しかしながら、液晶分子によって光を変調する液晶装置では、以下の問題点がある。
先ず、第1に、プロジェクタによって投射される投射画像の表示品位の向上に対する要請に伴い、ライトバルブに用いられる液晶装置の表示画像のコントラストも高くなっているため、液晶装置の光入射側及び光出射側の夫々に配置される偏光板の透過軸が相互にずれている場合、液晶装置の透過率及びコントラスト等の光学特性を正確に測定できない問題点がある。例えば、液晶分子の誘電率異方性が負である場合、即ち液晶分子がVA(Vertically Aligned)モードで駆動される場合、液晶装置の光入射側及び光出射側の夫々に配置された偏光板の透過軸は、理想的には相互に直交するように配置されるが、これら偏光板を配置する際に、1乃至2°程度の僅かな軸ずれを生じてしまうことがある。特に、VAモードで駆動される液晶分子を有する液晶装置では、このような僅かな軸ずれであっても、液晶装置によって表示される表示画像のコントラストが大きく変動し、液晶装置の透過率或いはコントラスト等の光学特性を正確に測定することが困難となる。
第2に、ライトバルブの用いられる液晶装置は、プロジェクタにおいて赤色、緑色、及び青色の夫々に対応して設けられているため、これら各色の波長毎に液晶装置の光学特性を評価する必要があるが、従来、光源から出射される光の分光スペクトルの範囲内(即ち、複数の波長成分が混在した状態)でその透過率等の光学特性を測定できるのみであった。したがって、一つの光源から出射された光を用いて光の波長毎に液晶装置の光学特性を測定することができない問題点がある。
第3に、液晶装置単独の光学特性を測定した場合には、液晶装置をプロジェクタに搭載した状態、即ち実機に近い状態における液晶装置の光学特性を正確に測定できない問題点がある。
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、プロジェクタのライトバルブに用いられる液晶装置の光学特性を正確に評価可能な光学特性評価装置、及びそのような光学特性評価装置を用いた液晶装置を検査可能な液晶装置の製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る光学特性評価装置は上記課題を解決するために、液晶装置の光学特性を評価するための光学特性評価装置であって、前記液晶装置を保持する液晶装置保持部と、前記液晶装置保持部に保持される液晶装置に光を照射するための光源と、前記液晶装置保持部に対して、前記光源側又は前記光源とは反対側の少なくとも一方に配置された偏光板保持部と、前記偏光板保持部に保持された偏光板を、前記光の光軸を中心にして回転させるための第1回転手段と、前記液晶装置保持部に対して、前記光源とは反対側に配置された投射レンズと、前記液晶装置保持部に保持される液晶装置と、前記投写レンズとを透過して投射された光を検出することにより、前記液晶装置の光学特性を測定する測定部とを備える。
本発明に係る光学特性評価装置では、その動作時には、光源から出射された光源光は、例えば、偏光板を介して液晶装置に照射される。このような光源光は、例えば、液晶層を介して透過光として、該液晶層から出射され、偏光板を介して投射光学系に出射される。
第1回転手段は、前記偏光板保持部に保持された偏光板を、前記光の光軸を中心にして回転させる。この際、例えば2枚の偏光板の透過軸が相互に交差する角度は、直線偏光が透過可能なように、液晶分子の種類(例えば、誘電率異方性)や、表示モード(例えば、ノーマリーブラックモード、ノーマリーホワイトモード)に応じて設定される。したがって、第1回転手段によれば、2枚の偏光板の夫々の透過軸が相互に交差する角度が、液晶分子に種類等に応じて適切に設定されていない場合、より具体的には、透過軸が相互に交差する角度が所定の角度からずれている場合に生じる液晶装置の光学特性の測定誤差を低減できる。ここで、「光学特性」とは、例えば、液晶装置の透過率、或いはコントラストのように液晶装置の表示性能を示す指標を意味する。
投射光学系に取り込まれた光は、測定部に対して、実際の投射型表示装置と同様に、投射レンズによって投射される。この際、液晶装置では所定の検査パターンの表示として例えば全黒表示又は全白表示が行われる。そして、液晶装置からの透過光は表示光として出射され、投射光学系によって測定部に投射される。
測定部は、例えばフォトダイオード、CCD(Charged Coupled Device)等を有する照度計を含み、検出した光の照度を測定する。測定部は、測定した照度に基づいて、液晶装置の光学特性として透過率又はコントラストを算出する。或いは、測定部は、液晶装置の光学特性を配光分布として表すようにしてもよい。該配光分布は、照度やコントラスト、又は透過率の分布として表される。
以上の結果、本発明に係る光学特性評価装置によれば、同一の液晶装置の光学特性について、実際の投射型表示装置における測定と相関のとれた測定を行うことができる。その結果、液晶装置の光学特性について精度の高い測定を行うことが可能となる。更に、実際の投射型表示装置に液晶装置を組み込んで測定や評価を行う場合と比べて、統一的な基準下で測定結果や評価結果を出すことが可能となる。
