JP4258269B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極間に放電を発生させてプラズマを生成し、画像表示を行うプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、大画面、かつ薄型、軽量であることを特徴とする視認性に優れた表示デバイスである。PDPの放電方式としてはAC型とDC型とがあり、電極構造としては3電極面放電型と対向放電型とがある。しかし現在は、高精細化に適し、しかも製造の容易なことからAC型かつ面放電型であるAC型3電極PDPが主流となっている。
【0003】
AC面放電型PDPは、一般に、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルを形成してなる。前面板は、前面側のガラスのような基板上に表示電極として走査電極と維持電極とが互いに並行に複数対形成され、それら表示電極を覆うように誘電体層および保護層が形成される。背面板は、背面側のガラスのような基板上にアドレス電極が互いに並行に複数形成され、それらを覆うように誘電体層が形成される。そしてこの誘電体層上にアドレス電極と並行に隔壁が複数形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成される。そして、表示電極とデータ電極とが直交するように前面板と背面板とを対向させて密封し、その内部の放電空間に放電ガスを封入する。
【0004】
以上のようにして組み立てたPDPは、一般に動作電圧(パネルを全面均一に点灯させるために必要な電圧)が高く、放電自体も不安定である。この原因は、一般にMgOで形成される保護層の表面に不純ガス(H2O、CO2、炭化水素系ガスなど)が吸着しているためである。そこで、PDPの製造工程ではエージングを行い、これらの吸着ガスを放電によるスパッタによって除去し、動作電圧を低下させると共に、放電特性を均一化かつ安定化させている。
【0005】
このようなエージング方法としては従来より、表示電極、すなわち走査電極と維持電極との間に交番電圧として逆位相の矩形形を長時間にわたり印加する方法が採られてきたが、エージング時間を短縮するために、たとえば170℃以上の高温でエージングを行い、PDP内に吸着した不純物ガスの放出を促進する方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−75207号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述のエージング方法においても、放電を安定させるまでには24時間程度必要であった。したがって、エージング工程における消費電力は、PDPで消費される電力に加えて、雰囲気の温度を上げるための炉で消費される電力が膨大となりPDP製造時のランニングコスト増加の主要要因の一つとなっていた。さらに、エージング工程が長時間にわたるため、工場の敷地面積の問題、あるいは空調設備などの製造時の環境等、種々の問題があった。加えて今後のPDPの大画面化、生産量増大に伴って、この問題が今後一層大きくなることは明白である。また、動作電圧の高い高効率のPDPについても、低いエージング電圧でエージングできるようにしなければ、PDP内部で絶縁破壊を生じ、製造歩留まりが上がらないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、印加電圧が低電圧でPDPの絶縁破壊を大幅に抑制し、しかも時間を短縮し、電力効率の良いエージングを行うことが可能なPDPの製造方法を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、画像表示を行うための駆動電圧が印加される電極を備える前面板と背面板とを、放電空間が形成されるように対向配置したプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの製造後、前記電極に所定の電圧を印加して放電空間内で放電を発生させるエージング工程を行う際、エージング中のプラズマディスプレイパネルの表面の面内の温度を、80℃以上150℃以下として行うことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、画像表示を行うための駆動電圧が印加される電極を備える前面板と背面板とを、放電空間が形成されるように対向配置したプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの製造後、前記電極に所定の電圧を印加して放電空間内で放電を発生させるエージング工程を行う際、エージング中のプラズマディスプレイパネルの表面の面内の温度を、80℃以上150℃以下として行うことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、エージング工程は、その前半で、前記温度となるように行うことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記所定の電圧は、エージング工程での放電を発生させるために必要な最小電圧に調整して行うことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3にいずれかに記載の発明において、前記プラズマディスプレイパネルが、放電空間内に、少なくともXeを含む希ガスが封入されており、前記希ガス量に対するXe量が体積比10%以上であることを特徴とするものである。
