JP2005082813A - プラスチック成形金型用プレハードン鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、優れた被削性を保ち又はさらに向上させつつ、優れた靭性及び鏡面性を付与したプラスチック成形金型用プレハードン鋼を提供することを目的としている。
【解決手段】 上記課題を解決するため、本発明のプラスチック成形金型用プレハードン鋼(以下、本発明鋼ともいう)では、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.1〜2%、Mn:0.2〜3%、Cu:0.5〜3%、Ni:2.5〜5%、Cr:0.05〜3%、Mo:0.01〜3%、Al:0.5〜2%、N:0.015%以下、O:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、かつJIS
G 0551にて規定される結晶粒度番号が7以上で、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 上記課題を解決するため、本発明のプラスチック成形金型用プレハードン鋼(以下、本発明鋼ともいう)では、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.1〜2%、Mn:0.2〜3%、Cu:0.5〜3%、Ni:2.5〜5%、Cr:0.05〜3%、Mo:0.01〜3%、Al:0.5〜2%、N:0.015%以下、O:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、かつJIS
G 0551にて規定される結晶粒度番号が7以上で、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プラスチック成形金型用プレハードン鋼に関する。
近年、プラスチック成形用金型は、自動車部品をはじめ、事務機器部品、精密機械部品、電気部品、光学機器部品など多岐にわたる部品の製造に使用されている。このような金型には、金型製作の簡便化、低コスト化、高精度化等の厳しい条件が要求される。
プラスチック成形金型用鋼については種々の提案がなされており、例えば特許文献1及び2のようなプレハードン状態で加工される時効硬化鋼が用いられる。時効硬化鋼は、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)がおおよそ40前後で、被削性に優れる材料である。しかし、靭性及び鏡面性が十分でないため、金型の使用環境の過酷化が進むなか、上記のような要求に応えることが困難となってきている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた被削性を保ち又はさらに向上させつつ、優れた靭性及び鏡面性を付与したプラスチック成形金型用プレハードン鋼を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明のプラスチック成形金型用プレハードン鋼(以下、本発明鋼ともいう)では、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.1〜2%、Mn:0.2〜3%、Cu:0.5〜3%、Ni:2.5〜5%、Cr:0.05〜3%、Mo:0.01〜3%、Al:0.5〜2%、N:0.015%以下、O:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、かつJIS
G 0551にて規定される結晶粒度番号が7以上で、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下であることを特徴とする。
G 0551にて規定される結晶粒度番号が7以上で、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下であることを特徴とする。
本発明鋼は、上記の成分を含有する時効硬化鋼であり、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下で、その場合に結晶粒度番号が7以上となるよう結晶粒度を細かくすることで、優れた被削性を保ち又はさらに向上させつつ、時効硬化鋼の弱点である靭性及び鏡面性を従来鋼よりも向上させている。
本発明鋼は、例えば以下のような製造方法により得ることができる。
上記の成分を含有する鋼を、熱間加工温度まで加熱した後、温間加工温度まで温度を降下させ、当該温間加工温度で最終的な加工を施し、その後、時効硬化熱処理を実施することで、所定の硬さのプレハードン状態に調整する。なお、熱間加工温度では、鋼に加工を施してもよいし、施さなくてもよい。
