JP2005226150A - 工具鋼の焼きなまし方法、及び工具鋼の焼きなまし材の製造方法、工具鋼の焼きなまし材、並びにそれを用いた工具鋼、工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の課題は、焼きなまし処理後には従来よりも低硬度であり、且つ、焼入れ焼戻し処理後には十分な硬度を有する工具鋼を得ることが可能な工具鋼の焼きなまし方法、及び工具鋼の焼きなまし材の製造方法、工具鋼の焼きなまし材、並びにそれを用いた工具鋼、工具を提供することにある。
【解決手段】 上記課題を解決するため、本発明の工具鋼の焼きなまし方法では、
Cr,Mo,W及びVの1種又は2種以上をカチオンとする晶出型炭化物がFe系マトリックス中に分散形成されるように組成調整された工具鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下(より好ましくは、50℃/h以下)の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 上記課題を解決するため、本発明の工具鋼の焼きなまし方法では、
Cr,Mo,W及びVの1種又は2種以上をカチオンとする晶出型炭化物がFe系マトリックス中に分散形成されるように組成調整された工具鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下(より好ましくは、50℃/h以下)の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、工具鋼の焼きなまし方法、及び工具鋼の焼きなまし材の製造方法、工具鋼の焼きなまし材、並びにそれを用いた工具鋼、工具に関する。
最近、工具の分野において、製造工程の納期短縮及びコスト削減がますます強く求められている。そのため、焼きなまし材での被削性がより優れた工具鋼が要求されている。特に金型や治工具の用途では、耐摩耗性の観点から炭化物を多く含有する難加工材が利用されるため、そのような要求は高い。被削性を向上させるためには、晶出した粗大な炭化物(1次炭化物)を減少させる方法、あるいは、多量のS等の快削化元素を添加する方法がある。前者の方法では工具鋼としての耐摩耗性の低下を招くため好ましくない。ここで、晶出した粗大な炭化物(1次炭化物)とは、円相当径で約10μm以上のものをさす。すなわち、粗大で硬度の高い晶出炭化物は、金型等の耐摩耗性が要求される用途には必須のものである。また、後者の方法でも、靭性が低下するといった材料特性の劣化は避けられないため好ましくない。
そこで、被削性に優れた焼きなまし材を得るためには、一般的に球状化焼きなましが行われる。この焼きなまし方法は、鋼をオーステナイト化する温度域(830〜900℃程度)に加熱し、微細な炭化物(二次炭化物)をある程度固溶させる。加熱後は、徐冷により固溶している炭化物(二次炭化物)を球状に析出させることによって、材料の異方性を低減させるとともに、その後の熱処理、粗加工を容易にする。このようにして得られる焼きなまし材は、低硬度となるため、一般的に難加工材とされる工具鋼であっても、加工が容易となる。
しかしながら、従来の球状化焼きなましでは、十分に低硬度の焼きなまし材が得られない場合がある。また、十分な低硬度が得られても、焼入れ焼戻し後の硬度が工具として要求されるレベルを満足しない場合がある。例えば、焼きなまし温度を焼入れ温度よりも高い温度で実施すると、焼入れ焼戻し後の硬さが通常よりも低下することがある。このような焼入れ焼戻し後の硬度の不足は、特に金型や治工具の用途において問題となる。
上記特許文献1には、焼きなまし温度を従来よりも高温とすることで、従来よりも低硬度の焼きなまし材が得られることが開示されている。そして、低硬度化により切削加工が容易になるとされており、具体的には表2において発明鋼の硬さはHV262〜278(HB換算で約250〜265)とされている。しかしながら、このように焼きなまし後の硬さは開示されているものの、焼入れ焼戻し後の硬さについては開示されていない。
本発明の課題は、焼きなまし処理後には従来よりも低硬度であり、且つ、焼入れ焼戻し処理後には十分な硬度を有する工具鋼を得ることが可能な工具鋼の焼きなまし方法、及び工具鋼の焼きなまし材の製造方法、工具鋼の焼きなまし材、並びにそれを用いた工具鋼、工具を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の工具鋼の焼きなまし方法では、
Cr,Mo,W及びVの1種又は2種以上をカチオンとする晶出型炭化物がFe系マトリックス中に分散形成されるように組成調整された工具鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下(より好ましくは、50℃/h以下)の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
