JP4251826B2 - 定電圧回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は差動増幅回路を備えた半導体集積回路技術に係り、特に、MOS構成の増幅回路で高い直流利得を得る必要がある差動増幅回路を用いた、多様な負荷条件に対してロードレギュレーション(負荷状態の変化に対して出力電圧の定電圧安定性)を確保する必要のある定電圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、差動増幅回路を備えた従来の定電圧回路を示す図である。
図9に示した従来の定電圧回路は、誤差増幅を行う差動増幅器71、P型の出力トランジスタQ10、抵抗R1およびR2、位相補償用の容量Cから構成され、さらに差動増幅器71は、入力手段となるN型トランジスタQ1およびQ2、能動負荷を構成するP型トランジスタQ3およびQ4、差動増幅器71に定電流を与えるN型トランジスタQ5から構成される。
【0003】
トランジスタQ1およびQ2のゲートは夫々反転入力端子および非反転入力端子として、各ソースはトランジスタQ5のドレインに接続されている。また、トランジスタQ1およびQ2の各ドレインは、夫々トランジスタQ3およびQ4のドレインに接続されると共に、トランジスタQ1およびQ3の接続点は差動増幅器71の出力端子を形成する。
【0004】
また、トランジスタQ3およびQ4は、夫々、ソースが電源Vddに接続され、ゲートが共通接続されトランジスタQ4のドレインに接続されて能動負荷を形成している。また、トランジスタQ5は、トランジスタQ1およびQ2のソースとグランドVss間に接続されて定電流源として働く。トランジスタQ5のゲートには外部からバイアス電圧Vbiasが入力される。
.
【0005】
一方、出力トランジスタQ10のゲートは差動増幅器71の出力端子に、ソースは電源へ、ドレインは抵抗R1およびR2を介してグランドに接地され、更にゲート、ドレイン間に位相補償容量Cが接続されている。抵抗R1およびR2の接続点は差動増幅器71の非反転入力端子へ接続される。
【0006】
以上のような構成において、差動増幅器71の反転入力端子へ外部より基準電圧Vrefが入力されると、出力電圧の分圧電圧(抵抗R1とR2による)が非反転入力端子(トランジスタQ2のゲート)に帰還され、基準電圧Vrefとの誤差増幅によりトランジスタQ10のゲート電圧を上下させ、出力電圧が基準電圧の(R1+R2)/R2倍された値に等しく制御される。
【0007】
図10および図11は、特開2000−66745号公報で提案された定電圧レギュレータ回路を示す図であり、(a)はブロック図、(b)は回路図である。
同図において、49は演算増幅器で、出力制御部を構成するトランジスタQ41,Q42,誤差増幅部49bを構成するトランジスタQ43〜Q46と定電流源49aを有する。49cはトランジスタQ41のベース電圧を電流に変換する電圧/電流変換回路である。また、50は基準電圧発生回路、51は出力電圧検出回路である。
【0008】
この構成において、出力電圧検出回路51で検出された電圧VRと基準電圧V1とを誤差増幅部49bで比較して得られた誤差信号をトランジスタQ41,Q42からなる出力制御部に入力して、出力電圧を基準電圧に応じた定電圧に制御し、負荷電流が増大するとき誤差増幅部49bの動作電流を増大させ、ロードレギュレーションを確保している。
【0009】
上記公開公報で提案された定電圧レギュレータ回路では、誤差増幅部49bを駆動する電流量を、出力電流の増大に応じてあらかじめ設定された電流に加算して電流を流すことにより、軽負荷時には消費電流が少なく、また重負荷時には誤差増幅部49bの駆動電流を増大させてロードレギュレーションを確保している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の構成の定電圧回路では、出力電流を増していくと、差動増幅器(誤差増幅部)の利得が理想的に大きくないことからロードレギュレーションが悪化し、出力電圧の絶対値が降下していくという問題があった。このような問題に対してこれまでは誤差増幅部を差動増幅段と各種増幅段を組み合わせて誤差増幅部の利得を向上させるという方法があった。しかしこのような場合、利得が向上する反面、位相設計を十分に行わないと正帰還により回路が発振するという困難な面があった。
【0011】