本発明に係る光学特性評価装置の一の態様では、前記液晶装置保持部と前記光源との間には、前記光源から出射した光のうち所定の波長を有する光を選択的に透過させる光学フィルタを配置するための光学フィルタ用スペースが設けられていてもよい。
この態様によれば、光源光が、互いに異なる波長を有する光を含んでいる場合であっても、光源光から所定の波長を有する光のみを光学フィルタを介して液晶装置に入射させることが可能である。例えば、光源光が白色光である場合、当該白色光から所定の波長を有する光として、赤色光、緑色、及び青色光の夫々を選択して液晶装置に入射させることができる。したがって、この態様によれば、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々について、波長別に液晶装置の光学特性を測定できる。
本発明に係る光学特性評価装置の他の態様では、前記液晶装置保持部と前記偏光板保持部との間に、位相差板を配置するための位相差板用スペースが設けられていてもよい。
この態様によれば、実際に投射型表示装置に液晶装置が配置された状態で、液晶装置の光学特性を測定できるため、実機に近い状態における液晶装置の光学特性を正確に測定できる。
この態様では、前記位相差板用スペースに配置された位相差板を、前記光軸を中心として回転させるための第2回転手段を更に備えていてもよい。
この態様によれば、例えば、位相差板を回転させながら、測定部が備える照度計によって液晶装置の表示面における照度を測定可能である。位相差板を回転させながら測定することにより、位相差板のマッチングをとることができる。すなわち、最適なコントラスト値を得ることができる位相差版の配置を決定することができる。
本発明に係る光学特性評価装置の他の態様では、開口部を有し、前記液晶装置保持部と前記投写レンズとの間に配置された取り込み絞りを更に備え、前記投射レンズは、前記取り込み絞りにより取り込まれた光を投射してもよい。
この態様によれば、液晶装置から出射された出射光は、光取り込み領域を規定する開口部を有する取り込み絞りにより取り込まれる。
ここに、「光取り込み領域」とは、光路上で取り込み絞りの次段に設けられる投射光学系の投射レンズにおける光の入射領域を意味する。即ち、液晶装置から出射される光の光路に垂直な断面上で、取り込み絞りによって投射レンズに取り込まれる光の領域を意味する。
取り込み絞りは、例えば開口径が可変な、例えばカメラの絞りの如き可変絞りや、一種又は複数種類の開口径の絞りを交換して用いて構成される。取り込み絞りを用いることにより、光取り込み領域を、上述したような実際の投射型表示装置における投射レンズの断面形状に対応する構成とすることが可能となる。即ち、本発明に係る光学特性評価装置では、好ましくは、取り込み絞りの開口部における開口径及び開口の形状は、上述したような実際の投射型表示装置における投射レンズの断面形状に鑑み構成される。よって、この態様によれば、実際の投射型表示装置と同様に、液晶装置からの出射光を制限することが可能となる。
また特に、取り込み絞りによって、例えば、一対の基板間における組みずれに起因して斜めの光成分を相対的に多く含む液晶装置からの出射光の光束断面上で、該出射光のうち周辺寄りの光部分を遮断できる。他方で実機の場合には、このような組ずれに起因した斜めの光成分は、実際のプロジェクタ等の投射光学系により概ね制限されるので、例えば投影画面上など、実機におけるコントラスト比に対して影響は殆どない。従って、上述のように取り込み絞りを投射レンズの前段に挿入することで、実際に投影した状態と同じような状態を構築すれば、実機におけるコントラスト比の測定を高精度で行える結果となる。
このように、取り込み絞りの開口部を介して投射レンズに取り込まれた光は、測定部に対して、実際の投射型表示装置と同様に、投射レンズによって投射される。この際、液晶装置では、所定の検査パターンの表示として例えば全黒表示又は全白表示が行われる。液晶装置からの透過光は表示光として出射され、投射光学系によって測定部に投射される。尚、投射光学系には、投射レンズに対して、該投射レンズからの出射光を制限する絞りが設けられるのが好ましい。このようにすれば、より実際の投射型表示装置に近い状態で、測定部に光を入射させることが可能となる。
この態様では、前記投射レンズは、前記取り込み絞りにより取り込まれた光の光路上で、前記取り込み絞りに対して他の光学部材を介することなく隣接していてもよい。
この態様によれば、光路上で、取り込み絞り及び投射レンズは、他の光学部品を介することなく、例えば空気等の媒質を介して又は接触するように配置されている。このため、上述の如く、投射レンズに取り込まれる光を、取り込み絞りの開口部によって高精度で取り込むことが可能となり、液晶装置の光学特性について精度の高い測定を行うことが可能となる。
本発明に係る光学特性評価装置の他の態様では、前記取り込み絞りは、取り外し可能に構成されていてもよい。