また、上記工具鋼は、焼きなまし処理後の硬さが、ブリネル硬さでHB179以上HB255以下(より好ましくは、HB179以上HB235以下)となるように組成調整されていることが好ましい。
このような焼きなまし方法を用いることによって、低硬度の焼きなまし材を得ることが可能となる。すなわち、切削加工を良好に施すことができる焼きなまし材が得られ、工具における納期の短縮化及び加工コストの低減が実現するのである。なお、数値限定理由及びその効果については後述する。
以下、本発明のより具体的な態様について説明を行う。
Cr,Mo,W及びVの1種又は2種以上をカチオンとする晶出型炭化物がFe系マトリックス中に分散形成されるように組成調整された工具鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下(より好ましくは、50℃/h以下)の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
また、上記工具鋼は、焼きなまし処理後の硬さが、ブリネル硬さでHB179以上HB255以下(より好ましくは、HB179以上HB235以下)となるように組成調整されていることが好ましい。
このような焼きなまし方法を用いることによって、低硬度の焼きなまし材を得ることが可能となる。すなわち、切削加工を良好に施すことができる焼きなまし材が得られ、工具における納期の短縮化及び加工コストの低減が実現するのである。なお、数値限定理由及びその効果については後述する。
以下、本発明のより具体的な態様について説明を行う。
上記課題を解決するため、本発明の工具鋼の焼きなまし材の製造方法では、
質量%で、C:0.60%以上2.50%以下、Si:0.10%以上1.20%以下、Mn:0.10%以上1.0%以下、Cr:4.0%以上15.0%未満、Mo+1/2W:0.50%以上3.5%以下、V:0.020%以上1.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
質量%で、C:0.60%以上2.50%以下、Si:0.10%以上1.20%以下、Mn:0.10%以上1.0%以下、Cr:4.0%以上15.0%未満、Mo+1/2W:0.50%以上3.5%以下、V:0.020%以上1.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする。
上記本発明によると、焼きなまし処理(球状化焼きなまし)において、従来の球状化焼きなまし温度(830〜900℃程度)よりも高温である900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持することによって、微細な炭化物(以下、2次炭化物という)を従来よりも多くマトリックス中へ固溶させる。その後、一定の温度範囲(780℃以上830℃以下)にて一定の速度(60℃/h以下、好ましくは50℃/h以下)で徐冷することにより、2次炭化物をより大きく球状化し、また2次炭化物の個数を減らすことができる。これによって当該焼なまし処理後に得られる硬さを従来よりも低減することが可能となる。他方、耐摩耗性に影響を及ぼす粗大な晶出炭化物(以下、1次炭化物という)については、当該焼きなまし処理によって、その大きさや個数にそれほど大きな変化は現れない。 すなわち、本発明の工具鋼の焼きなまし方法は、1次炭化物ではなくて、2次炭化物を積極的に制御して、焼きなまし処理後に得られる硬さを低減するものである。
加熱保持温度(球状化焼きなまし温度)を900℃以上1050℃以下の温度範囲とする理由について説明する。十分な量の2次炭化物をマトリックス中へ固溶させ、上記のごとき効果を得るためには、900℃以上の加熱保持温度が必要となる。他方、過度に高温である場合には、2次炭化物の固溶量の増大に対応して鋼中の炭化物量が減りすぎて、結晶粒が粗大化し、焼入れ焼戻し後の特性(例えば、靭性)が劣化してしまうため、上限を1050℃とする。球状化焼きなましでの加熱保持温度は、焼入れ温度(本発明の工具鋼では950℃〜1050℃)とも関係する。焼入れ温度は、工具鋼として要求される硬さHRC58以上を得るために設定されている。球状化焼きなまし温度が焼入れ温度より50℃以上も高い温度となる場合、球状化焼きなましでの必要以上の2次炭化物の固溶、1次炭化物の固溶または粗大化が発生する。この材料を適正な焼入れ温度で焼入れしても、所定の硬さを得ることはできない。望ましくは、本発明の工具鋼の焼入れ温度に対し、−50℃〜+20℃の範囲で球状化焼きなましでの加熱保持温度を設定する。
上記温度範囲にて加熱保持した後は、2次炭化物の析出が起こりやすい変態温度域において、十分に徐冷を行う。
