しかしながら、上述した検査装置では、電気光学パネル、又は該電気光学パネルにおいて所定の検査パターンを表示させるための検査用駆動信号を供給する検査用駆動回路の接続が検査の都度行われる。このため、種類の異なる複数の電気光学パネルを交換して検査を行う場合は、ステージへの電気光学パネルの設置や該電気光学パネルの位置決めに時間がかかる。特に、複数種類の電気光学パネルを用いて検査を行う場合には、各電気光学パネルのサイズ等に応じてステージに設置するための特殊な治具が必要となることもあり、設置のための手間が煩雑となる。更に、検査の都度、電気光学パネルに対する検査用駆動回路接続にも時間がかかり、これに加えて電気光学パネルの種類に応じて検査用駆動回路や接続部の交換も必要となり、手間がかかると共に煩雑化してしまう。よって、電気光学パネルの検査に膨大な時間や手間を要するという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、液晶パネル等の電気光学パネルを容易に検査することが可能な電気光学パネルの検査装置、並びに該検査装置を用いた視野角特性判定方法及び組みずれ判定方法を提供することを課題とする。
本発明の検査装置は上記課題を解決するために、電気光学パネルの検査装置であって、電気光学パネルを所定位置に保持するパネル保持手段と、前記保持された電気光学パネルの外部回路接続用又は検査用の端子に対して接触する位置に可動であり、前記端子に接触した状態で前記端子に対して検査用駆動信号を供給するプローブと、前記保持された電気光学パネルから出射された表示光を受光して、該受光された表示光における2次元配光分布を測定する2次元配光測定手段とを備える。
本発明の検査装置によれば、パネル保持手段を2次元配光測定手段に対して移動させることによって、電気光学パネルの画像表示領域を所定の位置に配置させる。パネル保持手段は、例えば電気光学パネルの基板面に沿った方向にスライド可能となっており、このような移動は所定の移動機構によって自動的に行うことが可能となっている。
電気光学パネルには、駆動信号が供給される外部回路接続用端子が設けられており、更には該外部回路接続用端子とは別に検査用駆動信号が供給される検査用の端子が設けられている。
プローブは、所定の移動機構部によって、例えば電気光学パネルの画像表示面に対して垂直方向に自動的に移動させることが可能となっている。そして、該移動により、プローブが電気光学パネルの外部回路接続用端子又は検査用の端子に対して電気的に接続されることによって、検査用駆動信号が供給される。電気光学パネルはプローブより供給される検査用駆動信号に基づいて、画像表示領域の画像表示面に所定の検査パターンを表示する。例えば、電気光学パネルは検査パターンの表示を全白表示及び全黒表示として行う。
2次元配光測定手段は、画像表示面からの表示光の2次元配光分布を測定可能な光学系を備える構成とするのが好ましい。この光学系は、例えば文献1(特公平3−4858号公報)又は文献2(特開平8−320273号公報)に開示されているようなものを用いて構成される。パネル保持手段の移動によって電気光学装置の画像表示面は、予めこのような光学系の前側焦点付近に配置されている。また、2次元配光測定手段は、前述の光学系からの光を検出する光検出手段を備えている。光検出手段の光検出面には、前述の光学系によって2次元配光分布を示す像が結像され、当該光検出手段において2次元配光分布が得られる。尚、光検出手段として、例えばCCD又は(固体)撮像手段或いはテレビジョン撮像手段を用いるのが好ましい。
よって、2次元配光測定手段では、2次元配光分布の測定を自動的に行うことが可能となる。また、パネル保持手段及びプローブによって電気光学パネルの設置を自動的に行うと共に、電気光学パネルへの検査用駆動信号の供給も自動的に行うことが可能である。従って、本発明の検査装置によれば、測定に要する電気光学パネルやプローブの設置に要する手間を大幅に省くことができるため、複数の電気光学パネルの検査を迅速に行うことが可能となる。
本発明の電気光学パネルの検査装置の一態様では、前記保持された電気光学パネルに対して検査光を照射する光源を更に備えており、前記表示光は、前記電気光学パネルを透過又は反射して出射される前記検査光からなる。
この態様によれば、電気光学パネルとして液晶パネルの2次元配光分布を測定することが可能となる。電気光学パネルとして液晶パネルが用いられる場合、該液晶パネルに照射された検査光は、例えば液晶層を介して透過光として、或いは反射型の液晶パネルを用いるとすれば液晶層を介して反射光として、該液晶層から出射される。2次元配光測定手段には、該液晶パネルより透過光又は反射光として出射した表示光が入射される。
本発明の電気光学パネルの検査装置の他の態様では、前記測定された2次元配光分布に基づいて、前記電気光学パネルにおける視野角特性を判定する視野角特性判定手段を更に備える。