この態様によれば、取り込み絞りを取り外したり取り付けたりして液晶装置の光学特性を測定することにより、組みずれを検出することが可能となる。ここに、液晶装置の製造において、一対の基板が位置ずれして貼り合わされると、組みずれが生じることになる。組みずれの度合いが大きい程、液晶装置からの出射光には、該液晶装置の光出射面に対して鉛直方向と異なる方向に向かう光が相対的に多く含まれることになる。
また、実際の投射型表示装置では、投射レンズの断面形状は、液晶装置からの出射光のうち該液晶装置の光出射面に対して鉛直方向に向かう光が多く入射されるように構成される。
よって、取り込み絞りを取り外した状態で、組みずれの度合いが許容範囲外の液晶装置の光学特性を測定すると、得られる測定値と実際の投射型表示装置における測定値との相関性は低くなる。
取り込み絞りを取り付けると、組みずれの度合いが許容範囲外の液晶装置についても、実際の投射型表示装置と同様に、当該液晶装置からの出射光を制限することが可能となる。即ち、投射光学系における投射レンズには、液晶装置からの出射光のうち該液晶装置の光出射面に対して鉛直方向に向かう光が多く取り込まれる。よって、取り込み絞りを取り付けた状態で、電気光学装置における組みずれの度合いが許容範囲内であっても許容範囲外であっても、該液晶装置の光学特性を測定すると、得られる測定値と実際の投射型表示装置における測定値との相関性は高くなる。
よって、測定部によって測定される光学特性について、取り込み絞りを取り付けた状態での測定値と、取り込み絞りを取り外した状態での測定値との相関をとることによって、液晶装置における組みずれが許容範囲内か否かについて調べることが可能となる。
また、液晶装置の光学特性として、配光分布に基づいて視角特性を得ることも可能である。そして、取り込み絞りを取り付けた場合と、取り込み絞りを取り外した場合とで、該視角特性を比較することによって、液晶装置における組みずれが許容範囲内か否かについて調べることが可能となる。
本発明に係る光学特性評価装置の他の態様では、前記光源から出射された光を集光する集光手段を更に備えていてもよい。
この態様によれば、集光手段を用いることにより、光源から出射する光を効率良く液晶装置に照射させることが可能となる。尚、集光手段に絞りを設けて、該絞りによって集光手段からの出射光が制限されるのが好ましい。このようにすれば、実際の投射型表示装置と同様に液晶装置に対して光を入射させることが可能となる。
本発明に係る液晶装置の製造方法は上記課題を解決するために、一対の基板間に液晶分子の誘電率異方性が負である液晶層が挟持されてなる液晶装置を製造する方法であって、上述した光学特性評価装置を用いて液晶装置の光学特性を検査する検査工程を備える。
本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、上述した光学特性評価装置を用いて液晶装置を検査することから、液晶装置を選別する指標となる透過率、及びコントラスト等の光学特性を正確に検査でき、液晶装置が良品或いは不良品であるか否かを正確に検査できる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態を図を参照しつつ説明する。
<1:第1実施形態>
先ず、本発明に係る光学特性評価装置の第1実施形態を、図1から図8を参照して説明する。
<1−1:液晶装置の構成>
本実施形態に係る光学特性評価装置による評価対象である液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶パネルの平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。
ここでは、液晶装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。この液晶装置は、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置においてライトバルブとして用いられる。
図1及び図2において、液晶装置1では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、液晶装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
画像表示領域10aの周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。尚、外部回路接続端子102と別に後述する検査用駆動信号が印加される検査用の端子(図示省略)が設けられてもよい。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。
液晶層50は、誘電率異方性が負である液晶分子を含んで構成されている。したがって、液晶装置1は、垂直配向(VA)モードで液晶分子の配向が制御される液晶装置である。尚、本発明に係る光学特性評価装置の評価対象となり得る液晶装置は、誘電率異方性が負である液晶分子を有する液晶装置に限定されるもではなく、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる液晶装置であってもよい。
