JP4256212B2 - 光検出管 - Google Patents
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- Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空容器の光入射窓に受光面板としてサファイヤ板が装着された光検出管に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
真空容器の光入射窓に受光面板が装着される光検出管において、紫外光を検出するために受光面板がサファイヤ板で構成されている場合、通常、真空容器の光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に受光面板の周縁部がロウ付けされる。この場合、強固にロウ付け固定するために、受光面板の周縁部には予めメタライズ処理が施される。
【０００３】
なお、受光面板が石英製であって真空容器の光入射窓を囲む窓周辺部がコバール金属製の場合、受光面板の周縁部を窓周辺部にアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着する技術が従来知られている（例えば特許文献１参照）。同様に、ガラス製の受光面板の周縁部と、金属製またはセラミックス製の窓周辺部とをアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着する技術も従来知られている（例えば特許文献２参照）。
【０００４】
【特許文献１】
特許第２６９０６５８号公報
【特許文献２】
特公昭５８−３８９０３号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、より微弱な紫外光を高感度に検出する要求が高まっている近年、受光面板がサファイヤ板で構成され、その周縁部にメタライズ処理が施されている従来の光検出管では、紫外光の検出の際に微弱ではあるがサファイヤ板から燐光や蛍光が発生し、その結果、より微弱な発光を検出する際にダークノイズとなることが判明した。
【０００６】
そこで、本発明は、サファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態を未然に防止でき、ダークノイズを低減することができる光検出管を提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本件の発明者らは、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する原因を鋭意究明した結果、メタライズ処理によりサファイヤ板に不純物が拡散し、この不純物によってサファイヤ板に格子欠陥が生じていることが原因であることを究明した。そして、この知見に基づいて本発明を完成した。
【０００８】
すなわち、本発明に係る光検出管は、紫外光を検出するための光電面が内面に形成された単結晶のサファイヤ板が受光面板として真空容器の光入射窓に装着された光検出管であって、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されていることを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る光検出管では、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されているため、サファイヤ板に不純物が拡散してサファイヤ板に格子欠陥が生じることがない。その結果、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態が未然に防止される。
【００１０】
本発明の光検出管において、サファイヤ板は、厚さが０．５ｍｍ以下だと破損し易く、厚さが１．０ｍｍ以上だと紫外光の透過率が低下するため、サファイヤ板の厚さは０．５〜１．０ｍｍとするのが好ましく、０．７ｍｍ程度がより好ましい。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る光検出管の実施の形態を説明する。参照する図面において、図１は一実施形態に係る光検出管を一部破断して示す側面図、図２は図１に示したサファイヤ板の熱圧着構造を示す分解斜視図、図３は図２に示した熱圧着構造を得るための熱圧着装置の概略構成を示す模式図である。
【００１２】
図１に示すように、一実施形態に係る光検出管は、光入射窓を形成する円筒状の側管１の一端の開口部に受光面板としてのサファイヤ板２が気密に固定され、他端の開口部にステム板３が気密に固定された構造の真空容器を備え、この真空容器内には反射型のダイノード４およびアノード５が収容されている。
【００１３】
側管１は、サファイヤ板２が固定される大径のコバール金属管１Ａと、ステム板３が固定される小径のコバール金属管１Ｂとをロウ付け等により一体化して構成されている。
