JP4250905B2 - 生ごみ処理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物の力を利用して生ごみの分解処理を行う生ごみ処理機に関するもので、より詳しくは生ごみの分解を促進するために撹拌翼から生ごみ処理槽内に空気を噴出するようにした生ごみ処理機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生ごみ処理槽内に微生物の寄生した生ごみ処理材を収容し、生ごみと共に撹拌して発酵分解処理を行う生ごみ処理機が知られている。この生ごみ処理機は、生ごみ処理材と生ごみを収容し発酵分解する生ごみ処理槽と、生ごみ処理材と生ごみを撹拌する撹拌翼と、撹拌翼を回転させるための動力部を備えたものである。このような生ごみ処理機において、生ごみ処理機の処理槽内に収容した生ごみ処理材に寄生する微生物に、効果的に空気を供給するに当たり、撹拌翼に空気噴出口を設けて空気を噴出するようにしたものが特開平8−84980号公報により知られている。また、生ごみ処理槽内に回転自在に配置された撹拌翼を突設した撹拌軸に空気噴出口を設けて空気を噴出するようにしたものが特開平7−204609号公報により知られている。
【0003】
ところで、空気噴出口から空気を噴出するのは撹拌軸を回転して生ごみ処理材と生ごみとを撹拌混合している際に空気を噴出するように運転するものであり、したがって、通常は撹拌軸を回転していないときには空気を噴出しないようになっている。また、撹拌軸を回転している時であっても、生ごみ処理の発酵分解の状態や、投入される生ごみの状態や量により空気を噴出しない場合もある。
【0004】
このように、空気を噴出しない場合、上記したいずれの場合であっても従来では、空気噴出口が開放されたままの状態であるから、空気を噴出していない時に開放された空気噴出口から生ごみ処理材や生ごみが撹拌軸や撹拌翼の内部の空気通路である中空部に入り込んで堆積して固まることで空気噴出口が堆積物により塞がれ、空気噴出口から十分な空気が供給されない事態が生るという問題がある。このように空気噴出口から十分な空気が供給されないと生ごみ処理材に棲息する微生物に、効果的に空気を供給できず、生ごみの処理能力が低下し、安定した空気の供給による生ごみの安定した発酵分解処理ができないという問題がある。
【0005】
また、特開平7−204609号公報に示された従来例は生ごみ処理槽内の内面部付近まで十分に空気を供給できないという問題がある。また、特開平8−84980号公報に示された従来例は、螺旋状の撹拌翼に空気噴出口を設けてあるが、空気噴出口が螺旋状の撹拌翼の側面に撹拌軸とほぼ平行な方向に開口するように設けてあるので、生ごみ処理材及び生ごみが詰まり易いという問題がある。
【0006】
更に、従来例にあっては、空気噴出口が堆積物で詰まった場合に、詰まった堆積物を解消するには生ごみ処理槽内に収容している生ごみ処理材を除去し、手作業で空気噴出口を掃除して詰まった堆積物を除去しなければならず、作業に手間がかかるという問題があるばかりでなく、撹拌軸や螺旋状撹拌翼の中空部内に入り込んで固まっている堆積物は除去できないという問題がある。
【0007】
また、いずれの従来例においても空気噴出口が詰まったことを検知できず、空気噴出口が詰まって十分な空気が供給されていない状態でそのまま運転を継続して、十分な生ごみ処理が行われないまま、次の生ごみが投入されるという事態が生じて、過負荷によって生ごみ処理材の能力が低下してしまい、生ごみ処理材の有効使用期間が短くなるという問題がある。
【0008】
また、特開平8−84980号公報に示された従来例は、螺旋状の撹拌翼の中空部分にヒータ線を入れて空気噴出口から噴出する空気を加熱するようにしているが、上記のように生ごみ処理材が空気噴出口から螺旋状の撹拌翼内の中空部分に入るため、生ごみ処理材がヒータ線に触れると火災等の発生の問題が生じるおそれがある。