JP4250936B2 - ビス(ビシナルジチオール)の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター、光学素子接着剤等の光学材料用途に有用なビシナルジチオールを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チオール化合物等の含硫黄化合物によるプラスチックレンズ材料は、屈折率とアッベ数のバランスに優れた光学特性によって、眼鏡用プラスチック用途で、現在広く利用されている。中でもビシナルジチオールは、硫黄含有率が高く屈折率が高くなり、さらには得られる重合体の架橋密度が高められるためにこの用途に理想的な構造である。
【0003】
ビシナルジチオールの製法としては、ビシナルジオールおよびビシナルジハライドとチオ尿素の反応によるものが多く提案されているが、重合や転位反応等を伴い、収率が低かった。また、チイラン環を有する化合物と硫化水素または水硫化アルカリによるものが提案されているが、多量化反応等を併発し、収率が低かった。エチレンスルフィドと硫化水素の室温での反応ではエタンジチオールは収率49%であった(例えば、非特許文献1参照)。シクロヘキセンスルフィドと水硫化カリウムの反応ではシクロヘキサンジチオールは収率38%であった(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】
E.M.J.Meadeら,J.Chem.Soc.,1894(1948)
【非特許文献2】
C.C.J.Culvenorら,J.Chem.Soc.,282(1949)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ビシナルジチオールを高収率で得られる製造方法を開発することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らはこの発明の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、硫化水素と1個以上のチイラン環を有する化合物を10℃以下で反応させることにより、効率的にビシナルジチオールを製造できるようになることを見い出し、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する1個以上のチイラン環を有する化合物は、1個以上のチイラン環を有していればその他の構造は任意であり、別途官能基を有していても構わず、チイラン環の個数も制限はない。
【0008】
具体例としては、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、シクロヘキセン、スチレンスルフィド、チオグリシドール、チオグリシジル酢酸エステル、チオグリシジルプロピオン酸エステル、チオグリシジル安息香酸エステル、1,1−ビス(エピチオエチル)メタン、1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)メタン、1,1−ビス(β−エピチオプロピル)メタン1−(エピチオエチル)−1−(β−エピチオプロピル)エタン 、1,2−ビス(β−エピチオプロピル)エタン、1−(エピチオエチル)−3−(β−エピチオプロピル)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)プロパン、1−(エピチオエチル)−4−(β−エピチオプロピル)ペンタン、1,4−ビス(β−エピチオプロピル)ブタン、1−(エピチオエチル)−5−(β−エピチオプロピル)ヘキサン、1−(エピチオエチル)−2−(γ−エピチオブチルチオ)エタン、1−(エピチオエチル)−2−〔2−(γ−エピチオブチルチオ)エチルチオ〕エタン、テトラキス(β−エピチオプロピル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピル)プロパン、1,3−ビス(β−エピチオプロピル)−1−(β−エピチオプロピル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピル)−2,4−ビス(β−エピチオプロピル)−3−チアペンタン、(1,3または1,4)−ビス(エピチオエチル)シクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピル)シクロヘキサン、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕メタン、 ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕メタン、 2,2−ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)シクロヘキシル〕スルフィド、ビス〔4−(エピチオエチル)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(エピチオエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピル)−1,4−ジチアン、4−エピチオエチル−1,2−シクロヘキセンスルフィド、4−エポキシ−1,2−シクロヘキセンスルフィド、メチルチオグリシジルエーテル、エチルチオグリシジルエーテル、プロピルチオグリシジルエーテル、ブチルチオグリシジルエーテル、ビス(β−エピチオプロピル)エーテル、ビス(β−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−3−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシエチル〕オキシ]エタン、ビス(5,6−エピチオ−3−オキサヘキシル)セレニド、ビス(5,6−エピチオ−3−オキサヘキシル)テルリド、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5−(β−エピチオプロピルオキシメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルオキシエチル)オキシメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、 