JP4259067B2 - 光ピックアップ装置の対物光学素子、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents
光ピックアップ装置の対物光学素子、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用波長が異なり且つ透明基板厚さの異なる光情報記録媒体の記録/再生を1つの対物レンズで行う光ピックアップ装置に使用される対物光学素子及び光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置に関し、特に異なる波長を発振する光源部がモジュール化された光源(2レーザー1パッケージモジュール)に用いられたり、対物レンズの焦点距離が短く誤差要因に鋭敏な光学系に用いられ、各々の光情報記録媒体の使用時の像高コマ収差特性を改善した対物光学素子及びそれを用いた光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、多くの種類の光情報記録媒体が存在しており、これらの光情報記録媒体の規格が[表1]で示されるように決められている。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E―3)を用いて表すものとする。
【表1】
【0003】
ここで、記録密度が異なる光情報記録媒体同士の互換性が要求されるものとして、DVDとCDとがある。これらの光情報記録媒体は、[表1]にもあるように、透明基板厚さがそれぞれ異なっている。互換性を確保するためにはこの透明基板厚さの違いによって発生する球面収差を、何らかの手段によって補正する必要がある。更に、DVDとCDとでは、要求開口数が異なるので、これに対しても何らかの対応策が必要となる。
【0004】
DVD/CDの互換性のある光ピックアップ装置を実現するために、回折構造を設けた対物レンズが開発されている。そのような対物レンズとしては、例えば、対物レンズの一方の面において、光軸から特定の高さhの内外で異なる回折構造を設け、内側の領域では各々の透明基板厚さに対して球面収差を補正し、外側の領域ではDVDでのみ球面収差を補正し、CDに対しては球面収差を補正せずにフレア化させたものがある。このように対物レンズを構成することで、各々の光情報記録媒体上で、それぞれ情報の記録又は再生時に要求される集光スポットを適切に形成することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような回折構造を対物レンズに用いることで、DVD/CD双方に対して情報の記録又は再生を行う際における球面収差の補正は、比較的容易に行える。しかし、適切な情報の記録又は再生を妨げる光学特性劣化要因としては、球面収差の他にコマ収差も存在する。コマ収差が大きいと、組み付け誤差などに起因して生じた対物レンズの傾きによって、光軸に対して傾いた光束が入射したような場合、光情報記録媒体上に適切なスポットを形成するのを妨げる恐れがある。しかるに、上述した回折構造を用いることで、DVD/CD双方の使用時における球面収差を共に減少させることができるが、コマ収差に関しては、双方を同時に補正することはできないという問題がある。
【0006】
特に、DVD/CDの互換性を達成する光ピックアップ装置の光源として、いわゆる2レーザ1パッケージと呼ばれる2つの半導体レーザを一つの基板に取り付けて1ユニットとしたものが知られている。このような光源を用いて、DVD/CDの双方に対して情報の記録又は再生を行おうとすると、例えばDVD用の光源を対物レンズの光軸上に配置した場合には、CD用の光源は、必ず光軸からずれた位置に配置されることとなり、従って、かかる場合には、CD使用時におけるコマ収差を極力減少させることが望ましいといえる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コマ収差をバランス良く補正でき、異なる光情報記録媒体に対して適切に情報の記録又は再生を行える光ピックアップ装置用の対物光学素子及び光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光ピックアップ装置の対物光学素子であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であることを特徴とする。
【0009】
図2は、光軸からの高さを横軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体(例えばCD)の使用時における正弦条件不満足量を縦軸(y)にとり、前記共用領域と前記専用領域において、前記正弦条件不満足量を示す曲線f2を求めた例を示す図である。ここで、曲線f2は、常に負であって、且つ光軸から離れるにつれ負値が増大している。又、第1の高さx1において、その微分値を傾きとする直線d1をひいたときに(第1の高さx1で曲線f2に接線を引くことを意味する)、第1の高さx1より光軸から遠い側で、曲線f2は直線(接線)d1より正側に存在する領域R1を有する。尚、x1と領域R1との間には、直線d1より負側に存在する別な領域も有する。このような特性によれば、各光情報記録媒体使用時における軸外コマ収差バランスを取ることが可能になるという、請求項8に記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【0010】
尚、第4の高さx4において、その微分値を傾きとする直線(第4の高さx4で曲線f2にひいた接線)をひいたとき、第1の高さx1より光軸から近い側で、曲線f2は直線(接線)d4より正側に存在する領域R4を有する。
【0011】
請求項2に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であるので、請求項1に記載の発明に関連して説明した曲線を得ることができる。
【0012】
請求項3に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする。
【0013】