また、液晶装置1を液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に組み込む場合には、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々の対向面の背面側には配向方向に応じた偏光板(図示省略)が配置される。図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
<1−2:画素部における構成>
以下では、本実施形態における液晶装置の画素部における構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、液晶装置の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
図3において、液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。本実施形態では、液晶層50に含まれる液晶分子がVAモードで配向が規制されるため、ノーマリーブラックモードで画像表示領域10aに画像が表示される。即ち、液晶装置1の動作時には、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置1から画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。このようなノーマリーブラックモードで画像を表示する液晶装置1をプロジェクタのライトバルブに用いる場合、液晶装置1の光入射側及び光出射側の夫々の側には、透過軸が互いに直交するように2枚の偏光板が配置される。したがって、後述するように、液晶装置1の光学特性を評価する際には、液晶装置1の光入射側及び光出射側の夫々の側に配置された偏光板の透過軸が互いに直交するように偏光板を回転させることによって、液晶装置1が実際にプロジェクタに配置された状態で光学特性が評価される。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
図1において、走査線駆動回路104は、上述の如く走査信号G1、G2、・・・、Gmを所定タイミングで走査線3aに供給し(図3参照)、データ線駆動回路101は、上述の如く画像信号S1、S2、・・・、Snを所定タイミングでデータ線6aに供給する(図3参照)。
<1−3:光学特性評価装置の構成>
次に、図4乃至図7を参照しながら、本発明に係る光学特性評価装置の実施形態であって、液晶装置1の光学特性を評価するための光学特性評価装置400(以下、評価装置400と称す。)の構成を説明する。図4は、評価装置400の構成を、その光路に沿った横断面上で概略的に示した図式的構成図である。図5は、液晶装置1の光学特性(コントラスト、白照度、及び黒照度)と、第2偏光板45bを回転角度の関係を示すグラフである。図6は、液晶装置1における液晶層に印加される駆動電圧と、透過率との関係を光の波長毎に示したグラフである。図7は、液晶装置に位相差板を配置しない場合と、配置した場合との夫々における液晶装置1のコントラストを示したグラフである。
図4において、評価装置400は、主要部として、光源42及び入射側光学系43、投射レンズ406を含む投射光学系47、取り込み絞り46、測定部48、本発明に係る「第1回転手段」の一例を構成する回転機構81a、81b、並びに本発明に係る「第2回転手段」の一例を構成する回転機構82a及び82bを備えている。入射側光学系43は、本発明に係る「集光手段」に相当し、光源42及び入射側光学系43によって本発明に係る「光源手段」の一例が構成されている。
図4において、光源42はファイバ式として構成されており、入射側光学系43に均一でムラのない光を照射することが可能となる。尚、光源42を、レーザ装置や蛍光管を用いて構成してもよい。
入射側光学系43には、光の入射側から順に第1のレンズ402a、第2のレンズ402b、及び第3のレンズ402cが共通の光軸40に沿って設けられている。第1のレンズ402aと第2のレンズ402bとの間には第1の絞り404aが設けられている。また、第2のレンズ402bと第3のレンズ402cとの間には第2の絞り404bが設けられている。第1の絞り404aによって、第1のレンズ402aからの出射光を制限して、第2のレンズ402bに入射される光を調整する。また、第2の絞り404bによって、第2のレンズ402bからの出射光を制限して、第3のレンズ402cに入射される光を調整する。
入射側光学系43と投射光学系47との間には、ステージ401が設けられており、このステージ401上に液晶装置1が保持される。液晶装置1は、対向基板20側からステージ401を介して光が入射されTFTアレイ基板10側から透過光が出射されるように配置されている。即ち、対向基板20の液晶層50に面する側と反対側の面がステージ401に保持されると共に、TFTアレイ基板10の液晶層50に面する側と反対側の面が液晶装置1の光出射面となる。図4において、液晶装置1は、光出射面に対して光軸40が鉛直となるように、水平にステージ401上に保持される。また、図4には、第1偏光板45a及び第2偏光板45bが液晶装置1に対して、評価装置400の光路に配置されている。