更に、従来例にあっては、生ごみ処理槽から排気される高温の排気の廃熱や撹拌軸を回転させるための動力部から発生する廃熱は有効に利用されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、空気噴出口内に生ごみ処理材や生ごみが入らずに空気噴出口が詰まり難く、安定した空気の供給による生ごみの安定した発酵分解処理ができ、仮に空気噴出口が堆積物により詰まっても簡単に除去でき、更に、空気噴出口が堆積物で詰まった際にこれを簡単に検知でき、また、生ごみ処理槽から排気される高温の排気の廃熱や撹拌軸を回転させるための動力部から発生する廃熱を有効に利用できる生ごみ処理機を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る生ごみ処理機は、生ごみ処理槽1内に微生物の寄生した生ごみ処理材15を収容し、生ごみと共に撹拌して発酵分解処理を行う生ごみ処理機Aにおいて、生ごみ処理材15と生ごみを収容し発酵分解する生ごみ処理槽1と、生ごみ処理槽1内に回転自在に配置した撹拌軸3と、撹拌軸3に設けられた生ごみ処理材15と生ごみを撹拌する螺旋状の撹拌翼4と、撹拌軸3を回転させるための動力部5と、撹拌軸3乃至撹拌翼4から強制的に空気を噴出するための空気噴出口6と、空気噴出口6から空気を送る送風手段2と、空気噴出口6を開閉する開閉手段7とを備えたものであって、上記処理槽1の内面部に対して小間隙を介して対向する螺旋状の攪拌翼4の外周面部に上記小間隙を介して生ごみ処理槽1の内面部に対向する上記空気噴出口6を設け、攪拌翼4に設けた開閉手段7で攪拌翼4の外周面部に設けた空気噴出口5を直接開閉して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、開閉手段7を開けた状態で撹拌翼4の外周面部に小間隙を介して処理槽1の内面部に対向する上記空気噴出口6から空気を噴出して、小間隙から高圧の空気が生ごみ処理槽1内に噴出することになって、生ごみ処理材及び生ごみが空気噴出口5から内部に入るのを確実に防止しながら生ごみ処理槽1内の内面部付近に十分に空気を供給することができ、また、空気を供給しない時には攪拌翼4に設けた開閉手段7を閉じ、螺旋状をした撹拌翼4の外周面部に設けた空気噴出口6から撹拌翼4の内部に生ごみ処理材や生ごみが入らないようにでき、撹拌翼4の内部の中空部分に生ごみ処理材や生ごみが入って堆積して硬化することで空気噴出口6が詰まるという現象を回避できて、長期間にわたって安定して生ごみ処理槽1内の内面部付近まで安定した量の空気を確実に供給することができる。
【0013】
また、螺旋状をした撹拌翼4の外周面部の巾方向の両側を生ごみ処理槽1の内面側に向けて突出させて撹拌翼4の外周面部の両突出部8a間を凹溝部8とし、この凹溝部8の溝底部分に空気噴出口6を設けることが好ましい。このような構成とすることで、凹溝部8の溝底部分の空気噴出口6から、凹溝部8と生ごみ処理槽1の内面部との間に形成される空気噴出用の空間に空気が噴出し、更にこの空気噴出用の空間に噴出した空気が凹溝部8の巾方向の両側の突出部8と生ごみ処理槽1の内面部との間の小間隙から高圧の空気として生ごみ処理槽1内に噴出されることになるので、生ごみ処理材15及び生ごみの空気噴出口6からの進入を防ぐことができるものである。また、突出部8と生ごみ処理槽1の内面部との間の小間隙の内側に更に空気噴出用の空間が形成されるので、いっそう空気噴出口6から生ごみ処理材15及び生ごみが入るのが防止できることになる。
【0014】
また、空気噴出口6から通常に空気を噴出する通常空気噴出モードと、一定期間毎に空気噴出口6から通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気を噴出する高圧噴出モードとを備えていることが好ましい。このような構成とすることで、仮に空気噴出口6から撹拌翼4や撹拌軸3の空気路となる中空部分14に生ごみ処理材15や生ごみが入ったとしても、一定期間毎に高圧噴出モードとなって、通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気が空気噴出口6から噴出して撹拌翼4や撹拌軸3の空気路となる中空部分14に堆積した生ごみ処理材15や生ごみを強制的に吹き出して、掃除することができるものである。
【0015】
また、空気噴出口6から噴出する空気の圧力を検知する圧力検知部9を設け、圧力検知部9により検知された空気圧に基づいて空気噴出口6の異物の詰まりを判定する判定手段10を設けることが好ましい。このような構成とすることで、仮に空気噴出口6が詰まったとしても、圧力検知部9により検知した空気圧に基づいて簡単に空気噴出口6の異物の詰まりを検知できるものである。