【0014】
以下本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図である。
【0016】
PDP1の前面板2は、例えばフロートガラスのような、平滑で、透明且つ絶縁性の基板3上に、画像表示を行うための駆動電圧が印加される電極のひとつである、走査電極4と維持電極5とからなる表示電極6を複数形成し、そしてその表示電極6を覆うように、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi2O3)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み40μm)からなる誘電体層7を形成し、さらにその誘電体層7上に、プラズマによる損傷から誘電体層7を保護する目的で、例えばMgOからなる保護層8を形成する(厚み:500nm)ことにより構成している。なお、走査電極4および維持電極5は、それぞれ放電電極となる、ITOまたは酸化スズ(SnO2)からなる透明電極4a、5a、およびこの透明電極4a、5aに電気的に接続された、例えばCr/Cu/CrやAg等からなるバス電極4b、5bとから構成されている。
【0017】
また、背面板9は、例えばガラスのような絶縁性の基板10上に、画像表示を行うための駆動電圧が印加される電極のひとつである、アドレス電極11を複数形成し、このアドレス電極11を覆うように誘電体層12を形成している。そしてこの誘電体層12上の、アドレス電極11間に対応する位置には隔壁13を設けており、誘電体層12の表面と隔壁13の側面にかけて蛍光体層14を設けた構造となっている。
【0018】
そして前面板1と背面板9とは、表示電極6とアドレス電極11とが直交するように放電空間15を挟んで対向して配置される。そして放電空間15には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうち、少なくとも1種類の希ガスが66500Pa(500Torr)程度の圧力で封入されており、隔壁13によって仕切られアドレス電極11と表示電極6である走査電極4および維持電極5との交差部が単位発光領域である放電セル16として動作する。
【0019】
このPDP1では、アドレス電極11、表示電極6に周期的な電圧である駆動電圧を印加することによって放電を発生させ、この放電による紫外線を蛍光体層14に照射し可視光に変換させることにより、画像表示を行う。
【0020】
ここで、以上のような構成のPDP1は、その製造直後は、PDP1を全面均一に点灯させるために必要な電圧である動作電圧が高く、また放電自体も不安定である。この原因は、保護層8であるMgO表面に、H2O、CO2、炭化水素系ガスなどの不純ガスが吸着しているためである。
【0021】
そこで、PDP1の製造後に、これらの吸着ガスを、放電によるスパッタによって除去することで、動作電圧を低下させると共に、放電特性を均一化かつ安定化させるという目的のために、表示電極6やアドレス電極11に所定の電圧であるエージング電圧を印加して放電空間15内で放電を発生させる、エージング工程を行う。ここで、エージング電圧は少なくとも動作電圧以上としている。
【0022】
図2は、PDP1のエージング工程での状態の概略構成を示すブロック図である。図2(a)に示すように、エージング時のPDP1の走査電極4(X1,X2,…,Xn)と維持電極5(Y1,Y2,…,Yn)とは、図1(a)に示すように、走査電極4(X1,X2,…,Xn)と維持電極5(Y1,Y2,…,Yn)は、これら各電極に均一な電圧および電流が供給されるように、それぞれは短絡する短絡電極101および102を介して、エージング装置103に接続されている。また、アドレス電極11(A1,A2,…,Am)は、短絡電極104を介して、例えば接地された状態となっている。また、図2(b)は、エージング装置103から走査電極4および維持電極5に印加するエージング電圧の波形を模式的に示したものであり、電圧Vsの矩形パルス(周波数:50kHz)を交互に出力し、走査電極4と維持電極5とに印加することにより、放電空間15内で放電を発生させる。
【0023】