また、最終的な加工後かつ時効硬化熱処理前に、固溶化熱処理を実施することができる。
上記の成分を含有する鋼を、熱間加工温度まで加熱した後、温間加工温度まで温度を降下させ、当該温間加工温度で最終的な加工を施し、その後、時効硬化熱処理を実施することで、所定の硬さのプレハードン状態に調整する。なお、熱間加工温度では、鋼に加工を施してもよいし、施さなくてもよい。
また、最終的な加工後かつ時効硬化熱処理前に、固溶化熱処理を実施することができる。
上記製造方法は、通常の熱間加工温度(例えば900〜1200℃程度)に保持することで、鋼を一度オーステナイト化させる。その後、温間加工温度(例えば600〜900℃程度)で最終的な加工を施すのであるが、この際、熱間加工温度から温間加工温度へ冷却している。このため、温間加工温度にてオーステナイト状態を得やすくなり、加工もしやすい。また、連続して加工を加えることができ、時間的に従来よりも短縮される。そして、最終的な加工後には、時効硬化熱処理を実施して、所定の硬さに調整することが可能である。望ましくは、加工後に固溶化熱処理を実施した後に、時効硬化熱処理を実施した方が良い。固溶化熱処理を実施することで、均一な組織が得やすいためである。一方、固溶化熱処理の温度が比較的低温のうちは、加工によって得られた微細な結晶粒は保たれるが、比較的高温になるにつれ、結晶粒は粗大化する。このため、固溶化熱処理を実施する場合にあたっては、その温度を比較的低く、或いは、保持時間を比較的短くすることが必要である。例えば、固溶化熱処理は、830〜980℃の温度、20〜40minの保持時間で行うことができる。
以下、本発明における各数値範囲の限定理由を説明する。
本発明鋼の組成限定理由は以下の通りである。なお、添加元素の含有量は質量%とする。
C(炭素):0.05〜0.3%
Cは、工具鋼としての使用される硬さを確保するため0.05%以上の添加が必要。ただし、過度の添加は、被削性低下を招くため0.3%を上限とする。
本発明鋼の組成限定理由は以下の通りである。なお、添加元素の含有量は質量%とする。
C(炭素):0.05〜0.3%
Cは、工具鋼としての使用される硬さを確保するため0.05%以上の添加が必要。ただし、過度の添加は、被削性低下を招くため0.3%を上限とする。
Si(ケイ素):0.1%〜2%
脱酸剤として0.1%以上の添加となる。多すぎると靭性が低下したり、CrやMo等の偏析を助長するため、2%を上限とする。ドリルや特にエンドミルでの被削性向上を目的に意図的に0.5%以上添加することも可能である。
脱酸剤として0.1%以上の添加となる。多すぎると靭性が低下したり、CrやMo等の偏析を助長するため、2%を上限とする。ドリルや特にエンドミルでの被削性向上を目的に意図的に0.5%以上添加することも可能である。
Mn(マンガン):0.2〜3%
必要硬さを確保するため、焼入性を向上させる目的で添加される。十分な焼入性を確保するためには、0.2%以上の添加が望ましいが、必要とされる硬さや材料の大きさに応じて焼入性は調整する必要がある。すなわち固溶化熱処理後の冷却によって、被削性に優れる上部ベイナイト組織への調整、または、靭性に優れる下部ベイナイト組織への調整をMn量によって調整することが可能である。なお、その上限を3%とする。
必要硬さを確保するため、焼入性を向上させる目的で添加される。十分な焼入性を確保するためには、0.2%以上の添加が望ましいが、必要とされる硬さや材料の大きさに応じて焼入性は調整する必要がある。すなわち固溶化熱処理後の冷却によって、被削性に優れる上部ベイナイト組織への調整、または、靭性に優れる下部ベイナイト組織への調整をMn量によって調整することが可能である。なお、その上限を3%とする。
Cu(銅):0.5%〜3%
Ni、Alと同様に時効硬化熱処理により時効硬化をおこす。Cu添加により、Ni量が少なくても時効硬化を起こすことが知られており、原材料費を低減させるためにもCu添加が望ましい。硬さ観点から効果を得るためには、0.5%以上の添加が望ましい。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を害するため、3%を上限とする。また、被削性向上を目的に意図的に1.3%以上添加することも可能である。
Ni、Alと同様に時効硬化熱処理により時効硬化をおこす。Cu添加により、Ni量が少なくても時効硬化を起こすことが知られており、原材料費を低減させるためにもCu添加が望ましい。硬さ観点から効果を得るためには、0.5%以上の添加が望ましい。しかし、過剰な添加は、熱間加工性を害するため、3%を上限とする。また、被削性向上を目的に意図的に1.3%以上添加することも可能である。