また、バイポーラトランジスタを用いた従来例、例えば特開2000−66745号公報に記載されたものでは、出力電流増加に伴う利得の低下に注目し、相互コンダクタンスgmを補うために出力電流の増加に応じて差動増幅部の駆動電流を増加させる方法を提案している。
【0012】
しかしながら、MOSトランジスタ構成の差動増幅器を用いた定電圧回路では多少事情が異なってくる。出力電圧が降下する原因はMOSトランジスタ構成の単純差動増幅器の利得が、例えばバイポーラ構成のそれに対しても圧倒的に低いことが一因であるが、根本的には差動増幅器の動作点が定電圧回路の出力電流条件によってバイアス点から乖離し理想状態ではなくなることに起因している。言い換えると、たとえ利得が低くとも常にバイアス点で動作していればその利得の低さを補えるのである。
【0013】
また、後述するようにMOSトランジスタ特有のチャネル長変調効果も利得を下げる要因になっているが、一方、利得と駆動電流という面ではMOS構成の場合は出力抵抗の面から言えば駆動電流はできるだけ小さな値を選択する方が有利であり、特開2000−66745号公報で示されているように単純に出力電流に応じて駆動電流を増加させただけでは解決にならない。
【0014】
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、従来のMOS構成の差動増幅器に対して直流利得が飛躍的に向上する差動増幅回路を定電圧回路に利用し、位相設計が比較的容易な差動増幅器1段のみの構成でロードレギュレーションを大幅に向上させることが可能な定電圧回路を提案することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の如き構成を採用した。すなわち、
請求項1記載の発明は、夫々のゲートに反転入力および非反転入力が接続される第1のMOSトランジスタ(Q1)および第2のMOSトランジスタ(Q2)対と、該第1のMOSトランジスタ(Q1)および第2のMOSトランジスタ(Q2)のドレインに夫々ドレインが接続された能動負荷を構成する第3のMOSトランジスタ(Q3)および第4のMOSトランジスタ(Q4)対と、前記第1のMOSトランジスタ(Q1)および第2のMOSトランジスタ(Q2)のソースに共通に接続される第5のMOSトランジスタ(Q5)(定電流源(I0))と、前記第5のMOSトランジスタ(Q5)(定電流源(I0))の電流値を調整し、前記第3のMOSトランジスタ(Q3)および第4のMOSトランジスタ(Q4)対の各ドレイン電圧を等しくバイアス点に保つ定電流源調整手段(DA)とを備え(図1参照)、前記定電流源調整手段(DA)を、夫々のゲートに反転入力および非反転入力が接続される第6のMOSトランジスタ(Q6)および第7のMOSトランジスタ(Q7)対と、該第6のMOSトランジスタ(Q6)および第7のMOSトランジスタ(Q7)のドレインに夫々ドレインが接続された能動負荷を構成する第8のMOSトランジスタ(Q8)および第9のMOSトランジスタ(Q9)対と、前記第6のMOSトランジスタ(Q6)および第7のMOSトランジスタ(Q6)のソースに共通に接続される定電流源で構成し、第6のMOSトランジスタ(Q6)および第7のMOSトランジスタ(Q7)のゲートに第2のMOSトランジスタ(Q2)および第1のMOSトランジスタ(Q1)のドレインを接続し、第7のMOSトランジスタのドレインを第5のMOSトランジスタ(Q5)のゲートに接続した差動増幅回路(図2参照)を備え、ゲートに前記第1のMOSトランジスタ(Q1)のドレインが接続された第10のMOSトランジスタ(Q10)(出力調整手段)によって調整される出力電圧の分圧電圧と基準電圧(Vref)とを前記第2のMOSトランジスタ(Q2)と第1のMOSトランジスタ(Q1)のゲートに入力し、前記差動増幅回路の出力に応じて前記第10のMOSトランジスタ(Q10)を制御するようにしたことを特徴としている(図3参照)。
【0016】
これにより、第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタのドレイン電圧が常に等しく保たれるようにバイアス点を制御することができ、広範囲の出力電流条件に対してロードレギュレーションを確保することが可能となる。
【0018】
さらに、第3のMOSトランジスタ(Q3)および第4のMOSトランジスタ(Q4)の両ゲート電圧が、第5のトランジスタ(Q5)で構成される定電流源の制御と連動して制御されることを特徴としている(図7参照)。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施例)