【００１４】
サファイヤ板２は、紫外光の透過効率の良い窓材として真空容器の光入射窓に装着されている。このサファイヤ板２は、厚さが０．５ｍｍ以下であると破損し易く、１．０ｍｍ以上であると紫外光の透過率が低下するため、０．７ｍｍ程度の厚さに設定されている。ちなみに、厚さ０．７ｍｍのサファイヤ板２では、２７０ｎｍの紫外光の透過率は８５％であるが、厚さ１．０ｍｍのサファイヤ板２では、２７０ｎｍの紫外光の透過率は８０％に低下する。
【００１５】
サファイヤ板２の内面には、紫外光の吸収により光電子を発生する光電面が形成される。このため、サファイヤ板２としては、光電面の形成に適した単結晶のものが採用される。なお、光電面は、例えばＡｌＧａＮの活性層を有する半導体光電面からなる。
【００１６】
ステム板３は硼硅酸ガラスで構成されており、このステム板３には、複数のステムピン６が気密に貫通している。各ステムピン６は、側管１を構成するコバール金属管１Ａ内に配置されたダイノード４およびアノード５に接続されている。
【００１７】
ここで、図２に示すように、サファイヤ板２は円形に形成されており、その内面の周縁部は、真空容器の光入射窓を囲む窓周辺部に対し、すなわち、側管１を構成する大径のコバール金属管１Ａの開口側の端面に対し、アルミニウム製の円形のシールリング７を介して気密に熱圧着されている。
【００１８】
サファイヤ板２の熱圧着作業は、図３に示す熱圧着装置１０により実施される。この熱圧着装置１０は、シールリング７を介してサファイヤ板２と側管１とを押圧する一対の加圧機構１２，１２と、これらを取囲む電気炉１１とを備えている。
【００１９】
この熱圧着装置１０を使用したサファイヤ板２の熱圧着作業では、まず、電気炉１１により、サファイヤ板２、シールリング７および側管１が常温から４７０℃まで加熱され、その状態で２５分間程度そのまま保持される。つぎに、シールリング７を挟んだ状態でサファイヤ板２の周縁部が側管１を構成する大径のコバール金属管１Ａの開口部の端面に（２ｋＰａ）程度の圧力で加圧され、その状態で２５分間程度そのまま保持される。そして、室温付近まで徐冷されて加圧状態が解除されることにより、サファイヤ板２の周縁部がアルミニウム製のシールリング７を介してコバール金属管１Ａの開口側の端面に気密に熱圧着される。
【００２０】
ここで、一実施形態の光検出管では、サファイヤ板２にメタライズ処理が施されていないため、サファイヤ板２に不純物が拡散して格子欠陥が発生することがない。このため、被測定光としての紫外光がサファイヤ板２に照射されても、サファイヤ板２からの燐光や蛍光が発生することがなく、サファイヤ板２の裏面の光電面から不要なダークノイズが発生することがない。
【００２１】
本発明に係る光検出管は、一実施形態に限定されるものではない。例えば、受光面板としてのサファイヤ板２がアルミニウム製のシールリング７を介して熱圧着されるコバール金属管１Ａは、セラミックス管に変更することができる。
【００２２】
また、このコバール金属管１Ａやセラミック管が角筒状に形成されている場合には、シールリング７は角形のリング状に形成され、サファイヤ板２は角形に形成される。
【００２３】
さらに、図４に示すように、サファイヤ板２の周縁部はコバール金属管１Ａまたはセラミック管の開口部側の端面にインロー嵌合した状態でシールリング７を介して熱圧着されていてもよい。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光検出管では、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されているため、サファイヤ板に不純物が拡散してサファイヤ板に格子欠陥が生じることがない。従って、本発明によれば、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態を未然に防止することができ、ダークノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る光検出管を一部破断して示す側面図である。
【図２】図１に示したサファイヤ板の熱圧着構造を示す分解斜視図である。
【図３】図２に示した熱圧着構造を得るための熱圧着装置の概略構成を示す模式図である。
【図４】サファイヤ板の熱圧着構造の変形例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
１…側管、２…サファイヤ板、３…ステム板、４…ダイノード、５…アノード、６…ステムピン、７…シールリング、１０…熱圧着装置、１１…電気炉、１２…加圧機構。
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空容器の光入射窓に受光面板としてサファイヤ板が装着された光検出管に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
