JP4254207B2 - 発電装置、この発電装置を有する電子機器 - Google Patents

発電装置、この発電装置を有する電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電装置、発電装置を有する電子機器およびエンコーダに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、外部から与えられる運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置が知られ、例えば、腕時計などに組み込まれ腕時計に与えられる動きから発電する発電装置が知られている(例えば、特許文献1)。
この発電装置は、外部から与えられる振動によって回転される回転錘と、この回転錘の回転エネルギーを伝達する輪列と、輪列により伝達された回転エネルギーから発電する発電機とを備えている。
発電機は、二極に着磁されたロータと、このロータの回転にて生じる磁束変動を伝達するヨークと、ヨークにて伝達された磁束変動から発電する発電コイルとを備えて構成されている。
このような構成において、外部から振動が与えられると、回転錘が回転される。すると、回転錘の回転により回転エネルギーが生じ、この回転エネルギーは輪列にて伝達される。輪列にて伝達された回転エネルギーにてロータが回転される。ロータの回転にて生じる磁束変動がヨークを伝わって発電コイルに起電力が誘起される。
この発電装置で発電された電力により、水晶振動子を励振させ、水晶振動子の振動から得られる基準クロックに基づいて時刻表示が行われる。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−174976
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記発電装置では発電量が微小であるため、時計などのように消費電力が少ないものにしか適用できず、その他の電子機器には発電量が足りないという問題がある。
ここで、発電装置の発電量を大きくするには、回転錘を大きくしたり、発電機のロータ、ヨークおよび発電コイルを大きくするなど発電装置自体を大型化することも考えられる。しかし、発電装置を単純に大きくすると、電子機器に組み込みにくいうえに、電子機器が大型化されてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、従来の問題を解消し、小型、薄型であって発電量の大きい発電装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の発電装置は、外部から供給される運動エネルギーにより回転され磁性を有するロータ、前記ロータの回転にて発生する磁束を伝達するヨークおよび前記ヨークにて伝達される磁束により発電する発電コイルを有する発電ユニットとを備え、前記運動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する発電装置であって、前記発電ユニットは、複数設けられ、かつ、前記各発電ユニットは、前記ロータの回転軸に直交する平面においてそれぞれ異なる位置に配置され、前記ロータはすべて、同一の運動エネルギーにより回転され、前記各ロータの磁極の位相は、略等角度ずつずれていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、外部から与えられる運動エネルギーによりロータが回転される。ロータの回転により生じる磁束変動がヨークによって発電コイルに伝達され、発電コイルに誘導起電力が生じる。
発電ユニットが2以上設けられているので、その分発電量を大きくすることができる。すると、消費電力が大きい電子機器であっても、この発電装置を組み込むことにより、外部からの運動エネルギーで作動させることができ、電池や商用電源を必要としない電子機器とすることができる。
【0008】
発電ユニットが二つ以上設けられているところ、この発電ユニットは平面的に異なる位置に配置されて互いに重ならないので、発電量が大きいながらも発電装置を薄型に構成することができる。
1つの運動エネルギーを二つ以上の発電ユニットに分散させることにより、個々の発電ユニットを小型化することができる。例えば、発電ユニットを1つにして発電量を大きくしようとすれば、一つのヨークに多量の磁束を流さなければならないため、ヨークを大きく厚いものとしなければならない。同様に発電ユニットを1つにしようとすれば、発電コイルも大きくしなければならない。しかし、本発明では、発電ユニットが二つ以上であることにより、個々のヨークや発電コイルは分散された磁束を利用する大きさでよいことから、小型化、薄型化することができ、その結果、発電装置を小型化、薄型化することができる。
また、すべてのロータが同一の運動エネルギーで回転されることとすれば、運動エネルギーを供給する手段を1つとすることができ、それぞれのロータに運動エネルギーを供給する手段を別個に設けることに比べて発電装置を小型化することができる。
【0009】
発電装置において、個々の発電ユニットの配置は自由であるので、例えば、この発電装置を組み込む電子機器内のスペースに応じて適宜発電ユニットの配置を変更すれば、空間利用効率を向上させることができる。
それぞれの発電ユニットが独立しており、個々にロータ、ヨークおよび発電コイルを有しているので、個々の発電ユニットの磁束が干渉し合うことがなく、個々の発電ユニットでの発電効率を高く維持することができる。また、互いに干渉し合うことがないので、個々の発電ユニットで位相、周期、電圧等が異なる電力を発電することができ、この異なる電力を別々に利用することができ、例えば、異なる電気ブロックに送電することができる。
【0010】
また、1つの発電ユニットで得られる発電量を複数の発電ユニットで得る場合には、各発電ユニットでの発電量を少なくすることができる。従って、各発電ユニットのロータの回転速度を低下させることができる。例えば、運動エネルギーをロータに伝達するために増速輪列を用いる場合でも、増速輪列の輪列比を小さくして増速輪列によるエネルギー伝達効率を向上させることができる。つまり、増速比を小さくすることができれば、輪列の数を少なくできるので歯車から歯車へエネルギーを伝達する際のエネルギー損失を少なくすることができる。あるいは、発電装置の発電量が大きいので、入力される運動エネルギーを大きくしても、すべても運動エネルギーを無駄なくすべて電気エネルギーに変換することができる。
【0011】
