JP4254955B2 - フォーカス位置調整装置およびフォーカス位置調整方法 - Google Patents

フォーカス位置調整装置およびフォーカス位置調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、超解像近接場構造(Super-Resolution Near-field Structure)を用いた光ディスクにレーザ光を照射し、その反射光を利用してレーザ光のフォーカス位置を調整するフォーカス位置調整装置およびフォーカス位置調整方法に関する。
一般に、CD,DVDなどの光ディスクにレーザ光を照射して信号を記録した後に同記録された信号を再生し、または光ディスクに予め記録されている信号を再生するとともに、再生した信号のジッタ、波形特性などを測定することにより、光ディスクを検査する光ディスク検査装置はよく知られている。このような光ディスク検査装置においては、フォーカスサーボ制御を早期に安定して行わせる目的で、レーザ光を光ディスクの記録面に集光させるように、光学系内の対物レンズをフォーカス位置付近に予め位置調整していた。
従来、前記対物レンズの位置調整は、レーザ光源から光ディスクに向けてレーザ光を出射させるとともに、対物レンズのフォーカスサーボ制御を禁止した状態で対物レンズを光軸方向に往復動させて、光ディスクからの反射光からフォーカスエラー信号を生成し、同フォーカスエラー信号の瞬時値が基準レベルからの所定の閾値内に入ったタイミングを検出することにより対物レンズの位置をフォーカス位置付近に調整することが行われている。また、さらにフォーカスサーボ制御の精度を向上させるため、前記光学系の往復動を行う前に、光ディスクに対物レンズを介してレーザ光を照射するとともに同光ディスクからの反射光の点像のひずみを表示装置に表示させ、または同ひずみを数値化したものを表示装置に表示させて、同表示に基づき作業者のマニュアル操作により前記対物レンズの位置をフォーカス位置付近に予め調整することも行われている。
しかしながら、このような対物レンズの位置調整においては、レーザ光源から照射されるレーザ光を正確に光ディスクに導くとともに同光ディスクからの反射光を正確に受光素子に導く必要があるため、光学系内における各光学部品の相対的な位置および角度を予め調整しておく必要がある。この調整作業は、高い精度が要求され多くの時間を要する難しい作業である。また、光ディスクからの反射光の点像の歪みを目視にて確認しながら光学系の位置調整を行う作業も難しい作業であるとともに、同歪みを数値化する方法においては、歪みを数値化する専用の回路が必要となり、光ディスク検査装置を複雑かつ高価のものとしているという問題があった。
本発明は、超解像近接場構造を用いた光ディスクのフォーカス位置調整に適用されるものである。そして、本発明は、上記従来の問題を解消し、光ディスク検査装置の構成を複雑なものとすることなく安価に構成することができるフォーカス位置調整装置およびフォーカス位置調整方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整装置において、対物レンズの光ディスクに対する相対位置を連続的に変化させる連続変化手段と、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出するノイズ抽出手段と、前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、前記対物レンズの光ディスクに対する相対位置を対物レンズのフォーカス位置として決定するフォーカス位置決定手段とを設けたことにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、ノイズ抽出手段により、受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分が抽出される。そして、フォーカス位置決定手段により、前記抽出されたノイズ成分の包絡線が検出されてノイズ信号とされるとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことが検出されたとき、対物レンズの光ディスクに対する相対位置が対物レンズのフォーカス位置として決定されるので、レーザ光源、対物レンズおよび受光素子の相対的な位置および角度を厳密に調整する必要がない。これにより、レーザ光源、対物レンズおよび受光素子の相対的な位置および角度の調整を簡単かつ短時間に行っただけで、対物レンズを早期にフォーカス位置に調整することができる。
また、本発明の他の特徴は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置に適用され、対物レンズの光ディスクに対する相対位置を連続かつ自動的に変化させ、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出し、かつ前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、前記対物レンズの光ディスクに対する相対位置を対物レンズのフォーカス位置とするようにした光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整方法にある。