図3は、光軸からの高さを横軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体(例えばDVD)の使用時における正弦条件不満足量を縦軸(y)にとり、前記共用領域と前記専用領域において、前記正弦条件不満足量を示す曲線f1を求めた例を示す図である。ここで、ある高さx2において、その微分値を傾きとする直線d2をひいたときに(ある高さx2で曲線f1に接線を引くことを意味する)、ある高さx2より光軸から遠い側で、曲線f1は直線(接線)d2より正側に存在する領域R2を有する。尚、x2と領域R2との間には、直線d2より負側に存在する別な領域も有する。このような特性を有すれば、請求項12に記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【0014】
請求項4に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする。
【0020】
ここに正弦条件とは図1に示すように、光軸からの高さh1の光線が、レンズに対して光軸平行入射時に、かかる光線がレンズから出射した際の射出角度がUである時にh1/sinUが一定値を満たすことである。これが光軸からの高さh1からの高さに関わらず一定値である場合には、正弦条件が満たされて有効径内の各光線の横倍率が一定であると見なせる。この正弦条件は軸上での計算値であるが、軸外の横倍率誤差(すなわち軸外コマ収差)補正を行う上では有効である。
【0021】
ただし本発明が、かかる技術分野の範囲内にある光情報記録媒体の保護基板の厚さが異なる場合には、次のような課題が存在する。一方の(第1の)光情報記録媒体(例えば厚さt1)使用時に正弦条件を完全に補正してしまうと、他方の厚さt2の(第2の)光情報記録媒体の使用時での正弦条件が、一定値からのズレ量が大きくなり結果として軸外のコマ収差が大きくなってしまうという特性がある。かかる場合における正弦条件不満足量をSC=h1/sinU−fと定義した場合に、有効径内の光線高さh1における正弦条件不満足量を前記第1の光情報記録媒体、前記第2の光情報記録媒体の使用時でそれぞれ振り分け設計を行うことで、結果として各光情報記録媒体使用時における軸外コマ収差バランスを取ることが可能であることを、本発明者らは見出したのである。より具体的には、(1)式を満たすことで、以上の効果を得ることができる。
【0022】
一方、正弦条件不満足量の絶対値を大きくしすぎると、次のような不具合が生じる。光情報記録媒体毎に必要開口数が定められているが、それは光情報記録媒体面上のスポットサイズにも関連がある。ここで、正弦条件不満足量がプラスとなると対物光学素子(後述する実施例では対物レンズ、以下同じ)出射後の光線傾角が小さくなるため、正弦条件不満足量を補正した同じ焦点距離の対物光学素子に同じ有効径光束が入射しても光情報記録媒体面上に形成されるスポット径が絞りきれなくなる。このスポット径を所望のものを得ようとすると絞り径を大きくする必要があり、トラッキングマージンが狭くなる。よって、理想対物光学素子の焦点距離と有効径とから求められるスポット径を光情報記録媒体面上に形成することが好ましい。
【0023】
ここで、「光学機能面」とは、各光源からの光束が通過する前記対物光学素子のレンズ面のことを意味する。本明細書では、前記第1光情報記録媒体使用時の絞り開口径で制限される光束が通過するレンズ面の範囲とする。
【0024】
又、「主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる」における、「主に」の意義ついて説明する。前記第1の光情報記録媒体使用時に専用領域を通過する光束は、光情報記録媒体面上で対物レンズの合焦デフォーカス時に結像させている。ここで、前記第2の光情報記録媒体使用時で専用領域を通過する光束は、前記第2の光情報記録媒体面上では前記対物レンズの合焦デフォーカス時にはスポット光から離れた場所でフレアー光となる。ここで、「主に」という言葉を使用しているのは、次の2点の理由からによる。まず、第1の理由としては、光ピックアップ装置に通常設けられている信号検出用のセンサーに着目すると、センサーの開口サイズによっては、このフレアー光がセンサー開口内に入射する場合も生じる。この場合はフレアー光も含めた上で前記対物レンズのデフォーカス制御を実用上行うことになり、広義な意味では第2の光情報記録媒体使用時でも、この専用領域を通過する光束の影響を実使用上受けることがある。また、第2の理由としては、波動光学的には光情報記録媒体でのフレアー光とスポット光との位相差を制御することでスポット光のエアリーディスクのピーク強度を高めることも可能になることがある。このような理由から、本発明では無用な限定を避けるべく、「主に」という語句を用いたものである。
【0025】
更に、「対物光学素子」とは、前記対物レンズの光学面に前記光学機能面を設けたものであっても良く、前記対物レンズの他に、前記光学機能面を設けた光学素子を別個に設けても良い。
【0050】
請求項8に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造(図9でD)が形成されたことを特徴とする。
【0051】
請求項9に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする。
【0052】
請求項10に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする。値mが下限値以上であれば、光源位置ズレに対しての各光情報記録媒体の記録面での位置ズレ量が大きくならず誤差要因を減らすことができ、上限値以下であれば、光路長が長くなりすぎず、光ピックアップ装置をコンパクトにできる。
【0053】
請求項11に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なるので、例えば第1の光情報記録媒体の使用時には、前記対物光学素子に無限光束を入射させ、前記第2の光情報記録媒体の使用時には、前記対物光学素子に有限発散光束を入射させることができ、それにより前記対物光学素子を光軸方向に変位させるためのワーキングディスタンスの差を減少させることができ、前記光ピックアップ装置をコンパクト化できると共に、省電力化を図ることができる。
【0054】
請求項12に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする。