本発明では、前記ロータの磁極の位相は、略等角度ずつずれている。したがって、ロータの位相、すなわち、ロータが発電コイルに対して有する位相が等角度ずつずれていれば、各発電ユニットにおいて発電コイルからロータに作用する磁力抵抗は、発電装置全体でみると時間的に平滑化されるので、外部から与えられる運動エネルギーにより、各ロータが円滑に回転される。すると、各発電ユニットにおける発電効率を高く維持することができる。
また、ロータの位相が等角度ずつずれていれば、発電装置で発電される電力の出力波形が平滑化され、コンデンサ等を必要とせず回路構成を簡略化することができる。
なお、ロータの位相は等角度ずつずれていることが好ましいが、±5〜10°程度の違いは許容範囲であり、発電装置からの出力波形の平滑度が損なわれない程度であればよい。
【0013】
本発明では、前記発電ユニットは3の倍数個設けられ、前記ロータの位相は、略等角度ずつずれていることが好ましい。
【0014】
このような構成において、例えば、発電ユニットを3つとして、各発電ユニットごとにロータの位相を120°ずつずらすと、3相交流を得ることができる。すると、この三相交流をΔ結線あるいはY結線などで構成される整流回路を用いて整流すれば、回路構成が簡略化される。また、発電ユニットを6つとして各発電ユニットごとにロータの位相を60°ずつずらすとすれば、位相が0°、120°、240°の組と、位相が60°、180°、300°の組とで三相交流の組が二組得られる。そこで、それぞれの組を整流回路で整流したのち合成すれば、回路構成が簡便で発電量の大きい発電装置とすることができる。なお、ロータの位相は等角度ずつずれていることが好ましいが、±5〜10°程度の違いは許容される。
【0015】
本発明では、外部から与えられる前記運動エネルギーにより回動されて前記運動エネルギーを回転エネルギーに変換するエネルギー変換手段を備えていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、エネルギー変換手段により外部から与えられた運動エネルギーが回転のエネルギーに変換される。すると、この回転エネルギーによってロータを回転させることができる。つまり、外部から与えられる運動エネルギーを発電で利用される回転エネルギーに直接変換することにより、エネルギー損失が少なく、与えられた運動エネルギーから効率よく発電装置にて発電することができる。また、回転エネルギーは、歯車列によって伝達することが容易であるので、歯車列を利用することにより発電ユニットの配置を自由に設計変更できる。
【0017】
本発明では、前記エネルギー変換手段は、外部から与えられる前記運動エネルギーにより回転運動される回転錘を有することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、外部から運動エネルギーが与えられると、回転錘が回転される。この回転錘の回転により運動エネルギーが回転エネルギーに変換される。回転錘は、回転錘の重さや、回転軸と重りとの距離等を調整することにより大きなモーメントを有する形状とできるので、外部からの運動エネルギーを効率よく大きな回転エネルギーに変換することができる。また、回転錘は扁平形状であるので、発電装置自体を薄型に構成できる。
【0019】
本発明では、前記回転錘は、少なくともいずれかの前記発電ユニットの厚み方向に重畳して配置されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、回転錘と発電ユニットとが重畳されている分、回転錘の回転軌跡の平面における発電装置の大きさは小さくすることができる。
回転錘は一般に扁平形状であり、また、発電ユニットも小型化、薄型化されているので、回転錘と発電ユニットとが重畳されても、発電装置の厚みはそれほど厚くはならず、薄型に構成される。
【0021】
本発明では、前記各発電ユニットは、前記回転錘の回転軸方向から見たときに、前記回転錘の回転軌跡面内に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、回転錘の回転軌跡の平面における発電装置の大きさは、回転錘の回転軌跡の大きさとすることができる。よって、発電装置が小型化される。
【0022】
本発明では、前記発電ユニットは、前記回転錘の回転軸から略等距離に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、発電ユニットが回転錘の回転軸の周囲に円形状に配置されることから、1つの回転錘の回転エネルギーを複数の発電ユニットで利用しやすく、また、発電装置が小型化される。なお、発電装置を組み込む電子機器内のスペースなどに応じて、発電ユニットの配置は回転軸から等距離でなくても多少のずれは許容される。
【0023】
本発明では、前記回転エネルギーを前記ロータに向かって伝達する増速輪列が設けられていることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、回転エネルギーが増速輪列によって増速されてロータに伝達され、ロータが高速で回転される。ロータを高速で回転させることにより、ロータの回転で生じる磁束変化を大きくできるので、発電コイルでの発電量を大きくすることができる。ここで、発電ユニットを小型に構成しようとした場合、ロータも小型となり、ロータの磁力が小さくなる。この場合でも、増速輪列によって回転エネルギーを増速してロータに伝達してロータを高速回転させれば、十分な磁束変動を得ることができる。
【0025】
本発明では、前記増速輪列と前記発電コイルとは、前記ロータの回転軸に直交する平面において異なる位置に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、発電コイルと増速輪列とが重ならないので、発電装置の厚みを薄くできる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の発電装置を有することを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、外部から与えられる運動エネルギーから発電装置で発電することができるので、電子機器は、電池や商用電源を必要としない。よって、この電子機器は、電池交換の手間がなく、発電装置が故障しない限りは半永久的にメンテナンス不要である。また、商用電源を引き込むケーブルなどを必要としないため、持ち運びに便利であり、電源がとれない山でも海でも使用できる。また、発電装置は小型かつ薄型であることから電子機器に組み込んでも電子機器の大きさに影響を与えることがない。また、発電能力も大きいことから、消費電力が大きい電子機器に組み込んでも電子機器の電力を賄うことができる。
【0028】