【0016】
また、空気噴出口6に空気を流す風路内部に水を流して洗浄するための水洗い洗浄手段11を備えることが好ましい。風路に水を流して風路内に溜まった生ごみ処理材15や生ごみ等の異物を水洗いして洗浄できるものである。
【0017】
また、生ごみ処理槽1から排出される排気の廃熱と、動力部5から排出される廃熱を回収して空気噴出口6から噴出する空気を加熱する加熱手段12を設けることが好ましい。このような構成とすることで、生ごみ処理槽1から排出される排気の廃熱と、動力部5から排出される廃熱を有効利用して生ごみ処理材15に供給する空気を加熱することができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0019】
図1には本発明の生ごみ処理機Aの一実施形態を示す概略斜視図が示してある。生ごみ処理機Aは、処理機本体ハウジング40内に、内部に生ごみ処理材15が収容され且つ撹拌翼4を有する撹拌軸3を備えた生ごみ処理槽1と、撹拌軸3を回転するための動力部5とを内装することで主体が構成してある。
【0020】
微生物が寄生した生ごみ処理材15が収容される生ごみ処理槽1の対向する側壁部に設けた軸受け部に撹拌軸3が回転自在に支持してあり、処理機本体ハウジング40内に内装したモータのような動力部5により撹拌軸3を回転するようになっている。
【0021】
撹拌軸3には撹拌翼4が設けてあり、添付図面に示す実施形態では撹拌軸3を囲むように螺旋状をした撹拌翼4を接続部材13を介して撹拌軸3に設けてある。ここで、撹拌軸3が回転することで螺旋状の撹拌翼4が回転して生ごみ処理槽1内の生ごみ処理材15と生ごみを撹拌混合するのであるが、この際に同時に接続部材13も回転して生ごみ処理材15と生ごみを撹拌混合するので、実施形態においては接続部材13も撹拌翼4の一部を構成している。
【0022】
撹拌軸3、接続部材13はそれぞれパイプにより形成してあって内部が空気通路となる中空部分14となっており、また、螺旋状をした撹拌翼4は螺旋状の長手方向のほぼ全長にわたって内部に空気通路となる中空部分14が形成してある。そして、撹拌軸3の中空部分14と接続部材13の中空部分14とが連通し且つ接続部材13の中空部分14と螺旋状の撹拌翼4の中空部分14とが連通しており、撹拌軸3から接続部材13を介して螺旋状の撹拌翼4に至る連続する空気通路が形成してある。螺旋状の撹拌翼4には螺旋に沿って多数の空気噴出口6が設けてある。
【0023】
回転自在な撹拌軸3の端部にはフレキシブルチューブ等の空気供給路23を介してコンプレッサ、送風機等の送風手段2に接続してあって、送風手段2から送風する空気を回転する撹拌軸3内部の中空部分14に供給し、接続部材13の中空部分14を経て螺旋状の撹拌翼4の中空部分に供給するようになっている。空気供給路23には供給する空気を加熱するための加熱部33が設けてある。
【0024】
螺旋状の撹拌翼4に設けた空気噴出口6は開閉手段7により開閉自在となっている。図2、図3に示す実施形態においては、開閉手段7は開閉部材7aとばね7eにより構成してある。
【0025】
すなわち、撹拌翼4の内部の中空部分14に開閉部材7aが摺動自在に内装してあり、開閉部材7aは内部が空所7bとなっており、開閉部材7aの接続部材13側は開口部7c又は長孔となっていて開閉部材7aが摺動しても接続部材13の中空部分14と開閉部材7aの空所7bとが連通するようになっている。開閉部材7aの空気噴出口6側の面には孔7dが設けてある。開閉部材7aと撹拌翼4の中空部分14の端部内壁との間にばね7eが設けてあって、ばね7eにより上記開閉部材7aを一方向に弾性的に押して図3(a)に示すように開閉部材7aに設けた孔7dが空気噴出口6と非連通状態となって、開閉部材7aにより空気噴出口6を閉じるようにしてある。また、送風手段2により空気通路となる中空部分14に空気を供給すると、開閉部材7aの空所7bに供給され、空気圧によりばね7eに抗して開閉部材7aが図3(b)のように移動して孔7dと空気噴出口6とが連通して空気噴出口6を開として、空気噴出口6から空気を噴出するようになっている。また、送風手段2による空気の供給を停止すると、開閉部材7aの空所7bの空気圧が低下してばね7eの弾性力により開閉部材7aを移動して再び図3(a)のように孔7dと空気噴出口6とを非連通状態として空気噴出口6を閉じるものである。