本発明に係る差動増幅回路の動作原理を説明するにあたり、まず、図9に示した従来の差動増幅器71の動作状況を、図面を用いて詳細に説明する。
図12および図13は、差動増幅器71の入力電圧差と出力電圧の関係を示す図である。
【0022】
図12および図13において、横軸は反転入力端子および非反転入力端子に印加される入力電圧差で、縦軸は出力電圧であり、トランジスタQ3およびQ4の各ドレイン電圧を示している。図12および図13から明らかなように、ダイオード接続されているトランジスタQ4のドレイン電圧は殆ど上下しないが、出力となるトランジスタQ3ドレイン電圧は入力電圧差がゼロ付近を境に急峻に変化し、高い利得を得ている。
【0023】
ここで、真に入力電圧差がゼロの時には各ドレイン電圧は等しくなり、この時、各トランジスタにはトランジスタQ5を流れる電流の半分が等しく流れ、VgsもVdsも等しく、チャネル長変調効果も均等に保たれている。またこの時のVdsはバイアス電流の半分がダイオード結線されたトランジスタQ4を貫通する電流に等しくなる値、バイアス点で決まることが分る。また同時に出力電圧がバイアス点に等しくない時には入力電圧差が存在することも明らかである。
【0024】
ここで定電圧回路に話を戻す。
出力電流が大きくなった場合はトランジスタQ3ドレイン電圧を大きく下げてドライバーであるトランジスタQ10のVgsを大きく確保し(図12のイ)、反対に出力電流が殆ど流れない場合にはトランジスタQ3ドレインを電源電圧付近まで引き上げてトランジスタQ10のVgsをゼロ付近に制御すること(図12のロ)が求められる。
【0025】
この時いずれの場合にも動作点がバイアス点から乖離して入力電圧差を許容することになり、設定電圧に等しい電圧が出力されない理由が図12より説明される。つまり出力電流を増せば増すほど入力電圧差が大きくなり結果的に出力電圧が大きく降下した点でバランスする。またこの時、チャネル長変調効果の影響も出力を更に降下させる一因となっている。
【0026】
詳細に見ればバイアス点を境に利得の傾斜が変化するが、例えばトランジスタQ3のVdsがトランジスタQ4のそれより大きくなる場合、より小さい値で平衡状態となってしまい結果的にドライバーゲートを十分にオンできない。反対に出力電流を引かなければ入力電圧差が負の点でバランスされて出力電圧が上昇する(この場合はチャネル長変調効果によって幾分ズレは軽減される)。
【0027】
以上のように、設定とおりの出力電圧を得るにはトランジスタQ10のVgsが差動回路で決まるバイアス点と等しく制御される点、つまり出力電流条件は一点しか存在しないことが説明される。
【0028】
一般的に、利得が高ければ高いほど入力電圧差が殆ど等しいとみなせる範囲でトランジスタQ3ドレイン電圧を上下できるために総合的に出力端子に現れる誤差を低減できる。このため複数の増幅段を組み合わせた増幅器を使う方法があることは先に述べたとおりである。
【0029】
ここで、従来の差動増幅器ではトランジスタQ5を定電流源として動作させていたが、その定電流を増すとトランジスタQ3の軌跡は緩やかになり利得は低下する反面、バイアス点を下げることが可能である。反対に定電流を絞ると利得、バイアス点は共に上昇する。図13は、入力電圧差と出力電圧の関係を示す図であり、上記定電流を0.1μAとしたとき(図12では1μA)と定電流を10μAにしたときの特性を示している。この時、素子間のバラツキを無視すれば、先に述べているようにトランジスタQ3ドレインがバイアス点に等しくなる場合には真に入力電圧差がゼロとなる点と一致する。
【0030】
このことを利用し、トランジスタQ3およびQ4のドレイン電圧を逐次比較し、両電圧が常に等しく保たれるようにバイアス点を制御できれば、結果的にドライバーゲートが要求されるVgsに等しくバイアス点を制御することになり、差動増幅回路の両入力電圧が一致、よって広範囲の出力電流条件に対してロードレギュレーションを確保可能な定電圧回路が実現できる。本発明はこの事実に基づいたものである。
【0031】
以下、本発明の差動増幅回路とそれを具備した定電圧回路の実施例を、図面を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る差動増幅回路を示す図である。なお、従来例と同じ機能の素子には同じ符号を使用している。
