JP4256770B2 - インクジェット用インク、およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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本発明は、インクジェット用インク、およびインクジェット記録方法関する。
近年、インクジェット方式の印刷記録装置への需要は増しつつある。オフィスや家庭でのパソコン用プリンタのみならず、大型ポスターや地域広告、企業内配布試料などのある程度の部数を必要とする印刷物でも従来の版を用いた印刷に代わって、高速で高画質な印刷が可能であるインクジェット方式のプリンタが期待されている。こうしたインクジェット方式のプリンタは、多様化するニーズに迅速に対応できるオンデマンド印刷機ということができる。
インクジェット方式のプリンタに用いられるインクとしては、臭気および安全性などの点から、水溶性染料を用いた水性インクが主流とされてきた。近年では、耐水性や耐光性といった印字品質を改善するために、着色剤として顔料を用いたインクが提案されている。これに伴なって、インク中に含有される顔料の粒子径を制御するとともに、分散状態の安定性を確保することが要求されるようになった。顔料の分散状態が不安定であると、顔料粒子の凝集が生じてしまう。インクジェット方式の印刷装置では、これが引き金となって吐出の状態も不安定になる。その結果、インクの吐出直進性が劣化して印刷物にスジ等が発生し、高品質に印字することができなくなってしまう。最悪の場合には、インクを吐出する際に吐出口で目詰まりを起こすケースもあり、インクの長期保存安定性に欠けるなどの問題も生じる。
こうした問題を解決するには、顔料粒子の状態を制御しなければならないものの、顔料の粒子およびその凝集体を直接観察することができる手段は、これまで見出されていなかった。従来、顔料の粒径などの情報を得るためには、動的光散乱法、光回折散乱法、レーザードップラー法といった方法による粒径測定装置が用いられていた。しかしながら、このような測定装置からは、測定試料全体の母集団の粒径が得られるにすぎず、特に凝集体のような比較的個数の少ない粒子の大きさおよびその量を把握することは、非常に困難であった。場合によっては、粒径を測定する際には測定試料を希釈する必要があり、希釈時の顔料粒子の分散状態はインク状態での顔料分散状態とは異なっている可能性が高かった。また、電子顕微鏡による観察も行なわれているが、これもインクでの測定ではなく顔料単体での測定である。したがって、測定時にはインク状態の分散状態とは異なっている可能性が高かった。このため、実際のインクにおける顔料粒子およびその凝集体の粒径およびその分布を知ることは困難であった。
従来開示されているインクとしては、平均粒子径の範囲のみを規定したインク(例えば、特許文献1参照)、さらにその範囲に含まれる粒子の分布割合を規定したインク(例えば、特許文献2参照)、および粒径1μm以上の分散粒子の体積比率を規定したインク(例えば、特許文献3参照)などが挙げられる。これらは水性インクであり、平均粒子径や分布の制御のみでは、吐出の安定性を大幅に向上させることは困難である。また、1μm以上の粒径を有する分散粒子のみを制御しても、吐出の安定性を大幅に向上させることはできない。すなわち、顔料の平均粒子径や分布のみを制御したところで、粗大粒子の個数を十分に低減できるとはいえない。また、1μm以上の分散粒子の体積比率を制御したとしても、1μm未満の分散粒子の凝集体(二次粒子)は、従来の手法では検出することができない。このため、顔料凝集体を十分に排除することができず、吐出安定性を大幅に向上させることは困難であった。
特開平7−331147号公報 特開2003−3095号公報 特開2001−316605号公報
本発明は、顔料粒子が安定に分散されたインクジェット用インクを提供することを目的とする。また本発明は、高品質な印字を安定して行なうことが可能なインクジェット記録方法を提供することを目的とする
本発明の一態様にかかるインクジェット用インクは、90重量%以上が重合性モノマーである有機溶剤と、光重合開始剤と、前記溶剤に分散された平均粒子径250nm以下の顔料とを含有し、1μm以上の粒子径を有する顔料凝集体の個数は、体積1cm3あたり1.6×108個以下であることを特徴とする。
本発明の一態様にかかるインクジェット記録方法は、印刷用ヘッドを用い、この印刷用ヘッドから断続的にインク液滴を基材に飛翔させて、前記基材に画像を記録する方法であって、前記印刷用ヘッドは4kHz以上の周波数で駆動して、前記印刷用ヘッドには前述のインクジェット用インクを供給することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、顔料粒子が安定に分散されたインクジェット用インクが提供される。本発明の他の態様によれば、高品質な印字を安定して行なうことが可能なインクジェット記録方法が提供される
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態にかかるインクジェット用インクは、顔料を溶剤に分散してなる顔料インクであり、インクジェット方式の記録装置によりその印刷ヘッドから吐出されることを目的としたものである。
本発明者らは、こうした顔料インクに関して鋭意検討した結果、次のような知見を得た。顔料インクが用いられる記録装置においては、このインクの保存安定性やヘッドからの吐出安定性といった特性には、インク中の顔料の分散状態が密接に関係している。したがって、こうした特性を向上させるためには、顔料の分散状態を制御することが重要である。吐出安定性に特に影響を及ぼすのは、インク中に含まれる粗大粒子である。この粗大粒子は、顔料の一次粒子が複数個凝集してなる凝集体であり、また場合によっては、複数個の凝集体が弱い結合によりさらに凝集してなるものである。さらに、インク中の主剤(溶剤)成分および/または光重合開始剤と顔料粒子とを含む弱い凝集体も含まれる。このような凝集体は、粒径1μmから大きいものでは数十μm以上にもなり、ゲル状のものや、核を有するゲル状の浮遊物であるケースが多い。
インクジェット方式による印刷ヘッドにおいては、凝集体の存在に起因して吐出時に不吐出や線状の抜けなどの吐出エラーが生じ、その結果、得られる印刷物の品質が低下する。印刷の品質低下を防止するためには、凝集体の直径を可能な限り小さくすることが望ましい。通常、印刷ヘッドの液体インクを吐出するノズルの開口径の1/3以下であることが好ましく、さらにより好ましくは1/10程度である。この大きさは、典型的なノズルが使用される場合であれば、約1〜5μm程度の粒径に相当する。このような大きさの凝集体を含むインクについて印字試験を行なったところ、顔料凝集体の数と吐出エラーの頻度との間に関連を有することが確認された。
吐出エラー頻度が1時間あたり1印刷ヘッドで5回以下であれば、得られる画像の品質は十分に許容し得る。吐出エラー頻度をこの範囲に抑えるためには、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の数を、インク体積1cm3あたり1.6×108個以下に規定する必要があることが、本発明者らにより見出された。さらに、顔料粒子の平均粒子径が大きすぎるとインクの保存安定性が低下しやすいことから、顔料粒子の平均粒子径は250nm以下に制限される。
