JP3714303B2 - 超音波送受波器とその製造方法およびそれを用いた超音波流量計 - Google Patents

超音波送受波器とその製造方法およびそれを用いた超音波流量計 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波により気体や液体の流量や流速の計測を行う超音波流量計およびこの超音波流量計に用いる超音波送受波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の超音波流量計に用いる超音波送受波器は、例えば特開平1−190099号公報が知られており、具体的には、図10のように、圧電素子42を音響整合層43に高温硬化型接着剤44で接着していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、圧電素子42と音響整合層43が直接接着されており、ケース45は圧電素子42の外周方向に設け音響整合層43と接着されている。
【0004】
また、音響整合層43はエポキシ樹脂やウレタン樹脂とガラス製マイクロバルーンからなる材料を用いている。しかしこのような材料は一般的に微多孔性を有するためケース内に被測定流体が侵入し、被測定流体の成分によっては圧電素子の電極等を腐食させ特性を劣化させる課題を有していた。
【0005】
本発明では上記課題を解決するもので、信頼性に優れた超音波送受波器とその製造方法およびそれを用いた超音波流量計の実現を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、天部と側壁部を有するステンレス製の有天ケースと、前記天部の外壁面に第1接着剤で固定された音響整合層と、前記天部の内壁面に第2接着剤で固定された圧電体とを備え、前記第1接着剤は、前記音響整合層の熱膨張係数よりも値が小さく、かつ有天ケースの熱膨張係数よりも大きく、鉛筆硬度評価方法による硬さが5HからBであるものを用いることで、音響整合層と有天ケースとの接続を維持することができるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の形態の超音波送受波器は、天部と側壁部を有するステンレス製の有天ケースと、前記天部の外壁面に第1接着剤で固定された音響整合層と、前記天部の内壁面に第2接着剤で固定された圧電体とを備え、前記第1接着剤は、前記音響整合層の熱膨張係数よりも値が小さく、かつ有天ケースの熱膨張係数よりも大きく、鉛筆硬度評価方法による硬さが5HからBであるものを用いることで、音響整合層とケースの接続が良好に維持される超音波送受波器を得ることができる。
【0008】
第2の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、音響整合層を固定する第1接着剤は、有機溶剤に反応しないもの及び反応しにくいものを用いることで、使用環境に影響されにくい超音波送受波器を得られる。
【0009】
第3の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、音響整合層を固定する第1接着剤は、水分を吸収しないもの及び吸収しにくいものを用いることで、屋
外での使用環境において特性に影響されにくい超音波送受波器を得られる。
【0010】
第4の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、音響整合層を固定する第1接着剤は、熱的劣化のないもの及び熱的劣化の少ないものを用いることで、屋外での使用環境において特性に影響されず耐久性のある超音波送受波器が得られる。
【0011】
第5の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、音響整合層を固定する第1接着剤は、硫化化合物に反応しないもの及び反応しにくいものを用いることで、使用環境において特性に影響されず耐久性のある超音波送受波器が得られる。
【0012】