本発明のエンコーダは、外部から供給される運動エネルギーにより運動される運動体と、前記運動体の運動により回転され磁性を有するロータ、前記ロータの回転にて発生する磁束変動を伝達するヨークおよび前記ヨークにて伝達される磁束により発電する発電コイルを有する発電ユニットと、を備える発電装置と、前記発電装置にて発電された電力の電圧値あるいは電流値を検出する電力検出手段と、前記電力検出手段による検出結果から前記運動体の運動方向を判断する運動方向判断手段とを備え、前記発電ユニットは、3つ以上設けられ、前記ロータはすべて、同一の前記運動体から生じる運動エネルギーにより回転され、前記ロータの位相は各発電ユニットごとに異なっていることを特徴とする。
【0029】
このような構成において、外部から運動エネルギーが与えられると、運動体が運動される。この運動体の運動によりロータが回転され、ロータの回転により生じる磁束変動がヨークにて伝達されて発電コイルに誘導起電力が生じる。
ここで、3つ以上の発電ユニットのロータの発電コイルに対する位相はそれぞれ異なる。すると、運動体の運動方向に起因するロータの回転方向によって、各発電ユニットで生じる電力を合成した波形の電流、電圧の位相が異なってくる。そこで、発電装置で発電される電流あるいは電圧の波形を電力検出手段で検出する。運動方向判断手段は、予めロータの回転方向と発電波形の関係とを記憶しておき、電力検出手段での検出結果から運動体の運動方向を判断する。
このような構成によれば、外部から与えられる運動エネルギーで発電することができるため、電池や商用電源などを必要としないエンコーダを構成することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態として、発電装置を有する電子機器としての警報装置を示す。
この警報装置1は、略扁平矩形状のケース体2と、このケース体2に与えられる運動エネルギーとしての振動により発電する発電装置3と、発電装置3で発電された電流を整流する整流手段4と、発電装置3からの電圧レベルにより振動のレベルを判断する振動判断手段と、振動判断手段による判断に基づいて振動が与えられた旨の警報を告知する告知手段5とを備えて構成されている。
【0031】
ケース体2は、内部に収納空間を有する略扁平矩形状である。厚みは数mm程度の薄いカード型である。ケース体2の背面には、このケース体2が設置される設置対象に対して係合あるいは貼着可能な設置手段(不図示)が設けられている。この設置手段としては、例えば、ドアやかばん等に係合されるフックや、あるいはドアやかばんに対して貼着される粘着面等が例示される。
ケース体2の前面には、種種の情報を発音するためのスピーカ部51が設けられている。
【0032】
発電装置3は、ケース体2の内部に設けられている。発電装置3は、ケース体2に対して外部から与えられる振動(運動エネルギー)により回転する運動体である回転錘31(エネルギー変換手段)と、この回転錘31の回転による回転エネルギーを伝達する増速輪列としての輪列部34と、輪列部34により伝達された回転エネルギーにより発電する発電ユニット35A、35B、35Cとを備えて構成されている。
【0033】
回転錘31は、略半円形状で外周縁に重り32が設けられた扁平形状である。回転錘31は、ケース体2の内部において回転軸33によりケース体2に対して回転可能に支持されている。回転錘31の回転軸方向は、ケース体2の前面から背面に向かう方向に平行であり、回転錘31の最も薄い方向とケース体2の最も薄い方向は互い平行である。
ケース体2が設置されたドアあるいはかばんに振動が与えられると、この振動による運動エネルギーによって回転錘31が回転され回転エネルギーが発生される。
【0034】
輪列部34は、回転錘31と同軸に設けられ回転錘31と一体に回転する歯車34Aと、この歯車34Aから順次回転錘31の回転エネルギーを伝達する歯車34B、34C、34D、34Eと、歯車34Eに噛合した入力車34Fとを備えて構成されている。この輪列部34により、回転錘31の回転が増速されて伝達される。
【0035】
図2に、入力車34Fと、発電ユニット35A、35B、35Cの構成を示す。図3に、図2中III-III線における断面図を示す。図4に、図2中IV-IV線における断面図を示す。
発電ユニットとしては、発電ユニット35A、発電ユニット35B、発電ユニット35Cの3つが設けられている。
各発電ユニット35A〜35Cは、回転錘31の回転が伝達された入力車の回転により回転される二極に着磁されたロータ351と、ロータ351の回転により生じる磁界変動により発電する発電コイル353と、ロータ351の磁束を発電コイル353に伝えるヨーク356とを備えて構成されている。
【0036】
各発電ユニット35A〜35Cは同じ構成であって、入力車34Fの円周に120°間隔で配置されることにより3つ設けられている。発電ユニット35A〜35Cは、ロータ351の回転軸に直交する平面上すなわちケース体2の下面において異なる位置に配置され、お互いに重なり合わないで配置されている。発電ユニット35A〜35Cが3つであることにより、発電ユニットが1つである場合に比べて発電される電気エネルギーが増大される。
【0037】
ロータ351は、扁平円板状であり、同軸に設けられたカナ車352を有している。ロータ351およびカナ車352は、ケース体2の上面とケース体の下面とにより軸受け部21を介して回転自在に軸受けされている(図3、図4参照)。カナ車352が入力車34Fに噛合され、入力車34Fの回転がカナ車352を介してロータ351に伝達される(図3参照)。
ロータ351は、二極に着磁された永久磁石でありヨーク356に対して回転自在である。
ロータ351は、このロータを有する発電ユニットの発電コイルに対してN極からS極に向かう磁気的分極方向がそれぞれ120°ずつずれて配置されている。これは、組み立て工程の際に、発電コイル353に対して磁気的分極方向が120°ずつずれた状態でロータ351を入力車34Fに噛合させることにより行われる。例えば、発電コイル353の軸方向に直交する方向が互いに120°で交差している状態で発電装置3の外から一方向の磁界をかけてすべてのロータ351の方向を揃えてやれば、各発電ユニット35A〜35Cごとにロータ351の位相が120°ずつずれることとなる。このようにロータ351の位相が120°ずつずれた位置関係を保つことにより、各発電コイル353で発電される交流電流の位相が120°ずつずれたものとなる。
【0038】
発電コイル353は、発電コイル353の軸に直交する直線の延長線LA〜LCがそれぞれ互いに120°で交差する位置に互いに配置され、それぞれに発生する磁束が隣接する発電コイル353に干渉しにくい構成とされている。発電コイル353は、コイル芯354に巻かれており、コイル芯354は、ネジ355によりヨーク356にネジ止めされている(図4参照)。
