JP4252115B2 - ポリマーの分解方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー、特に生分解性を持ったポリマーを微生物によって分解する方法及び該方法に使用される装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックを代表とする高分子化合物は、軽く強い素材という便利な性質のため、広い分野において全世界で大量に生産・使用されている。
ところが、使用済みの高分子化合物廃棄物は、一般に自然環境下で分解しないため、埋めても腐らず地球環境中に年々蓄積している。また、高分子化合物廃棄物は焼却すると高熱や有毒ガスを発生するなどの問題がある。そのため、高分子化合物廃棄物の処理は今や社会問題化している。
【0003】
近年、地球規模での環境問題に対する人々の関心が高まり、自然環境中で微生物により分解される生分解性高分子の研究や難生分解性ポリマーを酵素あるいは微生物の作用により分解させる研究が盛んに行われ、実用化されつつある。
現在研究されている生分解性高分子は、「合成高分子」、「微生物生産高分子」、「植物或いは動物由来の天然高分子」に大きく分けられる。
合成高分子は、豊富な構造単位から種々の機能を持った高分子物質の分子設計が可能で、汎用プラスチックの代替として期待されている。
【0004】
ポリマーを分解する微生物の探索研究が行なわれた結果、水溶性のポリビニールアルコール、ポリエチレングリコールが微生物によって分解されることが明かとなった。ポリビニールアルコールは、土壌中のPseudomonas属に属する細菌によって分解される〔Suzuki et al.:Agric. Biol. Chem., 37, 747(1973)〕。また、分子量6000のポリエチレングリコールはPseudomonas sp.とFlavobacterium sp.の共生細菌系によって分解される〔Kawai et al.:J. Ferment. Technol., 55, 125(1977)〕。また、水不溶の固体状の脂肪族ポリエステル、特に難分解性のポリカプロラクトンが土壌中で加水分解されることが報告されている〔Potts et al.:Polym. Prepr., 13, 629(1972)〕。
【0005】
生分解性高分子として知られている脂肪族ポリエステルのうち、乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸からなるポリマーは、植物或いは動物由来の天然高分子に比べてカビが生えにくく、また微生物生産高分子や他の合成高分子に比べて透明性に優れている特徴を有している。しかも、乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸とからなるポリマーは、加水分解して乳酸あるいはグリコール酸になるため生体安全性が高く、医用材料或いは食品分野での利用に適している。
生分解性高分子に求められる性質は、使用中は材料強度が高いが、廃棄後は環境中で速やかに分解されることである。乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸からなるポリマーは、生体内で非酵素的に加水分解されることが知られているが〔山根ら:人工臓器, 15, 1751(1986)〕、加水分解性は分子量の増加に伴って低下する。一方、材料強度は分子量の増加に伴い大きくなり、これらの性質は相反する。
【0006】
例えば、ポリL−乳酸は、分子量が1000では生理食塩水中で約2週間以内に分解するが、材料強度は低く実用的でない。これに対し分子量が1万以上になると分解し難くはなるが、プラスチックとして使用できる程度に材料強度は増す。
乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸とからなり十分な材料強度を有するポリマーを分解する方法が幾つか知られている。例えば、分子量約10万のポリ乳酸に微生物の栄養成分を配合し、土中に埋めると分解速度が高くなることが報告されている〔特開平4-168150号公報〕。しかし、この方法でもポリマーが完全に分解するまでに約3か月を要する。
【0007】
また、生分解性高分子を分解する方法として下水汚泥、都市ゴミ、家畜ふんなどから成るコンポスト中に生分解性高分子を挿入すると分解ことがあることが知られている。しかし、コンポストは様々な成分から成り、コンポストが生成される場所・季節によってもコンポストの形態、菌叢の変動が大きいため、従来のコンポストを用いた方法では、必ずしも確実にしかも再現性良く生分解性高分子を分解することができず、時に殆ど生分解性高分子が分解しないことがあった。
【0008】