そこで、本発明の実施形態においては、顔料の平均粒子径および1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数を、所定の値以下に規定した。1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数は、1cm3あたり1.6×107個以下であることがより好ましい。さらに、5μm以上の粒径を有する顔料凝集体の含有量は、1cm3あたり1.6×10個以下であることが望まれる。これによって、大きな凝集体による回復しにくいような吐出エラーの発生防止効果がよりいっそう高められる。
顔料の平均粒子径を250nm以下とし、1μm以上の粒径を有する凝集体の個数をインク体積1cm3あたり1.6×108個以下に規定することによって、顔料粒子を安定して分散させることが可能となり、吐出安定性が大幅に向上したインクジェット用インクが得られた。本発明の実施形態において、凝集体の個数を規定する時点についてはインクが安定であれば、製造時からインク供給時まで特に問われない。ただし、経時変化により凝集体は増加するおそれがあり、吐出時に問題になるものであるから、インク供給時点で上述した凝集体の個数の規定を満たしている必要がある。
なお、このような粒子径の制御は、水性インクの場合よりも有機溶剤系のインクの場合に重要である。特に、光重合開始剤を含有する感光性のインクジェット用インクにおいては重要になり、吐出性能の向上に効果がある。これは、成分が反応性で複雑であることにより、従来の水性インクよりも顔料凝集体が発生する確率が高くなる傾向が強いためである。また、感光性インクは主に業務用に用いられ、民生用のプリンタ等と比較してより低い吐出エラー率が要求されるためであり、顔料凝集体が存在することにより吐出に問題が発生することが多いためである。
本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクにおいて、溶剤、顔料、および必要に応じて配合される光重合開始剤の各成分としては、特願2003−4862に記載されたカチオン重合系UVインクもしくは、特願2003−201860に記載されたラジカル重合系UVインク、さらにはそれらの併用タイプのインクにおいて特に好ましく用いられる。なかでも、カチオン重合系UVインクは、酸素重合阻害がない反面、暗反応性に富み、凝集体を生成する傾向が強いため好適に用いられる。
かかるカチオン重合性UVインクの溶剤としては、有機溶剤系であって、その90重量%以上は、重合性モノマー、すなわち酸の存在下で重合する化合物が好ましい。例えば、エポキシ基、オキセタン基、オキソラン基などのような環状エーテル基を有する分子量1000以下の化合物、上述した置換基を側鎖に有するアクリルまたはビニル化合物、カーボネート系化合物、低分子量のメラミン化合物、ビニルエーテル類やビニルカルバゾール類、スチレン誘導体、アルファ−メチルスチレン誘導体、ビニルアルコールとアクリル、メタクリルなどのエステル化合物をはじめとするビニルアルコールエステル類など、カチオン重合可能なビニル結合を有するモノマー類を併せて使用してもよい。
かかるラジカル重合性UVインクの溶剤としては、ラジカルの存在下で重合する溶剤を含むものを用いることができる。
具体的には、一般のアクリルの他、テルペノイド骨格をエステル側鎖に有するアクリルとしては、例えば、特開平08−82925に開示されたようなアクリル系化合物が好適に用いられる。例えば、ミルセン、カレン、オシメン、ピネン、リモネン、カンフェン、テルピノレン、トリシクレン、テルピネン、フェンチェン、フェランドレン、シルベストレン、サビネン、ジペンテン、ボルネン、イソプレゴール、カルボンなどの不飽和結合を有するテルペンの2重結合をエポキシ化し、アクリル酸またはメタクリル酸を付加させたエステル化合物が挙げられる。
あるいは、シトロネロール、ピノカンフェオール、ゲラニオール、フェンチルアルコール、ネロール、ボルネオール、リナロール、メントール、テルピネオール、ツイルアルコール、シトロネラール、ヨノン、イロン、シネロール、シトラール、ピノール、シクロシトラール、カルボメントン、アスカリドール、サフラナール、ピペリトール、メンテンモノオール、ジヒドロカルボン、カルベオール、スクラレオール,マノール、ヒノキオール、フェルギノール、トタロール、スギオール、ファルネソール,パチュリアルコール、ネロリドール、カロトール、カジノール、ランセオール、オイデスモール、フィトールなどのテルペン由来アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化合物を用いてもよい。
さらには、シトロネロル酸、ヒノキ酸、サンタル酸、エステル側鎖にメントン、カルボタナセトン、フェランドラール、ピメリテノン、ペリルアルデヒド、ツヨン、カロン、ダゲトン、ショウノウ、ビサボレン、サンタレン、ジンギベレン、カリオフィレン、クルクメン、セドレン、カジネン、ロンギホレン、セスキベニヘン、セドロール、グアヨール、ケッソグリコール、シペロン、エレモフィロン、ゼルンボン、カンホレン、ポドカルプレン、ミレン、フィロクラデン、トタレン、ケトマノイルオキシド、マノイルオキシド、アビエチン酸、ピマル酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、イソ−d−ピマル酸、アガテンジカルボン酸、ルベニン酸、カロチノイド、ペラリアルデヒド、ピペリトン、アスカリドール、ピメン、フェンケン、セスキテルペン類、ジテルペン類、トリテルペン類などの骨格をエステル側鎖に有するアクリレートまたはメタクリレート化合物、アクリルまたはメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、あるいはビニル系の重合性基を複数有するオリゴマー系化合物などを含有することが望ましい。
上述したようなモノマー材料は、一般に常温で流動性を有していれば任意のものを用いることができる。例えば、多価アルコール化合物のポリアクリレート化合物、多価芳香族アルコールのポリアクリレート化合物、多価脂環アルコールのポリアクリレート化合物、および置換基を有するスチレン系化合物などが挙げられる。こうしたモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ネオペンチルアルコール、トリメチロールプロパンやペンタエリスト−ル、ビニルアルコール系オリゴマーなどのジ〜ポリアクリレート化合物、フェノールやクレゾール、ナフトール、ビスフェノール、およびそれらのノボラック系縮合化合物やビニルフェノール系オリゴマーのジ〜ポリアクリレート化合物など、およびそれらが水添された、シクロヘキサン、水添ビスフェノール、デカヒドロナフタレン脂環や、テルペン系脂環、ジシクロペンタンやトリシクロデカン系脂環のジ〜ポリヒドロキシ化合物のジ〜ポリアクリレート化合物などを挙げることができる。
上述したような化合物の含有量は、インクジェット用インク中、10重量%以上40重量%未満とすることが好ましい。少なすぎる場合には効果を十分に得ることができず、一方、多すぎる場合には、粘度が上昇しインク吐出が困難になるおそれがある。
顔料としては、所望される光学的な発色・着色機能を有するものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。ここで使用される顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、あるいは誘電性等のような他の性質をさらに示すものであってもよい。この場合には、画像に様々な機能を付与することができる。また、耐熱性や物理的強度を向上させ得る粉体を加えてもよい。