【0039】
ヨーク356は、扁平な板状であってロータ351の回転による磁束変化を発電コイル353に導く形状で、発電コイル353の両端を挟む形状である。なお、ヨーク356の厚みは十分に薄いものであり、例えば、3つの発電ユニット35A〜35Cで生じる起電力を1つの発電ユニットで賄う場合に用いられるヨークの厚みに比して略3分の1の厚みである。
ロータ351の厚み方向とヨーク356の厚み方向は平行に互いの薄い方向を揃えて配置され、発電ユニットとしての厚みは非常に薄く形成されている。
ヨーク356は、互いに重なり合うことなく配置され、また、各底面が略同一平面上に配置されている。
【0040】
このような発電ユニット35A〜35Cにおいて、回転錘31の回転が輪列部34により伝達されて入力車34Fに続いて伝え車34Gが回転されると、この伝え車34Gの回転によりロータ351が回転される。すると、ロータ351の回転により生じる磁束の変化がヨーク356により発電コイル353に伝達される。この磁束変化により発電コイル353に起電力が誘起される。
各発電ユニット35A〜35Cで発電された電力は、それぞれの発電ユニット35A〜35Cに接続されたケーブル357(図1参照)にて伝送されたのち整流手段4で整流されて合成される。
【0041】
図5に、整流手段4を示す。整流手段4は、それぞれの発電コイル353に対して接続されたブリッジ回路41を備え、三つのブリッジ回路41で構成されている。ブリッジ回路41は、四つのダイオード42が矩形状に直列に接続されたものであり、矩形の対角線を境にして一方側と他方側とがそれぞれ発電コイル353に接続されている。そして、各ブリッジ回路41にて整流された電流は直列つなぎで合成されている。図6に、各発電コイル353から出力される電圧の波形W1と、整流手段4で整流されたのちに合成された合成波形W2とを示す。各発電コイル353から出力される電圧の波形W1は、互いに等角度の位相ずつ、つまり120°ずつずれている。合成波形W2は、全体に平滑であり、その電圧値は各発電コイル353からの電圧値の略2倍である。
【0042】
振動判断手段は、特に図示しないが、発電装置3からの電圧と予め設定された閾値とを比較する比較する比較回路を有して構成されている。発電装置3で発電された電流は整流手段4で整流されたのちに合成されるところ、比較回路は、この合成波の電圧を設定された閾値と比較して、合成波の電圧が閾値を超えている場合には、電圧検出の信号を出力する。
【0043】
告知手段5は、ケース体2の表面に設けられ警報を発音する聴覚的告知手段としてのスピーカ部51で構成されている。告知手段5は、振動判断手段からの信号を受けると、発電装置3からの電力により警報を告知するアラーム音を発する。この警報により、ケース体2に振動が与えられたことが告知される。
【0044】
このような構成からなる警報装置1の使用および動作について説明する。
まず、警報装置1を家のドアやかばんなどに取付ける。この状態で、ドアが無理にこじ開けられたり、あるいはかばんが乱暴にひったくられるなどにより、ケース体2に対して強い振動が与えられると、回転錘31が回転される。回転錘31の回転は、輪列部34により伝達され、入力車34Fからロータ351が回転される。ロータ351の回転により生じる磁束変化はヨーク356を伝わって発電コイル353に伝達され、発電コイル353にて誘導起電力が生じる。発電コイル353からの電流は整流手段4にて整流されて合成される。合成された合成波は振動判断手段の比較回路で閾値と比較されて、合成波の電圧が設定された閾値よりも高い場合には、告知手段5に電圧検出の信号が出力される。告知手段5は、振動判断手段からの信号を受けて、発電装置3からの電力によりスピーカ部51から警報を発する。
【0045】
また、ケース体2に加えられる振動が弱い場合には、回転錘31の回転エネルギーが小さくなり、発電装置3での起電力が小さい。すると、振動判断手段から電圧検出の信号が出力されず、スピーカ部51から警報が発せられない。
【0046】
以上、このような構成からなる第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
【0047】
(1)発電装置3は、三つの発電ユニット35A〜35Cを備えて構成されている。よって、発電ユニットが1つの場合に比べて大きな電力を発電することができる。その結果、この発電装置3で発電される電力のみでこの警報装置1を動作させることができ、また、バッテリー不要で商用電源不要の警報装置1とすることができる。また、1つの発電ユニットで得られる発電量を3つの発電ユニット35A〜35Cで得る場合には、各発電ユニットでの発電量は三分の一でよいことになる。従って、各発電ユニット35A〜35Cのロータ351の回転速度を低下させることができる。その結果、輪列34の増速比を小さくして輪列34によるエネルギー伝達効率を向上させることができる。あるいは、発電装置3の発電量が大きいので、回転錘31のモーメントを大きくして回転錘31で得られる運動エネルギーを大きくした場合でも、すべても運動エネルギーを無駄なくすべて電気エネルギーに変換することができる。
【0048】
(2)発電ユニット35A〜35Cはロータ351の磁気的分極方向が発電コイル353に対して120°ずつずれた位置関係にあるので、各発電ユニット35A〜35Cからの電流は120°ずつ位相がずれた3相交流とすることができる。この三相交流をそれぞれ整流して合成することにより、平滑化された電圧を得ることができる。ロータ351と発電コイル353との位相が120°ずつずれていれば、各発電ユニット35A〜35Cから回転錘31に作用する電磁ブレーキも均等に平滑化される。よって、外部からの振動により回転錘31が円滑に回転され、振動が効率よく回転エネルギーに変換される。
【0049】
(3)発電コイル353の軸に直交する直線の延長線が互いに120°で交差するように発電ユニット35A〜35Cが配置されているので、発電コイル353からの磁束が互いに干渉しにくく、発電ユニット35A〜35Cによる発電効率が高いものとできる。
また、各発電ユニット35A〜35Cがそれぞれ独立にヨーク356を有しているので、各ロータ351から生じる磁束は各ヨーク351内にて閉ループを形成する。その結果、発電ユニット同士で磁束が干渉することがなく、発電効率が高く維持される。さらに、各発電ユニット35A〜35Cで磁束が干渉し合わないので、各発電ユニット35A〜35Cからの電圧の位相をそれそれ独立したものとでき、120°ずつ位相が異なる三相交流とすることができる。
【0050】
