JP4256966B2 - たばこチップ用接着剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短時間内に高い接着力を発現しうる初期接着性に優れ、塗工時に転写ロールからの飛び散りがなく、高速でたばこを巻き上げることができるたばこチップ用接着剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たばこは、たばこの葉をライスペーパーで巻いたたばこの葉の部分と、フィルターをプラグペーパーで巻いたフィルター部分とをチップペーパーで巻きつないでできている。この際にチップペーパーに塗工して使用される接着剤(以下、たばこチップ用接着剤と称する場合がある)としては、従来からポリビニルアルコール重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンが主として用いられてきた。最近、生産性向上のため、巻き上げ速度を従来より2〜3倍速くする検討の中で、以下の問題点が明らかになってきた。すなわち、▲1▼接着剤タンクから転写ロールを通してチップペーパーに接着剤を塗工してから巻き上げられるまでの時間が短くなったため、初期接着力が十分に発現せずに剥離してしまう。▲2▼転写ロールのスピードが速くなったため、接着剤が飛び散り、回りを汚してしまう。
【0003】
一方、水性エマルジョンからなる接着剤の初期接着力を向上させるため、例えば、▲1▼水性エマルジョンの固形分濃度を上げる方法、▲2▼ポリビニルアルコールのゲル化剤(例えばホウ酸等)を添加する方法が検討されている。例えば、特公昭56−9953号公報には、ゴムラテックスを主成分とする水性接着剤と造膜助剤とを組み合わせた接着剤組成物が開示され、特開昭56−59874号公報には、エマルジョン型水性接着剤と接着促進剤とを組み合わせて二液型接着剤を構成し、初期接着性を発現する接着剤組成物が開示されている。さらに、特開昭59−33372号公報には、不飽和カルボン酸を含む水性高分子エマルジョンと多価金属塩との組合わせにより二液型接着剤を構成し、初期接着性を発現する方法が提案されている。
【0004】
これらの方法は、エマルジョンの凝集特性、例えば、金属塩の水溶液などの添加により塩析が生じたり、有機溶剤や反対荷電のイオンの添加によりエマルジョンが凝集することに着目している。しかし実際にはエマルジョンの種類等によって状況は著しく異なる。例えば、前記方法に使用されるエマルジョンによっては、全く塩析や凝集が生じない場合があるとともに、塩析や凝集が生じたとしても、被着体に対する接着性が極度に低下し、接着機能を果たせない場合がある。また、乾燥性が低下し、却って初期接着性が大幅に低下する場合もある。さらに、接着促進剤や多価金属塩を用いる方法では、エマルジョンと、接着促進剤や多価金属塩とをそれぞれ別に被着体に塗工する必要があるため、作業性を低下させる。そのため、接着作業効率が低下し、高速接着できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、初期接着性に優れ、塗工時に転写ロールからの飛び散りがなく、高速でたばこを巻き上げることのできるたばこチップ用接着剤およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンに芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤を添加すると、極めて短時間内に驚くほど大きな初期接着力が発現し、高速で転写ロールで塗工しても飛び散りが少ない接着剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のたばこチップ用接着剤は、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョン(以下、「水性高分子エマルジョン」や「エマルジョン」と称する場合がある)と、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とで構成されている。
【0008】
上記のたばこチップ用接着剤は、さらに水溶性高分子を含んでいてもよい。前記酢酸ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜70℃程度であり、平均粒子径は0.01〜5μm程度である。芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物の割合は、例えば、ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して0.1〜100重量部程度である。このような水性接着剤は接着力測定機(日本たばこ産業(株)製、ASM−1)により、クラフト紙を基材として、オープンタイム0.1秒、圧締時間0.1秒の後、剪断速度300mm/分で測定したとき、少なくとも0.04kgの最大接着力を示す。
【0009】
本発明の方法では、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンと、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とを混合することによりたばこチップ用接着剤を製造する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性接着剤は、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンと、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とで構成されている。このような構成の水性接着剤は、分散安定性を損なうことなく、水性高分子エマルジョン単独に比べて初期接着力を大きく改善できる。また、転写ロールでチップペーパーに高速で塗工しても飛び散りが少ない。
【0011】
[水性高分子エマルジョン]
たばこチップ用接着剤は水性高分子エマルジョンを含むエマルジョン型接着剤を構成しており、前記高分子エマルジョンの樹脂としては、酢酸ビニル系重合体が用いられる。より詳細には、酢酸ビニル系重合体には、酢酸ビニル単独重合体、及び酢酸ビニルと共重合性ビニル単量体との共重合物が含まれる。
【0012】
共重合性ビニル単量体には、例えば、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテンなどのC2-12アルケンなど)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸C1-10アルキルエステル、これらに対応するメタクリル酸エステルなど)、酢酸ビニル以外のビニルエステル(例えば、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(VeoVa)などのC3-16脂肪酸ビニルエステルなど)、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシルなどのマレイン酸ジC1-10アルキルエステル、およびこれらに対応するフマル酸エステルなど)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などのモノカルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などの多価カルボン酸又はその酸無水物、前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステルなどのC1-16アルキルエステル))などが例示できる。これらの共重合性ビニル単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0013】
