JP4252200B2 - ジェット推進型滑走艇 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水流を後方に噴出してその反動で水上を航行する小型滑走艇(Personal Watercraft(パーソナルウォータークラフト);PWCとも呼ばれる)等のジェット推進型の滑走艇に関し、特にスロットルをOFF操作したときにも、ステアリング機能を維持できるジェット推進型滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
所謂ジェット推進型の滑走艇は、レジャー用,スポーツ用としてあるいはレスキュー用として、近年多用されている。このジェット推進型の滑走艇では、一般的に艇の底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、ウォータージェットポンプで加圧・加速して噴射口から後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
そして、このジェット推進型の滑走艇の場合、上記ウォータージェットポンプの噴射口の後方に配置したステアリングノズルを左右に揺動させることによって、後方への水の噴射方向を左右に変更することによって、艇を右側あるいは左側に操舵する。
【0004】
また、後進させる場合には、上記ステアリングノズルの後方に昇降可能に配置したリバース用のデフレクターを降下させて、ステアリングノズルから後方に向けて噴射した水流の向きを前方に変更させて、その反動で後進させるよう構成されている。
【0005】
従って、このような構成のジェット推進型の滑走艇の場合、前進の場合および後進の場合にも、スロットルを全閉近くまで閉じてウォータージェットポンプからの水の噴射量が減少すると、艇を転向させるために利用できる推力(操舵のために利用できる推力)も同時に減少し、スロットルが再び開くまでは、艇を操舵する能力が減少する。
【0006】
このような現況に鑑みて、本出願人は、スロットルを全閉近くまで閉じてウォータージェットポンプからの水の噴射量が減少しても、メカニカル的に、操舵する能力を維持できる操舵用のステアリング部材を備えたジェット推進型の滑走艇を提供した(特願2000−6708号)。
【0007】
また、上記ジェット推進型滑走艇の場合、部品点数が多くなって、構造が複雑となり、従って、重量が増加することに鑑みて、スロットルのOFF操作と所定角度以上のステアリング操作等を検出して、一時的にエンジン回転数を上昇させて、スロットルのOFF操作によるウォータージェットポンプからの水の噴射量の減少があっても、操舵機能を維持できるようなジェット推進型滑走艇を提供している(特願2000−173232号)。
【0008】
本発明は、このような現況のもと、スロットルをOFF操作した場合でも、艇を操舵することが維持できるジェット推進型滑走艇において、状況に適応して必要なときのみ艇の操舵機能が維持できるようなジェット推進型滑走艇を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本第1の発明は、上記課題を、以下のような構成からなるジェット推進型滑走艇によって解決することができる。即ち、
本第1の発明にかかるジェット推進型滑走艇は、ウォータージェットポンプで加圧・加速された水を後方の噴射口から噴射しその反動によって推進し、操舵とともに、スロットルをOFF操作したときに、一時的にエンジンの回転数を上昇させることによって、スロットルのOFF操作時に操舵機能を維持できるよう構成されたジェット推進型の滑走艇において、
エンジンの回転数を時系列的にサンプリングするエンジン回転数検知センサーを配置して、
スロットルのOFF操作と、ステアリング操作をした旨の信号が得られたときに、
上記信号が得られた時点と、該時点から所定期間遡った時点との間の第1所定期間内にサンプリングしたエンジン回転数のデータを用いず、この第1所定期間の直前の第2所定期間内にサンプリングしたエンジン回転数のデータを用いて、
該第2所定期間におけるデータから得られるエンジン回転数が、所定回転数以上か否か判断して、
所定回転数以上の場合にのみ、一時的にエンジンの回転数を上昇させることを特徴とする。
【0010】
