JP4254023B2 - 電流駆動素子用基板、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電流駆動素子用基板、及びその製造方法に関し、特にディスプレイ装置に用いる有機EL等の電流駆動素子用の基板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセント(EL)素子は、有機発光ダイオードとも呼ばれる発光素子である。このEL素子は直流低電圧駆動素子であり、高輝度、高効率等の特徴があるので、次世代のフラットパネルディスプレイ用の素子として期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
有機EL素子によって表示パネルを作成する場合、基板を数十マイクロメートルから数百マイクロメートル程度に分割したブロック(単位ブロック)を用意し、予め窪み(凹部)等の加工を施した別の基板に配列させる手法が考えられる。この手法は、不良ブロックを予め取除くことができるので、表示パネルの作成に適している。この手法を採用する場合、各単位ブロックには、有機EL素子を駆動するための駆動用素子であるトランジスタ等を予め形成しておくことになる。
【0004】
図5には、上記手法を採用して有機EL用基板を製造する方法が示されている。同図を参照すると、まず、基板表面に単位ブロック嵌め込み用の凹部を形成する(ステップS51)。次に、この形成した凹部に、単位ブロックを嵌め込む(ステップS52)。この単位ブロックを嵌め込んだ後、信号配線及びその他の配線パターンを形成する(ステップS53)。
【0005】
以上の製造方法においては、基板に単位ブロックを配列した後、必要な信号配線を設けている。そして、この設けた配線等によって、各単位ブロックを基板の凹部に固定することができるのである。
上述したように有機ELは電流駆動素子なので、充分な電源電圧を確保する必要がある。したがって、有機EL素子を用いて大きな表示体を作成する場合、電圧降下や電力不足を防ぐためにも、太い電源配線が必要になる。素子基板上には限られたスペースしかないため、膜厚の厚い配線が必要になる。特に、1辺の長さが50cmを越えるような大面積の有機EL素子表示パネルを実現する場合には、その電源配線は非常に厚い膜厚を必要とする。
【0006】
しかしながら、単位ブロックと基板とを接続するために設ける配線は、その膜厚に限界がある。すなわち、信号配線の形成に周知のインクジェット法を用いる場合、微細な信号配線を形成するのは容易であるが、より厚い配線を形成するのは困難である。インクジェット法で配線材料をパターンニングする場合、インクジェット吐出を可能とするためには固形分濃度をあまり高くできない。従って、一回の吐出で塗布可能な膜厚は1000Å以下である。厚さ数μmの配線をインクジェット法で形成するためには、乾燥時間を含めて、多数回のインクジェット吐出が必要であり、実用的な時間で形成するのが困難である。
【0007】
また、信号配線の形成に周知のフォトリソグラフィ方式は、基板全面に非常に厚い膜厚の金属層を形成した後に、レジストパターンをマスクとしてエッチングを行う必要がある。厚い膜厚の電源配線パターンを形成するためには、長時間のプロセスが必要となり、実用的な製造方法としてフォトリソグラフィ方式は望ましくない。
【0008】
したがって、インクジェット法、フォトリソグラフィ方式のいずれを用いても、単位ブロックを嵌め込む前に、有機ELに充分な電源電圧を供給できるような太さの電源配線を設けることが困難であるという欠点がある。
さらに、単位ブロックを基板上に配列した後は、基板上に配線を任意に設けることができなくなる。したがって、このことからも充分な電源電圧を供給するための配線を設けることが困難である。
【0009】
本発明は上述した従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、その目的は電流駆動素子に充分な電源電圧を供給できる電流駆動素子用基板、及びその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による電流駆動素子用基板は、電流駆動素子を駆動するための駆動用素子を有するブロック基板が嵌め込まれる第1の凹部と、前記ブロック基板が前記第1の凹部に嵌め込まれる前に形成される、前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンを形成するための第2の凹部と、前記第2の凹部の表面に設けられて前記電源配線パターンの材料を吸着する自己組織化単分子膜と、前記自己組織化単分子膜が形成された前記第2の凹部に設けられ、前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンと、を含むことを特徴とする。前記第2の凹部に形成された前記電源配線パターンは、そのパターン表面と前記第2の凹部が形成されている一主面とが同一面になるように、前記第2の凹部に形成しても良い。
【0013】