(4)ロータ351およびヨーク356が扁平形状であり、かつ、互いの厚み方向が平行に配置されている。さらに、発電ユニット35A〜35Cは互いに重なり合わずに、ヨーク356の底面が同一平面上に位置して配置されている。よって、発電装置3は薄型に構成される。
【0051】
(5)回転錘31が設けられ、ケース体2に振動が与えられた際には、回転錘31が回動されて外部から与えられた振動が回転エネルギーに変換される。そして、この回転エネルギーのまま輪列部34により伝達されてロータ351が回転されることから、エネルギーの伝達効率が高く、外部から与えられた振動を発電装置3にて効率よく電気エネルギーに変換することができる。また、回転錘31は1つであって、この1つの回転錘31からの回転エネルギーですべてのロータ351を回転させる。よって、各発電ユニットごとに回転錘を設ける場合に比べて発電装置3を小型に構成することができる。
【0052】
(6)輪列部34により、回転錘31の回転を増速してロータ351に伝達するので、ロータ351を高速回転させて発電装置3で効率よく発電することができる。よって、ロータ351を小さくしてロータ351の磁力が小さい場合でもロータ351の高速回転により発電コイル353に十分な磁束変化を与えることができ、発電コイル353での発電効率を高めることができる。
【0053】
(7)三つの発電ユニット35A〜35Cはすべて構成が同じであり、部品が共通化されることから、組み立て工程が簡略化され製造効率を向上させることができる。
【0054】
(8)警報装置1に与えられる振動により発電する発電装置3、すなわち、振動により回転する回転錘31と、この回転錘31の回転エネルギーにより発電する発電ユニット35A〜35Cが設けられている。よって、発電装置3の発電によりケース体2に振動が与えられたことが検知され、さらに、発電装置3により発電された電力により動作することができる。つまり、発電装置3は、振動検出の手段と電力供給の手段とを兼ねるものであり、別個に振動検出センサやバッテリーなどを設ける場合に比べて警報装置1を小型化することができる。
【0055】
(9)警報装置1に与えられる振動により発電する発電装置3が備えられている。よって、振動から得られるエネルギーにより発電することができるので、外部からの電力供給は全く必要とせず、一旦設置すれば半永久的に振動を検知する警報装置1として機能することができる。例えば、電力供給のために別個にバッテリーを設ける必要がないので、バッテリーにみられる容量切れの問題や保守点検の手間などを必要としないメンテナンスフリーの警報装置1とすることができる。あるいは、電力供給のために商用電源を引き込む必要がないので、ケーブル配線の手間が必要なく、配線可能な場所に設置場所を制限されることがない。その結果、警報装置1をどこにでも設置でき、かばんなどに設置して携帯することもできる。
【0056】
(10)振動判断手段として発電装置3からの電圧を比較する比較回路が設けられている。よって、この比較回路により、警報装置1に与えられる振動のレベルが判断される。警報装置1がドアに設置された場合、風等によりドアが微弱な振動をしてもこの微弱な振動では警報装置1から警報が告知されず、強い振動が与えられた場合にのみ警報装置1から警報が発せられる。よって、ドアを何者かが強くこじあけたような異常事態に対してのみ警報を発することができる。
【0057】
(11)警報装置1にスピーカ部51が設けられているので、このスピーカ部51からの発音により警報を聴覚的に告知することができる。
【0058】
(12)ケース体2の内部に収納される回転錘31や発電ユニット35A〜35Cなどが扁平形状であることからケース体2を扁平形状の薄型とできる。よって、警報装置1が薄型となるので、ドアやかばんでもまた狭いスペースでも場所を制限されずに設置することができる。薄型であるので、目立たずに美観的に良好である。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図7に示す。図8に、図7中V III-VIII線における断面図を示す。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態の特徴とするところは、回転錘31が発電ユニット35A〜35Cに重畳されて設けられている点である。
この発電装置3は、回転錘31と、この回転錘31と同軸に設けられ回転錘31と一体的に回転する第1歯車311と、第1歯車311に噛合して回転錘31の回転エネルギーを伝達する伝え車34Gと、伝え車34Gによって伝達された回転エネルギーにより発電する発電ユニット35A〜35Cとを備えて構成されている。
【0060】
回転錘31は、扁平な略半円形状で、ケース体2の上面および下面に軸受け部21にて回転可能に軸受けされた回転軸33を中心として回転可能に支持されている。回転錘31の半径は、回転軸33と回転軸33から見て発電ユニットの遠方側までとの距離よりも長く形成されている。回転錘31は、外周縁に沿って回転面から発電ユニット35A〜35C側へ向かって立設された重り32を備えている。
【0061】
第1歯車311は、回転錘31と同軸に設けられており、回転錘31とともに一体回転する。
伝え車34Gは、三つ設けられ、第1歯車311の円周に120°間隔で配置されて第1歯車311と噛合している。
発電ユニット35A〜35Cは、第1歯車の円周に120°間隔で配置され、各発電ユニット35A〜35Cは回転錘31の回転軸33から等距離に配置されている。各ロータ351が各伝え車34Gに噛合されている。ここで、発電ユニット35A〜35Cは、回転錘31の回転軌跡面内に配置されている。
【0062】
このような構成において、外部からの振動により回転錘31が回転されると、回転錘31とともに第1歯車311が回転される。第1歯車311の回転により伝え車34Gが回転される。すると、伝え車34Gの回転によりロータ351が回転されて、発電コイル353に起電力が誘起される。
【0063】
このような第2実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて次の効果を奏することができる。
(13)回転錘31が発電ユニット35A〜35Cに重畳して設けられ、発電ユニット35A〜35Cは回転錘の回転軌跡面内に配置されている。さらに、各発電ユニット35A〜35Cは回転錘31の回転軸33から等距離に配置されていることから、発電装置3は、平面視で回転錘31の回転軌跡と略同形の円形に構成される。すなわち、発電装置3は、回転錘31の回転軌跡面の大きさ程度に構成される。その結果、この発電装置3を電子機器に組み込んでも電子機器の大きさに与える影響が小さく、また電子機器への組み込みも容易である。