この態様では、視野角特性判定手段は、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比に基づいて視野角特性が良好であるか否かについて判定する。好ましくは、視野角特性判定手段は、コントラスト比のピークに対応する仰角が予め定められた基準角度にあれば視野角特性は良好であると判定し、コントラスト比のピークに対応する仰角が予め定められた基準角度でなければ視野角特性は不良であると判定する。この態様によれば、視野角特性を自動的に判定することができ、視野角特性の検査を迅速に行うことが可能となる。
この視野角特性判定手段を備える態様によれば、前記視野角特性判定手段は、前記2次元配光分布の光強度又は該光強度から求めたコントラスト比がピークとなる角度が、予め設定された一又は複数の基準範囲に入っているか否かにより、前記視野角特性を判定するように構成してもよい。
このように構成すれば、視野角特性の判定を適切に行うことが可能となる。視野角特性判定手段は、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比のピーク値を割り出す。該ピーク値に対応する仰角が基準範囲内であれば、視野角特性は良好であると判定し、基準範囲外であれば、視野角特性は不良であると判定する。ここに、視野角特性判定手段は、基準範囲からのずれを算出して、該ずれの値に応じてランク付けを行うようにしてもよい。電気光学パネルをプロジェクタのライトバルブとして用いる場合、該電気光学パネルの前述のずれの値を予め算出しておくことにより、プロジェクタの画像表示において視野角補償フィルム等を用いて前述したずれにより生じる色むらを抑えた高品質な画像表示を行うことができる。
本発明の電気光学パネルの検査装置の他の態様では、前記電気光学パネルは、一対の基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記測定された2次元配光分布に基づいて、前記電気光学パネルにおける前記一対の基板間の組みずれの度合を判定する組みずれ判定手段を更に備える。
この態様によれば、組みずれ判定手段は、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比に基づいて電気光学パネルにおける組みずれの度合が許容範囲内であるか否かについて判定する。
ここに、電気光学パネルを液晶パネルとした場合、画像表示領域には各画素毎に開口領域が設けられている。この開口領域は、一対の基板の各々において規定されている。よって、組みずれが生じると、一対の基板の各々で規定された開口領域の位置が互いにずれるため、表示光は指向性を持った光となる。その結果、2次元配光分布を光強度で表すと、該光強度の分布にも指向性が生じる。
よって、組みずれ判定手段は、好ましくは、算出したコントラスト比のピーク値を割り出し、該ピーク値に対応する仰角が予め定められた基準角度にあれば、組みずれの度合は許容できると判定し、該ピーク値に対応する仰角が予め定められた基準角度になければ、組みずれは許容範囲ではない、即ち組みずれ有りと判定する。従って、この態様によれば、電気光学パネルの組ズレについて自動的に検査することが可能となる。
この組みずれ判定手段を備える態様によれば、前記組みずれ判定手段は、前記2次元配光分布の光強度又は該光強度からもとめたコントラスト比がピークとなる角度が、予め設定された一又は複数の基準範囲に入っているか否かにより、前記組みずれの度合を判定するように構成してもよい。
このように構成すれば、組みずれの判定を適切に行うことが可能となる。組みずれ判定手段は、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比のピーク値を割り出す。該ピーク値に対応する仰角が基準範囲内であれば、組みずれの度合は許容できると判定し、基準範囲外であれば、組みずれは許容範囲ではない、即ち組みずれ有りと判定する。ここに、組みずれ判定手段は、基準範囲からのずれを算出して、該ずれの値に応じてランク付けを行うようにしてもよい。
この組みずれ判定手段を備える態様によれば、前記プローブは、前記検査用駆動信号として前記電気光学パネルを白表示させる白駆動信号を供給し、前記組ずれ判定手段は、前記白駆動信号に応じて白表示している電気光学パネルにおける前記ピークとなる角度を測定するように構成してもよい。
このように構成すれば、組みずれ判定手段はコントラスト比を算出しなくても、組みずれの度合について判定することが可能となる。組みずれ判定手段は、例えば白表示における光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、該光強度のピーク値を割り出す。該ピーク値に対応する仰角は、コントラスト比のピーク値と対応する。
本発明の電気光学パネルの検査装置の他の態様では、前記パネル保持手段を、前記電気光学パネルのサイズに応じて交換可能であるように装着するパネル保持手段装着部を更に備える。
この態様によれば、パネル保持手段を交換可能に装着することができるため、電気光学パネルの大きさ等に応じて複数種類のパネル保持手段を用いることが可能となる。従って、種類の異なる複数の電気光学パネルの検査を行う際に、電気光学パネルを容易に設置することができるため、該電気光学パネルの検査を短時間で効率良く行うことが可能となる。
