JP4258805B2 - バラ香気成分の生合成酵素とこれを利用したバラ香気成分製造方法 - Google Patents

バラ香気成分の生合成酵素とこれを利用したバラ香気成分製造方法 Download PDF

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Description

この出願の発明は、バラ香気成分の生合成酵素とこれを利用したバラ香気成分製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、従来の化学合成法にともなって大気汚染や製造コスト等の問題を解決することのできるバラ香気成分の生合成酵素とこれを利用したバラ香気成分製造方法に関するものである。
従来より、多くの香気成分は、植物の花や葉等を原材料として水蒸気蒸留操作によって抽出・製造したり、また、化学物質を原材料として、これに複数種類の他の化学物質を触媒として利用する化学合成方法によって製造したりしていた。だが、このような植物の花や葉等を原材料として香気成分を抽出する場合には、その都度に原材料を大量に用意しなければならず、また抽出後には大量の残骸が残り、廃棄処理に手間がかかるという問題があった。化学合成の場合においては、多種多様の化学物質を原材料あるいは、触媒等として利用するため、環境への負荷が大きく、また純度の高い化学物質を用いることが好ましいため、コストも高くなるという問題があった。
そこで、香気成分の製造には、香気成分の生合成酵素を利用する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1では、香気成分の生合成酵素を微生物から抽出し、この酵素を分子生物学的に製造することができ、さらに、このような酵素をニ糖配糖体(茶香気成分の一種であるβ-プリメドロシド等)等に作用させることによって、各種の香気成分を生成している。
しかしながら、特許文献1の生合成酵素を、化粧品や香水、食品、医薬品等 、幅広い分野で利用されているバラ属特有の香気成分の生成・製造に利用する ことについて、言及されていない。また、このバラ属特有の香気成分を生成・ 製造に貢献することのできると期待されている生合成酵素については、O-me thyltransferase (以下、OMTとすることがある)の存在により示 唆・報告されていた(たとえば、非特許文献1および非特許文献2等)が、そ の効果的なその抽出・精製および遺伝子配列等は、知られていなかった。その ため、当然にバラ香気成分の製造に香気成分の生合成酵素を利用する分子生物 学的な方法は、開発されていなかった。
WO00/18931号公報 Lavid, N., Wang, J., et al., Plant Physiol., 129: 1899-1907, 2002 Scalliet, G., Journot, N., et al., FEBS Lett., 523: 113-118, 2002
そこで、係る問題を解決するため、発明者らは、バラ特有の香気成分(1,3,5-trimethoxybenzene;TMB)の生合成過程において重要な生合成酵素であるO-methyltransferase (OMT)の遺伝子RcOMT2をクローニングすることに成功している。図1に示したとおり、この生合成酵素OMTが作用する箇所は、中間物質である3,5-dihydroxyanisole(以下、DHAとすることがある)から3,5-dimethoxyphenol(以下、DMPとすることがある)への生合成過程およびDMPからTMBへの生合成過程の少なくとも2箇所あるが、TMB生合成過程において、根幹的な作用箇所ではない。しかしながら、このTMBの生合成過程の最も根幹的な箇所において作用する生合成酵素phloroglucinol O-methyltransferase (以下、POMTとすることがある)の取得は実現されていなかった。この出願の発明は、その後の鋭意研究の結果、このPOMTの取得・精製、そしてその遺伝子配列等の解明に成功したことに基づくものである。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、従来の問題点を解消し、従来の化学合成法にともなって大気汚染や製造コスト等の問題を解決することのできるバラ香気成分の生合成酵素とこれを利用したバラ香気成分製造方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決する手段として、以下の(1)から(8)の発明を提供する。
(1)配列番号2のアミノ酸配列を有する生合成酵素;
(2)配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド;
