JP4255096B2 - 感光性樹脂組成物、及びこれを用いた感光性フイルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂組成物、特にフレキシブルプリント配線板等の製造に使用できるエッチングレジスト又は保護膜(カバーレイ)形成用に好適な感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の製造には、液状またはフイルム状の感光性樹脂組成物が用いられている。例えば、銅張積層板の銅箔をエッチングするレジストとして、配線の形成されたプリント配線板には、はんだ付け位置の限定及び配線の保護等に用いられている。プリント配線板には、カメラ等の小型機器に折り曲げて組み込めることが可能なフイルム状のものがあり、これはFPCと呼ばれている。このFPCにも、はんだ付け位置の限定及び配線の保護のためにレジストが必要であり、それはカバーレイ又はカバーコートと呼ばれている。カバーレイは、接着剤層を有するポリイミドやポリエステルを所定の型に打ち抜いた後、FPC上に熱圧着等で形成され、また、カバーコートは、熱硬化や光硬化性のインクを印刷、硬化させて形成される。
【0003】
FPCのはんだ付け位置の限定及び配線の保護の目的に用いられるこれらのレジストには、可撓性が特に重要な特性となり、そのため可撓性に優れるポリイミドカバーレイが多く用いられている。しかし、このカバーレイは、型抜きのため高価な金型が必要であり、また、型抜きフイルムの人手による張り合わせ、接着剤のはみ出し等のため、歩留まりが低く製造コストが高くなり、FPCの市場拡大の障害となっており、更に、近年の高密度化に高密度化に対応することが困難となっている。
【0004】
そこで、写真現像法(イメージ露光に続く現象により画像を形成する方法)で、寸法精度、解像性に優れた高精度、高信頼性のカバーレイを形成する感光性樹脂組成物、特に感光性フイルムの出現が望まれてきた。この目的のために、ソルダマスク形成用感光性樹脂組成物を用いることが試みられた。例えば、アクリル系ポリマー及び光重合性モノマーを主成分とする感光性樹脂組成物(特開昭53−56018号公報、特開昭54−1018号公報等)耐熱性の良好な感光性樹脂組成物として、主鎖にカルコン基を有する感光性エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化材を主成分とする組成物(特開昭54−82073号公報、特開昭58−62636号公報等)、エポキシ基を含有するノボラック型エポキシアクリレート及び光重合開始剤を主成分とする組成物(特開昭61−272号公報等)、安全性及び経済性に優れたアルカリ水溶液で現像可能なソルダマスク形成用感光性樹脂組成物としては、カルボキシル基含有ポリマー、単量体、光重合開始剤及び熱硬化性樹脂を主成分とする組成物(特開昭48−73148号公報、特開昭57−178237号公報、特開昭58−42040号公報、特開昭59−151152号公報等)などが挙げられるが、いずれも可撓性が不充分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の技術の欠点を解消し、作業性が良好で、可撓性、はんだ耐熱性等に優れた感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性フイルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られる不飽和基含有ポリオール化合物(c)とジアミン化合物(d)と1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)とを反応させて得られるオリゴマー(A)とジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)、希釈剤(C)、光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物、
(2)1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和含有モノカルボン酸化合物(b)と多塩基酸無水物(g)との反応物である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)を含有する(1)記載の感光性樹脂組成物、
(3)支持体フイルム上に(1)ないし(2)のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物の層を積層してなる感光性フイルム、
(4)(1)ないし(3)のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物及びフィルムの硬化物、
(5)(4)記載の硬化物を有する物品。
(6)プリント配線板である(5)記載の物品
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるオリゴマー(A)は、1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と1分子中に不飽和2重結合とカルボキシル基を1つずつ有する化合物(b)とを反応させて得られる不飽和基含有ポリオール化合物(c)と、ジアミン化合物(d)と、1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)とを反応させて得るができる。
【0008】
具体的には、第1の反応で、1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)のエポキシ基と不飽和基含有モノカルボン酸(b)のカルボキシル基との付加反応により水酸基が形成され(c)成分を得る。次いで、(c)の水酸基及び(d)のアミノ基が1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)とエステル化反応及びアミド化反応により得られる。
【0009】