Ni(ニッケル):2.5%〜5%
時効硬化鋼として必須元素であり、Alの添加も必須である。硬さの観点では2.5%以上の添加が必要。過剰な添加は、加工性の低下を招くため、5%を上限とする。
時効硬化鋼として必須元素であり、Alの添加も必須である。硬さの観点では2.5%以上の添加が必要。過剰な添加は、加工性の低下を招くため、5%を上限とする。
Cr(クロム):0.05%〜3%
Mnと同様に必要硬さを確保するため、0.05%以上添加する必要がある。マトリックスに固溶し、基地を強化(硬さを向上)させる。しかし、多すぎると、被削性が低下するので、上限を3%とする。
Mnと同様に必要硬さを確保するため、0.05%以上添加する必要がある。マトリックスに固溶し、基地を強化(硬さを向上)させる。しかし、多すぎると、被削性が低下するので、上限を3%とする。
Mo(モリブデン):0.01%〜3%
Mnと同様に必要硬さを確保するため、0.01%以上添加する必要がある。ただし、過剰の添加は、炭化物の形成を促進し、被削性が低下するため3%を上限とする。
Mnと同様に必要硬さを確保するため、0.01%以上添加する必要がある。ただし、過剰の添加は、炭化物の形成を促進し、被削性が低下するため3%を上限とする。
Al(アルミニウム):0.5〜2%
脱酸作用を有する元素であり、鋼中に微量含まれる。Niと同時に添加することで、時効硬化が得られるため必須の元素。そのような効果を得るため、下限を0.5%とする。しかし、過剰な添加は靭性の低下を引き起こすため、上限を2%とする。特にAl量が多い時効硬化鋼ではN量が高くなると、Al窒化物を形成し、鏡面仕上げ性を低下させるため、過度の添加は特性の低下を引き起こす。
脱酸作用を有する元素であり、鋼中に微量含まれる。Niと同時に添加することで、時効硬化が得られるため必須の元素。そのような効果を得るため、下限を0.5%とする。しかし、過剰な添加は靭性の低下を引き起こすため、上限を2%とする。特にAl量が多い時効硬化鋼ではN量が高くなると、Al窒化物を形成し、鏡面仕上げ性を低下させるため、過度の添加は特性の低下を引き起こす。
N(窒素)≦0.015%、O(酸素)≦0.01%
鋼中に不可避的に含まれる元素である。他の元素と結合し酸化物、窒化物を形成する。特にAl酸化物とAl窒化物が形成される場合が多い。これらの化合物は鋼中に介在物として存在し、靭性の低下、被削性の低下、鏡面仕上げ性の低下など、様々な特性を劣化させる原因となる。これらの化合物を減らすためには、鋼中に含まれるNとO量を減少させることが必要であるため、Nは0.015%以下、Oは0.01%以下が必要である。製造コストとの兼ね合いであるが、望ましくは、N:≦0.01%、O:≦0.005%とするのが良い。
鋼中に不可避的に含まれる元素である。他の元素と結合し酸化物、窒化物を形成する。特にAl酸化物とAl窒化物が形成される場合が多い。これらの化合物は鋼中に介在物として存在し、靭性の低下、被削性の低下、鏡面仕上げ性の低下など、様々な特性を劣化させる原因となる。これらの化合物を減らすためには、鋼中に含まれるNとO量を減少させることが必要であるため、Nは0.015%以下、Oは0.01%以下が必要である。製造コストとの兼ね合いであるが、望ましくは、N:≦0.01%、O:≦0.005%とするのが良い。
次に、本発明鋼には、質量%で、S(硫黄):0.2%以下、Pb(鉛):0.3%以下、Ca(カルシウム):0.1%以下、Mg(マグネシウム):0.1%以下、Bi(ビスマス):0.3%以下、Se(セレン):0.3%以下、Te(テルル):0.3%以下、Sn(スズ):0.05%以下のうちの1種以上を含有させることができる。
いずれも被削性を高める元素であり、他の特性の劣化をある程度抑制し、被削性を高める必要がある場合には添加できる。各成分に対し、上限以上添加すると、被削性以外の特性の劣化が大きくなる。S、Se、TeではMnと結合し介在物を形成することで被削性が向上する。Ca、Mgは酸化物などを形成し、切削時の工具保護膜を形成することで被削性が向上する。Pb、Bi、Snは、鋼中に分散して存在し、工具保護膜の形成などにより被削性が向上する。
次に、本発明鋼には、質量%で、W(タングステン):0.5%以下、V(バナジウム):0.5%以下、Co(コバルト):0.5%以下、Nb(ニオブ):0.3%以下、Zr(ジルコニウム):0.5%以下、Ta(タンタル):0.3%以下、Ti(チタン):0.03%以下、B(ホウ素):0.01%以下、P(リン):0.2%以下、H(水素):0.01%以下、REM(希土類元素):0.1%以下のうちの1種以上を含有させることができる。