本発明による電流駆動素子用基板の製造方法は、電流駆動素子を駆動するための駆動用素子を有するブロック基板が嵌め込まれる第1の凹部を有する基板の製造方法であって、前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンを前記基板に形成するための第2の凹部を形成するステップと、前記第2の凹部の表面に前記電源配線パターンの材料を吸着する自己組織化単分子膜を形成するステップと、前記自己組織化単分子膜が形成された前記第2の凹部に前記電源配線パターンを形成するステップと、前記電源配線パターンの形成後に前記第1の凹部に前記ブロック基板を嵌め込むステップと、を含み、前記ブロック基板が嵌め込まれた後に前記電源配線パターン以外の配線パターンを形成するようにしたことを特徴とする。前記電源配線パターンは、そのパターン表面と前記凹部が形成されている一主面とが同一面になるように、前記第2の凹部に形成しても良い。なお、前記第1の凹部と前記第2の凹部とを同時に形成しても良い。
【0014】
要するに、前もって電源ラインを形成した基板を最初に用意し、その後に単位ブロックを嵌め込む工程に移行しているのである。すなわち、単位ブロックを嵌め込む前に電源配線パターンを基板に形成するようにしたので、電源配線パターンを太くすることができ、電流駆動素子に充分な電源電圧を供給できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
図1は本発明による電流駆動素子用基板の実施の一形態を示す概略構成図である。基板の平面図である図1(a)を参照すると、基板3に設けられている凹部に単位ブロック1が嵌め込まれている。この単位ブロック1は、その内部領域に、EL素子等の電流駆動素子を駆動するためのトランジスタを有している。また、基板3には電源配線パターン2が設けられており、この電源配線パターン2は配線パターン10によって単位ブロック1内のトランジスタ11と電気的に接続されている。
【0016】
同図(a)のA−A部の断面図である同図(b)を参照すると、基板3には、凹部1aが形成されており、この凹部1aに単位ブロック1が嵌め込まれている。また、同図に示されているように、電源配線パターン2も基板3に形成された他の凹部2a内に設けられている。この場合、電源配線パターン2は、そのパターン表面と凹部2aが形成されている基板3の一主面とが同一面になるように、凹部2a内に形成されている。もっとも、充分な電源供給がなされていれば、電源配線パターン表面と基板3の一主面とは、必ずしも同一面になっていなくても良い。
【0017】
ここで、同図に示されている基板の製造方法について、図2を参照して説明する。同図に示されているように、まず上述した凹部1a及び2aを設け(ステップS21)、凹部2aに上述した電源配線パターン2を形成する(ステップS22)。以上のように電源配線パターンを予め形成した後は、従来の基板と同様に、単位ブロック用の凹部1aに、単位ブロックを嵌め込む(ステップS23)。この単位ブロックを嵌め込んだ後、電気配線以外の配線(信号配線等)の配線パターンを形成する(ステップS24)。なお、電源配線パターン形成用の凹部2aと単位ブロック用の凹部1aとは、別々の工程で作成しても良い。ただし、これらを同一工程で同時に形成すれば、工程数が少なくなるので製造コストを抑えることができる。
【0018】
次に、以上の製造方法に従って形成される基板の断面について図3を参照して説明する。なお、同図においては、単位ブロック用の凹部1a及び電源配線用の凹部2aを1つずつ形成する場合が示されている。
まず、同図(a)に示されているように、上部に紫外線硬化樹脂31が形成された基板30を用意する。次に、凹部1a及び2aの形状に対応する凸部を有する、同図(b)に示されているようなスタンパを用意する。このスタンパを、同図(c)に示されているように、樹脂31に押しつけた状態で、矢印のように紫外線を照射する。これにより、樹脂31を硬化させる。これにより、同図(d)に示されているように、単位ブロック用の凹部1a及び電源配線パターン用の凹部2aが形成される。
【0019】
次に、形成した凹部1a及び凹部2aを含む表面に、同図(e)に示されているように、SAM(自己組織化単分子膜)膜33を形成する。ここで用いたSAM膜は、分子鎖の末端にアミノ基を有するものである。アミノ基があることにより、無電解めっき形成の核が吸着することが知られている。形成されたSAM膜33のうち、凹部2a部分以外の部分を除去し、同図(f)に示されている状態にする。最後に、このSAM膜33が残された凹部2aに、無電解めっき膜34を形成し、同図(g)に示されている状態にする。こうすることにより、凹部2aに電源配線パターンを形成でき、電源電圧供給のために充分な太さの配線を実現することができるのである。しかも、この電源配線パターンは、そのパターン表面と基板の表面とが同一面になるように、形成される。無電解めっき膜の膜厚は、めっき液への浸積時間で制御可能であり、数μmの膜厚を形成するためには、数分程度の処理時間で行うことができる。
【0020】