1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)としては、例えばジグリシジルエーテル化合物、ジグリシジルエステル化合物、ジグリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0010】
ジグリシジルエーテル化合物は、ポリオール化合物とエピクロルヒドリンを、前者の水酸基1当量に対し後者を1当量以上加え反応させることにより得られる。ポリオール化合物としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テトラアルキルビフェノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール等があげられる。
【0011】
ジグリシジルエステル化合物は、ポリカルボキシル化合物とエピクロルヒドリンを、前者のカルボキシル基1当量に対し後者1当量以上加え反応させることにより得られる。ポリカルボキシル化合物としては、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、こはく酸、マレイン酸等があげられる。
【0012】
ジグリシジルアミン化合物は、ポリアミノ化合物とエピクロルヒドリンを、前者アミノ基1当量に対し後者1当量以上加え反応させることにより得られる。ポリアミノ化合物としては、例えばアニリン、o−トルイジン等が挙げられる。
【0013】
次に、前記不飽和基含有モノカルボン酸(b)としては、例えばアクリル酸類やクロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、あるいは飽和または不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物が挙げられる。アクリル酸類としては、例えば、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体との等モル反応物である半エステル類、飽和または不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との等モル反応物である半エステル類等があげられる。
【0014】
半エステル類製造に使用する飽和又は不飽和二塩基酸無水物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等かあげられる。また、1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体類としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等があげられる。
【0015】
また、別の半エステル類製造に使用する飽和または不飽和二塩基酸としては、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イタコン酸、フマル酸等があげられ、モノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0016】
これらの不飽和基含有モノカルボン酸(b)は単独または混合して用いることができる。特に好ましいモノカルボン酸は、(メタ)アクリル酸である。
【0017】
ジアミン化合物(d)としては、特に制限はないが、例えば芳香族ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0018】
芳香族ジアミンとしては、例えば2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス−〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ベンゾフェノン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ベンズアニリド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ベンズアニリド、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−ベンゾフェノンジアミン等が挙げられる。
【0019】
脂肪族ジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ジアミノポリシロキサン、ATBN1300×16(宇部興産(株)製)、ジェファーミンD−230(以下、サンテクノケミカル(株)製)、D−400、D−2000、D−4000、ED−600、ED−900、ED−2001、EDR−148等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
分子中に少なくとも2個の酸無水物基を有する化合物(e)としては、カルボン酸無水物が望ましく、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられ、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
本発明で用いられるオリゴマー(A)は、例えば以下の様にして合成することができる。 不飽和基含有ポリオール化合物(c)を得るために、上記のエポキシ樹脂(a)のエポキシ基の1当量に対して、不飽和基含有モノカルボン酸(b)、約0.8〜1.3モルとなる比で反応させるのが好ましく、特に好ましくは約0.9〜1.1モルとなる比で反応させる。
【0022】
更に、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましい。触媒としては、例えばトリエチルアミン、ペンジルジメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等があげられる。該触媒の使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.1〜10重量%である。反応中の重合を防止するために、重合防止剤を使用するのが好ましい。重合防止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等があげられる。その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.01〜1重量%である。反応温度は、好ましくは60〜150℃である。又、反応時間は好ましくは5〜60時間である。
