JP4252384B2 - 燃料タンク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的性質、特に−40℃もの低温雰囲気下で優れた柔軟性及び耐衝撃性を有し、か耐透過性や成形性にも優れた燃料タンクに関するものである。特に、変性ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物を成形して得られる特異的な低温衝撃性、耐透過性、成形加工性を有する燃料タンクへの適用に好適な樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンタンク、ホース、バルブ等の樹脂製自動車用燃料系部品は、従来、耐低温衝撃性および耐薬品性に優れ、かつ、低コストである高密度ポリエチレン(以下HDPEと略す)が適用されてきた。しかし、HDPEは、燃料透過性が大きいという問題があり、環境規制の一環として燃料の飛散抑制が求められている。
【0003】
最近では、燃料透過性に優れる材料としてポリアミド樹脂等の材料も検討されているが、HDPEに比べて耐衝撃性に劣り、アルコール入り燃料に対しては耐透過性が低下する問題がある。アルコール入り燃料に対する耐透過性に優れる材料として、液晶性樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す)、ポリアセタール樹脂などが挙げられるが、靭性、耐低温衝撃性に劣るという欠点を有していた。
【0004】
これら樹脂の耐衝撃性改良には、従来から多くの改善方法が提案されているが、
なかでも、特許文献1では、PPS樹脂とオレフィン系樹脂により、耐燃料透過性と耐衝撃性に優れる燃料系部品が開示されている。しかしながら、PPS樹脂や液晶性樹脂は、HDPEに比べて材料コストが高く、得られる部品の経済性が不十分である。
【0005】
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂はその優れた特性から各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。
【0006】
しかし、ポリエステル樹脂は、耐衝撃性が劣る。このため従来から多くの改善方法が提案されており、それらのなかでもα−オレフィンおよびα,β−不飽和酸グリシジルエステルなどのモノマーからなる共重合体をブレンドする方法などが多用されている。しかしながら、これら方法により得られた成形品は室温付近では良好な耐衝撃性を示すが、特に−40℃程度の低温雰囲気下ではHDPE並の耐衝撃性は得られず、大幅に低下するという問題がある。
【0007】
これに対して従来、例えば、特許文献2、3に記載されるように特定のグリシジル基含有オレフィン系共重合体およびエチレン・α−オレフィン系共重合体を配合する方法、例えば、特許文献4に記載される特定ポリエステル樹脂にエチレン・酢酸ビニル系共重合体を配合する方法、例えば、特許文献5に記載される酸無水物基を有する耐衝撃性成分と特定のグリシジル基含有オレフィン系共重合体を配合する方法により低温での耐衝撃性を改善する手段等が提案されている。
【0008】
また、例えば、特許文献6,7に記載されるポリエステル樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂に耐衝撃改良材を加えて溶融混練することにより耐衝撃性を改良する手段が提案されているがこれら従来の技術では、特に低温の耐衝撃性と耐透過性のバランスにおいて未だ不十分である。例えば、特許文献8ポリエステル樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂の相構造を制御することにより、高温高湿下でも高いバリア性を発現することができる手段が開示されているが、この場合も特に低温の耐衝撃性とのバランスの点では不十分なケースがあり、バリア性と耐衝撃性など諸特性を高度に且つ安定的に満足する手段の開発が求められている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−226707号公報(請求項1)
【特許文献2】
特公昭63−4566号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2002−206052号公報(請求項1)
【特許文献4】
特許第3174339号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開2002−234992号公報(請求項1)
【特許文献6】
特公平6−23300号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】
特許第3067214号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開2002−69273号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来に提案されている方法では、特に−40℃の低温雰囲気下でHDPE並の耐衝撃性を有するような組成物までは得られていない。したがって、これらの組成物を用いて燃料タンクを製造した場合には、低温での耐衝撃性が低いため極寒地での使用が制限され、汎用製品として実用的なものとならない。そこで、より高度な低温特性を満足し、かつ経済的にも有利な材料による燃料タンクの開発が求められている。本発明は、従来の材料より優れた低温雰囲気下での優れた柔軟性及び耐衝撃性を有し、かつ耐透過性、成形加工性にも優れる樹脂組成物を成形することにより、極寒地においても使用でき、かつコストが低く、汎用品として使用できる燃料タンクを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、変性ポリフェニレンスルフィド樹脂、変性ポリエステル樹脂からなる特定の樹脂組成物を加工して得られる成形品において特定のモルホロジーを形成することにより上記課題が解決され、さらに成形加工性等に著しい効果を得られることを見出し本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、次の各項からなる。
【0013】
(1)(a)(a1)ポリフェニレンスルフィド、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンを含む変性ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(b)(b1)ポリエステル、(b2)エポキシ基含有ポリオレフィン、および(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンを含む変性ポリエステル樹脂40〜250重量部を必須成分として含有し、かつ、温度−40℃においてASTM−D256に従って測定したアイゾット衝撃強度が300〜2000J/mであり、トルエン/イソオクタン=50/50体積%混合物とエタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物からなるモデルガソリンの60℃における透過係数が50g・mm/m2 ・24hr以下である樹脂組成物(ただし、該樹脂組成物はエポキシ化合物とポリオレフィンとの反応により得られるエポキシ系相溶化剤は含有しない)を成形してなり、樹脂相分離構造が(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を少なくとも一部に形成することを特徴とする燃料タンク
【0014】
(2)前記(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a1)ポリフェニレンスルフィド100重量部に対して、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィン1〜50重量部を必須成分として含有することを特徴とする前記(1)に記載の燃料タンク
【0015】