2次炭化物の析出が起こりやすい変態温度、すなわち2次炭化物の球状化に寄与する温度域とは、工具鋼においては、780℃以上830℃以下の温度域が該当する。
徐冷については、平均冷却速度を60℃以下とすることで、2次炭化物をより大きく球状化し、また2次炭化物の個数を減らすことが可能となる。より好ましくは、平均冷却速度を50℃/h以下とするのがよい。なお、平均の冷却速度を規定しているので、当該要件を満たすならば、例えば、上記温度域内において一定時間の温度保持を行うことも許容される。他方、平均冷却速度の下限については、特には限定されないが、徐冷時間の長期化に伴うコストの増大を考慮して、例えば3℃/h以上とすることが好ましい。
2次炭化物の析出が起こりやすい変態温度、すなわち2次炭化物の球状化に寄与する温度域とは、工具鋼においては、780℃以上830℃以下の温度域が該当する。
徐冷については、平均冷却速度を60℃以下とすることで、2次炭化物をより大きく球状化し、また2次炭化物の個数を減らすことが可能となる。より好ましくは、平均冷却速度を50℃/h以下とするのがよい。なお、平均の冷却速度を規定しているので、当該要件を満たすならば、例えば、上記温度域内において一定時間の温度保持を行うことも許容される。他方、平均冷却速度の下限については、特には限定されないが、徐冷時間の長期化に伴うコストの増大を考慮して、例えば3℃/h以上とすることが好ましい。
なお、本発明では、780℃以上830℃以下の温度域を平均冷却速度60℃以下(好ましくは50℃以下)で徐冷すれば足り、その他の温度域における冷却速度については特には限定されない。すなわち、加熱保持温度から830℃までの温度域、若しくは780℃未満の温度域において、例えば、冷却時間を短縮するために平均冷却速度が70℃/h以上200℃/h以下程度の急冷を行うことも可能である。
また、上記焼きなまし処理を行う前において、700℃以上800℃以下の温度で焼きなまし(以下、処理前焼きなましという)を実施することができる。この処理前焼きなましは、その後に行われる上記焼きなまし処理後の硬さのバラツキを低減させたり、より低硬度にする効果がある。当該処理前焼きなましによって得られる鋼材の硬さは、例えば、ブリネル硬さでHB255以上HB350以下であることが好ましい。
以下、本発明における組成限定理由について説明する。
C(炭素):0.60%以上2.50%以下
Cは、鋼の焼入性を高め、焼入れ時のマルテンサイトの硬さを高めるために必須の元素である。また、Cr,Mo,W,V等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成することにより、結晶粒の微細化や耐摩耗性の向上などに効果がある。これらの効果を得るとともに、焼入れ焼戻し硬さにおいてHRC58以上を得るためには、0.60%以上の添加が必要である。だたし、2.50%を超えて含有させると炭化物量が多くなりすぎ、靭性の低下を招くことになる。
C(炭素):0.60%以上2.50%以下
Cは、鋼の焼入性を高め、焼入れ時のマルテンサイトの硬さを高めるために必須の元素である。また、Cr,Mo,W,V等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成することにより、結晶粒の微細化や耐摩耗性の向上などに効果がある。これらの効果を得るとともに、焼入れ焼戻し硬さにおいてHRC58以上を得るためには、0.60%以上の添加が必要である。だたし、2.50%を超えて含有させると炭化物量が多くなりすぎ、靭性の低下を招くことになる。
Si(ケイ素):0.10%以上1.20%以下
Siは、脱酸元素として添加され鋼中に含まれる。また、高温焼戻し硬さの向上に寄与する。この効果を得るためには0.10%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性が低下するとともに、焼入れ焼戻し後の靭性低下がおこるため、1.20%を上限とする。
Siは、脱酸元素として添加され鋼中に含まれる。また、高温焼戻し硬さの向上に寄与する。この効果を得るためには0.10%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性が低下するとともに、焼入れ焼戻し後の靭性低下がおこるため、1.20%を上限とする。
Mn(マンガン):0.10%以上1.0%以下
Mnは、脱酸元素として添加され鋼中に含まれる。また、焼入性を高め、硬さの向上及び強度の向上に寄与する。この効果を得るためには、0.10%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性が低下するため、1.0%を上限とする。