使用可能な顔料としては、例えば、光吸収性の顔料を挙げることができる。具体的には、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末のような金属粉末からなる顔料が挙げられる。
また、例えば、染料キレート、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンBのようなニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッドのようなアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキのようなレーキ顔料、フタロシアニンブルーのようなフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルーのようなスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、並びにイソインドリノン顔料のような有機系顔料を使用することもできる。
黒インクで使用可能な顔料としては、例えば、コロンビア社製のRaven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、およびSpecial Black 4などのようなカーボンブラックを挙げることができる。
イエローインクで使用可能な顔料としては、例えば、Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14C、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 75、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow95、C.I.Pigment Yellow97、C.I.Pigment Yellow 98、C.I.Pigment Yellow 114、およびPigment Yellow 180等が挙げられる。特にこれらの黄色顔料の中で、酸に対する色劣化が少ないPigment Yellow 180が望ましい。
また、マゼンタインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、およびC.I.Pigment Red 112等が挙げられる。
さらに、シアンインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:34、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Vat Blue 4、およびC.I.Vat Blue 60等が挙げられる。
天然クレイ、鉛白や亜鉛華や炭酸マグネシウムなどの金属炭酸化物、バリウムやチタンなどの金属酸化物のような白色顔料も有用である。白色顔料を含有したインクジェット用インクは、白色印刷に使用可能なだけでなく、重ね書きによる印刷訂正や下地補正に使用することができる。
蛍光性を示す顔料としては、無機蛍光体および有機蛍光体の何れを使用してもよい。無機蛍光体の材料としては、例えば、MgWO4、CaWO4、(Ca,Zn)(PO42:Ti+、Ba227:Ti、BaSi25:Pb2+、Sr227:Sn2+、SrFB23.5:Eu2+、MgAl1627:Eu2+、タングステン酸塩、イオウ酸塩のような無機酸塩類を挙げることができる。また、有機蛍光体の材料としては、例えば、アクリジンオレンジ、アミノアクリジン、キナクリン、アニリノナフタレンスルホン酸誘導体、アンスロイルオキシステアリン酸、オーラミンO、クロロテトラサイクリン、メロシアニン、1,1'−ジヘキシル−2,2'−オキサカルボシアニンのようなシアニン系色素、ダンシルスルホアミド、ダンシルコリン、ダンシルガラクシド、ダンシルトリジン、ダンシルクロリドのようなダンシルクロライド誘導体、ジフェニルヘキサトリエン、エオシン、ε−アデノシン、エチジウムブロミド、フルオレセイン、フォーマイシン、4−ベンゾイルアミド−4'−アミノスチルベン−2,2'−スルホン酸、β−ナフチル3リン酸、オキソノール色素、パリナリン酸誘導体、ペリレン、N−フェニルナフチルアミン、ピレン、サフラニンO、フルオレスカミン、フルオレセインイソシアネート、7−クロロニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル、ダンシルアジリジン、5−(ヨードアセトアミドエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン、N−(1−アニリノナフチル4)マレイミド、N−(7−ジメチル−4−メチルクマニル)マレイミド、N−(3−ピレン)マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミド、フルオレセインマーキュリーアセテート、2−(4'−(2''−ヨードアセトアミド))アミノナフタレン−6−スルホン酸、エオシン、ローダミン誘導体、有機EL色素、有機ELポリマーや結晶、デンドリマー等を挙げることができる。
顔料の含有量は、1重量部以上25重量部以下の量で配合されることが望ましい。1重量部未満の場合には、充分な色濃度を確保することが困難となる。一方、25重量部を超えると、インク吐出性が低下する。より好ましくは、顔料の含有量は2重量部から8重量部の範囲である。
インク層の耐熱性や物理的強度を向上させ得る粉体としては、例えば、アルミニウムやシリコンの酸化物もしくは窒化物、フィラー、シリコンカーバイドなどを挙げることができる。また、インク層に導電性を付与するために、導電性炭素顔料、カーボン繊維、銅、銀、アンチモン、貴金属類などの粉体を添加してもよい。酸化鉄や強磁性粉は磁性を付与するのに適しており、高誘電率なタンタル、チタン等の金属酸化粉なども配合することができる。
粉体成分の含有量は1重量%乃至50重量%であることが望ましい。粉体成分の含有量が1重量%未満である場合には感度上昇等の効果が不十分となり、50重量%を超えると解像性や感度が低下するおそれがある。
本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、溶媒中に顔料を分散させて分散機により分散処理を施すことによって調製することができる。分散機としては、一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ボールミル、ロールミル、および超音波分散機などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この他にも、メディアレス分散機などを用いることもできる。分散処理においては、分散剤を添加することによって、その効果が高められる。分散剤としては、例えば、ノニオン系またはイオン系界面活性剤や帯電剤のような分散剤、またはアクリルやビニルアルコールのような高分子系分散剤等を用いることができる。その添加量は、顔料の種類や溶媒等に応じて適宜決定することができるが、通常、顔料に対して20〜70重量%程度である。
かかるインクジェットインク中に含有される界面活性剤が、金属石鹸のような金属塩化有機合物である場合には、数ミクロン以上の比較的大きな凝集体を形成しやすくなるため、好ましくない。こうした化合物を界面活性剤として用いる場合には、その濃度は多くとも数%以下であることが望ましい。より望ましくは1%以下である。通常、この範囲を超える金属塩の存在下では、5μm以上の粒径を有する顔料凝集体の含有量は、1cm3あたり1.6×10個を越えるような相関が見られる。