しかして、このように構成されたジェット推進型滑走艇によると、スロットルがOFF操作された直後の、急速にアイドリング状態にまで低下するエンジン回転数のデータ(サンプリング値)を、操舵機能を維持すべく一時的にエンジンの回転数を上昇させるか否かの判定から排除するように、上記第1所定期間を設定して、該第1所定期間の直前の上記第2所定期間のデータ(サンプリング値)を利用するので、スロットルがOFF操作されるまでのスロットル操作と操舵状況が反映された的確な制御が簡単な構成によりおこなえる。なお、本明細書において、スロットルの「OFF操作」とは、スロットルが「閉」側に所定量以上操作される動作をいう。
【0011】
また、上記第1の発明にかかるジェット推進型滑走艇において、前記第2所定期間におけるデータから得られるエンジン回転数は、該第2所定期間内で時系列的にサンプリングした複数のエンジン回転数の平均値としたので、制御にかかるエンジン回転数の演算処理が簡単であり、その処理時間が短くて済む。
【0012】
また、上記第1又は第2の発明にかかるジェット推進型滑走艇は、前記第1所定期間を0.5秒とすることにより、本発明を小型滑走艇に適用する場合に好ましい実施形態となる。
【0013】
また、上記第1〜第3の発明にかかるジェット推進型滑走艇において、前記第2所定期間を3〜5秒とすることにより、本発明を小型滑走艇に適用する場合に好ましい実施形態となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態にかかるジェット推進型滑走艇について、小型滑走艇を例に挙げて、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態にかかるジェット推進型滑走艇の制御関係の構成を示すブロック図、図2は図1のブロック図に示す構成要素の制御内容を示すフローチャート、図5は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図、図6は図5の平面図、図7は図5のステアリング近傍の部分拡大断面図、図8はステアリング部分の要部の分解斜視図、図9は図1のブロック図に示す構成を実際のエンジンとの関連で表した図である。
【0016】
図5,図6において、Aは船体で、この船体Aは、ハルHとその上方を覆うデッキDから構成され、これらハルHとデッキDを全周で接続する接続ラインはガンネルラインGと呼ばれ、この実施例では、このガンネルラインGは、この小型滑走艇の喫水線Lより上方に位置している。
【0017】
そして、上記デッキDの中央よりやや後部には、図6に図示するように、船体Aの上面に長手方向に延びる平面視において略長方形の開口部16が形成され、図5,図6に図示するように、この開口部16上方に騎乗用のシートSが配置されている。
【0018】
また、エンジンEは、上記シートS下方のハルHとデッキDに囲まれた横断面形状が「凸」状の空間20内に配置される。
このエンジンEは、多気筒(この実施例では3気筒)のエンジンEで、図5に図示するように、クランクシャフト10bが船体Aの長手方向に沿うような向きで搭載されており、このクランクシャフト10bの出力端は、プロペラ軸15を介して、インペラ21が取着されているウォータージェットポンプPのポンプ軸側に、一体的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ21は、その外周方が、ポンプケーシング21Cで覆われ、小型滑走艇の底面に設けられた給水口17から取り入れた水を吸水通路を介して取り込んで、ウォータージェットポンプPで加圧・加速して、通水断面積が後方にゆくに従って小さくなったポンプノズル(噴出部)21Rを通って、後端の噴射口21Kから吐出して、推進力を得るよう構成されている。
【0019】
なお、図5において、21Vは整流するための静翼である。また、図5,図6おいて、10はステアリング手段である操舵用のハンドルで、このハンドル10を左右に操作することによって、上記ポンプノズル21R後方のステアリングノズル18を左右に揺動させて、ウォータージェットポンプPの稼働時に、艇を所望の方向に操舵できるよう構成されている。
【0020】
また、図5に図示するように、上記ステアリングノズル18の上後方には、水平に配置された揺動軸19aを中心に下方に揺動可能に、ボウル形状のリバース用のデフレクター19が配置され、このデフレクター19をステアリングノズル18後方の下方位置へ揺動動作させることによって、ステアリングノズル18から後方に吐出される水を前方に転向させて、後進できるよう構成されている。
