JP4253990B2 - 配管洗浄装置及び冷媒再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍装置の配管の洗浄に用いられる配管洗浄装置と、冷媒の再生に用いられる冷媒再生装置とに関し、特に、配管洗浄装置及び冷媒再生装置の運転制御技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、冷凍装置としての空気調和装置は、多数のものが知られている。例えば、特開平8−100944号公報に開示されているように、圧縮機と四路切換弁と室外熱交換器と電動膨張弁とレシーバと室内熱交換器とが冷媒配管によって順に接続されて空気調和装置を構成しているものがある。該空気調和装置は、冷房運転と暖房運転とを行い得るように構成されている。
【0003】
上述した空気調和装置を始め、各種の空気調和装置の更新需要時において、既設の冷媒配管をそのまま流用する場合がある。この場合、既設の冷媒回路の冷媒と新設の冷媒回路の冷媒とが、同一のCFC系冷媒やHCFC系冷媒であれば、さほど問題が生じることがなく、既設冷媒配管を使用することができる。
【0004】
しかしながら、新設の冷媒回路には、近年の環境問題などの観点から、従来のCFC系冷媒やHCFC系冷媒に代り、HFC(ハイドロフルオロカーボン)系冷媒を用いることが提案されている。
【0005】
この場合、上記既設冷媒配管を流用しようとすると、冷媒配管の内部を洗浄しなければならない。つまり、既設冷媒配管の内面には、潤滑油が付着したり、ゴミなどが付着している場合が多い。特に、従来のCFC系冷媒等では潤滑油に鉱油が用いられていたのに対し、HFC系冷媒では潤滑油に合成油が用いられるので、鉱油の潤滑油が既設冷媒配管に残存していると、新設の冷媒回路において、異物(コンタミネーション)が生じ、絞り機構を閉塞したり、圧縮機を損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、本願出願人は、既設の冷媒配管から室外ユニットと室内ユニットを取り外し、室外ユニットの位置に配管洗浄ユニットを取り付けると共に、室内ユニットの位置に連絡配管を取り付けて配管洗浄回路を構成し、該回路中で液冷媒を循環させながら冷媒配管を洗浄する装置を提案している(例えば特願平11−110280号)。
【0007】
この装置は、既設の冷媒配管に接続して構成される閉回路(2次側冷媒回路)と、この閉回路内で2次冷媒を循環させるための搬送回路(1次側冷媒回路)とから構成されている。そして、搬送回路は、2つの搬送熱交換器を備えた冷凍サイクルで構成され、各熱交換器の一方で閉回路の2次冷媒を加熱しながら他方で冷却して搬送力を付与することにより該冷媒を循環させながら、閉回路内に設けた分離器により該冷媒中の異物を除去するようにしている。
【0008】
そして、この装置を用いて冷媒配管を洗浄する場合、洗浄用冷媒の入った冷媒容器を閉回路に接続し、該冷媒容器から洗浄用冷媒を閉回路内に充填して循環させ、既設の冷媒配管を洗浄する。
【0009】
また、この装置は冷媒再生に使用することも可能であり、その場合は、上記既設冷媒配管の代わりに再生用冷媒が入った冷媒容器を接続して閉回路を構成し、搬送回路を用いて再生用冷媒を該閉回路内で循環させながら分離器で異物を除去した後、再生した冷媒を該容器に回収する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の装置においては、冷媒容器と閉回路との間の接続には一般にホース等を用いているが、冷媒を冷媒容器から閉回路に充填するための充填用ポートと、冷媒を閉回路から冷媒容器に回収するための回収用ポートを、冷媒容器の供給口及び回収口に対して誤って逆に接続してしまった場合には、冷媒を容器から押し出して閉回路に充填しようとするときに逆に回収してしまうおそれがあった。そのため、例えば満液状態の冷媒容器が接続されているときに誤接続のまま運転を継続すると、運転開始からしばらくして容器が液封となり、容器の圧力が異常に上昇するおそれがあった。
【0011】
これに対して、従来の装置では、冷媒容器にフロートスイッチ等の満液検出手段を設け、該検出手段で満液を検出すると運転を停止するようにしていたが、逆にこのような機構にすると、ホースの接続が正常である場合でも、満液容器が接続されていれば常に運転が行えないという不具合が生じることになっていた。つまり、接続が正常であれば配管洗浄時には冷媒容器から冷媒が減ることになり、再生運転時には閉回路内で冷媒が循環することになるため、容器の圧力が上昇する問題は生じないにも拘わらず、満液の冷媒容器が接続されているだけで運転を行えないという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、満液の冷媒容器を接続している場合でも配管洗浄や冷媒再生の運転を行えるようにすると共に、冷媒の充填側と回収側のホース等を逆に接続した場合に生じ得る運転後の圧力の異常上昇を防止することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配管洗浄装置及び冷媒再生装置において、冷媒容器が所定の空き容量を残した満液基準状態であることを検出してから所定時間経過後に、さらに満液状態を検出した場合には運転を停止するようにしたものである。
【0014】
具体的に、本発明が講じた解決手段は、既設冷媒配管(2A,2B) と接続されて構成された閉回路(13)に冷媒容器(91)と分離器(50)とが接続されるとともに、該冷媒容器(91)内の冷媒を閉回路(13)内で循環させる搬送手段(40)を備え、該閉回路(13)内での冷媒の循環の際に分離器(50)で異物を除去して既設冷媒配管(2A,2B) を洗浄する配管洗浄装置と、再生用冷媒が入った冷媒容器(20)と接続されて構成された閉回路(13)に分離器(50)が接続されるとともに、該冷媒容器(20)内の冷媒を閉回路(13)内で循環させる搬送手段(40)を備え、該閉回路(13)内での冷媒の循環の際に分離器(50)で異物を除去して冷媒を再生する冷媒再生装置とを前提としている。
【0015】
そして、冷媒容器(91,20) 内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っている状態を満液状態として検出する満液検出手段(91B,21B) と、運転中に満液基準状態を検出してから所定時間経過後に満液状態を検出すると運転を停止する運転制御手段(80)とを備えている。つまり、満液基準状態を検出してから所定時間を経過しても冷媒容器(91,20) 内の冷媒が減っていなければ、運転を停止するようにしている。