第6の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、圧電体の接着面を開放して固定する工程と、圧電体に第2接着剤を所定形状に印刷するための工程と有天ケースの天部外壁面の接着面を開放して固定する工程と、有天ケースの天部外壁面に第1接着剤を所定形状に印刷するための工程と、前記第1接着剤を塗布した有天ケースの天部外壁面の上に音響整合層を置く工程と前記第2接着剤を塗布した圧電体の上に音響整合層を備えた有天ケースの天部内壁面を置く工程と、前記音響整合層の上から一様に前記圧電体に加重をかける工程と、前記音響整合層に加重をかけた状態で第1、2接着剤を硬化させる工程とから構成されるため、耐久性に優れ、被測定流体の成分による圧電体の電極等の腐食を防ぐ超音波送受波器の製造が可能となる
【0013】
第7の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、圧電体に第2接着剤を所定形状に転写するための工程と、前記第2接着剤の厚みを均一にさせる工程と、第2接着剤を前記転写工程で所定形状に取り出し前記圧電体に塗布させる工程と有天ケースの天部外壁面に第1接着剤を所定形状に転写するための工程と、前記第1接着剤の厚みを均一にさせる工程と、前記工程の第1接着剤を前記転写工程で所定形状に取り出し前記有天ケースの天部外壁面に塗布させる工程とを用いることで、使用環境において特性に影響されず耐久性に優れ、被測定流体の成分による圧電体の電極等の腐食を防ぐ超音波送受波器の製造が可能となる。
【0014】
第8の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、第2接着剤を所定形状に加工された接着剤治具に入れる工程と、前記接着剤治具に埋め込まれた第2接着剤を圧電体の接着剤塗布面に同一形状のまま移し変える工程と有天ケースの天部外壁面に所定形状に加工された接着剤治具を用いて第2接着剤を接着剤塗布面に同一形状のまま移し変える工程とを用いることで、使用環境において特性に影響されず信頼性に優れ、被測定流体の成分による圧電体の電極等の腐食を防ぐ超音波送受波器の製造が可能となる。
【0015】
第9の形態の超音波送受波器は、第1の形態の超音波送受波器において、被測定流体が流れる流量測定部と、この流量測定部に設けられ超音波を送受信する請求項1ないし5のいずれか1項記載の1対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器間の伝搬時間を計測する計測回路と、前記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えたため、信頼性の高い超音波流量計を得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお図面中で同一符号を付しているものは同一なものであり、詳細な説明は省略する。
【0017】
実施例1
図1において、1は被測定流体が流れる流量測定部、2、3は流量測定部1の流れの方向に対し斜めに対向して配置された超音波送受波器、4は超音波送受波器2、3の使用周波数を発信する発振回路、5は発振回路4に接続され超音波送受波器2、3を駆動する駆動回路、6は送受信する超音波送受波器を切り替える切替回路、7は超音波パルスを検知する受信検知回路、8は超音波パルスの伝搬時間を計測するタイマ、9はタイマ8の出力より流量を演算する演算部、10は駆動回路5とタイマ8に制御信号を出力する制御部である。
【0018】
上記のように構成される超音波流量計の動作を説明する。本実施例では被測定流体を都市ガス、超音波流量計として家庭用ガスメータを想定し、流量測定部1を構成する材料をアルミニウム合金ダイカストとする。
【0019】
また超音波送受波器2、3の使用周波数には約500KHzを選択する。発振回路4は例えばコンデンサと抵抗で構成され約500KHzの方形波を発信し、駆動回路7では発振回路4の信号から超音波送受波器2を駆動するため方形波が3波のバースト信号からなる駆動信号を出力可能とする。また測定手段には測定流量の分解能を向上するため、シングアラウンド法を用いる。
【0020】
制御部10では駆動回路5に送信開始信号を出力すると同時に、タイマ8の時間計測を開始させる。駆動回路5は送信開始信号を受けると超音波送受波器2を駆動し、超音波パルスを送信する。送信された超音波パルスは流量測定部1内を伝搬し超音波送受波器3で受信される。受信された超音波パルスは超音波送受波器3で電気信号に変換され、受信検知回路7に出力される。
【0021】