【0026】
処理機本体ハウジング40の上面には生ごみ投入口16が設けてあり、生ごみ投入口16には開閉自在な蓋17が設けてある。また、生ごみ処理槽1の上部には生ごみ処理槽1内において発酵分解により発生した臭気、湿気を含んだ気体を排気するための排気口26が設けてある。
【0027】
撹拌軸3を回転する動力部5、送風手段2、加熱部33等は図4の制御ブロック図に示すように制御部18により制御されるものである。
【0028】
そして、蓋17を開いて生ごみ処理材15を充填した生ごみ処理槽1に生ごみを投入して生ごみの発酵分解処理を行うものである。生ごみ処理槽1内に生ごみを投入すると、動力部5が一定時間毎に駆動して撹拌軸3を一定時間毎に回転することで、螺旋状の撹拌翼4が一定時間毎に回転して生ごみ処理槽1内の生ごみ処理材15と生ごみとを撹拌混合し、生ごみ処理材15に棲息する微生物の働きにより生ごみを発酵分解処理するものである。生ごみの発酵分解により排気ガスが排気口26から排気される。
【0029】
ここで、例えば撹拌翼4が回転している時に送風手段2を運転して空気圧により開閉部材7aを移動して空気噴出口6を開いて生ごみ処理槽1内に空気を噴出し、生ごみ処理槽1内に充填した生ごみ処理材15内に空気を供給し(つまり生ごみ処理材15に棲息する微生物に空気を供給し)、微生物による生ごみの発酵分解処理を効果的に行うようにするものである。撹拌翼4が回転しない状態においては、送風手段2の運転を停止する。なお、生ごみ処理の発酵分解の状態や、投入される生ごみの状態や量により撹拌翼4の運転中でも送風手段2の運転を停止する場合もある。
【0030】
送風手段2の運転を停止すると、前述のようにばね7eの弾性力により開閉部材7aを移動して空気噴出口6を閉じるので、生ごみ処理材15、生ごみが空気噴出口6から内部に入るのが防止される。このように、空気を噴出しない場合には空気噴出口6を閉じるので、生ごみ処理材15や生ごみが空気噴出口6から内部に入って堆積し難く、したがって、長期間にわたって安定した空気吐出量を確保できて生ごみ処理材による生ごみの発酵分解処理能力が低下しないようにできるものである。
【0031】
ところで空気噴出口6を螺旋状の撹拌翼4に設けると生ごみ処理槽1の内面近くまで空気を供給できるものであるが、このように空気噴出口6を螺旋状をした撹拌翼4に設けるに当たって、本発明においては、図5に示すように螺旋状をした撹拌翼4の外周面部に空気噴出口6を設けるようにしたことに特徴がある。すなわち、螺旋状の撹拌翼4の外周面部は生ごみ処理槽1の内面部に対して小間隙(例えば5mm程度の小間隙)を介して対向するものであるから、螺旋状をした撹拌翼4の外周面部に設けた空気噴出口6から噴出される空気は螺旋状の撹拌翼4の外周面部と生ごみ処理槽1の内面部との間の小間隙に向けて噴出されることになり、高圧の空気が生ごみ処理槽1内に噴出される。これにより生ごみ処理材15及び生ごみが空気噴出口6から内部に入り込むのを防ぐことができるものである。
【0032】
なお、送風手段2から供給される空気は加熱部33により生ごみ処理の最適な温度となるに加熱調整されて空気噴出口6から生ごみ処理槽1内に供給される。
【0033】
図6には螺旋状をした撹拌翼4の外周面部に空気噴出口6を設ける他の実施形態が示してある。本実施形態においては、螺旋状をした撹拌翼4の外周面部の巾方向の両側を生ごみ処理槽1の内面側に向けて突出させて撹拌翼4の外周面部の両突出部8a間に凹溝部8を形成し、この凹溝部8の溝底部分に空気噴出口6を設けてある。このように螺旋状をした撹拌翼4の外周面部に凹溝部8を設けることで、該凹溝部8と生ごみ処理槽1の内面部との間に空気噴出用の空間が形成されることになる。したがって、凹溝部8の溝底部分に設けた空気噴出口6から空気を噴出すると、まず、上記凹溝部8と生ごみ処理槽1の内面部との間に形成される空気噴出用の空間に空気が噴出し、更にこの空気噴出用の空間に噴出した空気が凹溝部8の巾方向の両側の突出部8aと生ごみ処理槽1の内面部との間の小間隙から高圧の空気として生ごみ処理槽1内に噴出されることになり、生ごみ処理材15及び生ごみの空気噴出口6からの進入を防ぐことができるものである。
【0034】