図4において、入射側光学系43における第3のレンズ402cからの出射光は、第1偏光板45a及びステージ401を介して液晶装置1に入射される。上述したように、第2の絞り404bによって、第3のレンズ402cに入射される光を調整することにより、液晶装置1に入射される光を調整できる。
ステージ401は、図4中矢印Aで示すように、評価装置400において水平方向(図中左右方向)にスライド可能に構成されている。ステージ401には、基準照度測定用開口部403が設けられている。ステージ401をスライドさせることによって、第1偏光板45a及び第2偏光板45b、並びに液晶装置1の代わりに基準照度測定用開口部403を光路に配置させることも可能である。
ここで、液晶装置1は、VAモード駆動されるため、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々の透過軸が互いに直交していない場合には、液晶装置1のコントラストを正確に評価できない。より具体的には、図5に示すように、液晶装置1の非動作時における液晶装置1の表示面の照度(黒照度)と、液晶装置1の動作時における液晶装置1の表示面の照度(白照度)とは、液晶装置1がVAモードで駆動されることに起因して第2偏光板45bの回転角度に応じて大きく変動する。したがって、白表示及び黒表示の夫々における表示面の照度の比であるコントラストも、第2偏光板45bの回転角度に応じて大きく変動する。したがって、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々の透過軸が相互に直交する位置から、例えば1°或いは2°のように僅かに透過軸がずれている場合であっても、液晶装置1のコントラスト等の光学特性が正しく測定されないことになる。
そこで、光学特性評価装置400では、回転機構81bが、評価装置400による液晶装置1の光学特性評価時に、第1偏光板45aを固定した状態で、光軸40を中心にして第2偏光板45bを回転させ、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々に透過軸を相互に直交させる。第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々の透過軸を相互に直交させることによって、VAモードで配向が規制される液晶を用いた液晶装置1の光学特性を正確に評価できる。尚、評価装置400によって評価される液晶装置が、VAモード以外の駆動モードで配向が規制される場合、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々の透過軸が交差する角度は、評価対象となる液晶装置に応じて適宜設定されることは言うまでもない。また、本実施形態では、第2偏光板45bを回転させる場合を例に挙げたが、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々を光軸40を中心にして回転させることによって透過軸の交差状態を調整してもよいし、第2偏光板45bを固定して第1偏光板45aを回転させてもよい。
また、光源42は、白色光源であるため、白色光源をそのまま用いたのでは、液晶装置1の光学特性について、液晶装置1に入射する入射光の波長に対する光学特性の波長依存性を評価することができない。より具体的には、図6に示すように、液晶装置1は、赤色光、緑色、及び青色光の夫々について、液晶を駆動する駆動電圧及び透過率の関係(即ちV−T特性)が相互に異なる。したがって、白色光源をそのまま用いたのでは、液晶装置1のV−T特性を光の波長毎に評価することが難しい。
そこで、光学特性評価400では、第1偏光板45aと第3のレンズ402cとの間に、本発明に係る「光学フィルタ」の一例であるダイクロイックフィルタ56を配置するためのスペースS1が確保されており、評価装置400による液晶装置1の評価時に、スペースS1にダイクロイックフィルタ56が配置される。ダイクロイックフィルタ56は、光源42から出射された光源光のうち所定の波長を有する光を液晶装置1に入射させる。より具体的には、光源光が白色光である場合、当該白色光から所定の波長を有する光として、赤色光、緑色、及び青色光の夫々を選択的に液晶装置1に入射させることができる。したがって、評価装置400によって、液晶装置1の光学特性を、白色光源を用いた場合でも入射する光の波長に応じて(例えば、赤色光、緑色光、及び青色光の夫々について)評価することが可能であり、光学特性の波長依存性を評価できる。これにより、評価装置400によって、液晶装置1のV−T特性を評価できる。
また、図7に示すように、第1偏光板45a及び第2偏光板45bの夫々と、液晶装置1との間に位相差板を設けた場合とでは、図中サンプルA、B及びCの測定結果に示されるように、液晶装置1のコントラストに差が生じることが、本願発明者によって確認されている。
