JP4258371B2 - 加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼 - Google Patents
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〔0.10≦C≦0.35wt%〕
C(炭素)は、プレハードン状態でHRC26〜36の硬さを確保するため、0.10wt%以上の添加が必要である。但し、過度の添加は、必要以上の硬度となるだけでなく、被削性低下や不要な炭化物の晶出を招くため0.35wt%を上限とする。
Si(珪素)は、脱酸剤として0.1wt%以上の添加となる。多く添加することで硬さ向上にも寄与する。Cr(クロム)やMo(モリブデン)等の偏析を助長するため、2.0wt%を上限とする。更に被削性向上を目的とした場合、意図的に0.5wt%以上添加することができる。
Mn(マンガン)は、焼入れ性を向上させる目的で添加されるが、多量に添加するとTi炭硫化物の形成を阻害し、Mn硫化物の形成を招くため、放電加工性の観点から0.40wt%未満に調整する必要がある。
Cr(クロム)は、Mnと同様に必要硬さ、組織調整のために添加する。Ti炭硫化物を形成するためにMn量を低減するため、Mn分の焼入れ性や硬さを補填するために多く添加することができる。炭化物を形成して、基地の強化(硬さの向上)や耐摩耗性を向上させる効果もある。しかし、多過ぎると被削性が低下するので、上限を5.0wt%とする。また、3.0wt%以上の添加により耐錆性を付与することも可能である。
Mo(モリブデン)は、Mnと同様に必要硬さ、組織調整のために添加する。Crと同様にMn分の焼入れ性や硬さを補填するために多く添加することができる。但し、過剰の添加は炭化物の形成を促進し、被削性が低下するため1.0wt%を上限とする。
上記Ti、V、Zrは、何れもそれ等の元素のwt%である。Ti(チタン)は、Ti炭硫化物の形成に重要な元素で、例えば0.01≦Ti≦0.80wt%のTiを添加することが可能である。Tiの代替として、V(バナジウム)やZr(ジルコニウム)を利用することも可能で、上記範囲はTi当量で規定したものである。Ti(VおよびZrを含む)がCやSに対して過剰、或いは過小である場合、意図しない非金属介在物を形成したり鋼中に残ったりするため、CとSとのバランスが重要である。特にS量との兼ね合いであるが、0.80wt%を上限とする。
上記S、Se、Teは、何れもそれ等の元素のwt%である。S(硫黄)は、Ti炭硫化物の形成に重要な元素で、例えば0.005≦S≦0.20wt%のSを添加することが可能である。Sの代替としてSe(セレン)やTe(テルル)を利用することも可能で、上記範囲はS当量で規定したものである。S(SeおよびTeを含む)がCやTi(チタン)に対して過剰、或いは過小である場合、S(SeおよびTeを含む)が鋼中に残ったり意図しない非金属介在物を形成したりするため、CやTiとのバランスが重要である。S(SeおよびTeを含む)を添加する場合、Ti炭硫化物を過剰に含ませても被削性向上の効果が得られなくなるため、上限を0.20wt%とする。
上記C、Ti、V、Zr、S、Se、Teは、何れもそれ等の元素のwt%である。Ti炭硫化物の形成は、CとS(SeおよびTeを含む)、Ti(VおよびZrを含む)のバランスが重要で、0.2≦C/(Ti+0.94V+0.53Zr)≦15.0、0.20≦(S+0.41Se+0.25Te)/(Ti+0.94V+0.53Zr)≦0.70の範囲を外れる程、Ti炭硫化物以外の非金属介在物が増加するため、被削性、放電加工性、鏡面性といった特性の劣化に繋がる。(S+0.41Se+0.25Te)/(Ti+0.94V+0.53Zr)については、0.25以上で且つ0.40以下であることが望ましい。
Ti炭硫化物の面積率については、被削性向上の効果を得るため0.01%以上含まれていることが必要で、逆に多過ぎると放電加工性の劣化を招くため4.0%を上限とし、Ti炭硫化物が単独で形成されることが望ましい。なお、Ti炭硫化物以外の非金属介在物が含まれる場合でも、Ti炭硫化物を含む非金属介在物の面積率が上記の範囲内で、その面積率のうちの90%以上がTi炭硫化物であれば効果を得ることができる。Ti炭硫化物以外の非金属介在物としては、Mn硫化物、Cr硫化物、酸化物、窒化物などである。
これ等の元素Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、B(ホウ素)は、焼入れ性を向上させるために添加することができる。過度の添加は必要以上に焼入れ性を向上させ、硬さ向上にも寄与するため、それぞれ上記上限値以下に調整する必要がある。
これ等の元素W(タングステン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)は、炭化物を形成し、結晶粒粗大化抑制に効果がある。金型特性として靱性低下は大きな特性劣化となるため、添加することは可能であるが、過剰に添加すると硬さの向上や被削性の劣化に繋がるため、それぞれ上記上限値以下に調整する必要がある。
