JP4252791B2 - 化粧用塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスカラブラシ等の化粧用塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のマスカラブラシとしては、図8及び図9に示したように、柄2の先端部3に、多数のブラシ毛4が複数列植設された塗布部5を有しているものがものがある(実開昭59−48320号公報参照)。
【0003】
最近では、このブラシ毛4の植設の手間を省くために、柄と1列のブラシ毛とを合成樹脂から一体成形することも行われている(特表2000−505669号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の一体成形によるマスカラブラシでは、ブラシ毛を成形樹脂流動の限界から細くすることが困難であり、合成繊維を植設されたブラシ毛と比較すると、繊細な睫をさばく感触、及びアイブローブラシでは直接皮膚に触れたときの感触は、剛毛感が強いという欠点があった。
【0005】
従って、ブラシ毛が皮膚等に触れたときの安全のため、軟らかいブラシ毛が好まれる。しかし、多数の細いブラシ毛を柄の先端に一体成形したマスカラブラシを製造するためには、金型の構造及び成形樹脂流動が困難であるという問題があった。このため、前記特表2000−505669号公報に記載されたもののように、ブラシ毛を1列にすると、ブラシ毛に化粧剤を充分に吸着しにくくなって、使い難いという問題が生じることになる。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、柄の先端部に複数列からなる多数の細いブラシ毛を一体成形することが容易となる化粧用塗布具と、この化粧用塗布具を成形するための化粧用塗布具成形装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、柄の先端部の平坦面に、中央とこの両側の3列からなる多数のブラシ毛を柄と一体に成形した化粧用塗布具において、両外側の列のブラシ毛は、内側を平坦面とした略三角形断面を有し、各ブラシ毛の一側面が全て同一面上にあるとともに、内側のブラシ毛と前記柄の長手方向に沿う位置を一致させて配置したことを特徴とする。
【0010】
このことによって、後記請求項2に係る発明の化粧用塗布具成形装置、すなわち、内側面にブラシ毛を形成するための略三角形断面の溝が形成された両外側のブラシ毛形成型部と、外側面が平坦面であり内側面に溝が形成された一対の内側のブラシ毛形成型部とからなる化粧用塗布具成形装置を用いると、柄の先端部の平坦面に3列の細いブラシ毛を容易に一体形成することができる。また、この化粧用塗布具でまゆ毛等をさばくとき、まゆ毛等が外側の略三角形断面のブラシ毛に誘導されるので、ブラシ毛がまゆ毛等の間を通り易くなる。さらに、略三角形断面のブラシ毛は、円形断面の場合よりも断面積を小さくして、軟らかくし易い。そのうえ、中央の列のブラシ毛によって、両外側の列のブラシ毛が過度に撓むことが防止されるとともに、各ブラシ毛の間に化粧剤を吸着し易くなる。
【0011】
請求項2に係る発明の化粧用塗布具成形装置では、4つのブラシ毛形成型部を有し、両外側のブラシ毛形成型部は、内側面にブラシ毛を形成するための略三角形断面の溝が正対して形成され、一対の内側のブラシ毛形成型部は、外側面が平坦面であり、その内側面にブラシ毛を形成するための溝が、前記略三角形断面の溝と前記柄の長手方向に沿う位置を一致させて形成されたことを特徴とする。
【0012】
このことによって、両外側のブラシ毛形成型部の内側面と内側のブラシ毛形成型部の外側面との間に、略三角形断面のブラシ毛形成用の孔を形成することができ、また、一対の内側のブラシ毛形成型部の間にもブラシ毛形成用の孔を形成することができる。しかも、各ブラシ毛形成型部は、板材の片面のみを加工することによって容易に製作できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1−図6に基づいて、本発明の化粧用塗布具であるマスカラブラシとして、望ましい実施例について詳細に説明する。
【0016】
図1は、このマスカラブラシの柄の先端部の正面図であり、図2は、この前記柄の先端部の平面図であり、図3は、図1及び図2におけるIII−III線に沿う断面図であり、図4は、ブラシ毛の断面形状と配置を示す図であり、図5は、このマスカラブラシを製造するために使用する金型の断面図であり、図6は、前記金型の要部の斜視図である。
