JP4252226B2 - 紙おむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙おむつの腹側表面においてファスニング片を止め付けるためのフロントターゲットテープを不要とした紙おむつの止着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より市場に提供されているテープ式紙おむつは、装着のために紙おむつの後身頃の両側に、止着面に粘着層を形成したファスニング片を備えるもので、使用に際しては紙おむつの前身頃および後身頃をそれぞれ着用者の身体に当てがった後、前記ファスニング片を腹側に持ち込み、紙おむつ外面のポリエチレンシートなどの不透液性シートの表面に粘着剤により固定されているポリエチレン等のプラスチック材料よりなるフロントターゲットテープに止着して紙おむつの固定を行うようにしている。
【0003】
かかるテープ式紙おむつにおいては、一回の止着できっちりと紙おむつを装着するのは困難で、実際には何回かの止着直しを行いながら紙おむつの装着を行うことがある。この止着直しの原因の一つとしては、対の一方のファスニング片についてはフロントターゲットテープに止着できたが、他方のファスニング片がフロントターゲットテープに届かなかったりした場合を挙げることができ、装着に当たってファスニング片の貼り付け位置に限定があること自体に煩わしさを感じることがあった。
【0004】
また、止着直しを何回か行っている間にフロントターゲットテープが破けてしまうことがあった。もちろん、フロントターゲットテープの厚みを厚くすれば、フロントターゲットテープの破れは防止できるが、フロントターゲットテープの剛性が増すとゴワ付き感が大きくなり装着性が損なわれることになるため、極限まで薄くすることによって対処しているのが現状である。
【0005】
これらの問題点に対して、本出願人らは、先に特願平11−273799号において、外面シート全体を不織布により形成して、メカニカルなファスニング片を腹側表面の任意個所に係脱可能とした紙おむつを提案した。この紙おむつによれば、腹側表面に貼設されるポリエチレン等のフロントターゲットテープが不要となり、ファスニング片止着時の煩わしさが解消されるとともに、装着感の向上が図られ、またフロントターゲットテープを無くすことにより生産性の向上、コスト縮減も図られる等の利点がもたらされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかるフロントターゲットテープのない紙おむつは、ファスニング片の貼り付け位置に限定がないため止着時の煩わしさがないものの、逆に貼り付け位置の目安が全くなくても使用しにくいものである。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、フロントターゲットテープを不要となし、ファスニング片止着時の煩わしさを解消し、装着感の向上を図り、また生産性の向上、コスト縮減を図りながらも、テープ止着作業を容易にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0009】
<請求項1記載の発明>
透液性シートと不透液性シートとの間に吸収体が介在され、前記不透液性シートの裏面側に不織布外面シートが積層された紙おむつであって、
前記紙おむつの背側両側端部には、止着面にフック要素を有するファスニング片がそれぞれ取り付けられ、
前記不透液性シートの腹側裏面の前記ファスニング片のフック要素を止着する目安となる位置に、全体が周囲の色と区別できるように配色された一体のターゲット印刷部が設けられ、
前記ターゲット印刷部の胴回り方向長さは、前記吸収体の幅より長く、前記ターゲット印刷部の腹側端縁は、前記紙おむつの腹側端縁から離間し、
前記不織布外面シートを通して外部から視認可能である
ことを特徴とする紙おむつ。
<作用効果>
不透液性シートの腹側裏面のファスニング片のフック要素を止着する位置の目安となる位置に、全体が周囲の色と区別できるように配色されたターゲット印刷部があることで、外部から視認可能であるので止着作業が容易となる。
また、実質的に液を透過させない不透液性シート、たとえばポリエチレン製の実質的に液を透過させない不透液性シートにターゲット印刷部を施すことは通常のプラスチックシートへの印刷技術をそのまま採用できるとともに、美麗かつ明瞭に外部から視認可能となる。
【0010】
【0011】
【0012】
<請求項2記載の発明>
前記不織布外面シートは、砂時計形状をなし、前記不透液性シートは、前記吸収体より幅広で前記不織布外面シートより幅狭の長方形形状をなし、
前記ターゲット印刷部の縦方向長さが10〜400mmとされ且つ胴回り方向長さが50〜500mmとされた請求項1に記載の紙おむつ。
【0013】
<請求項3記載の発明>
前記ターゲット印刷部の印刷が、胴回り方向に異なる複数の止着位置を表すように施され、番号、ゾーンごとの色分け、あるいは図柄の変更により胴回り方向の位置がわかるように構成された請求項1または2記載の紙おむつ。
<作用効果>