これ等の元素Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、O(酸素)、N(窒素)、REM(希土類金属)、H(水素)は、不純物元素として鋼中に含まれるが、これ等の元素の含有量が増えると、酸化物(アルミナ、MgO等)や窒化物(AlN等)を形成する。これ等の化合物は、特に放電加工後の表面粗さを粗くし、或いは鏡面性を低下させるため、それぞれ上記上限値以下に規制する必要がある。製造コストの兼ね合いであるが、望ましくはO≦0.005wt%、N≦0.015wt%にするのが良い。
これ等の元素P(燐)、Sn(錫)、Ca(カルシウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)は、Ti炭硫化物による快削化効果以外に、更に被削性を向上させる目的で添加することができる。過度に添加した場合、被削性向上の効果に比べ、靱性の低下や鏡面性の低下等、他の特性の劣化が大きくなるため、それぞれ上記上限値以下に規制する必要がある。
(加工条件)
切削方法:側面切削(ダウンカット)
深さ:10mm
切り込み幅:1.2mm
切削速度:190m/min
送り速度:0.13mm/刃
潤滑方法:乾式
加工1:位置決め、吊り穴用のドリル加工
加工2:放電加工による粗加工
加工3:エンドミルでの精加工
Claims (6)
- 0.10≦C≦0.35wt%、0.1≦Si≦2.0wt%、0.01≦Mn<0.40wt%、1.0≦Cr≦5.0wt%、および0.01≦Mo≦1.0wt%と、
0.01≦Ti+0.94V+0.53Zr≦0.80wt%を満足し、且つ0.1≦Ti/(Ti+0.94V+0.53Zr)≦1.0を満足するTi、V、およびZrから選ばれた少なくともTiを含む1または2種以上の元素と、
0.005≦S+0.41Se+0.25Te≦0.20wt%を満足するS、Se、およびTeから選ばれた1または2種以上の元素と、
を基本成分として含有し、
C/(Ti+0.94V+0.53Zr)が0.2〜15.0の範囲内で、且つ(S+0.41Se+0.25Te)/(Ti+0.94V+0.53Zr)が0.20〜0.70の範囲内であるとともに、
残部がFe及び不可避的不純物から成り、
前記Ti、V、およびZrから選ばれた少なくともTiを含む1または2種以上の元素と、前記Cと、前記S、Se、およびTeから選ばれた1または2種以上の元素と、の化合物を含む非金属介在物が、材料断面積の面積率で0.01〜4.0%含み、
ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が26.0〜36.0の範囲内である
ことを特徴とする加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。 - 請求項1の基本成分に加えて、0.001≦Cu≦0.50wt%、0.005≦Ni≦0.50wt%、0.001≦Co≦0.50wt%、および0.0005≦B≦0.010wt%の何れか1種以上を更に含有している
ことを特徴とする加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。 - 請求項1または2の基本成分に加えて、0.001≦W≦0.50wt%、0.001≦Nb≦0.30wt%、および0.001≦Ta≦0.30wt%の何れか1種以上を更に含有している
ことを特徴とする加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。 - 請求項1〜3の何れか1項の基本成分に加えて、0.0005≦Mg≦0.10wt%、0.0005≦Al≦0.050wt%、0.0003≦O≦0.015wt%、0.0005≦N≦0.025wt%、0.001≦REM(希土類金属)≦0.10wt%、および0.0002≦H≦0.010wt%の何れか1種以上を更に含有している
ことを特徴とする加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。 - 請求項1〜4の何れか1項の基本成分に加えて、0.001≦P≦0.030wt%、0.001≦Sn≦0.050wt%、0.0002≦Ca≦0.10wt%、0.001≦Pb≦0.20wt%、および0.001≦Bi≦0.30wt%の何れか1種以上を更に含有している
ことを特徴とする加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。 - フェライト+パーライト組織であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の加工性に優れたプラスチック成形金型用鋼。
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