(3)配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチド;
(4)前記(1)に記載の生合成酵素コード配列を有する発現カセットを備えた発現ベクター;
(5)前記(2)または(3)に記載のポリヌクレオチドを有する発現カセットを備えた発現ベクター;
(6)前記(4)または(5)に記載の発現ベクターによって、形質転換された形質転換細胞;
(7)前記(6)に記載の形質転換細胞から産生される配列番号2のアミノ酸配列を有する生合成酵素;
(8)前記(1)または(7)に記載の生合成酵素をバラ香気成分1,3,5-trimethoxybenzene (TMB)の前駆体phloroglucinol (PLG)に作用させることによって、このTMBの中間体である3,5-dihydroxyanisole (DHA)を生合成するバラ香気成分の製造方法。
この出願の発明によって、従来の化学合成法にともなって生じていた環境負荷や製造コスト等の問題を解決することのできる香気成分の生合成酵素とこれを利用した香気成分製造方法が提供される。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
この出願の発明の生合成酵素は、バラ香気成分1,3,5-trimethoxybenzene (TMB)の前駆体であるphloroglucinol (PLG)に作用させることによって、このTMBの中間体である3,5-dihydroxyanisole (DHA)を生合成する活性を有している。PLGは、分子内にベンゼン環を有した有機化合物である芳香族物質の一種であり、香気成分あるいはその前駆体は、この芳香族物質の一種であることが多い。
この出願の発明において、上記のような活性を有する生合成酵素は、phloroglucinol O-methyltransferase(POMT)であることが、好ましい。また、この生合成酵素POMTは、植物体由来であることが好ましく、さらに植物体がバラ属であることがさらに好ましく、さらにまた、POMTが豊富に含有されていることから、バラ属が中国バラ(Rosa chinensis var. spontanea)であることが特に好ましい。そして、POMTは、上記のとおりのバラの葉や花弁等の植物体から抽出・精製することができる。
すなわち、上記のPOMTは、配列番号2のアミノ酸配列を有していることが好ましく、配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチドであることが、より好ましい。
そして、この出願の発明は、上記の生合成酵素コード配列、好ましくは配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドもしくは、配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチドを有する発現カセットを備えた発現ベクターを提供することができる。そのため、上記のように葉や花弁等の植物体から抽出・精製する方法以外にも、この発現ベクターを任意の細菌や細胞に導入することによって、大量、かつ、簡便に、目的とするバラ香気成分の生合成酵素(POMT)を取得することもできる。
この出願の発明における「発現ベクター」は、上記のとおりPOMT等の生合成酵素コード配列を有する発現カセットをベースベクター内に挿入結合することによって作製することができる。したがって、発現カセットは、ベースベクターの任意のクローニングサイトに対応した制限酵素配列を有することが好ましい。「ベースベクター」は、たとえば動物細胞用ベクター、昆虫細胞用ベクター、酵母用ベクター、大腸菌用ベクター、また酵母・大腸菌等といった複数種用のシャトルベクター等の種々のベースベクターがあるが、これらベースベクターは宿主細胞や目的に応じて適宜に選択することができる。また、適当な宿主細胞で外来タンパク質を発現させるための既存のベクターDNAを一部改変して使用することもできる。たとえば、宿主細胞として大腸菌等の微生物を利用する場合には、オリジン、プロモータ、ターミネータ等を有するpBR系、pUC系、pBluescript系やpET系システム等が使用することができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
また、この発現ベクターを導入する際に利用する細菌や細胞(受容体)は、POMT等の香気成分の生合成酵素を安定に発現することのできるものであれば、特に限定されるものではなく、大腸菌や酵母類、各種植物細胞等が例示することができる。