【0016】
上記構成において、運転制御手段(80)は、運転開始時に冷媒容器(91,20) の満液基準状態を検出し、その所定時間後に満液状態を検出すると運転を停止するように構成することができる。
【0017】
また、上記構成においては、搬送手段(40)を、2つの搬送熱交換器(7A,7B) を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍回路により構成し、搬送熱交換器(7A,7B) の一方を閉回路(13)の冷媒に対する加熱器とし、他方を冷却器とする状態を交互に切り換えることにより、閉回路(13)の冷媒に搬送力を与えるように構成することができる。
【0018】
また、上記構成において、冷媒容器(90,20) の満液基準状態を検出した後の所定時間は、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を加熱器とし、他方を冷却器とする第1の状態と、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を冷却器とし、他方を加熱器とする第2の状態とを行う1回のサイクルに対応した時間とすることができる。
【0019】
また、上記構成においては、各搬送熱交換器(7A,7B) を一度ずつ加熱器及び冷却器とする1回のサイクルによる冷媒の搬送量を、冷媒容器(91)が満液基準状態のときの所定の空き容量よりも少なく設定することが好ましい。
【0020】
−作用−
上記解決手段では、搬送手段(40)により閉回路(13)内で冷媒が循環するときに該冷媒中の異物が分離器(50)で除去されて、既設冷媒配管(2A,2B) の洗浄または冷媒の再生が行われる。その際、充填用と回収用のホース等が冷媒容器(91,20) に正常に接続されていれば、運転に伴って容器(91,20) 内の冷媒が閉回路(13)内に充填されて循環するため、冷媒容器(91,20) の冷媒が減ることになり、満液状態が検出されることがないので運転は正常に行われる。
【0021】
一方、ホース等が逆に接続されている場合などには、運転中に一旦満液基準状態を検出してから所定時間を経過して、冷媒容器(91,20) が満液状態であることが満液検出手段(91B,20B) によって検出されると、運転制御手段(80)により運転が停止される。このことから、冷媒容器(91,20) の余裕代の範囲内で運転を停止することが可能となる。このことは、満液の冷媒容器(91,20) を接続した場合も同様である。
【0022】
特に、運転開始に満液基準状態を検出してから所定時間後に冷媒容器(91,20) が満液状態であると運転を停止するようにすれば、満液の冷媒容器(91,20) を接続していてもホース等が正常な接続の場合には運転に伴って冷媒の量が減るので運転を継続できる一方、接続を間違って冷媒が回収された場合には運転開始から所定時間後に満液状態が検出されるので運転が確実に停止される。
【0023】
また、満液基準状態を検出した後の所定時間を、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を加熱器とし、他方を冷却器とする第1の状態と、その一方を冷却器とし、他方を加熱器とする第2の状態とを行う1回のサイクルに対応した時間とすると、その1回のサイクルで送り出される搬送量であれば冷媒を受容することができるように冷媒容器(91,20) の満液基準状態での空き容量を設定することにより、ホース等の誤接続があった場合でも冷媒容器(91,20) が液封となる前に運転が確実に停止される。
【0024】
【発明の効果】
したがって、上記解決手段によれば、充填用と回収用のホース等が正常に接続されていれば、満液の冷媒容器(91,20) が閉回路(13)に接続されている場合であっても問題なく運転を継続できる。一方、ホース等が逆に接続されている場合などに、一旦満液基準状態を検出してから所定時間を経過しても冷媒容器(91,20) が満液状態であることが満液検出手段(91B,20B) によって検出されると、運転制御手段(80)により運転が停止される。したがって、冷媒容器(91,20) の余裕代の範囲内で運転を停止し、圧力が異常に上昇するのを防止できる。そして、運転開始時に満液の冷媒容器(91,20) が接続されている場合は勿論のこと、満液の冷媒容器(91,20) が接続されていない場合でも、運転に伴って容器(91,20) 内の冷媒が増えて満液状態が所定時間維持されると運転が停止するので、圧力が異常に上昇するのを防止できる。また、配管の接続が間違っている場合には、接続を正しくして運転を再開すれば正常な運転を行うことが可能となる。
【0025】
特に、運転開始時に満液基準状態を検出し、その所定時間後に満液状態であるかどうかをさらに検出するようにすれば、運転に伴って冷媒が減っていれば運転を正常に継続することができる一方、満液状態のままであれば冷媒を回収していると判断して運転を停止できる。したがって、運転開始時に満液の冷媒容器(91,20) が接続されている場合に、確実な運転制御を行える。
【0026】
また、満液基準状態を検出した後の所定時間を、各搬送熱交換器(7A,7B) を加熱器及び冷却器とする1回のサイクルに対応した時間とすると、冷媒容器(91,20) の余裕代の範囲内で冷媒を受容しつつ運転を停止できるので、誤接続があった場合などに冷媒容器(91,20) の液封を防止するための具体的な実施に即した形での適切な制御が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1に係る配管洗浄装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、この配管洗浄装置(10)は、2次冷媒システムを利用して既設の冷媒回路における冷媒配管(2A,2B) を洗浄するものであり、既設冷媒配管(2A,2B) に接続されている。尚、図1は、2本の既設冷媒配管(2A,2B) を示している。この既設冷媒配管(2A,2B) は、図示しない既設の空気調和装置等の冷媒回路における室外ユニットと室内ユニットとを接続する連絡配管であって、本実施形態では、縦配管となっている。
【0029】