酢酸ビニル系重合体の具体例としては、酢酸ビニル単独重合体、酢酸ビニルと前記共重合性ビニル単量体から選択された少なくとも一種の単量体との共重合体[例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル(又はフマル酸エステル)共重合体など]などが挙げられる。
【0014】
トボルスキ(Tobolsky)の計算式に従って算出される酢酸ビニル系重合体粒子のガラス転移温度は、例えば、−30℃〜70℃、好ましくは−20℃〜60℃、特に好ましくは−10℃〜50℃程度である場合が多い。また、重合体粒子の平均粒径は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜4μm(例えば、0.1〜3μm程度)程度である。水性高分子エマルジョンにおいて、重合体粒子の粒径範囲は、0.01〜10μm(好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜4μm、特に0.5〜3μm)程度、平均粒径0.01〜3μm(好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜3μm、特に1〜3μm程度)であり、粒径0.5〜3μmの重合体粒子が全体の50〜95体積%(好ましくは60〜90体積%)を占める場合には、高い初期接着性を発現できる。
【0015】
水性高分子エマルジョンの固形分濃度は通常30〜60重量%程度である。なお、水性高分子エマルジョンは、慣用の方法、例えば、水系での重合性単量体の乳化重合により調製してもよく、重合体の乳化分散により調製してもよい。
【0016】
乳化剤として用いられるポリビニルアルコール系重合体としては、ケン化度50〜100モル%(好ましくは60〜99モル%、さらに好ましくは70〜98モル%程度)、重合度50〜6000(好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜4000、特に300〜3000)程度のポリビニルアルコール系重合体が使用できる。
【0017】
ポリビニルアルコール系重合体は酢酸ビニル系重合体のケン化により得られるが、酢酸ビニル系重合体には酢酸ビニル単独重合体、又は酢酸ビニルと共重合性ビニル単量体との共重合物が含まれる。共重合性ビニル単量体には、例えば、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテンなどのC2-12アルケンなど)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸C1-10アルキルエステル、これらに対応するメタクリル酸エステルなど)、酢酸ビニル以外のビニルエステル(例えば、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(VeoVa)などのC3-16脂肪酸ビニルエステルなど)、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシルなどのマレイン酸ジC1-10アルキルエステル、およびこれらに対応するフマル酸エステルなど)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などのモノカルボン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などの多価カルボン酸又はその酸無水物、前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステルなどのC1-16アルキルエステル))などが例示できる。これらの共重合性ビニル単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
ポリビニルアルコール系重合体は、乳化重合や乳化の際に乳化剤または保護コロイドとして用いてもよく、エマルジョンを調製した後で添加してもよい。
【0019】
ポリビニルアルコール系重合体の使用量は、例えば、水性エマルジョンの酢酸ビニル系重合体粒子(または単量体の総量)100重量部に対して1〜30重量部(例えば、3〜27重量部)、好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは7〜15重量部程度である。
【0020】
なお、ポリビニルアルコール系重合体を乳化重合や乳化の際の乳化剤または保護コロイドとして用いる場合、ポリビニルアルコール系重合体の使用量は、例えば、単量体の総量100重量部に対して0.5〜15重量部、好ましくは1〜12重量部、さらに好ましくは3〜10重量部程度である。
【0021】
乳化重合や乳化には、ポリビニルアルコール系重合体ともに又は併用することなく、界面活性剤を使用してもよい。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤や両性界面活性剤を使用してもよいが、アニオン系界面活性剤及び/又はノニオン系界面活性剤を使用する場合が多い。アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩(オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オイレン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどのC8-20脂肪酸塩など)、アルキル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどのC8-20アルキル硫酸塩など)、高級アルコール硫酸エステル塩(ラウリルアルコール硫酸エステル塩、オレイルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩などのC8-20アルコール硫酸エステル塩など)、高級アルキルポリエチレングリコール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(スルホコハク酸塩など)などが例示できる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型(高級アルコール−エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノール−エチレンオキサイド付加物、脂肪酸−エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステル−エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコール−エチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン、ショ糖などの多価アルコールの脂肪酸エステルなど)などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい界面活性剤には、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤から選択された少なくとも一種の界面活性剤が含まれる。アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤は併用することにより分散安定性を向上できる場合がある。
【0022】
界面活性剤の使用量は、例えば、水性エマルジョンの酢酸ビニル系重合体粒子(又は単量体の総量)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2.5重量部程度である。界面活性剤は、前記水性エマルジョンに予め含有させてもよく、水性接着剤の調製に際して添加してもよい。