また、本発明の他の特徴は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置に適用され、前記受光素子によって変換された電気信号を表示し、前記対物レンズのフォーカス位置の調整をマニュアル操作によって行い、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出し、かつ前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、対物レンズの位置をフォーカス位置として位置決めさせる光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整方法にある。
これらのフォーカス位置調整方法に係る発明においても、受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分が抽出される。そして、前記抽出されたノイズ成分の包絡線が検出されてノイズ信号とされるとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことが検出されたとき、対物レンズの光ディスクに対する相対位置が対物レンズのフォーカス位置として決定されるので、レーザ光源、対物レンズおよび受光素子の相対的な位置および角度を厳密に調整する必要がない。これにより、レーザ光源、対物レンズおよび受光素子の相対的な位置および角度の調整を簡単かつ短時間に行っただけで、対物レンズを早期にフォーカス位置に調整することができる。
本発明に係るフォーカス位置調整装置およびフォーカス位調整方法の実施形態について説明する前に、本発明に用いられる超解像近接場構造を用いた光ディスクについて説明しておく。
一般に、CD,DVDなどの光ディスクにおける記録密度は、光ディスクの記録面に形成される光スポットの径の大きさにより決定される。この光スポットの径の大きさは、波長/開口数により求められることから、光ディスクに照射されるレーザ光の波長を短くするとともにレーザ光を集光するレンズの開口数を大きくすることによって、光ディスクの記憶密度を高めることができる。しかし、通常のレーザ光では、レンズの回析限界によって光スポットの径の大きさを波長以下にすることができないため、光ディスクの記録密度の高密度化には自ずと限界があった。
この光ディスクの記録密度をさらに高密度化する技術として近接場光と呼ばれる特殊な光(局在光)を利用した超高密度光記録技術がある。近接場光は、通常のレーザ光とは異なり伝播することなく物体表面の極近傍(100nm以下)にのみ存在することができる極めて波長の短い光の一種である。したがって、この近接場光を利用することによりレーザ光の波長以下の極小の光スポット、すなわちナノメートル径の光スポットを形成することができ、光ディスクの記録密度を飛躍的に向上させることができる。この近接場光は、物体に光を照射した際、その物体表面の極近傍にのみ生じる光であることから、レーザ光が照射される光ディスクにも特別な構造を有する必要があり、この特別な構造を用いた光ディスクが超解像近接場構造(Super-Resolution Near-field Structure(Super-RENS))を用いた光ディスクと呼ばれている。
この超解像近接場構造を用いた光ディスク(以下、「スーパーレンズ光ディスク」という)の構造の一例を図2に示す。このスーパーレンズ光ディスクは、ポリカーボネート樹脂からなる光透過性のディスク基板1上に、第1保護層2、ピット形成層3、第2保護層4、再生層5、第3保護層6の順に積層した多層構造で構成されている。これらのうち、第1保護層2、第2保護層4および第3保護層6は、例えば、ZnS-SiO2材からなり、レーザ光が照射されることによりピット形成層3および再生層5に生じる熱変形および酸化を防止するための光透過性を有する膜である。なお、第1保護層2、第2保護層4および第3保護層6は、ZnS-SiO2材に限定されるものではない。
ピット形成層3は、PtOxまたはAgOx材などからなり、レーザ光が照射されることによりナノメートル径の光ピットを形成する膜である。このピット形成層3は、通常では強く光を散乱させる機能を有しないが、レーザ光またはそれに付随した発熱によってナノメートル径のピットを形成できる。具体的には、ピット形成層3を構成するPtOx(またはAgOx)に、ある強度レベル以上のレーザ光が照射されると、そのレーザ光が照射された部分のPtOx(またはAgOx)は熱により分解し、ナノメートル径の爆発ガス(Ox)球が生じるとともに、その内部に多数のPt粒子(またはAg粒子)が散乱した状態で生じ、光散乱体ピット7が形成される。そして、この光散乱体ピット7のPt粒子にレーザ光が照射されることによりPt粒子の表面に近接場光が発生することによって、光散乱体ピット7自体が記録ピットとして作用する。
再生層5は、AgInSbTeまたはGe2Sb2Te5材からなり、カルコゲン化合物と呼ばれる合金が、レーザ光の照射により誘起された熱によって結晶間の可逆的な相変化を生じ、この相変化がもたらす光学特性の変化を利用してデータを再生する膜である。
このように構成されたスーパーレンズ光ディスクにデータを記録するには、通常の光学系を介してデータ記録用のレーザ光、すなわち強度レベルの大きなレーザ光をスーパーレンズ光ディスクに照射する。スーパーレンズ光ディスクに照射されたレーザ光は、ディスク基板1、第1保護層2、ピット形成層3および第2保護層4を介して再生層5に到達し、通常の大きさの光スポットを形成する。このとき、再生層5に形成される光スポットの中心部(光スポット径の1/10)の温度は、PtOx(またはAgOx)を熱分解する温度以上に達し、第2保護層4を介してピット形成層3に熱伝導が生じ、光散乱体ピット7に近接場光が発生する。