図1に示した第1の実施例である差動増幅回路は、入力手段となるN型トランジスタQ1およびQ2、能動負荷を構成するP型トランジスタQ3およびQ4、定電流源I0、電圧差検出手段DAから構成されている。N型トランジスタQ1およびQ2、P型トランジスタQ3およびQ4、および定電流源I0により差動増幅回路を構成している。
【0033】
トランジスタQ1およびQ2のゲートは夫々反転入力端子および非反転入力端子として、各ソースは定電流源I0に接続されている。トランジスタQ1およびQ2の各ドレインは、夫々トランジスタQ3およびQ4のドレインに接続されている。また、トランジスタQ3およびQ4は、夫々、ソースが電源Vddに接続され、ゲートが共通接続されトランジスタQ4のドレインに接続されて能動負荷を形成している。
【0034】
トランジスタQ1とQ3の接続点およびトランジスタQ2とQ4の接続点は電圧差検出手段DAの入力に接続され、電圧差検出手段DAの出力は定電流源I0の定電流値を制御する制御端子に接続され、トランジスタQ1とQ3の接続点の電圧とトランジスタQ2とQ4の接続点の電圧の差に応じて定電流源I0の定電流値を制御する。なお、電圧差検出手段DAは、2つの電圧の差を検出し、その電圧差に応じた信号を出力できるものであれば如何なるものでもよい。
【0035】
これにより、トランジスタQ3およびQ4のドレイン電圧が常に等しく保たれるようにバイアス点を制御することが可能となる。
【0036】
図2は、本発明に係る差動増幅回路の実施例である。なお、従来例と同じ機能の素子には同じ符号を使用している。図2に示した差動増幅回路は、図1における定電流源I0と電圧差検出回路DAの部分を具体化したものである。
【0037】
図2に示した差動増幅回路は、上記と同様に、入力手段となるN型トランジスタQ1およびQ2、能動負荷を構成するP型トランジスタQ3およびQ4を有している。また、第1の実施例の定電流源I0としてN型トランジスタQ5を用いている。N型トランジスタQ1およびQ2、P型トランジスタQ3およびQ4,およびN型トランジスタQ5により第1差動増幅部を構成している。
【0038】
また、上記実施例における電圧差検出回路DAを、P型トランジスタQ6およびQ7、能動負荷を構成するN型トランジスタQ8およびQ9、定電流源I1で構成している。これらで第2差動増幅部を構成している。
【0039】
さらに詳しく述べると、差動増幅器の入力手段となるN型トランジスタQ1およびQ2と能動負荷を構成するP型トランジスタQ3およびQ4の接続点電位は第2の差動増幅部の入力手段となるP型トランジスタQ6およびQ7のゲートに夫々入力され、トランジスタQ6およびQ7のソースは共通接続されて定電流源I1により定電流駆動されている。
【0040】
またトランジスタQ6,Q7ドレインは該第2差動増幅部の能動負荷を構成するN型トランジスタQ8およびQ9のドレインにそれぞれ接続され、トランジスタQ8およびQ9のソースはグランドに、トランジスタQ8およびQ9のゲートおよびトランジスタQ8ドレインは共通接続されて能動負荷を形成している。また、トランジスタQ7およびQ9の接続点は第2差動増幅部の出力端子として第1差動増幅部の定電流源トランジスタQ5のゲートに接続されている。
【0041】
以上のように、本実施例では、第1差動増幅部を駆動する電流を調整する手段として第2差動増幅部が備えられた構成であって、第2差動増幅部の両入力端子に第1差動増幅部の能動負荷を形成するトランジスタ対の各ドレイン電圧が入力され、該第2差動増幅部の出力が第1差動増幅部の駆動電流を決定する調整手段に接続され、先の両ドレイン電圧がバイアス点に等しくなるように制御される。
【0042】
図3は、本発明に係る定電圧回路の実施例である。なお、従来例と同じ機能の素子には同じ符号を使用している。図3に示した定電圧回路は、図2の差動増幅回路の出力部に、P型の出力トランジスタQ10および抵抗R1およびR2、位相補償用の容量Cを接続したものである。
【0043】
より具体的に述べると、出力トランジスタQ10のゲートをN型トランジスタQ1とP型トランジスタQ3の接続点に接続し、出力トランジスタQ10のソースは電源に、出力トランジスタQ10のドレインは抵抗R1およびR2を介してグランドに接地され、更にゲート、ドレイン間に位相補償容量Cが接続されている。抵抗R1とR2の接続点はN型トランジスタQ2のゲート(非反転入力端子)に接続されている。
【0044】
