JP4251881B2 - 液状過塩基性金属錯体及び該金属錯体の製造方法 - Google Patents

液状過塩基性金属錯体及び該金属錯体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状過塩基性金属錯体及びその製造方法に関し、詳しくは、長鎖一価カルボン酸と3級一価カルボン酸とを組合せてなるバリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体であって、特に塩素含有樹脂用の安定剤として有用な液状過塩基性金属錯体、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂等の塩素含有樹脂は、安価であり、可塑剤を使用することで容易に硬さを調整することができるため、農業用のシートから、窓枠等の建材用途まで種々の用途に使用することができる。
【0003】
しかし、塩素含有樹脂は、光や熱に対する安定性に難があり、加熱成型加工時あるいは製品の使用時に、主として脱ハロゲン化水素に起因する分解を起こしやすいことが知られている。このため、有機酸の金属塩、有機錫化合物、有機ホスファイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の種々の安定剤を配合して塩化ビニル系樹脂等の塩素含有樹脂の安定性を改善しようとする試みがなされている。
【0004】
これらの安定剤の中でも、有機酸の金属塩、有機錫化合物等の有機金属系の安定剤が主安定剤として使用されている。これらの中でも、鉛系、カドミニウム系、有機錫系等の安定剤は、安定化効果が優れている。しかし、近年、毒性の問題から、これらの使用を制限する動きがある。これらに代えて使用されるバリウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩は、一般的に前者と比較して安定化効果が不十分である。
【0005】
しかし、これらアルカリ土類金属の有機酸塩の中でも、アルカリ土類金属の過塩基性錯体は、高い金属含有量を有すること等から優れた安定化効果を示し、特異的な存在として知られている。
【0006】
ところが、これらのアルカリ土類金属の過塩基性錯体は、その製造の際の反応促進剤として使用されるノニルフェノール等のフェノール類が残存することで、保存下に着色を生じたり、塩素含有樹脂に配合した際にも特に熱履歴時の着色を生じやすい等の欠点を有している。これを解決するために、下記特許文献1及び2等には、遊離の酸素の不存在下にてアルカリ土類金属の過塩基性錯体の遊離のフェノール性水酸基を処理するためにエポキシドを使用することが提案されている。
【0007】
しかし、このような処理を施した場合でも、完全にフェノール性の水酸基を除くことは困難であるため、着色を完全に抑制することは困難であった。特にノニルフェノール等のアルキルフェノールは、エストロゲン活性を有するおそれのある化合物として、その使用が制限される傾向にあるものである。
【0008】
一方で、フェノール類を使用することなくアルカリ土類金属とりわけバリウムの液状過塩基性金属錯体は得られていなかった。
【0009】
従って、本発明の目的は、保存時に着色せず、特に塩素含有樹脂用の安定剤として優れた効果を示すバリウムの液状過塩基性錯体、及びその製造方法を提供することである。
【0010】
【特許文献1】
特表昭63−502753号公報
【特許文献2】
特開平9−286874号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、バリウム塩基に対して、直鎖一価カルボン酸と3級一価カルボン酸とを組合せて反応させることによって、フェノール類を使用することなく、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
即ち、本発明は、バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体であって、該カルボキシレートが、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の下記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、モル比(前者/後者)で2/1〜10/1となるように含有する混合塩となっており、沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1で混合した混合溶媒によって希釈されていることを特徴とする液状過塩基性金属錯体を提供するものである。
【0013】
【化3】
Figure 0004251881
【0014】
また、本発明は、下記(A)及び(B)工程を包含することを特徴とする上記液状過塩基性金属錯体の製造方法を提供するものである。
(A)工程;(a)少なくとも一種のバリウム塩基、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の上記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、上記(b)成分と上記(c)成分とがモル比(前者/後者)で2/1〜10/1となり且つ塩基過剰となるように使用し、且つ(a)、(b)及び(c)成分の総量100質量部に対して、希釈剤として沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1で混合した混合溶媒を50〜2000質量部使用して混合物を調製する工程。