また、このように構成されたスーパーレンズ光ディスクからデータを再生するには、通常の光学系を介してデータ再生用のレーザ光、すなわち強度レベルの小さなレーザ光をスーパーレンズ光ディスクに照射する。スーパーレンズ光ディスクに照射されたレーザ光は、ディスク基板1、第1保護層2、ピット形成層3および第2保護層4を介して再生層5に到達し通常の大きさの光スポットを形成する。この場合、既に形成されている光散乱体ピット7上に光スポットが形成された場合には、光散乱体ピット7と再生層5の間で相互に近接場光が発生することによりピット形成層3に記録された光散乱体ピット7を読み出すことができる。また、光散乱体ピット7以外の部分に光スポットが形成された場合には、再生層5のみに近接場光が発生するだけで、光散乱体ピット7には近接場光の散乱しか発生せず、反射光に変化をもたらさない。
本発明の発明者らは、このスーパーレンズ光ディスクに関する研究を行う過程において、スーパーレンズ光ディスクに照射されたレーザ光の焦点が、スーパーレンズ光ディスクの記録層に合焦するフォーカス位置付近において、スーパーレンズ光ディスクから読み出される信号(以下、「読出し信号」という)にノイズ成分が発生することを発見した。通常、スーパーレンズ光ディスクに照射されるレーザ光の焦点がフォーカス位置にない場合には、スーパーレンズ光ディスクからの読出し信号にノイズ成分が発生することはない(図3(A)参照)。しかし、スーパーレンズ光ディスクに照射されるレーザ光が合焦するフォーカス位置付近になると、スーパーレンズ光ディスクからの読出し信号にノイズ成分が発生するようになる(図3(B)参照)。このノイズ成分が発生する原因は、詳しくは調査中であるが、スーパーレンズ光ディスクに照射されるレーザ光の焦点が合焦することによって生じる熱により、スーパーレンズ光ディスクの記録面に何らかの光学的な変化が生じているものと考えられる。
また、読出し信号の強度レベルを変えながら、この読出し信号中にノイズ成分が発生した対物レンズの光軸方向における位置の測定を行った結果を図4に示す。図において、縦軸は読出し信号の強度レベルを示し、横軸は光軸方向における対物レンズの位置を示しており、レーザ光が合焦した場合の対物レンズの位置(図示「0」の位置)(以下、「ジャストフォーカス位置」という)を基準として、マイナス側(図示左側)は、対物レンズがスーパーレンズ光ディスクに近づく方向を示し、プラス側(図示右側)は、対物レンズがスーパーレンズ光ディスクから離れる方向を示している。
また、打点は読出し信号中にノイズ成分が発生し始める位置を示している。これらのうち、黒丸(●)は、図5(A)に示すように、対物レンズをプラス側からジャストフォーカス位置に向けて連続的に変位させた場合に、読出し信号中にノイズ成分が発生し始める位置を示している。また、白丸(○)は、図5(B)に示すように、対物レンズをジャストフォーカス位置からマイナス側に向けて連続的に変位させた場合に、読出し信号中にノイズ成分が発生し始める位置を示している。また、黒ひし形(◆)は、図5(C)に示すように、対物レンズをマイナス側からジャストフォーカス位置に向けて連続的に変位させた場合に、読出し信号中にノイズ成分が発生し始める位置を示している。また、白ひし形(◇)は、図5(D)に示すように、対物レンズをジャストフォーカス位置からプラス側に向けて連続的に変位させた場合に、読出し信号中にノイズ成分が発生し始める位置を示している。
図4に示す測定結果によれば、スーパーレンズ光ディスクからの読出し信号の強度レベルがある範囲内(本測定では、3.5mWから5mW)において、ジャストフォーカス位置を挟む所定の範囲内(測定結果では、−500nm〜900nm)に対物レンズが位置すると、読出し信号中にノイズ成分が発生し始めるとともに、その後同ノイズ成分は発生し続けることが確認された。また、同ノイズ成分が発生する対物レンズの位置は、読出し信号の強度レベルが小さいほどジャストフォーカス位置との差は小さく、読出し信号の強度レベルが3.5mW付近の場合では、略ジャストフォーカス位置になることが確認された。ただし、読出し信号の強度レベルが3.5mW付近未満の場合には、読出し信号中にノイズ成分の発生は確認できなかった。
本発明は、このような読出し信号中にノイズ成分が発生する対物レンズの位置からジャストフォーカス位置を特定することができることに着目してなされたものである。
以下、上記ノイズ成分を利用してフォーカス位置を調整する一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、スーパーレンズ光ディスクDK(以下、単に「光ディスクDK」という)を検査する光ディスク検査装置の全体を概略的に示す概略ブロック図である。この光ディスク検査装置は、光ディスクDKを回転駆動する回転駆動装置10と、光ディスクDKにレーザ光を照射するとともに、同照射による光ディスクDKからの反射光を受光する光ピックアップ装置20を備えている。