2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシエチルオキシメチル)−1,4−ジチアン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピル)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−3−(β−エピチオプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、(1,3または1,4)−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル、ビス(β−エピチオプロピル)セレニド、ビス(β−エピチオプロピル)ジセレニド、ビス(β−エピチオプロピル)トリセレニド、ビス(β−エピチオプロピルセレノ)メタン、ビス(β−エピチオプロピル)テルレド、ビス(β−エピチオプロピル)ジテルレド、ビス(β−エピチオプロピル)トリテルレド、ビス(β−エピチオプロピルテルロ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルテルロ)エタン、ビニルフェニルチオグリシジルエーテル、ビニルベンジルチオグリシジルエーテル、チオグリシジルメタクリレート、チオグリシジルアクリレート、アリルチオグリシジルエーテル等があげられ、さらには、以上列記のエピスルフィド化合物のエピチオ基の水素の1個以上がメチル基で置換されたエピスルフィド類等があげられる。
【0009】
以上、具体的に列記したが本発明で使用するチイラン環を有する化合物は、上記の例示化合物だけに限定されるものではなく、また1種類でも2種類以上を混合して使用しても構わない。
【0010】
眼鏡用プラスチック用途を考慮した場合、チイラン環を2個以上有する化合物が好ましい。また、屈折率とアッベ数バランスに優れた光学特性を発現するために、下記(1)式で表される化合物がより好ましい。
【0011】
【化1】
(式中、a、b、c、d、eおよびfは各々独立で0〜3の整数を表す。)
【0012】
本発明の製造方法における反応温度は10℃以下であり、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下である。反応温度が10℃を超える場合、主反応であるビシナルジチオール生成反応が速められるが、硫化水素の溶解度も下がることもあり、副反応である多量化反応がそれを大きく上回る速さで進行し、収率が低下する。
【0013】
本発明の製造方法において反応溶媒を使用することは、副反応である多量化反応を抑制し反応成績を高める上で有効な方法である。反応溶媒を使用する場合は、通常、1個以上のチイラン環を有する化合物が0.001mol/L〜10mol/Lとなる濃度の範囲で使用され、好ましくは1個以上のチイラン環を有する化合物が0.01mol/L〜5mol/Lとなる濃度の範囲で使用される。この場合の反応溶媒としては、ハロゲン炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、窒素化合物、硫黄化合物およびリン化合物から選ばれた1種類または2種類以上を使用する。具体例を以下に示す。
【0014】
(1)塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、塩化エチレン、塩化エチリデン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、塩化ビニリデン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2,3−トリクロロプロパン、塩化イソプロピル、塩化アリル、1,2−ジクロロプロパン、塩化ブチル、塩化アミル、ジクロロペンタン、塩化へキシル、塩化−2−エチルヘキシル、臭化メチル、臭化エチル、臭化エチレン、テトラブロモエタン、クロロブロモメタン、クロロブロモエチレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、オルトジブロモベンゼン、オルトクロロトルエン、パラクロロトルエン、1−クロロナフタレン、フルオロジクロロメタン、ジフルオロジクロロメタン、フルオロトリクロロメタン、トリフルオロブロモメタン、ジフルオロクロロエタン、1,1,2−トリフルオロ−1,2,2−トリクロロエタン、トリグリコールジクロリド、プロピレンクロロヒドリン、グリセリンクロロヒドリン、グリセリンジクロロヒドリン等のハロゲン炭化水素。
【0015】
(2)メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、第二プロパノール、第三プロパノール、n−アミルアルコール、活性アミルアルコール、i−アミルアルコール、第二アミルアルコール、3−ペンタノール、第三アミルアルコール、フーゼル油、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールのアルコール。
(3)エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、イソアミルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル、アミルフェニルエーテル、オルトクレジルメチルエーテル、メタクレジルメチルエーテル、パラクレジルメチルエーテル、パラ第三アミル−n−アミルエーテル、エチルベンジルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4−ジオキサン、トリオキサン、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シネオール、メチラール、ジエチルアセタール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、1−ブトキシエトキシプロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル。
(4)アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジ−i−プロピルケトン、2,6,8−トリメチルノナノン、アセトン油、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキシド、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジプノン、ショウノウ等のケトン。