分散処理後には、フィルターや遠心分離機で分級することによって、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数を、よりいっそう低減することが可能となる。
こうして調製されるインクジェット用インクにおいては、顔料およびその分散剤、またインクに機能を付加させるために添加される粉体といった固形分の総濃度は、3重量%以上であることが好ましい。3重量%未満の場合には、インク濃度が不十分であったり、その他付加した機能が不十分であるなど、インクとしての機能が不足するおそれがある。
また、常温における粘度は、6mPa・sec以上50mPa・sec以下であることが望まれる。50mPa・secよりも粘度の高いインクは、インクジェット記録ヘッドから吐出するのが困難になるおそれがある。なお、粘度が低い場合にはインクの保存安定性が低下することやヘッドからの吐出の安定性が低下することから、通常、インクジェット用インクの粘度の下限は6mPa・sec程度である。
本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、光重合開始剤をさらに含有することができる。
光重合開始剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物など、光の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)を使用することができる。
こうした化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4'−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、みどり化学社製MPI−103(CAS.NO.(87709−41−9))、みどり化学社製BDS−105(CAS.NO.(145612−66−4))、みどり化学社製NDS−103(CAS.NO.(110098−97−0))、みどり化学社製MDS−203(CAS.NO.(127855−15−5))、みどり化学社製Pyrogallol tritosylate(CAS.NO.(20032−64−8))、みどり化学社製DTS−102(CAS.NO.(75482−18−7))、みどり化学社製DTS−103(CAS.NO.(71449−78−0))、みどり化学社製MDS−103(CAS.NO.(127279−74−7))、みどり化学社製MDS−105(CAS.NO.(116808−67−4))、みどり化学社製MDS−205(CAS.NO.(81416−37−7))、みどり化学社製BMS−105(CAS.NO.(149934−68−9))、みどり化学社製TMS−105(CAS.NO.(127820−38−6))、みどり化学社製NB−101(CAS.NO.(20444−09−1))、みどり化学社製NB−201(CAS.NO.(4450−68−4))、みどり化学社製DNB−101(CAS.NO.(114719−51−6))、みどり化学社製DNB−102(CAS.NO.(131509−55−2))、みどり化学社製DNB−103(CAS.NO.(132898−35−2))、みどり化学社製DNB−104(CAS.NO.(132898−36−3))、みどり化学社製DNB−105(CAS.NO.(132898−37−4))、みどり化学社製DAM−101(CAS.NO.(1886−74−4))、みどり化学社製DAM−102(CAS.NO.(28343−24−0))、みどり化学社製DAM−103(CAS.NO.(14159−45−6))、みどり化学社製DAM−104(CAS.NO.(130290−80−1)、CAS.NO.(130290−82−3))、みどり化学社製DAM−201(CAS.NO.(28322−50−1))、みどり化学社製CMS−105、みどり化学社製DAM−301(CAS.No.(138529−81−4))、みどり化学社製SI−105(CAS.No.(34694−40−7))、みどり化学社製NDI−105(CAS.No.(133710−62−0))、みどり化学社製EPI−105(CAS.No.(135133−12−9))、およびダイセルUCB社製UVACURE1591などを挙げることができる。
光重合開始剤の含有量は、使用する光重合開始剤の酸発生効率や添加する顔料の量などに応じて決定することができる。例えば、顔料の濃度が5重量%程度である場合には、光重合開始剤は、全溶媒量100重量部に対して、通常、1重量部乃至20重量部、好ましくは3重量部乃至10重量部の割合で添加される。全溶媒量100重量部に対する光重合開始剤の割合が1重量部未満の場合には、インクジェット用インクの感度が低くなる。一方、20重量部を超えると、インクの経時間的増粘が激しくなって塗膜性や光硬化後のインク膜の硬度が低下する。また、記録装置の配管やヘッド部材の腐食が生じるおそれがある。
光重合開始剤に加えて、光ラジカル発生剤を用いることも可能である。
使用し得る光ラジカル発生剤としては、商品名イルガキュアーやダロキュア(長瀬産業)で知られるミヒラーケトンやベンゾフェノンのような光ラジカル重合開始剤が挙げられる。より具体的な化合物としては、次のような化合物が好適に用いられる。すなわち、ベンゾフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシ−もしくは、α−アミノセトフェノン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンジルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインn−プロピルなどのベンゾインアルキルエ−テルやエステル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンモノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシドまたはチタノセン、フルオレセン、アントラキノン、チオキサントンまたはキサントン、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物またはジハロメチル化合物、活性エステル化合物、有機ホウ素化合物などである。さらに、ビスアジド化合物のような光架橋型ラジカル発生剤を同時に含有させても構わない。