【0017】
マスカラブラシは、図1−図3に示したように、柄2の先端部10が平坦面12を有した略半円形断面をしており、この平坦面12に多数の先細にテーパしたブラシ毛14a、14bが合成樹脂で柄2と一体成形されている。ブラシ毛12は3列あり、図4に示したように、柄2の軸2aに沿う中央の列のブラシ毛14aは、略正方形断面をしており、この正方形の一対の対辺が軸2aに平行である。また、両外側の列のブラシ毛14bは、二等辺三角形の断面をしており、この三角形の底辺が柄2の軸2aに平行な一直線上にあり、すなわち、ブラシ毛14bの一側面Sが全て同一面P上あり、また、この底辺が内方を向き、すなわち、ブラシ毛14bの一側面Sが内方を向き、この側面Sに対する辺が外方を向き、三角形断面の高さhが底辺の長さkに略等しくなっている。
【0018】
ここで、中央の列のブラシ毛14aが柄2の軸2aを含む面上にあり、前記側面Sが同一面P上にあるため、前記面Pと軸2aを含む面を金型の分割面とすることにより、後述するように、柄2の先端部10に複数列からなる多数の細いブラシ毛14a、14bを一体成形するための金型を容易に製造できる。
【0019】
ところで、中央の列のブラシ毛14aの断面は、長方形でもよいが、このときは、ブラシ毛12aがまゆ毛等の間を通り易いように、柄2の軸2aと直交するほうの辺の長さmを軸2aと平行な辺の長さnより若干長くするほうが望ましい。ただし、長さmをあまり長くすることは、ブラシ毛14aが柄2の軸2a方向に撓み易くなるので避けるべきである。
【0020】
また、両外側の列のブラシ毛14bの断面は、高さhが底辺の長さkより若干短い正三角形でもよいし、ブラシ毛14bがまゆ毛等の間を通り易いように、高さhを底辺の長さkよりも若干長くしてもよい。ただし、この場合も、高さhが底辺の長さkに比べて、あまり大きくすることは、ブラシ毛14bが柄2の軸2a方向に撓み易くなるので避けるべきである。
【0021】
そして、これらのブラシ毛14a、14bは、まゆ毛等の間を通り易いように、各列のブラシ毛14a、14bとも、柄2の軸2a方向に沿う位置を一致させ、等ピッチpで配置する。各列の間隔qも前記ピッチpと略等しくする。なお、中央の列のブラシ毛14aに欠けた部分Tが存在するのは、金型に設けられた突き出しピンが位置するためである。
【0022】
次に、このマスカラブラシを製造するための金型について説明する。金型は、図5及び図6に示したように、円形断面の柄2の半周部分の形状を付与する半周型部20、柄2の側面部の形状を付与する一対の側面型部22、及び、ブラシ毛14a、14bを形成するための4つのブラシ毛形成型部24a、24bからなる。
ブラシ毛形成型部24a、24bは、いずれも、板状であり、一対の内側のブラシ毛形成型部24aと、一対の外側のブラシ毛形成型部24bとからなる。内側のブラシ毛形成型部24aは、内側面に四角形断面の溝26が形成してあり、外側のブラシ毛形成型部24bは、内側面に三角形断面の溝28が形成してある。これらの溝26、28は、放電加工によって形成され、ブラシ毛14a、14bが先細となるように深さを変化させている。
【0023】
内側のブラシ毛形成型部24aは、それぞれの溝26を一致させて内側面を互いに当接させると、中央の列のブラシ毛14aを成形するための孔30が形成される。外側のブラシ毛形成型部24bは、内側面を内側のブラシ毛形成型部24bの外側面に当接させ、両外側のブラシ毛14bを成形するための孔32が形成される。これらの孔30、32は、半周型部20と一対の側面型部22と4つのブラシ毛形成型部24a、24bで囲まれる空間34に連通している。
【0024】
中央の列のブラシ毛14aが柄2の軸2aを含む面上にあり、両外側の列のブラシ毛14bの一側面Sが同一面P上にあるため、前記面Pと軸2aを含む面を金型の分割面とすると、前記孔30、32を形成するためには、本実施例の金型であれば、各ブラシ毛形成型部24a,24bの内側面にそれぞれ溝26、28を放電加工によって形成するだけでよい。したがって、各ブラシ毛形成型部24a,24bの製造が容易であり、各ブラシ毛形成型部24a、24bを極力薄くすることができるので、中央の列のブラシ毛14aと両側のブラシ毛14bとを近接させて形成することができる。
【0025】
この金型を用いて射出成形を行うときは、図示しない注入口から溶融した合成樹脂を高圧で空間34に注入する。すると、合成樹脂は、孔30、32の末端まで流れ込み、このとき空間34及び孔30、32内の空気は、各型部20、22、24a、24bの分割面36のわずかな隙間から逃げられるようになっている。