上記2本の既設冷媒配管(2A,2B) の一端には第1洗浄回路(11)が接続され、他端には第2洗浄回路(12)が接続されている。上記第1洗浄回路(11)は、1本の接続配管で構成され、両端が継手(21,21) を介して2本の既設冷媒配管(2A,2B) に接続されている。該第1洗浄回路(11)の接続部位は、例えば、既設の冷媒回路では室内ユニットが接続されていた部分である。
【0030】
上記第2洗浄回路(12)は、接続回路(30)と冷凍回路(40)とより構成されている。該接続回路(30)は、両端が継手(21,21) を介して2本の既設冷媒配管(2A,2B) に接続されている。そして、上記2本の既設冷媒配管(2A,2B) と第1洗浄回路(11)と第2洗浄回路(12)の接続回路(30)とによって閉回路(13)が構成されている。尚、上記接続回路(30)の接続部位は、例えば、既設の冷媒回路では室外ユニットが接続されていた部分である。
【0031】
上記閉回路(13)は、既設冷媒配管(2A,2B) を洗浄するための洗浄用の2次冷媒が充填されて循環する冷媒流通路を構成している。該2次冷媒は、例えば、新設する空気調和装置に使用される新たな清浄な冷媒が用いられる。具体的に、上記2次冷媒は、R−407CやR−410AなどのHFC系冷媒である。
【0032】
上記接続回路(30)は、第1閉鎖弁(V1)と逆止弁(31)と分離器(50)と加減圧部(60)と第2閉鎖弁(V2)とが順に接続配管(34)によって接続されて構成されている。
【0033】
上記分離器(50)は、タンク(51)に分離熱交換コイル(52)とフィルタ(53)が収納されて構成され、2次冷媒から潤滑油等の異物を分離する分離手段を構成している。上記タンク(51)は、各既設冷媒配管(2A,2B) を流通した液相の2次冷媒を貯溜するものである。
【0034】
上記分離熱交換コイル(52)は、後述する冷凍回路(40)に接続され、タンク(51)内の液相の2次冷媒を加熱して蒸発させる加熱手段を構成している。上記フィルタ(53)は、タンク(51)内の上部に取り付けられ、分離熱交換コイル(52)の加熱で蒸発したガス相の2次冷媒の通過によって該2次冷媒より異物を除去する捕集手段を構成している。
【0035】
上記加減圧部(60)は、接続配管(34)の途中を2つの並列通路(61,61) に形成すると共に、第1搬送熱交換器(7A)及び第2搬送熱交換器(7B)が各並列通路(61,61) に設けられて構成されている。更に、上記加減圧部(60)における各搬送熱交換器(7A,7B) の上流側と下流側とには、一方向にのみ冷媒流通を許容する逆止弁(62,62,…)が設けられている。
【0036】
上記冷凍回路(40)は、圧縮回路部(4C)と搬送回路部(4A)とを備えて独立した1つの冷凍サイクルの搬送手段を構成している。該搬送回路部(4A)が、圧縮回路部(4C)に対して四路切換弁(42)によって冷媒の流通方向が可逆になるように接続されている。該冷凍回路(40)に充填される冷媒、つまり、搬送用冷媒である1次冷媒は、R22の他、HFC系冷媒などの各種の冷媒が用いられている。
【0037】
上記圧縮回路部(4C)は、圧縮機(41)の吐出側に空冷凝縮器(4e)が、圧縮機(41)の吸込側にアキュムレータ(46)がそれぞれ設けられて構成されている。上記空冷凝縮器(4e)は、圧縮機(41)の吐出側の高圧上昇を抑制するものである。つまり、1次冷媒の凝縮量が低下すると、圧縮機(41)の吐出側の高圧圧力が上昇する。この高圧圧力が所定値以上になると、空冷ファン(4f)を駆動し、上記空冷凝縮器(4e)が圧縮機(41)より吐出した冷媒を凝縮させるように構成されている。
【0038】
一方、上記搬送回路部(4A)は、第1搬送熱交換器(7A)と整流回路(47)と第2搬送熱交換器(7B)とが直列に接続されて構成されている。そして、該整流回路(47)には1方向通路(48)が接続されている。
【0039】
上記整流回路(47)は、4つの1方向弁(CV)を有するブリッジ回路に構成されている。該整流回路(47)の4つの接続点のうち、2つの接続点には1方向通路(48)が接続され、他の2つの接続点にはそれぞれ第1搬送熱交換器(7A)及び第2搬送熱交換器(7B)が接続されている。
【0040】
上記1方向通路(48)には、上流側から分離熱交換コイル(52)と膨張弁(EV)とが順に接続されている。該膨張弁(EV)は、過熱度制御される絞り機構を構成している。該膨張弁(EV)の感温筒(TB)は、アキュムレータ(46)の流入側に取り付けられている。上記分離熱交換コイル(52)は、上述したように分離器(50)のタンク(51)に収納されている。
【0041】
上記2つの搬送熱交換器(7A,7B) は、例えば、プレート式熱交換器で構成されている。該各搬送熱交換器(7A,7B) は、冷却動作と加圧動作とを交互に繰り返すように構成されている。つまり、上記各搬送熱交換器(7A,7B) は、交互に冷却器と加熱器とになる。
【0042】
上記冷却動作は、分離器(50)で相変化したガス相の2次冷媒を冷却して液相に相変化させて減圧させる動作である。また、上記加圧動作は、液相の2次冷媒を液相状態まま加熱して加圧させる動作である。
【0043】
具体的に、例えば、図1の左側の第1搬送熱交換器(7A)に洗浄用の液相の2次冷媒が溜っている状態で、図1の右側の第2搬送熱交換器(7B)には洗浄用のガス相の2次冷媒が溜っている状態とする。この状態において、上記第1搬送熱交換器(7A)が加熱器に、第2搬送熱交換器(7B)が冷却器になる。
【0044】
上記圧縮機(41)から吐出した高温の1次冷媒が第1搬送熱交換器(7A)において液相の2次冷媒を加熱して昇圧させ、搬送圧力を付与して2次冷媒を既設冷媒配管(2A,2B) に押し出す。一方、上記1次冷媒は、分離熱交換コイル(52)を経て膨張弁(EV)で減圧され、第2搬送熱交換器(7B)で蒸発する。この1次冷媒は、ガス相の2次冷媒を冷却して該2次冷媒を液相に相変化させて減圧させる。この結果、第2搬送熱交換器(7B)がガス相の2次冷媒を分離器(50)より吸引して該2次冷媒を溜め込む。
【0045】
その後、上記第1搬送熱交換器(7A)を冷却器に、第2搬送熱交換器(7B)を加熱器に切り換える。そして、上記圧縮機(41)から吐出した高温の1次冷媒が四路切換弁(42)を切り換えることにより第2搬送熱交換器(7B)に流れ、液相の2次冷媒を既設冷媒配管(2A,2B) に押し出す。一方、1次冷媒は第1搬送熱交換器(7A)で蒸発してガス相の2次冷媒を冷却して該第1搬送熱交換器(7A)に2次冷媒を溜め込む。この動作を繰り返す。
【0046】