ターゲット印刷部に、番号、ゾーンごとの色分け、あるいは図柄の変更が施されていることから止着位置の目安となり、止着作業を容易に行うことができる。
【0014】
<請求項4記載の発明>
前記ターゲット印刷部が、グラビア印刷またはフレキソ印刷により施された請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙おむつ。
【0015】
<請求項5記載の発明>
前記不透液性シートの肌側面に前記ターゲット印刷部の印刷を水溶性インクにより施した請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙おむつ。
<作用効果>
ターゲット印刷部の印刷には、水溶性インクを使用するのが望ましい。水溶性インクを使用すると、体液の吸収量が多くなるにつれて、水溶性インクが溶解し、これによってターゲット印刷面がボケるようになるので、逆に装着者にとって体液の吸収量が多く吸収量の限界及び替え時を判断できるようになる。
【0016】
<請求項6記載の発明>
前記不織布外面シートにおける少なくとも前記ターゲット印刷部と対応する部分が起毛された請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙おむつ。
<作用効果>
ターゲット印刷部と対応する部分が起毛されていることで、フック要素の止着性が高まる。
【0017】
<請求項7記載の発明>
前記不織布外面シートにおける少なくとも前記ターゲット印刷部対応部分に前記不織布外面シートの外面から単位面積当たり2〜30%のエンボスを施してある請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙おむつ。
<作用効果>
不織布外面シートにおける少なくともターゲット印刷部と対応する部分において、フック要素の繰り返し止着を行なう過程で、不織布外面シートと実質的に液を透過させない不透液性シートとの剥離を生じたり、毛羽立ちが生じ、見映えのほか繰り返し止着性が損なわれる。しかるに、エンボス加工により、不織布外面シートと実質的に液を透過させない不透液性シートとを接合できるとともに、不織布外面シートの毛羽立ちを防止できる。このエンボス加工は、ターゲット印刷対応部分のみならず、他の領域も含めて、たとえば全体的に行なうことができる。
【0018】
<請求項8記載の発明>
少なくとも前記ターゲット印刷部と対応する部分において、前記不織布外面シートと前記不透液性シートとがホットメルト接着剤によりまたは熱融着により接着されるとともに、前記ターゲット印刷部と対応する部分の全面では接着されておらず離間した部分を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の紙おむつ。
<作用効果>
不織布外面シートと実質的に液を透過させない不透液性シートとを接合するに際して、たとえばホットメルト接着剤により全面または総合的に大きい接合面積をもって接合することも考えられるが、そのホットメルト接着剤が不織布外面シートに滲み出しすることを避け得ない。
しかるに、ホットメルト接着剤により不織布外面シートと実質的に液を透過させない不透液性シートとを接合する形態を採用する場合には、ホットメルト接着剤により全面接着されておらずその接着領域が離間している形態ならば、染み出しは生じない。この具体例としては、たとえばストライプ状に離間しているのが望ましい。
他方、不織布外面シートと実質的に液を透過させない不透液性シートとを熱融着により接合する形態も採用でき、この場合には、接合が熱融着であるから、ホットメルト接着剤の滲み出しはなく接合できる。
いずれの形態においても、上記接合により、少なくともターゲット印刷部と対応する部分において、不織布外面シートの毛羽立ちを防止できる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、図面に示す実施の形態によってさらに詳説する。
【0027】
図示の紙おむつでは、不織布などからなる透液性シート1と、実質的に液を透過させない不透液性シート、たとえばポリエチレン等からなる完全に液を透過させない不透液性シート2との間に、綿状パルプ等からなる、たとえば長方形または好ましくは図示のように砂時計型のある程度剛性を有する吸収体3が介在されている。この吸収体3は吸収用の上下ティッシュペーパーで被覆することができ、吸収要素を構成している。
【0028】
不透液性シート2は吸収要素より幅広の長方形をなし、その外方に砂時計形状の不織布などからなる外面シート10が設けられている。
透液性シート1は吸収要素より幅広の長方形をなし、吸収要素の側縁より若干外方に延在し、不透液性シート2とホットメルト接着剤などにより固着されている(この固着部分を含めて本発明に関係する固着部分を符号*で示す)。
【0029】
紙おむつの両側部には、使用面側に突出する脚周り用起立カフスBが形成され、この起立カフスBは、実質的に幅方向に連続した通気性不織布などからなる起立シート4と、弾性伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の脚周り用弾性伸縮部材5とにより構成されている。7は面ファスナーによるファスニング片である。