【0023】
次に、不飽和基含有ポリオール化合物(c)及びジアミン化合物(d)と1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)の反応は、同時に反応させる方法と、ポリアミドプレポリマーを合成後、不飽和基含有ポリオール化合物(c)を反応させる方法がある。
同時に反応させる方法としては、前記ポリ不飽和ポリオール化合物(c)及びジアミン化合物(d)の水酸基とアミノ基の合計当量を1当量とした場合、1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)を0.1〜0.9当量反応させるのが好ましい。反応温度は60〜150℃、反応時間は、1〜10時間が好ましく、トリエチルアミン等の触媒を通常0.1〜10%添加してもよい。
【0024】
ポリアミドプレポリマーを合成後、不飽和基含有ポリオール化合物(c)を反応させる方法としては、まず、ジアミン化合物(d)と分子中に少なくとも2個の酸無水物基を有する化合物(e)を反応させて、末端酸無水物ポリアミドプレポリマーを製造し、次いで不飽和基含有ポリオール化合物(c)を反応させる。
【0025】
末端酸無水物ポリアミドプレポリマーは、ジアミン化合物(d)のアミン基1当量に対して、分子中に少なくとも2個の酸無水物基を有する化合物(e)を1.05〜2.0当量(酸無水物当量として)反応させるのが好ましい。このアミド化反応の反応温度は0〜80℃、反応時間は1〜10時間が好ましい。
【0026】
次いで、末端酸無水物ポリアミドプレポリマーに不飽和基含有ポリオール化合物(c)を反応させオリゴマー(A)を得る。不飽和基含有ポリオール化合物(c)の水酸基1当量に対して、末端酸無水物ポリアミドプレポリマーの酸無水物基0.1〜0.95当量反応させるのが好ましく、更には、0.1〜0.8が好ましい。反応温度は、通常、60〜150℃で、好ましくは80〜100℃である。なお、これら反応時に後記反応性希釈剤(C−1)や後記有機溶剤(C−2)を加えても良い。
【0027】
本発明では、分子中に少なくとも1個のジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)を使用する。ジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)としては、例えばフェノール性水酸基を有する化合物の水酸基1当量と1級アミンのアミノ基約1当量との混合物を70℃以上に加熱したホルムアルデヒド1〜5モル中に添加して、70〜110℃、好ましくは90〜100℃で20〜120分反応させ、その後120℃以下の温度で減圧乾燥することにより合成することができる。フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基のすべてが1級アミンとホルムアルデヒドと反応し、ジヒドロベンゾオキサジン環を形成するようにしたものが好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、特に制限はなく、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、トリスフェノール、テトラフェノール等の化合物、フェノール樹脂等を挙げることができる。このフェノール樹脂としては、フェノール若しくはキシレノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール等の1価のフェノール化合物、レゾルシノール、ビスフェノールA等の多価フェノール化合物等のフェノール化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られるノボラック樹脂若しくはレゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、メラミンフェノール樹脂、ポリブタジエン変性フェノール樹脂等がある。1級アミンとしては、特に制限はなく、メチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、置換アニリン等が挙げられる。ホルムアルデヒドは、ホルマリン、ポリホルムアルデヒドの形態で使用しても良い。
【0028】
ジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)は、公知の方法(例えば、独国公開特許2217099号、H.Ishida,J.Polym.Sci.,PartA32,1121(1994)等)により得られる。
【0029】
ジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)の使用割合は、前記オリゴマー(A)又は、オリゴマー(A)と後記する不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)の総量100重量部に対して5〜40重量部が好ましい。
【0030】