(3)前記(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a1)ポリフェニレンスルフィドと、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンからなる組成物100重量部に対して、(a3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンをさらに1〜50重量部含有してなることを特徴とする(1)または(2)記載の燃料タンク
【0016】
(4)前記(b)変性ポリエステル樹脂が、(b1)ポリエステル100重量部に対して、(b2)エポキシ基含有ポリオレフィン10〜80重量部、および(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィン10〜80重量部を含有してなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料タンク
【0017】
(5)(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂および(b)変性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物100重量部に対して、(c)相溶化剤を0.01〜15重量部含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料タンク
【0018】
(6)(c)相溶化剤がα−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体であることを特徴とする前記(5)に記載の燃料タンク
【0019】
(7)電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を形成し、かつ変性ポリエステル樹脂の平均分散粒径が0.03〜5μmであり、変性ポリエステル樹脂分散相中にエポキシ基含有ポリオレフィンおよびエポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンが平均分散粒径が0.01〜1.5μmで分散したサラミ型分散構造を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の燃料タンク
を提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいてさらに詳細に説明する。
【0021】
本発明に用いる(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下変性PPS樹脂と略す)とは、(a1)ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)と(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンおよび必要に応じて(a3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンを溶融混練して得られる熱可塑性樹脂である。
【0022】
好ましい(a1)PPSは、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0023】
【化1】
Figure 0004252384
【0024】
耐熱性の観点からは前記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPSはその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
なかでもp−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド共重合体(m−フェニレンスルフィド単位20%以下)などは成形加工性とバリア性を兼備する点で好ましく用いられ得る。
【0025】
【化2】
Figure 0004252384
【0026】
本発明で用いられる(a1)PPSの溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常320℃、剪断速度1000sec 1において5〜2000Pa・sのものが使用され、10〜500Pa・sの範囲がより好ましい。
【0027】
かかるPPSは通常公知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において前記の様に得られたPPSを空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。
【0028】
PPSの加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃である。また、加熱処理時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理ためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0029】
PPSを窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0030】
本発明で用いられる(a1)PPSは脱イオン処理を施されたPPSであることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶媒洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
【0031】
PPSを有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPSを分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド、スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール、フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上を混合して使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPSを洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPSは残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0032】
PPSを熱水で洗浄処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPSの好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPSを投入し、常圧で或いは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPSと水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS200g以下の浴比が選択される。
【0033】
PPSを酸水溶液で洗浄処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPSを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPSは残留している酸または塩などを除去するために、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPSの好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
【0034】
本発明で使用される(a)変性PPS樹脂の成分として用いられる(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンとしては、分子中にエポキシ基を有するポリオレフィンであり、好ましくはα−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなる変性ポリオレフィンを用いることができる。α−オレフィンとは具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテンなどであるが好ましいのはエチレンである。また、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは下記一般式