本発明の電気光学パネルの検査装置の他の態様では、前記プローブを、前記電気光学パネルの端子配置に応じて交換可能であるように装着するプローブ装着手段を更に備える。
この態様によれば、電気光学パネルの種類に応じて、プローブを換えることが可能となる。よって、種類の異なる複数の電気光学パネルの検査を行う際にも、該電気光学パネルの種類に応じてプローブを容易に設置することができるため、該電気光学パネルの検査を短時間で効率良く行うことが可能となる。
本発明の電気光学パネルの検査装置の他の態様では、前記パネル保持手段は、前記液晶パネルの基板面に沿った方向にスライド可能に構成されている。
この態様によれば、例えば所定の移動機構部によってパネル保持手段を移動させることにより、パネル保持手段又は電気光学パネルの交換を容易に行うことができると共に、電気光学パネルの位置決めを容易に行うことが可能となる。
本発明の視角特性判定方法は上記課題を解決するために、所定位置に配置された電気光学パネルに検査用駆動信号を供給する工程と、前記電気光学パネルから出射された表示光を受光して、該受光された表示光における2次元配光分布を測定する工程と、前記測定された2次元配光分布に基づいて、前記電気光学パネルにおける視野角特性を判定する工程とを含む。
本発明の視野角特性判定方法によれば、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比に基づいて視野角特性が良好であるか否かについて判定する。よって、視野角特性を自動的に判定することができ、視野角特性の検査を迅速に行うことが可能となる。
本発明の第1の組みずれ判定方法は上記課題を解決するために、一対の基板間に電気光学物質が挟持されてなる電気光学パネルを所定位置に配置して、該電気光学パネルに検査用駆動信号を供給する工程と、前記電気光学パネルから出射された表示光を受光して、該受光された表示光における2次元配光分布を測定する工程と、前記測定された2次元配光分布に基づいて、前記電気光学パネルにおける前記一対の基板間の組みずれの度合を判定する工程とを含む。
本発明の第1の組みずれ判定方法によれば、例えば光強度の分布として得られた2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出し、算出したコントラスト比に基づいて電気光学パネルにおける組みずれの度合が許容範囲内であるか否かについて判定する。従って、電気光学パネルの組みずれについて自動的に検査することが可能となる。
本発明の第2の組みずれ判定方法は上記課題を解決するために、一対の基板を貼り合わせてなるパネル構造体を所定位置に配置して、前記パネル構造体における前記基板上の所定の領域に形成された複数の開口領域に検査光を透過させる工程と、前記電気光学パネルから出射された透過光を受光して、該受光された表示光における2次元配光分布を測定する工程と、前記測定された2次元配光分布に基づいて、前記パネル構造体における前記一対の基板間の組みずれの度合を判定する工程とを含む。
本発明の第2の組みずれ判定方法によれば、例えば、液晶セルにおける所謂“空セル”の段階など、電気光学物質として例えば液晶封入前において、組みずれについて検査することが可能となる。
本発明の電気光学パネルの製造方法は、上記の視野角特性判定方法または上記の組みずれ判定方法により電気光学パネルを検査する工程を含むことを特徴とする。
このような構成の製造方法により、電気光学パネルの製造工程における歩留まりを向上させることが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の検査装置において電気光学パネルとして液晶パネルの検査を行うものとする。
<1:第1実施形態>
先ず、本発明の検査装置に係る第1実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
<1−1:電気光学パネルの構成>
まず、本実施形態に係る電気光学パネルの構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学パネルの平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。ここでは、電気光学パネルの一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを例にとる。
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学パネルでは、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。尚、外部回路接続端子102と別に後述する検査用駆動信号が印加される検査用の端子(図示省略)が設けられてもよい。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。更に、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々の対向面の背面側には配向方向に応じた偏光板(図示省略)が設けられる。