光重合開始剤または光ラジカル発生剤に加えて、そのラジカル発生効率を向上させたり、顔料等の吸収の影響で低下した感度を向上するために、増感剤を併用してもよい。例えば、米国特許第2850445号に記載された感光性染料、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料との系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素との系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤との系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素との系(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤との系(特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素との系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素、さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素との系(特開平6−295061号)等に記載された染料、色素を含有して構わない。より具体的には、脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジンなどのアミン系増感剤、アリル系、o−トリルチオ尿素のような尿素系増感剤、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩、N、N、ジ置換pアミノベンゾニトリル、トリn−ブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィード、ミヒラーケトン、Nニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ1、3オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物、ヘキサクロロエタン、樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート等が挙げられる。
上述したような増感剤は、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクにおける色調変化が少ない範囲でも用いられることが望ましく、その範囲は顔料や光ラジカル発生剤の少なくとも当量以下が望ましい。
次に、本発明の実施形態にかかるインクジェット記録方法について説明する。本発明の実施形態にかかるインクジェット記録方法は、印刷用ヘッドを用い、この印刷用ヘッドから断続的にインク液滴を基材に飛翔させて、前記基材に画像を記録する方法であって、前記印刷用ヘッドは4kHz以上の周波数で駆動して、前記印刷用ヘッドには本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクを供給することを特徴とする。なお、ここでいう駆動周波数とは1ドットのインクの吐出周波数である。1ドットをマルチドロップ方式で液滴数で印刷濃度の階調を制御する場合には1ドット分の複数滴を吐出し次のドットの吐出が始まるまでを1周期とした。この駆動周波数が低いと印刷速度が遅くなってしまうことから、本発明の実施形態にかかる記録法方法においては、印刷用ヘッドは4kHz以上の周波数で駆動される。
なお、駆動周波数の上限は、駆動に対するインク液体の追従性およびその乱れ、すなわちメニスカスの復帰時間などを考慮すると、一般的に40kHz程度である。インクを飛翔させるためのノズルはヘッドに複数個配列されており、このノズル径は一般的には10μm乃至100μm程度である。好ましくは、ノズル径は、30μm乃至50μm程度である。印刷用ヘッドは、紙等の基材面に対して如何なる方法で走引されても構わないが、印字高速化のため、単一方向に1回のみ走査されて印刷が行なわれる場合に、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
主として業務用に用いられるような、高速に大面積の印刷が要求されるインクジェット記録装置においては、パソコンやデジタルカメラの印刷など民生用に用いられるプリンタに比較して、より厳しい吐出性能が求められる。特に、単一方向での印字においては、吐出におけるエラーは、画像ぼけやドット抜けによるスジの発生につながる。発生したドット抜けやスジは補正することができないため、印刷品質に重大な影響を及ぼすことになる。1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数が制限された本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、こうした高速な印字に対応したインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
ここで、使用し得る記録装置の概略図を図1に示す。
図示するように、記録媒体1を搬送する搬送ベルト構造の媒体搬送部2が設けられ、この媒体搬送部2に記録媒体1を供給する媒体供給部3が設けられている。そして、媒体搬送部2が記録媒体1を搬送する媒体搬送路4には、記録媒体1の移動方向に沿って、媒体供給部3に近いほうから順に、インクジェット記録ヘッド5、電磁輻射線照射部としての紫外線照射装置6が配置されている。
媒体搬送部2は、記録媒体移動機構を構成し、駆動ローラ7と従動ローラ8との間に搬送ベルト9が掛け渡され、図示しない駆動源から動力を得て回転駆動される駆動ローラ7の回転によって搬送ベルト9を転動させ、これによって搬送ベルト9上に位置する記録媒体1を搬送する構造のものである。
媒体供給部3は、複数枚の記録媒体1を積層して収納し、最上位に位置する記録媒体1を媒体搬送部2に向けてピックアップ給送する。
インクジェット記録ヘッド5は、すでに説明したように4kHz以上の周波数で駆動され、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクが供給される。このヘッド5は、直線上に配列された複数個のノズル(図示せず)を有するライン型ヘッドであり、インク滴をノズルから選択的に吐出させて飛翔させ、単一方向に1回のみ走査されて印刷が行なわれる。本実施例においては、インクを吐出して飛翔させるためのメカニズムに関しては、その種類を問わない。このようなインクジェット記録ヘッド5は、そのインク吐出側の端部を媒体搬送路4に対面させて配置されている。
紫外線照射装置6は、水銀ランプやメタルハライドランプ等のような紫外線ランプによるバルブ10からの発光光を直接的および反射板11で反射して媒体搬送路4上を搬送される記録媒体1に照射する構造のものである。紫外線硬化型のインクを用い、これを記録媒体1に吐出する場合には、紫外線を照射する紫外線照射装置6が電磁輻射照射部として用いられる。
本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数が、体積1cm3あたり1.6×108個以下に規定されているので、図示するような記録装置に適用した場合には、画像ぼけやスジのない高品質な画像を形成することができる。
本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、以下の方法により評価することができる。すなわち、溶剤に平均粒子径250nm以下の顔料を分散させて、顔料分散体を調製する工程と、前記顔料分散体を非浸透性性基材上に塗布して、測定試料を形成する工程と、前記測定試料を、共焦点光学系を有する顕微鏡により観測する工程とを具備し、前記測定試料中における1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数が、体積1cm3あたり1.6×108個以下を合格とすることを特徴とする方法である。