Mnは、脱酸元素として添加され鋼中に含まれる。また、焼入性を高め、硬さの向上及び強度の向上に寄与する。この効果を得るためには、0.10%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性が低下するため、1.0%を上限とする。
Cr(クロム):4.0%以上15.0%未満
Crは、マトリックス中に固溶して焼入性を高め、硬さの向上に寄与するとともに、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。これらの効果を得るためには4.0%以上の添加が必要である。他方、過度に添加すると必要以上の炭化物を形成し、焼入れ焼戻し後の靭性低下や被削性低下が起こるため、15.0%を上限とする。より好ましくは、上限を13.0%とするのがよい。
Crは、マトリックス中に固溶して焼入性を高め、硬さの向上に寄与するとともに、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。これらの効果を得るためには4.0%以上の添加が必要である。他方、過度に添加すると必要以上の炭化物を形成し、焼入れ焼戻し後の靭性低下や被削性低下が起こるため、15.0%を上限とする。より好ましくは、上限を13.0%とするのがよい。
Mo(モリブデン)+1/2W(タングステン):0.50%以上3.5%以下
Mo,Wは、マトリックス中に固溶して焼入性を高め、硬さ向上に寄与するとともに、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。また、焼入れ焼戻しにおける軟化抵抗性を高める効果もある。これらの効果を得るためにはMo+1/2Wで0.50%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性の低下や靭性の低下、被削性の低下が起こるため、Mo+1/2Wで3.5%を上限とする。なお、Mo添加と同等の効果をW添加で得るには、Moに対し2倍量のWが必要であるため、ここでは組成範囲を「Mo+1/2W」で記述されるMo等量で規定している。
Mo,Wは、マトリックス中に固溶して焼入性を高め、硬さ向上に寄与するとともに、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。また、焼入れ焼戻しにおける軟化抵抗性を高める効果もある。これらの効果を得るためにはMo+1/2Wで0.50%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると熱間加工性の低下や靭性の低下、被削性の低下が起こるため、Mo+1/2Wで3.5%を上限とする。なお、Mo添加と同等の効果をW添加で得るには、Moに対し2倍量のWが必要であるため、ここでは組成範囲を「Mo+1/2W」で記述されるMo等量で規定している。
V(バナジウム):0.020%以上1.0%以下
Vは、安定な炭化物を形成し、結晶粒の粗大化防止に効果がある。また、微細な炭化物を形成して耐摩耗性や硬さ向上に寄与する。これらの効果を得るためには0.020%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると炭化物量あるいは炭化物サイズの増加による被削性の低下や熱間加工性の低下が起こるため、1.0%を上限とする。
Vは、安定な炭化物を形成し、結晶粒の粗大化防止に効果がある。また、微細な炭化物を形成して耐摩耗性や硬さ向上に寄与する。これらの効果を得るためには0.020%以上の添加が必要である。他方、過度に添加しすぎると炭化物量あるいは炭化物サイズの増加による被削性の低下や熱間加工性の低下が起こるため、1.0%を上限とする。
次に、工具鋼の焼きなまし材の製造方法では、上記鋼において、鋼成分としてさらに、P(リン):0.001%以上0.040%以下、N(窒素):0.0050%以上0.050%以下、Al(アルミニウム):0.001%以上0.10%以下、O(酸素):0.0002%以上0.01%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有させることができる。これらは鋼中に不可避的に含まれる元素であり、結晶粒界への偏析や酸化物・窒化物の形成を起こす。添加量が上限値を越えると、靭性が低下することがあるので好ましくない。望ましくは低減させることが良いが、過度に低減させてもその効果は飽和するうえ、製造コストも高くなるので、下限値以上であればよい。