そこで、光学特性評価装置400では、第1偏光板45a及びステージ401の間に確保されたスペースS2には、位相差板55aが配置されている。第2偏光板45b及び液晶装置1の間に確保されたスペースS3には、位相差板55bが配置されている。回転機構82a及び82bの夫々は、評価装置400による液晶装置1の光学特性の評価時に、位相差板55a及び55bを光軸40を中心にして回転させ、位相差板のマッチングをとる。このように、位相差板55a及び55bを回転させながら液晶装置1の光学特性を評価することによって、実際にプロジェクタに液晶装置1が配置された状態と同じ条件下で、液晶装置1の光学特性を測定できるため、実機に近い状態における液晶装置1の光学特性を正確に測定できる。
液晶装置の光学特性は、液晶装置1に入射する光の波長に応じて異なり、波長依存性を有している。したがって、液晶装置1に入射する光の波長に応じた位相差板のマッチング、或いは液晶装置に入射する光の入射角及び液晶装置1から位相差板55bに出射される光の出射角を変えながら位相差板55a及び55bのマッチングを評価することも可能である。なお、位相差板55a及び55bを回転させながら、測定部48が備える照度計によって液晶装置1の表示面における照度を測定することができる。
取り込み絞り46は、第2偏光板45bを介して液晶装置1から出射される光が入射されるように配置されている。投射光学系47は、投射レンズ406及び第3の絞り404cを備えている。投射レンズ406には、取り込み絞り46を介して液晶装置1からの出射光が入射される。
測定部48は、投射レンズ406からの出射光が第3の絞り404cを介して入射する照度計410、及び該照度計410に接続された検査端末412を備えている。第3の絞り404cによって、投射レンズ406から出射した光を制限して、照度計410に入射される光を調整する。検査端末412は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等により構成される。
尚、評価装置400には、液晶装置1に対して評価用駆動信号を供給するための評価用駆動手段(図示省略)が設けられることが好ましい。評価用駆動手段は、例えば、評価用駆動信号を、液晶装置1の外部回路接続用端子又は評価用の端子に印加するためのプローブや、フレキシブルコネクタを介して印加するための接続部を有する。
<1−4:液晶装置の評価>
次に、図4及び図8を参照して、評価装置400によって行われる液晶装置1の光学特性の評価について説明する。図8は、液晶装置1のコントラスト及び透過率の測定結果を示したグラフである。図8(a)には、液晶装置1の光学特性として透過率の測定結果について示してあり、及び図8(b)には、液晶装置1の光学特性としてコントラストの測定結果について示してある。
液晶装置1の評価時、評価用駆動手段から液晶装置1に評価用駆動信号が出力される。液晶装置1では、供給された評価用駆動信号に基づいて、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101より出力される走査信号G1、G2、・・・、Gm及び画像信号S1、S2、・・・、Snが各画素部に供給されることによって、画像表示領域10aに所定の評価パターンが表示される。本実施形態では、画像表示領域10aにおいて、所定の評価パターンの表示は好ましくは全白表示又は全黒表示として行われる。より具体的には、液晶装置1は、ノーマリーブラックモードで駆動されるため、評価用駆動信号が供給されていない状態で全黒表示を行い、当該黒表示を行った際の表示面の照度(黒照度)が測定される。また、液晶装置1は、評価用駆動信号が供給された状態で白表示を行い、測定部48によって白表示を行った際の表示面の照度(白照度)が測定される。尚、ノーマリーホワイトモードで駆動される液晶装置であれば、評価用駆動信号が印加されていない状態で、全白表示の検査を行なうことも可能である。
投射レンズ406における光取り込み領域は、取り込み絞り46の開口径及び開口の形状によって規定される。よって、取り込み絞り46によって、実際の投射型表示装置と同様に、液晶装置1からの出射光を調整することが可能となる。
更に、図4に示す評価装置400の構成によれば、入射側光学系43に設けられた第1の絞り404a及び第2の絞り404bによって、上述したような光の調整を行うことにより、実際の投射型表示装置と同様に、液晶装置1に光を照射することが可能となる。更に、投射光学系47に設けられた第3の絞り404cによって、投射レンズ406からの出射光を調整することにより、実際の投射型表示装置と同様に照度計410に光を入射させることが可能となる。
測定部410において、照度計410は入射された光の照度を測定する。そして、検査端末412は、測定された照度に基づいて、液晶装置1の光学特性として透過率又はコントラストを算出する。尚、照度計410による照度の測定時には、上述したように、ダイクロイックフィルタ56によって液晶装置1に入射する光の波長を限定してもよいし、第2偏光板45bを回転させながら測定してもよい。また、位相差板55a及び55bを回転させながら照度を測定してもよい。このようにすれば、液晶装置1のコントラスト或いは透過率等の光学特性を正確に測定できるだけでなく、その波長依存性も評価できる。加えて、位相差板のマッチングもとることが可能である。
