JP3897375B2 - アルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法に関し、詳しくは、多価エポキシ化合物で処理することを特徴とする、特に塩素含有樹脂用の安定剤として有用なアルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂などの塩素含有樹脂は、安価で可塑剤を使用することで容易に硬さを調整することができるため、農業用のシートから、窓枠などの建材用途まで種々の用途に使用することができる。
【0003】
しかし、塩素含有樹脂は光や熱に対する安定性に難があり、加熱成型加工時あるいは製品の使用時に、主として脱ハロゲン化水素に起因する分解を起こしやすいことが知られている。このため、有機酸の金属塩、有機錫化合物、有機ホスファイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの種々の安定剤を配合して塩化ビニル系樹脂の安定性を改善しようと試みられている。
【0004】
これらの安定剤の中でも有機酸の金属塩、有機錫化合物などの有機金属系の安定剤が主安定剤として使用されている。中でも鉛系、カドミニウム系、有機錫系などは安定化効果が優れている。しかし、近年、毒性の問題から、これらの使用を制限する動きがある。これに代えて使用されるバリウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩は、一般的に前者と比較して安定化効果が不十分である。
【0005】
これらのアルカリ土類金属の有機酸塩の中でもアルカリ土類金属の過塩基性錯体は、高い金属含有量を有することなどから優れた安定化効果を示し、特異的な存在として知られている。
【0006】
ところが、これらのアルカリ土類金属の過塩基性錯体は、その製造の際の反応促進剤として使用されるフェノール類が残存することで、保存下に着色を生じたり、塩素含有樹脂に配合した際にも特に熱履歴時の着色を生じやすいなどの欠点を有している。これを解決するために、特表昭63−502753号公報には、遊離の酸素の不存在下にてアルカリ土類金属の過塩基性錯体の遊離のフェノール性水酸基を処理するためにエポキシドを使用することが記載されている。しかし、ここで実際に使用されている低級のプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドあるいはここに具体的に記載されているエポキシ化合物を用いた場合には未だその改善効果は不十分なものであった。
【0007】
従って、本発明の目的は、保存時に着色せず、特に塩素含有樹脂用の安定剤として優れた効果を示すアルカリ土類金属の過塩基性錯体を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、塩基過剰のアルカリ土類金属の有機酸塩に炭酸ガスを供給して得られるアルカリ土類金属の過塩基性錯体の残存するフェノール性水酸基を特定の多価エポキシ化合物で処理することによって、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記(A)、(B)および(C)工程を包含することを特徴とするアルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法を提供するものである。
(A)工程; (a)少なくとも一種のアルカリ土類金属塩基、 (b)少なくとも一種のフェノール類および (c)少なくとも一種の一価カルボン酸を、塩基過剰となるように使用して混合物を調製する工程。
(B)工程;上記(A)工程で調製された混合物の塩基性度が実質的に減じられるまで、炭酸ガスにより該混合物を処理する工程。
(C)工程;上記(B)工程で処理された混合物中の遊離のフェノール類〔上記 (b)成分〕が有するフェノール性水酸基を、該フェノール性水酸基の水素原子を置換することの可能な量の少なくとも一種のエポキシ当量100〜500の多価エポキシ化合物にて処理する工程。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法について詳述する。
【0011】
本発明の製造方法により得られるアルカリ土類金属の過塩基性錯体とは、アルカリ土類金属のカルボキシレート(およびフェノレート)/カーボネート錯体のことであり、これはアルカリ土類金属とカルボン酸正塩とアルカリ土類金属炭酸塩との単純な混合物とは異なり、これらが何等かのインタラクションにより錯体となっているものであり、高いアルカリ土類金属含有量を有しながら、有機溶媒中で均一な液状を示すという特徴を有している。
【0012】
上記アルカリ土類金属の過塩基性錯体は、このような錯体を形成しているが故に、単なる混合物では到達できない優れた安定化効果を奏するものである。
【0013】
本発明の製造方法における(A)工程で使用される (a)成分であるアルカリ土類金属塩基としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、スルフィド、ヒドロスルフィドなどがあげられるが、好ましくは、金属種をカルシウムまたはバリウムとする酸化物または水酸化物である。
【0014】