【0035】
【化3】
Figure 0004252384
【0036】
(式中Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどであり、特にメタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合量は1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲が適当である。
【0037】
(a1)PPS100重量部に対する(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンの含有量は1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜40重量部である。エポキシ基含有ポリオレフィンの含有量が50重量部を超えるとバリア性の低下および流動性の低下を引き起こすため好ましくない。またエポキシ基含有ポリオレフィンの含有量が1重量部未満になると本発明の特徴である高衝撃性の発現が困難になるため好ましくない。
【0038】
本発明で使用される(a)変性PPS樹脂に追加成分として用いられ得る(a3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリメチルペンテンなどの単独重合体、エチレン/α−オレフィン共重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体、ビニルアルコールエステル単独重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体、[(エチレンおよび/またはプロピレン)とビニルアルコールエステルとの共重合体の少なくとも一部を加水分解して得られる重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体]、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合体、および、そのブロック共重合体の水素化物などが用いられる。
【0039】
なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体]が好ましい。
【0040】
また、ここでいうエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種以上との共重合体であり、前記の炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらα−オレフィンの中でも、炭素数3〜12のα−オレフィンを用いた共重合体が機械強度の向上の点から好ましい。このエチレン/α−オレフィン系共重合体は、α−オレフィン含量が好ましくは1〜30モル%、より好ましくは2〜25モル%、さらに好ましくは3〜20モル%である。
【0041】
更に1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−エチリデンノルボルネン、5−エチル−2,5−ノルボルナジエン、5−(1′−プロペニル)−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンの少なくとも1種が共重合されていてもよい。
【0042】
(a)変性PPS樹脂100重量部に対する(a3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンの含有量は好ましくは1〜50重量部であり、更に好ましくは5〜40重量部である。
【0043】
本発明の(a)変性PPS樹脂には、本発明の目的を損なわない限りにおいては、前記以外の他の樹脂が含有されることは差し支えがない。
【0044】
本発明の(b)変性ポリエステル樹脂は、(b1)ポリエステル、(b2)エポキシ基含有ポリオレフィン、および(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンを必須成分として溶融混練して得られる熱可塑性樹脂である。
【0045】
好ましい(b1)ポリエステルとは主鎖中にエステル結合を有する重合体である。好適には芳香環を重合体の連鎖単位に有する熱可塑性のポリエステルが挙げられ、具体的には通常、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体などが挙げられる。
【0046】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上併用することもできる。またアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を併用することもできる。
【0047】
またジオールとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、すなわちエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなど、およびそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらのジオールは2種以上併用することもできる。
【0048】
本発明において好ましく用いられるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−4,4’−ジカルボキシレート/テレフタレートなどの非液晶性ポリエステルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
より好ましいものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが挙げられ、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートであるが、これらのポリエステル樹脂は成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
【0050】
本発明で使用する(b1)ポリエステルの製造法は、特に制限がなく、従来公知の直接重合法またはエステル交換法によって製造される。ここでいう直接重合法は、ジカルボン酸とジオールとを主成分としてエステル化反応を行い、次いで減圧下で重縮合反応することによりポリエステル樹脂を製造する方法である。また、エステル交換法は、ジカルボン酸のエステル形成誘導体とジオールとを主成分としてエステル交換反応を行い、次いで減圧下で重縮合反応することによりポリエステル樹脂を製造する方法である。
【0051】
直接重合法を用いる場合には、まずエステル化反応を行ってオリゴマーとし、次いで重縮合反応することによりポリエステルを製造する。このエステル化反応の方法は特に限定されるものではなく、回分法でも連続法でもよく、通常のポリエステル製造に用いられるエステル化条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度を180〜300℃、特に200〜280℃の範囲とした条件で行うことが好ましい。また、エステル化反応後のオリゴマーの反応率は97%以上であることが好ましい。
【0052】
また、エステル交換法を用いる場合には、まずエステル交換反応を行ってオリゴマーとし、次いで重縮合反応することによりポリエステルを製造する。このエステル交換反応の方法は特に限定されるものではなく、回分法でも連続法でもよく、通常のポリエステル製造に用いられるエステル交換条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度を120〜300℃、特に140〜280℃の範囲とした条件で行うことが好ましい。また、エステル交換反応後のオリゴマーの反応率は80%以上であることが好ましい。
【0053】
エステル化反応またはエステル交換反応から得られたオリゴマーは、次いで重縮合反応させるが、その方法は特に限定されるものではなく、回分法でも連続法でもよく、通常のポリエステルの製造に用いられる重合条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度を230〜300℃、好ましくは240〜280℃、圧力を667Pa以下、好ましくは133Pa以下の減圧下とした条件で行うことがより好ましい。