本発明では希釈剤(C)を使用する。(C)成分の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)と多カルボン酸化合物の酸無水物(例えば、無コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)の反応物であるハーフエステル,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620、等)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンの反応物のポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、モノ又はポリグリシジル化合物(例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリエトキシグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリエトキシポリグリシジルエーテル、等)と(メタ)アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート、等の反応性希釈剤(C−1)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;ジオキサン、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤類(C−2)等を挙げることができる。希釈剤は、単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。(C)成分の使用割合は、3〜50重量%が好ましく、更には5〜40重量%が好ましい。
【0031】
本発明では、光重合開始剤(D)を使用する。光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフエノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0032】
これらは、単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができる。
【0033】
光重合開始剤(D)の使用量は、(A)と(B)、(C)成分の総量100重量部に対して又は、(A)と(B)、(C)、後記の(E)成分の総量100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部となる割合である。
【0034】
本発明では、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)を使用しても良い。不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸化合物(b)と多塩基酸無水物(g)との反応生成物である。
【0035】
1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビキレノ−ル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル類;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノフェニルメタン等のグリシジルアミン類;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂類;エピコートシリーズ(エピコート1009、1031:油化シェルエポキシ(株)製)、エピクロンシリーズ(エピクロンN−3050、N−7050:大日本インキ化学工業(株)製)、DERシリーズ(DER−642U、DER−673MF:ダウケミカル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂やYDFシリーズ(YDF−2004、2007:東都化成(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0036】
上記エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピハロヒドリンの反応は、好ましくはジメチルスルホキシドの存在下で行われる。エピハロヒドリンの使用量は、原料エポキシ化合物におけるアルコール性水酸基1当量に対して1当量以上使用すれば良い。しかしながら、アルコール性水酸基1当量に対して15当量を超えると増量した効果はほとんどなくなる一方、容積効率が悪くなる。
【0037】
反応を行う際に、アルカリ金属水酸化物を使用する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどが使用できるが苛性ソーダが好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量、原料エポキシ化合物のエポキシ化したいアルコール性水酸基1当量に対してほぼ1当量使用すればよい。原料エポキシ化合物のアルコール性水酸基を全量エポキシ化する場合は、過剰にしようしても構わないが、アルコール性水酸基1当量に対して2当量を超えると若干高分子化が起こる傾向にある。
【0038】
反応温度は、30〜100℃が好ましい。反応温度が30℃未満であると反応が遅くなり長時間の反応が必要となる。反応温度が100℃を超えると副反応が多く起こり好ましくない。反応終了後、過剰エピハロヒドリン及びジメチルスルホキシドを減圧下留去した後、有機溶剤に生成樹脂を溶解させアルカリ金属水酸化物で脱ハロゲン化水素反応を行うこともできる。
【0039】
前記エポキシ樹脂(f)と前記エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸化合物(b)とを反応させ、エポキシ(メタ)アクリレート化合物を得る。エポキシ樹脂のエポキシ基の1当量に対して、(b)成分の総量のカルボキシル基の0.3〜1.2当量反応させるのが好ましく、更には0.9〜1.05当量が好ましい。また、反応時又は反応終了後に前記希釈剤(C)の1種又は2種以上を使用することができる。
【0040】
更に、反応を促進させるために触媒を使用することができる。触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、トリフェニルスチルビン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。その使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは0.1〜10重量%、更には0.3〜5重量%が好ましい。
【0041】
反応中、エチレン性不飽和基の重合を防止するために、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは、0.01〜1重量%、更には0.05〜0.5重量%が好ましい。反応温度は、60〜150℃、更には80〜120℃が好ましい。また、反応時間は5〜60時間が好ましい。