<1−2:画素部における構成>
以下では、本実施形態における電気光学パネルの画素部における構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、電気光学パネルの画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
図3において、本実施形態における電気光学パネルの画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学パネルからは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
図1において、走査線駆動回路104は、上述の如く走査信号G1、G2、…、Gmを所定タイミングで走査線3aに供給し(図3参照)、データ線駆動回路101は、上述の如く画像信号S1、S2、…、Snを所定タイミングでデータ線6aに供給する(図3参照)。
<1−3:検査装置の構成>
次に、上述したような電気光学パネルの検査を行う検査装置の構成について、図4から図6を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る検査装置の概略的な構成を示す図であり、図5は図4に示す検査装置における2次元配光測定手段の概略的な構成を示す図であって、図6(a)及び図6(b)は2次元配光測定手段の機能について説明するための模式図である。
図4において、検査装置1は、主要部として、2次元配光測定手段44、本発明に係る「パネル保持手段」としてのステージ47、及び複数のプローブ414が設けられたプローブユニット415を備える。これら2次元配光測定手段44、ステージ47、及びプローブユニット415は、以下に説明する他の各構成要素と共に筐体43内に収容されている。
2次元配光測定手段44は2次元配光分布を測定可能な光学系を備えている。図4には、2次元配光測定手段44における光学系の光軸45を示してある。筐体43内において2次元配光測定手段44は、ステージ47の上方に配置される。尚、2次元配光測定手段44の詳細な構成については後述する。
本実施形態では、次のようにモジュール化された電気光学パネル40が用いられる。即ち、電気光学パネル40には、フレキシブルプリント基板41等が取り付けられ、防塵ガラス(図示せず)等とともにケース内に収容されている。フレキシブルプリント基板41には例えば外部回路接続端子102又は検査用の端子に接続された複数の信号線が配線される。
ステージ47は、該ステージ47を移動させる移動機構部48によって、筐体43内に水平に支持される。また、ステージ47の上面には検査対象となる電気光学パネル40を載置するための凹部409が形成されている。また、ステージ47には、該ステージ47に載置された電気光学パネル40の画像表示領域10aに後述する光源46から出射される検査光を導くための開口部408が設けられている。
移動機構部48は、図示しない空気圧制御装置から供給される作動空気圧によって、筐体43内を水平方向に伸縮移動するピストンロッド412を有するエアシリンダ413が設けられている。ピストンロッド412の先端には、本発明に係る「パネル保持手段装着部」としてのステージ装着部411が設けられている。このステージ装着部411に、ステージ47は装脱自在に装着される。
ここに、ステージ47はピストンロッド412の伸縮によって、筐体43内を図4中矢印Aで示すように、スライド可能とされている。筐体43には開閉窓419が設けられており、ステージ47をスライドさせることによって開閉窓419を押し開くことにより、電気光学パネル40をステージ47上に載置した状態で、筐体43外に露出させることが可能となる。このように露出させた状態における電気光学パネル40a及び開閉窓419aを、図4中点線にて示してある。
本実施形態では、電気光学パネル40が筐体43外に露出した状態で、ステージ47に対して電気光学パネル40を装脱させたり、ステージ47そのものをステージ装着部411に対して装脱させることによって、複数種類の電気光学パネルを交換して用いることが可能となる。
プローブユニット415は、プローブ移動機構部49によって筐体2内に支持される。プローブユニット415は、フレキシブルプリント基板41に配線された複数の信号線に対応する複数のプローブ414を備えている。図4に示すように、筐体43内にはパネル駆動装置39が設けられており、該パネル駆動装置39から出力される所定の検査用駆動信号はプローブユニット415に供給される。そして、プローブユニット415は供給された検査用駆動信号を複数のプローブ414を介してフレキシブルプリント基板41における複数の信号線に供給する。