尚、上記圧縮回路部(4C)には、圧縮機(41)の吸込側に低圧圧力センサ(P1)が、圧縮機(41)の吐出側に高圧圧力センサ(P2)及び温度センサ(T2)が設けられている。該低圧圧力センサ(P1)、高圧圧力センサ(P2)及び温度センサ(T2)は、1次冷媒の温度や圧力の他、圧力相当飽和温度などを検出するための検出手段を構成している。
【0047】
また、上記接続回路(30)の接続配管(34)には、分離器(50)の下流側に位置して低圧圧力スイッチ(LPS) が設けられている。該低圧圧力スイッチ(LPS) は、2次冷媒の圧力や圧力相当飽和温度などを検出するための検出手段を構成している。
【0048】
上記冷凍回路(40)は、圧縮機(41)の吐出圧力が所定値以上になるか、圧縮機(41)の吐出温度が所定値以下になるか、又は分離器(50)の内部圧力が所定値以上になるか、何れかの条件になると、四路切換弁(42)を切り換えるように構成されている。該冷凍回路(40)は、四路切換弁(42)の切り換えによって搬送回路部(4A)の冷媒の流通方向が切り換わる。
【0049】
例えば、一方の搬送熱交換器(7A,7B) (冷却側)が液相の2次冷媒で満杯になると、この搬送熱交換器(7A,7B) における1次冷媒の熱交換量が低下する。この結果、膨張弁(EV)を過熱度制御しているので、絞り量が大きくなり、圧縮機(41)の吸込側の低圧圧力が低下する。この低圧圧力を低圧圧力センサ(P1)が検知し、所定値以下になると、四路切換弁(42)を切り換える。
【0050】
また、上記接続回路(30)には、2次冷媒の充填及び回収のためのホットガス通路(15)及び補助回路(90)が設けられている。このため、本実施形態の配管洗浄装置(10)は、配管洗浄の他、2次冷媒を回収する冷媒回収装置としても機能するように構成されている。
【0051】
上記ホットガス通路(15)は、洗浄の終了後に高温高圧の2次冷媒を既設冷媒配管(2A,2B) に供給し、該既設冷媒配管(2A,2B) に残存している2次冷媒液を蒸発させて回収するものである。該ホットガス通路(15)の流入側は、2つに分岐され、2つの流入端が各搬送熱交換器(7A,7B) の流入側の並列通路(61,61) に接続されている。また、上記ホットガス通路(15)の流出端は、第2閉鎖弁(V2)と既設冷媒配管(2B)との間に接続されている。上記ホットガス通路(15)における流入側の分岐部分には1方向弁(CV)が、流出側の集合部分には第3閉鎖弁(V3)がそれぞれ設けられている。
【0052】
上記補助回路(90)は、冷媒容器(91)と4つの補助通路(92〜95)とを備えている。冷媒容器(91)は、図2に示すように、容器本体(91A) と、該容器本体(91A) 内の液冷媒の量に応じて上下へ移動し、所定の位置で満液信号を後述のコントローラ(80)に出力するフロートスイッチ(91B) とを有している。
【0053】
フロートスイッチ(91B) は、冷媒容器(91)が満液状態であるかどうかを検出する満液検出手段を構成している。このフロートスイッチ(91B) は、冷媒容器(91)内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っている状態を満液状態として検出するように構成されている。つまり、空き容量が一定量以下になると、常に満液状態を検出する。
【0054】
そして、冷媒容器(91)の供給口が配管洗浄装置(10)の充填用ポートに接続され、冷媒容器(91)の回収口が配管洗浄装置(10)の回収用ポートに接続されている。
【0055】
第1の補助通路(92)は、流入側のメイン部分から流出側が2つに分岐されている。該第1の補助通路(92)の流入端が冷媒容器(91)に連通し、2つの流出端が、ホットガス通路(15)の接続部より下流側において各並列通路(61,61) に接続されている。上記第1の補助通路(92)における流入側のメイン部分には第4閉鎖弁(V4)が、流出側の分岐部分には1方向弁(CV)がそれぞれ設けられている。
【0056】
第3の補助通路(94)は第6閉鎖弁(V6)が設けられている。該第3の補助通路(94)の一端が冷媒容器(91)に連通し、他端が第2搬送熱交換器(7B)の流出側の並列通路(61)に接続されている。
【0057】
第2の補助通路(93)は第5閉鎖弁(V5)が設けられている。該第2の補助通路(93)の一端が、第3の補助通路(94)に第6閉鎖弁(V6)の下流側において接続され、他端が、第1の補助通路(92)のメイン部分に第4閉鎖弁(V4)の下流側において接続されている。
【0058】
第4の補助通路(95)は第7閉鎖弁(V7)が設けられている。該第4の補助通路(95)の一端が、ホットガス通路(15)の集合部分に第3閉鎖弁(V3)の上流側において接続され、他端が、第1の補助通路(92)のメイン部分に第4閉鎖弁(V4)の上流側において接続されている。
【0059】
そして、上記2次冷媒を閉回路(13)に充填するための充填回路(9S)が、上記ホットガス通路(15)の一部と第4の補助通路(95)と第2の補助通路(93)と第1の補助通路(92)の一部と第3の補助通路(94)の一部とによって形成されている。
【0060】
また、上記2次冷媒を冷媒容器(91)に回収するための回収回路(9R)が、上記ホットガス通路(15)と第1の補助通路(92)と第3の補助通路(94)とによって形成されている。
【0061】
上記配管洗浄装置(10)は、コントローラ(運転制御手段)(80)によって制御される。該コントローラ(80)は、上記低圧圧力センサ(P1)、高圧圧力センサ(P2)、温度センサ(T2)及び低圧圧力スイッチ(LPS) の検知信号が入力される一方、運転制御部(81)とタイマ(82)とが設けられている。
【0062】
運転制御部(81)は、装置(10)全体を運転制御して、閉回路(13)内での冷媒の循環の際に分離器(50)で異物を除去することにより既設冷媒配管(2A,2B) の洗浄動作を行うように構成されている。一方、この運転制御部(81)は、冷媒の充填時に、運転開始から冷媒容器(91)の満液状態を判別しつつ、一旦満液基準状態を検出してから所定時間経過後にさらに冷媒容器(91)が満液状態になっていることを検出すると運転を停止するように構成されている。
【0063】