こうした方法で観測されるのは顔料凝集体であり、インクの状態における顔料粒子の分散状態を反映しているものである。比較的大きな粒子を観測する従来の手法としては、アキュサイザーやコールターカウンターといったものが挙げられるが、これらを採用するにはサンプルを希釈して観測しなければならないため、粒子サイズが変化しやすく正確に計測できない。また、電子顕微鏡などを用いる場合には、顔料単体での観測が必要とされる。これに対して、本発明の実施形態にかかる評価方法では、インク自体またはその硬化物の状態で観測することができるため、実際のインク中における顔料の分散状態を評価することができる。
従来行なわれていたようにサンプルを希釈した場合には、顔料の凝集体が分散あるいは凝集してしまうため、インクにおける顔料の分散状態を正確に評価することはできない。また、光散乱法やレーザードップラー法や遠心沈降法などでは、弱い結合による凝集体の集合体やゲル状態の凝集体などを観測することが不可能である。このため、従来の手法では、吐出安定性に大きな影響を及ぼす粗大粒子(顔料凝集体)の状態を正確に観測することができなかった。本発明の実施形態にかかる方法を用いることによって、こうした凝集体を観測できることから、インクの吐出安定性能を正しく評価することが可能となった。以下に、具体的な測定方法を説明する。
顔料分散体は、上述したような溶媒に、平均粒子径250nm以下の顔料を分散させて調製しておく。溶媒の混合比率が調整され、重合開始剤やその他機能付加のための成分を含有し、インクとしての機能を持った状態の場合、この顔料分散体はインクということができ、顔料を溶媒に分散させただけの状態もしくは混合しただけの状態であれば、この顔料分散体はインクの前駆体ということができる。
顔料分散体を塗布する基材としては、印刷媒体も含め多くものを使用することができる。金属基板、ガラス基板、ガラス上に金属膜の存在する基板など、表面が平滑でありインクが浸透ないものであればより望ましく、シリコン基板などが最も望ましい。通常は、数十ミクロン以下、さらには1〜2μm程度の膜厚の塗膜を測定試料として観測するのが好ましい。塗膜を形成するには、浸漬による塗布やバーコーターによる塗布、スピンナーによる塗布、実際の印刷装置を使用しての塗布も可能である。あるいは、基材上に顔料分散体を単に滴下するのみでも観察可能である。このようにして塗布されたものは、光照射や加熱により硬化してから評価すると観察しやすいが、硬化させずにそのまま観察することもできる。
こうして作製された測定試料は、共焦点光学系を有する顕微鏡を用いて顔料凝集体の個数を観測する。市販されている共焦点レーザー顕微鏡を用いることによって、3次元方向の粒子分布に加えて、特定の体積内に存在する粒子の個数を計測することが可能となるため、望ましいものとなる。この際用いられるレーザーの波長は、基本的に可視光レーザーであれば如何なるものであっても構わない。解像性の観点からは、緑〜青色(440〜540nm)が望ましい。この場合、顔料の吸収波長に依存して、黒または黄色の顔料がより観測しやすいが、シアン、マゼンタおよびそれ以外のカラー色についても観測は可能である。
測定試料は、共焦点光学系を有する顕微鏡において共焦点モードにて観測される。この際の倍率は、好ましくは1000倍〜12000倍程度であり、より好ましくは2000〜5000倍程度である。このときの視野の範囲は、128×96μm(2000倍)〜51×38μm(5000倍)程度となる。観測平面に対して、垂直方向の走査(通常は1〜数μm)を行なうことによって、単位体積における凝集粒子数をカウントすることができる。一サンプルあたりの観測数は、統計上確からしい観測数であることが望ましいが、通常、問題となる対象の粒子数を鑑みて、5〜10点程度の観測を行なうことが望ましい。例えば、膜厚2μmの測定試料について、64×48μmの視野範囲を測定した場合、視野の中に確認された粒径1μm以上の顔料凝集体の個数が1個であれば、インク体積1cm3あたりに存在する顔料凝集体の個数は1.6×108個となる。10点の観測を行なって、粒径1μm以上の顔料凝集体が1個しか確認されなかった場合であれば、1cm3あたり1.6×107個となる。
本発明の実施形態にかかる評価方法においては、体積1cm3あたり1.6×108個以下を評価基準としており、これを満たしたものが本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクに相当する。
インクジェット用インクの評価に当たっては、顔料分散体の一部を用いてもよい。本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクの製造方法は、こうした評価に引き続いて行なうことができる。まず、上述した手法にしたがって、共焦点光学系を有する顕微鏡により測定試料を観測する。その結果、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数が体積1cm3あたり1.6×108個を越える場合には、顔料分散体の残部に分散処理が施される。ここでの分散処理には、サンドミルやボールミル等、すでに説明したような分散機を用いることができる。これによって、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数を体積1cm3あたり1.6×108個以下に低減して、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクが得られる。
上述したように、本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、吐出安定性および保存安定性に優れており、これを用いることによって、高画質で高速な印刷を安定して行なうことが可能となる。
以下に具体例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
溶剤としてのイソボルニルアクリレートに、顔料としてのカーボンブラック(デグサ社、FW18)10重量部、および分散剤(味の素ファインテクノアジスパー)8重量部を加え、サンドミル、0.3ミクロンジルコニアビーズで1時間処理することにより、分散処理を施した。
得られた分散液に対して、カーボンブラックの含有量が全体の5重量%となり、液体成分の重量比率が(イソボルニルアクリレート:トリプロピレングリコールジアクリレート:トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート:ウレタンアクリレート(トクシキ(株):ハイコ−プAU)=40:25:15:20)となるように、液体成分をそれぞれ添加した。さらに、光ラジカル発生剤としてのイルガキュアー(NO.2959、長瀬産業)を、全重量の5%になるように加えた。最後に、1ミクロンのPTFEフィルターで濾過して黒色インク1とした。得られた黒色インク1における顔料の平均粒子径は、120nmであった。
このように調製した黒色インク1をシリコン基板上に滴下し、スピンナーにより塗布した後、紫外線を照射して硬化させた。その結果、膜厚2μmの塗布膜が形成され、これを共焦点顕微鏡により倍率4000倍で観測した。このときの視野範囲は、64×48μmであった。視野を移動させて10回の観測を行なった結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野に平均して1個確認された。
このインクについて、吐出安定性を調べるために印字テストを行なった。テストは、ノズル径40μmのノズルを約300個備え付けた吐出ヘッドにより、1時間あたり5.5×109ドットの吐出による印刷を行ない、このときの印字エラーの発生頻度を調べた。その結果、印字エラーの発生頻度は1時間あたり2回程度であった。