【0023】
[芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物]
本発明に用いられる芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物としては、各種芳香族スルホン酸アルカリ金属塩とホルムアルデヒドの縮合物であれば特に制限されない。前記芳香族スルホン酸アルカリ金属塩として、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウムなどのベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸カリウムなどのナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩;リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどのリグニンスルホン酸アルカリ金属塩などが挙げられる。芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物の代表的な例として、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム塩ホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。これらのホルムアルデヒド縮合物の中でも、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、例えば、イオネットD−2、三洋レベロン(三洋化成製)、ローマD(サンノプコ製)などを使用することができる。芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物の縮合度は、例えば2〜20、好ましくは3〜18、さらに好ましくは4〜15程度である。
【0024】
芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物の使用量は、初期接着力を改善できるとともに水性接着剤の安定性などを損なわない範囲で、水性接着剤の粘度に応じて選択でき、例えば、固形分換算で、ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは0.1〜80重量部(例えば、0.2〜70重量部)、さらに好ましくは0.3〜50重量部程度である。
【0025】
前記芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物は、水溶液の形態で水性エマルジョンに添加するのが好ましく、特に固形分0.01〜50重量%の水溶液として使用するのが好ましい。
【0026】
[可塑剤]
本発明に用いられる可塑剤としては、慣用の可塑剤、例えば、フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ビス(2−エチルへキシル)フタレートなど)、安息香酸エステル(エチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエートなど)、長鎖脂肪族多価カルボン酸エステル(ジブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブチルセバケートなど)、リン酸誘導体(トリフェニルホスフェート、トリス(2−エチルへキシル)ホスフェートなど)、ポリエステルなどが挙げられる。これらの可塑剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。可塑剤の使用量は、水性エマルジョンの樹脂成分100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜40重量部程度である。
【0027】
[その他]
本発明の接着剤には粘度を調整し、また塗工時の飛び散りを低減するため、さらに水溶性(又は親水性)高分子を添加してもよい。水溶性高分子としては、例えば、水溶性天然高分子又はその誘導体(澱粉、変性澱粉、酸化澱粉、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、デキストリンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、エチレン系重合体(エチレン−無水マレイン酸共重合体など)、酢酸ビニル系共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸共重合体など)、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体など)、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する重合体又はその塩[アクリル系重合体(ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩(アンモニウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩)、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体など)、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどのポリビニルアルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)、スチレン系重合体(スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなど)、ポリビニルスルホン酸ナトリウムなど]、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリビニルピロリドンなど)などが挙げられる。これらの水溶性高分子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
これらの水溶性高分子のうち、セルロース誘導体(特にヒドロキシエチルセルロースなど)、ビニルアルコール系重合体(特にポリビニルアルコールなど)、ビニルエステル系重合体(特に酢酸ビニル系共重合体など)、ポリビニルピロリドンなどが好ましい。
【0029】
本発明の接着剤は、所望により、さらに造膜助剤(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類やメチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類など)、タッキファイヤー(例えば、ロジン、ロジンエステル、ジシクロペンタジエン樹脂、石油樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂及びこれらの水素添加物など)、有機溶剤(アルコール、エステル、ケトン、エーテル、炭化水素類から選択された水溶性又は非水溶性溶媒)、充填剤、着色剤、防腐剤、消泡剤などを含んでいてもよい。
【0030】
なお、これらの成分の使用量は、水性エマルジョンの造膜性、水性接着剤の初期接着性や安定性などを損なわない範囲で選択できる。例えば、造膜助剤の使用量は、水性エマルジョンの樹脂成分100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部程度であってもよい。
【0031】
本発明の水性接着剤の固形分濃度は、初期接着性を損なわない範囲で選択でき、例えば、固形分濃度15〜75重量%、好ましくは30〜65重量%、さらに好ましくは40〜50重量%程度である。