以上のような構成において、例えば、重負荷が接続され、第1差動増幅部のトランジスタQ3ドレイン電圧がトランジスタQ4ドレイン電圧より低下すると第2差動増幅部が高電位を出力して第1差動増幅部の駆動電流を増大させてバイアス点自身を下げ、反対に第1差動増幅部のトランジスタQ3ドレイン電圧がトランジスタQ4ドレイン電圧より上昇すると駆動電流を絞ってバイアス点自身を上昇させる。つまり常にトランジスタQ10ゲートを第1差動増幅部のバイアス点で制御するように働く。従って広範囲の出力電流条件に対して差動増幅回路の入力電圧が等しく保たれ、結果的にロードレギュレーションの極めて良好な定電圧回路を実現できる。
【0045】
図4は、図3に示した本発明の定電圧回路と図9に示した従来の定電圧回路の出力電流(mA)と出力電圧(V)および第1差動増幅部の駆動電流(μA)の関係を示した図であり、本発明の定電圧回路の方が従来の定電圧回路よりロードレギュレーションが極めて改善されていることがわかる。
【0046】
ここで、本回路に適用した差動増幅回路を単独で考察する。従来、バイアス点が固定で与えられていた部分を差動対の出力状態に応じてバイアス点自身を制御することにより、従来のMOS構成の単純差動増幅回路と比較して直流利得を飛躍的に向上させていることがわかる。図5は、入力電圧差とトランジスタQ3ドレイン電圧およびトランジスタQ4ドレイン電圧の関係と、消費電流の関係を示した図である。図5に示した本発明における特性と図12および図13に示した従来の単純差動増幅回路の特性を比較すると、本発明の差動増幅回路では入力電圧差ゼロ近傍で出力電圧が殆ど垂直に変化しており、従来回路との違いは一目瞭然である。
【0047】
また、第2差動増幅部の定電流源を1μAに設定しているから全体の消費電流から概ね1μAを差し引いた値が第1差動増幅部の駆動電流ということになるが、電流もこの部分を境に垂直に変化している。これは本発明の回路の特徴で、先に述べた図12および図13で示されていたように、出力電圧がバイアス点と等しく一致する点では入力電圧差がゼロであることに注目し、そのバイアス点を出力電圧に等しく制御しているからに他ならない。
【0048】
更に、本発明回路の直流利得−周波数特性について、図2に示した本発明に係る差動増幅回路と、図9に示したMOS構成の従来例71および図11に示したバイポーラ構成の単純差動増幅回路の従来例49bとの比較結果を図6に示した。
この時のバイポーラ構成の駆動電流は10μAである。図6から明らかなように図9の従来例71や図11のバイポーラ構成の差動増幅回路の従来例49bと比べてもはるかに高利得を実現している。
【0049】
第2の特徴は本発明の差動増幅回路において、基本的には電流電圧変換は一度しか行われない一段増幅であるため、これほどの高利得を実現しているにもかかわらず、ポールが一点しか存在しないことである。このことは本発明で示した定電圧回路のみならず、帰還制御系に適用する上で大いに有力な点である。
【0050】
また、本発明の改良として次の事柄が考えられる。図5では出力電圧が電源電圧からトランジスタのスレッショルド電圧分下がった点の間で利得が低下し、またグランドからも幾分上がった点までしか出力範囲が確保できていない。これは第1差動増幅部の能動負荷の片方をダイオード接続していることに起因するが、本差動増幅回路を定電圧回路に適用すると無負荷時にドライバーをフルオフできない関係から利得の低下分だけ僅かながら定電圧出力の上昇を許容してしまうという問題が生じる。
【0051】
この問題は、簡単には第1差動増幅部の能動負荷および駆動電流を制御するトランジスタに他のトランジスタよりも低スレッショルド電圧のものを用意できれば、スレッショルド電圧の値に応じて出力範囲をほぼ電源電圧範囲まで広げることが可能となる。
【0052】
また、根本的には、例えば図7に示すように、電源とグランド間にP型トランジスタQ23とN型トランジスタQ25を直列に設け、P型トランジスタQ23のゲートとドレインを共通接続してP型トランジスタQ3およびQ4のゲートに接続し、P型トランジスタQ4のドレインとP型トランジスタQ6のゲートを接続し、さらにN型トランジスタQ8およびQ9の共通ゲートとN型トランジスタQ25のゲートを接続することによって改善が可能である。
【0053】
これによると、第1差動増幅部における能動負荷のゲート電圧をP型トランジスタQ23のドレインの電圧で制御することにより、図8に示すように出力上昇時の利得低下を改善でき、加えて差動増幅回路全体での消費電流をも効果的に抑制できる。これは出力が上昇する時に第2差動増幅部の両入力電圧を電源レベルまで上昇させ、結果的に駆動電流をカットオフ状態に持ち込むことが可能となるためである。