(比較例1)
24KHz、600Wの超音波ヘッドを用いて分散処理を行なった以外は前述の実施例1と同様の手法により、黒色インク2を調製した。黒色インク2の平均粒子径は、120nmであった。
黒色インク2の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して10個確認された。
このインクについて、前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり40回程度であった。
(実施例2)
以下のような処方により、顔料分散体を作製した。
・イエロー顔料(PY−180) 10%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 3%
・分散剤(アビシア・ソルスパース22000) 0.3%
・溶剤(ダイセル化学・セロキサイド3000) 86.7%
これらの材料を循環式のサンドミルにより0.5mm径のビーズを充填して2時間の分散処理を行なった。この分散液を顔料濃度5%となるようにインク化し、さらに、全量に対して10重量%の光酸発生剤(ESACURE1064、ランベルティー社)を加えた。その後、超音波ホモジナイザーにより超音波照射を1分間行なって、イエローインク1を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、220nmであった。
イエローインク1の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して0.8個であった。
このインクについて、前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり3回であった。
(比較例2)
分散処理の時間を1時間に短縮した以外は、前述の実施例2と同様の手法により、イエローインク2を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、260nmであった。
イエローインク2(比較例2−1)の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して13個であった。
このインクについて、前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの回数は1時間あたり50回であった。
さらに、分散処理後の分散液を再度サンドミルにより30分の処理を行ない、この分散液の一部を顔料濃度5%となるようにインク化し、超音波ホモジナイザーによる分散処理を行なって、(比較例2−2)のインクを得た。(比較例2−2)のインクにおける顔料の平均粒子径は、250nmであった。
またさらに、再度サンドミルにより30分の処理を行ない、この分散液の一部を顔料濃度5%となるようにインク化し、超音波ホモジナイザーによる分散処理を行なった分散液も作製して、(比較例2−3)とした。(比較例2−3)のインクにおける顔料の平均粒子径は、230nmであった。
これらのインクの塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、(比較例2−2)のインクでは、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して5個であり、(比較例2−3)のインクでは1個であった。
これらのインクについて前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は、(比較例2−2)のインクでは1時間あたり30回程度であり、(比較例2−3)のインクでは1時間あたり10回程度であった。
(実施例3)
ブルー顔料(Hostaperm Blue)を用い、以下のような顔料分散体を作製した。
・顔料(Hostaperm Blue) 10%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 3%
・溶剤(ダイセル化学・セロキサイド3000) 87%
これらの材料を循環式のサンドミルにより0.3mm径のビーズを充填して2時間の分散処理を行った。この分散液を顔料濃度5%となるようにインク化し、さらに、全量に対して10重量%の光酸発生剤(ESACURE1064、ランベルティー社)を加えた。その後、1μmのフィルターにてろ過を行なって巨大粒子を除去して、ブルーインク1を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、160nmであった。
ブルーインクの塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して0.2個であった。
このインクについて前述と同様に印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり2回であった。
(比較例3)
フィルターによるろ過を行なわない以外は、前述の実施例3と同様の手法により、ブルーインク2を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、260nmであった。
ブルーインク2の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して3個であった。
このインクについて前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり7回であった。
(実施例4)
マゼンタ顔料(Pigment Red 122)を用い、以下のような顔料分散体を作製した。
・顔料(Pigment Red 122) 10%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 3%
・溶剤(ダイセル化学・セロキサイド3000) 87%
これらの材料を循環式のサンドミルにより0.3mm径のビーズを充填して2時間の分散処理を行なった。この分散液を顔料濃度5%となるようにインク化し、さらに、全量に対して10重量%の光酸発生剤(ESACURE1064、ランベルティー社)を加えた。その後、遠心分離(15000G、30分)にて巨大粒子を除去して、マゼンタインク1を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、170nmであった。
マゼンタインク1の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して0.6個であった。
このインクについて前述と同様に印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり3回であった。
(比較例4)
遠心分離による巨大粒子除去を行なわない以外は、前述の実施例4と同様の手法により、マゼンタインク2を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、255nmであった。
マゼンタインク2の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して15個であった。
このインクについて前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり55回であった。
(実施例5)
カーボンブラック顔料(PBk7)を用い、以下のような顔料分散体を作製した。