【0055】
請求項13に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであるので、光ピックアップ装置に好適な対物光学素子を提供できる。
【0056】
請求項14に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすので、例えばDVDやCDなどを使用できる互換性のある光ピックアップ装置に好適な対物光学素子を提供できる。
【0057】
請求項15に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたので、収差特性が良好な対物光学素子を提供できる。
【0058】
請求項16に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源(例えば2レーザ1パッケージモジュール)を用いた光ピックアップ装置に使用されると、いずれかの光源が光軸からシフトしていることに起因するコマ収差の問題を解消もしくは緩和できる。
【0069】
請求項17に記載の光ピックアップ装置は、透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光ピックアップ装置であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であるので、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を達成できる。
【0070】
請求項18に記載の光ピックアップ装置は、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であることを特徴とする。
【0071】
請求項19に記載の光ピックアップ装置は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする。
【0072】
請求項20に記載の光ピックアップ装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする。
【0073】
請求項21に記載の光ピックアップ装置は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする。
【0074】
請求項22に記載の光ピックアップ装置は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする。
【0075】
請求項23に記載の光ピックアップ装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする。
【0086】
請求項24に記載の光ピックアップ装置は、前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造が形成されたことを特徴とする。
【0087】
請求項25に記載の光ピックアップ装置は、前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする。
【0088】
請求項26に記載の光ピックアップ装置は、前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする。
【0089】
請求項27に記載の光ピックアップ装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なることを特徴とする。
【0090】
請求項28に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子は、前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする。
【0091】
請求項29に記載の光ピックアップ装置は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであることを特徴とする。
【0092】
請求項30に記載の光ピックアップ装置は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすことを特徴とする。
【0093】
請求項31に記載の光ピックアップ装置は、画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたことを特徴とする。
【0094】
請求項32に記載の光ピックアップ装置は、前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源を用いた光ピックアップ装置であることを特徴とする。
【0105】
請求項33に記載の光情報記録再生装置は、透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光情報記録再生装置であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であるので、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を達成できる。
【0106】
請求項34に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であることを特徴とする。
【0107】
請求項35に記載の光情報記録再生装置は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする。
【0108】
請求項36に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする。
【0109】
請求項37に記載の光情報記録再生装置は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする。
【0110】
請求項38に記載の光情報記録再生装置は、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする。
【0111】
請求項39に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする。
【0122】