次に、工具鋼の焼きなまし材の製造方法では、上記鋼において、鋼成分としてさらに、Cu(銅):0.01%以上2.0%以下、Ni(ニッケル):0.01%以上2.0%以下、Co(コバルト):0.2%以上1.0%以下、B(ホウ素):0.0003%以上0.010%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有させることができる。これらの元素は、マトリックス中に固溶し、焼入性を向上させる効果を有する。また、衝撃遷移温度を低下させることにより靭性向上及びそれによる溶接性の劣化防止の効果も有する。また、Coは高温強度を向上させる効果も有する。ただし、各々下限値に満たない場合にはその効果に乏しく、他方、各々上限値を超えて添加されてもその効果が飽和するので好ましくない。
次に、工具鋼の焼きなまし材の製造方法では、上記鋼において、鋼成分としてさらに、S(硫黄):0.001%以上0.40%以下、Se(セレン):0.005%以上0.1%以下、Te(テルル):0.005%以上0.10%以下、Ca(カルシウム):0.0002%以上0.010%以下、Pb(鉛):0.005%以上0.10%以下、Bi(ビスマス):0.005%以上0.10%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有させることができる。これらの元素は、被削性を向上させる目的で添加することができる。以下、限定理由を述べる。
Sは、Mnと結合して鋼中にMn硫化物を生成し、被削性を付与する元素である。この効果を得るためには0.02%以上添加されていることが好ましい。他方、過度に添加しすぎると、靭性の低下や放電加工や切削加工後での面粗さの劣化など機械的特性を大きく低下させるため、0.40%を上限とすることが好ましい。
なお、被削性及び機械的特性のうちのいずれかをより重視するかに応じて、より好ましいS添加量を規定することができる。
(1)被削性をより重視する用途の場合
良好な被削性を得るためには、S添加量が0.02%以上であること、すなわち0.02%以上0.40%以下であることが好ましい。
(2)機械的特性をより重視する用途の場合
良好な機械的特性を維持するためには、S量を低減することが望ましいが、製造コストとのバランスがあるため、低減による効果が飽和する0.001%以上で、且つ、機械的特性の劣化が小さい0.02%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、S含有量が0.001%以上0.01%以下であるのがよい。
なお、被削性及び機械的特性のうちのいずれかをより重視するかに応じて、より好ましいS添加量を規定することができる。
(1)被削性をより重視する用途の場合
良好な被削性を得るためには、S添加量が0.02%以上であること、すなわち0.02%以上0.40%以下であることが好ましい。
(2)機械的特性をより重視する用途の場合
良好な機械的特性を維持するためには、S量を低減することが望ましいが、製造コストとのバランスがあるため、低減による効果が飽和する0.001%以上で、且つ、機械的特性の劣化が小さい0.02%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、S含有量が0.001%以上0.01%以下であるのがよい。
Se,Teは、上述したMn硫化物におけるSの代替元素として利用することができる。
Caは、鋼中に酸化物を生成し、またMn硫化物中に固溶する。これにより、切削加工時に切削工具表面上に保護膜を形成するため、被削性が向上する。
Pb、Biは粒界に偏析し、粒界強度を低下させ被削性を向上させる。
ただし、各々上記の下限値に満たない場合にはその効果に乏しい。他方、各々上記の上限値を超えて添加されると機械的特性の劣化することがあるので好ましくない。
Caは、鋼中に酸化物を生成し、またMn硫化物中に固溶する。これにより、切削加工時に切削工具表面上に保護膜を形成するため、被削性が向上する。
Pb、Biは粒界に偏析し、粒界強度を低下させ被削性を向上させる。
ただし、各々上記の下限値に満たない場合にはその効果に乏しい。他方、各々上記の上限値を超えて添加されると機械的特性の劣化することがあるので好ましくない。
次に、工具鋼の焼きなまし材の製造方法では、上記鋼において、鋼成分としてさらに、Nb(ニオブ):0.01%以上0.12%以下、Ta(タンタル):0.005%以上0.10%以下、Ti(チタン):0.005%以上0.10%以下、Zr(ジルコニウム):0.005%以上0.10%以下、Mg(マグネシウム):0.005%以上0.10%以下、REM(希土類元素):0.005%以上0.10%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有させることができる。これらの元素は、炭化物の微細化や結晶粒の微細化による靭性向上の効果を得るために添加することができる。また、MgやREMは酸化物を形成することで、低O化に寄与するとともに、粗大な酸化物を減少させ、靭性及び被削性の向上に寄与する効果がある。ただし、各々下限値に満たない場合にはその効果に乏しい。他方、各々上限値を超えて添加されると靭性の低下や溶接性の低下が起こることがあるので好ましくない。