プローブ移動機構部49は、例えば上述の移動機構部48と同様の構成となっている。プローブ移動機構部49は、筐体43内を垂直方向に伸縮移動するピストンロッド417を有するエアシリンダ418が設けられている。そして、ピストンロッド417の先端には、本発明に係る「プローブ装着手段」としてのプローブユニット装着部416が設けられている。このプローブユニット装着部416に、プローブユニット415が装脱自在に装着される。プローブユニット415は、プローブ移動機構部49におけるピストンロッド417の伸縮移動により、筐体43内を図4中矢印Bで示す垂直方向に移動する。そして、該移動によって複数のプローブ414から検査用駆動信号の供給がフレキシブルプリント基板41における複数の信号線に対して行われる。よって、本実施形態では、プローブユニット装着部416に対してプローブユニット415を装脱させることによって、複数種類のブローブユニット415を交換して用いることが可能である。
また、筐体43内には、電気光学パネル42に検査光を照射する光源46が設けられる。光源46は、ファイバ式としてもよいし、レーザ装置や蛍光管を用いて構成してもよい。図4に示すように、光源46は電気光学パネル40の下方即ちステージ47の下方に配置される。但し、反射型の電気光学パネルに応用する場合には、光源46はハーフミラー等と共にステージ上方に配置される。
更に、検査装置1には、本発明に係る「視野角特性判定手段」としての検査端末402が設けられている。検査端末402は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等により構成される。
続いて、図4の他、図5及び図6を参照して2次元配光測定手段44の構成及び機能について説明する。2次元配光測定手段44は、例えば上記文献1又は上記文献2に開示されているような2次元配光分布を測定可能な光学系を用いて構成されている。
図5において、この光学系には、対物レンズ501、リレーレンズ系502、及びフィルタ503が含まれている。尚、図5中、前記光学系の光軸45を示してある。
図4及び図5において、電気光学パネル40の画像表示領域10aにおける画像表示面42は、図5に示す光学系の対物レンズ501の前側焦点付近に配置される。本実施形態では、画像表示面42が2次元配光分布の測定面とされる。尚、本実施形態では、画像表示面42における測定スポットの径Rは、図5に示す光学系の対物レンズ501の形状によって変化する。本実施形態では、測定スポットの径Rは好ましくは200μm程度とする。
また、2次元配光測定手段44には、前述の光学系からの光を検出する光検出手段として、撮像手段504が設けられている。尚、光検出手段として例えばCCDを用いてもよい。対物レンズ501は、画像表示面42からの出射光をその角度に応じた位置に集めて後側焦点に結像させる。リレーレンズ系502は、対物レンズ501によって結像された像をフィルタ503を介して撮像手段504の光検出面上に縮小して再結像させる。撮像手段504によって、光検出面上に再結像された像が撮像され、2次元配光分布が得られる。即ち該撮像手段504における光検出面は撮像面となる。尚、図5において、撮像手段504の詳細な構成について図示は省略する。
ここで、図6(a)及び図6(b)を参照して2次元配光分布について説明する。2次元配光分布は、図6(a)において、角度θとして示す仰角及び角度φとして示す方位角に対応する例えば光強度の分布として表される。図6(a)に示すように、方位角φは、測定面上に0°位置が規定されており、該0°位置から測定点600を中心として右回りに、左側(L)90°位置、180°位置、及び右側(R)90°位置が規定される。仰角θは、測定面上の観測点が測定点600の真上に位置する場合、即ち測定面の法線上に位置する場合を、θ=0°として、観測点を測定点600を中心とする同心円上に傾けた場合に、観測点と測定点600とを結ぶ線が、測定面の法線に対してなす角度を表す。そして、観測点の測定面における位置は方位角φによって規定される。
図6(b)には、撮像面において撮像される2次元配光分布を概略的に示してある。2次元配光分布上では、右回りに方位角φの0°位置、左側(L)90°位置、180°位置、及び右側(R)90°位置が規定される。
ここに、図5において、対物レンズ501に入射する、画像表示面42からの出射光が光軸45に対してなす角が仰角θに相当する。該仰角θは、対物レンズ501によって後側焦点面上の距離yに変換され、リレーレンズ系502によって撮像面において距離yに比例する距離とされる。
よって、例えば図6(a)において仰角θ=60°における光強度の分布は、方位角φに応じて仰角0°を示す位置を中心とする円として表される。また、仰角θ=10°における光強度の分布は、仰角θ=60°における光強度の分布を表す円と同心円として、該円より小さい径の円として表される。
<1−4:検査時の動作>
次に、図7及び図8を参照して、検査装置1によって行われる電気パネル40の検査について説明する。図7(a)、図7(b)及び図7(c)は夫々、検査装置1おいて測定された2次元配光分布の測定結果の一例を示す図であって、図8は、横軸に仰角並びに縦軸に光強度及びコントラストをとって表された2次元配光分布の測定結果を示す図である。