また、一旦満液基準状態を検出してから冷媒容器(91)が満液状態であるかどうかを検出するまでの所定時間は、タイマ(82)によって本実施形態では約3分に設定されている。これは、本実施形態において、搬送熱交換器(7A,7B) の一方を閉回路(13)の冷媒に対する加熱器とし、他方を冷却器とする第1の状態と、搬送熱交換器(7A,7B) の一方を冷却器とし、他方を加熱器とする第2の状態とを1.5分間隔で交互に切り換えるようにしており、各搬送熱交換器(7A,7B) を1回ずつ加熱器及び冷却器とする1回のサイクルに対応した時間に設定したものである。
【0064】
一方、フロートスイッチ(91B) は、上述したように冷媒容器(91)内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っている状態を常に満液状態として検出するように構成されており、ホース等の誤接続などで冷媒を満液の冷媒容器(91)内に回収してしまったときに、3分間の運転であれば冷媒容器(91)が液封とならないように設定されている。例えば、3分間の運転で約900cc の冷媒が回収されるとすると、フロートスイッチ(91B) は、例えば約1000cc程度ないしそれ以上の空き容量(余裕代)がある状態を満液基準状態として検出する。
【0065】
−既設冷媒配管の洗浄動作−
次に、上記配管洗浄装置(10)による既設冷媒配管(2A,2B) の洗浄動作について充填動作及び回収動作を含めて説明する。
【0066】
先ず、既設の冷媒回路において、連絡配管である既設冷媒配管(2A,2B) から室外ユニット及び室内ユニットを取り外す。その後、該2本の既設冷媒配管(2A,2B) の下端には第1洗浄回路(11)を接続する一方、2本の既設冷媒配管(2A,2B) の上端には、第2洗浄回路(12)の接続回路(30)を接続して閉回路(13)を形成する。
【0067】
続いて、2次冷媒を閉回路(13)に充填する。つまり、充填初期は、例えば、閉回路(13)を真空状態にし、冷媒容器(91)を第1の補助通路(92)に接続する。そして、上記第4閉鎖弁(V4)を開き、2次冷媒を冷媒容器(91)より第1の補助通路(92)を介して閉回路(13)に充填する。
【0068】
更に、2次冷媒を追加充填する場合、補助回路(90)においては、第3閉鎖弁(V3)と第4閉鎖弁(V4)と第6閉鎖弁(V6)を閉じる一方、第7閉鎖弁(V7)と第5閉鎖弁(V5)を開く。
【0069】
この状態において、冷凍回路(40)を駆動すると、図1の実線矢符に示すように、搬送熱交換器(7A,7B) の上流側から閉回路(13)のホットガスがホットガス通路(15)から第4の補助通路(95)を経て冷媒容器(91)に流入する。このホットガスにより冷媒容器(91)の内部が加圧され、該冷媒容器(91)の冷媒、つまり、2次冷媒が第3の補助通路(94)から第2の補助通路(93)を経て第1の補助通路(92)を通り、閉回路(13)に充填される。
【0070】
このように既設冷媒配管(2A,2B) の洗浄前に冷媒容器(91)から閉回路(13)へ冷媒を充填して運転をする際には、図3のフローチャートに示すような制御が行われる。
【0071】
すなわち、充填モードに入ると、ステップST1において、冷媒容器(91)が満液状態(満液基準状態)であるかどうかをフロートスイッチ(91B) の位置信号から判別し、満液状態でない場合はステップST2でタイマ(82)をリセットして充填を行う。
【0072】
一方、運転開始時等にステップST1で冷媒容器(91)が満液基準状態であると判断されると、ステップST3へ進んでタイマ(82)をスタートさせる。そして、ステップST4で3分経過したことを検出するまでは、ステップST1へ戻って冷媒容器(91)が満液状態であるかどうかを判別するループを行う。そして、3分経過する前に冷媒容器(91)が満液状態でなくなっていれば、洗浄用冷媒が閉回路(13)への充填に伴って冷媒容器(91)から減っていて充填が正常に行われていると判断できるので、ステップST2でタイマ(82)をリセットしたうえで所定の充填動作を継続する。
【0073】
逆に3分を経過しても冷媒容器(91)が満液状態であれば、充填動作を行っているはずなのに冷媒が冷媒容器(91)から減っていないため、充填用と回収用のホース等の誤接続などによる誤動作が生じ、冷媒を回収するだけで閉回路(13)に押し出していないと考えられる。このため、今度はステップST5へ進み、運転を停止して満液の冷媒容器(91)の交換指令が発される。
【0074】
なお、上述したように、満液の冷媒容器(91)に誤作動で冷媒を回収してしまったとしても、3分間で確実に停止し、その間に回収される冷媒が冷媒容器(91)の空き容量よりも少ないので、冷媒容器(91)が液封となることはない。したがって、この時点で冷媒容器(91)を交換するか、正しい接続につなぎ変えて運転を行えば、正常な動作を行うことができる。
【0075】
また、上記の制御は、充填モードの運転開始時に限らず、例えば充填中にホースの一部が折れ曲がるなどの不具合で既設冷媒配管からの冷媒の回収のみが行われるようになった場合などを考慮して、充填中は常に行われる。
【0076】
以上のようにして閉回路(13)への洗浄用冷媒の充填が完了すると、続いて配管洗浄の動作に移り、上記第3閉鎖弁(V3)〜第7閉鎖弁(V7)を閉鎖したまま第2洗浄回路(12)の冷凍回路(40)を駆動する。つまり、圧縮機(41)を駆動して1次冷媒を循環させる。上記圧縮機(41)より吐出した高温高圧の1次冷媒は、空冷凝縮器(4e)を流れ、四路切換弁(42)を経て一方の搬送熱交換器(7A又は7B)に流れる。
【0077】
そこで、図1の左側の第1搬送熱交換器(7A)に洗浄用の液相の2次冷媒が溜っている状態で、図1の右側の第2搬送熱交換器(7B)に洗浄用のガス相の2次冷媒が溜っている状態から説明する。
【0078】
この状態においては、四路切換弁(42)が図1の実線状態に切り換わり、高温の1次冷媒が第1搬送熱交換器(7A)を流れ、1次冷媒が凝縮して液相の2次冷媒を加熱して昇圧させる。この昇圧によって2次冷媒は液相のまま搬送圧力、つまり、搬送力を得て第1搬送熱交換器(7A)を流出して既設冷媒配管(2A,2B) に流れる。
【0079】
その際、上記2次冷媒は、先ず、大径のガス側の既設冷媒配管(2B)を流れ、第1洗浄回路(11)を経て小径の液側の既設冷媒配管(2A)を流れる。
【0080】
また、上記第1搬送熱交換器(7A)を経た1次冷媒は、整流回路(47)及び1方向通路(48)を通り、分離器(50)の分離熱交換コイル(52)に流れ、分離器(50)のタンク(51)に溜っている液相の2次冷媒を蒸発させる。
【0081】