なお、REM(希土類元素)としては、放射活性の低い元素を主体的に用いることが取り扱い上容易であり、この観点において、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれる1種又は2種以上を使用することが有効である。特に上記効果のより顕著な発現と価格上の観点から、軽希土類、特にLaあるいはCeを使用することが望ましい。ただし、希土類分離過程等にて不可避的に残留する微量の放射性希土類元素(例えばThやUなど)が含有されていても差し支えない。また、原料コスト低減等の観点から、ミッシュメタルやジジムなど、非分離希土類を使用することもできる。
次に、以上の製造方法(及び添加元素)により得られる本発明の工具鋼の焼きなまし材は、組織断面上にて観察される、粒径範囲0.1μm以上3μm以下に属する炭化物の平均粒径が0.25μm以上0.8μm以下であることを特徴とする。ここで、組織断面上にて観察される粒径範囲0.1μm以上3μm以下に属する炭化物とは、徐冷により析出する微細な炭化物、すなわち二次炭化物に該当する(ちなみに、1次炭化物は円相当径で約10μm以上である)。このような粒径範囲に属する炭化物(2次炭化物)の平均粒径が0.25μm以上0.8μm以下であることによって良好な被削性が得られるのである。すなわち、平均粒径が0.25μm未満であると、硬さが高すぎて、良好な被削性が得られないことがある(従来はこれに相当する)。他方、0.8μmを越えた場合、徐冷時に成長する炭化物の個数が極めて少なくなるため、冷却過程で再生パーライトが析出しやすくなり、逆に硬さが高くなってしまうことがある。
炭化物の平均粒径は、鋼の研磨表面にて組織断面を画像解析することにより算出する。具体的には、走査型電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡にて拡大観察した視野中に存在する上記の粒径範囲の炭化物すべてに対して、それぞれ円相当径を算出し、その平均粒径を求める。拡大観察は、無作為に選んだ場所にて、少なくとも1mm2以上の面積を評価する。
また、上述の焼きなまし処理が施された本発明の工具鋼の焼きなまし材では、ブリネル硬さでHB255以下(より好ましくは、HB235以下)と、従来の球状化焼きなましを施した焼きなまし材よりも低硬度である。硬さと被削性の関係は、一般に硬さが低い方が被削性は優れるので、このような低硬度が得られることで、切削加工を良好に施すことが可能となり、納期の短縮化及び加工コストの低減が実現する。なお、硬さの下限値については、特には限定されないが、HB179未満では、焼入れ焼戻し後の硬さを確保することが困難となる場合がある。
次に、以上の製造方法(及び添加元素)により得られる本発明の工具鋼の焼きなまし材に対し、焼入れ焼戻し処理を施すことにより得られる工具鋼は、ロックウェルCスケール硬さがHRC58以上(より好ましくは、HRC60以上)であることを特徴とする。このような範囲の硬度が得られることによって工具(特に金型や治工具の用途)として好適に用いることが可能となる。硬さの上限については、特には限定されないが、上記の焼きなまし材の硬さからすると、例えばHRC65が上限となる。
通常、焼入れ処理は、焼入れ温度が例えば900〜1050℃程度で行われる。このような焼入れ温度を適用すると、焼入れ温度が本発明における焼きなまし温度(900℃以上1050℃以下)を下回る場合もあるため、焼入れ時において、上記のごとく大きく球状化した2次炭化物がマトリックス中へ十分に固溶できなくなり、焼入れ焼戻し後の硬さが低下してしまう畏れがある。そこで、焼きなまし温度(上記加熱保持の温度)を焼入れ温度に対して、−50℃〜+20℃とすることが好ましい。
以上の製造方法(及び添加元素)により得られる本発明の工具鋼の焼きなまし材に対し、所定の形状となるよう切削加工を行った後、焼入れ焼戻し処理を施すことで、良好な硬さを有する工具を得ることができる。当該工具としては、例えば、冷鍛パンチ・ダイス,高張力鋼板の成形型,曲げ型,冷間鍛造金型,スエージングダイス,ネジ転造ダイス,パンチ部材,スリッタ―ナイフ,リードフレーム打抜型,ゲージ,深絞りパンチ,曲げ型パンチ,シャーブレード,ステンレス鋼の曲げ型,絞り型,圧造などの塑性加工工具,歯車用パンチ,カム部品,プレス打抜型,順送打抜き型,土砂送給装置のシールプレート,スクリュー部材,コンクリート吹付機用ロータリープレート,IC封止型,高い寸法精度が要求される精密プレス型,CVD処理・PVD処理・TD処理等の表面処理を行った上で使用される上記用途の金型等を挙げることができる。