W、V、Co、Nb、Zr、Ta、Tiは炭化物を形成し、炭化物の分散により熱処理時に、温間加工により生成した微細な結晶粒の粗大化を防止することができ、靭性の低下を抑制することができる。添加量が多すぎると、炭化物による被削性低下や靭性低下の抑制効果が飽和するため、各上限以下にとどめる必要がある。P、Hは不可避的に含まれる元素であるが、結晶粒界を脆化させ靭性を低下させるため、上限以下にする必要がある。B、REMはOやP等の不純物元素を固定し基地の清浄度を高め、靭性を向上させる目的で添加することが可能である。多量に添加すると地疵が発生しやすくなるため、上限以下にする必要がある。製造コストとの兼ね合いであるが、望ましくはP≦0.02%とするのが良い。
(1)溶解
表1に示す成分組成を有する発明鋼1〜15及び比較鋼1〜10のインゴットを製造した。なお、発明鋼9については真空誘導炉を用い、それ以外の実施例については大気誘導炉を用いている。また、以下の実施例は、さらに2次溶解を実施してインゴットを製造している。
比較鋼1、発明鋼5、14 : 大気誘導炉+VAR(真空アーク再溶解)
比較鋼3、発明鋼6、15 : 大気誘導炉+ESR(エレクトロスラグ再溶解)
表1に示す成分組成を有する発明鋼1〜15及び比較鋼1〜10のインゴットを製造した。なお、発明鋼9については真空誘導炉を用い、それ以外の実施例については大気誘導炉を用いている。また、以下の実施例は、さらに2次溶解を実施してインゴットを製造している。
比較鋼1、発明鋼5、14 : 大気誘導炉+VAR(真空アーク再溶解)
比較鋼3、発明鋼6、15 : 大気誘導炉+ESR(エレクトロスラグ再溶解)
(2)鍛造
上記インゴットを1200℃(熱間加工温度)に保持した状態で、断面200×200mmに鍛造した。その後続けて冷却し、800℃(温間加工温度)に保持した状態で断面100×100mmに鍛造した。
上記インゴットを1200℃(熱間加工温度)に保持した状態で、断面200×200mmに鍛造した。その後続けて冷却し、800℃(温間加工温度)に保持した状態で断面100×100mmに鍛造した。
(3)試験片粗加工
各試験片を以下の形状、寸法に粗加工した。
シャルピー試験片(JIS:Z2202:3号試験片):材料T方向より採取
被削性試験片(60×60×250mm)
鏡面性評価試験片(80×45×10mm)
各試験片を以下の形状、寸法に粗加工した。
シャルピー試験片(JIS:Z2202:3号試験片):材料T方向より採取
被削性試験片(60×60×250mm)
鏡面性評価試験片(80×45×10mm)
(4)熱処理
上記試験片に対し、以下の熱処理を順に施した。
(1)固溶化熱処理(ST) : 830℃〜1080℃×20min〜2hr保持後、ガス冷(冷却速度1℃/s〜0.01℃/s)
(2)時効硬化熱処理(AG) : 450℃〜680℃×30min〜8hr保持後、空冷
上記試験片に対し、以下の熱処理を順に施した。
(1)固溶化熱処理(ST) : 830℃〜1080℃×20min〜2hr保持後、ガス冷(冷却速度1℃/s〜0.01℃/s)
(2)時効硬化熱処理(AG) : 450℃〜680℃×30min〜8hr保持後、空冷
(5)試験片精加工
上記の熱処理が施された各試験片を精加工した。
上記の熱処理が施された各試験片を精加工した。
(6)結晶粒度測定
結晶粒度番号を、JIS G 0551に規定された方法により測定し、所定の結晶粒度に調整されているかどうかを確認した。
結晶粒度番号を、JIS G 0551に規定された方法により測定し、所定の結晶粒度に調整されているかどうかを確認した。
(7)硬さ測定
ロックウェルCスケール硬さ(HRC)を、JIS Z 2245に規定された方法により測定し、所定のプレハードン硬さに調整されているかどうかを確認した。
ロックウェルCスケール硬さ(HRC)を、JIS Z 2245に規定された方法により測定し、所定のプレハードン硬さに調整されているかどうかを確認した。
(8)被削性試験
被削性の評価は、被切削加工時の工具摩耗量により評価した。切削工具は、超硬エンドミル:UTi20T(工具径φ32、スローアウェー、ダウンカット)を使用し、深さ3.5mmの溝切削、切込み幅0.9mm、切削速度135m/min、送り速度0.021mm/刃、乾式の条件で工具の最大摩耗幅が400μmに達した時を工具寿命として、工具寿命(m)を評価した。