さらに、この出願の発明のPOMTは、POMTの前駆体であるphloroglucinol(PLG)に作用させることによって、バラ香気成分1,3,5-trimethoxybenzene(TMB)の中間体である3,5-dihydroxyanisole(DHA)を生合成することのできる製造方法も提供する。この方法によって、大気汚染等の環境負荷や製造コスト等の問題が生じることなく、香気成分を大量、かつ、簡便に製造することができる。
さらに、発明者が先に取得したRcOMT2遺伝子産物である、OMTとこの出願の発明のPOMTとを組み合わせることによって、PLGからバラの香気成分であるTMBをさらに効率よく製造することができる。
すなわち、POMTをPGLに作用させることにより、選択的に、かつ、高純度(最低でも純度87%以上)のDHAの作製が可能となる。さらに、このDHAにOMTと作用させることにより、最終生成物であるバラ香気成分TMBを上記のとおり簡便に作製することができる。このようにして作製、取得したTMBを化粧品や香水、食品、医薬品等、幅広い分野に応用することができる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく、この出願の発明について説明する。もちろん、以下の例によってこの出願の発明が限定されることはない。
(実施例1)phloroglucinol O-methyltransferase(POMT)の精製
POMTが大量に含まれていることが知られている、バラRosa chinensis var. spontaneaの花弁から、POMTの抽出作業を行った。なお、以下の一連の操作は、4℃の条件下で行った。表1に、各ステップにおけるPOMTの収率等を示した。
ステップ1:粗酵素としての抽出
(i) バラ花弁10gを液体窒素で、瞬間凍結させてから、粉砕した。
(ii) バッファーA(100mM KPB、10% glycerol、1mM DTT)に2g PVP(PVP-40)、200mg Sodium L-ascorbateを加え、混合した。
(iii) (i)のバラ花弁を(ii)の溶液に入れ、30分間攪拌し、15000rpmで遠心を20分間行った。
(iv) 上清液を粗酵素液(約50mlが得られた)とした。
ステップ2:G-25カラムによるゲルろ過
(i) Sephadex G-25カラム(Amersham Biosciences社製、30cm×φ5cm)は、Sephadex G-25を蒸留水で膨張させ、30cm×φ5cmの空カラムに充填させて、調製した。
(ii) バッファーB(バッファーA+0.15M NaCl)でカラムを平衡化し、ステップ1で得られた粗酵素液50mlをこの平衡化したカラムにアプライした。
(iii) 得られた分画液を2mlづつ採取した。
(iv) 活性の測定の条件としては:
(a) 反応液(30μlの酵素液、5μlの1 M Tris-HCl(pH 7.4)、10μlの10mM DTT、10μlの50%グリセロール、1μlのS-アデノシル-L-[メチル-14C]、2μlの基質(PLG、またはDHA、もしくはDMP)および7μlの水を混合した反応液)を調製した。
(b) 反応時間と条件として、上記の反応液を30℃で30分間、インキュベートし、反応させた。5μlの50%酢酸を添加することによって、この反応を停止させた。
(c) 上記の反応後の反応液に80μlの酢酸エチル(有機溶媒)を添加することによって、14C標識された生成物を有機層として抽出することができる。この抽出された生成物40μlを、シリカゲル60F254(Merck社製)がコーティングされた薄層クロマトグラフィー(thin layer chromatography, TLC)プレートにアプライし、展開し、展開後のTLCプレートを1:1(v/v)のCHCl3:EtOAC溶液で現像した。次いでイメージングプレート(Fuji Photo Film社製)に一晩露光させ、molecular imaging FX システム(Bio-Rad Laboratories社製)を用いて、14C標識された生成物の放射活性を検出した。
(d) また、GC-MS分析(QP5000, Shimazu社製)の利用による、酵素活性の測定も行った。このGC-MS分析における反応液条件は、上記(c)における放射活性の検出に基づく活性測定と基本的には同じであるが、5mM 非標識S-アデノシル-L-メチオニンを加えた点において異なる。上記(c)と同様に、有機層中の抽出液を、ゆっくりとしたN2の流れの条件の下で20μlに濃縮し、この濃縮された抽出液をGC-MS分析した。その結果を図2に示した。「A」はPOMTとPLGとを反応させ、「B」は変性POMTとの反応を示し、「C-1」はDMP、「C-2」はDHA、「C-3」はPLGとの反応をそれぞれ示している。