(5)ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸−i−ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸−i−アミル、酢酸メチル−i−アミル、酢酸メトキシブチル、酢酸第二ヘキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸メチル−i−ブチルカルビノール、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸−i−アミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸−i−アミル、オキシイソ酪酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、イソ吉草酸−i−アミル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸アミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロチル、安息香酸ブチル、安息香酸−i−アミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸エチル、サリチル酸メチル、アビチエン酸エチル、アビチエン酸ベンジル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジアミル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、セバチン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールアセテート、グリセリンアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリンブチレート等のエステル。
(6)ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、o−ニトロアニソール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、第二ブチルアミン、n−アミルアミン、ジアミルアミン、トリアミルアミン、第二アミルアミン、第二ヘキシルアミン、2−エチルブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−n−ブチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N−アミルアニリン、N,N−ジアミルアニリン、N,N−ジ第三アミルアニリン、p−第三アミルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジエチルベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルエタノールアミン、n−ブチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、ジ−n−ブチルエタノールアミン、トリ−i−プロパノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトンシアンヒドリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、キノリン、イソキノリン、モルホリン、エチルモリホリン、フェニルモリホリン等の窒素化合物。
(7)二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物。
(8)リン酸トリエチル、リン酸トリ−n−ブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のリン化合物。
【0016】
以上、具体的に列記したが本発明で使用する反応溶媒は上記の例示化合物だけに限定されるものではなく、また1種類でも2種類以上を混合して使用しても構わない。例示化合物の中で比較的好ましいものはエーテル、窒素化合物および硫黄化合物である。
【0017】
本発明の製造方法において反応触媒を使用することは、目的の反応速度を上げ副反応を抑制する、すなわち、経済性と反応成績を高める上で有効な方法である。反応触媒を使用する場合は、通常、反応触媒/1個以上のチイラン環を有する化合物=0.0001/10(mol/mol)の濃度の範囲で使用され、好ましくは反応触媒/通常1個以上のチイラン環を有する化合物=0.001/5(mol/mol)の濃度の範囲で使用される。この場合の反応触媒としては、アンモニアおよびアミン、ホスフィン、金属アルコラート、金属水素化物、金属水酸化物、金属炭酸塩および金属硫化物から選ばれた1種類または2種類以上を使用する。具体例を以下に示す。
【0018】
(1)アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミスチリルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピルアミン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン、フルフリルアミン等の1級アミン;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−あるいは4−アミノピペリジン、2−あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、o−、m−、あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、1,4−ビス(アミノエチルピペラジン)、1,4−ビス(アミノプロピルピペラジン)、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン等の1級ポリアミン;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−、3−、4−ピコリン、2,4−、2,6−、3,5−ルペチジン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジナフチルアミン、ピロール、インドリン、インドール、モルホリン等の2級アミン;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−iso−プロピルアミン、トリ−1,2−ジメチルプロピルアミン、トリ−3−メトキシプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−iso−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ−ドデシルアミン、トリ−ラウリルアミン、ジシクロヘキシルエチルアミン、シクロヘキシルジエチルアミン、トリ−シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N、N−ジエチルエタノールアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−4−メチル−1,3,2−ジオキサボルナン等の3級アミン;テトラメチルエチレンジアミン、ピラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス((2−ヒドロキシ)プロピル)ピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジエチルアミノエタノール、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、ヘプタメチルイソビグアニド等の3級ポリアミン;イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス−(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−N−メチルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メルカプト−1−メチル−テトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、アルキルイミダゾールとイソシアヌール酸の付加物、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミジン類;等に代表されるアミン系化合物等のアミン。
(2)トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−iso−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、クロロジフェニルフォスフィン等の等のホスフィン。
【0019】
(3)リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、等の金属アルコラート。
(4)水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等の金属水素化物。
(5)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、等の金属水酸化物。
(6)炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸アルミニウム、炭酸カドミウム、炭酸ニッケル、炭酸銅、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、炭酸マンガン等の金属炭酸塩。
(7)硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム、硫化カリウム、水硫化カリウム、硫化亜鉛、硫化水銀、硫化鉄等の金属硫化物。
【0020】
以上、具体的に列記したが本発明で使用する反応触媒は上記の例示化合物だけに限定されるものではなく、また1種類でも2種類以上を混合して使用しても構わない。
【0021】
本発明の製造方法において酸処理を行うことは、反応生成物の安定性を高め、反応成績を高める上で有効な方法である。酸処理を行う場合は、反応後に酸性化合物を添加し、その後必要に応じて酸性化合物を分離除去する手法で行う。好ましくは、反応後に酸性化合物を添加し、酸性化合物を分離除去する手法、すなわち酸性化合物による洗浄処理である。この場合の酸性化合物としては、有機酸および/または無機酸を使用する。これら酸性化合物を使用する場合、公知の無機および/または有機溶媒で希釈して用いても構わない。具体例を以下に示す。
【0022】
(1)蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ナフテン酸、メチルメルカプトプロピオネート、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、サリチル酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、ベンゾイル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンジル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、サリチル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸類、モノ、ジおよびトリメチルホスフェート、モノ、ジおよびトリエチルホスフェート、モノ、ジおよびトリイソブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリラウリルホスフェート等のリン酸類およびこれらのホスフェート部分がホスファイトとなった亜リン酸類、ジメチルジチオリン酸に代表されるジアルキルジチオリン酸類等の有機チオリン化合物類、フェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、2,6−ジ−t−ブチルエチルフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン、フロログルシン、ピロガロール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸アミド、ヒドロキシフェニル酢酸メチル、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェネチルアルコール、ヒドロキシフェネチルアミン、ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルフェノール、ビスフェノール−A、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビスフェノール−F、ビスフェノール−S、α−ナフトール、β−ナフトール、アミノフェノール、クロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール等のフェノール類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、o−クレゾールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、4B−酸、ジアミノスチルベンスルホン酸、ビフェニルスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、ペリ酸、ローレント酸、フェニルJ酸等のスルホン酸類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸等の有機酸。