被削性の評価は、被切削加工時の工具摩耗量により評価した。切削工具は、超硬エンドミル:UTi20T(工具径φ32、スローアウェー、ダウンカット)を使用し、深さ3.5mmの溝切削、切込み幅0.9mm、切削速度135m/min、送り速度0.021mm/刃、乾式の条件で工具の最大摩耗幅が400μmに達した時を工具寿命として、工具寿命(m)を評価した。
(9)鏡面性評価試験
鏡面性評価ダイヤモンド回転砥石による機械研磨により、砥石番手を#150→#400→#800→#1500→#3000→#8000と順に細かくして鏡面研磨を行い、JIS
B 0601に規定された方法により、研磨面上に任意に選んだ5箇所にて基準長10mmに表面粗さ測定を行い、算術平均粗さRaを前記5箇所の平均値として求めた。
鏡面性評価ダイヤモンド回転砥石による機械研磨により、砥石番手を#150→#400→#800→#1500→#3000→#8000と順に細かくして鏡面研磨を行い、JIS
B 0601に規定された方法により、研磨面上に任意に選んだ5箇所にて基準長10mmに表面粗さ測定を行い、算術平均粗さRaを前記5箇所の平均値として求めた。
(10)シャルピー試験
シャルピー試験片に対し、JIS Z 2242に規定された方法によりシャルピー衝撃試験を常温で実施した。
シャルピー試験片に対し、JIS Z 2242に規定された方法によりシャルピー衝撃試験を常温で実施した。
表2に(6)〜(10)の測定・試験結果を示す。
(比較例1〜4)
これらは、本発明の組成要件を満たすが、結晶粒度番号が7未満のものである。シャルピーの衝撃値が発明鋼よりも劣るものとなっている。
(比較例5〜10)
これらは、結晶粒度番号が7以上であるが、本発明の組成要件のうちのいずれかを満たさないものである。被削性、鏡面性、靭性のいずれかが発明鋼よりも劣るものとなっている。
(比較例1〜4)
これらは、本発明の組成要件を満たすが、結晶粒度番号が7未満のものである。シャルピーの衝撃値が発明鋼よりも劣るものとなっている。
(比較例5〜10)
これらは、結晶粒度番号が7以上であるが、本発明の組成要件のうちのいずれかを満たさないものである。被削性、鏡面性、靭性のいずれかが発明鋼よりも劣るものとなっている。
以上のように、本発明のプラスチック成形金型用プレハードン鋼は、ロックウェルCスケール硬さHRCが37以上45以下の範囲であるとともに、被削性に優れ、かつ靭性や鏡面性の観点でも十分な特性を有するため、金型作製納期の短縮化、加工費用の低減や金型寿命の向上等のメリットが得られる。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.1〜2%、Mn:0.2〜3%、Cu:0.5〜3%、Ni:2.5〜5%、Cr:0.05〜3%、Mo:0.01〜3%、Al:0.5〜2%、N:0.015%以下、O:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、かつ
JIS G 0551にて規定される結晶粒度番号が7以上で、ロックウェルCスケール硬さ(HRC)が37以上45以下であることを特徴とするプラスチック成形金型用プレハードン鋼。 - 質量%で、S:0.2%以下、Pb:0.3%以下、Ca:0.1%以下、Mg:0.1%以下、Bi:0.3%以下、Se:0.3%以下、Te:0.3%以下、Sn:0.05%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成形金型用プレハードン鋼。
- 質量%で、W:0.5%以下、V:0.5%以下、Co:0.5%以下、Nb:0.3%以下、Zr:0.5%以下、Ta:0.3%以下、Ti:0.03%以下、B:0.01%以下、P:0.2%以下、H:0.01%以下、REM:0.1%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック成形金型用プレハードン鋼。
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JP2003312621A JP2005082813A (ja) | 2003-09-04 | 2003-09-04 | プラスチック成形金型用プレハードン鋼 |
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- 2003-09-04 JP JP2003312621A patent/JP2005082813A/ja not_active Withdrawn
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