真空容器の光入射窓に受光面板が装着される光検出管において、紫外光を検出するために受光面板がサファイヤ板で構成されている場合、通常、真空容器の光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に受光面板の周縁部がロウ付けされる。この場合、強固にロウ付け固定するために、受光面板の周縁部には予めメタライズ処理が施される。
【０００３】
なお、受光面板が石英製であって真空容器の光入射窓を囲む窓周辺部がコバール金属製の場合、受光面板の周縁部を窓周辺部にアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着する技術が従来知られている（例えば特許文献１参照）。同様に、ガラス製の受光面板の周縁部と、金属製またはセラミックス製の窓周辺部とをアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着する技術も従来知られている（例えば特許文献２参照）。
【０００４】
【特許文献１】
特許第２６９０６５８号公報
【特許文献２】
特公昭５８−３８９０３号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、より微弱な紫外光を高感度に検出する要求が高まっている近年、受光面板がサファイヤ板で構成され、その周縁部にメタライズ処理が施されている従来の光検出管では、紫外光の検出の際に微弱ではあるがサファイヤ板から燐光や蛍光が発生し、その結果、より微弱な発光を検出する際にダークノイズとなることが判明した。
【０００６】
そこで、本発明は、サファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態を未然に防止でき、ダークノイズを低減することができる光検出管を提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本件の発明者らは、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する原因を鋭意究明した結果、メタライズ処理によりサファイヤ板に不純物が拡散し、この不純物によってサファイヤ板に格子欠陥が生じていることが原因であることを究明した。そして、この知見に基づいて本発明を完成した。
【０００８】
すなわち、本発明に係る光検出管は、紫外光を検出するための光電面が内面に形成された単結晶のサファイヤ板が受光面板として真空容器の光入射窓に装着された光検出管であって、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されていることを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る光検出管では、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されているため、サファイヤ板に不純物が拡散してサファイヤ板に格子欠陥が生じることがない。その結果、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態が未然に防止される。
【００１０】
本発明の光検出管において、サファイヤ板は、厚さが０．５ｍｍ以下だと破損し易く、厚さが１．０ｍｍ以上だと紫外光の透過率が低下するため、サファイヤ板の厚さは０．５〜１．０ｍｍとするのが好ましく、０．７ｍｍ程度がより好ましい。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る光検出管の実施の形態を説明する。参照する図面において、図１は一実施形態に係る光検出管を一部破断して示す側面図、図２は図１に示したサファイヤ板の熱圧着構造を示す分解斜視図、図３は図２に示した熱圧着構造を得るための熱圧着装置の概略構成を示す模式図である。
【００１２】
図１に示すように、一実施形態に係る光検出管は、光入射窓を形成する円筒状の側管１の一端の開口部に受光面板としてのサファイヤ板２が気密に固定され、他端の開口部にステム板３が気密に固定された構造の真空容器を備え、この真空容器内には反射型のダイノード４およびアノード５が収容されている。
【００１３】
側管１は、サファイヤ板２が固定される大径のコバール金属管１Ａと、ステム板３が固定される小径のコバール金属管１Ｂとをロウ付け等により一体化して構成されている。
【００１４】
サファイヤ板２は、紫外光の透過効率の良い窓材として真空容器の光入射窓に装着されている。このサファイヤ板２は、厚さが０．５ｍｍ以下であると破損し易く、１．０ｍｍ以上であると紫外光の透過率が低下するため、０．７ｍｍ程度の厚さに設定されている。ちなみに、厚さ０．７ｍｍのサファイヤ板２では、２７０ｎｍの紫外光の透過率は８５％であるが、厚さ１．０ｍｍのサファイヤ板２では、２７０ｎｍの紫外光の透過率は８０％に低下する。