また、上記(A)工程で使用される (b)成分であるフェノール類は、該(A)工程または以下の(B)および(C)工程における反応促進剤として働くものであり、例えば、フェノール;クレゾール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチル第三オクチルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、第三ブチルフェノール、n−ブチルフェノール、ジイソブチルフェノール、イソアミルフェノール、ジアミルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクチルフェノール、イソオクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、第三オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール等のアルキルフェノール類;ニトロフェノール、ピクリン酸、クロロフェノール、アミノフェノール等の官能基置換フェノール類などのフェノール類があげられ、さらには、ナフトール、オクチルナフトール、ドデシルナフトール等のナフトール類;アリザリン、キニザリン、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン類などでもよい。また、ここで使用される上記フェノール類は一部金属フェノレートを形成して最終製品の残存する場合があり、特に金属フェノレートが残存した場合にも悪影響の小さいアルキルフェノール類を使用することが好ましい。
【0015】
また、上記(A)工程で使用される (c)成分である一価カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪族カルボン酸;安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸等の芳香族カルボン酸などがあげられる。
【0016】
ここで、上記 (c)成分である一価カルボン酸の使用量と上記 (b)成分であるフェノール類の使用量との比率(一価カルボン酸の使用量/フェノール類の使用量)は、当量比で0.5/1〜20/1であるのが好ましく、1/1〜10/1であるのが更に好ましい。該比率が0.5/1未満では、塩素含有樹脂用の安定剤として満足できる性能が得られないおそれがあり、20/1より大きい場合には、以下の(B)および(C)工程における反応性の低下を引き起こしたり、均一な液状物が得られないおそれがあるため好ましくない。
【0017】
また、上記 (a)成分であるアルカリ土類金属塩基(塩基成分)は、上記 (c)成分である一価カルボン酸および上記 (b)成分であるフェノール類(酸成分)の総量に対して過剰に使用されるが、好ましくは該酸成分1当量に対して、該塩基成分が好ましくは1.5〜10当量、より好ましくは2〜8当量となるように使用される。ここで、該塩基成分の使用量が1.5当量未満であれば、当然得られる過塩基性錯体の金属含有量は少なくなり、10当量より多いと、炭酸塩がフリーの状態となって析出して均一な液状物が得られない恐れがあるため好ましくない。
【0018】
上記(A)工程は、上記 (a)、 (b)および (c)成分を、塩基過剰となるように使用して混合物を調製する工程であるが、上記 (b)成分であるフェノール類と共に、反応促進剤として、アルコール類を使用することもできる。
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、トリデカノール、ドデカノール、トリデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノールなどの直鎖または分岐のアルコール、また、これらのアルコール類は、その鎖中に不飽和結合、(チオ)エーテル結合または(チオ)エステル結合を有することができ、さらにニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等の置換基を有するものでもよい。
【0019】
上記アルコール類は希釈剤ともなるのでその使用量は特に限定されるものではないが、通常は上記 (c)成分である一価カルボン酸に対して20倍当量以下で使用されることが好ましく、これを超えて使用しても反応促進効果は小さく、むしろ反応濃度を低下させて反応を阻害するおそれもあるため好ましくない。ここで、上記アルコール類は反応促進剤として働くものであるが、単独での効果は小さいものであるため完全にフェノール類をこれで置き換えることはできない。
【0020】
さらに、上記(A)工程において上記混合物を調製するに際し、天然または合成の各種の希釈剤を使用することができ、該希釈剤としては、例えば、脂肪族、脂環族あるいは芳香族系の炭化水素、エステル類、エーテル類などがあげられる。これらの希釈剤は、必要に応じて以下の(B)および(C)工程において除去または追加することもできる。
【0021】
上記希釈剤の使用量は任意であるが、上記酸成分および上記塩基成分の総量100重量部に対し、1000重量部を超えない範囲で使用されることが好ましく、これを越えて使用した場合にはむしろ反応濃度を低下することで反応を阻害するおそれがあるため好ましくない。
【0022】
また、上記(A)工程は、アルカリ土類金属のカルボキシレートを形成する反応をも包含するものであり、この反応は通常の加熱および減圧反応を含む脱水反応により行なわれる。
【0023】
本発明の製造方法における(B)工程において行われる炭酸ガスによる処理は、通常、窒素雰囲気下にて室温から300℃以下の任意の温度に加熱して、混合物内に直接徐々に吹き込みながら行なわれる。この際、特に反応温度80℃以上とすることが好ましく、80℃未満の反応温度では反応速度が遅く実用的でない。
【0024】
ここで、上記炭酸ガスの使用量は、過剰な塩基と反応しうる理論量以上であればよい。
【0025】