【0021】
また、図5,図6において、12は後部デッキで、この後部デッキ12には、開閉式のハッチカバー29が設けられ、ハッチカバー29の下方に小容量の収納ボックス(図示せず)が形成されている。また、図5あるいは図6において、23は前部ハッチカバーで、このハッチカバー23の下方には備品等を収納するボックス(図示せず)が設けられている。また、この前部ハッチカバー23の上方には、別のハッチカバー25が配置されて、二層式のハッチカバーが形成され、上記ハッチカバー25には、後端面に設けられた開口(図示せず)からその内部にライフジャケット等を収納することができるようになっている。
【0022】
ところで、本発明の実施例にかかる小型滑走艇では、図7,図8に図示するように、上記ハンドル10の回転軸10A部分には、回転側と固定側に、近接スイッチで構成されるステアリング位置検知センサーSpが配置されている。この実施例では、ステアリング位置検知センサーSpは、回転側に円板状の部材の一部に永久磁石40を配設するとともに、固定側に二箇所、上記永久磁石40が近接するとONになるセンサー41を配置した構成のものによって形成されている。また、このステアリング位置検知センサーSpは、上記構成のものに代えて、ポテンショメータによって構成することもできる。
【0023】
また、図9に図示するように、エンジンEの吸気通路3に配置されているバタフライバルブ51に近接して、スロットル開度検知センサーSbが配置されている。さらに、図9に図示するように、クランク軸Crの近傍には、エンジン回転数検知センサーSeが配置されている。
【0024】
そして、図1に図示するように、上記ステアリング位置検知センサーSp,スロットル開度検知センサーSb,およびエンジン回転数検知センサーSeは、それぞれ、信号線(電線)によって、エンジンコントロールユニットEcに接続されており、これら各センサーで検知した信号を、このエンジンコントロールユニットEcに伝達するよう構成されている。
【0025】
また、エンジン回転数検知センサーSeからの検知信号は、エンジンコントロールユニットEcの制御周期毎に、その内蔵メモリに時系列的に記憶され、所定時間保持されるようになっている。従って、上記内蔵メモリには、前記所定期間分(例えば、10秒間)のエンジン回転数の複数のサンプリング値が常時保持されていることになる。
【0026】
そして、このエンジンコントロールユニットEcは、図9に図示するように、信号線(電線)によって、エンジンEのシリンダヘッドHcに配置されている燃料噴射装置Feに接続されている。また、このエンジンコントロールユニットEcは、信号線(電線)によって、点火コイルIcに接続されている。
【0027】
そして、点火コイルIcは、電線(高圧電気コード)によって、点火プラグIpに接続されている。なお、図9において、4は燃料タンク、5は燃料昇圧ポンプを示す。
【0028】
しかして、このように構成された本発明の実施形態にかかるジェット推進型滑走艇は、以下のように、スロットルをOFF操作し且つステアリング操作したときに、エンジンコントロールユニットEcの内蔵メモリに記憶されているエンジン回転数に応じてオフ・スロットル・ステアリングモード制御(OTS制御)のON/OFFをおこなうか否かの判定をして、操舵機能が必要なときにのみ操舵機能を維持するような制御がなされ、且つ不要なときには操舵機能を維持するような制御はなされることはない。
【0029】
なお、本明細書において、スロットル開度検知センサーSbからスロットルがOFF操作された旨の信号と、ステアリング位置検知センサーSbからステアリング操作されている旨の信号が得られたときに、一時的にエンジンの回転数を上昇させて、操舵機能を維持するような制御を、「オフ・スロットル・ステアリングモード制御(OTS制御)」という。
【0030】
以下、本発明の実施形態にかかる作用の内容とともに、上記エンジンコントロールユニットEcの内蔵メモリに記録されているプログラムの制御内容について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0031】