以上のとおり、微生物によりポリマーを分解する方法に関してはこれまでにいくつかの例が知られているが、その何れもがポリマーの分解に長期間を要し、しかも分解の再現性がないなどの問題点があるため、産業上利用するためには欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用時には高い強度を有するポリマーを速やかに且つ再現性よく分解するために、担体に微生物と該微生物の生育に必要な栄養成分及び水分を保持させた固相を用いたポリマーの分解方法及び該方法に使用される装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の様な状況下、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、微生物によるポリマーの分解に関して、微生物、栄養成分及び水分を保持する能力を有する担体のうち、一定の最大保水率を有するものに微生物、栄養成分及び水分を保持させ、空隙率を一定の範囲に調節した固相を用いると、微生物によるポリマーの分解が速やかに起こることを見いだし、その知見に基づき本発明を完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、担体に、微生物、該微生物の生育に必要な栄養成分及び水分を含有する水溶液を加えてなる固相とポリマーとを接触させることによるポリマーの分解方法であって、該ポリマーがヒドロキシカルボン酸のホモポリマーもしくはコポリマー、または脂肪族ジカルボン酸とグリコールよりなるポリエステルであり、該担体の最大保水率が40重量%以上4,000重量%以下であり、該固相中、該水溶液が担体の最大保水率の10%以上100%以下担体に保持され、該固相の空隙率が25%以上100%未満であることを特徴とするポリマーの分解方法及び該方法に使用される装置を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される微生物と栄養成分を保持する担体は、微生物が増殖を阻害しない材質であり、微生物、該微生物が増殖するのに必要な栄養成分および水分を保持でき、かつ本発明の方法で用いる固相に利用した場合、微生物の増殖に必要な酸素を空気中から供給できる程度の空隙を生じ得ることが必要である。 このような要求を満たす担体の最大保水率は40重量%(g(水)/g(乾燥担体))以上4,000重量%(g(水)/g(乾燥担体))以下、好ましくは50重量%(g(水)/g(乾燥担体))以上3,000重量%(g(水)/g(乾燥担体))以下である。
【0013】
本発明に使用される担体は材質的には有機高分子あるいは無機物である。
有機高分子としては、皮革、羊毛等のヒト以外の動物体動物体およびその加工品、大鋸屑、へちま、籾殻、黍、ふすま、紙、木綿等の植物体およびその加工品、発泡セルロース、発泡ウレタン、発泡ポリビニールアルコール等の発泡有機高分子、或いは不織布等の繊維有機高分子が例示できる。また、発泡有機高分子がそれ自体生分解性高分子であるものも例示できる。
また無機物としては、モレキュラーシーブ、バーミキュライト、パーライト、ステンレス鋼繊維、アルミニウムウール、グラスウール或いはアルミニウムハニカムコーン等が例示できる。
上記以外でも最大保水量の規定を満足する限り本発明の担体として使用可能である。また、本発明に使用される担体は上記に例示されたもの単一物およびその混合物である。但し担体が複数のものの混合物である場合、固相中の担体全部を1つの担体と見做した場合の最大保水率が40重量%以上4000重量%以下であることが必要である。
担体が発泡有機高分子等のそれ自体特定の大きさがないものは、適当な大きさのものを作製し、それらを幾つか使用すればよい。
本発明において、担体中に存在する空間を孔隙、担体間の空間を空隙と呼ぶ。
【0014】
本発明に使用される微生物としては、ポリマーを分解する限り特に制限はないが、カビ、酵母等の真核微生物、細菌、放線菌等の原核微生物が使用できる。また、土壌中から抽出された微生物や活性汚泥中の微生物、コンポスト中の菌叢も使用できる。細菌としては、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌を例示できるがそのほかにもポリマーを分解する限り、本発明の範疇である。
本発明に好適に使用できる微生物としては、本発明者らが土壌中より分離した枯草菌の1種であるBacillus subtilis MT-10658を挙げることが出来る。この菌株は受託番号FERM BP-5341として、茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に微生物に関するブタペスト条約に基づいて寄託されている。
微生物は、単独で使用することができるが、必ずしもその必要はなく、2種以上の微生物菌叢を混合して使用することが好ましい。
【0015】
本発明に使用される栄養成分としては、ポリマーを分解する微生物の生育に必要な物質を指し、炭素源、窒素源、無機塩類及び微量元素を含んだものであればいかなるものでもよく、ブイヨン培地(肉エキス3g/L、ペプトン10g/L、塩化ナトリウム5g/L)が例示できる。