以下、本発明の一実施の形態によるPDPの製造方法でのエージング方法について説明する。以下の説明においては、エージングを行うPDP1としては、対角42インチのサイズ、画素数1028×768(すなわちm=1028、n=768)のものを例として説明している。また、封入した放電ガスの組成は、体積比でXeが8%以下、残りがNeである。エージング時の電圧Vsは380V一定とした。また、図3に示すように、エージング中のPDP1の温度をできるだけ均一に保つため、PDP1の一方の面には熱伝導性の高い(実用的には0.5W/m・K以上)部材からなるバックプレート21を密着させるとともに、その反対側の面は、ファン22からの風量を調節することによって、PDP1の表面温度を制御した。当然のことながら、エージング終了時に、PDP1をエージング装置から取り出す場合には、室温付近にまでPDP1の温度が下がった後、行った。なお、図中201、202はPDP1の支え手段であり、必須の構成ではない。
【0024】
上述のようにしてエージングを行い、エージング時間経過と共にPDP1が全面均一に点灯できる動作電圧について、その時間推移を測定した。その結果を図4に、実施の形態1として実線で示す。これより、10時間程度のエージングにより動作電圧は初期の値Vr0からVr1にまで低下し、安定となっていることがわかる。また、エージング時において、PDP1面内で最も温度が低くなる中央部の温度についても、その時間推移を測定した。その結果を図5に、実施の形態1として実線で示す。エージング開始後、およそ3時間経過の時点でPDP1表面の温度はおよそ130℃に達し、その後、ほぼ一定となっていることがわかる。また、この時、最も温度の低くなる中央部に対し、最も温度が高くなる周辺部では150℃に達していた。この温度上昇は、エージングのためにPDP1に供給する電力が熱に変換して生じたものであり、外部から別に加熱した訳ではない。図4と図5とから、パネルの温度が80℃を超えるあたりより、動作電圧の低下スピードが速くなっていることがわかる。
【0025】
比較のために、PDP1へのファン22からの風量を増すことでPDP1の周辺部温度がおよそ65℃になるようにしたことのみ異なる場合について、同様に、動作電圧の時間推移を調べた。その結果を、図4および図5中に、比較例として破線で示す。この時、動作電圧の減少速度は実施の形態1に比べて遅く、10時間経過時でも動作電圧はVr1より高く、しかも安定状態になっていないことがわかる。図4には示していないが、この比較例の場合、実施の形態1と同じ動作電圧Vr1にまで低下して安定するまでに、合計20時間を要することを確認している。
【0026】
また、PDP1の中央部の温度を80〜90℃に保った場合についても同様に検討を行い、その結果、動作電圧がVr1に至る間での時間は12、13時間要するが、それでも上記の比較例に比べては時間短縮ができることを確認した。
【0027】
このように、エージング中のPDP1の温度によって、エージングに要する時間が異なることについては、以下のように推測している。
【0028】
80℃という温度は、PDP1の内部での圧力下においては、ほぼ水の沸点に近い温度である。ここで、PDP1内には排気ベーキング工程では除去し切れなかった、わずかな量の水が残存している。この水は、エージング時の放電によって一度、放電空間15内に放出されるが、温度が低いと直ちに保護層8表面や蛍光体層14表面に物理吸着する。一方、温度が沸点以上の場合、物理吸着しにくく、放電空間15中に水分子で存在する。水分子は分子内部で分極しておりイオン化し易く、放電セル16での放電開始電圧を低下させる働きを有する。従って、PDP1の温度を80℃以上の、沸点以上としてエージングする場合、それ以下の温度でエージングする場合に比べ、同じ電圧を印加しても、より強い放電を得ることができ、その結果、保護層8表面のスパッタがより強化されてエージングの進行が効果的に進行したものと考えられる。また、高温にしたことにより、保護層8の2次電子放出係数(γ)が大きくなり、放電セル16自身の放電開始電圧が下がった効果もあるものと考えられる。
【0029】
ここで、エージング時のPDP1の温度は、図6に示すように、一度高温にまで上昇させて動作電圧を下げた後、エージング後の冷却時間を短縮するために、エージング中にPDP1の温度を徐々に下げるというものであっても良い。この場合は、動作電圧の減少速度が遅くならないよう、PDP1の温度は80℃よりは低くならないようにすることが好ましい。
【0030】
さらに比較のため、エージング時にPDP1の周辺部の温度が170℃以上となるようにして、上記と同様に、動作電圧の推移を調べた。その結果、150℃を超えるあたりから、動作電圧の低下速度が鈍り始め、Vr1に達するまでに20時間以上、必要となることを確認した。
【0031】
このように、PDP1の温度が更に高くなった場合には、エージング時間が長く必要となることについては、以下のように推測している。
【0032】
PDP1の周辺部の温度が150℃を超え170℃以上となると、特許文献1である特開2002−75207号公報に記載されているように、蛍光体層14および保護層8からの不純ガスの放出が顕著になる。特に、プラズマにさらされる領域だけでなく、隣接する放電セル16間からのガス放出の影響で、かなりの量のガスが放電空間15に漂うことになる。これらのガスは、CO2や炭化水素系ガスが主であり、これらはH2Oとは異なりガス分子内部で分極しておらず、むしろ放電空間15内に増加すると放電セル16の放電開始電圧を急激に上昇させてしまう。従って、PDP1の温度を170℃以上としてエージングする場合、それ以下の温度から80℃の間での温度範囲でエージングする場合に比べ、同じエージング電圧を印加しても、エージング時の放電は弱められ、保護層8表面のスパッタが弱化されてエージングの進行が低下したものと考えられる。