請求項40に記載の光情報記録再生装置は、前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造が形成されたことを特徴とする。
【0123】
請求項41に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする。
【0124】
請求項42に記載の光情報記録再生装置は、前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする。
【0125】
請求項43に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なることを特徴とする。
【0126】
請求項44に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする。
【0127】
請求項45に記載の光情報記録再生装置は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであることを特徴とする。
【0128】
請求項46に記載の光情報記録再生装置は、前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすことを特徴とする。
【0129】
請求項47に記載の光情報記録再生装置は、画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたことを特徴とする。
【0130】
請求項48に記載の光情報記録再生装置は、前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源を有することを特徴とする。
【0133】
本明細書中で用いる「回折構造」とは、対物レンズの表面に、レリーフを設けて、回折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせた部分のことをいう。レリーフの形状としては、例えば、対物レンズの表面に、光軸を中心とする略同心円状の輪帯として形成され、光軸を含む平面でその断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られているが、そのような形状を含むものであり、そのような形状を特に「回折輪帯」という。
【0134】
本明細書中において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズと共に、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズ群を指すものとする。ここで、かかるレンズ群とは、少なくとも1枚以上(例えば2枚)のレンズを指すものである。従って、本明細書中において、対物レンズの光情報記録媒体側(像側)の開口数NAとは、対物レンズの最も光情報記録媒体側に位置するレンズ面の開口数NAを指すものである。また、本明細書中では必要開口数NAは、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいはそれぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録または再生をするために必要なスポット径を得ることができる回折限界性能の対物レンズの開口数を示す。
【0135】
本明細書中において、第2の光情報記録媒体とは、例えば、CD−R,CD−RW,CD−Video,CD−ROM等の各種CD系の光ディスクをいい、第1の光情報記録媒体とは、DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD−Video等の各種DVD系の光ディスクを意味するものである。更に、本明細書中で透明基板の厚さtといった時は、t=0を含むものである。
【0136】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図4は、本実施の形態にかかる光情報記録再生装置又は光ピックアップ装置(2レーザ1パッケージモジュールタイプの光源を含む)の概略構成図である。図4においては、第1光源としての第1半導体レーザ111と第2光源としての第2半導体レーザ112とが、光軸に対して直交する同一基板の面上に取り付けられ1ユニットとして構成されている。第1半導体レーザ111(波長λ1=610nm〜670nm)から出射されたビームは、光合波手段であるビームスプリッタ120を透過し、さらに絞り17によって絞られ、対物レンズ16により第1の光ディスク20の透明基板21を介して情報記録面22に集光される。
【0137】
そして情報記録面22で情報ビットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ16、絞り17を透過して、ビームスプリッタ120に入射し、ここで反射され、シリンドリカルレンズ180で非点収差が与えられ、凹レンズ50を介して光検出器30上へ入射し、その出力信号を用いて、第1の光ディスク20に情報記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0138】
また、光検出器30上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて2次元アクチュエータ(不図示)が第1の半導体レーザ111からの光束を第1の光ディスク20の記録面22上に結像するように対物レンズ16を移動させると共に、半導体レーザ111からの光束を所定のトラックに結像するように対物レンズ16を移動させる。
【0139】
第2半導体レーザ112(波長λ1=740nm〜870nm)から出射されたビームは、光合波手段であるビームスプリッタ120を透過し、さらに絞り17、対物レンズ16を介して第2の光ディスク20の透明基板21を介して情報記録面22に集光される。
【0140】
そして、情報記録面22で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ16、絞り17、ビームスプリッタ120で反射され、シリンドリカルレンズ180で非点収差が与えられ、凹レンズ50を介して光検出器30上へ入射して、その出力信号を用いて、第2の光ディスク20に記録された情報の読み取り信号が得られる。