受信検知回路7では受信信号の受信タイミングを決定し、制御部10に受信検知信号を出力する。制御部10では受信検知信号を受けると、あらかじめ設定した遅延時間td経過後に再び駆動回路5に送信開始信号を出力し、2回目の計測を行う。この動作をN回繰返した後、タイマ8を停止させる。演算部10ではタイマ8で測定した時間を測定回数のNで割り、遅延時間tdを引いて伝搬時間t1を演算する。
【0022】
引き続き切替回路6で駆動回路5と受信回路7に接続する超音波送受波器2、3を切り替え、再び制御部10では駆動回路5に送信開始信号を出力すると同時に、タイマ8の時間計測を開始させる。伝搬時間t1の測定と逆に、超音波送受波器3で超音波パルスを送信し、超音波送受波器2で受信する計測をN回繰返し、演算部9で伝搬時間t2を演算する。
【0023】
ここで、超音波送受波器2と超音波送受波器3の中心を結ぶ距離をL、空気の無風状態での音速をC、流量測定部1内での流速をV、非測定流体の流れの方向と超音波送受波器2と超音波送受波器3の中心を結ぶ線との角度をθとすると、伝搬時間t1、t2は、
t1=L/(C+Vcosθ) (1)
t2=L/(C−Vcosθ) (2)
で示される。(1)(2)式より音速Cを消去して、流速Vを求めると
V=L/2cosθ(1/t1−1/t2) (3)
が得られる。L、θは既知であるのでt1とt2を測定すれば流速Vが求められる。この流速Vと流量測定部1の面積をS、補正係数をKとすれば、流量Qは
Q=KSV (4)
で演算できる。
【0024】
以上のような動作原理で流量計測を行う超音波流量計に用いる超音波送受波器についての実施例を図2から図7を用いて説明する。
【0025】
図2、図3、図4において、第1接着剤11はケース天部外壁面15と音響整合層14とを接続している。第2接着剤13はケース天部内壁面17と圧電体16を接続している。18はケース支持部、19はケース支持部に固定された端子板、20a、20bは端子板19に設けられた端子、21は端子20aと端子20bを絶縁するための絶縁部、22は端子20aと圧電体16を電気的に接続するためのリード線である。
【0026】
以上のように構成された超音波送受波器2、3のについて図2を用いて説明する。音響整合層14は図示していないエポキシ樹脂と中空ガラス球の混合体からなる材料を用いている。ケース12はステンレス製である。
【0027】
第1接着剤11は熱硬化性エポキシ系樹脂を用いており、音響整合層14とケース12を接続している。第2接着剤13についても熱硬化性エポキシ系樹脂を用いており、ケース12と圧電体16を接続している。
【0028】
音響整合層14とケース12を接着させる第1接着剤11としては、例えば計測する気体中に含まれる水分、硫化化合物、溶剤等に触れる可能性があるため、これらの成分に反応しにくいエポキシ樹脂を用いている。
【0029】
第1接着剤11の選択項目として、例えば、硬さ、硬化時の内部応力、ガラス転移点(以下Tg点という)、接着強度の4項目等があげられる。このとき硬さは鉛筆硬度評価方法、硬化時の内部応力は厚み約130μmのフィルムにエポキシ樹脂を約80μm塗布し硬化後フィルムのそりを評価する方法などがある。
【0030】
フィルムとしては、例えばポリイミドがあげられる。Tg点は厚さ約1.5mmのサンプルを硬化させ、既知の熱機械的分析法などで計測される。接着強度はアルミ試験片にエポキシ樹脂を塗布し、アルミ試験片で挟み硬化させたサンプルの強度測定などがある。
【0031】
本実施例で使用する第1接着剤11は、鉛筆強度の硬さの範囲では5HからBを基本とし、3HからHB以内のもので、望ましくは、2Hのものを使用する。その硬化時の内部応力としてはフィルムのそりによる変化率としては50%以下を基本とし、少なくとも5%〜20%に入るものを使用して、好ましくは、10%に近いものを用いている。
【0032】
そして、Tg点としては80℃から150℃を基本とし、100℃から140℃以内のもので、望ましくは、約124℃を使用している。また、接着強度は5から30N/mmを基本とし、望ましくは、10N/mm 以上のものを使用し、初期値として12.5N/mmのものを選んでいる。
【0033】
ケース12と圧電体16とを接続する第2接着剤13としては、鉛筆強度の硬さの範囲ではHから5Bを基本とし、望ましくは、HBから2B以内のもので、特に、Bの使用が考えられる。
【0034】