電気光学パネル40の検査時、画像表示面42が検査部44における光学系の前側焦点位置に配置されるが、移動機構部48によってステージ47を自動的に移動させることによって、該位置決めは容易に行うことができる。
また、パネル駆動装置39から出力される検査用駆動信号が、プローブユニット415を介して電気光学パネル40に供給される。電気光学パネル40では、供給された検査用駆動信号に基づいて、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101より出力される走査信号G1、G2、・・・、Gm及び画像信号S1、S2、・・・、Snが各画素部に供給されることによって、画像表示領域10aにおいて画像表示が行われる。本実施形態では、検査用駆動信号に基づいて画像表示領域10aにおいて、明状態として全白表示及び暗状態として全黒表示が行われる。
そして、2次元配光測定手段44によって、全白表示及び全黒表示夫々において2次元配光分布が測定される。2次元配光測定手段44には画像表示領域10aからの表示光が入射され、該表示光を前述した光学系を介して撮像手段504によって受光することによって、2次元配光分布の測定が行われる。尚、電気光学パネル40の表示光は、光源46から画像表示領域10aに照射された検査光の透過光として、当該電気光学パネル40から出射される。
検査端末402は、2次元配光測定手段44における撮像手段504によって撮像された2次元配光分布に基づいて、電気光学パネル40における視野角特性を判定する。
図7(a)には、全黒表示における2次元配光分布の測定結果の一例を示してある。図7(a)に示す測定結果について、方位角φが左側(L)135°及び右側(R)45°付近における仰角θに応じた光強度の分布は、図8において視角特性曲線802として表される。そして、視角特性曲線802におけるピーク、即ち光強度が最小となる値に対応する仰角θは画像表示面42の真正面付近を示す0°付近となる。
ここに、図7(a)は、仰角θが左側及び右側に夫々0°から30°の範囲における2次元配光分布を示すものである。そして、図7(a)において、方位角φが左側(L)135°及び右側(R)45°付近で仰角θを左側に変化させる場合は、仰角θに応じて2次元配光分布は、仰角0°を示す位置から左側(L)の方位角135°を示す点線に沿って左斜め上に向かう方向に表される。他方、方位角φが左側(L)135°及び右側(R)45°付近で仰角θを右側に変化させる場合は、仰角θに応じて2次元配光分布は、仰角0°を示す位置から右側(R)の方位角45°を示す点線に沿って右斜め下に向かう方向に表される。更に、図8において、左側に変化させた場合の仰角θを負(−)の値として示してあり、右側に変化させた場合の仰角θを正(+)の値として示してある。
また、図8において、全白表示における2次元配光分布の測定結果について、方位角φが左側(L)135°及び右側(R)45°付近における仰角θに応じた光強度の分布は、視角特性曲線804として表される。視角特性曲線804におけるピーク、即ち全白表示において光強度が最大となる値に対応する仰角θは画像表示面42の真正面付近を示す0°付近となる。
図7(a)に示す測定結果は、図8に示す視角特性曲線804において光強度が最大となる値に対する、図8に示す視角特性曲線802における光強度の値が占める割合を各仰角毎に算出して、該割合の分布として表してある。図7(a)において、仰角0°即ち画像表示面42の真正面付近を中心として、同心円状に、右側の仰角0°から30°付近及び左側の仰角0°から30°付近の範囲内で、光強度の分布は0[%]から40[%]へと変化する。尚、図7(a)には、前述のように算出された割合が、0[%]となる領域、10[%]となる領域、20[%]となる領域、30[%]となる領域、及び40[%]となる領域に分けて測定結果が示されている。
また、図7(b)には、各仰角毎に、全白表示における光強度及び全黒表示における光強度の比、即ちコントラスト比を算出して、コントラスト比の分布として表された2次元配光分布の測定結果を、図7(a)と同様に示してある。図7(b)に示す測定結果について、方位角φが左側(L)135°及び右側(R)45°付近における仰角θに応じたコントラスト比の値は、図8において視角特性曲線806として表される。図8に示す視角特性曲線806において、仰角0°付近、即ち画像表示面42の真正面付近において、コントラスト比の値は最大となる。
次に、本実施形態における検査端末402による視野角特性の判定について図9を参照して説明する。図9には、視野角特性の判定に係る検査端末402の動作を説明するためのフローチャートを示してある。
先ず、検査端末402は、撮像手段504によって撮像された2次元配光分布に基づいて、各仰角毎にコントラスト比を算出する(ステップS1)。尚、この際、検査端末402によって、図7(a)及び図7(b)並びに図8に示すような2次元配光分布の測定結果を示す出力データが生成される。