駆動装置10は、光ディスクDKを回転駆動するためのスピンドルモータ11を備えている。スピンドルモータ11の回転軸12にはターンテーブル13が固定されており、光ディスクDKがターンテーブル12上に載置されるようになっている。スピンドルモータ11には、回転軸12の回転を検出して同回転を表す回転検出信号を出力するエンコーダ11aが内蔵されている。具体的には、エンコーダ11aは、回転検出信号として回転軸12が基準回転位置を通過するごとに基準信号φzを出力するとともに、回転軸12の所定の微小な回転角度ずつハイレベルとローレベルとを繰り返すパルス列信号φA,φBを出力する。この場合、これらのパルス列信号φA,φBの位相は互いにπ/2だけずれている。この回転検出信号φz,φA,φBは、モータ制御回路14に供給されており、モータ制御回路14は、回転検出信号φz,φA,φBを用いて、後述するコンピュータ装置50から指示された回転速度になるようスピンドルモータ11を一定速度で回転させる。
光ピックアップ装置20は、レーザ光源21、コリメートレンズ22、ビームスプリッタ23、1/4波長板24、対物レンズ25、凸レンズ26、シリンドリカルレンズ27および4分割フォトディテクタ28などから構成されている。この光ピックアップ装置20においては、レーザ光源21から出射されたレーザ光を、コリメートレンズ22、ビームスプリッタ23、1/4波長板24および対物レンズ25を介して光ディスクDKの記録層に集光させ、光ディスクDKの記録層上に光スポットを形成する。そして、この光ディスクDKの記録層に形成された光スポットからの反射光は、対物レンズ25、1/4波長板24、ビームスプリッタ23、凸レンズ26およびシリンドリカルレンズ27を介して4分割フォトディテクタ28に導かれて受光される。4分割フォトディテクタ28は、分割線で区切られた4つの同一正方形上の受光素子からなり、各受光素子は受光量に比例した電気信号に変換するとともに、受光信号A,B,C,DとしてHF信号増幅回路31にそれぞれ出力する。
また、この光ピックアップ装置20には、フォーカスアクチュエータ29も内蔵している。フォーカスアクチュエータ29は、対物レンズ25を光ディスクDKの盤面に対して垂直方向(光軸方向)に微動させて光スポットを光ディスクDKの記録層に正確に形成させる。なお、この光ピックアップ装置20のレーザ光源21には、レーザ光源21の作動を制御するため、後述するコンピュータ装置50が接続されている。
HF信号増幅回路31は、4分割フォトディテクタ28から出力されたそれぞれの受光信号A,B,C,Dを増幅して、再生信号生成回路32、フォーカスエラー信号生成回路41およびノイズ抽出回路45にそれぞれ出力する。再生信号生成回路32は、HF信号増幅回路31からの信号に基づいて再生信号(4分割フォトディテクタ28からの受光信号A〜Dの合算信号A+B+C+DからなるSUM信号)を生成し、ノイズ除去フィルタ33に出力する。ノイズ除去フィルタ33は、再生信号生成回路32から出力された再生信号に含まれるノイズ成分を除去した後、波形等価回路34に出力する。波形等価回路34は、ノイズ除去フィルタ33から出力された再生信号の振幅を周波数に応じて補正した後、2値化回路35に出力する。2値化回路35は、波形等価回路34から出力された再生信号を2値化、すなわちデジタル化して後述するコンピュータ装置50に出力する。
フォーカスエラー信号生成回路41は、HF信号増幅回路31から出力された受光信号A〜Dを用いた演算(具体的には、非点収差法による(A+C)−(B+D)の演算)によりフォーカスエラー信号を生成して、フォーカスサーボ回路42に出力する。フォーカスサーボ回路42は、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボ信号を生成してドライブ回路43に出力する。
ドライブ回路43は、フォーカスサーボ回路42から出力されるフォーカスサーボ信号、または後述するフォーカス引込み信号発生回路44から出力されるフォーカス引込み信号に応じて、フォーカスアクチュエータ29を駆動制御することによって対物レンズ25を光軸方向に変位させる。したがって、このドライブ回路43に出力される信号が前記フォーカスサーボ信号である場合には、フォーカスエラー信号生成回路41およびフォーカスサーボ回路42との協働により対物レンズ25のフォーカスサーボ制御が実現される。
フォーカス引込み信号発生回路44は、後述するコンピュータ装置50に制御されてフォーカス引込み信号をドライブ回路43に出力する。フォーカス引込み信号とは、対物レンズ25の光軸方向における変位可能範囲内において、対物レンズ25を同変位可能範囲内の一端から他端に連続的に変位させるための信号である。したがって、ドライブ回路43に出力される信号がフォーカス引込み信号である場合には、対物レンズ25は、光軸方向における変位可能範囲内の一端から他端に向けて連続的に変位する。
ノイズ抽出回路45は、ハイパスフィルタにより構成され、HF信号増幅回路31から出力された受光信号A〜Dを合算した信号からノイズ成分を取り出すとともに包絡線回路46に出力する。包絡線回路46は、半波整流器および積分回路により構成され、ノイズ抽出回路45から出力されるノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号として包絡線レベル検出回路47に出力する。包絡線レベル検出回路47は、比較器により構成され、後述するコンピュータ装置50に制御されて、包絡線回路46から出力されるノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になった場合に、コンピュータ装置50にノイズ検出信号を出力する。ここで、ノイズ信号の所定の基準値とは、光ディスクDKの記録層にレーザ光が合焦した場合に、受光信号A〜Dの合算信号中に発生するノイズ成分の大きさである。