【0064】
(14)回転錘31は扁平形状であり、また発電ユニット35A〜35Cも扁平薄型であることから、回転錘31と発電ユニット35A〜35Cとを重畳して配置した場合であっても、十分に薄型の発電装置3とすることができる。よって、この発電装置3を電子機器に組み込みんでも電子機器の大きさに与える影響が小さく、また電子機器への組み込みも容易である。
【0065】
(15)回転錘31のエネルギーは、伝え車34Gを経てロータ351に伝達される。すなわち、回転錘31の回転エネルギーは伝え車34Gに出力されると同時に伝え車34Gからロータ351に入力される。よって、回転錘31のエネルギーを損失せず効率よくロータ351に伝達することができる。その結果、回転錘31のエネルギーを損失することなく発電ユニット35A〜35Cにて電気エネルギーに変換して高効率で発電することができる。
【0066】
(16)回転錘31は扁平形状であって、その半径は、発電ユニット35A〜35Cを覆う程度に大きく形成されている。さらに、回転錘31の外縁には重り32が形成されている。このように、回転錘31を薄型で半径を大きくとり、さらに、外縁部に重り32を設けることで、回転錘31の重心を回転軸33から外縁に向かって偏心させることができる。すると、回転錘31自体は軽量ながら大きなモーメントを有するので、小さい振動を効率よく回転エネルギーに変換する回転錘31とすることができる。その結果、小さな振動から効率よく発電することができる。
【0067】
(変形例1)
上記実施形態の変形例1として、発電ユニット35A〜35Cの配置について図9、図10、図11を参照して説明する。
図9ないし図11では、三つの発電ユニットの各ロータが入力車に噛合されている。
図9(A)および図9(B)では、発電ユニット35A〜35Cは入力車の円周に120°間隔で配置されている。そして、図9(A)では、一の発電コイル353Aの軸に対して、他の二つの発電コイル353B、353Cの軸が略平行に配置されている。図9(B)では、一の発電コイル353Aの軸に対して、他の二つの発電コイル353B、353Cの軸が略60°から80°の角度を有して配置され、いずれの発電コイルの軸も平行にはない。
このように、入力車34Fの円周に120°間隔で三つの発電ユニット35A〜35Cが配置されると、発電ユニット35A〜35C同士が互いに最も離れて配置される。すると、発電コイル353A〜353Cからの磁束が互いに干渉し合わないので、それぞれの発電ユニット35A〜35Cでの発電効率を高く維持できる。さらに、図9(B)のように、いずれの発電コイル353A〜353Cの軸も平行に配置されていなければ、発電コイル353A〜353Cからの磁束がなお一層干渉しにくいので、各発電ユニット35A〜35Cでの発電効率を高く維持することができる。
図9(A)において、各発電ユニット35A〜35Cの中心すなわち入力車34Fの中心に磁石のN極またはS極を置くと、各発電ユニット35A〜35Cのロータ351が各発電コイル353A〜353Cに対する位相は互いに120°ずつずらすことができる。
【0068】
図10(A)および図10(B)では、入力車34Fの円周に、一の発電ユニット35Aを間にして他の二つの発電ユニット35B、35Cが、一の発電ユニット35Aに対して90°の位置に配置されている。また、いずれの発電コイル353A〜353Cの軸も平行にはない。
図10(A)では、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cが、一の発電ユニット35Aの近接側に配置されている。図10(B)では、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cが、一の発電ユニット35Aの遠方側に配置されている。
このように、発電ユニット35A〜35Cを90°間隔で配置すれば、発電ユニット35A〜35Cの配置が幾何学的に安定である印象を与えやすく、また、90°は角度として測りやすいので、組み立て工程が容易化される。図10(B)のように、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cが一の発電ユニット35Aの遠方側に配置されることにより、発電コイル353A〜353Cからの磁束が互いに干渉しにくいので、各発電ユニット35A〜35Cでの発電効率を高く維持することができる。
【0069】
図11(A)および図11(B)では、入力車34Fの円周に、一の発電ユニット35Aを間にして他の二つの発電ユニット35B、35Cが、一の発電ユニット35Aに対して略60°の位置に配置されている。全体として三つの発電ユニット35A〜35Cは一所にまとめて配置されている。
図11(A)では、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cが、一の発電ユニット35Aに対して近接して、一の発電ユニット35Aに僅かに重なって配置されている。図11(B)では、各発電ユニット35A〜35Cは重ならないで並列され、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cは、一の発電ユニット35Aの遠方側に配置されている。そして、一の発電ユニット35Aの発電コイル353Aの軸に対して、他の二つの発電ユニット35B、35Cの発電コイル353B、353Cの軸は平行に配置されている。
このように、発電装置3の大部分の大きさを占める三つの発電コイル353A〜353Cが一所にまとめて配置されることにより、発電装置3を電子機器に組み込む際に、電子機器の僅かの隙間に発電装置3を押し込めることができるので、空間利用の効率を向上させることができる。
【0070】
以上の図9から図11において、発電ユニット35A〜35Cの中心すなわちすなわち入力車34Fの中心に磁石のN極またはS極を置くと、各発電ユニット35A〜35Cのロータ351が各発電コイル353A〜353Cに対する位相をそれぞれ異なるものとできる。また、発電装置3の外側から一方向の磁界をかけてすべてのロータ351の方向を揃えてやれば、各ロータ351が各発電コイル353に対する位相をそれぞれ異なるものとできる。
【0071】
(変形例2)
上記実施形態の変形例2として、整流手段4の構成について図12、図13、図14を参照して説明する。
図12ないし図13は、発電装置3の各発電ユニット35A〜35Cで発電された電流を整流する整流手段4の例である。
図12に示される整流手段4は、それぞれの発電コイル353に対して接続されたブリッジ回路41を備え、三つのブリッジ回路41で構成されている。ブリッジ回路41は、四つのダイオード42が矩形状に直列に接続されたものであり、矩形の対角線を境にして一方側と他方側とがそれぞれ発電コイル353に接続されている。そして、各ブリッジ回路41にて整流された電流は並列つなぎで合成されている。