その後、上記凝縮した1次冷媒は、膨張弁(EV)で減圧して第2搬送熱交換器(7B)に流れ、該1次冷媒が蒸発する。この蒸発により、洗浄用のガス相の2次冷媒が冷却されて液相に相変化する。この相変化により、2次冷媒は、降圧してガス相の2次冷媒を分離器(50)より吸引すると共に、第2搬送熱交換器(7B)に該2次冷媒を溜め込む。
【0082】
一方、上記第2搬送熱交換器(7B)で蒸発した1次冷媒は四路切換弁(42)を介して圧縮機(41)に戻り、この動作を繰り返す。
【0083】
その後、上記第2搬送熱交換器(7B)が液相の2次冷媒で満杯になると、四路切換弁(42)を切り換える。つまり、上記第2搬送熱交換器(7B)における1次冷媒の熱交換量が低下すると、膨張弁(EV)が過熱度制御しているので、絞り量が大きくなり、圧縮機(41)の吸込側の低圧圧力が低下する。そして、例えば、この低圧圧力を低圧圧力センサ(P1)が検知し、所定値以下になると、四路切換弁(42)を切り換える。
【0084】
この四路切換弁(42)の切り換えによって、圧縮機(41)より吐出した1次冷媒が第2搬送熱交換器(7B)に流れ、2次冷媒を既設冷媒配管(2A,2B) に送出する。一方、1次冷媒は分離熱交換コイル(52)を経て第1搬送熱交換器(7A)で蒸発して2次冷媒を冷却して該2次冷媒を溜め込む。この動作を繰り返して2次冷媒を閉回路(13)内で循環させる。
【0085】
この液相の2次冷媒は、既設冷媒配管(2A,2B) を流れ、該既設冷媒配管(2A,2B) の内面に付着した潤滑油などの異物が溶け込む。この2次冷媒は、分離器(50)において、分離熱交換コイル(52)の加熱によって蒸発し、異物が分離されてタンク(51)に滞積する。同時に、上記2次冷媒は、フィルタ(53)を通過する際、該2次冷媒に混入している潤滑油などの異物が除去され、上述した一方の搬送熱交換器(7A又は7B)に流れ、この動作を繰り返す。
【0086】
上記2次冷媒の搬送時において、1次冷媒の凝縮量が低下すると、圧縮機(41)の吐出側の高圧圧力が上昇する。この高圧圧力を高圧圧力センサ(P2)が検知し、所定値以上になると、空冷ファン(4f)を駆動する。この結果、高温高圧の1次冷媒は、一部が空冷凝縮器(4e)で凝縮した後、この気液二相の1次冷媒が、四路切換弁(42)を経て一方の搬送熱交換コイル(71又は72)に流れる。この空冷凝縮器(4e)の凝縮によって1次冷媒の高圧圧力が低下する。
【0087】
上記洗浄動作が終了した後、2次冷媒の回収動作を行う。つまり、第2閉鎖弁(V2)と第5閉鎖弁(V5)と第7閉鎖弁(V7)を閉じたまま、第1閉鎖弁(V1)と第3閉鎖弁(V3)と第4閉鎖弁(V4)と第6閉鎖弁(V6)を開く。
【0088】
この弁状態により、上述した冷凍回路(40)を駆動し続け、図1の一点鎖線矢符に示すように、閉回路(13)のホットガスをホットガス通路(15)から既設冷媒配管(2A,2B) 等に供給する。
【0089】
つまり、2次冷媒を加熱して昇圧させている搬送熱交換器(7A又は7B)においては、四路切換弁(42)を切り換える直前で2次冷媒が最も高温高圧になっている。このため、高温高圧のガス相の2次冷媒をホットガス通路(15)から既設冷媒配管(2A,2B) に送出する。この高温の2次冷媒によって既設冷媒配管(2A,2B) に残存している液相の2次冷媒を蒸発させて押し出す。
【0090】
一方、上記冷媒容器(91)が、第1の補助通路(92)と第3の補助通路(94)に連通接続されている。そして、上記第4閉鎖弁(V4)の開口により、第1の補助通路(92)が、2次冷媒を冷却して降圧させている搬送熱交換器(7A又は7B)に連通する。この連通によって冷媒容器(91)のガス抜きが行われ、該冷媒容器(91)内が低圧となる。
【0091】
この状態において、上記四路切換弁(42)を切り換え、両搬送熱交換器(7A又は7B)の押し出し動作と溜め込み動作を連続して行う。上記第6閉鎖弁(V6)の開口により、第3の補助通路(94)が冷媒容器(91)に連通しているので、一方の搬送熱交換器(7A又は7B)から押し出された2次冷媒が第3の補助通路(94)を経て冷媒容器(91)に回収される。
【0092】
その後、低圧圧力スイッチ(LPS) が作動すると、回収動作を終了する。つまり、閉回路(13)の2次冷媒がほぼ回収されると、2次冷媒圧力が低くなるので、上記低圧圧力スイッチ(LPS) に基づき回収動作の終了を判定する。この冷媒回収の終了後、上記第1洗浄回路(11)及び第2洗浄回路(12)を既設冷媒配管(2A,2B) から取り外す。
【0093】
−実施形態1の効果−
以上説明したように、本実施形態1によれば、閉回路(13)に冷媒を充填するときに図3のフローチャートに沿った制御を行うことにより、配管洗浄装置(10)と冷媒容器(91)の接続を誤って冷媒容器(91)に冷媒を回収したとしても、満液基準状態になってから3分間で運転が停止する。そして、タイマ(82)の設定時間と、フロートスイッチ(91B) が検出する満液基準状態とを適切に設定していることにより、冷媒容器(91)が液封状態となるのを防止している。したがって、冷媒容器(91)内の圧力が異常に上昇することを防止できる。
【0094】
そして、従来は冷媒容器(91)が液封となるのを防止するために、配管洗浄装置において満液の冷媒容器(91)を使うことができなかったのに対し、本実施形態1では異常時に運転を停止するようにしたので、満液の冷媒容器(91)でも問題なく運転をすることが可能となる。
【0095】
さらに、図3のフローチャートに沿った制御は、充填中に限らず、配管洗浄中にも行うようにしてもよく、そうすれば、配管洗浄中に何らかの不都合で冷媒が回収されてしまった場合の問題を回避できる。
【0096】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、実施形態1とほぼ同様に構成された装置を、使用済みの冷媒を再生する冷媒再生装置(10)としたものである。この装置(10)の具体的な構成は、実施形態1の配管洗浄装置(10)とほぼ同じであり、以下、構成の異なる点について説明する。
【0097】
図4に示すように、この冷媒再生装置(10)においては、実施形態1の既設冷媒配管(2A,2B) の位置に、再生用の冷媒(使用済みの冷媒)が収納された冷媒容器(20)が接続されている。具体的には、上記再生用冷媒が収納された冷媒容器(20)の冷媒入口には再生回路(実施形態1の第2洗浄回路)(12)の一端が接続される一方、冷媒容器(20)の冷媒出口には再生回路(12)の他端が接続されている。