【0030】
さらに、起立カフスBは、起立シート4を内面がわを短く段違いに内折りして2重に形成され、各脚周り用弾性伸縮部材5をホットメルト接着剤などにより固着した状態で包んでいる。
二重の起立シート4の内面は、透液性シート1の側縁と離間した位置において固着始端を有し、この固着始端から不透液性シート2の延在縁にかけて、幅方向外方部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。二重の起立シートの外面は、その下面において外面シート10にホットメルト接着剤などにより固着されている。
その結果、二重の起立シート4の内面の、不透液性シート2への固着始端は、起立カフスBの起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品本体に固定されていない自由部分であり、製品の中央側に向かう起立部と、途中で折り返し反転して外側に向かう平面当り部とに機能的にかつ概念的に区分されている。
【0031】
他方、図示しないが、長手方向前後端部において、ホットメルト接着剤などにより、前記起立部相当部(起立部の延長部)は、製品の中央側に向かう状態で製品に,具体的には透液性シート1及び不透液性シート2の外面に固定され、前記平面当り部相当部(平面当り部の延長部)が折り返し反転した状態で起立部相当部上に固定されている。
また、弾性伸縮部材5は、少なくとも1本が平面当り部にあることを基本形態とするが、特に弾性伸縮部材5は平面当り部の先端部にあることが好ましく、さらに、起立部にも弾性伸縮部材5を有することが好ましい。
最適な形態は、起立端近傍、折り返し近傍、及び平面当り部の先端部にあることである。平面当り部の先端部には、図示のように複数本有するのがさらに望ましい。起立部には、起立力を高めるために、さらに弾性伸縮部材5,5を設けることができる。図示の形態では、合計6本である。
【0032】
紙おむつの、装着時には、紙おむつが舟形に体に装着されるので、そして各弾性伸縮部材5,5…の収縮力が作用するので、図2に示すように、脚周りでは、各弾性伸縮部材5,5…の収縮力により起立カフスBが起立する。
起立部で囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性シート1を通って吸収体3内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスBの起立部がバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
【0033】
本形態において、各起立カフスを形成する起立シート4は、透液性でなく実質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、起立シート4を形成する透液性シート(たとえば不織布)に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。いずれにしても、起立シート4及び外面シート10は、それぞれ通気性があり、かつ起立シート4及び外面シート10は、それぞれ耐水圧が100mmH2O以上のシート、特に不織布であるのが好適である。これによって、図2および3に示すように、製品の幅方向側部において通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止できる。
【0034】
特に不織布を用いることで、装着時において音が殆どしないとともに、布様の感触を与える使い捨て紙おむつが得られる。外面シート10、透液性シート1および起立シート4を構成する不織布の素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができる。
本発明の形態においては、離間部において、不透液性シート2及び外面シート10の両者が重なっているので、起立カフスBの展開起立操作において、シートの破断がない。
【0035】
<ファスニング片の紙おむつ前身頃への止着について>
本発明では、ファスニング片7として、面ファスナーを用いることで、不織布からなる外面シート10に対して、メカニカルに止着できる。したがって、いわゆるターゲットテープを省略することもでき、かつ、ファスニング片7による止着位置を自由に選択できる。
【0036】
ファスニング片7は、図5にも示されているプラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材72の基部が外面シート10にたとえば接着剤により接合されており、先端側にフック要素7Aを有する。フック要素7Aはファスニング基材72に接着剤73により接合されている。フック要素7Aは、その外面側に多数の係合片71を有する。係合片71の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状等のものが存在するが、いずれでもよいが、T字状のものを好ましく使用できる。フック要素7Aより先端側に仮止め接着剤部7Bを有する。製品の組立て末期において、仮止め接着剤部7Bが起立シート4に接着されることによりファスニング片7の先端側の剥離を防止するようにしてある。使用時には、その接着力に抗して剥離し、ファスニング片7の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部7Bより先端側はファスニング基材72が露出して摘みタブ部とされている。
