JP4253211B2 - サトウキビ加工品とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サトウキビを焙煎しかつ粉砕してなる茶状又はコーヒー状の加工品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−89217 号公報に記載されているように、サトウキビを長さ1mm程度に細かく裁断した後、茶色ないし褐色を呈する程度に炒ることによってサトウキビ茶を製造するとが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような製造方法では、サトウキビを1mm程度に裁断する必要があるが、搾り粕であるバガスを用いるならともかく、生のままのサトウキビは表皮が硬いため、1mm程度に裁断することは極めて困難であり、高価な設備が必要となる。搾り粕なら、1mm程度に裁断するのは可能であるが、肝心な搾り汁を除いた残り粕であるから、サトウキビ成分は殆ど残っておらず、製品としての価値が無い。
【0004】
また、サトウキビを生のまま1mm程度に裁断して炒る場合は、サトウキビの汁の糖分による粘性のために、団子状に固まり易く、炒る作業が面倒である。また、均一に炒るのが困難である。
【0005】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、サトウキビ汁を含有したままのサトウキビを用いて茶状ないしコーヒー状の加工品を製造する際に、機械的な加工および焙煎などの処理が容易な製法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、サトウキビを小片化する工程と、小片をさらに細片化する工程と、細片の状態で焙煎した後、粉砕して粉状にする工程とを含むことを特徴とするサトウキビ加工品の製造方法である。
【0007】
このように、サトウキビを一旦小片化する工程を経てから、小片をさらに細片化するため、細片化が容易であり、また細片の状態で焙煎するため、サトウキビの繊維がほぼ完全にほぐれた状態で焙煎することになり、均一にかつ短時間に焙煎できる。しかも、焙煎した後に、再度粉砕して粉状化するが、焙煎した後は、もろくなっていて粉砕が簡単かつ確実になっているので、粉末化が容易になり、均一な粉末が実現できる。
【0008】
請求項2は、サトウキビを小片化してから水と混ぜた状態でミキシングして細片化し、さらに煮沸して水分を気化させてから焙煎することを特徴とするサトウキビ加工品の製造方法である。
【0009】
サトウキビを細片化する際に、このように、サトウキビを小片化してから、水と混ぜた状態でミキシングすると、容易にかつ確実に細片化できる。そして、細片は水と混ざった状態となるため、それぞれの繊維が分散した状態となり、糖分で粘着することはない。また、このような状態で煮沸して水分を気化させてから、焙煎するため、粘着しない状態で焙煎でき、サトウキビの繊維分が分散した細片となる。なお、焙煎の後に粉砕すると、粉末状の製品となる。
【0010】
請求項3は、前記のミキシングの前、又はミキシングの最中、又はミキシングの後に副材を加えることを特徴とするサトウキビ加工品の製造方法である。
【0011】
このように、小片化したサトウキビを水と混ぜた状態でミキシングして細片化する際に、このミキシングの前、又はミキシングの最中、又はミキシングの後に副材を加えることにより、水中に分散したサトウキビ片と副材とを均一に混和できる。また、水中に副材を添加するので、副材の成分も水中に溶け出し、確実に混和される。
【0012】
請求項4は、小片化されたサトウキビを更に細片化してから焙煎し、更に粉砕して粉状化されていることを特徴とするサトウキビ加工品である。
【0013】
このように、小片化されたサトウキビを更に細片化してから焙煎し、更に粉砕して粉状化されたサトウキビ加工品は、細片化してから焙煎されているので焙煎が確実で一定品質となり、また焙煎後に粉砕されているので、粒度の揃った粉末状となり、高品質の粉状のサトウキビ加工品となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明によるサトウキビ加工品とその製造方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は本発明によるサトウキビ加工品の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【0015】
まず、図1(1)のように、収穫したサトウキビ1の根の部分や梢頭部などを除去すると共に、水洗いする。なお、この際に、長さ30cm程度に切って分割しておくと、次の工程におけるチップ化処理が容易になる。
【0016】
次に、(2)のように、例えば約3cm×1.5cm程度のチップ状に切断し、小片2にする。このような小片化は、木材用のチップ化装置などを用いることによって、容易に可能である。
【0017】
そして、(3)のように、ミキサー3に投入する。このとき、サトウキビ小片2の量の1〜2倍、好ましくは約1.5倍程度の水4を加える。このように、サトウキビ小片2と水4を混ぜた状態で、(4)のように、ミキシングする。
【0018】
サトウキビ小片2だけをミキシングすると、サトウキビ汁の糖分の粘性によって、円滑なミキシングが阻害されるが、水4を加えことによって、サトウキビ汁が薄められると共に、サトウキビ小片が水中に分散するので、ミキシングが円滑に行われる。
【0019】
その結果、例えば1〜2mm長程度の繊維状の細片状となる。すなわち、ミキシングによって、サトウキビの繊維もほぐれるので、より確実に細片化される。また、サトウキビ汁は確実に水中に溶けだして、サトウキビ汁を薄めた水溶液となる。