また、突出部8と生ごみ処理槽1の内面部との間の小間隙の内側に更に空気噴出用の空間が形成されるので、生ごみ処理槽1内の生ごみ処理材15や生ごみが突出部8により空気噴出口6側に入るのが防止され、更に突出部8を越えて入っても凹溝部8内に入るため、いっそう空気噴出口6に生ごみ処理材15及び生ごみが入るのが防止できるものである。
【0035】
上記のように空気噴出口6を開閉するための開閉手段7を設けることで空気噴出口6から空気通路となる中空部分14内に生ごみ処理材や生ごみ等の異物が入って堆積するのを防止するようにしているが、空気噴出口6から僅かずつではあるが内部に生ごみ処理材や生ごみ等の異物が入ることがある。このため、空気通路となる中空部分14内に入った異物を清掃する必要がある。以下、空気通路となる中空部分14内に入った異物を清掃することにつき説明する。
【0036】
本実施形態においては、空気噴出モードとして、前述のように空気噴出口6から通常に空気を噴出する通常空気噴出モードと、一定期間毎に空気噴出口6から通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気を噴出する高圧噴出モードとを備えており、通常空気噴出モードから一定期間毎に高圧噴出モードに切り換えるには制御部18における制御で自動的に行うようになっている。このように、空気噴出口6から一定期間毎に空気噴出口6から高圧空気を噴出する高圧噴出モードに切り換える運転をすることで、空気噴出口6から撹拌翼4や撹拌軸3の空気路となる中空部分14に生ごみ処理材15や生ごみが入ったとしても、通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気を供給して撹拌翼4や撹拌軸3の空気路となる中空部分14に堆積した生ごみ処理材15や生ごみを強制的に吹き出して空気噴出口6から排出して、掃除することができるものである。また、このように高圧空気を供給して掃除を行うので、掃除を行うための空気を生ごみ処理材中に吹き出すことで、生ごみ処理材15に棲息する微生物へ空気を供給することができて、省エネを図りながら無駄なく掃除ができるものである。
【0037】
図7、図8には他の実施形態が示してある。本実施形態においては、空気噴出口6から噴出する空気の圧力を検知する圧力検知部9を設け、圧力検知部9により検知した空気圧の検出データを制御部18に送り、判定手段10によりあらかじめ異物が詰まっていない状態での空気圧と比較することにより空気噴出口6に異物が詰まっているかどうかを判定する。判定手段10により異物が詰まっていると判定すると、ランプ、ブザー、音声等の報知手段19により異物が詰まっていることを報知し、使用者に異物がつまって正常に空気が供給されていないこと、つまり、生ごみの発酵分解処理効率が低下していることを知らせることができるようにしてある。また、判定手段10で異物が詰まっていると判定すると、制御部18により、空気噴出口6から通常に空気を噴出する際の空気圧よりも高圧の高圧空気を噴出する高圧噴出モードとなるように送風手段2を制御して、異物の詰まりを高圧空気により掃除するようにしてもよいものである。
【0038】
図9には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、水タンク20、ポンプ21、水供給管22よりなる水洗い洗浄手段11を切り換え弁24を介して空気供給路23に接続してある。そして、生ごみ処理槽1内から生ごみ処理材を取り出して生ごみ処理槽1内を空にした状態で切り換え弁24を切り換えて水洗い洗浄手段11を空気供給路23に連通させ、ポンプ21を運転して空気供給路23から撹拌軸3の中空部分14、接続部材13の中空部分14、螺旋状の撹拌翼4の中空部分14内に摺動自在に内装した開閉部材7aの空所7bに流れ、開閉部材7aを水圧によりばね7eの弾性力に抗して移動し孔7dと空気噴出口6とを連通させると共に空気噴出口6から水を噴出するものであり、このような水の流れにより、空気噴出口6から中空部分14よりなる風路内に溜まった生ごみ処理材15や生ごみ等の異物を洗い流して洗浄できるものである。
【0039】
上記のような水による洗浄が終わると、再び、生ごみ処理槽1内に新たに生ごみ処理材15を入れて運転を再開する。
【0040】