つまり、図2のフローチャートに図示するように、ジェット推進型滑走艇である小型滑走艇が航走している状態において、例えば、ライダーが小型滑走艇のスロットルをOFF操作すると、上記スロットル開度検知センサーSbが、そのOFF操作を検知(ステップ1(S1))し、その信号を、上記エンジンコントロールユニットEcに伝達する。
【0032】
そして、このような状態において、ライダーが、上記ハンドル10を右あるいは左に所定角度(この実施例では、回転角度にして、左右にそれぞれ略20度程度)操作すると、上記ステアリング位置検知センサーSpが、その操舵動作を検知して(ステップ2(S2))、その信号を、上記エンジンコントロールユニットEcに伝達する。
【0033】
次に、エンジンコントロールユニットEcは、上記信号が得られた時点で上記内蔵メモリに記憶されている複数のエンジン回転数のサンプリング値のうち、所定期間遡った第1所定期間のサンプリング値を除いて、該第1所定期間直前の所定期間(第2所定期間)のサンプリング値を読み出し、これらのサンプリング値の平均値(平均エンジン回転数値)を演算する(ステップ3(S3))。
【0034】
図4(a)は、スロットルのOFF操作に伴うエンジン回転数の時系列的な変化を示すグラフであり、このグラフは、エンジン回転数が高回転RH(図中、実線で示す)および低回転RL(図中、一点鎖線で示す)でそれぞれ定速航走していた場合に、t10の時点においてスロットルのOFF操作をおこなった場合の例を示している。
【0035】
ここで、図4(b)に図示するように、スロットルのOFF操作がおこなわれ、且つステアリング操作(図中、ステアリング切)がおこなわれたときに(図4(b)においては両操作が略同時)、ステアリング操作を検出した時点t10と、該時点t10から所定期間遡った時点t9との間の第1所定期間T1内に検知されたエンジン回転数のサンプリング値を排除し、この第1所定期間T1直前の第2所定期間T2(例えば、図4(b)においてはt1からt9)内に検知されたエンジン回転数のサンプリング値のみをデータとして採用し、これらのサンプリング値の平均値を演算する。
【0036】
なお、上記第1所定期間T1および第2所定期間T2は、後述する図3に図示するような実際の艇の特性および使用態様に合わせて適宜に設定すればよいが、第1所定期間T1としては「スロットルのOFF操作に伴って極めて短時間に低下するエンジン回転数がアイドリングに相当する回転数に至るまで程度」の期間でよく、また、第2所定期間T2としては「上記第1所定期間T1の設定にも依るが、想定されるスロットルのOFF操作からその後のステアリング操作までの時間よりも十分に長い」期間とするのがよい。因みに、図5,6に図示するような小型滑走艇の場合には、第1所定期間T1が0.5秒程度、また第2所定期間T2が3〜5秒程度が好ましい。
【0037】
上記ステップ3に続いて、次に、エンジンコントロールユニットEcは、演算した平均エンジン回転数が所定回転数(例えば、2000〜3000rpmであり、図4(a)においては“R”で示す)以上であるか否かを判定する(ステップ4(S4))。
【0038】
そして、平均エンジン回転数が所定回転数R以上であった場合には、燃料噴射タイミングと点火タイミングを変更して(この実施例ではタイミングを早めて)、そのままではスロットルのOFF操作に伴って極めて短時間でアイドリング状態まで降下しようとするエンジンEの回転数を一時的に上昇させるように、OTS制御を“ON”とする(ステップ5(S5))とともに、エンジンコントロールユニットEcの次の制御周期毎の処理をおこなうべくステップ1からの処理を繰り返す。
【0039】
そして、上記燃料噴射タイミングと点火タイミングを元の状態(通常運転状態、またはOTS制御の“OFF”)に戻す(ステップ6(S6))。
【0040】