【００１５】
サファイヤ板２の内面には、紫外光の吸収により光電子を発生する光電面が形成される。このため、サファイヤ板２としては、光電面の形成に適した単結晶のものが採用される。なお、光電面は、例えばＡｌＧａＮの活性層を有する半導体光電面からなる。
【００１６】
ステム板３は硼硅酸ガラスで構成されており、このステム板３には、複数のステムピン６が気密に貫通している。各ステムピン６は、側管１を構成するコバール金属管１Ａ内に配置されたダイノード４およびアノード５に接続されている。
【００１７】
ここで、図２に示すように、サファイヤ板２は円形に形成されており、その内面の周縁部は、真空容器の光入射窓を囲む窓周辺部に対し、すなわち、側管１を構成する大径のコバール金属管１Ａの開口側の端面に対し、アルミニウム製の円形のシールリング７を介して気密に熱圧着されている。
【００１８】
サファイヤ板２の熱圧着作業は、図３に示す熱圧着装置１０により実施される。この熱圧着装置１０は、シールリング７を介してサファイヤ板２と側管１とを押圧する一対の加圧機構１２，１２と、これらを取囲む電気炉１１とを備えている。
【００１９】
この熱圧着装置１０を使用したサファイヤ板２の熱圧着作業では、まず、電気炉１１により、サファイヤ板２、シールリング７および側管１が常温から４７０℃まで加熱され、その状態で２５分間程度そのまま保持される。つぎに、シールリング７を挟んだ状態でサファイヤ板２の周縁部が側管１を構成する大径のコバール金属管１Ａの開口部の端面に（２ｋＰａ）程度の圧力で加圧され、その状態で２５分間程度そのまま保持される。そして、室温付近まで徐冷されて加圧状態が解除されることにより、サファイヤ板２の周縁部がアルミニウム製のシールリング７を介してコバール金属管１Ａの開口側の端面に気密に熱圧着される。
【００２０】
ここで、一実施形態の光検出管では、サファイヤ板２にメタライズ処理が施されていないため、サファイヤ板２に不純物が拡散して格子欠陥が発生することがない。このため、被測定光としての紫外光がサファイヤ板２に照射されても、サファイヤ板２からの燐光や蛍光が発生することがなく、サファイヤ板２の裏面の光電面から不要なダークノイズが発生することがない。
【００２１】
本発明に係る光検出管は、一実施形態に限定されるものではない。例えば、受光面板としてのサファイヤ板２がアルミニウム製のシールリング７を介して熱圧着されるコバール金属管１Ａは、セラミックス管に変更することができる。
【００２２】
また、このコバール金属管１Ａやセラミック管が角筒状に形成されている場合には、シールリング７は角形のリング状に形成され、サファイヤ板２は角形に形成される。
【００２３】
さらに、図４に示すように、サファイヤ板２の周縁部はコバール金属管１Ａまたはセラミック管の開口部側の端面にインロー嵌合した状態でシールリング７を介して熱圧着されていてもよい。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光検出管では、光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されているため、サファイヤ板に不純物が拡散してサファイヤ板に格子欠陥が生じることがない。従って、本発明によれば、紫外光の検出の際にサファイヤ板から燐光や蛍光が発生する事態を未然に防止することができ、ダークノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る光検出管を一部破断して示す側面図である。
【図２】図１に示したサファイヤ板の熱圧着構造を示す分解斜視図である。
【図３】図２に示した熱圧着構造を得るための熱圧着装置の概略構成を示す模式図である。
【図４】サファイヤ板の熱圧着構造の変形例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
１…側管、２…サファイヤ板、３…ステム板、４…ダイノード、５…アノード、６…ステムピン、７…シールリング、１０…熱圧着装置、１１…電気炉、１２…加圧機構。
Claims (2)
- 紫外光を検出するための光電面が内面に形成された単結晶のサファイヤ板が受光面板として真空容器の光入射窓に装着された光検出管であって、前記光入射窓を囲む金属製またはセラミックス製の窓周辺部に対し、前記サファイヤ板の周縁部のメタライズ処理が施されていない内面がアルミニウム製のシールリングを介して気密に熱圧着されていることを特徴とする光検出管。
- 前記サファイヤ板の厚さが０．５〜１．０ｍｍであることを特徴とする請求項１に記載の光検出管。
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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