図10には本発明の更に他の実施形態が示してある。生ごみ処理槽1から排気される排気ガスは生ごみの発酵分解により臭気を含むと共に発酵分解により高温となって排気口26から生ごみ処理槽1外に排出される。この高温の排気の廃熱と、撹拌翼4を備えた撹拌軸3を回転するための動力部5から排出される廃熱を従来はそのまま有効に利用することなく、放出していたので、本実施形態においては、この無駄に捨てられていた高温の排気の廃熱と、動力部5から排出される廃熱を回収して空気噴出口6から噴出する空気を加熱するようにしている。すなわち、動力部5に駆動熱回収部30を設け、送風手段2に一端部が接続された外気取り入れ路31の途中を上記駆動熱回収部30に通してあり、駆動熱回収部30で回収した動力部5の廃熱で外気取り入れ路31の他端の外気取り入れ口32から取り入れた空気を加熱して送風手段2に供給するようになっており、また、生ごみ処理槽1の排気口26と処理機本体ハウジング40に設けた排気出口27を接続する排気路28の途中に排気熱回収部29を設け、この排気熱回収部29に空気供給路23を通し、排気路28を流れる高温の排気の排気熱を排気熱回収部29で回収して空気供給路23を供給される空気を加熱するようになっている。したがって、本実施形態においては、駆動熱回収部30、排気熱回収部29が生ごみ処理槽1内に噴出する空気を加熱するための加熱手段12を構成している。
【0041】
これにより、高温の排気の廃熱と、動力部5から排出される廃熱を回収して撹拌翼4に設けた空気噴出口6から生ごみ処理槽1内に噴出する空気を加熱することができるものである。このように廃熱を有効に回収して空気噴出口6から高温の空気を生ごみ処理槽1内に供給することで、加熱部33による加熱エネルギーを少なくしたり、あるいは加熱部33による加熱をしなくてもよくなり、省エネを図りながら微生物による生ごみの処理に適した温度環境とすることができる。
【0042】
なお、生ごみ処理槽1内に温度計測手段34を設け、この温度計測手段34で計測した温度データに基づき、制御部18により生ごみ処理槽1内に供給される空気の温度制御を行うようにしたり、撹拌翼4の回転を制御したりしてもよいものである。これにより生ごみ処理槽1内の生ごみの発酵分解処理の段階に応じた最適の温度、撹拌翼4による最適の撹拌が可能となる。
【0043】
本発明において、図示を省略しているが、送風手段2から供給して空気噴出口6より噴出する空気に水分を含ませるような水分含浸装置を設けてもよい。そして、温度計測手段34により計測した生ごみ処理槽1内の温度変化と撹拌頻度により水分含浸装置により空気噴出口6から吹き出す空気に適切な水分を含ませ、適切な湿度を持った空気として生ごみ処理槽1内の生ごみ処理材15に吹き出すことで、発酵分解処理の段階に応じた最適な温度、湿度、空気量に制御することができる。
【0044】
図11には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、螺旋状の撹拌翼4が軸方向から見て半円以下の略円弧状となっていて、撹拌軸3回転することで撹拌翼4が図11(a)のように生ごみ処理槽1内に充填した生ごみ処理材15内に位置する状態と、図11(b)のように生ごみ処理槽1内の上部の生ごみ処理材15が存在しない空間部分に位置する状態とを交互に繰り返すようになっている。撹拌軸3の回転位置をエンコーダなどにより検出し、撹拌翼4が生ごみ処理槽1内に充填した生ごみ処理材15内に入っている状態の時は撹拌翼4に設けた空気噴出口6から空気を生ごみ処理材15内に噴出し、撹拌翼4が生ごみ処理槽1内の上部の生ごみ処理材15が存在しない空間に位置している状態の時は空気噴出口6から空気が噴出しないように制御部18により送風手段2をオン、オフ制御するようになっている。これにより生ごみ処理材15が存在しない生ごみ処理槽1内の上部の空間内において無駄な空気を大量に噴出することがないものである。
【0045】
ここで、撹拌翼4が生ごみ処理槽1内の上部空間に位置して送風手段2がオフとなって空気噴出口6から空気が噴出されない状態で、空気噴出口6が前述のようにして開閉手段7により閉じられるので、生ごみ処理槽1内において撹拌翼4の回転による撹拌で飛散したり、浮遊している生ごみ処理材15が空気噴出口6から撹拌翼4の内部に入ることがないものである。