表1に示す成分組成の130kgの鋼材を高周波真空溶解炉で溶製した後、造塊し、鋼塊を熱間鍛造して対辺60mmの角棒として、表2及び3に示す条件で球状化焼きなまし(以下、SAともいう)をして発明鋼および比較鋼とした。徐冷速度は830℃以下780℃以上(またはSA終了温度)の温度域の平均冷却速度とした。そして、上記発明鋼および比較鋼に対し、以下の試験および評価を行った。結果を表2及び3に示す。
「炭化物の測定評価」
材料の研磨表面にて画像解析を行い、炭化物の平均粒径を測定した。画像解析はSEM観察写真を用いて行い、2000〜5000の倍率で合計1.5mm2の面積を観察した。そして、表示される視野中に存在する0.1μm以上3.0μm以下の炭化物のすべてに対して、それぞれの円相当径を算出してその平均を求めた。その結果を表2及び3に示す。なお、上記研磨表面は、ピクリン酸液により、0.1μm程度の炭化物が剥離しないで観察できる程度の深さまでエッチングがされている。
材料の研磨表面にて画像解析を行い、炭化物の平均粒径を測定した。画像解析はSEM観察写真を用いて行い、2000〜5000の倍率で合計1.5mm2の面積を観察した。そして、表示される視野中に存在する0.1μm以上3.0μm以下の炭化物のすべてに対して、それぞれの円相当径を算出してその平均を求めた。その結果を表2及び3に示す。なお、上記研磨表面は、ピクリン酸液により、0.1μm程度の炭化物が剥離しないで観察できる程度の深さまでエッチングがされている。
「被削性試験」
製造した発明鋼、比較鋼から試験片を切り出した。
(1)エンドミル加工試験条件
工具:超硬M20(φ32mm)
速度:100m/min
送り:0.2mm/rev
切込み幅3mm、高さ1.5mm
切削油:なし
工具寿命:横逃げ面最大摩耗量0.3m到達時の切削距離
評価方法:成分No.が同じものでは、中段の比較例(従来の球状化焼きなましを実施)の工具寿命を1.0として相対評価した。
(2)ドリル加工試験条件
工具:SKH51(φ10mm)
速度:20m/min
送り:0.15mm/rev
加工深さ:20mm(非貫通)
切削油:なし
工具寿命:穴あけ加工が不能になった時の切削距離
評価方法:成分No.が同じものでは、中段の比較例(従来の球状化焼きなましを実施)の工具寿命を1.0として相対評価した。
製造した発明鋼、比較鋼から試験片を切り出した。
(1)エンドミル加工試験条件
工具:超硬M20(φ32mm)
速度:100m/min
送り:0.2mm/rev
切込み幅3mm、高さ1.5mm
切削油:なし
工具寿命:横逃げ面最大摩耗量0.3m到達時の切削距離
評価方法:成分No.が同じものでは、中段の比較例(従来の球状化焼きなましを実施)の工具寿命を1.0として相対評価した。
(2)ドリル加工試験条件
工具:SKH51(φ10mm)
速度:20m/min
送り:0.15mm/rev
加工深さ:20mm(非貫通)
切削油:なし
工具寿命:穴あけ加工が不能になった時の切削距離
評価方法:成分No.が同じものでは、中段の比較例(従来の球状化焼きなましを実施)の工具寿命を1.0として相対評価した。
「硬さ評価」
製造した発明鋼、比較鋼から20mm四方の板形状の試験片を切り出し、球状化焼きなまし後での硬さをブリネル硬度、焼入れ焼戻し後の硬さをロックウェルCスケール硬度で測定した。焼入れ焼戻しは表2及び3中に示した温度で実施した。
製造した発明鋼、比較鋼から20mm四方の板形状の試験片を切り出し、球状化焼きなまし後での硬さをブリネル硬度、焼入れ焼戻し後の硬さをロックウェルCスケール硬度で測定した。焼入れ焼戻しは表2及び3中に示した温度で実施した。
「シャルピー衝撃試験」
製造した発明鋼、比較鋼の長手方向からきりだした10Rノッチ形状のシャルピー衝撃試験片を作製し、表2及び3に示す焼入れ焼戻し温度で熱処理を実施した後、室温にて試験を実施した。それぞれ3個実施し、その平均値を示した。
製造した発明鋼、比較鋼の長手方向からきりだした10Rノッチ形状のシャルピー衝撃試験片を作製し、表2及び3に示す焼入れ焼戻し温度で熱処理を実施した後、室温にて試験を実施した。それぞれ3個実施し、その平均値を示した。
すなわち、本発明に属する実施例の鋼はいずれも、球状化焼きなまし(SA)後の硬さがHB255以下(特にはHB235以下)と低硬度であり、且つ、焼入れ焼戻し処理後の硬さがHRC58以上(特にはHRC60以上)と十分な硬度を有しており、またその他の特性についても良好な結果が得られていることがわかる。また、図1は、上記の試験結果のうち、エンドミル被削性の試験における工具寿命を、球状化焼きなまし後の硬さ(SA硬さ)に対してプロットしたものである。これによると、SA硬さがHB235以下になると工具寿命が急激に向上しているのがわかる。