ところで、上記OTS制御の内容については、燃料噴射タイミングと点火タイミングを変更(この実施例では、例えば、タイミングを早くする)して、エンジンEを一時的に上昇させることになる。なお、このとき、上記タイミングの変更とともに、燃料噴射量を変更(例えば「増加」)させるような制御をおこなってもよい。また、エンジン回転数を所定回転数まで高めるのに、燃料噴射タイミングと点火タイミングの両方を変更するよう構成しているが、これらに加えて燃料噴射量を変更してもよく、あるいはこれらのうちのいずれか一つのみを変更させるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、以上のようにして、第2所定期間T2内にサンプリングされた複数のエンジン回転数の時系列的なサンプリング値から平均エンジン回転数を演算し、該平均エンジン回転数を所定回転数Rと比較して、所定回転数Rより高い場合のみOTS制御のON/OFFをおこなうようにしてあるが、この平均エンジン回転数に代えて、他の統計値等を用い且つそれに対応する所定値と比較判定するように構成してもよい。つまり、比較判定の対象を平均エンジン回転数とするか他の統計値等を用いるかについていずれでもよいが、上記第1所定期間T1を除いてその直前の上記第2所定期間T2内のサンプリング値を判定のデータとして採用することが重要である。
【0042】
次に、以上に説明した本発明の実施形態にかかるジェット推進型滑走艇の実際の航走および操舵の状況に応じたOTS制御のON/OFFについて、小型滑走艇を例に挙げて説明する。
【0043】
例えば、図3(a)に図示するように、高速航走(例えば、50mile/h)からスロットルをOFF操作した後で、所定角度以上のステアリング操作(ステアリング切)が同時か又は非常に短時間内におこなわれた場合には、図4(b)に図示するように、t9〜t10の第1所定期間T1を避けた、t1〜t9の第2所定期間T2内のサンプリング値の平均値が採用される。つまり、採用されたサンプリング値は、全て定速航走時(50mile/h航走時)のものであって、その値は所定回転数R(図4(a)参照)よりも十分に高くなるため、OTS制御は“ON”とされ、スロットルがOFF操作した後も操舵機能が維持され、従って、円滑に艇を操舵できることになる。
【0044】
一方、図3(b)に図示するように、例えば、着岸等の際に、低速航走(例えば、5mile/h)からスロットルをOFF操作し、例えば、略同時にステアリング操作がおこなわれた場合でも、図4(b)に図示するように、t9〜t10の第1所定期間T1を避けた、t1〜t9の第2所定期間T2内のサンプリング値の平均値が採用される。つまり、採用されたサンプリング値は、全て定速航走時(5mile/h航走時)のものであって、その値は所定回転数Rよりも低くなるため、OTS制御は“OFF”とされ、OTS制御で操舵されることなくそのまま円滑に艇を着岸できることになる。
【0045】
ところで、図3(c)に図示するように、高速航走からスロットルのOFF操作後に、操舵遅れに伴う惰性区間を経て、ステアリング操作がおこなわれることが考えられる。このような操舵遅れが僅かの時間であって、例えば、エンジン回転数がアイドリングに相当する回転数に低下するまでの時間(図4(a)においては略t10〜t12、小型滑走艇の場合には約0.5秒)内であった場合、即ち、図4(c)に図示するように、例えばt11の時点にてステアリング操作がおこなわれた場合には、このエンジン回転数がアイドリングに相当する回転数に低下するまでの時間のうちのt10〜t11が第1所定期間T1として不採用となり(排除され)、それ以前の第2所定期間T2内の定速航走時のサンプリング値のみが採用されるので、第2所定期間T2内のサンプリング値が所定回転数R(図4(a)参照)よりも高くなるため、この場合には、OTS制御は“ON”とされ、ライダーが所望する如く、スロットルをOFF操作した後も操舵機能が維持されることから、図3(c)に図示するように、円滑に艇は旋回する。
【0046】
仮に、上述の場合よりもさらに操舵遅れが大きく、図4(d)に図示する、t14の時点においてステアリング操作がおこなわれた場合は、エンジン回転数がアイドリングに相当する回転数に低下するまでの時間t13〜t14を含むが、第2所定期間T2の大部分は、定速航走時t5〜t10であることから、第2所定期間T2内のサンプリング値が所定回転数R(図4(a)参照)よりも高くなるため、OTS制御は“ON”とされ、円滑に艇を操舵できることになる。
【0047】
そして、このように構成された、本ジェット推進型滑走艇によると、上記スロットル開度検知センサーSb、エンジン回転数検知センサーSeおよびエンジンコントロールユニットEcを構成するマイクロコンピュータは、従来のジェット推進型滑走艇にも具備されていることから、単に近接スイッチ等からなるステアリング位置検知センサーSpのみ新たに設け、且つ上記エンジンコントロールユニットEcの制御プログラムのみを変更すればよいため、簡単に実現できることになる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、状況に応じて、必要なときにはOTS制御が作用して操舵機能が維持され、接岸時のときのようにOTS制御による操舵機能を維持することが不要な状況では、操舵機能が維持されない。