【0054】
また、本発明で好ましく用いられるカルボキシル末端基量が30〜80eq/t(ポリマ1トン当りの末端基量)と比較的多いポリエステル樹脂を得るためには、重縮合反応時間を従来より長めに設定することが好ましい。
【0055】
また、本発明で用いられるポリエステル樹脂(a)は、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めたカルボキシル末端基量が30〜80eq/t(ポリマ1トン当りの末端基量)と比較的多いことが低温衝撃性発現の点から好ましい。さらに好ましくは35〜75eq/t、特に好ましくは40〜70eq/tである。カルボキシル末端基量が30eq/tより小さいと流動性の悪化や低温特性が低下する傾向になり、80eq/tより多すぎると加水分解が大きくなる傾向がある。
【0056】
これらポリエステル樹脂の重合度には制限はないが、例えば0.5%のo−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した固有粘度が、0.35〜2.00の範囲、より好ましくは0.50〜1.50の範囲、特に好ましくは0.50〜1.20の範囲のものである。
【0057】
本発明で使用される(b)変性ポリエステル樹脂の必須成分として用いられる(b2)エポキシ基含有ポリオレフィンは、(a)変性PPS樹脂成分と同様、分子中にエポキシ基を有するポリオレフィンであり、α−オレフィンとα,β−不飽和酸グリシジルエステルからなる変性ポリオレフィンが好ましい。より好ましくはエチレンとアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルとの共重合体であり、特に好ましくはエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体である。α,β−不飽和酸グリシジルエステルの共重合量は1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲が適当である。
【0058】
(b1)ポリエステル100重量部に対する(b2)エポキシ基含有ポリオレフィンの含有量は好ましくは10〜80重量部であり、更に好ましくは10〜60重量部である。エポキシ基含有ポリオレフィンの含有量が80重量部を超えるとバリア性の低下および流動性の低下を引き起こすため好ましくない。またエポキシ基含有ポリオレフィンの含有量が10重量部未満になると本発明の特徴である高衝撃性の発現が困難になるため好ましくない。
【0059】
本発明で使用される(b)変性ポリエステル樹脂の必須成分として用いられる(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンは、(a)変性PPS樹脂に追加成分として用いられる(a3)として列挙したものより選択することができ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体]、[(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化した共重合体]であり、特に好ましくはエチレン/α−オレフィン共重合体である。
【0060】
(b1)ポリエステル100重量部に対する(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンの含有量は好ましくは10〜80重量部であり、更に好ましくは10〜60重量部である。エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィン樹脂の含有量が80重量部を超えるとバリア性の低下を引き起こすため好ましくない。また含有量が10重量部未満になると本発明の特徴である高衝撃性の発現が困難になるため好ましくない。
【0061】
本発明の(b)変性ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない限りにおいては、他の樹脂が含有されることは差し支えがない。
【0062】
本発明の樹脂組成物における(a)変性PPS樹脂100重量部に対する(b)変性ポリエステル樹脂の含有量は40〜250重量部であり、好ましくは50〜180重量部である。(b)変性ポリエステル樹脂の含有量が250重量部を超えると本発明の特徴である(a)変性PPS樹脂が連続相を形成することが困難となるため好ましくない。また含有量が40重量部未満になると本発明の特徴である高撃性の発現が困難になるため好ましくない。
【0063】
本発明においては、(a)変性PPS樹脂と(b)変性ポリエステル樹脂の相溶性の向上を目的として(c)相溶化剤を配合することもできる。(c)相溶化剤を用いると得られる成形品の相分離構造の安定性が向上し、その結果優れた耐衝撃性、耐透過性を発現し、好ましい態様の一つである。これら(c)相溶化剤の具体的な例としては、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランなどの有機シラン化合物および多官能エポキシ化合物などが挙げられ、これらは2種以上同時に使用することもできる。ここで多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子中に2個以上含むものであり、液体または固体状のものを使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィンとアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸グリシジルエステルとの共重合体、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン等のビスフェノール−グリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系エポキシ化合物、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させたノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。好ましくはα−オレフィンとα,β−不飽和酸グリシジルエステルの共重合体、エポキシ基を有する有機シラン化合物、ビスフェノール−グリシジルエーテル系エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ樹脂が用いられる。特に好ましくはエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体である。
【0064】
この(c)相溶化剤の含有量は、(a)変性PPS樹脂と(b)変性ポリエステル樹脂の合計量100重量部に対し、0.01〜15重量部であることが好ましい。より好ましくは0.05〜12重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。
【0065】
本発明の燃料タンクにおいて、(b)変性ポリエステルはサラミ型の分散構造を形成することが好ましい。ここでサラミ型分散構造とは、図1に示したように変性PPS樹脂が連続相を形成し、(b)変性ポリエステル樹脂のうちの(b1)ポリエステルが分散相となり、かつポリエステル中に更に(b2)エポキシ基含有ポリオレフィンおよび(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンが分散した海−島−湖構造のことをいう。ここで、本発明のモルホロジーは図1の形態に限定されるものではなく、分散粒子の形状が多角形上、略楕円形などの非円形であってもかまわない。
【0066】
