JP4257110B2 - 駆動系潤滑油用摩擦調整剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動系潤滑油用摩擦調整剤に関する。詳しくは、摩擦係数向上能に優れた駆動系潤滑油用摩擦調整剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。自動車の省燃費性を向上させるには、自動変速機を小型軽量化する方法があるが、そのために、駆動系潤滑油にクラッチ間の摩擦係数を上げる性能が求められている。これに対応して、コハク酸イミド系化合物(特許文献1参照)またはホウ素含有無灰分散剤(特許文献2参照)の添加が提案されているが、その性能は十分でなく、さらなる改良が要求されている。
【特許文献1】
特開2000−160183号公報
【特許文献2】
特開2001−279286号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討した結果、摩擦係数向上能に優れた駆動系潤滑油用摩擦調整剤を見いだし本発明に至った。すなわち本発明は、一般式(1)で示される構成単位(a1)を含み、下記(I)および(II)を満たすビニル重合体(A)からなることを特徴とする駆動系潤滑油用摩擦調整剤、並びに該摩擦調整剤および希釈剤からなる駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物である。
(I)1〜200のアミン価を有する。
(II)5,000〜50,000の重量平均分子量を有する。
【0004】
【化3】
【0005】
式中、Xは水素原子またはメチル基、Qは炭素数2〜18のアルキレン基又は炭素数7〜18のアラルキレン基、mは1〜30の整数である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式(1)において、Xは水素原子またはメチル基であり、好ましいのはメチル基である。Qは炭素数2〜18のアルキレン基又は炭素数7〜18のアラルキレン基であり、例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,2−へキシレン基、1,2−オクチレン基、1,2−ドデシレン基およびフェニルエチレン基などが挙げられる。これらのうち好ましいのはビニル重合体(A)の摩擦係数向上効果の観点から炭素数2〜4のアルキレン基、特に好ましいのはエチレン基である。
mは通常1〜30の整数、(A)の摩擦係数向上効果の観点から好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1である。
【0007】
構成単位(a1)は下記一般式(3)で示されるモルホリノ基含有単量体(a10)および必要によりその他の単量体を重合することによりビニル重合体(A)中に導入することができる。
【0008】
【化4】
【0009】
[式中、Xは水素原子またはメチル基、Qは炭素数2〜18のアルキレン基、mは1〜30の整数である。]
【0010】
(a10)の具体例としては、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノブチル(メタ)アクリレートおよびモルホリノエトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0011】
(A)は、基油への溶解性の観点から、(a1)の他に、他の構成単位を含むことが好ましく、他の構成単位としては、以下のものが挙げられる。
【0012】
下記一般式(2)で示される構成単位(a2);
【0013】
【化5】
【0014】
式中、Xは水素原子またはメチル基であり、好ましくはメチル基である。
Rは直鎖もしくは分岐の炭素数1〜24のアルキル基、炭素数7〜24のアラルキル基または炭素数3〜24のアルケニル基である。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−またはiso−プロピル基、n−、iso−、sec−またはt−ブチル基、n−、iso−、sec−またはネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−およびiso−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−およびiso−ノニル基、n−またはiso−デシル基、n−またはiso−ドデシル基、n−またはiso−トリデシル基、n−またはiso−テトラデシル基、n−またはiso−ペンタデシル基、n−またはiso−ヘキサデシル基、n−またはiso−オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基およびこれらの併用が挙げられ、好ましいのはメチル基、n−ブチル基、n−またはiso−ドデシル基、n−またはiso−トリデシル基、n−またはiso−テトラデシル基、n−またはiso−ペンタデシル基、n−またはiso−ヘキサデシル基、n−またはiso−オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基およびこれらの併用である。
併用の場合に好ましいのは、炭素数1〜7のアルキル基および炭素数8〜24のアルキル基の併用、特にRが炭素数1もしくは4のアルキル基と炭素数12〜18のアルキル基の併用である。
炭素数1〜7のアルキル基および炭素数8〜24のアルキル基の併用の場合、(a2)におけるRが炭素数1〜7のアルキル基である構成単位(a21)の割合は好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。(a21)が40質量%以下であれば(A)が基油に溶解しやすくなる。
【0015】
アルケニル基としては、(メタ)アリル基、1,2−ブテニル基、1,2−ヘキセニル基、1,2−オクテニル基、1,2−ドデセニル基、オレイル基およびリノレイル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルオクチル基およびフェニルドデシル基などが挙げられる。