(B)工程;上記(A)工程で調製された混合物の塩基性度が実質的に減じられるまで、炭酸ガスにより該混合物を処理する工程。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液状過塩基性金属錯体及びその製造方法の好ましい実施形態について詳述する。
【0016】
本発明の液状過塩基性金属錯体とは、バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体であり、この錯体は、バリウムとカルボン酸正塩と炭酸バリウムとの単純な混合物とは異なり、これらが何等かのインタラクションにより錯体となっているものであり、高い金属含有量を有しながら、有機溶媒中で均一な液状を示すという特徴を有している。この錯体は、バリウムのカルボン酸正塩、炭酸バリウム、及びバリウムのカルボン酸と炭酸との複合塩を構成成分として構成されており、炭酸バリウムを中心にバリウムのカルボン酸正塩及びバリウムのカルボン酸と炭酸との複合塩がその周辺に存在し、言わばミセルのようなものが形成されることによって、有機溶媒中で均一な液状を示すものである。
【0017】
本発明の液状過塩基性金属錯体は、このような錯体を形成しているが故に、単なる混合物では到達できないような優れた安定化効果を奏するものである。
【0018】
本発明の液状過塩基性金属錯体は、バリウムのカルボキシレート/カーボネート錯体のカルボキシレートが、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の下記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、モル比(前者/後者)で2/1〜10/1となるように含有する混合塩となっていることを特徴とするものであり、好ましくは、以下に示すような本発明の製造方法によって製造されるものである。
【0019】
即ち、下記(A)及び(B)工程を包含することを特徴とする液状過塩基性金属錯体の製造方法である。
(A)工程;(a)少なくとも一種のバリウム塩基、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の上記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、上記(b)成分と上記(c)成分とがモル比(前者/後者)で2/1〜10/1となり且つ塩基過剰となるように混合して混合物を調製する工程。
(B)工程;上記(A)工程で調製された混合物の塩基性度が実質的に減じられるまで、炭酸ガスにより該混合物を処理する工程。
【0020】
本発明の製造方法における(A)工程で使用される(a)成分であるバリウム塩基としては、バリウムの酸化物、水酸化物、スルフィド、ヒドロスルフィド等が挙げられるが、好ましくは、バリウムの酸化物又は水酸化物であり、これらは無水塩であっても含水塩であってもよい。
【0021】
また、上記(A)工程で使用されて、本発明の液状過塩基性金属錯体中のカルボキシレートを構成する(b)成分は、少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸であり、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オクチル酸等の飽和又は不飽和の直鎖脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数12〜20の直鎖一価カルボン酸が好ましく、炭素原子数12〜20の不飽和の直鎖一価カルボン酸がさらに好ましい。
【0022】
また、上記(A)工程で使用されて、本発明の液状過塩基性金属錯体中のカルボキシレートを構成する(c)成分は、少なくとも一種の上記式(I)で表される3級一価カルボン酸であり、式(I)中、R1、R2及びR3で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の基が挙げられる。上記3級一価カルボン酸としては、例えば、ピバリン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2,2−ジメチルノナン酸、2−エチル−2−メチルブタン酸、2−エチル−2−メチルヘプタン酸等の分岐カルボン酸、及びこれらを主成分とする市販品のネオペンタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオ酸910〔以上、エクソン化学(株)製〕;バーサティック10、バーサティック911H〔以上、シェル化学(株)製〕等が挙げられる。上記分岐カルボン酸の中でも、炭素原子数8〜18の分岐カルボン酸が好ましく、上記市販品の中ではバーサティック10が好ましい。
【0023】
ここで、上記(b)成分である直鎖一価カルボン酸と上記(c)成分である3級一価カルボン酸との比率(直鎖一価カルボン酸/3級一価カルボン酸)は、モル比で2/1〜10/1であり、3/1〜7/1であるのが特に好ましい。該モル比が2/1未満では、ゲル化を生じ、10/1より大きい場合には、沈殿を生じて反応が進行しないため好ましくない。
【0024】
また、上記(a)成分であるバリウム塩基(塩基成分)は、上記(b)及び(c)成分である一価カルボン酸(酸成分)の総量に対して過剰に使用されるが、該酸成分1当量に対して、該塩基成分が好ましくは1.5〜10当量、より好ましくは2〜8当量となるように使用される。ここで、該塩基成分の使用量が1.5当量未満であれば、当然得られる過塩基性錯体の金属含有量は少なくなり、10当量より多いと、炭酸塩がフリーの状態となって析出して均一な液状物が得られない恐れがあるため好ましくない。
【0025】
上記(A)工程は、上記(a)、(b)及び(c)成分を、塩基過剰となるように使用して混合物を調製する工程であるが、該(A)工程において、希釈剤を使用する。