(c)相溶化剤を使用することでこの分散相の分散粒径を微細化することができ、(b)変性ポリエステル樹脂が平均分散粒径が0.03〜5μmで分散し、かつ分散する(b)変性ポリエステル樹脂中に(b2)エポキシ基含有ポリオレフィンおよび(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンが0.01〜1.5μmで分散するとき本発明の目的である特異的な耐衝撃性と耐透過性を著しく向上することができる。(b)変性ポリエステル樹脂の分散粒径は、好ましくは0.03〜3μmである。また(b2)エポキシ基含有ポリオレフィンおよび(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンの分散粒径は、好ましくは0.01〜1μmである。ここでいう分散粒径とは、PPSの融点〜融点+20℃の加工温度でモデル容器を射出成形し、その厚み方向の中心部から0.1μm以下(約80nm)の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察した際の任意の100ヶの分散粒子について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それらの平均値を求めた数平均粒子径である。
【0067】
本発明の燃料タンクは、(a)変性PPS樹脂が連続相および(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を一部もしくは全体に有する。ここで例えば(a)変性PPS樹脂100重量部に対して、(b)変性ポリエステル樹脂100〜250重量部の如く、(a)変性PPS樹脂成分が少量成分であっても溶融粘度比(ここで、溶融粘度比とは変性PPS樹脂の溶融粘度/変性ポリエステル樹脂の溶融粘度、として定義される。)を適切に制御することによって変性PPS樹脂が連続相をとる相構造を形成する成形品を得ることができる。
【0068】
本発明の燃料タンクは一般的に溶融成形により成形されるが、溶融成形においては流動時の樹脂表層と樹脂内部には、温度差や応力差が生じ易い。本発明において、前記した相構造を得るために、これを利用することができる。すなわち(a)変性PPS樹脂と(b)変性ポリエステル樹脂にせん断速度に対する溶融粘度の依存性の異なった樹脂を用い、樹脂表層と樹脂内部に生じたせん断速度の差により、成形品の一部もしくは全体に(a)変性PPS樹脂が連続相となる部分を生ぜしめる方法である。例えば、射出成形を例に挙げて説明すると、ある成形加工温度で成形するとき、成形品の中心部と比較して、成形品の表層部では金型との摩擦によりせん断速度が高まる。せん断速度1000秒-1程度以上の任意のせん断速度における溶融粘度比が0.7以上となる組み合わせであると成形品表層部では(a)変性PPS樹脂と(b)変性ポリエステル樹脂が共に連続相となる共連続相を形成することもあるが、該温度におけるせん断速度200秒-1程度以下の任意のせん断速度での溶融粘度比を0.5以下とすると成形品の中心部には(a)変性PPS樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる部分を生ぜしめることができ、本発明の要件である(a)変性PPS樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を形成するための方法として好ましく用いることができる。また、該成形品の形状については特に制限はない。また、該成形品中前記相構造が複数形成された態様もある。この相構造は、走査型および透過型電子顕微鏡を用いて観察し、確認することができる
なお、これから明らかなように前段の主旨は、溶融粘度比のせん断応力依存性を利用した本発明の態様を説明したものであり、具体的な溶融粘度比に本発明が制限されるものではなく、また、成形品の任意の位置に生じるせん断応力は金型設計等で操作しうるものであるので、かかる相構造も任意の位置に生ぜしめることは容易に理解できるところである。また、成形法としても本発明は限定されるものではない。
【0069】
本発明の燃料タンクに用いられる樹脂組成物には、さらに以下に説明するような酸化防止剤あるいはその他の添加剤を配合することが可能である。
【0070】
更に本発明においては、高い耐熱性及び熱安定性を保持するために、フェノール系、リン系化合物の中から選ばれた一種以上の酸化防止剤を含有せしめることが好ましい。かかる酸化防止剤の配合量は、耐熱改良効果の点から(a)および(b)成分の合計100重量部に対して、0.01重量部以上、特に0.02重量部以上であることが好ましく、成形時に発生するガス成分の観点からは、5重量部以下、特に1重量部以下であることが好ましい。また、フェノール系及びリン系酸化防止剤を併用して使用することは、特に耐熱性、熱安定性、流動性保持効果が大きく好ましい。
【0071】
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ、具体例としては、トリエチレングリコール−ビス[3−t−ブチル−(5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0072】
中でも、エステル型高分子ヒンダードフェノールタイプが好ましく、具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが好ましく用いられる。
【0073】
次にリン系酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジーブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。
【0074】
中でも、ポリエステル樹脂のコンパウンド中に酸化防止剤の揮発や分解を少なくするために、酸化防止剤の融点が高いものが好ましく、具体的にはビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ル−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどが好ましく用いられる。
【0075】
さらに、本発明の燃料タンクに用いられる樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重宿合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えるとポリエステル樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
【0076】
本発明の燃料タンクは、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して使用することも可能である。かかる充填材の具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これらの充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
【0077】
本発明の燃料タンクに用いられる樹脂組成物は、温度−40℃の条件下、ASTM−D256に従って測定したノッチ付きアイゾット衝撃強度が300〜2000J/mであり、モデルガソリン((トルエン//イソオクタン=50//50体積%)とエタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物)の60℃での透過係数が50g・mm/m2・24hr以下である。更に好ましくは、ノッチ付きアイゾット衝撃強度が500〜2000J/mであり、モデルガソリン((トルエン//イソオクタン=50//50体積%)とエタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物)の60℃での透過係数が30g・mm/m2・24hr以下であることが好ましい。上記特性を有する樹脂組成物を加工して得られる燃料タンクは、例えば、自動車ガソリンタンクに用いる場合、車両追突時などの衝撃破壊性に優れると共に、ガソリンの耐透過性にも優れることから、非常に有用なガソリンタンクを得ることが可能となる。
【0078】