以上はEL素子が設けられている側の基板面に電源配線パターンを設ける場合について説明したが、反対側の基板面にも電源配線パターンを設けても良い。すなわち、基板の断面図である図4に示されているように、EL素子等の電流駆動素子が設けられている基板面側の上配線21の他に反対面側に裏打ち配線22を設け、これらを貫通孔23で接続すれば良い。このように、基板の裏側にも電源配線を設ければ、電源の電圧降下を防ぎ、広い基板全体にわたって均一に電源電圧を供給することができる。裏打ち配線22を、基板裏側面全体に形成するいわゆるベタ配線にすれば、より均一に電源を供給することができる。このように、全面にわたって電源配線パターンを形成できるのは、液晶の場合と異なり、EL素子自身が発光するのでバックライトを設ける必要がないからである。
【0021】
なお、電源配線パターンの形成を表示体の工程において行うと、タクトタイムが長くなり、ラインの律速になってしまうので、表示体の製造コストが高くなる。これに対し、本発明のように、別工程で形成すれば、太い電源配線パターンを安価に形成できるのである。
ところで、単位ブロックを凹部に嵌め込む場合、基板を数十マイクロメートルから数百マイクロメートル程度に分割したブロック基板(単位ブロック)を液体中に分散させ、液体をフローしながら上述した凹部に嵌合させて配列しても良い。
【0022】
なお、以上は電流駆動素子が有機EL素子である場合について説明したが、これ以外の電流駆動素子について本発明が広く適用できることは明白である。
請求項の記載に関し、本発明は更に以下の態様を採り得る。
(1)前記第1の凹部が設けられている基板面とは反対の面に設けられ、前記電源配線パターンに電源電圧を供給する他のパターンを更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板。
【0023】
(2)前記他のパターンは、前記基板面とは反対の面全面に設けられていることを特徴とする(1)記載の基板。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、単位ブロックを嵌め込む前に電源配線パターンを基板に形成するようにしたので、電源配線パターンを太くすることができ、有機EL素子等の電流駆動素子に充分な電源電圧を供給できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電流駆動素子用基板の概略構成図であり、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のA−A部の断面図である。
【図2】本発明による電流駆動素子用基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明による電流駆動素子用基板の製造方法による製造工程を示す図である。
【図4】電源配線パターンを追加した基板の断面図である。
【図5】電流駆動素子用基板の一般的な製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 単位ブロック
1a,2a 凹部
2 電源配線パターン
3,30 基板
10 配線パターン
11 トランジスタ
21 上配線
22 裏打ち配線
23 貫通孔
31 紫外線硬化樹脂
33 SAM膜
34 無電解めっき膜
Claims (5)
- 電流駆動素子を駆動するための駆動用素子を有するブロック基板が嵌め込まれる第1の凹部と、
前記ブロック基板が前記第1の凹部に嵌め込まれる前に形成される、前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンを形成するための第2の凹部と、
前記第2の凹部の表面に設けられて前記電源配線パターンの材料を吸着する自己組織化単分子膜と、
前記自己組織化単分子膜が形成された前記第2の凹部に設けられ、前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンと、
を含むことを特徴とする電流駆動素子用基板。 - 前記電源配線パターンは、そのパターン表面と前記凹部が形成されている一主面とが同一面になるように、前記第2の凹部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電流駆動素子用基板。
- 電流駆動素子を駆動するための駆動用素子を有するブロック基板が嵌め込まれる第1の凹部を有する基板の製造方法であって、
前記駆動用素子に電力を供給するための電源配線パターンを前記基板に形成するための第2の凹部を形成するステップと、
前記第2の凹部の表面に前記電源配線パターンの材料を吸着する自己組織化単分子膜を形成するステップと、
前記自己組織化単分子膜が形成された前記第2の凹部に前記電源配線パターンを形成するステップと、
前記電源配線パターンの形成後に前記第1の凹部に前記ブロック基板を嵌め込むステップと、を含み、
前記ブロック基板が嵌め込まれた後に前記電源配線パターン以外の配線パターンを形成するようにしたことを特徴とする基板の製造方法。 - 前記電源配線パターンを、そのパターン表面と前記第2の凹部が形成されている一主面とが同一面になるように、前記第2の凹部に形成することを特徴とする請求項3記載の基板の製造方法。
- 前記第1の凹部と前記第2の凹部とを同時に形成するようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の基板の製造方法。
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