【0026】
釈剤としては、沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1、特に1.2/1〜3.5/1で混合した混合溶媒を使用することによって、沈殿を生じることなく効率的に反応を進行させることができる。
【0027】
上記の沸点150℃以上の炭化水素系溶媒としては、例えば、EXXSOL D40(エクソン社)、EXXSOL D80(エクソン社)、EXXSOL D110(エクソン社)、各種の流動パラフィン、各種のプロセスオイル等が挙げられる。これらの中でも、EXXSOL D80が好ましい。上記炭化水素系溶媒の沸点は、好ましくは200℃以上である。
【0028】
また、上記炭素原子数8〜20の一価アルコールとしては、例えば、オクタノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール等あるいはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数10〜18の一価アルコールが好ましい。
【0029】
これらの希釈剤の使用量は、特に制限されるものではないが、反応を効率的に行うためには、(a)〜(c)成分の総量100質量部に対して、50〜2000質量部、特に50〜500質量部の範囲で使用されることが好ましい。
【0030】
また、上記(A)工程は、バリウムのカルボキシレートを形成する反応をも包含するものであり、この反応は通常の加熱反応を含む脱水反応により行なわれる。この反応は、通常50〜200℃で行われる。
【0031】
本発明の製造方法における(B)工程において行われる炭酸ガスによる処理は、通常、窒素雰囲気下にて室温から300℃以下の任意の温度に加熱して、混合物内に流速10〜500ml/分程度で直接徐々に炭酸ガスを吹き込みながら、2〜10時間行なわれる。この際、特に反応温度80℃以上とすることが好ましく、80℃未満の反応温度では反応速度が遅く実用的でない。炭酸ガスは、残存するバリウム塩基を中和し得る量以上、好ましくは1.1〜1.5当量となる量で使用される。
【0032】
ここで、上記炭酸ガスの使用量は、過剰な塩基と反応しうる理論量以上であればよい。また、(B)工程において、「塩基性度が実質的に減じられる」ためには、強塩基である水酸化バリウム等を弱酸性の炭酸で実質的に中和すればよい。
【0033】
炭酸ガスによる処理が終了した後に系内に残存する水分を減圧留去することもできる。通常、80〜150℃、100トール以下で、数分〜数時間行うことで、不要な水分を除去することができる。
【0034】
上述した(A)工程及び(B)工程を包含する本発明の製造方法により、希釈剤で希釈されている液状過塩基性金属錯体が得られる。特に、沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1、好ましくは1.2/1〜3.5/1で混合した混合溶媒によって希釈されている本発明の液状過塩基性金属錯体は、保存安定性が優れている。また、希釈倍率は、1.2〜5倍が好ましい。
【0035】
本発明の液状過塩基性金属錯体は、特に塩素含有樹脂用の安定剤として好適に使用することができ、そのような塩素含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩素含有樹脂、及びこれら相互のブレンド品、あるいはこれらの塩素含有樹脂と、他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル等との、ブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等をあげることができる。
上記塩素含有樹脂への本発明の液状過塩基性金属錯体の添加量は、塩素含有樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部が好ましい。
【0036】
本発明の液状過塩基性金属錯体を塩素含有樹脂用安定剤として塩素含有樹脂に添加して塩素含有樹脂組成物を作成する場合、通常用いられる各種添加剤を併用することができる。該添加剤としては、例えば、金属カルボキシレート、金属フェノレート、金属ホスフェート、有機錫化合物等の金属系安定剤、更にハイドロタルサイト化合物、ゼオライト化合物、有機ホスファイト化合物、β−ジケトン化合物、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、ポリオール類、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過塩素酸塩類、その他無機金属化合物、その他安定化助剤を併用することができる。
【0037】
その他必要に応じて、上記塩素含有樹脂組成物には、例えば、可塑剤、充填剤、発泡剤、架橋剤、顔料、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、光劣化剤、非金属安定剤、加工助剤、離型剤等を包含させることができる。
【0038】
本発明の液状過塩基性金属錯体は、塩素含有樹脂用安定剤以外に、潤滑剤等の用途に用いることができる。
【0039】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
【0040】
〔実施例1〕
<(A)工程>