コンピュータ装置50は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなり、キーボード、マウスなどからなる入力装置51からの指示に従って図示しないプログラムを実行することにより、光ディスクDKの検査を行うとともに、その検査結果をCRT,液晶ディスプレイまたはプリンタなどからなる出力装置52に出力させる。また、このコンピュータ装置50には、モータ制御回路14、レーザ光源21、フォーカスサーボ回路42、フォーカス引込み信号発生回路44および包絡線レベル検出回路47が、それぞれ接続されている。なお、本実施形態においては、対物レンズ25のトラックサーボ制御装置については本発明に直接関係しないので、その説明は省略する。
前記のように構成した本実施形態の作動について説明する。まず、作業者は、検査用データが記録されている被検査対象である光ディスクDKを支持プレート13上に載置固定し、図示しない電源スイッチの投入により、コンピュータ装置50を含む光ディスク検査装置の各種回路の作動を開始させる。
次に、作業者は、入力装置51を操作して光ディスクDKの所定の検査の開始をコンピュータ装置50に指示する。この指示に応答してコンピュータ装置50は、図示しないプログラムの実行により、光ディスクDKの検査を開始する。まず、コンピュータ装置50は、対物レンズ25のフォーカス引込みを行う。対物レンズ25のフォーカス引込みとは、対物レンズ25を早期に安定してフォーカスサーボ制御させる目的で、対物レンズ25のフォーカスサーボ制御が実行される前に、予め対物レンズ25を光軸方向におけるフォーカス位置付近に位置決めさせるものである。したがって、コンピュータ装置50は、対物レンズ25のフォーカスサーボ制御を禁止した状態で対物レンズ25のフォーカス引込みを実行する。具体的には、コンピュータ装置50は、モータ制御回路14、レーザ光源21、包絡線レベル検出回路47およびフォーカス引込み信号発生回路44を作動させるとともに、フォーカスサーボ回路42の作動を禁止する。
モータ制御回路14は、コンピュータ装置50の指示に応答して、エンコーダ11aから入力される回転検出信号φz,φA,φBを用いてスピンドルモータ11の回転を制御して光ディスクDKを線速度一定または角速度一定で回転させる。また、レーザ光源21は、前記コンピュータ装置50の指示に応答して、光ディスクDKに向けてレーザ光を照射する。この場合、本実施形態においては、レーザ光源21から照射されるレーザ光の強度レベルは、3.6mWである。これは、図4に示したように、読出し信号の強度レベルが3.5mW付近未満の場合には、読出し信号中にノイズ成分が発生しない場合があるとともに、3.5mWより大きくなるに従って読出し信号中にノイズ成分が発生する位置とジャストフォーカス位置との差が大きくなるからである。なお、本実施形態においては、3.6mWを採用したが、ノイズ成分が発生する対物レンズの位置がジャストフォーカス位置から多少のずれをもつことを許容するならば、これ以上の強度レベルを採用してもよい。
レーザ光源21から照射されたレーザ光は、光ディスクDKにて反射され4分割フォトディテクタ28により受光される。4分割フォトディテクタ28により受光された反射光は、受光量に相当する受光信号A〜Dに変換された後、HF信号増幅回路31により増幅され再生信号生成回路32、フォーカスエラー信号生成回路41およびノイズ抽出回路45にそれぞれ出力される。
ノイズ抽出回路45に出力された受光信号A〜Dは、ノイズ抽出回路45にて合算されるとともにノイズ成分が取り出された後、包絡線回路46を介して包絡線レベル検出回路47に出力される。そして、包絡線レベル検出回路47により、同合算された受光信号A〜D中に含まれるノイズ信号の大きさが監視される。なお、再生信号生成回路32に出力された受光信号A〜Dは、再生信号生成回路32にて合算(SUM信号に変換)され、ノイズ除去フィルタ33、波形等価回路34および2値化回路35を介してコンピュータ装置50に出力されるが、コンピュータ装置50は、対物レンズ25のフォーカス引込み処理を実行しているため、同出力は無視される。また、フォーカスエラー信号生成回路41も受光信号A〜Dに基づいてフォーカスエラー信号を生成してフォーカスサーボ回路42に出力するが、フォーカスサーボ回路42は、コンピュータ装置50によりその作動が禁止されているため、同出力は無視される。
フォーカス引込み信号生成回路44は、コンピュータ装置50の指示に応答して、フォーカス引込み信号をドライブ回路43に出力する。この場合、フォーカスサーボ回路42は、コンピュータ装置50によりその作動が禁止されているため、ドライブ回路43にはフォーカス引込み信号のみが入力されることになる。したがって、ドライブ回路43は、このフォーカス引込み信号に応じてフォーカスアクチュエータ29を駆動制御する。これにより対物レンズ25は、光軸方向における変位可能範囲内の一端から他端に向けて連続的に変位する。この場合、対物レンズ25が、光ディスクDKの記録面に対して合焦する位置(以下、「フォーカス位置」という)を通過することにより、光ディスクDKから読み出される信号中にノイズ成分が発生する。
一方、包絡線レベル検出回路47は、光ディスクDKからのノイズ信号の大きさを監視しており、同ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上となった場合、すなわち対物レンズ25がフォーカス位置を通過した際に発生するノイズ成分を検出した場合に、コンピュータ装置50に対しノイズ検出信号を出力する。コンピュータ装置50は、包絡線レベル検出回路48からノイズ検出信号が出力されると、直ちにフォーカス引込み信号発生回路45および包絡線レベル検出回路47の作動を禁止するとともに、フォーカスサーボ回路42の作動を開始させる。