【0037】
さて、図1、図3及び図4が特に参照されるように、前身頃の開口部側には、外面シート10の内面側にターゲット印刷部20が形成され、ファスニング片7のフック要素7Aを止着する位置の目安となるターゲット印刷がなされ、外部から視認可能なように施されている。図示の形態では、ターゲット印刷部20は、液を完全に透過させないポリエチレンシートからなる不透液性シート2に施され、かつ、ターゲット印刷は不透液性シート2の使用面側になされている。ターゲット印刷部を不透液性シート2の裏面側に形成することも可能である。ターゲット印刷部は、その縦方向長さが10〜400mmとし且つ胴回り方向長さが50〜500mmとすることができる。ターゲット印刷は、グラビア印刷またはフレキソ印刷により行なうことができる。印刷インクは水溶性インクが望ましい。
少なくともこのターゲット印刷対応部分において、実施の形態では全面において、外面シート10の外面から不透液性シート2に対して、単位面積当たり7%のエンボスをたとえば千鳥状形態で施し、かつこのエンボス部分において外面シート10と不透液性シート2とを160℃以下の温度で熱融着により接合してある。この熱融着エンボス部10Aを図4に示してある。外面シート10の裏面は、全体または少なくともこのターゲット印刷対応部分において起毛してあることが望ましい。
【0038】
他方、外面シート10と不透液性シート2とは、ホットメルト接着剤により全面接着されておらずホットメルト接着剤による接着領域11,11…が離間してたとえばストライプ状に離間した状態で接合してある。
ターゲット印刷部20の形態は適宜であるが、まる1〜まる3の記号や、ゾーンごとの色分け、あるいは図柄の変更などにより、幅方向の位置が判るようにするのが望ましい。また、ターゲット印刷部20全体が周囲の色と区別できる配色にするのが望ましい。印刷厚さは10〜50μmが望ましい。
【0039】
不織布からなる外面シート10は、単繊維または長繊維を繊維素材とし、そのデニール数が2.5d以下であるのが望ましい。
かかる外面シート10表面とフック要素7Aとのせん断力が50g以上であり、剥離力が10g以上であることが望ましい。また、相互に止着されたファスニング片の止着面と不織布外面シートの表面とを剥離した時の音が12.0ソーン以下であるのが望ましい。
【0040】
かかるせん断力及び剥離力は、それぞれ次記の「せん断強度試験方法」および「剥離強度試験方法」によって測定されるものである。
【0041】
(イ)せん断強度試験方法
(1)図6に示すように、紙おむつ製品から40mm×100mmに切り取った外面シート10に、製品から切り取ったフック要素7Aのフックを有する部分全面を貼り付ける。このとき、フック要素7Aに対する外面シート10の向きが製品使用時と同様に、すなわち外面シート10の製品状態での縦方向と、フック要素7Aの製品状態での縦方向とが平行になるように貼り付ける。
(2)しかる後、フック要素7Aにおけるフックを有しない基端部を引張試験機の上のチャックc1に、外面シート10における未係合部分を下のチャックに挟み、製品状態での横方向が縦方向に沿うような姿勢で、且つ上下チャックc1,c2間距離cyが50mmとなるように調整し、引張速度300mm/minでせん断方向に引っ張り、測定を行う。
(3)得られたチャートの最初のピークを読み取り、これをせん断強度とする。
【0042】
(ロ)剥離強度試験方法
(1)図7に示すように、紙おむつ製品から40mm×100mmに切り取った外面シート10を、ループを有する側を表にして裏面を両面テープでステンレス板stに貼り付ける。固定されていない端部は表面がわからクラフトテープでステンレス板stに固定する。
(2)次に、貼り付けた外面シート10の表面に、製品から切り取ったフック要素7Aのフックを有する部分全面を貼り付ける。このとき、外面シート10に対するフック要素7Aの向きが製品使用時と同様に、すなわち外面シート10の製品状態での縦方向と、フック要素7Aの製品状態での縦方向とが平行になるように貼り付ける。しかる後、上記縦方向に質量2kgのローラーを1往復させ、フック要素7Aと外面シート10とを係合させる。
(3)次に、これらのステンレス板st,10,7Aをテーブルtbの縁等に固定し、フック要素7Aのフックを有しない基端部側をテーブルのtb縁から折り曲げて吊り下げ、その吊り下げ部分にクラフトテープctの一端部を貼り、クラフトテープctの他端部に1kgの分銅Gを取り付け、2秒間荷重をかける。
(4)次いで、荷重を外し、フック要素を係合した状態のフック受け要素をステンレス板とともに図示しない引張試験機に持ち込み、剥離角度90°、引張速度300mm/minで測定を行う。この状態が図7(b)に示されている。