このように、各発電コイル353で発電された電流を整流して並列でつなぐことにより、電圧値は1つの発電ユニットで発電された場合と同じであるが電気的エネルギーは三倍とすることができる。すると、この発電装置3が組み込まれた電子機器の電子部品が小さな耐電圧しか有さない場合でも、電子部品を損傷することがない。
【0072】
図13に示される整流手段4は、三相交流の整流手段としてΔ結線を利用する例である。すなわち、各発電ユニット35A〜35Cの発電コイル353が直列に接続され、それぞれの接続点の電流がダイオード42により整流される。
図14に示される整流手段4は、三相交流の整流手段としてY結線を利用する例である。すなわち、各発電コイル353の一端を共通の接続点にまとめ、各発電コイル353の他端の電流がダイオード42により整流される。
【0073】
このような構成によれば、ブリッジ回路41を利用して整流する場合にはダイオード42を12個使用したのに対して、ダイオード42が6個でよいので、回路構成が簡略化され、材料コストも低減される。
なお、発電装置3から発電される電流が、三相交流である場合には、図13、図14に示したΔ結線やY結線を利用した整流手段4を用いることが好ましい。一方、発電装置3から発電される電流を単純に合成すると打ち消しあってしまうような場合、例えば、発電ユニットが二つであって両位相が180°ずつずれている場合などには、各発電ユニットからの電流をブリッジ回路41にてそれぞれ整流したのちに合成することが好ましい。
【0074】
(変形例3)
上記実施形態の変形例3として、入力車34Fの回転をロータ351に伝達する輪列6を用いる構成について図15を参照して説明する。
図15では、入力車34Fから各発電ユニット35A〜35Cに回転エネルギーを伝達する輪列6A〜6Cが設けられ、この輪列6A〜6Cは、入力車34Fからそれぞれの発電ユニット35A〜35Cに向かって独立に三つ設けられている。そして、それぞれの輪列は、輪列比が異なっている。入力車34Fから発電ユニット35Aに向かって回転エネルギーを伝達する輪列6Aは、伝え車61のみで構成されている。入力車34Fから発電ユニット35Bに向かって回転エネルギーを伝達する輪列6B、および、入力車34Fから発電ユニット35Cに向かって回転エネルギーを伝達する輪列6Cは、第1伝え車62と第2伝え車63との二つで構成されているが、輪列6Bと輪列6Cとでは、第1伝え車62と第2伝え車63との歯車比が異なっている。
【0075】
このような構成により、入力車34Fから各発電ユニット35A〜35Cのロータ351が異なる回転速度で回転される。すると、各発電ユニット35A〜35Cの発電コイル353で発電される電流、電圧の位相が周期あるいは電力量の点で異なる。
このような構成からなる発電装置3を電子機器に組み込んで、電子機器内の電子部品に対してそれぞれ適切な周期あるいは電力量の電流、電圧を送電することができる。例えば、周期あるいは電力量の異なる電流、電圧を別々の電気ブロックに送るようにすれば、他の電気ブロックに干渉されることなく各電気ブロックを精密に作動させることができる。
【0076】
(変形例4)
上記実施形態の変形例として、運動体として回転錘31に変えて揺動錘7(エネルギー変換手段)を用いる構成について図16、図17を参照して説明する。図16において、発電装置3は、外部から与えられる振動により揺動運動される揺動錘7と、一端が揺動錘7に固定され他端がケース体2に固定されたばね74と、この揺動錘7の揺動にて回転されるクラッチ車75と、クラッチ車75に噛合した入力車34Fとを備える。なお、図示しないが、入力車34Fに対して発電ユニット35A〜35Cのロータ351が噛合される。
【0077】
揺動錘7は、半円状の外縁部に歯車711が形成されケース体2に対して揺動軸712にて揺動可能に支持された基端部71と、基端部71から長手状に設けられたレバー部72と、レバー部72の基端部71とは反対側に設けられ重り731を有する自由端部73とを備えている。レバー部72には、長手方向と直交して両側から弾性体としてのばね74が二本固定されている。ばね74はそれぞれ、レバー部72の長手方向に直交して互いに反対側に伸びており、一端がレバー部72に固定され、他端がケース体2に固定されている。
クラッチ車75は、基端部71の歯車711に噛合されている。
【0078】
このような構成において、外部から振動が与えられると、揺動錘7の自由端部が揺動軸712を揺動中心として揺動する。すると、基端部71の歯車が揺動軸712を中心に回動されるので、この歯車に噛合したクラッチ車75が回転される。クラッチ車75の回転により入力車34Fが回転される。また、ばね74の弾性係数と重り731の重さとを調整すると、揺動錘7の揺動とばね74の振動周期とを共振させることができる。すると、外部から与えられる振動が小さい場合でも、揺動錘7を大きく振動させることができ、その結果、発電装置3での発電効率を向上させることができる。
【0079】
次に、図17において、発電装置3は、外部から与えられる振動により揺動運動される揺動錘7と、一端が揺動錘の揺動軸に固定され他端がケース体に固定された弾性体としてのゼンマイばね76と、揺動錘7の揺動にて回転されるクラッチ車75と、クラッチ車75に噛合した入力車34Fとを備える。なお、図示しないが、入力車34Fに対して発電ユニット35A〜35Cのロータ351が噛合される。
揺動錘7は、扇形であり、扇の円弧部分に歯車711が設けられている。また、扇の要部分が揺動軸712にて揺動可能にケース体2に支持されている。揺動軸には、ゼンマイばね76の一端が固定されており、ゼンマイばね76の他端はケース体2に固定されている。このような構成によれば、上記の図16で説明したのと同様の作用効果を示す。
【0080】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態であるエンコーダについて説明する。
このエンコーダは、第1実施形態で説明した発電装置3と、発電装置3からの電圧値あるいは電流値を検出する電力検出手段としての電力検出器(不図示)と、電力検出器による検出結果から回転錘31の回転方向(運動方向)を判断する運動方向判断手段としての回転方向判断手段(不図示)とを備えて構成されている。
【0081】
発電装置3の構成は、第1実施形態と同様である。ここで、第1実施形態においては、ロータ351の位相は、発電ユニット35A〜35Cごとに等角度ずつ、すなわち120°ずつずれていたが、発電装置3をエンコーダとして利用する場合には、ロータ351の位相が発電ユニット35A〜35Cごとに等角度ではなく、異なった角度ずつずれていた方が好ましい。