EXXSOL D−80〔エクソン化学(株)製炭化水素系溶剤〕115g、カルコール1098(花王(株)製C10アルコール)10g、カルコール2098(花王(株)製C12アルコール)25g、カルコール4098(花王(株)製C14アルコール)25g、カルコール6098(花王(株)製C16アルコール)10g、オレイン酸50.8g(0.18モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)12g(0.07モル)を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら昇温し、60℃で水酸化バリウム8水塩315g(1モル)を仕込んでさらに昇温した。105℃程度から水が留出するため、これを留去しながら150℃まで昇温し、この温度で15分間さらに反応をすすめた。
【0041】
<(B)工程>
引き続き、150〜155℃にて82ml/分のスピードで炭酸ガスを5時間吹き込んだ。吹き込み終了後160℃まで昇温して30分保持し、その後130℃まで冷却して減圧し、130℃、30トールで30分保持した。
【0042】
その後、窒素ブレークして、取り出してセライトろ過を行って、淡黄色液状のバリウムの過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体(粘度210mPa・s、バリウム含有量32.0重量%)を得た。
【0043】
〔実施例2〕
<(A)工程>
オレイン酸50.8g(0.18モル)を大豆油脂肪酸(酸価196)51.5g(0.18モル)に代えた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0044】
<(B)工程>
実施例1と同様に行ない、淡黄色液状のバリウムの過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体(粘度190mPa・s、バリウム含有量34.0重量%)を得た。
【0045】
〔比較例1〕
<(A)工程>
EXXSOL D−110〔エクソン化学(株)製炭化水素系溶剤〕100g、ノニルフェノール11.0g(0.05モル)及び2−エチルヘキサノール5.5gを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温し、無水水酸化バリウム171.3g(1モル)を仕込み、さらに150℃まで昇温し、最終的に減圧して脱水反応を完了させた。その後、窒素により減圧をブレークし、オレイン酸51.5g(0.18モル)を150℃で30分かけて滴下し、さらに最終的に減圧下で脱水反応を完了させた。
【0046】
<(B)工程>
引き続き、150〜155℃にて82ml/分のスピードで炭酸ガスを5時間吹き込んだ。吹き込み終了後160℃まで昇温して30分保持し、その後130℃まで冷却して減圧し、130℃、30トールで30分保持した。
【0047】
その後、窒素ブレークして、取り出してセライトろ過を行なって、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体(バリウム含有量35.8重量%、ノニルフェノール残量3.1重量%)を得た。
【0048】
〔比較例2〕
(A)工程及び(B)工程は比較例1と同様に行なった。
【0049】
<(C)工程>
その後、窒素置換して130℃まで冷却してエポキシ化大豆油(エポキシ当量230)50gを仕込み、130℃で1時間処理した。これを100〜120℃でセライトろ過を行なって、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体(バリウム含有量32.1重量%、ノニルフェノール残量0.3重量%(ガスクロマト法))を得た。
【0050】
〔比較例3〕
(C)工程におけるエポキシ化大豆油をプロピレンオキシド(エポキシ当量58)12gに代えた以外は、比較例2と同様に処理を行なって、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体(バリウム含有量32.2重量%、ノニルフェノール残量0.4重量%(ガスクロマト法))を得た。
【0051】
〔比較例4〕
<(A)工程>
オレイン酸50.8g(0.18モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)12g(0.07モル)を、オレイン酸70.5g(0.25モル)に代えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
【0052】
<(B)工程>
引き続き、150〜155℃にて82ml/分のスピードで炭酸ガスを15時間まで吹き込んだが、反応はほとんど進行せずに、水酸化バリウムの沈殿が残った。
【0053】
〔比較例5〕
<(A)工程>
オレイン酸50.8g(0.18モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)12g(0.07モル)を、オレイン酸67.7g(0.24モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)1.7g(0.01モル)に代えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
【0054】
<(B)工程>
引き続き、150〜155℃にて82ml/分のスピードで炭酸ガスを15時間まで吹き込んだが、反応はほとんど進行せずに、水酸化バリウムの沈殿が残った。
【0055】
〔比較例6〕
<(A)工程>
オレイン酸50.8g(0.18モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)12g(0.07モル)を、オレイン酸28.2g(0.1モル)及びバーサティック10(シェル化学(株)製C10−3級カルボン酸)25.8g(0.15モル)に代えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