フォーカス引込み信号発生回路44は、コンピュータ装置50からの指示に応答してフォーカス引込み信号の出力を停止する。これにより、ドライブ回路43は、フォーカス引込み信号による対物レンズ25の駆動制御を停止する。この場合、対物レンズ25はフォーカス位置またはフォーカス位置の極近傍に位置した状態である。また、包絡線レベル検出回路47もコンピュータ装置50からの指示に応答して作動を停止する。これにより、ノイズ検出信号の出力が停止する。
一方、フォーカスサーボ回路42は、コンピュータ装置50の指示に応答して作動を開始する。具体的には、フォーカスサーボ回路42には、フォーカスエラー信号生成回路41からフォーカスエラー信号が出力されているため、同フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボ信号を生成しドライブ回路43に出力する。この場合、ドライブ回路43には、フォーカス引込み信号発生回路44からのフォーカス引込み信号の出力が停止されると同時にフォーカスサーボ回路42からフォーカスサーボ信号が出力されることになる。したがって、ドライブ回路43は、このフォーカスサーボ信号に応じて引き続き対物レンズ25を駆動制御する。これにより、対物レンズ25のフォーカス位置制御がフォーカスサーボ制御に引き継がれ、対物レンズ25のフォーカス引込みが終了するとともに、フォーカスサーボ制御が開始される。
対物レンズ25のフォーカスサーボ制御が開始されると、再生信号生成回路32に出力される受光信号A〜Dは、再生信号生成回路32にて合算(SUM信号に変換)され、ノイズ除去フィルタ33、波形等価回路34および2値化回路35を介してコンピュータ装置50に出力されるとともに、コンピュータ装置50にて、光ディスクDKの所定の検査に用いられる。また、フォーカスエラー信号生成回路41に出力される受光信号A〜Dは、フォーカスエラー信号生成回路41、フォーカスサーボ回路42、ドライブ回路43およびフォーカスアクチュエータ29による対物レンズ25のフォーカスサーボ制御に用いられる。また、ノイズ抽出回路45に出力される受光信号A〜Dは、ノイズ抽出回路45にて合算されるとともにノイズ成分が取り出された後、包絡線回路46を介して包絡線レベル検出回路47に出力されるが、包絡線レベル検出回路47はコンピュータ装置50によりその作動が禁止されているため、同出力は無視される。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、光ディスクDKからの反射光に含まれるノイズ成分を利用して対物レンズ25のフォーカス引込みを行っている。この場合、光ディスクDKから4分割フォトディテクタ28を介して出力される受光信号A〜Dを合算した信号から、光ディスクDKの記録層にレーザ光が合焦した場合に発生するノイズ成分を取り出すことができればよいので、対物レンズ25および4分割フォトディテクタ28を含む光ピックアップ装置20内の各光学系の相対的な位置および角度を厳密に調整する必要がない。このため、光ピックアップ装置20内の各光学系の相対的な位置および角度の調整を簡単かつ短時間に行っただけで、光ディスクDKの検査作業を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
上記実施形態においては、光ディスクDKから読み出される信号中に発生するノイズ成分に基づいてフォーカス引込み信号発生回路44による対物レンズ25のフォーカス引込みを行った。しかし、このフォーカス引込み信号発生回路44によるフォーカス引込みに代え、光ディスクDKから読み出される信号中に発生するノイズ成分を利用して、作業者のマニュアル操作によって、対物レンズ25をフォーカスサーボ制御に先立って予めフォーカス位置付近に位置させることもできる。具体的には、図1の破線に示すように、ノイズ抽出回路45、包絡線回路46および包絡線レベル検出回路47に代えてオシロスコープ61を設けるとともに、フォーカス引込み信号発生回路44に代えてポテンショメータ62を設ける。
オシロスコープ61は、再生信号生成回路32に接続され、再生信号生成回路32から出力される受光信号A〜Dを合算した合算信号を経時的に表示する。この場合、前記合算信号中にノイズ成分が含まれていない場合には、図3(A)に示すように、合算信号のみがオシロスコープ61に表示される。また、前記合算信号中にノイズ成分が含まれている場合には、図3(B)に示すように、合算信号とともに同ノイズ成分がオシロスコープ61に表示される。
ポテンショメータ62は、マニュアル操作により、その出力電圧を任意に調整することを可能とするもので、この調整した出力電圧を位置調整信号としてセレクタ63を介してフォーカスアクチュエータ29に出力する。これにより、対物レンズ25は、この位置調整信号に応じて光軸方向に駆動制御される。したがって、このポテンショメータ62を操作することにより、対物レンズ25の光軸方向における位置を任意に変化させることができる。セレクタ63は、ドライブ回路43から出力されるフォーカスアクチュエータ29を駆動制御するための駆動信号と、前記ポテンショメータ62から出力される位置調整信号とを入力するもので、コンピュータ装置50により制御されて、両信号を選択的にフォーカスアクチュエータ29に出力する。これら以外の構成は、上記実施形態と同様である。