本発明の製造方法における(C)工程で使用される多価エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルソクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノ−ルA)、イソプロピリデンビス(オルソクレゾール)、テトラブロムビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、レゾルシンノボラックなどの多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油等のエポキシ化天然油などがあげられる。これらの中でも、特にエポキシ化植物油あるいは下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物は、特に製品に残存した場合においても安定剤としての効果に悪影響を与えるおそれが小さいために好ましい。
【0026】
【化2】
【0027】
また、上記多価エポキシ化合物は、エポキシ当量が100〜500、好ましくは150〜400である。この範囲に属さないものを使用した場合には、反応性や製品の諸性能に悪影響を与えるおそれがある。
【0028】
上記多価エポキシ化合物は、上記(B)工程で処理した混合物中に遊離の上記 (b)成分であるフェノール類のフェノール性水酸基の水素原子を置換しうるに足る当量以上使用されればよいが、実際には反応性の問題から1.5〜10倍当量使用される好ましい。ここで、該多価エポキシ化合物を10倍当量より多く使用した場合には、反応時に重合物などの副反応物を生じ、沈澱を生じたり、塩素含有樹脂用の安定剤として使用した場合に相溶性が低下するなどの欠点を生じるおそれがある。
【0029】
上記(C)工程は、室温から300℃以下の任意の温度で行なうことができるが、特に70〜200℃の範囲で行なわれることが好ましい。70℃未満では反応速度が小さく実用上好ましくない。また、200℃を越えた場合にはエポキシ化合物が重合するなどの副反応を起こすおそれがあるため好ましくない。
【0030】
本発明の製造方法により得られたアルカリ土類金属の過塩基性錯体は、特に塩素含有樹脂用の安定剤として好適に使用することができ、そのような塩素含有樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩素含有樹脂、およびこれら相互のブレンド品、あるいはこれらの塩と、他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などをあげることができる。
【0031】
本発明の製造方法により得られたアルカリ土類金属の過塩基性錯体を塩素含有樹脂用安定剤として使用する場合においては、通常用いられる各種添加剤を併用して塩素含有樹脂組成物とすることができ、例えば、金属カルボキシレート、金属フェノレート、金属ホスフェート、有機錫化合物などの金属系安定剤、更にハイドロタルサイト化合物、ゼオライト化合物、有機ホスファイト化合物、β−ジケトン化合物、フェノール系または硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、ポリオール類、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過塩素酸塩類、その他無機金属化合物、その他安定化助剤を併用することができる。
【0032】
その他必要に応じて、上記塩素含有樹脂組成物には、例えば、可塑剤、充填剤、発泡剤、架橋剤、顔料、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、光劣化剤、非金属安定剤、加工助剤、離型剤などを包含させることができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、次にあげられた実施例によって限定されるものではない。
【0034】
〔実施例1〕
<(A)工程>
EXXSOL D−110〔エクソン化学(株)製炭化水素系溶剤〕96.3g、ノニルフェノール11.0gおよび2−エチルヘキサノール5.5gを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温し、無水水酸化バリウム171.3gを仕込み、さらに150℃まで昇温し、最終的に減圧して脱水反応を完了させる。その後窒素により減圧をブレークし、オレイン酸51.5gを150℃で30分かけて滴下し、さらに最終的に減圧下で脱水反応を完了させた。
【0035】
<(B)工程>
再度系内を窒素置換し、ディップパイプから炭酸ガス40.0gを2時間かけて吹き込んだ。その後減圧し、150℃、5mmHgで30分保持した。
【0036】
<(C)工程>
窒素置換して130℃まで冷却してエポキシ化大豆油(エポキシ当量230)48gを仕込み、130℃で1時間処理した。これを100〜120℃でセライトろ過を行ない、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体〔バリウム含有量32.1重量%、ノニルフェノール残量0.3重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0037】
〔実施例2〕
<(A)工程>
実施例1において、ノニルフェノールを22g使用し、オレイン酸51.5gをオクチル酸11.9gに代えて行なった。
【0038】
<(B)工程>
実施例1と同様に行なった。
【0039】
<(C)工程>
実施例1と同様に行ない、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体〔バリウム含有量36.0重量%、ノニルフェノール残量0.4重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0040】
〔実施例3〕
<(A)工程>
実施例1において、無水水酸化バリウム171.3gに代えて無水水酸化カルシウム74.0gに代えて行なった。
【0041】
<(B)工程>
実施例1と同様に行なった。
【0042】
<(C)工程>