【0033】
なお、エージング時のPDP1の温度をより均一にするために、バックプレート21を密着させた面とは反対側の面にもバックプレート21と同じく熱伝導性の良いプレートを密着させると良い。
【0034】
(実施の形態2)
図7に、図3に示した熱伝導性バックプレート21の替わりに、熱伝導性の低い(実用的には0.1W/m・K以下)部材、言い換えれば断熱性部材23を使用した構成を示し、この構成に対して、実施の形態1と同様に動作電圧の時間推移と、PDP1の温度の時間推移を調べた。その結果を、図8および図9に、それぞれ、実施の形態2として、一点鎖線で示す。また、比較のために、実施の形態1の結果と、実施の形態1の説明の際に比較例として説明した結果を、それぞれの図に併せて示す。図7に示す構成によれば、図3に示す実施の形態1の構成に比べ、エージング開始時のパネルの温度上昇は図9に示すように加速されるため、エージング時間は図8に示すように短縮できることを確認した。
【0035】
但し、この場合、ファン22の調整を工夫して、PDP1の面内の温度分布を均一に保つことに注意する必要がある。すなわち、エージング時のPDP1の熱割れ、あるいはエージング後の色ムラの発生などを抑制するためには、エージング中のPDP1の面内の温度分布は、±20℃以内に抑えることが好ましい。
【0036】
PDP1のエージングを速く終了させるためには、エージング工程の、できるだけ前半でPDP1の温度を高めることが効果的である。PDP1の温度上昇を速める手段として、エージング電圧の電圧Vsを上げる方法が有効ではあるが、電圧Vsが600Vを超えるとPDP1内部の前面板2の誘電体層7、背面板9の誘電体層12が絶縁破壊し易くなり、絶縁破壊してしまうと放電セル16が正常動作できなくなるため注意が必要である。
【0037】
上記においては、エージング電圧の電圧Vsは一定とした例を示したが、以上説明したように、動作電圧はエージングの進行により低下してくるので、図10に示すように、電圧Vsもそれに合わせて、放電を発生させるために必要な電圧の最小値程度となるように調整して行うと、エージング超過となることなくエージング時の消費電力を低減できるので、より好ましい。図10(a)は、連続的にエージング電圧の電圧Vsを変化させた場合の一例であり、変化のさせ方は直線的であってもよい。図10(b)は、階段状に変化させた場合の一例で、ステップ数および電圧一定の時間は任意である。また、電圧一定の期間は、電圧一定でなくても徐々に電圧を下げる形であっても良い。電圧Vsの変化のさせ方は、この例の電圧および形にとらわれることなく、エージング時の動作電圧の変化に応じて、プロファイルを決定すればよい。
【0038】
(実施の形態3)
PDP1として、封入ガスのガス組成がXe:10%〜30%(体積比)とし、他の構成は実施の形態1と同じとしたものを作製した。このPDP1を実施の形態1と同様にしてエージングを行うと、Xe量が増加したことによりPDP1の動作電圧が上昇し、エージング電圧の電圧Vsを380Vとしたのでは点灯させることができなかった。そこで、電圧Vsを500V以上にして、初めて全面点灯することができることを確認した。
【0039】
またこの時、エージング時のPDP1の温度は、図11に実施の形態3として実線で示すように、ほぼ130℃一定となるようにファン22を調整した。
【0040】
また、電圧Vsの値も、エージングの進行に伴う動作電圧の低下に合わせて、時間と共に減少させ、10時間後のエージング終了時には400V程度までVsを下げた。この時の動作電圧の時間推移を、図12に実施の形態3として実線で示す。これにより、6時間のエージングで初期の動作電圧Vr3よりVr4に下がり、且つ安定となっていることがわかる。
【0041】
比較のために、PDP1の温度がほぼ65℃一定になるようにした場合についても同様に検討した。この結果を図11中に、比較例として破線で示す。但し、この時、エージング電圧の電圧Vsを下げようとしたが、PDP1が全面点灯しなくなったため、最初から最後まで電圧Vsは500V一定とした。この時の動作電圧の時間推移を図12に、比較例として破線で示す。この図からわかるように、動作電圧の低下は実施の形態3に比べて遅く、10時間経過してもエージングは完了できなかった。また、PDP1には放電セル16が絶縁破壊したと思われる不灯の放電セル16が多数点在していた。一方、本発明の実施の形態3によるエージングでは、10時間経過後ではこのような不灯な放電セル16は見られなかった。
【0042】