【0098】
再生回路(12)は、接続回路(30)と冷凍回路(40)とより構成され、接続回路(30)の両端が冷媒容器(20)に接続されている。そして、上記冷媒容器(20)と再生回路(12)の接続回路(30)とによって閉回路(13)が構成されている。閉回路(13)は、冷媒容器(20)に収納された使用済みの冷媒である2次冷媒が流通して循環する冷媒流通路を構成している。
【0099】
上記接続回路(30)は、実施形態1と同様に、ホットガス通路(15)及び補助回路(90)を備えている。そして、ホットガス通路(15)により、高圧の2次冷媒を冷媒容器(20)に供給し、該冷媒容器(20)を加圧して2次冷媒を循環させることができるようにしている。ホットガス通路(15)の構成自体は実施形態1と同じである。
【0100】
補助回路(90)を構成する4つの補助通路(92〜95)のうち、第2の補助通路(93)と第4の補助通路(95)とは、実施形態1の説明から明らかなように、冷媒再生装置(10)を既設の冷媒配管を洗浄する洗浄装置などとして使用する場合に使用される。つまり、上記第2の補助通路(93)と第4の補助通路(95)は、冷媒再生装置(10)には必ずしも設ける必要はない。
【0101】
本実施形態2では、実施形態1の第1洗浄回路(11)は接続されていない。また、実施形態1では既設冷媒配管(2A,2B) を洗浄するために洗浄用冷媒が入った冷媒容器(91)を接続していたが、この洗浄用冷媒の冷媒容器(91)は本実施形態では接続されず、その位置にプラグが装着されている。なお、上記再生回路(12)には、2次冷媒から水分を除去するドライヤ(35)を、仮想線で示すように第2閉鎖弁(V2)と冷媒容器(20)との間の接続配管(34)に設けるようにしてもよい。
【0102】
また、分離器(50)には、該分離器(50)に溜まった異物を回収して収納するための異物容器(14)が収納通路(54)によって接続されている。該収納通路(54)には、第8閉鎖弁(V8)が設けられている。
【0103】
上記再生用冷媒の冷媒容器(20)は、実施形態1の冷媒容器(91)と同様に、図2の括弧内の符号で示すように、容器本体(20A) と、冷媒容器(20)内での満液状態を検出する満液検出手段としてフロートスイッチ(20B) とを備えている。フロートスイッチ(20B) は、容器本体(20A) 内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っているときに満液状態を検出するように構成されている。
【0104】
また、制御手段であるコントローラは、再生運転を開始してから、満液基準状態を検出し、さらに5分を経過したときに満液状態を検出すると運転を停止するように構成された運転制御部(81)とタイマ(82)とを備えている(図1参照)。なお、運転制御部(81)とタイマ(82)は、図4では省略している。
【0105】
5分で満液状態を検出するようにしているのは、本実施形態の冷媒再生の場合の搬送熱交換器(7A,7B) が、加熱器とする状態と冷却器とする状態とを2.5分間隔で切り換えるように設定されていて、各搬送熱交換器(7A,7B) を加熱器と冷却器とに1回ずつ機能させる1回のサイクルに対応するようにしたものである。
【0106】
−冷媒の再生動作−
次に、上述した冷媒再生装置(10)による冷媒(2次冷媒)の再生動作について説明する。
【0107】
先ず、使用済みの冷媒が収納された冷媒容器(20)を再生回路(12)の接続回路(30)に接続して閉回路(13)を形成する。続いて、例えば、閉回路(13)を真空状態にし、冷媒容器(20)の2次冷媒(再生用冷媒)を閉回路(13)に充填する。
【0108】
続いて、異物の回収動作に移り、上記第3閉鎖弁(V3)〜第8閉鎖弁(V8)を閉鎖したまま冷凍回路(40)を駆動する。つまり、圧縮機(41)を駆動して1次冷媒を循環させる。このことにより、2次冷媒に搬送力が与えられ、該2次冷媒が冷媒容器(20)と接続回路(30)とからなる閉回路(13)を循環する。
【0109】
そして、液相の2次冷媒が冷媒容器(20)を流れる際に、該冷媒容器(20)の内部に貯留された2次冷媒が流れ出る。つまり、油などを含む2次冷媒が冷媒容器(20)から流出する。この2次冷媒は、分離器(50)に流れ、該分離器(50)において、2次冷媒が分離熱交換コイル(52)の加熱によって蒸発する。この結果、油などの異物が分離されてタンク(51)に滞積する。同時に、上記2次冷媒は、フィルタ(53)を通過する際、該2次冷媒に混入している異物が除去され、上述した一方の搬送熱交換器(7A又は7B)に流れ、この動作を繰り返す。尚、ドライヤ(35)を設けた場合は、2次冷媒に含まれている水分がドライヤ(35)によって除去される。
【0110】
そして、このように閉回路(13)を冷媒が循環することによって冷媒が再生され、再生された冷媒は、閉鎖弁(V1,V2) を開閉制御しながら接続回路(30)から冷媒容器(20)に押し出され、該冷媒容器(20)に回収される。
【0111】
なお、分離器(50)で分離した異物は、分離器(50)の液面が所定のレベル以上になったときに、分離器(50)の入口側の第1閉鎖弁(V1)を閉鎖して冷媒容器(20)から分離器(50)への2次冷媒の流入を止め、所定時間の経過を待って分離器(50)の内部の2次冷媒が蒸発した後、第8閉鎖弁(V8)を開いて異物容器(11)に回収する。
【0112】
冷媒の再生は、閉回路(13)内を冷媒が循環することによって行われるため、冷媒容器(20)とホース等との接続が正しく行われていれば該冷媒容器(20)内の冷媒が増えることはないが、接続が正しくない場合やホースの一部が折れ曲がるなどの不具合で冷媒が流れにくくなっている場合などには、運転中に容器(20)内の冷媒が増えるおそれがある。
【0113】
そこで、本実施形態2では、図5のフローチャートに沿った運転を行うようにしている。このフローでは、タイマ(82)の設定時間が5分になっている点を除いては図3のフローと同様の動作が行われる。したがって、ステップST11からステップST15により、満液基準状態の冷媒容器(20)が5分経過して満液状態であれば運転が停止され、冷媒が減っていれば正常に運転が行われる。
【0114】
−実施形態2の効果−
本実施形態2によれば、冷媒再生装置(10)において満液状態(満液基準状態)の冷媒容器(20)を接続した場合に、ホース等の誤接続などで容器(20)内の冷媒が増えると運転が停止されるので、容器(20)が液封となるのを防止できる。