このように構成された光ディスク検査装置の使用に際しては、作業者は、検査用データが記録されている被検査対象である光ディスクDKを支持プレート13上に載置固定し、図示しない電源スイッチの投入により、コンピュータ装置50を含む光ディスク検査装置の各種回路の作動を開始させる。
次に、作業者は、入力装置51を操作して対物レンズ25の初期位置調整をコンピュータ装置50に指示する。この対物レンズ25の初期位置調整とは、対物レンズ25のフォーカスサーボ制御に先立って、対物レンズ25を光ディスクDKに対するフォーカス位置付近に予め位置決めさせるものである。したがって、コンピュータ装置50は、対物レンズ25のフォーカスサーボ制御を禁止した状態で対物レンズ25の初期位置調整を行う。具体的には、コンピュータ装置50は、モータ制御回路14およびレーザ光源21を作動させるとともに、フォーカスサーボ回路42の作動を禁止する。
前記コンピュータ装置50の指示に応答して、モータ制御回路14およびレーザ光源21は上記実施形態と同様に作動を開始する。これにより、オシロスコープ61には、HF信号増幅回路31を介して光ディスクDKからの受光信号A〜Dの合算信号が表示されることになる。次に、コンピュータ装置50は、ポテンショメータ62からの位置調整信号をフォーカスアクチュエータ63に出力するようにセレクタ63を制御する。これにより、作業者は、ポテンショメータ62をマニュアル操作することによって、対物レンズ25をフォーカス位置付近に位置調整することができる。具体的には、前記オシロスコープ61に表示されるノイズ成分の発生を確認しながらポテンショメータ62をマニュアル操作することにより対物レンズ25を光軸方向に変位させる。そして、オシロスコープ61に表示される前記ノイズ成分の大きさが所定の大きさ以上となったときの対物レンズ25の位置をフォーカス位置として位置決めさせる。ここで所定の大きさとは、光ディスクDKの記録層にレーザ光が合焦した場合に、受光信号A〜Dの合算信号中に発生するノイズ成分の大きさである。
次に、作業者は、入力装置51を操作して光ディスクDKの検査の開始をコンピュータ装置50に指示する。この指示に応答してコンピュータ装置50は、モータ制御回路14およびレーザ光源21の作動に加えてフォーカスサーボ回路42の作動を指示するとともに、ドライブ回路43からの駆動信号をフォーカスアクチュエータ29に出力するようにセレクタ63を制御する。フォーカスサーボ回路42は、コンピュータ装置50の指示に応答して作動を開始する。
具体的には、フォーカスサーボ回路42には、フォーカスエラー信号生成回路41からフォーカスエラー信号が出力されているため、同フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボ信号を生成しドライブ回路43に出力する。ドライブ回路43は、同フォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ29の駆動制御を開始する。この場合、セレクタ63は、コンピュータ装置50に制御されてポテンショメータから出力される位置調整信号の出力を停止すると同時に、ドライブ回路43から出力される駆動信号をフォーカスアクチュエータ29に出力する。これにより、対物レンズ25が、フォーカス位置またはフォーカス位置の極近傍に位置した状態から、フォーカスサーボ制御が開始される。
対物レンズ25のフォーカスサーボ制御が開始されると、再生信号生成回路32に出力される受光信号A〜Dの合算信号(SUM信号)は、ノイズ除去フィルタ33、波形等価回路34および2値化回路35を介してコンピュータ装置50に出力されるとともに、コンピュータ装置50にて、光ディスクDKの所定の検査に用いられる。また、フォーカスエラー信号生成回路41に出力される受光信号A〜Dは、フォーカスエラー信号生成回路41、フォーカスサーボ回路42、ドライブ回路43およびフォーカスアクチュエータ29による対物レンズ25のフォーカスサーボ制御に用いられる。
上記作動説明からも理解できるように、前記変形例によれば、光ディスクDKからHF信号増幅回路31を介して出力される受光信号A〜Dの合算信号に含まれるノイズ成分をオシロスコープ61に表示させるとともに、ポテンショメータ62をマニュアル操作することにより対物レンズ25のフォーカス位置の調整を行っている。これにより、作業者は、オシロスコープ61に表示される同ノイズ成分の発生のみを確認しながら対物レンズ25の位置調整ができるため、極めて簡単に対物レンズ25をフォーカス位置に調整することができる。また、オシロスコープ61に同ノイズ成分を表示させるための専用の回路を別途用意する必要がないため、光ディスク検査装置を簡単かつ安価に構成することができる。
なお、ノイズ成分を検出することによる対物レンズ25のフォーカス位置の検出が、対物レンズ25の光軸方向における変位可能範囲の中心位置(フォーカスアクチュエータ29に通電がされないときの対物レンズ25の位置にほぼ等しい)から大きくずれた位置で行われた場合には、一旦、光ディスク検査装置の作動を停止し、光ピックアップ装置20の縦方向の位置を調整して対物レンズ25の光軸方向における変位可能範囲の中心付近で対物レンズ25のフォーカス位置の検出が行われるようにすることが望ましい。このようにすれば、再生信号の精度を向上させることができるとともに、フォーカス外れが生じる可能性を大幅に低くすることができる。
