時間は、0分より大きく60分以内であるようにしている。このようにすれば、60分以内という少ない時間で効率良く熱処理を行うことができるとともに、熱処理時間が長過ぎて応力腐食割れが生じ始めることもない。
【0085】
本発明の第7態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理工程の上記温度を下げる速度は、0℃/minより大きく1.0℃/min以下であるようにしている。このようにすれば、急冷もしくは1.0℃/minを超える速度で冷却することがないので、ケースに応力が蓄えられ、反り、変形が生じたり、内部応力が蓄えられることで、応力腐食割れ試験で割れが生じるといったことがない。
【0086】
本発明の第8態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理工程は、不活性ガス雰囲気中で施されるようにしている。このようにすれば、不活性ガス中で熱処理を行うことにより、銅や真鍮のように酸化しやすい金属の場合でも酸化を防止することができる。
【0087】
本発明の第9態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記加工成型された金属ケースを構成する材料は、主にステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、又は、チタンであるようにしている。このようにすれば、このような汎用の材料で上記種々の作用効果を確実に達成することができる。
【0088】
本発明の第10態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記ケース材料の厚みは、0mmより大きく1mm以下であるようにしている。このようにすれば、ケース天面の厚みが0mmより大きく1mm以下であるため、低温熱処理で応力腐食割れを防止する効果が低下することがないとともに、超音波振動子の超音波の感度の低下も防止できる。
【0089】
本発明の第11態様にかかる有底筒状金属ケースの製造方法によれば、上記低温熱処理は、上記ケースに被接着物を加熱状態下で接着剤で接着するときの接着剤硬化用の加熱処理であるようにしている。このようにすれば、特別に低温熱処理工程を設定することなく、上記ケースに被接着物を接着剤で接着するときの加熱処理工程を上記低温熱処理工程と兼用することができ、より生産性を高めることができる。
【0090】
本発明の第12態様にかかる有底筒状金属ケースによれば、上記様々な有底筒状金属ケースの製造方法により製造された有底筒状金属ケースであるので、上記した様々な作用効果を奏することができる。
【0091】
本発明の第13態様にかかる超音波振動子によれば、上記様々な有底筒状金属ケースと、上記ケースの1つの面に配置された圧電体とを備えるようにしている。このようにすれば、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケースにおいて、超音波振動子組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波振動子を実現することが可能となる。
【0092】
本発明の第14態様にかかる超音波振動子によれば、有底筒状金属ケースと、上記ケースの1つの面に配置された圧電体と、上記圧電体が設けられた面の反対側の面に配置された音響整合層とを備えるようにしている。このようにすれば、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケースにおいて、超音波振動子組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波振動子を実現することが可能となる。
【0093】
本発明の第15態様にかかる超音波振動子によれば、上記有底筒状金属ケースにおいて上記圧電体および上記音響整合層が配置される天面の平坦度は5μm以内であるようにしている。このようにすれば、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケースにおいて、超音波振動子組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波振動子を実現することが可能となる。
【0094】
本発明の第16態様にかかる超音波流量計によれば、被測定流体が流れる流量測定部と、上記流量測定部に設けられて超音波を送受信する一対の上記超音波振動子と、上記超音波振動子間の伝搬時間を計測する計測回路と、上記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えるようにしている。このようにすれば、流路を流れる流体に対して繋ぎ目のないケースにおいて、超音波流量計組立時の歩留まり及び生産性が良く、高精度で信頼性の高い超音波流量計を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる有底筒状金属ケースの熱処理の温度プロファイルを示す図である。
【図2】 本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースを利用した超音波振動子を示す図である。
【図3】 本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースを利用した別の超音波振動子を示す図である。
【図4】 本発明の上記実施形態にかかる有底筒状金属ケースを有する超音波振動子を備える超音波流量計を示す図である。
【図5】 図4の超音波流量計の断面を示す図である。
【図6】 (a),(b)は、それぞれ、本発明の上記実施形態にかかる有底筒状の円形ケースを示す斜視図及び本発明の上記実施形態の変形例にかかる有底筒状の矩形ケースを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…温度を上げる工程、2…一定温度で保持する工程、3…温度を下げる工程、4…音響整合層、6…圧電体、7…端子板、8a…端子、8b…端子、9…ガラス板、10…導電ゴム、11…流量測定部、12…側壁部、13…側壁部、14…シール材、15…上板部、16…流路断面、17…超音波振動子、18…超音波振動子、19…振動子取り付け穴、20…振動子取り付け穴、21…シール材、22…シール材、30、31…接着剤、33…有底筒状金属ケース、100…超音波流量計、100a…入口路、100b…出口路、101…計測回路、102…流量演算手段。
Claims (5)
- 超音波を送受信するときに前記超音波により振動するケース天面を有する有底筒状金属ケースと、
前記有底筒状金属ケースの前記ケース天面の内面に、接着剤によって接合される圧電体と、を備える、前記超音波を送受信する、ガスメータ用の超音波振動子の製造方法であって、
切削又はプレスにより底面を形成する一体成型加工によって、前記有底筒状金属ケースを作製する工程と、
前記有底筒状金属ケースの内面に、粘性状態の前記接着剤によって前記圧電体を仮接合する工程と、
前記接着剤によって前記圧電体を仮接合した有底筒状金属ケースに、150℃以上300℃以下の一定温度まで、0℃/minよりも大きく5℃/min以下で温度を上げて、0分より大きく60分以内の間、前記一定温度で保持し、前記一定温度から常温まで、0℃/minよりも大きく1℃/min以下で温度を下げる熱処理を行い、かつ、前記熱処理を、前記圧電体と前記有底筒状金属ケースとの間の前記接着剤の仮接合を本接合とする接着剤硬化用の加熱処理として利用する工程と、
を含む、ガスメータ用の超音波振動子の製造方法。 - 前記接着剤としては、ウレタン系、シアノ系、シリコーン系の樹脂接着剤である、請求項1に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法。
- 前記加工成型された有底筒状金属ケースを構成する材料は、主にステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、又は、チタンである請求項1又は2に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法。
- 前記有底筒状金属ケースの前記圧電体が設けられた面の反対側の面に、音響整合層が設けられた請求項1又は2に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法。
- 前記有底筒状金属ケースにおいて前記圧電体および前記音響整合層が配置される天面の平坦度は5μm以内である請求項4に記載のガスメータ用の超音波振動子の製造方法。
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