また、その他の成分として、微生物の生育を阻害しないのであれば、固相全体の空隙率が25%を下回らないように下水汚泥、都市ゴミ、家畜ふんなどの中の本発明の固相として利用できないものを固相中に含有してもよい。そのため、本発明に使用される固相としては、コンポストのごときものを使用することも場合によっては可能である。
【0016】
本発明においては、以上述べたような担体に、培養液の様な栄養成分及び微生物を含有する水溶液を含浸させればよい。含浸させる水溶液の液量としては、担体中で微生物が増殖するのに必要であり、かつ空気中の酸素が供給される程度に空間があれば特に限定しない。液量は好ましくは坦体の最大保水率の10%以上100%以下であり、より好ましくは坦体の最大保水率の20%以上95%以下であり、さらに好ましくは坦体の最大保水率の25%以上90%以下である。
【0017】
本発明においてポリマーを分解するために用いられる固相とは、担体に、微生物、該微生物の生育に必要な栄養成分及び水分を含有する水溶液を加えてなる。そして、固相が例えば微生物、栄養成分及び水分を含有する水溶液を含浸させた幾つかの担体より成る場合、該坦体、微生物、水溶液および孔隙は勿論、空隙も本発明においては固相として認識される。
【0018】
また、本発明において空隙とは、固相から担体およびその他の成分の実質的部分を除いた空間全体を意味する。言い替えれば、本発明において空隙とは、固相中の微生物、該微生物の生育に必要な栄養成分、水分および空気が存在し得る空間全体を意味する。よって、担体と担体の隙間は勿論、担体内部の物質が侵入し得る部分も空隙として認識される。
本発明における空隙率とは、固相の体積に対する空隙の割合を意味する。固相中の担体が単一の物質からなり、それ以外の成分を含まない場合、空隙率は下記の計算式1[式1]より算出される。
【0019】
【式1】
〔1−(見かけ比重/真比重)〕×100=固相の空隙率(%)
本発明において、固相の空隙率は25%以上100%未満であり、好ましくは40%以上100%未満、より好ましくは60%以上100%未満である。
【0020】
本発明の方法を実施するには、栄養成分を含む担体及び微生物を含有する水溶液を含浸させた担体に微生物を増殖させ該担体を収納した容器に分解すべきポリマーを接触ないしは混入すればよい。ポリマー分解する際の温度は通常微生物の生育ができる温度であり、具体的には0〜80℃好ましくは20〜60℃である。また、容器の内容物を時々攪拌するとポリマーの分解が促進されることがあり、容器の内容物にはガスが流入することが好ましい。
また、ポリマーを接触させる際は、ポリマーを適当な大きさに粉砕することが、分解までの所用時間を短縮できるので好ましい。
【0021】
本発明の方法によってポリマーが分解される機序は必ずしも明確ではないが、微生物自体の酵素的な分解作用による場合、微生物の生育に伴って生じたアンモニウムイオン等の存在によりポリマーのエステル結合が化学的に加水分解される場合、或いはそれらが競合して起こる場合等が予想される。よって、上記の観点からすれば、本発明の栄養成分としてはブイヨン培地等の窒素源を多く含むものを使用することが好ましいかも知れない。
【0022】
本発明の方法で分解されるべきポリマーは、微生物の増殖を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、乳酸、グリコール酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等のヒドロキシカルボン酸のホモポリマー又はコポリマー、或いは、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ベンゼンジメタノール等のグリコールから得られるポリエステルが例示できる。
本発明の方法は、脂肪族ポリエステル、特に乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸からなるポリマーの分解に好適に使用される。これら脂肪族ポリエステルのポリマーの分子量は、2,000〜1,000,000が好ましい。
これらのうちポリ乳酸、特にポリL−乳酸が好ましい。
【0023】
本発明の装置は、本発明のポリマーの分解方法を実施し得るものであり、ポリマーが分解できるものであればよい。本発明の装置は必要によりかくはん手段、暴気手段、温度調節手段及び湿度調節手段を有することができる。
本発明の装置として例えば第1図(図1)に示すようなものがあげられる。第1図において、担体8とその他固相成分にポリマー9を加えたものを本体1に入れる。本体1の底部には下部網3が構成され、本体1の底部と側壁とで構成される隅部はなだらかな丸みを帯びていることが好ましい。本体1の上部は蓋2で覆われている。蓋2には上部網4が構成される。下部網3および上部網4はともに本体内のガス及び水分の流通を容易にする。本体側面には暴気手段となる暴気用穴5が構成されてもよい。本体1には攪拌手段が構成され、それはかくはん軸6及びかくはん羽根7により構成される。かくはん軸6をモーター等により回転させることにより、かくはん羽根7が回転し、本体内部の内容物がかくはんされる。かくはんは必要に応じて行えばよく、かくはん時間かくはん速度は任意である。かくはん羽根7の形状・枚数及び位置は任意に変更することが可能である。また、本体1全体を保温・冷却する手段を設けることによって本体内部の温度を調節することができる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に記載する方法やスケ−ルに何等限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
第1表[表1]に示した各担体20gを充分量の水に浸潤させた後、濾紙上にその担体を乗せ、担体中に保水されていない余分の水を濾過し取り除いた。濾紙上の保水した担体の重量を測定し、該測定値から担体重量を差し引いた値(保水重量)を求め、担体の最大保水率を算出した。結果を第1表[表1]に示した。また、第1表[表1]に示した各担体の見かけ比重及び真比重を測定し、それらをもとに計算式1[式1]より固相における空隙率を算出した。結果を第1表[表1]に示した。
【0026】
第1表[表1]に示した各担体を100mLビーカーに50cm3ずつ入れ、さらに第2表[表2]に示した組成の培地を担体の最大保水率の50重量%量加え、120℃、30分蒸気滅菌した。滅菌後37℃に冷やし、第2表[表2]に示した組成の培地中で一晩培養したBacillus subtilis MT-10658の培養液1mL(約108cells/mL)を接種した。分子量約10万のポリL−乳酸1gから形成した1×2cmの大きさのプレスフィルムを70%アルコールにて殺菌し、担体中に挿入し、37℃に保った。プレスフィルムの分解状態を経時的に観察し、第1表[表1]に結果を示した。比較のために、担体として最大保水率1000重量%、空隙率20%の粘質土壌を使用した場合や、担体として最大保水率30重量%、空隙率60%のウレタンペレットを使用した場合、また担体として最大保水率20重量%、空隙率35%のガラスビ−ズを使用した場合、さらに担体を使用せず第2表[表2]に示した液体培地中に微生物を増殖させプレスフィルムを投入した場合の分解状態も、それぞれ第1表[表1]に示した。
尚、表中、分解とはプレスフィルムの分解状態を目視で観察した場合、プレスフィルムが確認できなくなったこと(消失したこと)を示し、以後同様の判定基準を用いた。
【0027】
実験の結果、最大保水率が40重量%(g(水)/g(乾燥担体))以上4,000重量%(g(水)/g(乾燥担体))以下、かつ空隙率が25%以上100%未満である固相を用いた場合はプレスフィルムは何れも分解したが、そうでない担体或いは固相を用いた場合プレスフィルムには何の変化も起こらなかった。このことからポリマーの分解にとって本発明の方法が有効であることが示される。
【0028】
尚、大鋸屑、籾殻、実験に先立って自ら調製したもの、ふすまは精選麦皮(高橋製粉株式会社製)、発泡セルロースはファイバーム(酒伊エンジニアリング株式会社製)、発泡ウレタンはウレタンフォーム(ブリジストン社製)、発泡ポリビニールアルコールはベルイーターA(カネボウ株式会社製)、不織布は不織布PLP(日本バイリーン社製)、モレキュラーシーブはモレキュラーシーブ3A(和光純薬社製)、バーミキュライトはバーミキュライトゴールド(サカタのタネ株式会社製)、パーライトはパーライトM−1(粒径:1.5〜3.0)(サカタのタネ株式会社製)、ステンレス鋼繊維はナスロン(日本精線社製)、粘質土壌は千葉県茂原市から採取したもの、ウレタンペレットは三井東圧化学株式会社製、ガラスビーズはガラスビーズ(平均粒径:2mm)(井内盛栄堂製)をそれぞれ使用した。
【0029】
【表1】
第1表
【0030】
【表2】
【0031】
〔実施例2〕
第2表[表2]に示した組成の培地中で第3表−1[表3]〜第3表−3[表5]に示した単一系微生物、大腸菌(Escherichia coliHB101)やPseudomonas fluorescens ATCC 13525、枯草菌(Bacillus subtilis MT-10658)、および混合系微生物として、標準活性汚泥(化学品検査協会)や土壌抽出菌(千葉県茂原市の土壌より採取)を一晩培養した。また、第3表−1[表3]〜第3表−3[表5]に示した各担体を100mLビーカーに50cm3入れ、さらに第2表[表2]に示した組成の培地を担体の最大保水率の50重量%量加え、120℃で30分間蒸気滅菌し、その後37℃に冷やした。そこへ、前記培養液1mL(約108cells/mL)を接種し、次いで70%アルコールにて殺菌した分子量約10万のポリL−乳酸プレスフィルムを担体中に挿入して37℃に保った。プレスフィルムの分解状態を経時的に観察し、第3表−1[表3]〜第3表−3[表5]に結果を示した。比較として、各担体に微生物を接種しない場合、担体として粘質土壌を使用した場合、担体を使用せず第2表[表2]に示したブイヨン培地中に微生物を増殖させフィルムを投入した場合の分解状態も第3表−1[表3]〜第3表−3[表5]に示した。 実験の結果、種々の細菌及び混合微生物でプレスフィルムは分解したが、担体として最大保水率が40重量%(g(水)/g(乾燥担体))以上4,000重量%(g(水)/g(乾燥担体))以下、かつ空隙率が25%以上100%未満である固相を用いなかった場合は分解は起こらなかった。