【0047】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、処理槽の内面部に対して小間隙を介して対向する螺旋状の攪拌翼の外周面部に上記小間隙を介して生ごみ処理槽の内面部に対向する上記空気噴出口を設け、攪拌翼に設けた開閉手段で攪拌翼の外周面部に設けた空気噴出口を直接開閉するので、開閉手段を開けた状態で撹拌翼の外周面部に小間隙を介して処理槽の内面部に対向する上記空気噴出口から空気を噴出して、小間隙から高圧の空気が生ごみ処理槽内に噴出することになって、生ごみ処理材及び生ごみが空気噴出口から内部に入るのを確実に防止しながら生ごみ処理槽内の内面部付近に十分に空気を供給することができ、また、空気を供給しない時には攪拌翼に設けた開閉手段を閉じ、螺旋状をした撹拌翼の外周面部に設けた空気噴出口から撹拌翼の内部に生ごみ処理材や生ごみが入らないようにでき、撹拌翼の内部の中空部分に生ごみ処理材や生ごみが入って堆積して硬化することで空気噴出口が詰まるという現象を回避できて、長期間にわたって安定して生ごみ処理槽内の内面部付近まで安定した量の空気を確実に供給することができ、これにより長期間にわたって安定した量の空気を螺旋状の攪拌翼の外周面部に設けた空気噴出口から生ごみ処理槽内の生ごみ処理材に供給でき、生ごみ処理が長期間にわたって安定して効率良く行えるものである。
【0050】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、螺旋状をした撹拌翼の外周面部の巾方向の両側を生ごみ処理槽の内面側に向けて突出させて撹拌翼の外周面部の両突出部間を凹溝部とし、この凹溝部の溝底部分に空気噴出口を設けてあるので、凹溝部の溝底部分の空気噴出口から、凹溝部と生ごみ処理槽の内面部との間に形成される空気噴出用の空間に空気が噴出し、更にこの空気噴出用の空間に噴出した空気が凹溝部の巾方向の両側の突出部と生ごみ処理槽の内面部との間の小間隙から高圧の空気となって生ごみ処理槽内に噴出し、生ごみ処理材及び生ごみが空気噴出口から内部に入るのを防止することができるものであり、また、突出部と生ごみ処理槽の内面部との間の小間隙の内側に更に空気噴出用の空間が形成されるので、いっそう空気噴出口から生ごみ処理材及び生ごみが入るのが防止できるものである。
【0051】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、空気噴出口から通常に空気を噴出する通常空気噴出モードと、一定期間毎に空気噴出口から通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気を噴出する高圧噴出モードとを備えているので、仮に空気噴出口から撹拌翼や撹拌軸の空気路となる中空部分に生ごみ処理材や生ごみが入ったとしても、一定期間毎に高圧噴出モードとなって、通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気が空気噴出口から噴出して撹拌翼や撹拌軸の空気路となる中空部分に堆積した生ごみ処理材や生ごみを強制的に吹き出して、掃除することができ、長期間にわたって安定した量の空気を生ごみ処理槽内に供給することができるものである。
【0052】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、空気噴出口から噴出する空気の圧力を検知する圧力検知部を設け、圧力検知部により検知された空気圧に基づいて空気噴出口の異物の詰まりを判定する判定手段を設けてあるので、仮に空気噴出口が詰まったとしても、圧力検知部により検知した空気圧に基づいて簡単に空気噴出口の異物の詰まりを検知できるものである。
【0053】
また、請求項5記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、空気噴出口に空気を流す風路内部に水を流して洗浄するための水洗い洗浄手段を備えているので、風路に水を流して風路内に溜まった生ごみ処理材や生ごみ等の異物を水洗いして洗浄でき、空気では洗浄できないような場合でも確実に洗浄ができるものである。
【0054】
また、請求項6記載の発明にあっては、上記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、生ごみ処理槽から排出される排気の廃熱と、動力部から排出される廃熱を回収して空気噴出口から噴出する空気を加熱する加熱手段を設けてあるので、生ごみ処理槽から排出される排気の廃熱と、動力部から排出される廃熱を有効利用して生ごみ処理材に供給する空気を加熱することができ、省エネを図りながら効果的に生ごみ処理材に生ごみの発酵分解処理に適した温度の空気を供給することが可能となって生ごみ処理が効果的に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生ごみ処理機の一実施形態の概略斜視図である。