ここで、透過率の測定は、次のように行われる。評価装置400において、ステージ401をスライドさせて基準照度測定用開口部403を光路に配置させる。この状態で、投射レンズ406には取り込み絞り46を介して、基準照度測定用開口部403を通過した第3のレンズ402cの出射光が入射される。よって、照度計410では、第1偏光板45a及び第2偏光板45b、並びに液晶装置1を光路に配置していない状態において、投射レンズ406から出射される光の照度が測定される。このように測定された照度が基準照度とされる。
他方、照度計410では、第1偏光板45a及び第2偏光板45b並びに液晶装置1を光路に配置した状態において、投射レンズ406から出射される光の照度が測定される。
検査端末412は、透過率として、基準照度と、偏光板45a及び45b並びに液晶装置1を光路に配置した状態で測定された照度との比を算出する。図8(a)には、このように算出された透過率について、実際の投射型表示装置において同一の液晶装置1を用いて同様に測定された透過率との相関を表すグラフを示してある。尚、図8(a)には、横軸に実際の投射型表示装置における照度の測定値をとり、「実機プロジェクタの測定値」として示してあり、縦軸に評価装置400における透過率の測定値をとり、「検査装置の測定値」として示してある。
図8(a)において、実際の投射型表示装置における照度の測定値と、これら測定値の各々と対応する評価装置400における照度の測定値は、互いに比例関係を示すと共に、その相関値はほぼ0.98となる。
次に、コントラストの測定について説明する。評価装置400において、液晶装置1は所定の検査パターンの表示として全白表示及び全黒表示を行う。そして、照度計410では、全白表示及び全黒表示の夫々において、投射レンズ406から出射される光の照度が測定される。検査端末412は、コントラストとして、全白表示において測定された照度と全黒表示において測定された照度との比を算出する。
図8(b)には、このように算出されたコントラストについて、実際の投射型表示装置において同一の液晶装置1を用いて同様に測定されたコントラストとの相関を表すグラフを示してある。尚、図8(b)には、横軸に実際の投射型表示装置におけるコントラストの測定値をとり、「実機プロジェクタの測定値」として示してあり、縦軸に評価装置400におけるコントラストの測定値をとり、「検査装置の測定値」として示してある。
図8(b)において、実際の投射型表示装置におけるコントラストの測定値と、これら測定値の各々と対応する評価装置400におけるコントラストの測定値は、互いに比例関係を示すと共に、その相関値はほぼ0.96となる。
以上説明したように、評価装置400によれば、同一の液晶装置の光学特性について、実際の投射型表示装置における測定と相関のとれた測定を行うことができる。加えて、液晶装置1の光入射側及び光出射側の夫々に配置される偏光板の透過軸を相互に直交させて光学特性が測定できるため、液晶装置の光学特性について精度の高い測定を行うことが可能となる。また、液晶装置の光学特性の波長依存性も評価できるうえ、位相差板のマッチングもとることができる。
<1−5:液晶装置の製造方法>
次に、図9を参照しながら、本発明に係る液晶装置の製造方法の実施形態を説明する。図9は、本実施形態に係る液晶装置の製造方法の主要な工程を示したフローチャートである。ここでは、液晶装置1を製造する場合を例に挙げる。
図9において、シール材でTFTアレイ基板10及び対向基板20を貼り合わせた(ステップS31)後、これら基板間に液晶を注入し、液晶装置1を組み上げる(ステップS32)。次に、上述した評価装置400を用いて、液晶装置1の光学特性を検査する(ステップS33)。これにより、液晶装置1のコントラスト等の光学特性が設計通りに、或いは、良品と判断される基準値を満たしているか否かが検査される。したがって、本実施形態に係る液晶装置の製造方法によれば、高品位の液晶装置のみを迅速に選別できる。尚、TFTアレイ基板10及び対向基板20を貼り合せる前にいずれか一方の基板上に液晶を配置し、その後TFTアレイ基板10と対向基板20を貼り合わせることによって液晶装置1を組み上げてもよい。
<1−6:取り込み絞り>
次に、図10を参照しながら、本発明に係る光学特性評価装置の取り込み絞りについて説明する。図10は、取り込み絞り46の構成例を概略的に示す斜視図である。
評価装置400において、取り込み絞り46は、例えば次のように取り外し可能に構成されている。図10において、取り込み絞り46は、保持板部材602に保持された状態で、評価装置400における光路に設置される。保持板部材602には、取り込み絞り46の外形と対応する形状を有する開口部602aが設けられている。保持板部材602は、取り込み絞り46を開口部602aにはめ込むことによって取り付けたり、開口部602aから取り込み絞り604を取り外し可能に構成されている。なお、取り込み絞り46だけではなく、図4の絞り404a、404b、404cも同じく取り外し可能である。つまり、絞りΦを変えることが可能である。