続いて、検査端末402は算出したコントラスト比の値よりピーク値、即ちコントラスト比の最大値を割り出す(ステップS2)。ここでは、検査端末402は、コントラスト比のピーク値を100[%]とみなした場合、該最大値の80[%]に相当する値を算出し、この値に対応する仰角を割り出す。図8に示す視角特性曲線806において、コントラスト比のピーク値80[%]に相当する値と対応する仰角θは、約−9°及び+7°である。検査端末402は、割り出した値、約−9°及び+7°を用いて、該−9°以上+7°以内の角度範囲における中央値を更に算出する。
そして、検査端末402は割り出したコントラスト比のピーク値と対応する仰角θが基準範囲内か否かについて判定する(ステップS3)。尚、検査端末402は、好ましくは、キーボード等の入力装置によって基準範囲を入力可能及び変更可能なように構成されている。入力装置によって入力又は変更された所定の角度範囲が基準範囲として設定される。ここでは、上述した手順によって算出した中央値が基準範囲内か否かについて判定する。
コントラスト比のピーク値と対応する仰角θが基準範囲内である場合(ステップS3:YES)、検査端末402は視野角特性が良好であると判定する(ステップS4)。他方、コントラスト比のピーク値と対応する仰角θが基準範囲外である場合(ステップS3:NO)、検査端末402は視野角特性が不良であると判定する(ステップS5)。ここでは、検査端末402は、前述した中央値が基準範囲内である場合、視野角特性が良好であると判定し、前述した中央値が基準範囲外である場合、視野角特性が不良であると判定する。
その後、視野角特性の判定に係る検査端末402の一連の動作が終了される。
尚、検査端末402は視野角特性の判定を、予め設定された基準角度に基づいて行ってもよい。該基準角度の設定は基準範囲の設定と同様に行われるのが好ましい。例えば、検査端末402は、前述した中央値が、予め定められた基準角度0°であるか否かについて判定する。具体的には、−9°以上+7°以内の角度範囲における中央値は−1°であるから基準角度とは異なる値となっている。よって、この場合、検査端末402によって視野角特性は不良であると判定する。他方、前述した中央値が基準角度0°に等しければ、視野角特性は良好であると判定される。
よって、検査装置1では、2次元配光分布の測定を自動的に行うことが可能となる。また、ステージ47及びプローブユニット415によって電気光学パネル40の設置を自動的に行うと共に、電気光学パネル40への検査用駆動信号の供給も自動的に行うことが可能である。従って、検査装置1によれば、測定に要する電気光学パネル40や複数のプローブ414の設置に要する手間を大幅に省くことができるため、複数の電気光学パネルの検査を迅速に行うことが可能となる。
更に、検査装置1における検査端末402によって視野角特性を自動的に判定することができ、視野角特性の検査を適切且つ迅速に行うことも可能となる。
<1−5:変形例>
次に、以上説明した第1実施形態に係る変形例について説明する。視野角特性の判定を、以下のようなランク付けによって行ってもよい。図10には、本変形例における検査端末402の動作を説明するためのフローチャートを示してある。
検査端末402によって、図9におけるステップS1からステップS3と同様の動作が行われる。尚、第1実施形態と重複する説明は省略する。ここに、ステップS12では、図9におけるステップS2と同様、算出したコントラスト比よりピーク値の割り出しが行われる。
コントラスト比のピーク値と対応する仰角が基準範囲内である場合(ステップS3:YES)、検査端末402は視野角特性が良好であると判定して、”優”としてランク付けを行う(ステップS14)。
他方、コントラスト比のピーク値と対応する仰角が基準範囲外である場合(ステップS3:NO)、検査端末402は視野角特性が不良であると判定すると共に、仰角の基準範囲からのずれを算出して、該ずれの値に応じたランク付けを行う(ステップS15)。例えば、検査端末402には、”優”のほか、”良”に対応する判定範囲、”可” に対応する判定範囲、及び”不可” に対応する判定範囲が夫々設定される。尚、この設定は上述した基準角度及び基準範囲と同様に行われるのが好ましい。そして、検査端末402は、算出したずれの値と各判定範囲とを比較し、該ずれの値が属する判定範囲に対応するランクを割り出すことによって、ランク付けを行う。
その後、検査端末402における一連の動作が終了される。
以上説明したように、ランク付けを行った場合、視野角特性の判定を適切に行うことが可能となる。また、電気光学パネルをプロジェクタのライトバルブとして用いる場合、該電気光学パネルの前述のずれの値を予め算出しておくことにより、プロジェクタの画像表示において視野角補償フィルム等を用いて前述したずれにより生じる色むらを抑えた高品質な画像表示を行うことができる。
<2:第2実施形態>
次に、本発明の検査装置に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態における検査装置は第1実施形態と比較して検査端末の詳細な動作が異なる。よって、以下において、電気光学パネルの構成を図1から図3を参照して説明し、検査装置の構成を図4を参照して説明すると共に、検査装置の動作について図7のほか図11を参照して説明する。尚、以下において第1実施形態と重複する説明は省略する。図11には、第2実施形態の検査端末の動作を説明するためのフローチャートを示してある。