実施例1と同様に行ない、淡黄色液状のカルシウム過塩基性錯体〔カルシウム含有量13.3重量%、ノニルフェノール残量0.3重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0043】
〔実施例4〕
<(A)工程>
実施例1と同様に行なった。
【0044】
<(B)工程>
実施例1と同様に行なった。
【0045】
<(C)工程>
実施例1においてエポキシ化大豆油48gをビスフェノールA型エポキシ(エポキシ当量190)40gにに代えて行ない、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体〔バリウム含有量32.4重量%、ノニルフェノール残量0.3重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0046】
〔比較例1〕
(A)工程および(B)工程は実施例1と同様に行ない、(C)工程において処理することなく、100〜120℃でセライトろ過を行ない、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体〔バリウム含有量35.8重量%、ノニルフェノール残量3.1重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0047】
〔比較例2〕
(A)工程および(B)工程は実施例1と同様に行ない、(C)工程においてエポキシ化大豆油をプロピレンオキシド(エポキシ当量58)12gに代えて処理を行ない、淡黄色液状のバリウム過塩基性錯体〔バリウム含有量32.2重量%、ノニルフェノール残量0.4重量%(ガスクロマト法)〕を得た。
【0048】
実施例1〜4および比較例1および2で得られたアルカリ土類金属の過塩基性錯体の着色をガードナー法により調べた。また、これを100CCのビーカーに入れ、80℃ギヤーオーブン中1週間後のサンプルに関しても同様に着色を調べた。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
本発明の製造方法により得られたアルカリ土類金属の過塩基性錯体の塩素含有樹脂用の安定剤としての性能を確認するため、使用例として次の試験を行なった。
【0051】
〔使用例〕
次の配合物により180℃で1mmのロール上げシートを作成し、190℃のギヤーオーブンに入れ、黒化時間を求めた。また、180℃、5分のプレスシートと、180℃、30分のプレスシートを作成し、ハンター比色計で黄色度を測定し、その色差を求めた。さらに、185℃、20rpm、0.4mmのカレンダーロールを用いてミルテストを行ない、10分、20分および30分に2mmレバージョでサンプリングしてその着色を目視により評価した。評価基準は1〜10の10段階で表し、下記の如く数値の大きいものほど着色が大きいことを示す。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0052】
(ミルテスト評価基準)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
はぼ無色←─→淡黄色←──→黄色←──→黄褐色←───→褐色
【0053】
〔配 合〕 重量部
塩化ビニル樹脂(重合度800) 100
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 15
エポキシ化大豆油 3
ステアリン酸亜鉛 0.5
ステアリン酸バリウム 1.0
モノフェニルジトリデシルホスファイト 1.2
ステアロイルベンゾイルメタン 0.3
アルカリ土類金属の過塩基性錯体(下記〔表2〕参照) 0.5
【0054】
【表2】
【0055】
以上の結果より、次のことが明らかである。
アルカリ土類金属の過塩基性錯体を得る方法に関して、残存するフェノール性水酸基を処理しない場合(比較例1)には、塩素含有樹脂用の安定剤として使用したときにも特に熱着色を与える欠点を有する。また、このフェノール性水酸基を処理するためにプロピレンオキシド等の低級エポキシ化合物を使用した場合(比較例2)においても着色抑制効果は未だ不十分である。
【0056】
これに対し、残存するフェノール性水酸基を処理するに多価エポキシ化合物を用いた場合(実施例1〜4)には、塩素含有樹脂に配合したときにも熱履歴時においても着色性に優れたものが得られる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、保存時に着色せず、特に塩素含有樹脂の安定剤として好適に使用することのできるアルカリ土類金属の過塩基性錯体を提供することができる。
Claims (3)
- 下記(A)、(B)および(C)工程を包含することを特徴とするアルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法。
(A)工程; (a)少なくとも一種のアルカリ土類金属塩基、 (b)少なくとも一種のフェノール類および (c)少なくとも一種の一価カルボン酸を、塩基過剰となるように使用して混合物を調製する工程。
(B)工程;上記(A)工程で調製された混合物の塩基性度が実質的に減じられるまで、炭酸ガスにより該混合物を処理する工程。
(C)工程;上記(B)工程で処理された混合物中の遊離のフェノール類〔上記 (b)成分〕が有するフェノール性水酸基を、該フェノール性水酸基の水素原子を置換することの可能な量の少なくとも一種のエポキシ当量100〜500の多価エポキシ化合物にて処理する工程。 - 上記(C)工程で使用される上記多価エポキシ化合物が、エポキシ化植物油である請求項1記載のアルカリ土類金属の過塩基性錯体の製造方法。
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1996
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