(2)硝酸、塩酸、過塩素酸、次亜塩素酸、二酸化塩素、フッ酸、硫酸、発煙硫酸、ホウ酸、ヒ酸、亜ヒ酸、ピロヒ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、硫化リン、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、青酸、クロム酸、無水硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ酸、五酸化燐、無水クロム酸、塩化スルフリル、シリカゲル、シリカアルミナ等の無機酸。
【0023】
以上、具体的に列記したが本発明で使用する酸性化合物は上記の例示化合物だけに限定されるものではなく、また1種類でも2種類以上を混合して使用しても構わない。例示化合物の中で比較的好ましいものは無機酸の水溶液である。
【0024】
本発明の製造方法における硫化水素濃度は、好ましくは20g/L(溶媒)以上、より好ましくは30g/L(溶媒)以上、さらに好ましくは40g/L(溶媒)以上、である。硫化水素濃度が20g/L(溶媒)より低いと、副反応である多量化反応により、オリゴマーが多量に生成する。
【0025】
【発明の効果】
本発明の硫化水素と1個以上のチイラン環を有する化合物を10℃以下で反応させる方法により、ビシナルジチオールを高収率で製造することが可能となった。また、本製造方法では、反応溶媒を使用すること、塩基性の反応触媒を使用すること、硫化水素濃度を20g/L(溶媒)以上として反応することおよび反応後に酸洗浄することは、反応成績を向上させる上で効果的であった。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化合物中の純度分析は以下の方法で行った。
【0027】
純度分析は、下記の2種類の高速液体クロマトグラフィーで行った。
逆相:カラムはODS(PEGASIL−ODS、センシュウ化学社製)、温度は35℃、移動相はセトニトリル/水=1/1、流量は1ml/分、検出器はRIDを使用して測定した。
GPC:カラムはGPC(Shodex GPC K−801)、温度は35℃、移動相はクロロホ ルム、検出器はRIDを使用して測定した。
【0028】
実施例1
反応フラスコにメタノール840mlを仕込み、85%水酸化カリウム6.6g(0.1mol)を加え溶解させ、−10℃に冷却した後、硫化水素51.1g(1.5mol)を吹き込んだ。そこへ、エチレンスルフィド60.12g(1.0mol)を1時間かけて滴下し、−10℃のままで20時間反応させた。反応後、室温にして、過剰の硫化水素を窒素バブリングで取り除き、溶媒を減圧留去した。その後、トルエン180ml加え溶液とし、これを10%硫酸180ml、次いで水180mlで3回洗浄した後、トルエンを減圧留去した。収量は86.7gであり、1,2−エタンジチオールの粗体収率は92%であった。この反応混合物を逆相およびGPCによる純度分析した。結果を表1に示した。
【0029】
実施例2
溶媒のメタノールを使用せず、表1に示す製造条件で反応する以外は実施例1を繰り返した。収率、逆相およびGPCによる純度を表1に示した。
【0030】
実施例3
反応フラスコにテトラヒドロフラン1000mlを仕込み、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を4.4g(0.29mol)加え、−10℃に冷却した後、硫化水素117g(3.4mol)を吹き込んだ。そこへ、ビス(β−エピプロピル)スルフィド100g(0.56mol)を1時間かけて滴下し、−10℃のままで20時間反応させた。反応後、室温にして、過剰の硫化水素を窒素バブリングで取り除き、溶媒を減圧留去した。その後、トルエン300ml加え、これを10%硫酸300ml、次いで水300mlで3回洗浄した後、トルエンを減圧留去した。収量は135gであり、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィドの粗体収率は98%であった。この反応混合物を逆相およびGPCによる純度分析した。結果を表1に示した。
【0031】
実施例4
反応フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド1000mlを仕込み、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7を4.4g(0.29mol)加え、−10℃に冷却した後、硫化水素185g(5.4mol)を吹き込んだ。そこへ、ビス(β−エピプロピル)スルフィド100g(0.56mol)を1時間かけて滴下し、−10℃のままで8時間反応させた。反応後、室温にして、過剰の硫化水素を窒素バブリングで取り除き、溶媒を減圧留去した。その後、トルエン300ml加え、これを10%硫酸300ml、次いで水300mlで3回洗浄した後、トルエンを減圧留去した。収量は130gであり、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィドの粗体収率は96%であった。この反応混合物を逆相およびGPCによる純度分析した。結果を表1に示した。
【0032】
実施例5〜10、比較例1〜3
表1に示すチイラン環化合物を原料として、表1に示す製造条件で反応する以外は実施例3を繰り返した。収率、逆相およびGPCによる純度を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
化合物略号
THF:テトラヒドロフラン
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
DBU:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7
Claims (6)
- 下記(1)式の化合物が、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドまたはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項1記載のビス(ビシナルジチオール)の製造方法。
- ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、窒素化合物および硫黄化合物から選ばれた1種類以上の反応溶媒を使用する請求項1記載のビス(ビシナルジチオール)の製造方法。
- 反応終了後に生成物を酸で処理することを特徴とする請求項1記載のビス(ビシナルジチオール)の製造方法。
- 塩基性化合物の反応触媒を使用する請求項1記載のビス(ビシナルジチオール)の製造方法。
- 反応触媒が、アミン、ホスフィン、金属アルコラート、金属水素化物、金属水酸化物、金属炭酸塩および金属硫化物から選ばれた1種以上である請求項5記載のビス(ビシナルジチオール)の製造方法。
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