また、本発明は、従来既に具備している機器を最大限利用して、簡単な構成で且つ重量を増加させることなく、実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかるジェット推進型滑走艇の制御関係の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のブロック図に示す構成要素の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】 スロットルのOFF操作と所定角度以上のステアリング操作(ステアリング切)がおこなわれるタイミングと、そのときの状況(船速)に応じたオフ・スロットル・ステアリングモード制御(OTS制御)のON/OFFを示す図であり、(a)は高速航走からスロットルのOFF操作とステアリング操作を略同時におこなった場合、(b)は低速航走からスロットルのOFF操作とステアリング操作を略同時におこなった場合、(c)は高速航走からスロットルOFFし、若干の惰性区間をおいてステアリング操作をおこなった場合をそれぞれ示す。
【図4】 (a)は縦軸にエンジン回転数、横軸に時間をとって、高速および低速の定速航走からスロットルをOFF操作したときのエンジン回転数の時系列的な変化を示すグラフであり、(b)〜(d)はその際にステアリング切のタイミングに応じてOTS制御を採用するか否かの判断対象となるエンジン回転数のサンプリング値の時間的な範囲(期間)を示す図である。
【図5】 本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図である。
【図6】 図5に示す小型滑走艇の全体平面図である。
【図7】 ステアリング位置検知センサーの配置位置と構成を示す、図5のステアリング近傍の部分拡大断面図である。
【図8】 図5に示すステアリング位置検知センサーの配置位置とその近傍の構成を示す、ステアリング部分の要部の分解斜視図である。
【図9】 図1に示す制御関係の構成を実際のエンジンとの関連で表した図である。
【符号の説明】
P……ウォータージェットポンプ
21K……噴射口
E……エンジン
Sp……ステアリング位置検知センサー
Sb……スロットル開度検知センサー
Se……エンジン回転数検知センサー

Claims (4)

  1. ウォータージェットポンプで加圧・加速された水を後方の噴射口から噴射しその反動によって推進し、操舵とともに、スロットルをOFF操作したときに、一時的にエンジンの回転数を上昇させることによって、スロットルのOFF操作時に操舵機能を維持できるよう構成されたジェット推進型の滑走艇において、
    エンジンの回転数を時系列的にサンプリングするエンジン回転数検知センサーを配置して、
    スロットルのOFF操作と、ステアリング操作をした旨の信号が得られたときに、
    上記信号が得られた時点と、該時点から所定期間遡った時点との間の第1所定期間内にサンプリングしたエンジン回転数のデータを用いず、この第1所定期間の直前の第2所定期間内にサンプリングしたエンジン回転数のデータを用いて、
    該第2所定期間におけるデータから得られるエンジン回転数が、所定回転数以上か否か判断して、
    所定回転数以上の場合にのみ、一時的にエンジンの回転数を上昇させることを特徴とするジェット推進型滑走艇。
  2. 前記第2所定期間におけるデータから得られるエンジン回転数は、該第2所定期間内でサンプリングした複数のエンジン回転数の平均値であることを特徴とする請求項1記載のジェット推進型滑走艇。
  3. 前記第1所定期間が0.5秒間であることを特徴とする請求項1又は2記載のジェット推進型滑走艇。
  4. 前記第2所定期間が3〜5秒間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載のジェット推進型滑走艇。
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