(v) 各分画液の活性を上記のように測定し、図2に示したとおり、高い活性を示した分画液を収集し、まとめた。本実施例においては、約75ml集めることができた。
ステップ3:硫酸アンモニウム(硫安)沈殿法による分画
(i) ステップ2で得られた活性分画(75ml)を、0-10%、10-30%、30-80%の硫酸アンモニウムを用いて、分画した。
(ii) 得られた各分画液をバッファーC(100mM Tris-HCl(pH 7.4)、10% glycerol、1mM DTT)で溶出した。この溶出液の上記のステップ2(iv)と同様の活性測定を行った結果、30-80%の硫酸アンモニウムで分画を行って得た分画液を次のステップに用いた。
ステップ4:イオンカラムによる精製
(i) HQカラム(Perseptive Biosystems社製)を用いて、高速液体クロマトグラフィー(FPLC)で精製を行った。
(ii) バッファーD(20mM Tris-HCl(pH 7.8))にて、HQカラムを平衡化し、ステップ3で得られた分画液をアプライした。
(iii) 次いで、15カラム体積分(1.7ml)のバッファーDを用いて、カラムの洗浄を行った。
(iv) 15カラム体積分(1.7ml)のバッファーDに、濃度が0-500mMのNaClを加え(濃度勾配法)、目的とする酵素を溶出した。
(v) さらに、5カラム体積分(0.57ml)のバッファーDに、濃度が500mM-1.5MのNaClを加え、カラム内に残存している酵素を溶出した。
(vi) この溶出液を500μlずつ回収し、トータル51分画を回収した。
(vii) PLG、DHAおよびDMPそれぞれに対する生合成酵素における、各分画液の活性を測定した。測定は、全分画に対して、各基質(PLG, DHA, DMP)に対するOMTの活性を、上記の上記のステップ2(iv)と同様に測定した。結果は、図3、4および5に示したとおりであった。このうち、図2に示したようにPLGに特異性の分画液(6ml採取することができた)を採取した。すなわち、PLGに対して高いOMT活性を示した分画が、DMPと分けられDHAは上記の2分画とほぼ同じ活性を示した。これらのことから、PLG-O-methyltranferase(POMT)酵素を確認することができ、分離することができた。
ステップ5:イオンカラムによる再精製
ステップ4にて精製した分画液を、再度ステップ4と同じ手順で精製を行った。再精製した各分画液を10% SDS-PAGEにて展開し、バンドの確認をした。結果は図6に示したとおり、レーン3およびレーン4において、分子量マーカーで示している45.0kDaよりもの少し小さい分子量位置に特異的なバンドが確認された。特にレーン4では、より精製度が高い状態で、POMTを取得することができたことが確認された。このバンドは、僅かながらL、MおよびSと表記した3本に分かれており、これら3本のバンドについて、TOF-MS分析を行い、確認した。
その結果、図7に示したとおり、これら3本のバンドはお互いに極めて高い相同性(表2における「Pep2」)を有していることが確認された。すなわち、この3本のバンドは、同じPOMTであることが考えられる。
このPOMTのバンド部分を切り出し精製して、以下の実施例2のようにアミノ酸配列の決定に用いた。
なお、レーンMは、タンパク質分子量マーカーを、レーン1は、Sephadex G-25カラム精製のサンプルを、レーン2は、硫酸アンモニウム処理後のサンプル、レーン3は、HQカラム精製後のサンプルを、レーン4は、再度HQカラム精製したサンプルをそれぞれ示している。
(実施例2)生合成酵素POMTの部分的なアミノ酸配列の決定
(i) 実施例1で精製した酵素(POMT)を、10% SDS-PAGEで泳動し、CBB染色をして、ゲルから目的のバンドを切り出した。
(ii) 切り出したゲルを洗浄液(蒸留水、50mM NH4HCO3および50% acetonitrile)で15分間洗浄を行った。
(iii) 50mM NH4HCO3で脱水処理を行い、5分後に同量のasetonitrileを加え、15分間放置した。
(iv) 脱水液を捨て、減圧乾燥を行った。
(v) 乾燥したゲルを、10mM DTTおよび25mM NH4HCO3液の混合溶液中に完全に浸し、56℃、45分間浸漬した。
(vi) (v)の混合溶液を抜き、この混合溶液と同量の55mM iodoacetamide溶液を加え、暗室中にて室温、45分間放置した。
(vii) iodoacetamide溶液を捨て、50mM NH4HCO3で15分間の洗浄処理し、次いで50% acetonitrileの溶液で15分間の洗浄処理を行い、このゲルを再度、減圧乾燥した。
(viii) 上記(vii)にて乾燥させたゲルを25mM NH4HCO3で希釈した5ng/μlのトリプシン(Roche社製)溶液を添加し、37℃、30分間処理した。