【0141】
また、光検出器30上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、2次元アクチュエータ(不図示)により、合焦、トラッキングのために対物レンズ16を移動させるようになっている。
【0142】
尚、図4では対物レンズに発散光束が入射する光ピックアップ装置が示されているが、以下の実施例では対物レンズにDVD、CD各使用時において平行光束が入射する例を示す。従って第0面と第1面との面間隔は∞となっている。各半導体レーザ111,112とビームスプリッタ120との間にコリメートレンズが存在するケースを想定している。
【0143】
以下、上述の実施の形態に好適な実施例について説明する。
対物レンズの両面は[数1]で示される非球面である。ただし、Zは光軸方向の軸で、hは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径、κは円錐係数、A2iは非球面係数である。
【数1】
【0144】
又、本明細書中で用いる局所曲率R(h)については、[数2]で定義する。
【数2】
【0145】
更に、対物レンズの光源側非球面の表面には回折構造が一体で形成されている。この回折構造は、ブレーズ化波長λBに対する光路差関数Φにより単位をmmとして[数3]で表される。この2次係数が回折部分の近軸的なパワーが表される。また、2次以外の係数、例えば4次、6次係数等で球面収差を制御できる。ここで制御できるとは、屈折部分が有する球面収差を回折部分で逆特性の球面収差を持たせてトータルとして球面収差を補正したり、回折部分の球面収差を操作してトータルの球面収差を所望のフレア量にすることを意味する。この場合、温度変化時の球面収差も、屈折部分の球面収差の温度変化と回折部分の球面収差変化のトータルと考えることが出来る。
【数3】
【0146】
(実施例1)
本実施例においては、対物光学素子としての対物レンズの光源側の面に2つの光学機能面が形成されている。光軸を含む光学機能面は、DVD、CDそれぞれの使用時における球面収差を補正した内側光学機能面(共用領域)が形成され、その外側の光学機能面は、DVD使用時に球面収差補正され且つベストフォーカス状態でのCD使用時にはかかる光学機能面を通過した光束が光情報記録媒体面上でフレアー光となる専用領域が形成されている。表2に、本実施例にかかる対物レンズのレンズデータを示す。
【表2】
【0147】
なお、本実施の対物レンズでは前述の設計をしているため、DVDとCDとで絞り径は同一でも光情報記録媒体面上では必要とされるメインスポット径が得られる。CD軸外コマ収差値に関しては、メインスポット光と専用領域とに形成されるフレアー光の距離のオーダーがスポット径の10倍程度あるので、共用領域のみの光束に対して評価を行っている。
【0148】
このように、透明基板厚さ時の各正弦条件不満足量を両方ともゼロにすることが原理的に不可能な中で、DVD/CDそれぞれの軸外コマ収差のバランスを取った設計とすることが出来た。図6にもあるように、CD正弦条件不満足量設計に着目すると、共用領域内では本実施例の方が正弦条件不満足量自体は従来例に比べて概ね大きいが、そのカーブ設計自体を制御し軸外コマ収差を従来例よりも結果として小さくできた。DVDにおける正弦条件不満足量が本実施例では完全にゼロを目指したものでは無いが、結果としてのDVD軸外コマ収差も実用上問題ないレベルで抑えることが出来た。尚、図6中、h、h1,h2,hmaxは請求の範囲で用いた符号に対応する。また、請求項に定義した値は実施例では、以下の通りである。
SC1max 0.006mm
SC2max 0.024mm
SC1(hmax) 0.007mm
SC1(h0) 0.004mm
SC1(h0/2) -0.006mm
SC2(h0) -0.024mm
SC2(h0/2) -0.012mm
【0149】
(実施例2)
本実施例においては、対物光学素子としての対物レンズの光源側と光情報記録媒体側の両方の面に、2つの光学機能面が形成されている。光軸を含む光学機能面は、DVD、CDそれぞれの使用時における球面収差を補正した内側光学機能面(共用領域)が形成され、その外側の光学機能面は、DVD使用時に球面収差補正され且つベストフォーカス状態でのCD使用時にはかかる光学機能面を通過した光束が光情報記録媒体面上でフレアー光となる専用領域が形成されている。また共用領域と専用領域との間には、図9に示すような段差部が設けられている。表3に、本実施例にかかる対物レンズのレンズデータを示す。
【表3】
【0150】
図7、図8に、実施例2についてそれぞれ球面収差図と正弦条件不満足量の図を示す。横軸の単位はmmである。
【0151】
本実施例では、DVD軸外コマ収差の劣化を抑えつつ、CD軸外コマ収差を改善する対物レンズ設計を行った。本実施例ではこの要件を満たす図8に示した正弦条件不満足量を見出した。その結果、画角1°で平行光束が入射する場合のDVD使用時におけるコマ収差(COMA1)は0.006λ1rms、CD使用時におけるコマ収差(COMA2)は0.008λ2rmsとすることが出来た。尚、請求項に定義した値は実施例では、以下の通りである。
SC1max 0.012mm
SC2max 0.015mm
SC1(hmax) −0.001mm
SC1(h0) 0.012mm
SC1(h0/2) −0.001mm
SC2(h0) −0.014mm
SC2(h0/2) −0.006mm
SC1Dmin −0.002mm
SC1Smin −0.001mm
SC1out(h) −0.001mm
d1 0.001mm
d2 0.002mm
hCDNA 1.589mm
【0152】
(実施例3)
本実施例においては、対物光学素子としての対物レンズの光源側と光情報記録媒体側の両方の面に、2つの光学機能面が形成されている。光軸を含む光学機能面は、DVD(光源波長655nm)、CD(光源波長785nm)それぞれの使用時における球面収差を補正した内側光学機能面(共用領域)が形成され、その外側の光学機能面は、DVD使用時に球面収差補正され且つベストフォーカス状態でのCD使用時にはかかる光学機能面を通過した光束が光情報記録媒体面上でフレアー光となる専用領域が形成されている。表4に、本実施例にかかる対物レンズのレンズデータを示す。