【0016】
Rのうち好ましいのはアルキル基である。
【0017】
ビニル重合体(A)における構成単位(a1):構成単位(a2)の質量比は、好ましくは(a1):(a2)=0.1〜50:99.9〜50、さらに好ましくは1〜40:99〜60、特に好ましくは5〜30:95〜70である。(a1)が0.1以上であれば摩擦係数向上効果が得られ易く、50以下であれば基油に溶解しやすい。
【0018】
ビニル重合により、構成単位(a2)を与えるビニル単量体(a20)としては、上記の一般式(2)におけるRを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステルおよび(メタ)アクリル酸アルケニルエステルが挙げられる。
具体的には、炭素数1〜7の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−またはiso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−、iso−またはsec−ブチル、
炭素数8〜24の(メタ)アクリル酸アルキル、アルケニルまたはアラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルおよび(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸オレイルなどが挙げられる。
【0019】
ビニル重合体(A)は、必要によりさらに他の構成単位(a3)を含んでいてもよい。
ビニル重合によって構成単位(a3)を与える単量体(a30)としては、以下のものが挙げられる。
【0020】
(a310)芳香族炭化水素系ビニル単量体:
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、4−クロチルベンゼン、および2−ビニルナフタレンなど、
【0021】
(a320)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート;
例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど
【0022】
(a30)のうち好ましいのは(a310)である。
ビニル重合体(A)における全構成単位における構成単位(a3)の質量割合は、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
【0023】
本発明におけるビニル重合体(A)のアミン価は、通常1〜200、好ましくは10〜130、特に好ましくは20〜90である。アミン価に寄与するのは単量体(a10)および(a320)から構成される構成単位であり、アミン価が1未満では摩擦係数向上効果に乏しく、200を超えると基油への溶解性に乏しくなる。
【0024】
アミン価の測定法;
試料0.1〜10gに酢酸/トルエン=1/1(容積比)50ml加え、溶解し0.01mol/リットル〜0.1mol/リットルの過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定し、アミンを中和するのに必要な過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数を算出する。尚、試料量と滴定液の濃度は、滴定量が1〜10mlなるように組合せを選定する。
【0025】
ビニル重合体(A)の重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、下限が5,000であり、好ましくは10,000、より好ましくは12,000である。上限が50,000であり、より好ましくは40,000、さらに好ましくは35,000である。ビニル重合体(A)の重量平均分子量が5,000未満であると、摩擦係数向上効果が少ない。また、ビニル重合体(A)の重量平均分子量が50,000を超えると、摩擦係数向上効果が少ない。また、数平均分子量(以下、Mnと略記)は下限が好ましくは4,500、さらに好ましくは7,000、特に好ましくは8,500であり、上限が好ましくは35,000、さらに好ましくは28,000、特に好ましくは19,000である。本発明に於けるMwおよびMnはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定であり、ポリスチレンに換算したものである。
また、分子量分布を表すMw/Mnは、好ましくは1.1〜2.0、より好ましくは1.2〜1.9、さらに好ましくは1.4〜1.9である。分子量分布が2.0以下であればせん断安定性がさらに向上する。
【0026】
本発明における(A)の物性値を調整する手段としては以下の方法が挙げられる。
例えば、Mwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量および/または連鎖移動剤量などにより調整でき、Mw/Mnは連鎖移動剤の種類と量によって調整できる。
【0027】
(A)を製造する方法は、単量体(a10)、並びに必要により(a20)および/または(a30)を、従来から公知のラジカル重合に付する方法が挙げられる。
重合法には、例えば溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等が含まれる。
これらのうち、好ましくは溶液重合法であり、通常、溶剤中で、開始剤の存在下で単量体をラジカル重合することにより製造できる。溶剤としては、例えば高沸点溶剤として溶剤精製油、イソパラフィンを含有するおよび/または水素化分解による高粘度指数油、炭化水素系合成油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)、エステル系合成油、ナフテン油等が挙げられる。低沸点溶剤である有機溶剤としては、例えば炭化水素系溶剤(ペンタン、ヘキサン等)、芳香族系溶剤(トルエン、キシレン等)、アルコール系溶媒(イソプロパノール、オクタール、ブタノール等)、ケトン系溶媒(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、及びこれらの2種以上の混合物をあげることができる。