(ix) さらに、ゲルが完全に浸る程度の量の25mM NH4HCO3を加え、一晩処理した。
(x) 10分間のソニケーション処理を行い、上清液を回収した。
(xi) 10μlの50% acetonitrile、1% trifluoracetic acidを加え、再度ソニケーションを行い、その上清液を回収した。
(xii) 回収した上清液を、Autoflex ultraflex TOF (Bruker Daltonics K K.社製)を用いて、de novo sequence測定を行った。
(xiii) 配列番号2に示したとおり、POMTのアミノ酸配列を決定・確認することができた。
(実施例3)生合成酵素POMTをコードするcDNA全長の決定
(i) 実施例2によって得られたペプチド断片の配列を基に、縮重プライマーとして1778-S2 (配列番号3)を設計した。
(ii) バラの花弁(ステージ5:萼が完全に反転し、外側の花弁の先端に割れ目が確認できる状態)から、公知の方法に従ってmRNAを抽出し、プライマーRACE32 (配列番号4)を用いてPCR法によってcDNAを作製した。なお、上記の「ステージ」とは、植物体においての成長度合いを表す。ステージ1は、未成熟の花の蕾の状態で、萼は硬く閉じた状態を示し、ステージ2は、萼の先端が開き始めの状態を示している。ステージ3は、萼が緩み始め、渦巻き状の花弁が視認できる状態を表し、ステージ4は、萼が縮み始めるが、渦巻き状の花弁はまだ閉じた状態を表し、ステージ5は、上記のとおり花弁は完全に開き、外側の萼は緩み始める状態を示している。また、ステージ6は、外側の萼は完全に開き、内側の渦巻き状の萼は閉じた状態で、生殖器官はまだ視認できない状態を示しており、そしてステージ7は、花は完全に開花し、全ての萼も開き、生殖器官も視認できる状態を示している。
(iii) 縮重プライマー1778-S2およびプライマーRACE17 (配列番号5)とを用いてPCR法を行うことにより、POMTを断片を増幅し、塩基配列を決定した。
(iv) 得られたPOMT断片の塩基配列から、さらにプライマーPOMT-200A (配列番号6)、プライマーPOMT-210A (配列番号7)、プライマーPOMT-230A (配列番号8)を合成し、5'-RACE法により、全長cDNAを決定した。なお、上記の全長cDNAの決定は、具体的には、プライマーPOMT-230Aを用いて、mRNAからPOMT特異的な一本鎖cDNAを作製しなおした。このcDNAの3’側にpoly(A)を付加させ、プライマーRACE32とプライマーPOMT-210Aを用いて、5'側のPOMT断片を作製した。さらに、プライマーRACE17とプライマーPOMT-200Aを用いて、得られたPOMT断片の断片を一本まで特定し、得られたPOMT断片の塩基配列を決定した。
(v) さらに、プライマーPOMT-N (配列番号9)およびPOMT-C (配列番号10)とを用いたPCR法により、POMTのOpen Reading Frame (ORF)を増幅させた。
(vi) これにより、配列番号1に示したとおり、POMTのcDNA全長を得ることができた。なお、上記各プライマーの一覧およびそれぞれの塩基配列を表3に例示した。また、縮重プライマー1778-S2における「Y」は塩基「CまたはT」を、「R」は塩基「AまたはG」を、「N」は塩基「A、C、G、T」いずれかであることをそれぞれ示している。
(実施例4)POMT遺伝子の発現システムの確立
(i) 公知の方法(たとえば、J., Sambrook et. Al., Molecular Cloning, 1989等)に従って、POMTのORFをpET32(Invitrogen社製)に挿入し、POMTの発現ベクターとした。この発現ベクターを宿主として大腸菌(Dl21(DE)plysE株)に導入し、POMTの発現システムとした。
(ii) ベースベクターとして用いたpET32は、イソプロピルチオガラクトシド(isopropyl thiogalactoside, IPTG)を添加することによって、発現を任意に誘導することができる。そのため、1mMのIPTGを添加し、POMTの発現を誘導させ、超音波破砕法によってこのPOMTを回収した。
(iii) 回収したPOMTをHis-Tag affinity columnで精製し、この精製したPOMTサンプルをSDS-PAGEにて展開し、分子量を測定した。図8に示したとおり、分子量約60kDaにシングルバンドが確認され、POMTの分子量が判明した。なお、図中の、「M」は、分子量マーカー、「レーン1」は、粗抽出サンプル、「レーン2」は、カラム抽出サンプルをそれぞれ示している。