【0042】
次いで、多塩基酸無水物(g)を反応させる。多塩基酸無水物(g)としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。その使用量は、前記エポキシ(メタ)アクリレート中の水酸基に対して、水酸基1当量あたり多塩基酸無水物(g)を0.05〜1.00当量反応させるのが好ましい。反応温度は、60〜150℃、更には80〜100℃が好ましい。
【0043】
不飽和基含有ポリカルボン酸(E)の使用量は、(A)+(C)成分100重量部に対して、20〜300重量部、更には30〜200重量部となる割合が好ましい。
【0044】
本発明では、更に必要に応じて各種の添加剤等を添加することができる。各種の添加剤としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、クレーなどの充填剤、アエロジルなどのチキソトロピー付与剤、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタンなどの着色剤、シリコーン、フッ素系のレベリング剤や消泡剤、染料、ハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノチルエーテル等の重合禁止剤等である。
【0045】
本発明の感光性樹脂組成物及び感光性フイルムは(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び各種添加剤等を溶解、混合、混練することにより調製し、製造することができる。
【0046】
本発明の感光性フイルムは、支持体フイルム上に、前記本発明の感光性樹脂組成物の層を積層することにより製造することができる。支持体としては、重合体フイルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフイルムが挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートフイルムが好ましい。これら重合体フイルムは、後に感光層から除去しなくてはならないため、除去不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であってはならない。また、これら重合体フイルムの厚さは、5〜100μmとすることが好ましく、10〜30μmとすることがより好ましい。これらの重合体フイルムは、一つの感光層の支持フイルムとして、他の一つは感光層の保護フイルムとして感光層の両面に積層することができる。
【0047】
次いで、調製された樹脂組成物を、前記支持フイルムの重合体フイルム上に、均一に塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去し、乾燥皮膜とすることができる。乾燥皮膜の厚さは、特に制限はなく、10〜100μmとすることが好ましく、20〜60μmとすることがより好ましい。
【0048】
このようにして得られた感光層と重合体フイルムとの2層からなる本発明の感光性フイルムは、そのままで又は感光層の他の面に保護フイルムをさらに積層してロール状に巻き取って貯蔵することができる。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物及び感光性フイルムは、特にフレキシブルプリント配線基板用のエッチングレジストやソルダーレジスト等のレジストとして有用である他、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
【0050】
本発明のプリント配線板は、例えば次のようにして得ることができる。即ち、液状の樹脂組成物を使用する場合、プリント配線用基板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により5〜160μmの膜厚で本発明の樹脂組成物を塗布し、塗膜を60〜110℃、好ましくは60〜100℃の温度で乾燥させることにより、タックフリーの塗膜が形成できる。その後、ネガフィルムなどの露光パターンを形成したフォトマスクを塗膜に直接接触させ(または接触させない状態で塗膜の上に置く)、紫外線を10〜2000mJ/cm2程度の強さで照射し、未露光部分を後述する現像液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビングなどにより現像する。その後必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで100〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で加熱処理をすることにより、可とう性に優れ、レジスト膜の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性、電気特性等の諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント配線板が得られる。
【0051】
上記、現像に使用される有機溶剤としては、例えばトリクロロエタン等のハロゲン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノ−ルなどの脂環式炭化水素類及び石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、水、アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。又、
【0052】
本発明の感光性フイルムを用いて、フォトレジスト画像を製造する方法としては、前記保護フイルムが存在している場合には、保護フイルムを除去後、感光層を加熱しながら基板に圧着させることにより積層することができる。この時、減圧下で積層することが好ましい。積層される表面としては、特に制限はなく、エッチング等により配線の形成されるFPCであることが好ましい。感光層の加熱温度としては、特に制限はなく、90〜130℃とすることが好ましい。また、圧着圧力としては、特に制限はなく、減圧下で行われることが好ましい。