上記変形例においては、上記実施形態における対物レンズ25のフォーカス引込みに代えて対物レンズ25の初期位置調整を行ったが、これに限定されるものではなく、上記実施形態に加えて対物レンズ25の初期位置調整を行ってもよい。具体的には、上記実施形態における対物レンズ25のフォーカス引込みに先立って、対物レンズ25の初期位置調整を行う。この場合、対物レンズ25の初期位置調整に使用した光ディスクDK上のトラックとは別のトラックを使用して、対物レンズ25のフォーカス引込みを行うようにする。これは、対物レンズ25の初期位置調整またはフォーカス引込みによって一旦ノイズ成分が発生したトラックでは、その後ノイズ成分が発生し続けるため、トラックを替えてノイズ成分の発生を改めて検出することができるようにするためである。これにより、対物レンズ25のフォーカス引込みにおいて、対物レンズ25を変位させる距離を短縮することができ、対物レンズ25のフォーカス引込みを短時間に行うことができるとともに、対物レンズ25のフォーカスサーボ制御をさらに早期に安定して行わせることができる。
また、上記実施形態および上記変形例においては、光ディスクDKを検査するための光ディスク検査装置に本発明を適用するようにしたが、本発明は光ディスクDKにレーザ光を照射するとともに、同照射による光ディスクDKからの反射光を受光する光ピックアップ装置の検査装置にも適用できるものである。
本発明の一実施形態に係る光ディスク検査装置の全体を概略的に示す概略ブロック図である。 超解像近接場構造を用いた光ディスクの断面を示す説明図である。 (A)は、ノイズ成分が含まれない光ディスクからの読出し信号を概略的に示す波形図であり、(B)は、ノイズ成分が含まれる光ディスクからの読出し信号を概略的に示す波形図である。 読出し信号中にノイズが発生した対物レンズの光軸方向における位置の測定結果を示す説明図である。 (A)〜(D)は、図4中における打点を説明するための説明図である。
符号の説明
DK…光ディスク、10…回転駆動装置、11…スピンドルモータ、20…光ピックアップ装置、21…レーザ光源、25…対物レンズ、27…4分割フォトディテクタ、29…フォーカスアクチュエータ、31…HF信号増幅回路、41…フォーカスエラー信号生成回路、42…フォーカスサーボ回路、43…ドライブ回路、44…フォーカス引込み信号発生回路、45…ノイズ抽出回路、46…包絡線回路、47…包絡線レベル検出回路、50…コンピュータ装置、61…オシロスコープ、62…ポテンショメータ、63…セレクタ

Claims (3)

  1. レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整装置において、
    対物レンズの光ディスクに対する相対位置を連続的に変化させる連続変化手段と、
    前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出するノイズ抽出手段と、
    前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、前記対物レンズの光ディスクに対する相対位置を対物レンズのフォーカス位置として決定するフォーカス位置決定手段とを設けた光ディスク装置のためのフォーカス位置調整装置。
  2. レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置に適用され、
    対物レンズの光ディスクに対する相対位置を連続かつ自動的に変化させ
    前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出し、かつ
    前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、前記対物レンズの光ディスクに対する相対位置を対物レンズのフォーカス位置とするようにした光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整方法。
  3. レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面に照射する対物レンズと、前記光ディスクの記録面からの反射光を受光して受光量に比例した電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子によって変換された電気信号を用いて光ディスクを検査するコンピュータとを備えた光ディスク検査装置に適用され、
    前記受光素子によって変換された電気信号を表示し、
    前記対物レンズのフォーカス位置の調整をマニュアル操作によって行い
    前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて、前記超解像近接場構造を用いた光ディスクの記録面にレーザ光の焦点が合焦するフォーカス位置付近において発生するノイズ成分である、前記受光素子によって変換された電気信号に含まれていて前記コンピュータによって光ディスクの検査に用いられる信号の周波数に比べて高い周波数成分を抽出し、かつ
    前記抽出されたノイズ成分の包絡線を検出してノイズ信号とするとともに、前記ノイズ信号の大きさが所定の基準値以上になったことを検出したとき、対物レンズの位置をフォーカス位置として位置決めさせる光ディスク検査装置のためのフォーカス位置調整方法。
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