次に、図8(a)及び図8(b)に示す測定結果が得られた液晶装置について、取り込み絞り46を取り外した状態で、透過率及びコントラストの測定を行って得られた測定結果について
説明する。
実際の投射型表示装置における透過率の測定値と、これら測定値の各々と対応する評価装置400における透過率の測定値は、図8(a)と同様に比例関係を示すものの、その相関値は約0.98から約0.89に低下する。
また、実際の投射型表示装置におけるコントラストの測定値と、これら測定値の各々と対応する評価装置400におけるコントラストの測定値は、図8(b)と同様に比例関係を示すものの、その相関値は約0.96から約0.45に低下する。
このように、取り込み絞り46を取り外した状態で、評価装置400におけるコントラスト及び透過率の測定値と、実際の投射型表示装置におけるコントラスト及び透過率の測定値との相関値が低下するのは、以下のような理由による。
液晶装置における組みずれの度合いが大きくなるに従って、液晶装置からの出射光には、該液晶装置の光出射面に対して鉛直方向と異なる方向に向かう光が多く含まれることになる。
また、実際の投射型表示装置では、投射レンズの断面形状は、液晶装置からの出射光のうち該液晶装置の光出射面に対して鉛直方向に向かう光が多く入射されるように構成される。
よって、取り込み絞り46を取り外した状態でコントラスト又は透過率を測定すると、液晶装置における組みずれの度合いが大きい程、得られる測定値と実際の投射型表示装置における測定値との相関性は低くなる。
他方、取り込み絞り46を取り付けると、組みずれの度合いが許容範囲外の液晶装置についても、実際の投射型表示装置と同様に、当該液晶装置からの出射光を制限することが可能となる。即ち、投射光学系47における投射レンズ406には、液晶装置1からの出射光のうち該液晶装置1の光出射面に対して鉛直方向に向かう光が多く入射される。よって、取り込み絞り46を取り付けた状態で、組みずれの度合いが許容範囲外の液晶装置のコントラスト又は透過率を測定すると、得られる測定値と実際の投射型表示装置における測定値との相関性は高くなる。
よって、評価装置400における、取り込み絞り46を取り付けた状態での測定値と、取り込み絞り46を取り外した状態での測定値との相関をとることによって、液晶装置における組みずれが許容範囲内か否かについて調べることが可能となる。例えば、取り込み絞り46を取り付けた状態での相関係数と、取り外した状態での相関係数との差が、相対的に小さければ、このとき評価対象とされている液晶装置における組みずれの度合いは相対的に小さいと判定できる。逆に、この差が、相対的に大きければ、このとき評価対象とされている液晶装置における組みずれの度合いは相対的に大きいと判定できる。このため、例えば、許容範囲となる組ずれの度合いに対応する相関係数の差についての閾値を予め設定しておけば、評価結果として得られる該相関係数の差がこの閾値を超えたか否かによって、組ずれの度合いが許容範囲に入っているか否かを簡単に判別できることになる。
尚、評価装置400において、検査端末412は、液晶装置の光学特性を、測定された照度や算出したコントラストの分布によって表される配光分布として示すようにしてもよい。更に、検査端末412において、配光分布に基づいて視角特性を示す出力データが生成されるのが望ましい。
<2:第2実施形態>
以上説明した、第1実施形態の変形例について説明する。図4に示す評価装置400において、取り込み絞り46は、相異なる開口径を有する複数の絞りであってそれらのうち一つが選択されて液晶装置1に対して配置可能に構成されてもよい。
取り込み絞り46は、例えば図10を参照して説明したような構成とする。そして、保持板部材602の開口部602aに対して、相異なる開口径を有する複数の絞りを交換して取り付けるようにする。このようにすれば、評価装置400において、複数種類の液晶装置を交換して光学特性について評価する場合も、該液晶装置の種類に応じて取り込み絞り46として複数の絞りを交換して用いることが可能となる。その結果、液晶装置の光学特性についてより精度の高い測定を行うことができる。
また、評価装置400における光路に、取り込み絞り46が、液晶装置1に対して、その基板面に沿った方向に移動可能に設けられるのが好ましい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光学特性評価装置及び液晶装置の製造方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1・・・液晶装置、10・・・TTFアレイ基板。20・・・対向基板、81b,82a,82b・・・回転機構、45a・・・第1偏光板、45b・・・第2偏光板、55a,55b・・・位相差板、400・・・光学特性評価装置