以上、本発明の実施例を示したが、これはあくまで例示であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、当事者の知識に基づき種々の改良ないし変形を加えた態様でも実施可能であることはいうまでもない。
Claims (11)
- Cr,Mo,W及びVの1種又は2種以上をカチオンとする晶出型炭化物がFe系マトリックス中に分散形成されるように組成調整された工具鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする工具鋼の焼きなまし方法。
- 前記工具鋼は、前記焼きなまし処理後の硬さが、ブリネル硬さでHB179以上HB255以下となるように組成調整されてなることを特徴とする請求項1に記載の工具鋼の焼きなまし方法。
- 質量%で、C:0.60%以上2.50%以下、Si:0.10%以上1.20%以下、Mn:0.10%以上1.0%以下、Cr:4.0%以上15.0%未満、Mo+1/2W:0.50%以上3.5%以下、V:0.020%以上1.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、900℃以上1050℃以下の温度範囲に加熱保持した後、冷却時において780℃以上830℃以下の温度域を60℃/h以下の平均冷却速度で徐冷する焼きなまし処理を行うことを特徴とする工具鋼の焼きなまし材の製造方法。
- 前記鋼において、鋼成分としてさらに、P:0.001%以上0.040%以下、N:0.0050%以上0.050%以下、Al:0.001%以上0.10%以下、O:0.0002%以上0.01%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有する請求項3に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法。
- 前記鋼において、鋼成分としてさらに、Cu:0.01%以上2.0%以下、Ni:0.01%以上2.0%以下、Co:0.2%以上1.0%以下、B:0.0003%以上0.010%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有する請求項3または4に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法。
- 前記鋼において、鋼成分としてさらに、S:0.001%以上0.40%以下、Se:0.005%以上0.1%以下、Te:0.005%以上0.10%以下、Ca:0.0002%以上0.010%以下、Pb:0.005%以上0.10%以下、Bi:0.005%以上0.10%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有する請求項3ないし5のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法。
- 前記鋼において、鋼成分としてさらに、Nb:0.01%以上0.12%以下、Ta:0.005%以上0.10%以下、Ti:0.005%以上0.10%以下、Zr:0.005%以上0.10%以下、Mg:0.005%以上0.10%以下、REM:0.005%以上0.20%以下のうちのいずれか1種または2種以上を含有する請求項3ないし6のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法。
- 請求項3ないし7のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法により得られる工具鋼の焼きなまし材であって、ブリネル硬さがHB179以上HB255以下であることを特徴とする工具鋼の焼きなまし材。
- 請求項3ないし7のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法により得られる工具鋼の焼きなまし材であって、組織断面上にて観察される、粒径範囲0.1μm以上3μm以下に属する炭化物の平均径が0.25μm以上0.8μm以下であることを特徴とする工具鋼の焼きなまし材。
- 請求項3ないし7のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法により得られる工具鋼の焼きなまし材に対し、焼入れ焼戻し処理を施すことにより得られる工具鋼であって、ロックウェルCスケール硬さがHRC58以上であることを特徴とする工具鋼。
- 請求項3ないし7のいずれか1項に記載の工具鋼の焼きなまし材の製造方法により得られる工具鋼の焼きなまし材に対し、所定の形状となるよう切削加工を行った後、焼入れ焼戻し処理を施すことにより得られる工具。
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