開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤、有機ハロゲン化合物開始剤からなる群より選ばれる開始剤である。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなど、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩(例えば塩酸塩)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等が挙げられる。
過酸化物系開始剤としては無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシド等]が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、アルカリ金属の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩(例えば、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウムなど)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、アスコルビン酸などの還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物などの酸化剤との組合せよりなるもの等が挙げられる。
また、重合には連鎖移動剤を併用してもよく、このようなものとしては、例えばメルカプタン類(n−ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、ジエチレングリコールジメルカプタン、トリエチレングリコールジメルカプタン等)、チオカルボン酸類(チオグリコール酸、チオリンゴ酸等)、2級アルコール類(イソプロパノ−ル等)、アミン類(ジブチルアミン等)、次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウム等)等を挙げることができ、連鎖移動剤の量は全単量体の量に対して、好ましくは0.001〜10質量%である。
【0028】
重合制御の方法は、断熱重合法、温度制御重合法が挙げられる。反応温度としては、30〜140℃、好ましくは50〜130℃、特に好ましくは70〜120℃である。また、熱による重合開始の方法の他に、放射線、電子線、紫外線などを照射して重合を開始させる方法を採ることもできる。好ましいものは温度制御した溶液重合法である。
さらに、共重合としては、ランダム付加重合または交互共重合のいずれでもよく、また、グラフト共重合またはブロック共重合のいずれでもよい。
【0029】
本発明のビニル重合体(A)は、そのまま駆動系潤滑油用摩擦調整剤として基油に添加してもよいが、粘度が高くて取り扱いにくい場合、基油への添加のし易さの観点から、必要により希釈剤で溶解・希釈されて摩擦調整剤組成物として基油に添加してもよい。
希釈剤としては、後述の基油と同様のもの、および前述の重合法において挙げた溶剤と同様のものが使用でき、(A)の重合工程で使用した溶剤を除去せずにそのまま残しておいてもよい。
希釈剤で希釈する場合の、摩擦調整剤組成物の質量に基づく摩擦調整剤の割合は、下限が好ましくは20質量部、さらに好ましくは30質量部、特に好ましくは40質量部であり、上限は好ましくは95質量部、さらに好ましくは90質量部、とくに好ましくは85質量部である(摩擦調整剤と希釈剤の合計は100質量部)。摩擦調整剤が20質量部以上であれば、濃度が低すぎることがなく経済的であり、95質量部以下であれば粘度が高すぎることは少ない。
【0030】
また、本発明の摩擦調整剤または摩擦調整剤組成物は駆動系潤滑油に添加されるものであり、該駆動系潤滑油は、摩擦調整剤と基油を必須成分とするものであり、用いることのできる基油としては特に限定はなく、例えば溶剤精製油、異性化パラフィンを含有するおよび/または水素化分解による粘度指数100〜160の高粘度指数油、炭化水素合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油など)、エステル系合成潤滑油、並びにナフテン油が挙げられる。また、基油の動粘度は100℃において好ましくは1〜20mm2/s、さらに好ましくは2〜15mm2/sのものがよい。駆動系潤滑油に配合する摩擦調整剤または摩擦調整剤組成物の量は、潤滑油の質量に基づいて、摩擦調整剤として、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。
【0031】
本発明の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物には、さらに必要により公知の耐摩耗剤、極圧剤、さび止め剤、腐食防止剤、清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、抗乳化剤および乳化剤等が配合されていてもよい。これらの添加剤の添加量は、(A)の質量に基づいて、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0032】
本発明の摩擦調整剤は、摩擦係数を向上させることができ、かつ、粘度指数向上能および分散性も有することから、駆動系潤滑油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャルギヤ油、オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油など)に好適に使用できるが、さらに作動油(機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など)およびトラクション油等にも好適に用いることができる。特に湿式多板クラッチを有する自動変速機油に適している。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例において本発明を説明するがこれに限定するものではない。実施例、比較例中の%および部は質量%および質量部を表す。