このような構成において、回転錘31を一方向に回転させると、各発電ユニット35A〜35Cから異なる位相で発電される。このときの各発電ユニット35A〜35Cからの電圧あるいは電流の波形W3の様子を図18中に示す。
【0082】
各発電ユニット35A〜35Cからは異なる位相で発電されることから、この各発電ユニット35A〜35Cからの電力を合成した波形は、図18中W4で示されるように、時間順に追っていくと、中の山W41、大の山W42、小の山W43の順で一周期を構成する周期的な波形となる。
また、逆に、回転錘31を他方向に回転させれば、小の山W43、大の山W42、中の山W41の順で一周期を構成する波形となる。
電力検出器は、各発電ユニット35A〜35Cからの電力を合成した電力の電圧値あるいは電流値を検出する。前述の通り、回転錘31の回転方向により、波形の中、大、小の山の順が異なるところ、電力検出器は、この波形を検出して、検出結果を回転方向判断手段におくる。
回転方向判断手段は、予め回転錘31の回転方向と発電装置3からの電流あるいは電圧の波形との関係を記憶している。そして、記憶している電流あるいは電圧の波形と電力検出器からの検出結果を比較して回転錘31の回転方向を判断する。
【0083】
このような構成によれば、外部から与えられる振動によって発電することができるため、電池や商用電源などを必要としないエンコーダを構成することができる。
【0084】
尚、本発明の発電装置、電子機器、エンコーダは、上記実施形態、変形例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0085】
発電ユニット35A〜35Cの数や配置は特に限定されるものではない。発電装置3を組み込む電子機器内のスペースに応じて自由に数や配置を調整してもよいことはもちろんである。
【0086】
電子機器としては、発電装置3を組み込んだ警報装置1の例を説明したが、電子機器は特に限られるものではない。発電装置3からの電力を蓄電する2次電池とともに懐中電灯に組み込むことにより懐中電灯としてもよく、携帯電話に組み込んでもよい。もちろん、ラジオやCDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯テレビ、なんでも、持ち運びに適しているが消費電力の大きい電子機器であればどんなものでも本発明の発電装置3を組み込むことができる。このように、発電装置3を電子機器に組み込むことにより、外部から振動などの運動エネルギーを与えれば発電することができるので、電池や商用電源を必要としない電子機器とすることができる。電池が必要ないため電池交換の手間がなく発電装置3が故障しないかぎりはメンテナンスフリーの電子機器とすることができる。また、商用電源を引き込む必要が無いので、海でも山でも商用電源を利用することができない場所でも電子機器を使うことができる。
【0087】
もちろん、振動させれば発電する発電装置として単体であってもよく、この単体としての発電装置を電子機器に接続して電子機器に設けられた2次電池を充電するものとしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の発電装置によれば、小型、薄型であって発電量が大きいという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態として発電装置を備えた警報装置を示す図である。
【図2】 前記第1実施形態において、発電装置の発電ユニットを示す平面図である。
【図3】 前記第1実施形態において、図2中III-III線における断面図である。
【図4】 前記第1実施形態において、図2中IV-IV線における断面図である。
【図5】 前記第1実施形態において、整流手段を示す図である。
【図6】 前記第1実施形態において、発電装置にて発電された電力の波形を示す図である。
【図7】 本発明の第2実施形態としての発電装置を示す平面図である。
【図8】 前記第2実施形態において、図7中VIII-VIII線における断面図である。
【図9】 本発明の変形例1として、発電ユニットの配置の例を示す図である。
【図10】 本発明の変形例1として、発電ユニットの配置の例を示す図である。
【図11】 本発明の変形例1として、発電ユニットの配置の例を示す図である。
【図12】 本発明の変形例2として、整流手段を示す図である。
【図13】 本発明の変形例2として、整流手段を示す図である。
【図14】 本発明の変形例2として、整流手段を示す図である。
【図15】 本発明の変形例3としての発電装置を示す図である。
【図16】 本発明の変形例3として、揺動錘を利用する例を示す図である。
【図17】 本発明の変形例3として、揺動錘を利用する例を示す図である。
【図18】 本発明の第3実施形態として、エンコーダとして利用する場合の電力の波形を示す図である。
【符号の説明】
1…警報装置、2…ケース体、3…発電装置、4…整流手段、5…告知手段、7…揺動錘、31…回転錘(エネルギー変換手段)、33…回転軸、34…輪列部(増速輪列)、35A…発電ユニット、35B…発電ユニット、35C…発電ユニット、41…ブリッジ回路、351…ロータ、353…発電コイル、356…ヨーク

Claims (3)

  1. 外部から供給される運動エネルギーにより回転する回転錘と、
    前記回転錘と同軸に設けられ、かつ、前記回転錘と一体的に回転する歯車と、
    前記歯車を含む歯車輪列を介して前記回転錘で生じた回転エネルギーで回転するロータと
    前記ロータの回転にて発生する磁束を伝達するヨークおよび前記ヨークにて伝達される磁束により発電する発電コイルを有する発電ユニットとを備え、
    前記運動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する発電装置であって、
    前記発電ユニットは、前記回転錘と重畳しつつ複数設けられ、かつ、前記ロータの回転軸に直交する平面に、回転錘の回転軸から等距離かつ互いに等間隔に配置されるとともに、前記ロータはすべて、同一の前記運動エネルギーにより回転されることを特徴とする発電装置。
  2. 請求項1 に記載の発電装置において、前記発電ユニットは3 の倍数個設けられ、前記各ロータの位相は、略等角度ずつずれていることを特徴とする発電装置。
  3. 請求項1 または2 のいずれかに記載の発電装置を有する電子機器。
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