【表4】
【0153】
図11及び12に、実施例3についてDVD及びCD使用時における正弦条件不満足量の図を示す。又、図13及び14に、実施例3についてDVD及びCD使用時における球面収差図を示す。横軸の単位はmmである。
【0154】
本実施例では、DVD使用時には対物レンズに無限光束が入射するようにし、CD使用時には発散有限光束を入射するようにしている。DVD使用時における対物レンズの結像倍率は、無限倍率であり、CD使用時における対物レンズの結像倍率は、m=−1/15.3である。尚、請求項に定義した値は、本実施例では、以下の通りである。
SC1max 0.005
SC2max 0.053
SC1(hmax) −0.001
SC1(h0) 0.001
SC1(h0/2) −0.004
SC2(h0) −0.053
SC2(h0/2) −0.014
【0155】
(実施例4)
本実施例においては、対物光学素子としての対物レンズの光源側と光情報記録媒体側の両方の面に、2つの光学機能面が形成されている。光軸を含む光学機能面は、DVD(光源波長660nm)、CD(光源波長788nm)それぞれの使用時における球面収差を補正した内側光学機能面(共用領域)が形成され、その外側の光学機能面は、DVD使用時に球面収差補正され且つベストフォーカス状態でのCD使用時にはかかる光学機能面を通過した光束が光情報記録媒体面上でフレアー光となる専用領域が形成されている。表5に、本実施例にかかる対物レンズのレンズデータを示す。
【表5】
【0156】
図15及び16に、実施例4についてDVD及びCD使用時における正弦条件不満足量の図を示す。又、図17及び18に、実施例4についてDVD及びCD使用時における球面収差図を示す。横軸の単位はmmである。
【0157】
本実施例では、DVD使用時には対物レンズに無限光束が入射するようにし、CD使用時には発散有限光束を入射するようにしている。DVD使用時における対物レンズの結像倍率は、無限倍率であり、CD使用時における対物レンズの結像倍率は、m=−1/13.2である。尚、請求項に定義した値は、本実施例では、以下の通りである。
SC1max 0.016
SC2max 0.080
SC1(hmax) 0.001
SC1(h0) −0.003
SC1(h0/2) −0.011
SC2(h0) −0.080
SC2(h0/2) −0.026
【0158】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されない。対物レンズの光源側の面を回折構造としたが、これに限らずに回折構造を設けなくとも良く、例えばDVDの正弦条件不満足量を実施例のように設定すれば良い。また、2レーザー1パッケージモジュール光源としたが、モジュールされていないディスクリート光ピックアップ装置についても適用は可能である。更に、対物レンズの光情報記録媒体側の光学面を同一の非球面で構成しているが、これに限らない。この面も2つの光学機能面を設けて、専用領域共用領域それぞれの球面収差設計、正弦条件不満足量設計を行っても良い。
【0159】
以上、対物レンズの設計における正弦条件不満足量を述べてきた。これに対し、実際の対物レンズ作成時には作成誤差が生じるため、例えば対物レンズの面シフトが生じると、軸上光束に対してもコマ収差成分が発生する。この場合でも、DVDとCDとの軸外コマ収差のバランス設計という意味では、本発明の要件を満たす設計が好ましいことは言うまでもない。また回折設計次数はDVD、CD及び専用領域、共用領域共に回折次数を1次回折光を利用する設計としたが、これに限らない。高次の回折次数を用いてもよいし、あるいは/及びDVDとCDとで異次回折次数光を利用する設計としても良い。
【0160】
【発明の効果】
本発明によれば、コマ収差をバランス良く補正でき、異なる光情報記録媒体に対して適切に情報の記録又は再生を行える光ピックアップ装置用の対物光学素子及び光ピックアップ装置並びに光情報記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 正弦条件を説明するための図である。
【図2】 第2の光情報記録媒体使用時の正弦条件不満足量を説明するための図である。
【図3】 第1の光情報記録媒体使用時の正弦条件不満足量を説明するための図である。
【図4】 本実施の形態にかかる光情報記録再生装置又は光ピックアップ装置(2レーザ1パッケージモジュールタイプの光源を含む)の概略構成図である。
【図5】 実施例1の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、DVD(a)とCD(b)についてそれぞれ示す図である。
【図6】 実施例1の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、DVD(a)とCD(b)についてそれぞれ示す図である。
【図7】 実施例2の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、DVD(a)とCD(b)についてそれぞれ示す図である。
【図8】 実施例2の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、DVD(a)とCD(b)についてそれぞれ示す図である。
【図9】 光情報記録媒体側の光学機能面上に形成される段差及び回折輪帯を誇張して示した対物レンズの断面図である。
【図10】 光学機能面における段差部(T1,T2)の段差量(d1,d2)の例を示す図である。
【図11】 実施例3の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、DVDについて示す図である。
【図12】 実施例3の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、CDについて示す図である。
【図13】 実施例3の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、DVDについて示す図である。
【図14】 実施例3の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、CDについて示す図である。