本発明の燃料タンクに用いられる樹脂組成物の製造に用いる混練機は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給してPPS樹脂の融点以上の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができるが、本発明のモルホロジーおよびオレフィン系共重合体の粒径を上述の如くコントロールするためには、この樹脂組成物の製造時に溶融混練される樹脂に与えられるせん断力を比較的強くすることが重要であり、また、混練時の滞留時間を短くすることが必要である。これらの条件を組み合わせることによって樹脂組成物中でのオレフィン系共重合体の凝集を防ぎつつ、変性PPS樹脂を連続相とすることができるため、その後の射出成型時においてもポリオレフィン系樹脂が凝集することを防ぐことができ、本発明のモルフォロジーとすることが可能になるからである。具体的には、2軸押出機を使用して、混練温度をPPS樹脂の融点〜融点+20℃とし、滞留時間を1〜5分にする。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
【0079】
本発明の燃料タンクの加工方法に関しては、特に制限はなく、公知の方法(射出成形、押出成形、吹込成形、プレス成形等)を利用することができるが、生産上好ましい方法は、射出成形である。射出成形とは、可塑化装置で溶融された樹脂組成物を金型キャビティに加圧状態で注入し、金型内で固化させて成形品を得るもの全てを指し、通常の射出成形に加え例えば射出圧縮成形も含む。また、加工温度については、通常、PPS樹脂の融点+0〜50℃高い温度範囲から選択される。また成形品の構造は、一般的には、単層であるが、2色成形法により多層にしてもかまわない。
【0080】
本発明の燃料タンクの好ましい成形方法は、燃料タンクを構成する2つ以上の分割体を射出成形によって形成し、次いでこれらを相互に接合することによって形成する方法である。分割体同士を接合する方法は特に限定されず公知の方法(熱板溶着、振動溶着、射出溶着、超音波溶着、レーザー溶着、マイクロ波溶着)を用いることが可能である。
【0081】
熱板溶着法の場合、分割体の接合面を熱板により溶融させ、素早く分割体の接合面どうしを圧接させて溶着させる。この際の熱板条件としては、通常の条件をとればよく、例えば接触法の場合、熱板温度230〜350℃、溶融時間20〜60秒を採用することができる。
【0082】
振動溶着法の場合、分割体の接合面どうしを上下に圧接させた状態とし、この状態で横方向に振動を与えて発生する摩擦熱によって溶着させる。この際の振動条件としては通常の条件をとればよく、例えば、振動数100〜300Hz、振幅0.5〜2.0mmを採用することができる。
【0083】
熱線溶着法の場合、例えば鉄−クロム製の線材を分割体の接合部に埋め込んだ状態で接合面どうしを圧接し、線材に電流をかけジュール熱を発生させその発熱によって接合面を溶着させる。
【0084】
射出溶着法の場合、分割体を金型内にインサートし、又は金型内で位置変更した後に、接合面を合わせた状態で保持し、その接合部の周縁に新たに溶融樹脂を射出して各分割体を互いに溶着させて中空容器を成形する。この際の射出溶着条件としては通常の条件をとればよく、例えば、樹脂温度230〜320℃、射出圧力10〜150MPa、型締め力100〜4000トン、金型温度30〜150℃を採用することができる(尚、前記記載の金型内で位置変更して行なう方法は、ダイスライド成形や、ダイ回転成形などともいわれている)。
【0085】
レーザー溶着法の場合、レーザー光に対して非吸収性の分割体とレーザー光に対して吸収性の分割体を接合面で重ね合わせた状態で、非吸収性の分割体側からレーザー光を照射して溶着させる。また、レーザー光吸収性とするためには、カーボンブラックを添加する手法をあげることができる。カーボンブラックを添加することで照射されるレーザー光の透過率を5%以下とすることができ、レーザー光のエネルギーを効率的に熱に変換することが可能となる。この際のレーザー溶着条件としては通常の条件をとればよく、例えば、レーザー光として、YAGレーザー、レーザー光波長800〜1060nm、レーザー光出力5〜30Wを採用することができる。
【0086】
本発明の燃料タンク用組成物は、ガソリン、メタノール、エタノール、イソタノール、ブタノール水素メタン、プロパン、天然ガスの透過性が低く優れていることから、燃料タンク用途に有効である
【0088】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。材料特性については下記の方法により行った。
【0089】
[燃料透過係数]射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度130℃で行った。)により1mm厚の円盤状試験片(直径6cm)を作成した。得られた試験片をGTR−30XATK(ヤナコ分析工業社製)に取り付けて、試験片上部のセルにモデルガソリン((イ)トルエンとイソオクタンの体積比50/50の混合物と(ロ)エタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物)を仕込み、JIS K7126 A法(差圧法)に従って、測定温度60℃で測定した。
【0090】
[−40℃アイゾット衝撃強度]温度雰囲気を−40℃にした以外はASTM−D256に従ってノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0091】
[成形下限圧]射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度130℃)によりASTM1号試験片を調製する際の最低充填圧力を求めた。
【0092】
[耐透過性試験]射出成形(東芝機械社製IS100FI−5A、シリンダー温度300℃、金型温度80℃)により、直径12cm、厚み3mmの半球形状の成形品を成形した。この成形品2個を熱板溶着法で接合して球状のモデル容器を得た。接合の前に片側の成形品には切削加工によって金属製注入口を装着した。このモデル容器(内容積約900ml)にモデルガソリン((トルエン//イソオクタン=50//50体積%)とメタノールを85対15体積比に混合したアルコールガソリン混合物)500mlを金属製注入口より注入し、密封した。この後、60℃の防爆オーブンで1000時間処理した際の重量減量挙動からその透過性を評価した。重量減少量が0.5g/日未満を合格と判定した。燃料減少量が0.5g/日以上は不合格である
[落下試験]射出成形(東芝機械社製IS100FI−5A、シリンダー温度300℃、金型温度80℃)により、直径12cm、厚み3mmの半球形状の成形品を成形した。この成形品2個を熱板溶着法で接合して球状のモデル容器を得た。接合の前に片側の成形品には切削加工によって金属製注入口を装着した。このモデル容器(内容積約900ml)にトヨタ純正LLC700mlを金属製注入口より注入し、密封した。この後、−40℃の恒温槽に12時間放置した後取り出し、直ちに高さ1mから自由落下させて破壊状態を観察し、下記の判定を行った。
【0093】
○:割れや変形は認められない
×:脆性的に破壊が発生し、内容物の漏洩が認められる
[モルホロジー観察]前記モデル容器の厚み方向の中心部および表層部から0.1μm以下の薄片を切削し、透過型電子顕微鏡で観察した。
【0094】
[平均粒径]分散粒子の平均粒子径の測定は、上記モルホロジー観察と同様に倍率1万倍で観察した任意の分散粒子100ヶの分散部分について画像処理ソフト「Scion Image」を用いて、各々の粒子の最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それらの数平均値を求めた。
【0095】
[溶融粘度比]
プランジャー式キャピラリーレオメーター(東洋精機製作所社製、キャピログラフ タイプ1C)を用いて、混練温度でのせん断速度100秒−1および5000秒−1における溶融粘度(Pa・s)を測定し下記式(1)により求めた。
【0096】
【式1】
Figure 0004252384
【0097】
[参考例1] p−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド共重合体の製造方法