【0034】
GPCによる数平均分子量及び重量平均分子量の測定法:
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5質量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0035】
(動粘度の試験方法)
JIS K2283(1993年)の(ウッベローデ粘度計による)方法で100℃の動粘度を測定した。
【0036】
(摩擦係数の試験方法)
JASO M349−98の方法に準拠し、80℃、150rpmの摩擦係数を測定した。
【0037】
(剪断安定性の試験法)
JASO M347−95の方法で100℃の粘度低下率を求めた。
(粘度指数の試験法)
JIS K2283(1993年)の方法で行った。
【0038】
実施例1
温度計、撹拌機、還流冷却器および窒素導入口を備えた耐圧反応容器に、トルエン1,000部を仕込み、窒素置換を行った後、85℃に温調した。単量体[メタクリル酸ドデシル2,700部、メタクリル酸テトラデシル2,250部、メタクリル酸ヘキサデシル1,260部、メタクリル酸オクタデシル540部およびモルホリノエチルメタクリレート2,250部]、連鎖移動剤[ドデシルメルカプタン90部]、並びに開始剤[(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)45部]の混合液を2時間かけて滴下し、滴下終了からさらに2時間加熱撹拌を行った。その後、120℃、減圧下でトルエンを留去し、本発明の重合体(F1)を9,135部得た。(F1)に希釈剤として鉱油(溶剤精製油)4,920部を加えて120℃で均一に溶解して希釈し、本発明の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物(J1)とした。
【0039】
実施例2
単量体としてメタクリル酸メチル450部、メタクリル酸ドデシル1,800部、メタクリル酸トリデシル2,700部、メタクリル酸テトラデシル1,080部、メタクリル酸ペンタデシル720部、メタクリル酸ヘキサデシル315部、メタクリル酸オクタデシル135部およびモルホリノエチルメタクリレート1,800部を用いる以外は実施例1と同様にして重合体(F2)を9,135部得た。(F2)に鉱油4,920部加える以外は実施例1と同様にして本発明の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物(J2)とした。
【0040】
比較例1
単量体としてメタクリル酸メチル1,350部およびメタクリル酸ドデシル7,650部を用いる以外は実施例1と同様にして重合体(H1)を9,135部得た。(H1)に鉱油4,920部加える以外は実施例1と同様に希釈して比較の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物(G1)とした。
【0041】
比較例2
連鎖移動剤を使用せず、開始剤の使用量を27部としたこと以外は実施例1と同様にして重合体(H2)を9,027部得た。(H2)に鉱油4,860部加える以外は実施例1と同様に希釈して比較の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物(G2)とした。
【0042】
表1に、重合体(F1)、(F2)および(H1)、(H2)についてアミン価、MwおよびMnの測定結果を示す。
【0043】
また、上記で得られた摩擦調整剤組成物(J1)、(J2)、(G1)または(G2)を、高粘度指数油(100℃の動粘度:4.2mm2/s、粘度指数:115)に溶解し、潤滑油組成物を作製した。その場合、摩擦調整剤組成物の配合量は、潤滑油組成物の100℃の動粘度が6〜7(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物が100部になるように調整した。このようにして得られた潤滑油組成物(Y1)、(Y2)、(Z1)および(Z2)について、摩擦係数、せん断安定性および粘度指数を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
本発明の駆動系潤滑油用摩擦調整剤を使用した場合、従来のPMA系潤滑油添加剤を使用したものと比べ摩擦係数向上効果に優れており、さらに良好な剪断安定性と粘度指数向上能も有することから今後の自動車の省燃費性、ロングライフ性の要求に対応できるため、自動変速機油(AT油、CVT油)に好適に用いることができる。
また、耐摩耗性向上効果、極圧効果、さび止め効果、腐食防止効果、酸化防止効果および抗乳化性効果もあるため、ギア油、作動油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、および切削油等にも好適に用いることができる。
Claims (7)
- 一般式(1)におけるQが炭素数2〜4のアルキレン基である請求項1記載の摩擦調整剤。
- ビニル重合体(A)における構成単位(a2)が、一般式(2)においてRが炭素数1〜7のアルキル基である構成単位(a21)およびRが炭素数8〜24のアルキル基である構成単位(a22)からなり、(a2)のうちの(a21)の質量割合が40%以下である請求項3記載の摩擦調整剤。
- ビニル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.1〜2.0である請求項1〜4のいずれか記載の摩擦調整剤。
- 請求項1〜5のいずれか記載の摩擦調整剤および希釈剤からなる駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物。
- 摩擦調整剤が20〜95質量部および希釈剤が5〜80質量部からなる請求項6記載の駆動系潤滑油用摩擦調整剤組成物。
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