【0115】
また、ホース等が正常に接続されていれば満液の冷媒容器(20)が接続されていても運転を行うことができ、例えば必要以上に容量に余裕のある冷媒容器を用いる必要もない。
【0116】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0117】
例えば、上記実施形態においては、加熱部及び冷却部は、冷凍回路(40)の2つの搬送熱交換器(7A,7B) で構成したが、加熱は、ヒータや太陽熱などを利用したものであってもよく、冷却は、氷や水冷又は空冷などを利用したものでもよい。
【0118】
また、上記各実施形態では、冷媒容器の余裕代を3分間または5分間の運転で回収される冷媒を収納できるものとして設定したが、この余裕代は装置(10)の具体的な構成に応じて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る配管洗浄装置の冷媒回路図である。
【図2】図1の配管洗浄装置に設けている冷媒容器の概略構成図である。
【図3】図1の配管洗浄装置において冷媒を充填する際の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2に係る冷媒再生装置の冷媒回路図である。
【図5】図4の冷媒再生装置において冷媒を再生する際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
(10) 配管洗浄装置、冷媒再生装置
(2A,2B) 既設冷媒配管
(7A,7B) 搬送熱交換器(加熱部、冷却部)
(13) 閉回路
(20) 冷媒容器
(20B) フロートスイッチ(満液検出手段)
(30) 接続回路
(40) 冷凍回路(搬送手段)
(50) 分離器
(80) コントローラ(運転制御手段)
(91) 冷媒容器
(91B) フロートスイッチ(満液検出手段)
Claims (10)
- 既設冷媒配管(2A,2B) と接続されて構成された閉回路(13)に冷媒容器(91)と分離器(50)とが接続され、該冷媒容器(91)内の冷媒を閉回路(13)内で循環させる搬送手段(40)を備え、該閉回路(13)内での冷媒の循環の際に分離器(50)で異物を除去して既設冷媒配管(2A,2B) を洗浄する配管洗浄装置であって、
冷媒容器(91)内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っている状態を満液状態として検出する満液検出手段(91B) と、運転中に満液基準状態を検出してから所定時間経過後に満液状態を検出すると運転を停止する運転制御手段(80)とを備えている配管洗浄装置。 - 運転制御手段(80)は、運転開始時に冷媒容器(91)の満液基準状態を検出し、その所定時間後に満液状態を検出すると運転を停止するように構成されている請求項1記載の配管洗浄装置。
- 搬送手段(40)は、2つの搬送熱交換器(7A,7B) を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍回路により構成され、
搬送熱交換器(7A,7B) の一方を閉回路(13)の冷媒に対する加熱器とし、他方を冷却器とする状態を交互に切り換えることにより、閉回路(13)の冷媒に搬送力を与えるように構成されている請求項1または2記載の配管洗浄装置。 - 冷媒容器(90)の満液基準状態を検出した後の所定時間は、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を加熱器とし、他方を冷却器とする第1の状態と、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を冷却器とし、他方を加熱器とする第2の状態とを行う1回のサイクルに対応した時間である請求項3記載の配管洗浄装置。
- 各搬送熱交換器(7A,7B) を一度ずつ加熱器及び冷却器とする1回のサイクルによる冷媒の搬送量が、冷媒容器(91)が満液基準状態のときの所定の空き容量よりも少なく設定されている請求項4記載の配管洗浄装置。
- 再生用冷媒が入った冷媒容器(20)と接続されて構成された閉回路(13)に分離器(50)が接続され、該冷媒容器(20)内の冷媒を閉回路(13)内で循環させる搬送手段(40)を備え、該閉回路(13)内での冷媒の循環の際に分離器(50)で異物を除去して冷媒を再生する冷媒再生装置であって、
冷媒容器(20)内に所定の空き容量を残した満液基準状態以上に冷媒が入っている状態を満液状態として検出する満液検出手段(20B) と、運転中に満液基準状態を検出してから所定時間経過後に満液状態を検出すると運転を停止する運転制御手段(80)とを備えている冷媒再生装置。 - 運転制御手段(80)は、運転開始時に冷媒容器(20)の満液基準状態を検出し、その所定時間後に満液状態を検出すると運転を停止するように構成されている請求項6記載の冷媒再生装置。
- 搬送手段(40)は、2つの搬送熱交換器(7A,7B) を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍回路により構成され、
搬送熱交換器(7A,7B) の一方を閉回路(13)の冷媒に対する加熱器とし、他方を冷却器とする状態を交互に切り換えることにより、閉回路(13)の冷媒に搬送力を与えるように構成されている請求項6または7記載の冷媒再生装置。 - 冷媒容器(20)の満液基準状態を検出した後の所定時間は、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を加熱器とし、他方を冷却器とする第1の状態と、各搬送熱交換器(7A,7B) の一方を冷却器とし、他方を加熱器とする第2の状態とを行う1回のサイクルに対応した時間である請求項8記載の冷媒再生装置。
- 各搬送熱交換器(7A,7B) を一度ずつ加熱器及び冷却器とする1回のサイクルによる冷媒の搬送量が、冷媒容器(20)が満液基準状態のときの所定の空き容量よりも少なく設定されている請求項9記載の冷媒再生装置。
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---|---|---|---|
JP2000067376A JP4253990B2 (ja) | 2000-03-10 | 2000-03-10 | 配管洗浄装置及び冷媒再生装置 |
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