【0032】
このような水性接着剤は、クラフト紙を基材として、接着力測定機(日本たばこ産業(株)製、ASM−1)を用い、温度20℃、相対湿度65%RH、オープンタイム0.1秒、圧締時間0.1秒の後、剪断速度300mm/分で測定したとき、最大接着力が少なくとも0.04kg、好ましくは0.05〜0.5kg(例えば0.06〜0.3kg)、さらに好ましくは0.07〜0.5kg程度を示す。
【0033】
本発明の水性接着剤は、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンに芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤を混合することにより調製することができる。
【0034】
本発明の水性接着剤は初期接着性が極めて短時間内に発現するとともに接着強度が大きい。そのため、高速(例えば、チップペーパーへの転写速度50〜180m/分、好ましくは60〜160m/分、さらに好ましくは70〜140m/分程度)でたばこを巻き上げるのに有用である。接着剤の塗布量は、例えば、1〜100g/m2、好ましくは3〜80g/m2、さらに好ましくは5〜50g/m2程度の範囲から選択できる。また、接着に際しては、必要に応じて加熱し、接着性の発現を促進してもよい。
【0035】
本発明の水性接着剤は、たばこチップ用としてだけではなく、種々の被着体(例えば、紙、木材、プラスチック、金属など)の接着にも有用である。特に、極めて短時間内に初期接着力が発現し、しかも初期接着力が極めて高いため、種々の多孔質被着体、例えばダンボール、板紙、クラフト紙などの種々の紙質材料で構成された被着体を高速で接着させるのにも好適である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の水性接着剤は、ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンと、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とを組み合わせているため、極めて短時間内に高い初期接着力が発現し、高速でたばこを巻き上げることができる。さらに、ロールで転写する際の接着剤の飛び散りが少なく、接着作業性を向上できるとともに、特別な設備を用いることなく使用できる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」は重量部を示す。
【0038】
調製例(水性高分子エマルジョンの調製)
温度計、撹拌機、冷却器、滴下漏斗を備えた4つ口フラスコに、常温で脱イオン水43.06部、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、重合度1700)1.6部を仕込み、80℃で2時間撹拌し溶解させた。その後70℃に冷却し、酢酸ビニル5.34部、過硫酸カリウム0.01部を添加し、80℃に昇温した後、酢酸ビニル48.06部と、脱イオン水3部及び過硫酸カリウム0.09部の水溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃に維持して2時間重合し、室温に冷却することにより、固形分濃度54.8重量%、粘度9000mP・s、pH4.6のエマルジョンを得た。
【0039】
実施例1
調製例で得られたエマルジョン100部、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、重合度1700)の15重量%水溶液26.05部、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(三洋化成製、イオネットD−2)の30%水溶液5.61部、ジブチルフタレート21.37部、調整水16.49部を混合し、水性接着剤を調製した。
【0040】
実施例2
調製例で得られたエマルジョン100部、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、重合度1700)の15重量%水溶液26.05部、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物(サンノプコ製、ローマD、縮合度4〜5)の30%水溶液5.61部、ジブチルフタレート21.37部、調整水45.83部を混合し、水性接着剤を調製した。
【0041】
実施例3
調製例で得られたエマルジョン100部、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、重合度1700)の15重量%水溶液26.05部、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(三洋化成製、三洋レベロン、縮合度6〜9)の30重量%水溶液5.61部、ジブチルフタレート21.37部、調整水51.65部を混合し、水性接着剤を調製した。
【0042】
比較例1
調製例で得られたエマルジョン100部と、ポリビニルアルコール(ケン化度88モル%、重合度1700)の15重量%水溶液25部を混合し、水性接着剤を調製した。
【0043】
評価試験
実施例及び比較例で得られた水性接着剤の初期接着力を以下の方法で測定した。接着力測定機(日本たばこ産業(株)製、ASM−1)を用い、基材として坪量84g/m2のクラフト紙に前記水性接着剤を塗布量40g/m2で塗布した。温度20℃、相対湿度65%RH、オープンタイム0.1秒、圧締時間0.1秒の後、剪断速度300mm/分の条件で接着力を6回測定し、各測定毎に得られた初期接着力の最大値の平均値を初期接着力とした。水性接着剤の特性とともに、初期接着力の測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
表1より明らかなように、実施例で得られた接着剤は、比較例の接着剤に比べ高い初期接着力が発現する。
Claims (7)
- ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンと、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とで構成されているたばこチップ用接着剤。
- さらに水溶性高分子を含有する請求項1記載のたばこチップ用接着剤。
- 芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物の割合が、ポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して、0.1〜100重量部である請求項1記載のたばこチップ用接着剤。
- 酢酸ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)が、−30℃〜70℃である請求項1記載のたばこチップ用接着剤。
- 酢酸ビニル系重合体の平均粒子径が0.01〜5μmである請求項1記載のたばこチップ用接着剤。
- 接着力測定機(日本たばこ産業(株)製、ASM−1)により、クラフト紙を基材として、オープンタイム0.1秒、圧締時間0.1秒の後、剪断速度300mm/分で測定したとき、最大接着力が少なくとも0.04kgである請求項1記載のたばこチップ用接着剤。
- ポリビニルアルコール系重合体を乳化剤とし、酢酸ビニル系重合体を重合体粒子として含む水性エマルジョンと、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩ホルムアルデヒド縮合物と、可塑剤とを混合するたばこチップ用接着剤の製造方法。
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