【0053】
このようにして積層が完了した感光層は、ネガフィルムなどの露光パターンを形成したフォトマスクをフィルムに直接接触させ(または接触させない状態で塗膜の上に置く)、紫外線を通常10〜2000mJ/cm2程度の強さで照射する。この時、感光層上に存在する重合体フイルムが透明の場合には、そのまま露光することができるが、不透明の場合には、除去する必要がある。感光層の保護という点からは、重合体フイルムは透明で、この重合体フイルムを残存させたまま、それを通して露光することが好ましい。光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども露光用活性光として利用できる。
【0054】
次いで、露光後、感光層上に重合体フイルムが存在している場合には、これを除去した後、前記現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング等の公知方法により未露光部を除去して現像することができる。その後必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で加熱処理をすることにより、可とう性に優れ、レジスト膜の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性、電気特性等の諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント配線板が得られる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」を示す。
【0056】
合成例1(不飽和基含有ポリオール化合物(c)の合成)
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(品名:ZX−1059、東都化成(株)製)168.2g、アクリル酸72.06g、トリフェニルフォスフィン1.2g、メトキシフェノール0.24gを仕込み、60℃に昇温、溶解した後、98℃で24時間反応し、酸価0.3mgKOH/gのポリ不飽和ポリオール(c−1)を得た。
【0057】
合成例2(オリゴマー(A)の合成)
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコに、合成例1で得られた不飽和基含有ポリオール化合物(c−1)470.6g、3,4'−ジアミノフェニルエーテル50g、無水ピロメリット酸(品名:PMDA、三菱ガス化学(株)製)109g、γ−ブチロラクトン420.3gを仕込み、40℃で3時間、更に85℃に昇温して10時間反応し、固形分酸価87.5mgKOH/g、固形分60%のオリゴマー(A−1)を得た。
【0058】
合成例3(ジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)の合成)
<フェノールノボラック樹脂の合成>
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコにフェノール190g、ホルマリン(37%水溶液)100g及びシュウ酸0.4gを仕込み、還流温度で約6時間反応させた。次いで、内部を減圧してから未反応のフェノール及び縮合水を除去した。得られた樹脂は、軟化点84℃、3〜多核体/2核体比=82/18(GPCによるピーク面積比)であった。
【0059】
<ジヒドロベンゾオキサジン環の導入>
上記により合成したフェノールノボラック樹脂170g(水酸基1.6モル相当)をアニリン140g(1.6モル)と混合し、80℃で溶解し均一な混合溶液を調製した。この混合溶液を90℃に加熱したホルマリン259gに30分で添加した。添加終了後、3時間還流温度に保ち、次いで100℃で約2時間減圧にして縮合水を除去し、反応した水酸基のすべてにジヒドロベンゾオキサジン環が導入した化合物(B−1)を得た。過剰のアニリンやホルマリンは、乾燥中に除かれ、この化合物の収量は300gであった。これは、フェノールノボラック樹脂の水酸基のうち1.4モルが反応し、ジヒドロベンゾオキサジン環化したことを示している。
【0060】
合成例4
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコにビスフェノールA91.2g(0.4モル)、37%ホルマリン130g(1.6モル)、p−アニシジン98.5g(0.8モル)、トルエン250mlを仕込み、撹拌しながら80℃で5時間反応させた。反応生成物を静置し、水層を分離した後、有機層を2lの水で2回洗浄した。その後、水層を分離してからトルエンを減圧留去して、200gの黄色固体を得た。反応生成物をアセトンから再結晶することにより、融点が150.8℃で構造式は以下のようジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物(B−2)であった。
【0061】
【化1】
Figure 0004255096
【0062】
合成例5(不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)の合成)
かくはん装置及び冷却管のついた丸底フラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃)310g、カルビトールアセテート251gを仕込み90℃に加熱撹拌し溶解した。得られた溶液を60℃まで冷却し、アクリル酸60g、ダイマー酸97g、メチルハイドロキノン0.8g、トリフェニルホスフィン2.5gを加え、80℃で加熱溶解し、98℃で35時間反応させ、固形分酸価が0.3mgKOH/g、固形分65%のエポキシアクリレートを得た。次いで、このエポキシアクリレート718.5g、無水コハク酸100g、カルビトールアセテート54gを仕込み、90℃で6時間反応し、固形分酸価が99mgKOH/g、固形分65%の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)を得た。