図4において、検査端末402は、本発明に係る「組みずれ判定手段」を兼ねる。
ここに、図1から図3に示す電気光学パネルの構成によれば、画像表示領域10aにおける複数の画素部に対応する複数の開口領域は、TFTアレイ基板10側に形成された走査線及びデータ線等の構成によって規定されると共に、対向基板20側に形成された遮光膜23の構成によっても規定される。組みずれが生じると、TFTアレイ基板10側で規定された複数の開口領域の位置と、対向基板20側で規定された複数の開口領域の位置とがずれる。その結果、画像表示領域10aにおける複数の開口領域を透過する光は、該各画素部の真正面付近よりずれた方向に進行する、指向性を持った光となる。よって、電気光学パネルの表示光について2次元配光分布を光強度で表すと、該光強度の分布にも指向性が生じる。
図7(c)には、組みずれが生じている電気光学パネルにおいて、全白表示で測定された2次元配光分布の一例を、図7(a)と同様に示してある。尚、図7(c)には、全白表示において、光強度が最大となる値に対する他の光強度の値が占める割合を各仰角毎に算出して、該割合の分布として表してある。
図7(c)において、仰角0°付近よりずれた位置を中心として、同心円状に、右側の仰角0°から30°付近及び左側の仰角0°から30°付近の範囲内で、光強度の分布は90[%]から60[%]へと変化する。即ち、光強度が最大となる仰角は、画像表示面42の真正面付近を示す0°よりずれた角度となる。よって、組みずれが生じている電気光学パネル40において、全白表示及び全黒表示について夫々2次元配光分布を測定し、該測定結果からコントラスト比を算出すれば、コントラスト比が最大となる仰角も、画像表示面42の真正面付近を示す0°よりずれた角度となる。
第2実施形態では、このような組みずれについて、検査端末402によって判定が行われる。以下に、検査端末402における組みずれ判定について説明する。
図11において、検査端末402によって、図9におけるステップS1からステップS3と同様の動作が行われる。ここに、ステップS22では、図9におけるステップS2と同様、算出したコントラスト比よりピーク値の割り出しが行われる。
コントラスト比のピーク値と対応する仰角が基準範囲内である場合(ステップS3:YES)、検査端末402は組みずれの度合は許容できるとみなし、組みずれは生じていないと判定する(ステップS24)。他方、コントラスト比のピーク値と対応する仰角が基準範囲外である場合(ステップS3:NO)、検査端末402は組みずれは許容範囲ではないとみなし、組みずれが生じていると判定する(ステップS25)。
その後、視野角特性の判定に係る検査端末402の一連の動作が終了される。
従って、この態様によれば、電気光学パネルの組ズレについて自動的に検査することが可能となる。尚、検査端末402は組みずれの判定を、予め設定された基準角度に基づいて行ってもよい。
また、電気光学パネルにおいて全白表示を行って、該全白表示における2次元配光分布を測定すれば、コントラスト比を算出しなくても、組みずれについて検査することが可能となる。図7(c)に示す2次元配光分布によれば、中心位置が仰角0°付近よりずれているか否かを確認することにより、組みずれが生じているか否かを一見して判定することも可能である。この場合、検査端末402によって、組みずれの判定が、図11を参照して説明した手順と同様の手順によって行われてもよい。
<2−1:変形例>
次に、以上説明した第2実施形態に係る変形例について説明する。第2実施形態における検査装置では、電気光学パネルに換えて次のようなパネル構造体を用いることも可能である。電気光学パネルとして例えば図1から図3に示す構成を有する液晶パネルの製造工程において、液晶封入前に、TFTアレイ基板10と対向基板20とを貼り合わせてパネル構造体を形成した後、該パネル構造体における組みずれについて検査が行われてもよい。このようにすれば、電気光学パネルの製造工程における歩留まりを向上させることが可能となる。
また、第2実施形態においても、前述した第1実施形態に係る変形例と同様、基準範囲からのずれを算出して、該ずれの値に応じてランク付けを行うようにしてもよい。このようにすれば、組みずれの判定を適切に行うことが可能となる。
以上説明した、第1又は第2実施形態では、電気光学パネルとして透過型や反射型の他、ILAプロジェクタ等の投射型表示装置にライトバルブとして用いられる液晶パネルを用いてもよい。或いは、液晶パネルに代えて有機ELパネルやDMD(デジタルミラーデバイス)等を用いることも可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学パネルの検査装置及び電気光学パネルの製造方法、並びに視野角特性判定方法及び組みずれ判定方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。