撹拌機付きのオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム水溶液(三協化成)2.98Kg(25モル)、96%水酸化ナトリウム1.06Kg(25.44モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)4.08Kg(41.21モル)、酢酸ナトリウム0.69Kg(8.41モル)、及びイオン交換水3.75Kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水5.25KgおよびNMP0.1Kgを留出したのち、反応容器を150℃に冷却した。硫化水素の飛散量は1.8モル%であった。
【0098】
次に、p−ジクロロベンゼン(シグマアルドリッチ)3.36Kg(22.86モル)、m−ジクロロベンゼン(東京化成)0.36Kg(2.45モル)、NMP3.28Kg(33.1モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、その後270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し270℃で170分保持した。その後180℃まで0.4℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急冷した。
【0099】
内容物を取り出し、12.5リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を25リットルの温水で数回洗浄、濾別し、PPSポリマー粒子を得た。これを、80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥して約2.2Kgのp−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド共重合体を得た。
【0100】
得られたp−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド共重合体の融点は248℃、メルトフローレート350g/10分(以下MFRと略す:315℃、荷重5Kg)であった。
【0101】
[参考例2] 変性PPS樹脂(a)の製造
実施例および比較例に用いた変性PPS樹脂(a)は以下の通りである。
【0102】
(A−1):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を25重量部混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度300℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が350J/mの変性PPS樹脂。
【0103】
(A−2):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を12.5重量部混合してなる変性PPS樹脂を100重量部としたとき、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を12重量部の比率で混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度300℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が500J/mの変性PPS樹脂。
【0104】
(A−2’):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を12.5重量部混合してなる変性PPS樹脂を100重量部としたとき、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を12重量部の比率で混合した未溶融混合物。
【0105】
(A−3):上記参考例1により得られた融点248℃、MFR350g/10分(315℃、5Kg荷重)のp−フェニレンスルフィド/m−フェニレンスルフィド共重合体100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を12.5重量部混合してなる変性PPS樹脂を100重量部としたとき、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を12重量部の比率で混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度270℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が450J/mの変性PPS樹脂。
【0106】
(A−4):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を15重量部混合してなる変性PPS樹脂を100重量部としたとき、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を25重量部の比率で混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度300℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が650J/mの変性PPS樹脂。
【0107】
(A−5):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を5重量部混合してなる変性PPS樹脂を100重量部としたとき、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を5重量部の比率で混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度300℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が380J/mの変性PPS樹脂。
【0108】
(A−6):融点280℃、MFR200g/10分(315℃、5Kg荷重)、溶融粘度150Pa・s(320℃、剪断速度1000sec 1)のポリフェニレンスルフィド樹脂。
【0109】
[参考例3] 変性ポリエステル樹脂(b)の製造
実施例及び比較例に用いた変性ポリエステル樹脂(b)は以下の通りである。
【0110】
(B−1):固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、それぞれMFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を33重量部、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を33重量部混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度280℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が950J/mの変性ポリエステル樹脂。
【0111】
(B−1’):固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、それぞれMFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を33重量部、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を33重量部の比率で混合した未溶融混合物。
【0112】
(B−2):固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、それぞれMFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体を25重量部、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を30重量部混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度280℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が900J/mの変性ポリエステル樹脂。
【0113】