【0032】
【表3】
第3表−1
【0033】
【表4】
第3表−2
【0034】
【表5】
第3表−3
【0035】
〔実施例3〕
第2表[表2]に示した組成の培地中で第4表−1[表6]〜第4表−2[表7]に示した単一系微生物であるBacillus subtilisMT-10658を一晩培養した。また、第4表−1[表6]〜第4表−2[表7]に示した各担体を100mLビーカーに50cm3入れ、さらに第2表[表2]に示した組成の培地を担体の最大保水率の50重量%量加え、120℃で30分間蒸気滅菌し、その後37℃に冷やした。そこへ、前記培養液1mL(約108cell/mL)を接種し、次いで70%アルコールにて殺菌した分子量約10万のポリL−乳酸とポリブチレンサクシネ−トのコポリマ−ならびにポリブチレンサクシネ−トホモポリマ−のプレスフィルム(1×2cm)をそれぞれ担体中に挿入して37℃に保った。これら2種のプレスフィルムの分解状態を経時的に観察し、それぞれの結果を第4表−1[表6]ならびに第4表−2[表7]に示した。比較として、各担体に微生物を接種しない場合、担体として粘質土壌を使用した場合、担体を使用せず第2表[表2]に示す液体栄養成分中に微生物を増殖させフィルムを投入した場合の分解状態も第4表−1[表6]〜第4表−2[表7]に示した。実験の結果、ポリL−乳酸とポリブチレンサクシネ−トのコポリマ−ならびにポリブチレンサクシネ−トホモポリマ−のプレスフィルムは分解したが、担体として最大保水率が40重量%(g(水)/g(乾燥担体))以上4,000重量%以下、かつ空隙率が25%以上100%未満である固相を用いなかった場合は分解は起こらなかった。
【0036】
【表6】
第4表−1
【0037】
【表7】
第4表−2
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、使用時には高い強度を有したポリマー、特に乳酸、グリコール酸または乳酸とグリコール酸とからなるポリマーを、速やかに確実に分解することができる。また、本発明の方法でポリマーを速やかに分解できるポリマーの分解処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマーの分解用装置を表す側面図である。
【図2】本発明のポリマーの分解用装置を表す正面図である。
【符号の説明】
1:本体
2:ふた
3:下部網
4:上部網
5:曝気用穴
6:かくはん軸
7:かくはん羽根
8:担体
9:ポリマー
Claims (8)
- 担体に、微生物、該微生物の生育に必要な栄養成分及び水分を含有する水溶液を加えてなる固相とポリマーとを接触させることによるポリマーの分解方法であって、
該ポリマーがヒドロキシカルボン酸のホモポリマーもしくはコポリマー、または脂肪族ジカルボン酸とグリコールよりなるポリエステルであり、
該担体の最大保水率が40重量%以上4,000重量%以下であり、
該固相中、該水溶液が担体の最大保水率の10%以上100%以下担体に保持され、該固相の空隙率が25%以上100%未満であることを特徴とするポリマーの分解方法。 - ポリマーがヒドロキシカルボン酸のホモポリマー又はコポリマーであることを特徴とする請求項1記載のポリマーの分解方法。
- ポリマーが脂肪族ジカルボン酸とグリコールよりなるポリエステルである請求項1記載のポリマーの分解方法。
- 担体が有機高分子あるいは無機物である請求項1〜3の何れか1項に記載のポリマーの分解方法。
- 無機物がモレキュラーシーブ、バーミキュライト、パーライト或いはステンレス鋼繊維である請求項4記載のポリマーの分解方法。
- 微生物がPseudomonas 属細菌、Escherichia 属細菌、Bacillus 属細菌より成る群から少なくとも1つ選ばれる細菌である請求項1〜3の何れか1項に記載のポリマーの分解方法。
- 微生物がBacillus subtilisFERM BP-5341である請求項6記載のポリマーの分解方法。
- 担体に、微生物、該微生物の生育に必要な栄養成分及び水分を含有する水溶液を加えてなる固相とポリマーとを接触させることによるポリマーの分解用の装置であって、
該ポリマーがヒドロキシカルボン酸のホモポリマーもしくはコポリマー、または脂肪族ジカルボン酸とグリコールよりなるポリエステルであり、
該担体の最大保水率が40重量%以上4,000重量%以下であり、
該固相中、該水溶液が担体の最大保水率の10%以上100%以下担体に保持され、
該固相の空隙率が25%以上100%未満であることを特徴とするポリマーの分解用装置。
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