・顔料(PBk7) 10%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 3%
・溶剤(ダイセル化学・セロキサイド3000) 32%
・溶剤(阪本薬品・SR−NPG) 55%
これらの材料を循環式のサンドミルにより0.3mm径のビーズを充填して2時間の分散処理を行った。この分散液を顔料濃度5%となるようにインク化し、さらに、全量に対して10重量%の光酸発生剤(ESACURE1064、ランベルティー社)を加えた。その後、遠心分離(15000G、30分)にて巨大粒子を除去して、黒色インク3を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、130nmであった。
黒色インク3の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して0.4個であった。
このインクについて前述と同様に印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり2回であった。
(比較例5)
分散処理の時間を1時間に短縮し、また遠心分離による巨大粒子除去を行なわない以外は、前述の実施例5と同様の手法により、黒色インク4を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、200nmであった。
黒色インク4の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して18個であった。
このインクについて前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり45回であった。
(実施例6)
カーボンブラック顔料(PBk7)を用い、以下のような顔料分散体を作製した。
・顔料(PBk7) 10%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 3%
・溶剤(阪本薬品・SR−NPG) 55%
・溶剤(東亞合成・オキセタン221) 32%
これらの材料を循環式のサンドミルにより0.3mm径のビーズを充填して2時間の分散処理を行った。この分散液を顔料濃度5%となるようにインク化し、さらに、全量に対して10重量%の光酸発生剤(ESACURE1064、ランベルティー社)を加えた。その後、遠心分離(15000G、30分)にて巨大粒子を除去して、黒色インク5を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、110nmであった。
黒色インク5の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して0.1個であった。
このインクについて前述と同様に印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり1回であった。
(比較例6)
分散処理の時間を30分に短縮し、また遠心分離による巨大粒子除去を行なわない以外は、前述の実施例6と同様の手法により、黒色インク6を得た。このインクにおける顔料の平均粒子径は、210nmであった。
黒色インク6の塗布膜を前述と同様の手法により形成し、共焦点顕微鏡により観察した。倍率、視野範囲、および観測回数は前述と同様とした。その結果、直径1μm以上の顔料凝集体は、各視野につき平均して20個であった。
このインクについて前述と同様の印字テストを行なったところ、印字エラーの発生頻度は1時間あたり50回であった。
実施例および比較例における顔料凝集体数、印字エラー回数を、顔料の平均粒子径とともに下記表1にまとめる。
Figure 0004256770
上記表1に示されるように、顔料の平均粒子径を250nm以下と規定するとともに、1μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数を1cm3あたり1.6×108個以下に規定した本発明の実施形態にかかるインクジェット用インクは、印字エラー回数が低減されており、高品質な印字が可能であることがわかる。
これに対して、平均粒子径および顔料凝集体の個数のいずれか一方の条件が満たされない場合には、印字エラーを抑制して高品質な画像を形成できないことが、比較例の結果として明確に示されている。
(実施例7)
実施例1で用いたインクの分散安定と表面張力低下のために、界面活性剤としての有機酸金属塩(ステアリン酸カルシウム)を徐々に添加しつつ、顔料凝集体の個数を観測した。その結果、0.5%の添加ではあまり変化がみられなかったが、過剰に1%添加すると、顔料凝集体が1視野あたり15個と、著しく増加することがわかった。この時の印字エラー回数は、1時間あたり40回となり、さらに2%まで添加すると、凝集体数は32、エラーが90回/1時間となり、エラー回数と凝集体数がほぼ相関することがわかった。
この結果、上記表1に加え本実施例7により凝集体数とエラー発生回数が相関することが明確に示されている。
本発明の一実施形態にかかるインクジェット用インクを使用し得る記録装置の概略図。
符号の説明
1…記録媒体,2…媒体搬送部,3…媒体供給部,4…媒体搬送路
5…インクジェット記録ヘッド,6…紫外線照射装置,7…駆動ローラ
8…従動ローラ,9…搬送ベルト,10…バルブ,11…反射板。

Claims (7)

  1. 90重量%以上が重合性モノマーである有機溶剤と、
    光重合開始剤と、
    前記溶剤に分散された平均粒子径250nm以下の顔料とを含有し、
    1μm以上の粒子径を有する顔料凝集体の個数は、体積1cm3あたり1.6×108個以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記顔料凝集体の個数は、体積1cm3あたり1.6×107個以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記顔料凝集体は、前記インクジェット用インクの塗膜および/またはその硬化物を、共焦点光学系を有する顕微鏡で観測することにより確認されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. 固形分の総濃度が3重量%以上であり、常温における粘度が6mPa・sec以上50mPa・sec以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 5μm以上の粒径を有する顔料凝集体の個数が、体積1cm3あたり1.6×106個以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  6. 印刷用ヘッドを用い、この印刷用ヘッドから断続的にインク液滴を基材に飛翔させて、前記基材に画像を記録する方法であって、
    前記印刷用ヘッドは4kHz以上の周波数で駆動して、前記印刷用ヘッドには請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクを供給することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 前記印刷用ヘッドは、前記基材に対して単一方向に1回のみ走査されて画像が記録されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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