(B−3):固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、それぞれMFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=94/6(重量%)共重合体を33重量部、MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体を33重量部混合し、2軸押出機を用いてシリンダー温度280℃で溶融押出して得られたIzod衝撃強度が1050J/mの変性ポリエステル樹脂。
【0114】
(B−4):固有粘度1.40のポリエチレンテレフタレート樹脂。
【0115】
[実施例1〜12]、[比較例1〜7]
上記参考例記載の成分および下に示す各成分を表1〜3に記載の各割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機で、シリンダー温度を280〜300℃に設定し、200rpmのスクリュー回転にて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。120℃で1晩除湿乾燥したペレットを用い、射出成形(住友重機社製SG75H−MIV、シリンダー温度300℃、金型温度130℃)により試験片を調製した。また、燃料タンク薬液保存容器としての特性を評価するために、さらに射出成形(東芝機械社製IS100FI−5A、シリンダー温度285℃、金型温度80℃)により、直径12cm、厚み3mmの半球形状の成形品を成形した。この成形品2個を熱板溶着法で接合して球状のモデル容器を得た。接合の前に片側の成形品には切削加工によって金属製注入口を装着した。各サンプルの低温特性およびモルホロジーなどを測定した結果は表1〜3に示すとおりであった。本実施例が低温特性(柔軟性、耐衝撃性、落下試験)、燃料透過性、流動性、耐透過性等に優れ、極めて実用性が高く、ガソリンタンクに代表される燃料タンクに適した材料である。比較例においては低温特性、耐燃料透過性、流動性、耐透過性等に劣るものであった。
【0116】
本実施例および比較例に用いた(c)相溶化剤および耐衝撃改良材は以下の通りである。
【0117】
<相溶化剤>
(C−1):MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=88/12(重量%)共重合体。
【0118】
(C−2):MFR3g/10分(190℃、2.16Kg荷重)のエチレン/メタクリル酸グリシジル=94/6(重量%)共重合体。
【0119】
<耐衝撃改良材>
MFR=0.5(190℃、2.16Kg荷重)、密度0.860のエチレン/1−ブテン共重合体
[比較例8]
下記のHDPEを用いた他は、実施例と同様にして球状のモデル容器を得た。耐透過性に劣るため燃料タンクしての使用に不適切なものであった。
HDPE:高密度ポリエチレン(三井化学(株)製”ハイゼックス”7000F)
【0120】
【表1】
Figure 0004252384
【0121】
【表2】
Figure 0004252384
【0122】
【表3】
Figure 0004252384
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的性質、特に−40℃もの低温雰囲気下で優れた柔軟性及び耐衝撃性を有し、か耐透過性や成形性にも優れた燃料タンクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 変性PPS樹脂成分が連続相を形成し、変性ポリエステル樹脂のうちのポリエステルが分散相となり、かつポリエステル中に更にエポキシ基含有ポリオレフィンおよびエポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンが分散したサラミ型分散構造(海−島−湖構造)のモデル図である。
【符号の説明】
1 変性PPS樹脂
2 ポリエステル
3 エポキシ基含有ポリオレフィンおよびエポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィン

Claims (7)

  1. (a)(a1)ポリフェニレンスルフィド、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンを含む変性ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(b)(b1)ポリエステル、(b2)エポキシ基含有ポリオレフィン、および(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンを含む変性ポリエステル樹脂40〜250重量部を必須成分として含有し、かつ、温度−40℃においてASTM−D256に従って測定したアイゾット衝撃強度が300〜2000J/mであり、トルエン/イソオクタン=50/50体積%混合物とエタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物からなるモデルガソリンの60℃における透過係数が50g・mm/m2 ・24hr以下である樹脂組成物(ただし、該樹脂組成物はエポキシ化合物とポリオレフィンとの反応により得られるエポキシ系相溶化剤は含有しない)を成形してなり、樹脂相分離構造が(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を少なくとも一部に形成することを特徴とする燃料タンク
  2. 前記(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a1)ポリフェニレンスルフィド100重量部に対して、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィン1〜50重量部を必須成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク
  3. 前記(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が、(a1)ポリフェニレンスルフィドと、(a2)エポキシ基含有ポリオレフィンからなる組成物100重量部に対して、(a3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンをさらに1〜50重量部含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料タンク
  4. 前記(b)変性ポリエステル樹脂が、(b1)ポリエステル100重量部に対して、(b2)エポキシ基含有ポリオレフィン10〜80重量部、および(b3)エポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィン10〜80重量部を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料タンク
  5. (a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂および(b)変性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物100重量部に対して、(c)相溶化剤を0.01〜15重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料タンク
  6. (c)相溶化剤がα−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の燃料タンク
  7. 電子顕微鏡で観察される樹脂相分離構造において(a)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相、(b)変性ポリエステル樹脂が分散相となる相構造を形成し、かつ変性ポリエステル樹脂の平均分散粒径が0.03〜5μmであり、変性ポリエステル樹脂分散相中にエポキシ基含有ポリオレフィンおよびエポキシ基含有ポリオレフィン以外のポリオレフィンが平均分散粒径が0.01〜1.5μmで分散したサラミ型分散構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料タンク
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