【0056】
<(B)工程>
引き続き、150〜155℃にて82ml/分のスピードで炭酸ガスを吹き込んだが、間もなくゲル化を生じ、攪拌が不能となった。
【0057】
実施例1〜2及び比較例1〜3で得られたバリウムの過塩基性錯体の着色をガードナー法により調べた。また、これらのバリウムの過塩基性錯体を100ccのビーカーに入れ、80℃ギヤーオーブン中で1週間放置した後、同様に着色を調べた。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004251881
【0059】
本発明の製造方法により得られたバリウムの液状過塩基性錯体の塩素含有樹脂用安定剤としての性能を確認するため、使用例として次の試験を行なった。
【0060】
〔使用例〕
下記(配合)による配合物により、180℃で1mmのロール上げシートを作成し、190℃のギヤーオーブンに入れ、黒化時間を求めた。また、180℃、5分のプレスシートと、180℃、30分のプレスシートを作成し、ハンター比色計で黄色度を測定し、その色差を求めた。さらに、185℃、20rpm、0.4mmのカレンダーロールを用いてミルテストを行ない、10分、20分及び30分に2mmレバージョでサンプリングしてその着色を目視により評価した。評価基準は1〜10の10段階で表し、下記の如く数値の大きいものほど着色が大きいことを示す。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0061】
【外1】
Figure 0004251881
【0062】
〔配合〕 重量部
塩化ビニル樹脂(重合度800) 100
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 15
エポキシ化大豆油 3
ステアリン酸亜鉛 0.5
ステアリン酸バリウム 1.0
モノフェニルジトリデシルホスファイト 1.2
ステアロイルベンゾイルメタン 0.3
バリウムの過塩基性錯体(下記〔表2〕参照) 0.5
【0063】
【表2】
Figure 0004251881
【0064】
以上の結果より、次のことが明らかである。バリウムの過塩基性錯体を得る方法に関して、ノニルフェノールを使用し、残存するフェノール性水酸基を処理しない場合には、塩素含有樹脂用の安定剤として使用したときにも特に熱着色を与える欠点を有する(比較例1)。また、このフェノール性水酸基をエポキシ化合物を使用して処理した場合においても、ノニルフェノールを完全に除去することはできない(比較例2、3)。さらに、直鎖一価カルボン酸を単独で用いた場合あるいは3級一価カルボン酸を少量のみ組合せた場合には、フェノール類を使用しない場合には水酸化バリウムと炭酸ガスとの反応が進行しないため、バリウムの過塩基性錯体を得ることができない(比較例4、5)。一方、直鎖一価カルボン酸に対し、多量の3級一価カルボン酸を組合せた場合には、フェノール類を使用しない場合には水酸化バリウムと炭酸ガスとの反応時にゲル化が進み、バリウムの過塩基性錯体を得ることができない(比較例6)。
【0065】
これに対し、直鎖一価カルボン酸と3級一価カルボン酸とを特定のモル比で組合せて用いることによって、フェノール類を使用することなく、バリウムの過塩基性錯体を得ることができる(実施例1、2)。このバリウムの過塩基性錯体は、塩素含有樹脂用の安定剤として使用したときの熱着色の抑制効果に優れたものである。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、保存時に着色せず、特に塩素含有樹脂の安定剤として好適に使用することのできるバリウムの過塩基性錯体を提供することができる。

Claims (3)

  1. バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体であって、該カルボキシレートが、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の下記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、モル比(前者/後者)で2/1〜10/1となるように含有する混合塩となっており、沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1で混合した混合溶媒によって希釈されていることを特徴とする液状過塩基性金属錯体。
    Figure 0004251881
  2. 下記(A)及び(B)工程を包含することを特徴とする請求項1記載の液状過塩基性金属錯体の製造方法。
    (A)工程;(a)少なくとも一種のバリウム塩基、(b)少なくとも一種の炭素原子数8〜30の直鎖一価カルボン酸及び(c)少なくとも一種の下記式(I)で表される3級一価カルボン酸を、上記(b)成分と上記(c)成分とがモル比(前者/後者)で2/1〜10/1となり且つ塩基過剰となるように使用し、且つ(a)、(b)及び(c)成分の総量100質量部に対して、希釈剤として沸点150℃以上の炭化水素系溶媒と炭素原子数8〜20の一価アルコールとをモル比(前者/後者)1/1〜4/1で混合した混合溶媒を50〜2000質量部使用して混合物を調製する工程。
    (B)工程;上記(A)工程で調製された混合物の塩基性度が実質的に減じられるまで、炭酸ガスにより該混合物を処理する工程。
    Figure 0004251881
  3. 請求項記載の製造方法により製造された請求項記載の液状過塩基性金属錯体。
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