比較パネルで絶縁破壊が原因と考えられる不灯の放電セル16が発生した理由は、長時間、高電圧な電圧Vsを印加してエージングしたためであると考えられる。これに対し、本実施の形態では動作電圧の低下に合わせて電圧Vsを下げたために絶縁破壊が発生しなかったものと考えられる。
【0043】
なお、以上で説明した実施の形態1から3では、PDP1自身の発熱によってPDP1を加熱する例で示したが、エージング電圧を印加する直前に外部からPDP1を加熱し、PDP1の温度を80℃以上にしてからエージングを開始すると、より低いエージング電圧の電圧Vsでエージングを開始できるため、エージング時間の短縮および放電セル16の絶縁破壊の低減に効果がある。
【0044】
また、エージング期間中、アドレス電極11を接地した例を示したが、アドレス電極11に電圧を印加しても、あるいは浮遊状態であっても上記と同様な効果が得られる。
【0045】
また、エージング電圧の波形として矩形波を使用した例を示したが、エージング装置とPDP1間のインダクタンスを大きくして波形をリンギングさせても上記と同様な効果が得られる。また、周波数も50kHzに限らず、数kHz〜100kHzの範囲で使用可能である。
【0046】
さらに、PDP1の背面板9の隔壁13の構造がストライプ形状である例を示したが、この構造に限らず、井桁構造、あるいはその他構造であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、印加電圧が低電圧でPDPの絶縁破壊を大幅に抑制し、しかも時間を短縮し、電力効率の良いエージングを行うことが可能なPDPの製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造するプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法におけるプラズマディスプレイパネルのエージング工程での状態の概略構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法におけるプラズマディスプレイパネルのエージング工程での状態の概略構成を示す断面図
【図4】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの動作電圧の時間推移の一例を示すチャート
【図5】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの温度の時間推移の一例を示すチャート
【図6】エージング中の、プラズマディスプレイパネルの温度の時間推移の一例を示すチャート
【図7】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの製造方法におけるプラズマディスプレイパネルのエージング工程での状態の概略構成を示す断面図
【図8】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの動作電圧の時間推移の一例を示すチャート
【図9】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの温度の時間推移の一例を示すチャート
【図10】エージング中の、プラズマディスプレイパネルの動作電圧の時間推移の一例を示すチャート
【図11】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの温度の時間推移の一例を示すチャート
【図12】エージングの進行に伴う、プラズマディスプレイパネルの動作電圧の時間推移の一例を示すチャート
【符号の説明】
1 PDP
2 前面板
4 走査電極
5 維持電極
6 表示電極
9 背面板
11 アドレス電極
15 放電空間
Claims (4)
- 画像表示を行うための駆動電圧が印加される電極を備える前面板と背面板とを、放電空間が形成されるように対向配置したプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの製造後、前記電極に所定の電圧を印加して放電空間内で放電を発生させるエージング工程を行う際、エージング中のプラズマディスプレイパネルの表面の面内の温度を、80℃以上150℃以下として行うことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- エージング工程は、その前半で、前記温度となるように行うことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記所定の電圧は、エージング工程での放電を発生させるために必要な最小電圧に調整して行うことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記プラズマディスプレイパネルが、放電空間内に、少なくともXeを含む希ガスが封入されており、前記希ガス量に対するXe量が体積比10%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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