【図15】 実施例4の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、DVDについて示す図である。
【図16】 実施例4の対物レンズにかかる正弦条件不満足量を、CDについて示す図である。
【図17】 実施例4の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、DVDについて示す図である。
【図18】 実施例4の対物レンズにかかる球面収差図(縦球面収差量で示す)を、CDについて示す図である。
【符号の説明】
111 第1半導体レーザ
112 第2半導体レーザ
16 対物レンズ
17 絞り
20 光情報記録媒体(DVD又はCD)
30 光検出器
Claims (48)
- 透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光ピックアップ装置の対物光学素子であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であることを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造が形成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする請求項11に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源を用いた光ピックアップ装置に使用されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光ピックアップ装置であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であることを特徴とする請求項17に記載の光ピックアップ装置。 - 光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする請求項17又は18に記載の光ピックアップ装置。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする請求項17乃至20のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする請求項17乃至21のいずれかに記載の光ピックアップ装置。 - 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする請求項17乃至22のいずれかに記載の光ピックアップ装置。 - 前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造が形成されたことを特徴とする請求項17乃至23のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なることを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする請求項27に記載の光ピックアップ装置。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであることを特徴とする請求項17乃至28のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすことを特徴とする請求項17乃至29のいずれかに記載の光ピックアップ装置。 - 画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたことを特徴とする請求項17乃至30のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源を用いた光ピックアップ装置であることを特徴とする請求項17乃至31のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
- 透明基板の厚さがt1である第1の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ1の第1の光源と、透明基板の厚さがt2(t1<t2)である第2の光情報記録媒体に対して光束を照射することで情報の記録又は再生を行う波長λ2(λ1<λ2)である第2の光源と、前記第1及び前記第2の光源から出射された光束を、前記第1及び前記第2の光情報記録媒体の透明基板を介して情報記録面に集光させる対物光学素子を含む集光光学系と、を有する光情報記録再生装置であって、
前記対物光学素子は、前記第1又は前記第2の光源からの光束を集光する対物レンズと、前記光束に光学的作用を与える光学機能面とを有し、
前記対物光学素子の光学機能面は、光軸を含み且つ前記第1の光情報記録媒体と前記第2の光情報記録媒体の両方に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる共用領域と、該共用領域の外側に設けられ、主に前記第1の光情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生に用いられる専用領域とを有し、
前記対物光学素子は、前記第1の光情報記録媒体において、有効径と前記対物光学素子の焦点距離とから定められる前記第1の光情報記録媒体上のスポット径を形成するとともに、
光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記共用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhCDNAとした場合、
h<0.6hCDNAのとき(dy/dx)≦0 (8)
であり且つ、光軸から第1の高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記第1の高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有し、更に前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量は、前記専用領域と前記共用領域との間で不連続であることを特徴とする光情報記録再生装置。 - 前記第2の光情報記録媒体の使用時において、前記共用領域における前記正弦条件不満足量を示す曲線は、光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第2の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての2階微分値(d2y/dx2)を求めると、前記共用領域の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをh0として、