その硬化時の内部応力としてはフィルムのそりによる変化率としては50%以下を基本とし、望ましくは、10%以下で、限りなく0%に近いものを用いている。そして、Tg点としては40℃から120℃を基本とし、望ましくは、50℃から90℃以内のもので、特に、約59℃を使用する方がよい。また、接着強度は5から30N/mmを基本とし、望ましくは、10N/mm以上のものを使用しており、初期値として11.1N/mmのものを選んでいる。
【0035】
この第1接着剤11と第2接着剤13を用いることにより、屋外での使用環境において特性に影響されず、耐久性に優れ、被測定流体の成分による圧電体の電極等の腐食を防ぐものができる。
【0036】
以下に、本発明の超音波送受波器の作成方法について図3、図5を用いて説明する。ケースの天部外壁面8に第1接着剤11や圧電体6の接着剤塗布面に第2接着剤13を塗布する方法として、例えばスクリーン印刷方式や転写方式等があげられる。
【0037】
図3、図5からケース用スクリーン26にはケース天部外壁面15の接着剤塗布部にのみ第1接着剤11が塗布されるようにほかの部分にマスキングを施してあり、ケース用スクリーンの開口寸法としては、ケース天部外壁面15の接着剤塗布部よりも片側28で0mmから0.2mmを基本とし、約0.1mm程度小さくしてある。
【0038】
図5(a)に示すようにケース12をケース固定治具23に装着する。図5(b)に示すようにケース12とケース固定治具23の段差24は、0mmから0.2mmを基本とし、約0.1mmケース12の方が高くなるようにケース固定治具23を設計するか図示していない段差調整板を設ける。
【0039】
前記ケース固定治具23をケース印刷台25の上に固定し、その上にケース用スクリーン26をかぶせる。このときケース12とケース用スクリーン26の間27は0mmから1.5mmの隙間を設けることを基本とし、望ましくは、0.3mmから0.8mm以内のもので、約0.5mm程度の隙間を設けている。
【0040】
次に、図5(c)〜(e)に示すようにケース用スクリーン26の上に図示していない脱泡機で空気を抜いた第1接着剤11をのせる。第1接着剤11の塗布はケース用スキージ29で行われる。ケース用スキージ29はケース12に対して垂直方向にある加重をかけながら、ケース12に対して水平方向に移動させることによりケース12に第1接着剤11を塗布させる。
【0041】
一度に第1接着剤11を塗布するケース12の数は1から25個程度で、塗布後の第1接着剤11の厚みが10から20μmの範囲で均一に塗布される生産可能な数を選択する。
【0042】
図5(f)〜(h)に示すように音響整合層14をケース天面外壁部15の接着剤塗布面にのせる。このとき音響整合層治具30をケース上部にのせ音響整合層14がケース天面外壁部15の中心にくるようにする。
【0043】
図4、図6から圧電体用スクリーン34には圧電体16の接着剤塗布部分にのみ第2接着剤13が塗布されるようにほかの部分にマスキングを施してあり、圧電体用スクリーン34の開口寸法としては、圧電体16の接着剤塗布部よりも片側36で0mmから0.2mmを基本とし、望ましくは、約0.1mm程度小さくしてある。
【0044】
図6(a)に示すように圧電体16は、圧電体固定治具31に装着する。圧電体16と圧電体固定治具31の段差32は、0mmから0.2mmを基本とし、望ましくは、約0.1mm圧電体16の方が高くなるように圧電体固定治具31を設計するか図示していない段差調整板を設ける。
【0045】
前記圧電体固定治具31を印刷台33の上に固定し、その上に圧電体用スクリーン34をかぶせる。このとき圧電体16と圧電体用スクリーンの間35は0mmから1.5mmの隙間を設けることを基本とし、望ましくは、0.3mmから0.8mm以内のもので、例えば、約0.5mm程度の隙間を設けている。
【0046】
次に、図6(b)〜(d)に示すように圧電体用スクリーン34の上に図示していない脱泡機で空気を抜いた第2接着剤13をのせる。第2接着剤13の塗布は圧電体用スキー
ジ37で行われる。
【0047】
圧電体用スキージ37は圧電体16に対して垂直方向にある加重をかけながら、圧電体16に対して水平方向に移動させることにより圧電体16に第2接着剤13を塗布させる。一度に第2接着剤13を塗布する圧電体16の数は1から25個程度で、塗布後の第2接着剤13の厚みが10から20μmの範囲で均一に塗布される生産可能な数を選択する。
【0048】