【0026】
ところで、本発明は、前記実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、前記実施例では中央の列のブラシ毛14aを正方形断面としたが、図7の(A)、(B)、に示したように、中央の列のブラシ毛14aを菱形、円形等に適宜変更可能である。ここで、図7には、マスカラブラシ成形の際の各ブラシ毛形成型部24a、24bの位置と形状を破線で示したが、同図の(A)のように、中央の列のブラシ毛14aの断面を菱形にするときは、各ブラシ毛形成型部24a、24bをすべて同一の形状とすることが可能となる。
【0027】
場合によっては、図7の(C)に示したように、両側面が平坦な中央ブラシ毛形成型部12cを用いることにより、中央の列のブラシ毛は省略することも可能である。また、図7の(D)に示したように、一対の内側ブラシ毛型部24aの間に、両側面が平坦な中央ブラシ毛型部24cを配置することにより、中央に2列のブラシ毛14aを配置することも可能である。さらに、両外側のブラシ毛14bの断面形状は、完全な三角形とする必要はなく、外方を向いた頂点が丸みを持った形状又は半長円形等、三角形に近似する略三角形でもよいことは言うまでもない。
【0028】
請求項1に係る発明の化粧用塗布具によれば、請求項2に係る発明の化粧用塗布具成形装置を用いて、柄の先端部に3列の細いブラシ毛を容易に一体形成することができるので、この発明の化粧用塗布具の製造は容易である。また、この化粧用塗布具でまゆ毛等をさばくとき、まゆ毛等が外側の略三角形断面のブラシ毛に誘導されるので、ブラシ毛がまゆ毛等の間を通り易くなって、この化粧用塗布具は使い易い。さらに、略三角形断面のブラシ毛は円形断面の場合よりも断面積を小さくして軟らかくし易いので、この化粧用塗布具は皮膚等を傷付けにくい安全なものになる。そのうえ、中央の列のブラシ毛によって、両外側の列のブラシ毛が過度に撓むことが防止されるとともに、各ブラシ毛の間に化粧剤を吸着し易くなるので、この化粧用塗布具がいっそう使い易くなる。
【0030】
請求項2に係る発明の化粧用塗布具成形装置では、両外側のブラシ毛形成型部の内側面と内側のブラシ毛形成型部の外側面との間に、略三角形断面のブラシ毛形成用の孔を形成することができる。また、一対の内側のブラシ毛形成型部の間にもブラシ毛形成用の孔を形成することができる。そして、各ブラシ毛形成型部は、板材の片面のみを加工することによって容易に製作できるので、請求項1に係る発明の化粧用塗布具において、柄の先端部の平坦部に狭い間隔で3列の細いブラシ毛を一体成形することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るマスカラブラシにおける柄の先端部の正面図である。
【図2】前記柄の先端部の平面図である。
【図3】図1及び図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
【図4】前記マスカラブラシのブラシ毛の断面形状と配置を示す図である。
【図5】前記マスカラブラシを製造するために使用する金型の断面図である。
【図6】前記金型の要部の斜視図である。
【図7】本発明の別の実施例に係るマスカラブラシにおけるブラシ毛の断面形状と配置を示す図である。
【図8】従来のマスカラブラシにおける柄の先端部の正面図である。
【図9】従来のマスカラブラシにおける柄の先端部の側面図である。
【符号の説明】
2 柄
2a 軸
10 先端部
14a、14b ブラシ毛
24a、24b ブラシ毛形成型部
26、28 溝
S 側面
P 面
Claims (2)
- 柄の先端部の平坦面に、中央とこの両側の3列からなる多数のブラシ毛を柄と一体に成形した化粧用塗布具において、
両外側の列のブラシ毛は、内側を平坦面とした略三角形断面を有し、各ブラシ毛の一側面が全て同一面上にあるとともに、内側のブラシ毛と前記柄の長手方向に沿う位置を一致させて配置したことを特徴とする化粧用塗布具。 - 化粧用塗布具を射出成形する化粧用塗布具成形装置であって、
4つのブラシ毛形成型部を有し、両外側のブラシ毛形成型部は、内側面にブラシ毛を形成するための略三角形断面の溝が正対して形成され、一対の内側のブラシ毛形成型部は、外側面が平坦面であり、その内側面にブラシ毛を形成するための溝が、前記略三角形断面の溝と前記柄の長手方向に沿う位置を一致させて形成されたことを特徴とする化粧用塗布具成形装置。
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