【図2】同上の空気噴出口を開閉する開閉手段を示す破断斜視図である。
【図3】(a)は同上の開閉手段で空気噴出口を閉じた状態を示す説明のための概略断面図であり、(b)は開閉手段で空気噴出口を開いた状態を示す説明のための概略断面図である。
【図4】本発明の生ごみ処理機の基本的な制御ブロック図である。
【図5】同上の空気噴出口の例を示す説明図のための断面図である。
【図6】同上の空気噴出口の他例を示す説明図のための断面図である。
【図7】本発明の生ごみ処理機の更に他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】同上の圧力検出部を設けた例における制御ブロック図である。
【図9】本発明の生ごみ処理機の更に他の実施形態を示す概略説明図である。
【図10】本発明の生ごみ処理機の更に他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図11】本発明の生ごみ処理機の更に他の実施形態を示し、(a)は撹拌翼が生ごみ処理槽内に充填した生ごみ処理材に入っている状態を示す概略説明図であり、(b)は撹拌翼が生ごみ処理槽内の上部の生ごみ処理材が存在しない上部空間に位置している状態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 生ごみ処理槽
2 送風手段
3 撹拌軸
4 撹拌翼
5 動力部
6 空気噴出口
7 開閉手段
8 凹溝部
9 圧力検知部
10 判定手段
11 水洗い洗浄手段
12 加熱手段
Claims (6)
- 生ごみ処理槽内に微生物の寄生した生ごみ処理材を収容し、生ごみと共に撹拌して発酵分解処理を行う生ごみ処理機において、生ごみ処理材と生ごみを収容し発酵分解する生ごみ処理槽と、生ごみ処理槽内に回転自在に配置した撹拌軸と、撹拌軸に設けられた生ごみ処理材と生ごみを撹拌する螺旋状の撹拌翼と、撹拌軸を回転させるための動力部と、撹拌軸乃至撹拌翼から強制的に空気を噴出するための空気噴出口と、空気噴出口から空気を送る送風手段と、空気噴出口を開閉する開閉手段とを備えたものであって、上記処理槽の内面部に対して小間隙を介して対向する螺旋状の攪拌翼の外周面部に上記小間隙を介して生ごみ処理槽の内面部に対向する上記空気噴出口を設け、攪拌翼に設けた開閉手段で攪拌翼の外周面部に設けた空気噴出口を直接開閉して成ることを特徴とする生ごみ処理機。
- 螺旋状をした撹拌翼の外周面部の巾方向の両側を生ごみ処理槽の内面側に向けて突出させて撹拌翼の外周面部の両突出部間を凹溝部とし、この凹溝部の溝底部分に空気噴出口を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の生ごみ処理機。
- 空気噴出口から通常に空気を噴出する通常空気噴出モードと、一定期間毎に空気噴出口から通常空気噴出モード時における空気圧よりも高圧の高圧空気を噴出する高圧噴出モードとを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の生ごみ処理機。
- 空気噴出口から噴出する空気の圧力を検知する圧力検知部を設け、圧力検知部により検知された空気圧に基づいて空気噴出口の異物の詰まりを判定する判定手段を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の生ごみ処理機。
- 空気噴出口に空気を流す風路内部に水を流して洗浄するための水洗い洗浄手段を備えて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の生ごみ処理機。
- 生ごみ処理槽から排出される排気の廃熱と、動力部から排出される廃熱を回収して空気噴出口から噴出する空気を加熱する加熱手段を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の生ごみ処理機。
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