次に、図7(a)に示すように第2接着剤13を塗布した圧電体16を接着剤硬化治具38にのせかえる。なお、圧電体固定治具31を接着剤硬化治具38の一部品として使用してもかまわない。
【0049】
図7(b)、(c)に示すように圧電体16の第2接着剤13の塗布面に上から音響整合層14をのせたケース12をかぶせて音響整合層14の上から、加圧治具39で圧電体16に向けて一様に加重をかける。
【0050】
例えば、既知のばね負荷式により加重をかけ、この状態で第1接着剤11と第2接着剤13を硬化させる。このように接着された音響整合層14、ケース12そして圧電体16は図示していない圧電体16の電極部と端子20aをリード線22によりそれぞれハンダ付けされる。
【0051】
端子板19は、ケース支持部18と電気溶接を行うことにより固定される。ケース12と端子板19を溶接することにより、電極のグランドになると同時に圧電体16を封止する役割を果たしている。このときケース内にある空気を乾燥した不活性ガスなどで置換させることで、圧電体16の電極部や第2接着剤13の劣化を防止することができる。
【0052】
なお、ケースに第1接着剤11や圧電体16に第2接着剤13を塗布する手段として転写方式がある。例えば図8(a)、(b)に示すように第2接着剤13の厚みを10から20μmに均一にした部分から、転写ピン40で前記第2接着剤13を必要量だけ転写ピン40に取り、転写ピン40を圧電体16の塗布面につけて第2接着剤7を塗布させることができる。なお、第1接着剤11をケース天面外壁部15に塗布する場合についても同様の転写方式を用いてもかまわない。
【0053】
また、図9(a)〜(c)に示すように例えばポリイミド41などに第2接着剤13を転写させる形状分だけ凹加工を行い、そこに第2接着剤13を埋め込み、それを圧電体16の接着剤塗布面に転写することもできる。なお、第1接着剤11をケース天面外壁部15に塗布する場合についても同様の転写方式を用いてもかまわない。
【0054】
このようにして製造された超音波送受波器2、3を用いることで、屋外で使用する温度範囲において信頼性に優れ、被測定流体の種類によっても圧電体16の電極が腐食され超音波送受波器2、3が破壊されることなく、耐久性のある超音波流量計を提供することができる。
【0055】
なお、超音波送受波器を超音波流量計に用いるとしていたが、距離センサ等の超音波センサとして用いても良い。
【0056】
以上の説明から明らかなように本実施例の超音波送受波器及びこれを用いた流量計によれば次の効果が得られる。
【0057】
天部と側壁部を有する有天ケースと、前記天部の外壁面に第1接着剤で固定された音響
整合層と、前記天部の内壁面に第2接着剤で固定された圧電体とを備え、第1接着剤と第2接着剤の硬度が異なるため、使用環境に影響されず耐久性に優れ、被測定流体の成分による圧電体の電極等の腐食を防ぐ超音波送受波器を得ることができる。
【0058】
また、第1接着剤は第2接着剤よりも硬化後の硬度が硬質なものを使用したことにより、屋外での使用環境において超音波送受波器の特性に影響されず信頼性のある超音波送受波器を得られる。
【0059】
また、第1接着剤は音響整合層の熱膨張係数よりも値が小さいく有天ケースよりも大きいものを用いることで、音響整合層とケースの接続が維持される超音波送受波器を得ることができる。
【0060】
また、音響整合層を固定する第1接着剤は、有機溶剤に反応しないもの及び反応しにくいものを用いることで、使用環境に影響されにくい超音波送受波器を得られる。
【0061】
また、音響整合層を固定する第1接着剤は、水分を吸収しないもの及び吸収しにくいものを用いることで、屋外での使用環境において特性に影響されにくい超音波送受波器を得られる。
【0062】
また、音響整合層を固定する第1接着剤は、熱的劣化のないもの及び熱的劣化の少ないものを用いることで、屋外での使用環境において特性に影響されず耐久性のある超音波送受波器が得られる。
【0063】
また、音響整合層を固定する第1接着剤は、硫化化合物に反応しないもの及び反応しにくいものを用いることで、使用環境において特性に影響されず耐久性のある超音波送受波器が得られる。
【0064】