(5)得られたチャートから最大値と最小値を除き、残りのピークから最大ピーク、最小ピーク各3点(計6点)を読み取り、平均値を求め、これをせん断力とする。
【0043】
他方、本発明にいう音の大きさ(ソーン)は、剥離時の音を普通騒音計により測定し、この値(ホン)を下記式(1)に代入して求まる値である。
【数1】
【0044】
ところで、上記の形態では、不透液性シート2がポリエチレンシートにより形成され、液を完全に透過させない、かつ非通気性のものである。しかし、実質的に液を透過させない不透液性シートとして、単一ポリエチレンシートや、内面側がポリエチレンシート等からなり外面側が不織布からなるポリラミ不織布からなる不透液性シートに布に細かいニードル孔を多数形成する形態や、高密度不織布により形成することにより通気性を付与できる。さらに、透湿性を付与したものを使用するのが望ましい。ファスニング片7のフック要素7Aを止着する位置における、実質的に液を透過させない不透液性シートの肌側面と外面シート10の表面との間の透気度が、5cc/10分以下であることが望ましい。
【0045】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、フロントターゲットテープを不要となし、ファスニング片止着時の煩わしさを解消し、装着感の向上を図り、また生産性の向上、コスト縮減を図りながらも、全体が周囲の色と区別できるように配色が施されたターゲット印刷部が外部から視認可能であるのでテープ止着作業を容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る紙おむつの展開状態一部破断平面図である。
【図2】 図1の2−2線に沿う矢視図である。
【図3】 図1の3−3線に沿う矢視図である。
【図4】 製品の前身頃における正面図である。
【図5】 ファスニング片の説明図である。
【図6】 せん断強度試験方法の要領説明図である。
【図7】 剥離強度試験方法の要領説明図である。
【符号の説明】
1…透液性シート、2…不透液性シート、3…吸収体、4…起立シート、5…弾性伸縮部材、7…ファスニング片、7A…フック要素、10…外面シート、20…ターゲット印刷部、B…脚周り用起立カフス。
Claims (8)
- 透液性シートと不透液性シートとの間に吸収体が介在され、前記不透液性シートの裏面側に不織布外面シートが積層された紙おむつであって、
前記紙おむつの背側両側端部には、止着面にフック要素を有するファスニング片がそれぞれ取り付けられ、
前記不透液性シートの腹側裏面の前記ファスニング片のフック要素を止着する目安となる位置に、全体が周囲の色と区別できるように配色された一体のターゲット印刷部が設けられ、
前記ターゲット印刷部の胴回り方向長さは、前記吸収体の幅より長く、前記ターゲット印刷部の腹側端縁は、前記紙おむつの腹側端縁から離間し、
前記不織布外面シートを通して外部から視認可能である
ことを特徴とする紙おむつ。 - 前記不織布外面シートは、砂時計形状をなし、前記不透液性シートは、前記吸収体より幅広で前記不織布外面シートより幅狭の長方形形状をなし、
前記ターゲット印刷部の縦方向長さが10〜400mmとされ且つ胴回り方向長さが50〜500mmとされた請求項1に記載の紙おむつ。 - 前記ターゲット印刷部の印刷が、胴回り方向に異なる複数の止着位置を表すように施され、番号、ゾーンごとの色分け、あるいは図柄の変更により胴回り方向の位置がわかるように構成された請求項1または2記載の紙おむつ。
- 前記ターゲット印刷部が、グラビア印刷またはフレキソ印刷により施された請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙おむつ。
- 前記不透液性シートの肌側面に前記ターゲット印刷部の印刷を水溶性インクにより施した請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙おむつ。
- 前記不織布外面シートにおける少なくとも前記ターゲット印刷部と対応する部分が起毛された請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙おむつ。
- 前記不織布外面シートにおける少なくとも前記ターゲット印刷部対応部分に前記不織布外面シートの外面から単位面積当たり2〜30%のエンボスを施してある請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙おむつ。
- 少なくとも前記ターゲット印刷部と対応する部分において、前記不織布外面シートと前記不透液性シートとがホットメルト接着剤によりまたは熱融着により接着されるとともに、前記ターゲット印刷部と対応する部分の全面では接着されておらず離間した部分を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の紙おむつ。
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