(iv) また、このPOMTの活性を実施例1と同様の活性分析法によって測定した。なお、14C-SAMを用いた放射性物質標識法であり、またGC-MS分析で同定する際には、cold-SAMを使用した。
(v) 測定の結果は、表4および5に示したとおり、POMTの活性が確認された。また、この分子生物学的手法で得られたPOMTの活性と基質特異性も植物体から抽出したPOMTの活性とを比較した結果、ほぼ一致していることが確認された。
(実施例5)各器官におけるmRNAの発現パターン
(i) ステージ4から7までの各ステージおける花弁、各花器官(花弁、ガク、雄蕊、雌蕊)および葉のmRNAを抽出・精製し、それぞれRT-PCR法にてcDNAを作製した。
(ii) POMTの3'側の非翻訳領域から、プライマー3UT-S (配列番号11)およびプライマー3UT-A (配列番号12)とを用いて、上記各器官のmRNAの発現量を比較した(図9)。
(iii) その結果、図9および10に示したとおり、POMTは特に花弁に特異的に発現していることが確認された。
図9において、26S rRNAは、コントロールである。また、「S4」はステージ4を、「S5」はステージ5を、「S6」はステージ6を、「S7」はステージ7を示し、「ST」はステージ6における雄蕊を、「SE」はステージ6における萼を、そして「LF」は葉をそれぞれ示している。
なお、上記各プライマーの一覧およびそれぞれの塩基配列を表6に例示した。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、従来の化学合成法にともなって生じていた環境負荷や製造コスト等の問題を解決することのできる香気成分の生合成酵素とこれを利用した香気成分製造方法が提供される。
バラの香気成分1,3,5-trimethoxybenzeneの生合成経路を例示した模式図である。 GC-MS分析によるPOMT活性を示した図である。「A」はPOMTとPLGとを反応させ、「B」は変性POMTとの反応を示し、「C-1」はDMP、「C-2」はDHA、「C-3」はPLGとの反応をそれぞれ示している。 Phloroglucinol (PLG)の生合成酵素に対しての活性を測定した結果を示した図である。 3,5-dihydroxy anisole (DHA)の生合成酵素に対しての活性を測定した結果を示した図である。 3,5-dimethoxy phenol (DMP)の生合成酵素に対しての活性を測定した結果を示した図である。 各精製ステップにおけるサンプルを10% SDS-PAGEにて泳動した結果を示した図である。 図6に示したL、MおよびSそれぞれのバンドのTOF-MS分析結果を示した図である。 His-Tag affinity column精製したPOMTのSDS-PAGEの結果を示した図である。「M」は、分子量マーカー、「レーン1」は、粗抽出サンプル、「レーン2」は、カラム抽出サンプルをそれぞれ示している。 POMTの各器官におけるRNA発現量をRT-PCRにて確認した結果を示した図である。26S rRNAは、コントロールであり、「S4」はステージ4を、「S5」はステージ5を、「S6」はステージ6を、「S7」はステージ7をそれぞれ示し、「ST」はステージ6における雄蕊を、「SE」はステージ6における萼を、そして「LF」は葉をそれぞれ示している。 図9の結果をグラフとして比較例示した図である。

Claims (8)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列を有する生合成酵素。
  2. 配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  3. 配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチド。
  4. 請求項1に記載の生合成酵素コード配列を有する発現カセットを備えた発現ベクター。
  5. 請求項2または3に記載のポリヌクレオチドを有する発現カセットを備えた発現ベクター。
  6. 請求項4または5に記載の発現ベクターによって、形質転換された形質転換細胞。
  7. 請求項6に記載の形質転換細胞から産生される配列番号2のアミノ酸配列を有する生合成酵素。
  8. 請求項1または7に記載の生合成酵素をバラ香気成分1,3,5-trimethoxybenzene (TMB)の前駆体phloroglucinol (PLG)に作用させることによって、このTMBの中間体である3,5-dihydroxyanisole (DHA)を生合成するバラ香気成分の製造方法。
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