また、被測定流体が流れる流量測定部と、この流量測定部に設けられ超音波を送受信する1対の超音波送受波器と、超音波送受波器間の伝搬時間を計測する計測回路と、計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えたため、熱衝撃によるケースと圧電体の接続の破損を防ぐ超音波送受波器を備えた信頼性の高い超音波流量計をえることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の超音波送受波器によれば、音響整合層と有天ケースとの接続を常時良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における超音波送受波器を用いた超音波流量計構成図
【図2】 同送受波器の断面図
【図3】 同送受波器において第1接着剤を塗布したケースの斜視図
【図4】 同送受波器において第2接着剤を塗布した圧電体の斜視図
【図5】 (a)〜(h)同送受波器においてケースに第1接着剤を塗布し音響整合層をのせる製造工程図
【図6】 (a)〜(d)同送受波器において圧電体に第2接着剤を塗布する製造工程図
【図7】 (a)〜(c)同送受波器の製造工程図
【図8】 (a)〜(b)同送受波器の接着剤塗布工程図
【図9】 (a)〜(c)同送受波器の接着剤塗布工程図
【図10】 従来の超音波送受波器の断面図
【符号の説明】
1 流量測定部
2、3 超音波送受波器
4 発信回路
5 駆動回路
6 切替回路
7 受信検知回路
8 タイマ
9 演算部
10 制御部
11 第1接着剤
12 ケース
13 第2接着剤
14 音響整合層
16 圧電体

Claims (9)

  1. 天部と側壁部を有するステンレス製の有天ケースと、前記天部の外壁面に第1接着剤で固定された音響整合層と、前記天部の内壁面に第2接着剤で固定された圧電体とを備え、前記第1接着剤は、前記音響整合層の熱膨張係数よりも値が小さく、かつ有天ケースの熱膨張係数よりも大きいものを使用し、鉛筆硬度評価方法による硬さが5HからBである超音波送受波器。
  2. 音響整合層を固定する第1接着剤は、有機溶剤に反応しないもの又は反応しにくいものを用いた請求項1記載の超音波送受波器。
  3. 音響整合層を固定する第1接着剤は、水分を吸収しないもの又は吸収しにくいものを用いた請求項1記載の超音波送受波器。
  4. 音響整合層を固定する第1接着剤は、熱的劣化のないもの又は熱的劣化の少ないものを用いた請求項1記載の超音波送受波器。
  5. 音響整合層を固定する第1接着剤は、硫化化合物に反応しないもの又は反応しにくいものを用いた請求項1記載の超音波送受波器。
  6. 圧電体に第2接着剤を所定形状に印刷する工程と、有天ケースの天部外壁面に第1接着剤を所定形状に印刷する工程と、前記圧電体の前記第2接着剤の塗布面の上に前記有天ケースを置き前記有天ケースの前記第1接着剤の塗布面の上に音響整合層を置く工程と、加重をかけた状態で前記第1、第2接着剤を硬化させる工程とを有する請求項1〜5のいずれか1項記載の超音波送受波器の製造方法。
  7. 圧電体に第2接着剤を所定形状に転写する工程と、有天ケースの天部外壁面に第1接着剤を所定形状に転写する工程と、前記圧電体の前記第2接着剤の塗布面の上に前記有天ケースを置き前記有天ケースの前記第1接着剤の塗布面の上に音響整合層を置く工程と、加重をかけた状態で前記第1、第2接着剤を硬化させる工程とを有する請求項1〜5のいずれか1項記載の超音波送受波器の製造方法。
  8. 接着剤治具に埋め込まれた第2接着剤を圧電体の接着剤塗布面に同一形状のまま移える工程と、有天ケースの天部外壁面に所定形状に加工された接着剤治具を用いて第1接着剤を接着剤塗布面に同一形状のまま移し変える工程と、前記圧電体の前記第2接着剤の塗布面の上に前記有天ケースを置き前記有天ケースの前記第1接着剤の塗布面の上に音響整合層を置く工程と、加重をかけた状態で前記第1、第2接着剤を硬化させる工程とを有する請求項1〜5のいずれか1項記載の超音波送受波器の製造方法。
  9. 被測定流体が流れる流量測定部と、この流量測定部に設けられ超音波を送受信する請求項1〜5のいずれか1項記載の1対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器間の伝搬時間を計測する計測回路と、前記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えた超音波流量計。
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