【0020】
次いで、(5)のように、加熱容器5に移して煮沸し、水分を蒸発させる。このとき、水分がほとんど全て蒸発する程度まで加熱する。その結果、水で薄められたサトウキビ水溶液は、濃縮された状態でわずかに残る。
【0021】
次に、サトウキビ細片を攪拌しながら焙煎する。サトウキビ細片には、前工程における水分がわずかに残っているので、焙煎を始めても、簡単に焦げつくことはない。さらに焙煎を続けている間に次第に焦げだすので、こげ色で焙煎程度を判断して、焙煎を止める。
【0022】
なお、工程(5)の煮沸工程の後、乾燥機などで又は自然乾燥などで細片を乾燥させてから焙煎することもできるが、このように乾燥させた場合は、水分が少ない。そのため、焙煎の際に容易に焦げだす恐れがあるので、注意を要する。
【0023】
サトウキビ細片に付着している糖分が焦げ始めるとカラメル色になるが、浅く焙煎したい場合は、焦げ色が出始めると直ちに焙煎を止め、深く焙煎したい焙煎は、焦げ茶色になるまで焙煎する。このように、焦げ色が発色する頃には、糖分が焦げだした際の甘い香りを発する。なお、焦げ色が出る前に焙煎を止めることもできる。
【0024】
煮沸する際の加熱容器5に入れたまま、水分を蒸発させた後の焙煎を連続して行なうこともできるし、別の焙煎専用の容器に移してから、焙煎を始めることもできる。
【0025】
前記のようにして焙煎を止めた後、次の粉砕機6に移して粉砕し、粉末7状にする。なお、焙煎の際の熱を保った状態で粉砕することもできるが、全体的に攪拌しながら自然放冷して、冷ましてから粉砕してもよい。
【0026】
このように粉末化すると、粉末化したコーヒー状となり、コーヒーを飲むようにして、成分を抽出し、飲むことができる。
【0027】
前記のように、浅く焙煎した状態で、あるいはこげ茶色が付く前に焙煎を止めて、茶を飲む要領で成分を抽出して飲むこともできる。このように、サトウキビ茶として用いる場合は、焙煎後の粉砕工程を省いて製品とし、細片の状態で煎じて飲むこともできる。
【0028】
本発明によるサトウキビコーヒーないしサトウキビ茶は、サトウキビ単体で用いることもできるが、他の副材を加えて製品とすることもできる。例えば、沖縄特産の苦瓜や月桃、ウコン、グァバの果実または葉、もろみ酢、シークワーサー(ヒラミレモン)などを加えることができる。
【0029】
加えるタイミングは、前記の工程(4)におけるミキシングの前でもよいし、ミキシングの最中でもよい。副材が液体の場合は、ミキシングの後に加えてもよい。副材が固形の場合は、ミキシングの前又はミキシングの最中に加えると、サトウキビ細片と同様に細片化されるので、サトウキビ細片と均一に混合される。
【0030】
副材が、水中に入れるのを嫌う場合は、焙煎の前に加えてもよい。また、焙煎も嫌う場合は、焙煎の後、又は焙煎の終わり頃に加えることもできる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1のように、サトウキビを一旦小片化する工程を経てから、小片をさらに細片化するため、細片化が容易であり、また細片の状態で焙煎するため、サトウキビの繊維がほぼ完全にほぐれた状態で焙煎することになり、均一にかつ短時間に焙煎できる。しかも、焙煎した後に、再度粉砕して粉状化するが、焙煎した後は、もろくなっていて粉砕が簡単かつ確実になっているので、粉末化が容易になり、均一な粉末が実現できる。
【0032】
請求項2のように、サトウキビを小片化してから、水と混ぜた状態でミキシングすると、容易にかつ確実に細片化できる。そして、細片は水と混ざった状態となるため、それぞれの繊維が分散した状態となり、糖分で粘着することはない。また、このような状態で煮沸して水分を気化させてから、焙煎するため、粘着しない状態で焙煎でき、サトウキビの繊維分が分散した細片となる。
【0033】
請求項3のように、小片化したサトウキビを水と混ぜた状態でミキシングして細片化する際に、このミキシングの前、又はミキシングの最中、又はミキシングの後に副材を加えることにより、水中に分散したサトウキビ片と副材とを均一に混和できる。また、水中に副材を添加するので、副材の成分も水中に溶け出し、確実に混和される。
【0034】
請求項4のように、小片化されたサトウキビを更に細片化してから焙煎し、更に粉砕して粉状化されたサトウキビ加工品は、細片化してから焙煎されているので焙煎が確実で一定品質となり、また焙煎後に粉砕されているので、粒度の揃った粉末状となり、高品質の粉状のサトウキビ加工品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるサトウキビ加工品の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1 サトウキビ
2 サトウキビの小片
3 ミキサー
4 水
5 加熱容器
6 粉砕機
7 粉末

Claims (3)

  1. サトウキビを小片化する工程と、この小片化されたサトウキビを水と混ぜた状態でミキシングしてさらに細片化する工程と、細片化されたサトウキビを煮沸して水分を気化させる工程と、煮沸後の細片化サトウキビを焙煎した後、粉砕して粉状にする工程とを含むことを特徴とするサトウキビ加工品の製造方法。
  2. 小片化されたサトウキビを水と混ぜた状態でミキシングする前、又はミキシングの最中、又はミキシングの後に副材を加える請求項1記載のサトウキビ加工品の製造方法。
  3. 請求項1または2の何れかの製造方法により得られるサトウキビ加工品。
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