【0063】
実施例及び比較例
表1に示す材料を配合した感光性樹脂組成物をスクリーン印刷によりプリント回路基板(イミドフィルムに銅箔を積層したもの)に塗布し、80℃で20分乾燥した。その後、この基板にネガフィルムを当て、所定のパターン通りに露光機を用いて500mJ/cm2の積算露光量で紫外線を照射し、有機溶剤または1wt%Na2CO3水溶液で現像を行い、さらに150℃で50分熱硬化して試験基板を作成した。得られた試験基板について、アルカリ現像性、はんだ耐熱性、可とう性、耐熱劣化性、及び無電解金めっき耐性の特性評価を行った。
【0064】
Figure 0004255096
【0065】
注)
*1:DPCA−60;日本化薬(株)製、KAYARAD DPCA−60(ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のポリアクリレート)
*2:DETX−S;日本化薬(株)製、KAYACURE DETX−S(ジエチルチオキサントン)
*3:Irg907;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907(2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
【0066】
(現像性)
80℃で60分間塗膜の乾燥を行い、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液でのスプレー現像による現像性を評価した。
○・・・・目視により残留物なし。
×・・・・目視により残留物有り。
(はんだ耐熱性)
試験基板にロジン系フラックスを塗布して260℃の溶融はんだに10秒間浸漬した後、セロハン粘着テープで剥離した時の硬化膜の状態で判定した。
○・・・・異常なし。
×・・・・剥離有り。
【0067】
(可とう性)
試験基板を180度べた折り曲げ時の状態で判断した。
○・・・・亀裂なし。
△・・・・やや亀裂有り。
×・・・・折り曲げ部に亀裂が入って硬化膜が剥離した。
【0068】
(耐熱劣化性)
試験基板を125℃で5日間放置した後、180度べた折り曲げ時の状態で判断した。
○・・・・亀裂なし。
△・・・・やや亀裂有り。
×・・・・折り曲げ部に亀裂が入って硬化膜が剥離した。
【0069】
(無電解金めっき耐性)
以下のように試験基板に金めっきを行った後、セロハン粘着テープで剥離したときの状態で判断した。
○・・・・異常なし。
△・・・・若干剥離有り。
×・・・・剥離なし。
【0070】
無電解金めっき方法:試験基板を30℃の酸性脱脂液((株)日本マクダーミッド製、MetexL−5Bの20vol%水溶液)に3分間浸漬して脱脂し、次いで流水中に3分間浸漬して水洗した。次に試験基板を14.3wt%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬し、ソフトエッチングを行い、次いで流水中に3分間浸漬し水洗した。10vol%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで試験基板を30℃の触媒液((株)メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10vol%水溶液)に7分間浸漬し、触媒付与を行った後、流水中に3vol%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬して、無電解ニッケルめっきを行った。10vol%硫酸水溶液に室温中で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで、試験基板を95℃金めっき液((株)メルテックス製、オウロレクトロレスUP15vol%とシアン化金カリウム3vol%の水溶液、pH6)に10分間浸漬して無電解金めっきを行った後、流水中に3分間浸漬して水洗し、また60℃の温水に3分間浸漬して湯洗した。十分に水洗後、水をよく切り、乾燥し、無電解金めっきした試験基板を得た。
【0071】
以上のような結果から明らかのように、本発明の感光性樹脂組成物は良好なアルカリ現像性を示し、又はんだ耐熱性、可とう性、耐熱劣化性及び無電解金めっき耐性に優れた硬化膜を与える。
【0072】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、作業性が良好で可撓性及びはんだ耐熱性に優れ、FPC用エッチングレジストやカバーレイ用の感光性フイルムに好適である。

Claims (6)

  1. 1分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られる不飽和基含有ポリオール化合物(c)とジアミン化合物(d)と1分子中に酸無水物基を2つ有する化合物(e)とを反応させて得られるオリゴマー(A)とジヒドロベンゾオキサジン環含有化合物(B)、希釈剤(C)、光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物。
  2. 1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(f)とエチレン性不飽和含有モノカルボン酸化合物(b)と多塩基酸無水物(g)との反応物である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(E)を含有する請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 支持体フイルム上に請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物の層を積層してなる感光性フイルム。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又はフィルムの硬化物。
  5. 請求項4記載の硬化物を有する物品。
  6. プリント配線板である請求項5記載の物品。
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