【0054】
また、グランド側への出力動作領域を大きく確保したい時にはトランジスタQ5のW/L比を第2差動増幅部、能動負荷のそれよりも適度に大きくすることで改善できる。この時僅かながらのオフセットが生じることとなるが全体の特性から見れば殆ど無視できる範囲である。
【0055】
【発明の効果】
以下、本発明の効果を請求項ごとに述べる。
請求項1記載の本発明によれば、従来のMOS構成の差動増幅回路に比べて飛躍的に直流利得の高い差動増幅回路を実現でき、既存のMOS技術を使いながら比較的単純な構成でもって直流利得の高い差動増幅回路を実現でき、差動増幅部での駆動電流を負荷状態に応じて理想的に調整することが可能となり多様な負荷条件に対してロードレギュレーションを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す図である。
【図2】 本発明の実施例を示す図である。
【図3】 本発明の実施例を示す図である。
【図4】 本発明の実施例のロードレギュレーションを説明するための図である。
【図5】 図2に記載の本発明の差動増幅回路の動作の様子を示す図である。
【図6】 図2に記載の本発明の差動増幅回路の利得の様子を示す図である。
【図7】 出力動作領域を広げる為の図2の改良構成を示す図である。
【図8】 図7に記載の本発明の差動増幅回路の動作の様子を示す図である。
【図9】 第1従来例の回路構成を示す図である。
【図10】 特開2000−66745に記載の第2従来例を示す図である(その1)。
【図11】 特開2000−66745に記載の第2従来例を示す図である(その2)。
【図12】 第1従来例の動作の様子を示す図である(その1)。
【図13】 第1従来例の動作の様子を示す図である(その2)。
【符号の説明】
Q1〜Q10,Q23〜Q24:MOSトランジスタ、
Q40〜Q48:バイポーラトランジスタ、
R1,R2:抵抗、
I0,I1:定電流源、
49:演算増幅器、
50:基準電圧発生回路、
51:出力電流検出回路、
71:差動増幅器。
Claims (1)
- 夫々のゲートに反転入力および非反転入力が接続される第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタ対と、該第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタのドレインに夫々ドレインが接続された能動負荷を構成する第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタ対と、前記第1のMOSトランジスタおよび第2のMOSトランジスタのソースに共通に接続される第5のMOSトランジスタと、前記第5のMOSトランジスタの電流値を調整し、前記第3のMOSトランジスタおよび第4のMOSトランジスタ対の各ドレイン電圧を等しくバイアス点に保つ定電流源調整手段とを備え、
前記定電流源調整手段は、夫々のゲートに反転入力および非反転入力が接続される第6のMOSトランジスタおよび第7のMOSトランジスタ対と、該第6のMOSトランジスタおよび第7のMOSトランジスタのドレインに夫々ドレインが接続された能動負荷を構成する第8のMOSトランジスタおよび第9のMOSトランジスタ対と、前記第6のMOSトランジスタおよび第7のMOSトランジスタのソースに共通に接続される定電流源で構成され、
前記第6のMOSトランジスタおよび第7のMOSトランジスタのゲートに前記第2のMOSトランジスタおよび第1のMOSトランジスタのドレインが接続され、前記第7のMOSトランジスタのドレインが前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続された構成を有する差動増幅回路を備え、ゲートに前記第1のMOSトランジスタ(Q1)のドレインが接続された第10のMOSトランジスタ(Q10)を含む出力調整手段によって調整される出力電圧の分圧電圧と基準電圧(Vref)とを前記第2のMOSトランジスタ(Q2)と第1のMOSトランジスタ(Q1)のゲートに入力し、前記差動増幅回路の出力に応じて前記第10のMOSトランジスタ(Q10)を制御するようにしたことを特徴とする定電圧回路。
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