0.5h0<h<0.8h0のとき(d2y/dx2)>0 (8’)
であることを特徴とする請求項33に記載の光情報記録再生装置。 - 光軸からの高さを縦軸(x)にとり、前記第1の光情報記録媒体の使用時における正弦条件不満足量を横軸(y)にとり、前記専用領域において、光軸からの高さと前記正弦条件不満足量との関係を示す曲線についての微分値(dy/dx)を求めると、光軸からある高さにおいてその微分値を傾きとする直線をひいたときに、前記ある高さより光軸から遠い側で、前記曲線は前記直線より正側に存在する領域を有することを特徴とする請求項33又は34に記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC1(h)=h/sinU−f(fは第1の光情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記専用領域の正弦条件不満足量は、前記光学素子ヘの入射光線の光軸からの高さが増大するにつれて、単調に増加することを特徴とする請求項33又は34に記載の光情報記録再生装置。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記共用領域において、前記第1の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号と、前記第2の光情報記録媒体の使用時に最小となる正弦条件不満足量の符号とが、負であることを特徴とする請求項33乃至36のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 光軸からの高さがhの無限物体距離光線が前記対物光学素子から出射したときに、出射後における該光線と光軸とのなす角をUで表し、且つ正弦条件不満足量をSC(h)=h/sinU−f(fはそれぞれの情報記録媒体使用時における前記対物光学素子の焦点距離)と定義した場合、前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC1max、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記共用領域での正弦条件不満足量絶対値の最大値をSC2maxとすると、
0.003mm≦SC1max≦0.020mm (9)
0.010mm≦SC2max≦0.040mm (10)
を満たすことを特徴とする請求項33乃至37のいずれかに記載の光情報記録再生装置。 - 前記第1の光情報記録媒体の使用時において、前記対物光学素子の有効径の最外周部を通過する光線の光軸からの高さをhmaxとした場合、前記最外周光線の正弦条件不満足量SC1が、
│SC1(hmax)│≦0.010mm (11)
を満たすことを特徴とする請求項33乃至38のいずれかに記載の光情報記録再生装置。 - 前記対物光学素子における光源側の共用領域に、光軸を回転中心とした回折構造が形成されたことを特徴とする請求項33乃至39のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光情報記録媒体及び前記第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ前記対物光学素子単体での結像倍率がほぼ無限倍率であることを特徴とする請求項33乃至40のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記光源から前記光情報記録媒体までの光学系の倍率mが、第1の光情報記録媒体及び第2の光情報記録媒体の使用時において、それぞれ−1/5≦m≦−1/10であることを特徴とする請求項33乃至40のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率は、前記第2の光情報記録媒体の使用時における前記対物光学素子単体での結像倍率と異なることを特徴とする請求項33乃至40のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光源から出射された光束は、無限光束として前記対物光学素子に入射し、前記第2の光源から出射された光束は、有限光束として前記対物光学素子に入射することを特徴とする請求項43に記載の光情報記録再生装置。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.0mm≦f≦4.0mmであることを特徴とする請求項33乃至44のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記対物光学素子の焦点距離fが1.5mm≦f≦3.5mm、前記第1の光情報記録媒体の透明基板厚さt1は、前記第2の光情報記録媒体の透明基板厚さt2の半分であり(2×t1≒t2)、前記第1の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA1、前記第2の光情報記録媒体の使用時の要求開口数がNA2である場合に、
0.59≦NA1≦0.68且つ0.43≦NA2≦0.58 (18)
を満たすことを特徴とする請求項33乃至45のいずれかに記載の光情報記録再生装置。 - 画角1°におけるそれぞれのコマ収差がおのおの0.05λrms以下に抑えられたことを特徴とする請求項33乃至46のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
- 前記第1の光情報記録媒体用光源と前記第2の光情報記録媒体用光源とがユニット化された光源を有することを特徴とする請求項33乃至47のいずれかに記載の光情報記録再生装置。
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